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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124518
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ピッキング装置、自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/91 20060101AFI20230830BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20230830BHJP
   B25J 13/00 20060101ALN20230830BHJP
【FI】
B65G47/91 A
B65G1/00 501A
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028319
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】川野 勉
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕輔
【テーマコード(参考)】
3C707
3F022
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707JS02
3F022FF01
3F022JJ11
3F022KK10
3F022LL12
3F022MM36
3F072AA06
3F072KD03
3F072KD11
3F072KD12
3F072KD30
(57)【要約】
【課題】本開示の目的の一つは、荷を吸着する機構を容易に製造できるピッキング装置の技術を提供することにある。
【解決手段】ある態様のピッキング装置10は、複数行、複数列に配列され、属する行と列とを有する複数の吸着部2と、複数の吸着部2にそれぞれ対応する複数の行弁機構31および複数の列弁機構41と、複数の行弁機構31のうち各行に属する行弁機構31を一体的に駆動する行駆動機構32と、複数の列弁機構41のうち各列に属する列弁機構41を一体的に駆動する列駆動機構42と、を備える。各吸着部2は、当該吸着部2に対応する行弁機構31および列弁機構41によって形成される流路によって吸引流体が供給されたときに荷を吸着するための吸着力を発生する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数行、複数列に配列され、属する行と列とを有する複数の吸着部と、
前記複数の吸着部にそれぞれ対応する複数の行弁機構および複数の列弁機構と、
前記複数の行弁機構のうち前記各行に属する行弁機構を一体的に制御する行駆動機構と、
前記複数の列弁機構のうち前記各列に属する列弁機構を一体的に制御する列駆動機構と、
を備え、
前記各吸着部は、当該吸着部に対応する行弁機構および列弁機構によって形成される流路によって吸引流体が供給されたときに荷を吸着するための吸着力を発生する、
ピッキング装置。
【請求項2】
前記各吸着部は、当該吸着部に対応する前記行弁機構と前記列弁機構とがそれぞれ形成する流路が互いに連通するときに前記吸着力を発生する、請求項1に記載のピッキング装置。
【請求項3】
所定の間隔で複数の行通路が形成され、前記行駆動機構の制御に基づいて行方向に移動する行運動体と、
所定の間隔で複数の列通路が形成され、前記列駆動機構の制御に基づいて列方向に移動する列運動体と、
を有し、
前記各吸着部は、当該吸着部に対応する前記行通路と前記列通路とが互いに連通するときに前記吸着力を発生する、請求項2に記載のピッキング装置。
【請求項4】
互いに対応する前記行弁機構と前記列弁機構の少なくとも一方は、他方の状態に関わらず対応する前記吸着部に吸引流体を供給可能な特定流路を形成可能である、請求項1に記載のピッキング装置。
【請求項5】
前記特定流路は、前記他方の弁機構をバイパスする流路である、請求項4に記載のピッキング装置。
【請求項6】
前記一方の弁機構は、3以上の流路出入口を有する多方向弁を含む、請求項4または5に記載のピッキング装置。
【請求項7】
前記行駆動機構と前記列駆動機構は、弁機構を一体的に駆動するために、電磁的駆動機構、回転運動を直線運動に変換する機構または油圧駆動機構を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のピッキング装置。
【請求項8】
荷を保管する収容部を有する棚と、前記収容部の荷を移動させるピッキング装置と、を備える自動倉庫システムであって、
前記ピッキング装置は、
複数行、複数列に配列され、属する行と列とを有する複数の吸着部と、
前記複数の吸着部にそれぞれ対応する複数の行弁機構および複数の列弁機構と、
