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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124514
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】硬貨取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20230830BHJP
【FI】
G07D11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028313
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】菊池 励
(72)【発明者】
【氏名】山岸 悟
(72)【発明者】
【氏名】太田 弘介
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141BA13
3E141FA03
3E141FA05
3E141FA06
3E141GB04
3E141HA07
3E141JA02
3E141LA02
(57)【要約】
【課題】硬貨の分離に係る機能性を向上する。
【解決手段】硬貨が投入される投入部と、前記投入部に投入された前記硬貨が挟まる溝部を有する螺旋状に巻かれた構造体と、前記構造体の内側にあり、前記構造体の中心軸と異なる中心軸を有するピン部と、前記構造体および前記ピン部を回転させ、前記溝部に挟まった前記硬貨を上昇させる駆動部と、前記駆動部の駆動力により所定の位置以上に上昇された前記硬貨を受け取るフラッパ部と、を有し、前記ピン部の先端は、前記ピン部の中心軸に最も近い前記溝部の範囲に位置せず、且つ、前記所定の位置以上に上昇された前記硬貨と接触するように配置される、硬貨取扱装置。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が投入される投入部と、
前記投入部に投入された前記硬貨が挟まる溝部を有する螺旋状に巻かれた構造体と、
前記構造体の内側にあり、前記構造体の中心軸と異なる中心軸を有するピン部と、
前記構造体および前記ピン部を回転させ、前記溝部に挟まった前記硬貨を上昇させる駆動部と、
前記駆動部の駆動力により所定の位置以上に上昇された前記硬貨を受け取るフラッパ部と、
を有し、
前記ピン部の先端は、前記ピン部の中心軸に最も近い前記溝部の範囲に位置せず、且つ、前記所定の位置以上に上昇された前記硬貨と接触するように配置される、
硬貨取扱装置。
【請求項2】
前記構造体と前記フラッパ部は、
前記投入部に投入された前記硬貨の滑り方向に対応した方向に傾けて配置される、
請求項1に記載の硬貨取扱装置。
【請求項3】
前記フラッパ部は、
前記駆動部により前記フラッパ部の端面の高さ以上に上昇された前記硬貨を受け取る、
請求項2に記載の硬貨取扱装置。
【請求項4】
前記ピン部の先端と、前記フラッパ部の端面の間の垂直距離は、前記硬貨の厚さ1枚以上、且つ、前記硬貨の厚さ2枚未満である、
請求項3に記載の硬貨取扱装置。
【請求項5】
前記硬貨は、厚さの異なる少なくとも2以上の硬貨を含み、
前記垂直距離は、前記厚さが最も大きい硬貨の厚さ1枚以上、且つ、前記厚さが最も小さい硬貨の厚さ2枚未満である、
請求項4に記載の硬貨取扱装置。
【請求項6】
前記投入部は、開閉機構を備え、
前記投入部の開閉に応じて、前記フラッパ部を移動させる連結部、
を更に有する、
請求項5に記載の硬貨取扱装置。
【請求項7】
前記フラッパ部の端面の高さは、前記投入部の開閉に応じて可変である、
請求項6に記載の硬貨取扱装置。
【請求項8】
前記連結部は、
前記投入部が開であった際に、前記垂直距離が、前記厚さが最も大きい硬貨の厚さ1枚以上、且つ、前記厚さが最も小さい硬貨の厚さ2枚未満になるように、前記フラッパ部を移動させる、
請求項7に記載の硬貨取扱装置。
【請求項9】
少なくとも1以上の突起を有し、回転する回転体、
を更に有し、
前記回転体は、
