(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124525
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】洗浄方法及び洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
A47L15/42 R
A47L15/42 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028332
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 知尭
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆司
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BL01
3B082BL03
(57)【要約】
【課題】1回当たりの被洗浄物の洗浄でノズルから噴射する洗浄水の総水量を減らし、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減する。
【解決手段】
複数のノズル52と連通する共用配管51へ第1の流入口53から洗浄水を流入し噴射する第1の洗浄ステップS3と、共用配管へ、第1の流入口とは異なる位置に設けた第2の流入口55から洗浄水を流入し噴射する第2の洗浄ステップS4とを含み、第1の流入口から最も近い第1のノズル52Xと、第1の流入口と第1のノズルとの距離よりも遠く、第2の流入口から最も近い第2のノズル52Yとから洗浄水を噴射し、第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、第1の洗浄ステップでは、第2のノズルよりも少なくなるよう噴射し、第2の洗浄ステップでは、第2のノズルよりも多くなるよう噴射して、第1の洗浄ステップ,第2の洗浄ステップを行う時間の長さを変更することで、噴射する洗浄水の総水量を調整する。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄方法であって、
前記複数のノズルと連通する第1の流路へと、第1の流入口から洗浄水を流入し、前記複数のノズルから洗浄水を被洗浄物に向けて噴射して洗浄する第1の洗浄ステップと、
前記第1の洗浄ステップの後に、前記複数のノズルと連通する第2の流路へと、前記第1の流入口とは異なる位置に設けた第2の流入口から洗浄水を流入し、前記複数のノズルから洗浄水を被洗浄物に向けて噴射して洗浄する第2の洗浄ステップと、
を被洗浄物の1回当たりの洗浄に含み、
前記第1の洗浄ステップでは、前記第1の流入口から最も近い位置にある第1のノズルと、前記第1の流入口と前記第1のノズルとの間の距離よりも遠い位置にある、前記第2の流入口から最も近い位置にある第2のノズルとから洗浄水を噴射し、
前記第2の洗浄ステップでは、前記第2のノズルと、前記第2の流入口と前記第2のノズルとの間の距離よりも遠い位置にある、前記第1のノズルとから洗浄水を噴射することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の洗浄ステップでは、前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して、
前記第2の洗浄ステップでは、前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記第1の洗浄ステップ及び/又は前記第2の洗浄ステップを行う時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
第1の流路と第2の流路とを共用配管内に設けて、
第1の洗浄ステップでは、第1の流入口から流入した洗浄水を前記共用配管内に貯留し、
第2の洗浄ステップの開始から所定の時間は、前記共用配管内に貯留した洗浄水を複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
複数のノズルから噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄水は、
第1の流入口から共用配管へと流入させる洗浄水を第1の洗浄水とし、
第2の流入口から前記共用配管へと流入させる洗浄水を第2の洗浄水として、
第2の洗浄ステップの開始から所定の時間は、第1の洗浄ステップで前記共用配管内に貯留した第1の洗浄水を前記複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする請求項2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
第2の洗浄ステップでは、第1の洗浄ステップで第1の流入口から共用配管内に流入させる第1の洗浄水よりも温度の高い第2の洗浄水を前記共用配管内に流入させ貯留し、