前記複数の行弁機構のうち前記各行に属する行弁機構を一体的に制御する行駆動機構と、
前記複数の列弁機構のうち前記各列に属する列弁機構を一体的に制御する列駆動機構と、
を備え、
前記各吸着部は、当該吸着部に対応する行弁機構および列弁機構によって形成される流路によって吸引流体が供給されたときに荷を吸着するための吸着力を発生する、
自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング装置および自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品を吸着把持して移載可能な物品移載装置が知られている。例えば、特許文献1には、移載対象の物品である対象物品の上面を吸着して対象物品を吊り下げて移載先に移動させる物品移載装置が記載されている。この装置は、少なくとも1つの吸着パッドを有する吸着ブロックを複数有する吸着ユニットと、対象物品の少なくとも上面の大きさに応じて吸着ブロックを移動させる制御装置とを備える。この装置は、吸着対象の物品の上面形状に応じて、吸着ブロックを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-040130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、以下の認識を得た。ピッキング装置において、複数の荷のうち所望の荷を選択的に吸着してピッキングすることがある。このために、それぞれ独立して吸着力を発生可能な多数の吸着部をマトリックス状に配置してなる吸着機構を用いることが考えられる。この吸着機構で、所望の荷に対応する吸着部を選択して吸着力を発生させることにより、所望の吸着パターンによって荷を選択的に吸着できる。
【0005】
しかし、この吸着機構は、多数の吸着部の吸着力のオン/オフを独立して制御するために、多数の吸着部と同数の吸着力制御手段を備えることになる。この結果、このピッキング装置は、多数の吸着力制御手段を備えるため、構成が複雑になり、製造作業性は良いとはいえない。
【0006】
特許文献1に記載の装置は、荷を吸着する機構を容易に製造できるという観点から、改善の余地がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、荷を吸着する機構を容易に製造できるピッキング装置の技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のピッキング装置は、複数行、複数列に配列され、属する行と列とを有する複数の吸着部と、複数の吸着部にそれぞれ対応する複数の行弁機構および複数の列弁機構と、複数の行弁機構のうち各行に属する行弁機構を一体的に制御する行駆動機構と、複数の列弁機構のうち各列に属する列弁機構を一体的に制御する列駆動機構と、を備える。各吸着部は、当該吸着部に対応する行弁機構および列弁機構によって形成される流路によって吸引流体が供給されたときに荷を吸着するための吸着力を発生する。
【0009】
本発明の別の態様は、自動倉庫システムである。この自動倉庫システムは、荷を保管する収容部を有する棚と、収容部の荷を移動させるピッキング装置と、を備える自動倉庫システムであって、ピッキング装置は、複数行、複数列に配列され、属する行と列とを有する複数の吸着部と、複数の吸着部にそれぞれ対応する複数の行弁機構および複数の列弁機構と、複数の行弁機構のうち各行に属する行弁機構を一体的に制御する行駆動機構と、複数の列弁機構のうち各列に属する列弁機構を一体的に制御する列駆動機構と、を備える。各吸着部は、当該吸着部に対応する行弁機構および列弁機構によって形成される流路によって吸引流体が供給されたときに荷を吸着するための吸着力を発生する。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、荷を吸着する機構を容易に製造できるピッキング装置の技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の自動倉庫システムを概略的に示す平面図である。
図2】複数の荷が積層された荷姿の一例を示す斜視図である。
図3】実施形態のピッキング装置の一例を示す平面図である。
図4】実施形態のピッキング装置を示す正面図である。
図5】実施形態のピッキング装置を示す下面図である。
図6】実施形態のピッキング装置を示す正面図である。
図7】実施形態のピッキング装置を示す平面図である。
図8】ピッキング装置の動作を模式的に示す図である。
図9】ピッキング装置の吸着パターンを示す平面図である。
図10】第2の例のピッキング装置の動作を模式的に示す図である。
図11】第2の例のピッキング装置の吸着パターンを示す平面図である。
図12】吸引流体の供給パターンを模式的に示す図である。