前記投入部に投入された前記硬貨のうち、前記構造体の手前で前記所定の高さ以上にある硬貨に前記突起が接触するように配置される、
請求項1から請求項8までのうちいずれか一項に記載の硬貨取扱装置。
【請求項10】
前記回転体は、
前記駆動部の回転方向と反対方向に対して回転する、
請求項9に記載の硬貨取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動券売機や自動販売機等に搭載される、一括投入された複数枚の硬貨を1枚ずつ分離する技術が開発されている。例えば、特許文献1では、投入口に投入された硬貨が回転する円盤により、1枚ずつ分離される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-298749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載した技術では、投入された硬貨を分離させるための円盤を設けるため、分離ユニットの大型化や、複雑化が生じる可能性があった。また、大型化または複雑化した分離ユニットは、分離に際して硬貨が詰まる確率が増加し得る。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、硬貨の分離に係る機能性を向上することが可能な、新規かつ改良された硬貨取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨が投入される投入部と、前記投入部に投入された前記硬貨が挟まる溝部を有する螺旋状に巻かれた構造体と、前記構造体の内側にあり、前記構造体の中心軸と異なる中心軸を有するピン部と、前記構造体および前記ピン部を回転させ、前記溝部に挟まった前記硬貨を上昇させる駆動部と、前記駆動部の駆動力により所定の位置以上に上昇された前記硬貨を受け取るフラッパ部と、を有し、前記ピン部の先端は、前記ピン部の中心軸に最も近い前記溝部の範囲に位置せず、且つ、前記所定の位置以上に上昇された前記硬貨と接触するように配置される、硬貨取扱装置が提供される。
【0007】
前記構造体と前記フラッパ部は、前記投入部に投入された前記硬貨の滑り方向に対応した方向に傾けて配置されてもよい。
【0008】
前記フラッパ部は、前記駆動部により前記フラッパ部の端面の高さ以上に上昇された前記硬貨を受け取ってもよい。
【0009】
前記ピン部の先端と、前記フラッパ部の端面の間の垂直距離は、前記硬貨の厚さ1枚以上、且つ、前記硬貨の厚さ2枚未満であってもよい。
【0010】
前記硬貨は、厚さの異なる少なくとも2以上の硬貨を含み、前記垂直距離は、前記厚さが最も大きい硬貨の厚さ1枚以上、且つ、前記厚さが最も小さい硬貨の厚さ2枚未満であってもよい。
【0011】
前記投入部は、開閉機構を備え、前記投入部の開閉に応じて、前記フラッパ部を移動させる連結部、を更に有してもよい。
【0012】
前記フラッパ部の端面の高さは、前記投入部の開閉に応じて可変であってもよい。
【0013】
前記連結部は、前記投入部が開であった際に、前記垂直距離が、前記厚さが最も大きい硬貨の厚さ1枚以上、且つ、前記厚さが最も小さい硬貨の厚さ2枚未満になるように、前記フラッパ部を移動させてもよい。
【0014】
少なくとも1以上の突起を有し、回転する回転体、を更に有し、前記回転体は、前記投入部に投入された前記硬貨のうち、前記構造体の手前で前記所定の高さ以上にある硬貨に前記突起が接触するように配置されてもよい。
【0015】
前記回転体は、前記駆動部の回転方向と反対方向に対して回転してもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、硬貨の分離に係る機能性を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る一括投入ユニット1の概要を説明するための説明図である。
図2】本実施形態に係るユニット本体5の正面概略図を示す図である。
図3】ばねユニット20の構成の一例を説明するための説明図である。