前記第2の洗浄ステップの後に前記第1の洗浄ステップを行うことにより、前記第1の洗浄ステップの開始から所定の時間は、前記第2の洗浄ステップで前記共用配管内に貯留した第1の洗浄水を複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする請求項3に記載の洗浄方法。
【請求項5】
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、
略同径の噴射口を有する前記複数のノズルが取付けられ、洗浄水を前記複数のノズルへと流動させる両端を閉塞した共用配管と、
前記共用配管へと洗浄水を流入させる第1の流入口と、
前記共用配管へと洗浄水を流入させる第2の流入口と、
洗浄水を前記第1の流入口から前記共用配管へと流入させる第1の洗浄水供給手段と、
洗浄水を前記第2の流入口から前記共用配管へと流入させる第2の洗浄水供給手段と、
を備え、
前記第1の流入口と、前記第1の流入口から最も流路長さが短い位置にある第1のノズルとの間の流路長さを、
前記第1の流入口と、前記第2の流入口から最も流路長さが短い位置にある第2のノズルとの間の流路長さよりも短くし、
前記第2の流入口と、前記第2のノズルとの間の流路長さを、
前記第2の流入口と、前記第1のノズルとの間の流路長さよりも短くすることにより、
被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して被洗浄物を洗浄した後に、
前記第2の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄を開始する前に、
前記第1の流入口及び/又は前記第2の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させる時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
第1の流入口に、共用配管から第1の洗浄水供給手段の側への洗浄水の逆流を防止する第1の逆止弁を備えるとともに、
第2の流入口に、前記共用配管から第2の洗浄水供給手段の側への洗浄水の逆流を防止する第2の逆止弁を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
複数のノズルから噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄水は、
第1の流入口から共用配管へと流入させる洗浄水を第1の洗浄水とし、
第2の流入口から前記共用配管へと流入させる洗浄水を第2の洗浄水として、
第1の洗浄水を前記第1の流入口から前記共用配管へと流入させて前記複数のノズルから噴射させた後に、第2の洗浄水を前記第2の流入口から前記共用配管へと流入させた際に、前記共用配管内に貯留された第1の洗浄水を第2の洗浄水とともに前記複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする請求項6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
第2の流入口から共用配管へと流入させる第2の洗浄水は、第1の流入口から前記共用配管内に流入させる第1の洗浄水よりも温度の高い洗浄水とし、
第2の洗浄水を前記第2の流入口から前記共用配管へと流入させて前記複数のノズルから噴射させた後に、第1の洗浄水を前記第1の流入口から前記共用配管へと流入させた際に、前記共用配管内に貯留された第2の洗浄水を第1の洗浄水とともに前記複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする請求項7に記載の洗浄装置。
【請求項9】
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、
前記複数のノズルが取付けられ、洗浄水を前記複数のノズルへと流動させる両端を閉塞した第1の配管及び第2の配管を隣接させて配置するとともに、前記第1の配管に有する複数のノズルと前記第2の配管に有する複数のノズルとを隣接させて設け、
前記第1の配管へと洗浄水を流入させる第1の流入口と、
前記第2の配管へと洗浄水を流入させる第2の流入口と、
洗浄水を前記第1の流入口から前記第1の配管へと流入させる第1の洗浄水供給手段と、
洗浄水を前記第2の流入口から前記第2の配管へと流入させる第2の洗浄水供給手段と、
を備え、
前記第1の流入口と、前記第1の流入口から最も流路長さが短い位置にある前記第1の配管に有する第1のノズルと、の間の流路長さを、
前記第1の流入口と、前記第2の流入口から最も流路長さが短い位置にある前記第2の配管に有する第2のノズルに隣接する前記第1の配管に有するノズルと、の間の流路長さよりも短くし、
前記第2の流入口と、前記第2のノズルとの間の流路長さを、