図13】吸引流体の別の供給パターンを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0015】
[実施形態]
図面を参照して実施形態に係るピッキング装置10を備えた自動倉庫システム100の構成を説明する。図1は、実施形態に係る自動倉庫システム100を概略的に示す平面図である。
【0016】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向、X方向に直交する水平な方向をY方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を定める。また、X方向を横方向と、Y方向を前後方向と、Z方向を上下方向ということがある。このような方向の表記は自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。
【0017】
本明細書では、荷について下記の用語を用いる。内容物を収容した段ボール等のケースを「荷」という。荷には複数の物品が収容されてもよい。また、空荷のパレットを単に「パレット11」という。一のパレット11上に荷12が単数または複数載置されたものを「荷集合」という。以下の説明で「荷12」というときは、荷12単独の場合と、パレット11に搭載された状態の荷12の場合とを含む。荷12はピッキングを行うときに取り扱いされる最小単位であってもよい。
【0018】
図2は、複数の荷12が積層された荷姿の一例を示す斜視図である。内容物を取り出すために開封されることが想定された面を「反底面」といい、反底面とは反対側の面を底面という。図2では、反底面が上向で、底面が下向である状態の荷12を示す。荷12は、反転装置(不図示)により反転され、底面が上向面で反底面が下向面である反転状態でピッキング等の荷扱いがなされてもよい。反底面は、底面よりも開封容易であってもよいし、底面は、反底面よりも高強度であってもよい。表示方法の一例として、ケースの側面に印字された文字が反転した向きであれば反転状態であるとしてもよい。
【0019】
先に、自動倉庫システム100の全体構成を説明する。図1に示すように、自動倉庫システム100は、荷12を保管可能な複数の保管部52を有する棚5と、棚5に入庫または出庫のために荷12を移動する移動手段74、75、76と、荷12を保持して移動させるピッキング装置10と、制御部78とを主に備える。
【0020】
移動手段74、75、76は、第1移動手段74(例えば、第1台車)と、第2移動手段75(例えば、第2台車)と、第3移動手段76(例えば、昇降装置)とを含む。第1移動手段74、第2移動手段75および第3移動手段76は、荷12を、Y方向、X方向およびZ方向に移動させる搬送手段を構成する。第1移動手段74は、荷12をY方向に沿って移動させうる。第2移動手段75は、荷12をX方向に沿って移動させうる。第3移動手段76は、荷12をZ方向に移動させうる。
【0021】
例えば、搬送手段は、荷12を棚5の保管部52から搬出できる。例えば、搬送手段は、荷12を棚5の保管部52に搬入できる。例えば、搬送手段は、荷12を棚5の一の保管部52から棚5の他の保管部52に搬送できる。
【0022】
棚5は、多数の荷12を保管可能な保管スペースであり、保管棚と称されることがある。本実施形態の棚5は、第2走行路73を挟んで図中右側の棚55と、図中左側の棚56に区分されている。棚5の構成は、複数の荷12を収容、保管可能であれば、特に限定されない。棚5は、X方向、Y方向およびZ方向(段方向)に沿って配列された複数の保管部52を含む。各保管部52は、荷12を収容可能に構成されている。
【0023】
棚5には、第1移動手段74が走行するための第1走行路71(例えば、第1レール)と、第2移動手段75が走行するための第2走行路73(例えば、第2レール)とが設けられる。第1走行路71は、棚55、56およびピッキング空間58においてY方向に延設される。第1移動手段74は、各保管部52の下部を走行できる。第2走行路73は、棚55、56およびピッキング空間58に隣接してX方向に延設される。
【0024】
第1移動手段74は、モータ(不図示)によって車輪を駆動し、空荷または荷12を搭載した状態で第1走行路71をY方向に走行する。第1移動手段74は、第2移動手段75および第3移動手段76に乗降できる。第2移動手段75は、モータ(不図示)によって車輪を駆動し、第2走行路73をX方向に走行する。第2移動手段75は、空荷の状態または荷12を搭載した状態の第1移動手段74を移送する。第3移動手段76は、第2走行路73に隣接して設けられる。第3移動手段76は、第1移動手段74および荷12を任意の収容段から他の収容段に昇降させることができる。図1の例では、全段に対して単一の入出庫部77が設けられ、入出庫部77に第3移動手段76が連設されている。
【0025】