図4図2に示したA-A線でユニット本体5を切断して得られるユニット本体5の断面概略図である。
図5】あるユニット本体により硬貨Cが1枚ずつ分離される流れの一例を説明するための説明図である。
図6】あるユニット本体により硬貨Cが1枚ずつ分離される流れの一例を説明するための説明図である。
図7】本実施形態に係るユニット本体5の硬貨の詰まりを解消する構造の一例を説明するための説明図である。
図8図7に示したユニット本体5の課題を説明するための説明図である。
図9】変形例に係るユニット本体5の構造の一例を説明するための説明図である。
図10】変形例に係るユニット本体5の構造の他の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
<<1.一括投入ユニット1の概要>>
本発明の一実施形態は、硬貨の分離に係る機能性を向上することを可能とする硬貨取扱装置に関する。まず、図1を参照し、本実施形態に係る一括投入ユニットの概要を説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る一括投入ユニット1の概要を説明するための説明図である。本実施形態に係る一括投入ユニット1は、硬貨取扱装置の一例であり、利用者により複数の硬貨が投入された際に、一枚ずつ分離して硬貨を排出する装置である。
【0021】
例えば、一括投入ユニット1から排出された硬貨は、硬貨選別部(コインメック)に排出され、排出された硬貨の総数のカウントに係る硬貨処理が実行されてもよい。
【0022】
一括投入ユニット1は、例えば、自動券売機や自動販売機などの各種現金処理装置に搭載されてもよい。
【0023】
また、一括投入ユニット1は、図1に示すように、硬貨投入皿3と、ユニット本体5と、を有する。
【0024】
(硬貨投入皿3)
本実施形態に係る硬貨投入皿3は、利用者により複数の硬貨が投入される一時的な受け皿である。例えば、硬貨投入皿3は、利用者により異なる金種の硬貨が投入される。
【0025】
ここで、金種の異なる硬貨とは、例えば、100円硬貨や、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、または500円硬貨などの各種硬貨を含む。また、他の国で流通する硬貨においても本実施形態に係る一括投入ユニット1は適用可能である。
【0026】
(ユニット本体5)
本実施形態に係るユニット本体5は、硬貨投入皿3に投入された複数の硬貨を1枚ずつ分離して排出する本体部である。
【0027】
以上、本実施形態に係る一括投入ユニット1の概要を説明した。続いて、ユニット本体5の構成と、ユニット本体5により1枚ずつ分離される硬貨の流れを説明する。なお、以下の説明では、図1に示した一括投入ユニット1の方向を正面方向として説明する。
【0028】
<<2.ユニット本体5の構成>>
図2は、本実施形態に係るユニット本体5の正面概略図を示す図である。図2におけるユニット本体の正面概略図とは、ユニット本体5に投入された硬貨Cの経路Lの周辺断面図を示す。
【0029】
本実施形態に係るユニット本体5は、投入口10と、ばねユニット20と、フラッパ部30と、歯車40と、を有する。
【0030】
(投入口10)
本実施形態に係る投入口10は、投入部の一例であり、硬貨Cが投入される。例えば、硬貨Cは、硬貨投入皿3を介して投入口10に投入される。
【0031】
投入口10に投入された硬貨Cは、図2に示すような傾斜に沿って移動し、ばねユニット20の位置まで移動する。
【0032】
(ばねユニット20)
本実施形態に係るばねユニット20は、硬貨Cをフラッパ部30の端面31の高さ以上に上昇させるユニットである。
【0033】
ばねユニット20は、投入口10に投入された硬貨Cが滑る方向に対応した方向に傾けて配置されてもよい。例えば、ばねユニット20は、図2に示すように、投入口10に投入された硬貨Cの滑る方向に対し、ばねユニット20が有するばね部の溝部が平行するように配置されてもよい。これにより、ユニット本体5の内部を滑る硬貨Cがばね部の溝部により容易に挟まり得る。ここで、図3を参照し、本実施形態に係るばねユニット20の構成の一例を説明する。