前記第2の流入口と、前記第1のノズルに隣接する前記第2の配管に有するノズルとの間の流路長さよりも短くすることにより、
被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の流入口から前記第1の配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルに隣接する前記第1の配管に有するノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して被洗浄物を洗浄した後に、
前記第2の流入口から前記第2の配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルに隣接する前記第2の配管に有するノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄を開始する前に、
前記第1の流入口から前記第1の配管及び/又は前記第2の流入口から前記第2の配管へと洗浄水を流入させる時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項10】
第1の流入口に、第1の配管から第1の洗浄水供給手段の側への洗浄水の逆流を防止する第1の逆止弁を備えるとともに、
第2の流入口に、第2の配管から第2の洗浄水供給手段の側への洗浄水の逆流を防止する第2の逆止弁を備える
ことを特徴とする請求項9に記載の洗浄装置。
【請求項11】
第1の洗浄水供給手段から第1の洗浄配管と第1の接続配管を通じて第1の流入口へと接続する系統である第1の洗浄水流動系統と、
第2の洗浄水供給手段から第2の洗浄配管と第2の接続配管を通じて第2の流入口へと接続する系統である第2の洗浄水流動系統と、
を備え、
前記第1の接続配管と前記第2の接続配管の末端を接続部としてまとめ、前記第1の洗浄配管と前記第2の洗浄配管の末端を接続開口としてまとめて、前記接続部と前記接続開口とを着脱自在に構成し、
前記接続部と前記接続開口とを接続することにより、前記第1の接続配管と前記第1の洗浄配管とを連通させ、前記第2の接続配管と前記第2の洗浄配管とを連通させる
ことを特徴とする請求項5~10のいずれか一項に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄物、例えば上方に開口を有する深底の容器であるボトル(瓶、コップ、グラス、フラスコ、ビーカー等)に付着した汚れを、洗浄水を噴射して洗浄する洗浄方法及び洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の被洗浄物を収納したラックを洗浄室内に収納して扉を閉め、洗浄室内の上部と下部から被洗浄物に向けて洗浄水を噴射するバッチ式の食器洗浄装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載されたものは、ラックの底部に洗浄水が流動する配管を設け、その配管から上方へと立ち上げたノズルに合わせて食器(グラス)を収納し、洗浄室内でノズルから洗浄水を噴射して食器を洗浄する洗浄機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のラックを使用した洗浄装置は、洗浄ポンプから送水され、ラックの給水口から給水された洗浄水及び濯ぎ水が、ラックの底部に設けた配管内を流動する際、給水口からの流路の長さ、屈曲、分岐や合流などによる圧力損失により、それぞれの噴射ノズルの単位時間当たりの噴射水量が必ずしも均一にならない。つまり1回の洗浄において、噴射ノズル間で噴射する洗浄水及び濯ぎ水の総水量に差が生じてしまう。その結果、ラックに収納した食器のうち、接触する洗浄水及び濯ぎ水の総水量が少なくなることにより、洗浄度が所望するレベルに達しないものが出るおそれがある。
【0006】
このような場合、複数の噴射ノズルのうち、噴射する洗浄水及び濯ぎ水の総水量が少ない噴射ノズルによる食器の洗浄度を所望するレベルとなるように、1回の洗浄時間を通常よりも長く設定し、噴射される洗浄水及び濯ぎ水の総水量を増やして、所望する総水量に調整することが考えられる。
【0007】
しかし、噴射する洗浄水及び濯ぎ水の総水量が少ない噴射ノズル以外の噴射ノズルでは、必要以上に洗浄水及び濯ぎ水を噴射することになる。その結果、1回の洗浄において、複数の噴射ノズル全体から噴射する洗浄水及び濯ぎ水の総水量が増加することになり、洗浄水及び濯ぎ水を噴射するのに洗浄ポンプ等の機器を稼働させるためのエネルギーが増加してしまうという課題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、1回当たりの洗浄における複数のノズル全体から噴射する洗浄水の総水量を減らし、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる洗浄方法及び洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る洗浄方法は、