この例では、入庫対象の荷12は、フォークリフトなどの外部搬送手段(不図示)によって入出庫部77に搬入され、第3移動手段76によって目的の段に移送される。出庫対象の荷12は、保管されていた段から第3移動手段76によって入出庫部77の段に昇降され、入出庫部77に移送され、入出庫部77から外部搬送手段によって運び出される。
【0026】
制御部78は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、ユーザからの操作結果に基づき、入庫、出庫、搬出、移送等のために荷12の移動を制御する。一例として、制御部78は、入出庫用の領域と保管部との間や、複数の保管部間で荷12を移送するように、第1移動手段74、第2移動手段75および第3移動手段76の動作を制御する。また、制御部78は、荷12をピッキングするためにピッキング装置10の動作を制御する。
【0027】
(ピッキング装置)
図1図3図4を参照して、ピッキング装置10を説明する。ピッキング空間58は、ピッキング装置10を用いてピッキングを行うためのスペースである。ピッキング空間58は、棚56の外部に設けられてもよいが、この例では棚56内に設けられている。図3は、ピッキング装置10を拡大して示す平面図である。図4は、ピッキング装置10を拡大して示す正面図である。これらの図では、一部の柱や梁などの記載を省略している。
【0028】
ピッキング空間58には、ピッキング前の荷12(以下、「第1荷集合121」という)を載置するための第1載置部521と、ピッキング後の荷12(以下、「第2荷集合122」という)を載置するための第2載置部522とが設けられる。
【0029】
なお、第1載置部521および第2載置部522は、ピッキング空間58内の特定の場所を指すものではなく、荷12を一時的に保管するスペースを指している。したがって、ピッキング空間58における第1載置部521および第2載置部522の位置や範囲はピッキング作業ごとに変化する場合もある。本実施形態の第1載置部521および第2載置部522は、保管部52と同様の構成を有する。
【0030】
本実施形態のピッキング空間58には、第1走行路71がY方向に延設されている。第1載置部521および第2載置部522は、第1走行路71上に設けられている。第1移動手段74は、第1載置部521および第2載置部522の下部を走行できる。ピッキング前の第1荷集合121は、第1移動手段74によって第1載置部521に運び入れされる。ピッキング装置10は、第1荷集合121から所定の荷12を吸着して持ち上げ、移動させて、第2荷集合122に積み入れする。ピッキング後の第2荷集合122は、第1移動手段74によって第2載置部522から運び出される。
【0031】
ピッキング装置10の構成を説明する。図4に示すように、ピッキング装置10は、ピッキング前の第1荷集合121から1または2以上の荷12をピッキングして第2荷集合122へ移載する。本実施形態のピッキング装置10は、いわゆるガントリ型のクレーン機構60に支持されている。クレーン機構60は、一対の横梁63と、横桁62と、クレーン台車64と、吊下げ部66とを備える。一対の横梁63は、ピッキング空間58の上部空間においてY方向両側に離隔して設けられる。横梁63の両端は、縦柱61の上端に支持される。
【0032】
横桁62は、Y方向に延びるレール状の構造体で、一対の横梁63の間に架け渡される。横桁62は、横梁63上をX方向に自走可能に構成される。横桁62は、クレーンガータと称されることがある。クレーン台車64は、横桁62上をY方向に自走可能な台車である。クレーン台車64は、トロリ台車と称されることがある。吊下げ部66は、ピッキング装置10をクレーン台車64に吊下げるとともに、ピッキング装置10をZ方向に上下動させることができる。また、吊下げ部66は、ピッキング装置10を水平に回転させることができる。ピッキング装置10は、吊下げ部66の先端に設けられ、荷12を持上げ可能に構成される。
【0033】
クレーン機構60は、ピッキング装置10を水平なX方向およびY方向に自在に移動可能に支持している。また、クレーン機構60は、ピッキング装置10を段方向(Z方向)に移動可能に支持している。
【0034】
図5を参照する。図5は、下面視のピッキング装置10を示す図である。図5に示すように、ピッキング装置10は、複数の吸着部2と、複数の吸着部2を支持するブラケット15とを備える。複数の吸着部2は、行方向(この例ではY方向)に所定の間隔(ピッチ)で、列方向(この例ではX方向)に所定の間隔(ピッチ)でマトリックス状に配置される。特に、複数の吸着部2は、複数行、複数列に配列され、それぞれ属する行と列とを有する。
【0035】
(第1の例)
図6図7図8図9を参照して、ピッキング装置10の第1の例を説明する。図6は、ピッキング装置10を示す正面図である。図7は、ピッキング装置10を示す平面図であり、ブラケットを除いた状態を示している。以下、行や列を区別するときは、各行にアルファベット(A、B・・)を付して、例えば、行Aといい、各列に数字(1、2・・)を付して、例えば、列1という。