【0034】
図3は、ばねユニット20の構成の一例を説明するための説明図である。図3に示すように、ばねユニット20は、ばね部21と、ギア部23と、ピン部25と、備える。
【0035】
{ばね部21}
本実施形態に係るばね部21は、投入口10に投入された硬貨が挟まる溝部21Aを有する螺旋状に巻かれた構造体の一例である。なお、本発明に係る構造体は、ばねのような弾性体に限定されない。例えば、構造体は、非弾性体から形成されてもよい。
【0036】
{ギア部23}
本実施形態に係るギア部23は、ばね部21および後述するピン部25を回転させる駆動部の一例である。
【0037】
また、ギア部23は、ばね部21を回転することでばね部21が有する溝部21Aに挟まった硬貨Cを上昇させる。
【0038】
そのため、ギア部23は、硬貨が上昇させる方向に向けてばね部21およびピン部25を回転させる。例えば、ギア部23は、図3に示すようなばね部21およびピン部25を時計周りに回転させてもよい。ギア部23は、ばね部21の巻方向に併せて回転させる方向を変更してもよい。
【0039】
{ピン部25}
本実施形態に係るピン部25は、ギア部23に取り付けられるピンである。例えば、ピン部25は、ピン部25の外径よりも小さい径であるギア部23の孔に挿入することで、ギア部23に取り付けられてもよい。
【0040】
また、ピン部25は、図3に示すように、ばね部21の内側にあり、ばね部21の中心軸と異なる中心軸を有する。
【0041】
また、ピン部25は、スプリングピンであってもよい。但し、ピン部25は、スプリングピンに限定されない。ピン部25は、ギア部23に取り付け可能な任意のピンであってもよい。
【0042】
以上、ばねユニット20の構成の一例を説明した。再び、図2を参照し、ユニット本体5の構成の続きを説明する。
【0043】
(フラッパ部30)
本実施形態に係るフラッパ部30は、ギア部23の駆動力により所定の位置以上に上昇された硬貨Cを受け取る。例えば、所定の位置は、フラッパ部30の端面31Aの高さであってもよい。
【0044】
また、フラッパ部30は、投入口10に投入された硬貨Cが滑る方向に対応した方向に傾けて配置されてもよい。例えば、フラッパ部30は、図2に示すように、投入口10に投入された硬貨Cの滑る方向に対し、フラッパ部30の傾斜が略平行になるように配置されてもよい。
【0045】
(歯車40)
本実施形態に係る歯車40は、少なくとも1以上の突起を有し、回転する回転体の一例である。本明細書では、歯車40が4つの突起を有する例を主に説明する。
【0046】
例えば、歯車40は、投入口10に投入された硬貨のうち、ばね部21の手前で、フラッパ部30の端面31の高さ以上にある硬貨に突起が接触するように配置される。これにより、投入された硬貨が、ばねユニット20を介さずにフラッパ部30の端面31を通過してしまう可能性を低減し得る。
【0047】
また、歯車40は、ギア部23の回転方向と反対方向に対して回転してもよい。例えば、ギア部23が、ばね部21やピン部25を時計回りに回転させていた場合、歯車40は、反時計回りに回転してもよい。
【0048】
以上、ユニット本体5の正面概略図を説明した。続いて、図4を参照し、図2に示したA-A線でユニット本体5を切断して得られるユニット本体5の断面概略図を用いて硬貨Cが排出するまでの流れを説明する。
【0049】
図4は、図2に示したA-A線でユニット本体5を切断して得られるユニット本体5の断面概略図である。図4では、硬貨Cの投入から排出までの動線を示す経路Lの一例を説明する。
【0050】
まず、硬貨Cは、投入口10に投入される。この際に、利用者は、複数の硬貨を投入口10に投入してもよい。また、利用者は、異なる金種の硬貨を投入口10に投入してもよい。
【0051】
続いて、硬貨Cは、重力によりユニット本体5の内部の傾斜に沿って、ばねユニット20の位置まで滑り落ちる。
【0052】