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄方法であって、
前記複数のノズルと連通する第1の流路へと、第1の流入口から洗浄水を流入し、前記複数のノズルから洗浄水を被洗浄物に向けて噴射して洗浄する第1の洗浄ステップと、
前記第1の洗浄ステップの後に、前記複数のノズルと連通する第2の流路へと、前記第1の流入口とは異なる位置に設けた第2の流入口から洗浄水を流入し、前記複数のノズルから洗浄水を被洗浄物に向けて噴射して洗浄する第2の洗浄ステップと、
を被洗浄物の1回当たりの洗浄に含み、
前記第1の洗浄ステップでは、前記第1の流入口から最も近い位置にある第1のノズルと、前記第1の流入口と前記第1のノズルとの間の距離よりも遠い位置にある、前記第2の流入口から最も近い位置にある第2のノズルとから洗浄水を噴射し、
前記第2の洗浄ステップでは、前記第2のノズルと、前記第2の流入口と前記第2のノズルとの間の距離よりも遠い位置にある、前記第1のノズルとから洗浄水を噴射することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の洗浄ステップでは、前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して、
前記第2の洗浄ステップでは、前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記第1の洗浄ステップ及び/又は前記第2の洗浄ステップを行う時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る洗浄装置は、
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、
略同径の噴射口を有する前記複数のノズルが取付けられ、洗浄水を前記複数のノズルへと流動させる両端を閉塞した共用配管と、
前記共用配管へと洗浄水を流入させる第1の流入口と、
前記共用配管へと洗浄水を流入させる第2の流入口と、
洗浄水を前記第1の流入口から前記共用配管へと流入させる第1の洗浄水供給手段と、
洗浄水を前記第2の流入口から前記共用配管へと流入させる第2の洗浄水供給手段と、
を備え、
前記第1の流入口と、前記第1の流入口から最も流路長さが短い位置にある第1のノズルとの間の流路長さを、
前記第1の流入口と、前記第2の流入口から最も流路長さが短い位置にある第2のノズルとの間の流路長さよりも短くし、
前記第2の流入口と、前記第2のノズルとの間の流路長さを、
前記第2の流入口と、前記第1のノズルとの間の流路長さよりも短くすることにより、
被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して被洗浄物を洗浄した後に、
前記第2の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄を開始する前に、
前記第1の流入口及び/又は前記第2の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させる時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る洗浄装置は、
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、
前記複数のノズルが取付けられ、洗浄水を前記複数のノズルへと流動させる両端を閉塞した第1の配管及び第2の配管を隣接させて配置するとともに、前記第1の配管に有する複数のノズルと前記第2の配管に有する複数のノズルとを隣接させて設け、
前記第1の配管へと洗浄水を流入させる第1の流入口と、
前記第2の配管へと洗浄水を流入させる第2の流入口と、
洗浄水を前記第1の流入口から前記第1の配管へと流入させる第1の洗浄水供給手段と、
洗浄水を前記第2の流入口から前記第2の配管へと流入させる第2の洗浄水供給手段と、
を備え、
前記第1の流入口と、前記第1の流入口から最も流路長さが短い位置にある前記第1の配管に有する第1のノズルと、の間の流路長さを、
前記第1の流入口と、前記第2の流入口から最も流路長さが短い位置にある前記第2の配管に有する第2のノズルに隣接する前記第1の配管に有するノズルと、の間の流路長さよりも短くし、
前記第2の流入口と、前記第2のノズルとの間の流路長さを、
前記第2の流入口と、前記第1のノズルに隣接する前記第2の配管に有するノズルとの間の流路長さよりも短くすることにより、