【0036】
吸着部2は、真空発生源88により生成された大気圧よりも低圧の空気(以下、「吸引流体」という)が通され、吸着部2の先端に発生させた負圧によって、荷12を吸着するための吸着力Fを発生させる。真空発生源88は、真空ポンプ、エジェクタ、真空ブロアなどを含んで構成できる。真空発生源88からの吸引流体は、配管86によって吸着部2に対応する弁機構に供給される。
【0037】
吸着部2の下面は四角形や円形など多様な形状を有しうる。この例の吸着部2は、蛇腹の先に連結された吸着パッドを有する。吸着部2が荷12を吸着可能な吸着力Fを発生することを、吸着部2は「オン状態」といい、オン状態でない状態を「オフ状態」という。
【0038】
図7に示すように、ピッキング装置10は、複数の行弁機構31と、複数の列弁機構41と、行駆動機構32と、列駆動機構42とを備える。行弁機構31と列弁機構41を総称するときは単に「弁機構」といい、行駆動機構32と列駆動機構42を総称するときは単に「駆動機構」という。また、一の吸着部に対応して互いに連携する行弁機構と列弁機構のアッセンブリを「弁機構アッセンブリ」ということがある。また、互いに対応する弁機構アッセンブリ8と吸着部2の組を「吸着ユニット」ということがある。行駆動機構32は、複数の行弁機構31のうち各行に属する行弁機構31を一体的に駆動する。例えば、行Aの行駆動機構32は、行Aに属する複数の行弁機構31を一体的に駆動する。例えば、列1の列駆動機構42は、列1に属する複数の列弁機構41を一体的に駆動する。
【0039】
例えば、M行N列の弁機構を、それぞれ独立した駆動機構で駆動することが考えられる。この場合、M×N個(図7の例では5×7=35個)の駆動機構を要する。これに対して、上述の様に一の駆動機構により複数の弁機構を駆動する場合、M+N個(図7の例では5+7=12個)の駆動機構で済み、所要数を減らすことができる。
【0040】
弁機構は、吸引流体の流路に開閉、切替等の作用を付与可能なものであればよく、「弁」、「バルブ」と称される典型的な弁機構に限定されない。駆動機構は、弁機構に物理的な作用を付与可能なものであればよい。駆動機構の構成に制限はなく、駆動機構は、電磁的駆動機構(例えばモータ)、回転運動を直線運動に変換する機構(例えば、ボールナット)、油圧駆動機構(油圧シリンダ)等を含んで構成できる。図7の例では、駆動機構は、弁機構の運動体36、46に矢印V、Wで示す方向の直線運動を付与する。
【0041】
複数の行弁機構31および複数の列弁機構41は、複数の吸着部2それぞれに対応して設けられ、吸着ユニット9を構成する。つまり、個々の吸着部2に対応して行弁機構31と列弁機構41とが各1個ずつ設けられる。図7の例では、各行、各列に対応して35個の吸着ユニット9が設けられる。
【0042】
各吸着部2は、当該吸着部2に対応する行弁機構31および列弁機構41によって形成される流路によって吸引流体が供給されたときに荷を吸着するための吸着力Fを発生する。特に、各吸着部2は、当該吸着部2に対応する行弁機構31と列弁機構41とがそれぞれ形成する流路が互いに連通するときに吸着力Fを発生する。
【0043】
図7の例では、ピッキング装置10は、行駆動機構32の駆動に基づいて行方向に移動する行運動体36と、列駆動機構42の駆動に基づいて列方向に移動する列運動体46と、を有する。行運動体36には、所定の間隔で複数の行通路37が形成され、列運動体46には、所定の間隔で複数の列通路47が形成される。
【0044】
行運動体36と列運動体46を総称するときは「運動体」といい、行通路37と列通路47を総称するときは「通路」という。運動体は、行方向または列方向に延びる棒状部材で矩形断面を有する。通路は、上下方向に貫通する円形の縦孔である。通路の配列ピッチは、吸着部2の配列ピッチと同じである。
【0045】
図8は、吸着部2、行弁機構31および列弁機構41の動作を模式的に示す図である。吸着部2に対応する行弁機構31および列弁機構41は、当該吸着部2に吸引流体を供給するための流路84を形成する。
【0046】
図8(S1)の状態では、行通路37は、吸着部2の入口部27に対して右方にずれており、列通路47は、吸着部2の入口部27に対して紙面上方にずれている。図8(S2)の状態では、行通路37は、吸着部2の入口部27と平面視で同位置であり、列通路47は、吸着部2の入口部27に対して紙面上方にずれている。図8(S3)の状態では、行通路37は、吸着部2の入口部27に対して右方にずれており、列通路47は、吸着部2の入口部27と平面視で同位置である。図8(S4)の状態では、行通路37は、吸着部2の入口部27と平面視で同位置であり、列通路47は、吸着部2の入口部27と平面視で同位置である。