そして、ばねユニット20の位置まで滑り落ちた硬貨Cは、ばねユニット20が備えるばね部21の溝部21Aに挟まる。
【0053】
そして、溝部21Aに挟まった硬貨Cは、ギア部23の駆動力により所定の位置(例えば、フラッパ部30の端面31の高さ)以上に上昇され、フラッパ部30の端面31を跨ぎ、フラッパ部30上に落下する。
【0054】
そして、フラッパ部30に落下した硬貨Cは、フラッパ部30の傾斜に沿って再び滑り落ち、排出される。
【0055】
続いて、図5および図6を参照し、あるユニット本体の構造により、硬貨Cが1枚ずつ分離される流れを説明する。なお、以下で説明する図5図9は、硬貨Cが投入される投入口10の方向から見たユニット本体の内部構造の例を示す図である。
【0056】
図5および図6は、あるユニット本体により硬貨Cが1枚ずつ分離される流れの一例を説明するための説明図である。まず、投入口10に投入され、ばね部21が有する溝部21Aに挟まった硬貨C1は、上述したように、ギア部23の駆動力により回転するばね部21により上昇される。
【0057】
そしてフラッパ部30の端面31の高さまで上昇された硬貨C2は、自重によりフラッパ部30に落下する。
【0058】
一方、フラッパ部30の端面31の高さを超えても、挟まっている状況や環境に応じて、自重により落下しない硬貨も存在し得る。このような硬貨は、端面31の高さを超えた位置まで上昇された後、ピン部25に接触することでフラッパ部30に落下する。
【0059】
なお、ピン部25は、ばね部21の内側にあり、ばね部21の中心軸A1と異なる中心軸A2を有する。これにより、ピン部25は、端面31の高さを超えた位置まで上昇した硬貨と、より高い精度で接触し得る。
【0060】
ここで、図5に示す例では、ピン部25の先端25Aは、ピン部25の中心軸A2に最も近いばね部21が有する溝部21Aの範囲に位置する。
【0061】
この場合、硬貨Cのサイズや投入された角度によっては、当該硬貨Cは、ピン部25の先端25Aとばね部21の間に引っ掛かる恐れがある。
【0062】
また、図6に示すように、ピン部25の先端25Aとばね部21に引っ掛かった硬貨Cは、先端25Aに引っ掛かった位置の反対側が持ち上がり、更に歯車40に引っ掛かる恐れがある。この結果、硬貨Cは、フラッパ部30に落下せずに、ユニット本体5の内部で詰まる可能性がある。
【0063】
そこで、本実施形態に係る一括投入ユニット1は、このような硬貨Cがユニット本体5内で詰まらせる原因を解消する構造を有する。
【0064】
図7は、本実施形態に係るユニット本体5の硬貨の詰まりを解消する構造の一例を説明するための説明図である。
【0065】
例えば、本実施形態に係るピン部25の先端25Aは、図7に示すようにピン部25の中心軸A2に最も近いばね部21が有する溝部21Aの範囲に位置しない。即ち、ピン部25の先端25Aは、ばね部21の実体部分に隠れるように配置されてもよい。
【0066】
例えば、図5および図6に示した例を基準とした場合、例えば、ピン部25の長さが変更、又はピン部25が挿入されるギア部23の孔の深さが変更されることで、先端25Aは、溝部21Aの範囲に位置しないように調整し得る。
【0067】
これにより、硬貨Cは、図6に示したような、ピン部25の先端25Aとばね部21の間に引っ掛かる確率が低減され得る。この結果、本実施形態に係るユニット本体5の構造は、硬貨Cがユニット本体5内で詰まらせる原因を解消することで、硬貨の分離に係る機能性を向上し得る。
【0068】
また、硬貨の分離に係る機能性を更に向上し得る構造として、ユニット本体5の構造に更なる創意工夫がなされてもよい。以下、図8図10を参照し、ユニット本体5の変形例を説明する。
【0069】
<<3.変形例>>
図8は、図7に示したユニット本体5の課題を説明するための説明図である。上述したように、硬貨は、フラッパ部30の端面31の高さまで上昇した際に、自重により落下する硬貨と、落下しない硬貨が存在し得る。
【0070】