被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の流入口から前記第1の配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルに隣接する前記第1の配管に有するノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して被洗浄物を洗浄した後に、
前記第2の流入口から前記第2の配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルに隣接する前記第2の配管に有するノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄を開始する前に、
前記第1の流入口から前記第1の配管及び/又は前記第2の流入口から前記第2の配管へと洗浄水を流入させる時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗浄方法及び洗浄装置によれば、1回当たりの洗浄における複数のノズル全体から噴射する洗浄水の総水量を減らし、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1の洗浄装置の全体的な構成を示す斜視図。
【
図2】上記洗浄装置の全体の構成を示す正面側から見た模式図。
【
図3】上記洗浄装置で洗浄する被洗浄物であるボトルの形状を示す、(a)は正面側斜視図、(b)は正面断面図(ハッチング省略)。
【
図4】上記洗浄装置の内部構造の概略を示す
図1におけるA-A断面図(ハッチング省略)。
【
図5】上部接続開口の構造の概略を示す断面図(ハッチング省略)。
【
図6】
図4における上記洗浄装置の扉部を開いてラックを搬出した状態を示す断面図(ハッチング省略)。
【
図7】上記洗浄装置における第1のタンクに仕切部材を取り付けた状態を示す斜視図。
【
図8】上記洗浄装置における回転ノズルの外観を示す底面図。
【
図9】上記洗浄装置におけるラック及び共用配管の形状を示す概略平面図。
【
図10】上記洗浄装置における、(a)ラックの形状を示す斜視図、(b)は共用配管の形状を示す斜視図。
【
図11】
図9において、第1の流路を第1の洗浄水が流動する状態を示す概略平面図。
【
図12】
図9において、第2の流路を第2の洗浄水が流動する状態を示す概略平面図。
【
図13】上記洗浄装置における共用配管のノズルにスペーサを取り付けた状態を示す部分拡大斜視図。
【
図14】上記洗浄装置における接続部の構成を示す平面図。
【
図16】
図14におけるD-D断面とE―E断面とを組み合わせた概略断面図(ハッチング省略)。
【
図17】上記洗浄装置における洗浄水流動系統を示すブロック図。
【
図18】上記洗浄装置における準備ステップで第2のタンクへの給水状態を示すブロック図。
【
図19】上記洗浄装置における準備ステップで第1のタンクへ貯水する状態を示すブロック図。
【
図20】上記洗浄装置における準備ステップが完了した状態を示すブロック図。
【
図21】上記洗浄装置における第1の洗浄ステップで第1の洗浄水の流動状態を示すブロック図。
【
図22】上記洗浄装置における第2の洗浄ステップで第2の洗浄水の流動状態を示すブロック図。
【
図23】均等化の有無による1回当たりの洗浄で噴射される洗浄水の総水量を比較する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄方法であって、
前記複数のノズルと連通する第1の流路へと、第1の流入口から洗浄水を流入し、前記複数のノズルから洗浄水を被洗浄物に向けて噴射して洗浄する第1の洗浄ステップと、
前記第1の洗浄ステップの後に、前記複数のノズルと連通する第2の流路へと、前記第1の流入口とは異なる位置に設けた第2の流入口から洗浄水を流入し、前記複数のノズルから洗浄水を被洗浄物に向けて噴射して洗浄する第2の洗浄ステップと、
を被洗浄物の1回当たりの洗浄に含み、
前記第1の洗浄ステップでは、前記第1の流入口から最も近い位置にある第1のノズルと、前記第1の流入口と前記第1のノズルとの間の距離よりも遠い位置にある、前記第2の流入口から最も近い位置にある第2のノズルとから洗浄水を噴射し、
前記第2の洗浄ステップでは、前記第2のノズルと、前記第2の流入口と前記第2のノズルとの間の距離よりも遠い位置にある、前記第1のノズルとから洗浄水を噴射することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の洗浄ステップでは、前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して、
前記第2の洗浄ステップでは、前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記第1の洗浄ステップ及び/又は前記第2の洗浄ステップを行う時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする洗浄方法としたものである。
【0015】