【0047】
S1、S2、S3の状態では、行通路37と列通路47とは互いに非連通であり、吸着部2は、吸引流体が供給されないため、吸着力Fを発生しないオフ状態である。S4の状態では、行通路37と列通路47とは互いに連通し、吸着部2は、吸引流体が供給される流路84が形成されるため、吸着力Fを発生するオン状態になる。
【0048】
ある行の行駆動機構32の動作によって当該行のすべての行通路37が吸着部2の入口部27と同位置になる状態を、当該行について「オン状態」といい、オン状態でない状態を「オフ状態」という。ある列の列駆動機構42の動作によって当該列のすべての列通路47が吸着部2の入口部27と同位置になる状態を、当該列について「オン状態」といい、オン状態でない状態を「オフ状態」という。この意味で、図7の状態はすべての行と列とが「オフ状態」である。
【0049】
荷12を選択的に吸着する例を説明する。図9は行A-行Dの吸着ユニット9をオン状態にし、列3-列5の吸着ユニット9をオン状態にした場合の吸着パターンP1を示す。吸着ユニット9は、吸着部2が属する行および列が同時にオンであるときに吸着力Fを発生できる。このため、図9の例のピッキング装置10は、A3-D5の矩形の吸着パターンP1で吸着力Fを発生できる。この結果、第1の例のピッキング装置10は、吸着パターンP1に対応する荷12(A)と、荷12(B)とを選択的に吸着し、持ち上げることができる。
【0050】
(第2の例)
図10図11を参照して、ピッキング装置10の第2の例を説明する。図10は、第2の例の弁機構の動作を模式的に示す図である。第2の例は、弁機構および駆動機構の構成が異なる点で第1の例と相違し、他の構成は同様である。第2例のピッキング装置10では、互いに対応する行弁機構31と列弁機構41の少なくとも一方の弁機構は、他方の弁機構の状態に関わらず対応する吸着部2に吸引流体を供給可能な特定流路を形成可能に構成される。一例として、特定流路は、他方の弁機構をバイパスする流路である。このような弁機構は、3以上の流路出入口を有する多方向弁を含んで構成できる。
【0051】
図10の例では、弁機構31、41は、3方向弁を採用している。3方向弁としては、直線運動する弁体を有するタイプ、回転運動する弁体を有するタイプなどを採用できる。図10の例では、弁機構31、41は、出入口としてAポート、BポートおよびCポートを有し、駆動機構が弁体34、44を回転させることにより、吸引流体の流路を切り替える。弁機構31、41は、弁体34、44の回転位置に応じて、閉止と、A-C連通と、A-B連通と、B-C連通の4状態を有する。
【0052】
弁体を回転させる機構として、種々の機構を採用できる。図10の例では、弁体を回転させる機構として、弁体を回転させる回転軸を駆動機構によって回動させる構成を採用している。なお、弁体34、44を駆動する回転軸35、45は、互いに直交しているが、図10では、理解を容易にするため、回転軸35、45を同じ方向で示している。
【0053】
弁機構31のAポートは、吸引流体を供給する配管86に接続され、弁機構31のCポートは、弁機構41のAポートに接続され、弁機構41のCポートは、吸着部2の入口部27に接続される。弁機構31のBポートは、バイパス流路39を通じて吸着部2に接続される。弁機構41のBポートは、バイパス流路49を通じて配管86に接続される。したがって、弁機構31がA-B連通すると、弁機構41の状態に関わらず、配管86が吸着部2と連通し、弁機構41がB-C連通すると、弁機構31の状態に関わらず、配管86が吸着部2と連通する。
【0054】
図10のS1では、弁機構31、41は、両方とも閉止状態で、吸引流体が供給されないため、吸着部2は吸着力を発生しないオフ状態になる。図10のS2では、弁機構31、41は、両方ともA-C連通し、吸引流体を、弁機構31、41を通じて吸着部2に供給する流路84が形成され、吸着部2は吸着力を発生するオン状態になる。
【0055】
図10のS3では、弁機構31はA-B連通し、弁機構41は閉止状態である。この状態では、吸引流体を、弁機構31のAポート、Bポートを通ってバイパス流路39から吸着部2に供給する流路84が形成されるので、吸着部2は吸着力を発生する。図10のS4では、弁機構31は閉止状態で、弁機構41はB-C連通しする。この場合、吸引流体を、バイパス流路49から弁機構41のBポート、Cポートを通って吸着部2に供給する流路84が形成されるので、吸着部2は吸着力を発生する。このように、他方の弁機構の状態に関わらず、吸引流体が吸着部2に供給される状態をバイパス状態という。
【0056】
このように、第2の例では、任意の行の行駆動機構によって、その行全体の行弁機構をバイパス状態にすることにより、列弁機構の状態に関わらず、その行のすべての吸着部2が吸着力を発生する。また、任意の列の列駆動機構によって、その列全体の列弁機構をバイパス状態にすることにより、行弁機構の状態に関わらず、その列のすべての吸着部2が吸着力を発生する。