落下しなかった硬貨は、ピン部25に接触することでフラッパ部30に落下する。ここで、ピン部25の先端25Aと、フラッパ部30の端面31の間の垂直距離が離れれば離れる程、同じタイミングでフラッパ部30に落下する硬貨の数量が増加してしまう場合がある。
【0071】
例えば、図8に示すような垂直距離では、第1の硬貨C1と、第2の硬貨C2が同じタイミングでフラッパ部30に落下する可能性がある。この場合、一括投入ユニット1は、一枚ずつ分離して硬貨を排出できない場合が生じ得る。
【0072】
そこで、変形例に係るユニット本体5は、上述したピン部25の先端25Aと、フラッパ部30の端面31の間の垂直距離に創意工夫がなされた構造であってもよい。
【0073】
図9は、変形例に係るユニット本体5の構造の一例を説明するための説明図である。例えば、変形例に係るユニット本体5は、ピン部25の先端25Aと、フラッパ部30の端面31Aの間の垂直距離が、硬貨Cの厚さ1枚以上、且つ、硬貨Cの厚さ2枚未満になるような構造であってもよい。
【0074】
例えば、フラッパ部30の端面31は、図9に示すような硬貨Cが2枚以上落下することが可能な端面31Aの高さから、硬貨Cが1枚のみ落下することが可能な端面31Bの高さに調整してもよい。
【0075】
また、硬貨Cが、厚さの異なる少なくとも2以上の硬貨を含んだ場合、変形例に係るユニット本体5は、垂直距離が、厚さが最も大きい硬貨の厚さ1枚以上、且つ、厚さが最も小さい硬貨の厚さ2枚未満になるような構造であってもよい。これにより、異なる金種の硬貨が投入口10に投入された場合であっても、ユニット本体5の内部で硬貨が詰まる確率を低減し得る。
【0076】
なお、図9では、フラッパ部30の端面31の高さが変更されることで、垂直距離を調整する例を説明したが、例えば、ピン部25の長さや、ピン部25が挿入されるギア部23の孔の深さが変更されることで、垂直距離が調整されてもよい。
【0077】
図10は、変形例に係るユニット本体5の構造の他の例を説明するための説明図である。図10に示すように、投入口10は、開閉機構を備えていてもよい。
【0078】
また、ユニット本体5は、投入口10の開閉に応じてフラッパ部30を移動させるクランク部11を更に備えていてもよい。なお、クランク部11は、連結部の一例である。
【0079】
そして、フラッパ部30の端面31は、投入口10の開閉に応じて可変であってもよい。
【0080】
例えば、クランク部11は、図10に示すように、開口部12を有する。そして、投入口10の開閉に応じて軸13が開口部12に沿って移動する。そして、軸13が移動することで、軸13とフラッパ部30を繋ぐ支点14を介して、フラッパ部30の端面31が移動されてもよい。
【0081】
例えば、フラッパ部30の端面31の高さは、投入口10が開であった際に上昇され、投入口10が閉であった際に下降される。即ち、フラッパ部30の端面31の高さは、開口部12が狭くなることで上昇され得る。
【0082】
そこで、開口部12の広さが変更されることで、ピン部25の先端25Aと、フラッパ部30の端面31Aの間の垂直距離が、厚さが最も大きい硬貨の厚さ1枚以上、且つ、厚さが最も小さい硬貨の厚さ2枚未満になるように調整されてもよい。
【0083】
なお、フラッパ部30の下部は排出口になっていてもよい。これにより、例えば、投入口10が閉であった際にユニット本体5の内部に存在する物体は、排出口により排出されてもよい。
【0084】
以上、説明した変形例に係るユニット本体5によれば、フラッパ部30は、ある一のタイミングで硬貨1枚のみを受け取ることを可能にし、この結果、ユニット本体5の内部で生じ得る硬貨が詰まる可能性を低減し得る。
【0085】
<<4.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0086】
1 一括投入ユニット
3 硬貨投入皿
5 ユニット本体
10 投入口
20 ばねユニット
21 ばね部
23 ギア部
25 ピン部
30 フラッパ部
31 端面
40 歯車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10