これにより、複数のノズルの内、第1のノズルと第2のノズルとから噴射する洗浄水の総水量を、第1の洗浄ステップと、第2の洗浄ステップとで異なるものとして、1回当たりの洗浄で被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を均等化することができる。
【0016】
そして、1回当たりの洗浄で、複数のノズルの内、噴射する洗浄水の総水量が少ないノズルから、所望する総水量の洗浄水が噴射されるよう第1の洗浄ステップ及び/又は第2の洗浄ステップを行う時間の長さを変更する際に、第1のノズルと第2のノズルとから噴射する洗浄水の総水量を均等化させない場合と比較して、当該ノズルから噴射する洗浄水の総水量を所望する総水量としても、第1の洗浄ステップ及び/又は第2の洗浄ステップを行う時間の長さを短くすることができる。
【0017】
その結果、複数のノズル全体から噴射する洗浄水の総水量を減らし、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0018】
第2の発明では、第1の発明において、
第1の流路と第2の流路とを共用配管内に設けて、
第1の洗浄ステップでは、第1の流入口から流入した洗浄水を前記共用配管内に貯留し、
第2の洗浄ステップの開始から所定の時間は、前記共用配管内に貯留した洗浄水を複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする洗浄方法としたものである。
【0019】
これにより、第2の洗浄ステップでは、第1の洗浄ステップで共用配管内に貯留した洗浄水の分だけ、第2の流入口から流入させる洗浄水の水量を減らしつつ、第2の洗浄ステップを素早く開始することができる。
【0020】
そして、1回当たりの被洗浄物の洗浄時間を可能な限り短くすることができ、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0021】
また、第2の洗浄ステップの間でより長く洗浄水を噴射することができ、第2の洗浄ステップで洗浄する被洗浄物の洗浄性を向上させることができる。
【0022】
第3の発明では、第2の発明において、
複数のノズルから噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄水は、
第1の流入口から共用配管へと流入させる洗浄水を第1の洗浄水とし、
第2の流入口から前記共用配管へと流入させる洗浄水を第2の洗浄水として、
第2の洗浄ステップの開始から所定の時間は、第1の洗浄ステップで前記共用配管内に貯留した第1の洗浄水を前記複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする洗浄方法としたものである。
【0023】
これにより、第2の洗浄ステップの開始から所定の時間は、第1のノズルと第2のノズルとから噴射する洗浄水の総水量が第1の洗浄ステップとは異なるものとして、共用配管内に貯留した第1の洗浄水を噴射することで、被洗浄物の1回当たりの洗浄で、第1のノズルと第2のノズルとから噴射する第1の洗浄水の総水量を均等化し、第1の洗浄水による洗浄度を複数の被洗浄物間で均等化することができる。
【0024】
第4の発明では、第3の発明において、
第2の洗浄ステップでは、第1の洗浄ステップで第1の流入口から共用配管内に流入させる第1の洗浄水よりも温度の高い第2の洗浄水を前記共用配管内に流入させ貯留し、
前記第2の洗浄ステップの後に前記第1の洗浄ステップを行うことにより、前記第1の洗浄ステップの開始から所定の時間は、前記第2の洗浄ステップで前記共用配管内に貯留した第1の洗浄水を複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする洗浄方法としたものである。
【0025】
これにより、第1の洗浄水よりも高い温度の第2の洗浄水によって、予め被洗浄物及び被洗浄物に付着した汚れ成分に対して熱を与えて汚れ成分の流動性を高め、第1の洗浄水による汚れ成分の除去を促進させて、被洗浄物の洗浄性を向上することができる。
【0026】
また、1回当たりの洗浄時間の長さを可能な限り短くすることができ、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0027】
第5の発明は、
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、
略同径の噴射口を有する前記複数のノズルが取付けられ、洗浄水を前記複数のノズルへと流動させる両端を閉塞した共用配管と、
前記共用配管へと洗浄水を流入させる第1の流入口と、
前記共用配管へと洗浄水を流入させる第2の流入口と、
洗浄水を前記第1の流入口から前記共用配管へと流入させる第1の洗浄水供給手段と、
洗浄水を前記第2の流入口から前記共用配管へと流入させる第2の洗浄水供給手段と、