【0057】
図11は、第2の例のピッキング装置10を示す平面図である。行駆動機構32は、回転軸35を回転させることにより、行駆動機構32が属する行のすべての弁機構31を、オン状態、オフ状態およびバイパス状態に切り替えることができる。列駆動機構42は、回転軸45を回転させることにより、列駆動機構42が属する列のすべての弁機構41を、オン状態、オフ状態およびバイパス状態に切り替えることができる。
【0058】
図11では、行A、行Bをオン状態にし、行C-行Eをオフ状態にし、列1、列2をバイパス状態にし、列3-列5をオン状態にし、列6、列7をオフ状態にした場合の吸着パターンP2を示す。このように、列1、列2をバイパス状態にすることにより、列1、列2のすべての吸着部2が吸着力Fを発生する。このことにより、図11の例のピッキング装置10は、L字状の吸着パターンP2で吸着力Fを発生させることができる。つまり、第2の例のピッキング装置10は、矩形状の吸着パターンと、L字状の吸着パターンとで、吸着力Fを発生させることができる。この結果、第2の例のピッキング装置10は、吸着パターンP2に対応する荷12(C)と、荷12(D)とを選択的に吸着し、持ち上げることができる。
【0059】
以上の説明では、単独の真空発生源88ですべての吸着部2に吸引流体を供給する例を示したが、吸引流体は、複数の真空発生源88によって供給されてもよい。
【0060】
図12図13は、複数の真空発生源88-1、88-2、88-3、88-4からの供給パターンを模式的に示す図である。複数の真空発生源88のそれぞれは、互いに隣接する一群の吸着部2からなるブロック(以下、「供給ブロック」という)に供給することができる。図12は、供給ブロックSB1、SB2、SB3、SB4の一例を模式的に示す。供給ブロックに供給する場合、吸引流体の配管が容易になる点で好ましい。
【0061】
例えば、供給ブロックSB1の一部の吸着部2が荷12に密着せず、そこでリークが生じた場合に、供給ブロックSB1内のすべての吸着部2の吸着力が低下し、そのブロックで吸着する荷12の保持状態が不安定になる。このため、一の真空発生源88から吸引流体の供給を受ける複数の吸着部2の一部を離散して配置できる。複数の真空発生源88のそれぞれは、離散配置された吸着部2を含む複数の吸着部2からなる離散エリア(以下、「供給離散エリア」という)に供給する。図13は、供給離散エリアDA1、DA2、DA3、DA4の一例を模式的に示す。この場合、例えば、供給離散エリアDA2内の一部の吸着部2でリークが生じても、隣接する別の供給離散エリアDA1、DA3、DA4により荷を吸着できるため、荷の保持状態を安定させることができる。
【0062】
以上のように構成された実施形態のピッキング装置10の特徴を説明する。ある態様のピッキング装置10は、複数行、複数列に配列され、属する行と列とを有する複数の吸着部2と、複数の吸着部2にそれぞれ対応する複数の行弁機構31および複数の列弁機構41と、複数の行弁機構31のうち各行に属する行弁機構31を一体的に駆動する行駆動機構32と、複数の列弁機構41のうち各列に属する列弁機構41を一体的に駆動する列駆動機構42と、を備える。各吸着部2は、当該吸着部2に対応する行弁機構31および列弁機構41によって形成される流路によって吸引流体が供給されたときに荷を吸着するための吸着力Fを発生する。
【0063】
この構成によれば、行数と列数の和として算出される数の駆動機構で足りるので、各吸着部2を独立した駆動機構で駆動する場合に比べて、駆動機構の所要数を減らすことができる。駆動機構の数を減らせるので、その分だけ製造の作業性を向上できる。
【0064】
ピッキング装置10では、各吸着部2は、当該吸着部2に対応する行弁機構31と列弁機構41とがそれぞれ形成する流路が互いに連通するときに吸着力Fを発生する。この場合、駆動機構および弁機構アッセンブリをシンプルに構成できる。
【0065】
ピッキング装置10では、所定の間隔で複数の行通路37が形成され、行駆動機構32の駆動に基づいて行方向に移動する行運動体36と、所定の間隔で複数の列通路47が形成され、列駆動機構42の駆動に基づいて列方向に移動する列運動体46と、を有する。各吸着部2は、当該吸着部2に対応する行通路37と列通路47とが互いに連通するときに吸着力Fを発生する。この場合、行運動体と、列運動体とにより弁機構アッセンブリを容易に構成できる。
【0066】
ピッキング装置10では、互いに対応する行弁機構31と列弁機構41の少なくとも一方の弁機構は、他方の弁機構の状態に関わらず対応する吸着部2に吸引流体を供給可能な特定流路39、49を形成可能である。この場合、矩形状の吸着パターンと、L字状の吸着パターンとで吸着力を発生できる。