を備え、
前記第1の流入口と、前記第1の流入口から最も流路長さが短い位置にある第1のノズルとの間の流路長さを、
前記第1の流入口と、前記第2の流入口から最も流路長さが短い位置にある第2のノズルとの間の流路長さよりも短くし、
前記第2の流入口と、前記第2のノズルとの間の流路長さを、
前記第2の流入口と、前記第1のノズルとの間の流路長さよりも短くすることにより、
被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して被洗浄物を洗浄した後に、
前記第2の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄を開始する前に、
前記第1の流入口及び/又は前記第2の流入口から前記共用配管へと洗浄水を流入させる時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0028】
これにより、共用配管に取付けた複数のノズルの内、第1のノズルと第2のノズルとから噴射する洗浄水の総水量を、共用配管へと第1の流入口から洗浄水を流入させたときと、第2の流入口から洗浄水を流入させたときとで異なるものとして、1回当たりの洗浄で被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を均等化することができる。
【0029】
そして、1回当たりの洗浄で、複数のノズルの内、噴射する洗浄水の総水量が少ないノズルから、所望する総水量の洗浄水が噴射されるよう第1の流入口及び/又は第2の流入口から洗浄水を流入させる時間の長さを変更する際に、第1のノズルと第2のノズルとから噴射する洗浄水の総水量を均等化させない場合と比較して、当該ノズルから噴射する洗浄水の総水量を所望する総水量としても、第1の流入口及び/又は第2の流入口から洗浄水を流入させる時間の長さを短くすることができる。
【0030】
その結果、複数のノズル全体から噴射する洗浄水の総水量を減らし、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0031】
第6の発明では、第5の発明において、
第1の流入口に、共用配管から第1の洗浄水供給手段の側への洗浄水の逆流を防止する第1の逆止弁を備えるとともに、
第2の流入口に、前記共用配管から第2の洗浄水供給手段の側への洗浄水の逆流を防止する第2の逆止弁を備える
ことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0032】
これにより、共用配管内に洗浄水を貯留することができ、貯留した後に、第1の流入口又は第2の流入口から共用配管内へと洗浄水を流入させる際に、共用配管内に貯留した洗浄水の分だけ、第1の流入口又は第2の流入口から流入させる洗浄水の水量を減らしつつ、複数のノズルから素早く洗浄水を噴射することができる。
【0033】
そして、1回当たりの被洗浄物の洗浄時間を可能な限り短くすることができ、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0034】
また、所定の時間、第1の流入口又は第2の流入口から共用配管へと洗浄水を流入させる際に、共用配管内に洗浄水を貯留しない場合と比較して、より長く洗浄水を噴射し、被洗浄物の洗浄性を向上させることができる。
【0035】
第7の発明では、第6の発明において、
複数のノズルから噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄水は、
第1の流入口から共用配管へと流入させる洗浄水を第1の洗浄水とし、
第2の流入口から前記共用配管へと流入させる洗浄水を第2の洗浄水として、
第1の洗浄水を前記第1の流入口から前記共用配管へと流入させて前記複数のノズルから噴射させた後に、第2の洗浄水を前記第2の流入口から前記共用配管へと流入させた際に、前記共用配管内に貯留された第1の洗浄水を第2の洗浄水とともに前記複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0036】
これにより、第2の流入口から第2の洗浄水を流入させて複数のノズルから洗浄水を噴射する際、第1のノズルと第2のノズルとから噴射する洗浄水の総水量が、第1の流入口から第1の洗浄水を流入させて複数のノズルから噴射したときとは異なるものとして、共用配管内に貯留した第1の洗浄水を噴射することで、被洗浄物の1回当たりの洗浄で、第1のノズルと第2のノズルとから噴射する第1の洗浄水の総水量を均等化し、第1の洗浄水による洗浄度を複数の被洗浄物間で均等化することができる。
【0037】
第8の発明では、第7の発明において、
第2の流入口から共用配管へと流入させる第2の洗浄水は、第1の流入口から前記共用配管内に流入させる第1の洗浄水よりも温度の高い洗浄水とし、