【0067】
ピッキング装置10では、特定流路39、49は、他方の弁機構をバイパスする流路である。この場合、弁機構アッセンブリを容易に構成できる。
【0068】
ピッキング装置10では、一方の弁機構は、3以上の流路出入口を有する多方向弁を含む。この場合、バイパス流路を容易に構成できる。
【0069】
ピッキング装置10では、行駆動機構32と列駆動機構42は、弁機構31、41を一体的に駆動するために、電磁的駆動機構、回転運動を直線運動に変換する機構または油圧駆動機構を含む。この場合、構成がシンプルになり製造の作業性を向上できる。
【0070】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0071】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0072】
実施形態の説明では、弁体を回転させる機構として、弁体の回転軸を回動させる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、弁体を回転させる機構として、弁体を回転させるためのレバーを設け、このレバーを運動体(棒状体)にリンクさせ、この運動体を駆動機構によって進退させる構成を採用できる。
【0073】
実施形態の説明では、ピッキング装置10が、マトリックス配置された吸着ユニットのみで構成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、マトリックス配置された吸着ユニット同士の間に、別の吸着ユニットを配置できる。例えば、一のマトリックス配置の第1吸着ユニット群と、面方向に半ピッチ分だけ斜めにシフトした別のマトリックス配置の第2吸着ユニット群とを同じ面に配置できる。
【0074】
実施形態の説明では、ピッキング装置10が、自動倉庫に適用される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のピッキング装置は、自動倉庫以外でもアームロボットを使用したデパレイズ装置やパレタイズ装置にも適用できる。
【0075】
実施形態の説明では、ピッキング空間58が、棚5と一体的に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されず、ピッキング空間58は、棚5外に設けられてもよい。この場合、荷12は、フォークリフトなどの搬送機構によって、棚5とピッキング空間58との間で搬送されてもよい。
【0076】
実施形態の説明では、ピッキング空間58が棚5と同じ平面に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されず、ピッキング空間58は棚5とは異なる平面に設けられてもよい。また、ピッキング装置10の一部が棚5と同じ平面に設けられ、他の部分が棚5の平面範囲から外へ張り出してもよい。
【0077】
実施形態の説明では、第2移動手段75と第3移動手段76が別個に備えられる例を示したが、これに限定されない。第2移動手段として、荷12を段方向および列方向に移動可能な移動手段(例えば、スタッカークレーン)を採用してもよい。この場合、スタッカークレーンは、第1移動手段を搭載できないものであってもよいし、荷12とともに第1移動手段を搭載可能なものであってもよい。
【0078】
実施形態の説明では、全段に対して単一の入出庫部77が設けられ、入出庫部77に第3移動手段76が連設される例を示したが、これに限定されない。各段それぞれに入出庫部が設けられ、入出庫する荷は、フォークリフトによって各段の入出庫部に出し入れされてもよい。また、入出庫部は入庫部と出庫部とに分けられていてもよい。
【0079】
実施形態の説明では、ピッキング装置10が、ガントリ型のクレーン機構60によって天井側から支持される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ピッキング装置は多関節ロボットや別構成の支持手段によって支持されてもよい。また、ピッキング装置は側方の横壁に取付けられ、側方から支持される構成であってもよい。
【0080】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0081】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0082】
2 吸着部、 10 ピッキング装置、 12 荷、 31 行弁機構、 32 行駆動機構、 36 行運動体、 37 行通路、 39、49 特定流路(バイパス流路)、 41 列弁機構、 42 列駆動機構、 46 列運動体、 47 列通路、 100 自動倉庫システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13