第2の洗浄水を前記第2の流入口から前記共用配管へと流入させて前記複数のノズルから噴射させた後に、第1の洗浄水を前記第1の流入口から前記共用配管へと流入させた際に、前記共用配管内に貯留された第2の洗浄水を第1の洗浄水とともに前記複数のノズルから噴射する
ことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0038】
これにより、第1の洗浄水よりも高い温度の第2の洗浄水によって、予め被洗浄物及び被洗浄物に付着した汚れ成分に対して熱を与えて汚れ成分の流動性を高め、第1の洗浄水による汚れ成分の除去を促進させて、被洗浄物の洗浄性を向上することができる。
【0039】
また、1回当たりの洗浄時間の長さを可能な限り短くすることができ、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0040】
第9の発明は、
ハウジングの内部に設けた洗浄室内で、複数のノズルから洗浄水を噴射して被洗浄物を洗浄する洗浄装置において、
前記複数のノズルが取付けられ、洗浄水を前記複数のノズルへと流動させる両端を閉塞した第1の配管及び第2の配管を隣接させて配置するとともに、前記第1の配管に有する複数のノズルと前記第2の配管に有する複数のノズルとを隣接させて設け、
前記第1の配管へと洗浄水を流入させる第1の流入口と、
前記第2の配管へと洗浄水を流入させる第2の流入口と、
洗浄水を前記第1の流入口から前記第1の配管へと流入させる第1の洗浄水供給手段と、
洗浄水を前記第2の流入口から前記第2の配管へと流入させる第2の洗浄水供給手段と、
を備え、
前記第1の流入口と、前記第1の流入口から最も流路長さが短い位置にある前記第1の配管に有する第1のノズルと、の間の流路長さを、
前記第1の流入口と、前記第2の流入口から最も流路長さが短い位置にある前記第2の配管に有する第2のノズルに隣接する前記第1の配管に有するノズルと、の間の流路長さよりも短くし、
前記第2の流入口と、前記第2のノズルとの間の流路長さを、
前記第2の流入口と、前記第1のノズルに隣接する前記第2の配管に有するノズルとの間の流路長さよりも短くすることにより、
被洗浄物の1回当たりの洗浄で、
前記第1の流入口から前記第1の配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルに隣接する前記第1の配管に有するノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも少なくなるよう噴射して被洗浄物を洗浄した後に、
前記第2の流入口から前記第2の配管へと洗浄水を流入させ、
前記複数のノズルの内、前記第1のノズルに隣接する前記第2の配管に有するノズルから噴射する洗浄水の総水量が、前記第2のノズルから噴射する洗浄水の総水量よりも多くなるよう噴射して、被洗浄物を洗浄し、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄を開始する前に、
前記第1の流入口から前記第1の配管及び/又は前記第2の流入口から前記第2の配管へと洗浄水を流入させる時間の長さを変更することにより、
前記被洗浄物の1回当たりの洗浄で、被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を調整する
ことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0041】
これにより、第1の配管及び第2の配管に取付けた複数のノズルの内、第1のノズル及び第1のノズルに隣接する第2の配管に有するノズルと、第2のノズル及び第2のノズルに隣接する第1の配管に有するノズルと、から噴射する洗浄水の総水量を、第1の配管へと第1の流入口から洗浄水を流入させたときと、第2の配管へと第2の流入口から洗浄水を流入させたときとで異なるものとして、1回当たりの洗浄で被洗浄物に噴射する洗浄水の総水量を均等化することができる。
【0042】
そして、1回当たりの洗浄で、複数のノズルの内、噴射する洗浄水の総水量が少ないノズルから、所望する総水量の洗浄水が噴射されるよう第1の流入口から前記第1の配管及び/又は第2の流入口から第2の配管へと洗浄水を流入させる時間の長さを変更する際に、第1のノズル及び第1のノズルに隣接する第2の配管に有するノズルと、第2のノズル及び第2のノズルに隣接する第1の配管に有するノズルと、から噴射する洗浄水の総水量を均等化させない場合と比較して、当該ノズルから噴射する洗浄水の総水量を所望する総水量としても、第1の流入口から前記第1の配管及び/又は第2の流入口から第2の配管へと洗浄水を流入させる時間の長さを短くすることができる。
【0043】
その結果、複数のノズル全体から噴射する洗浄水の総水量を減らし、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0044】
第10の発明では、第9の発明において、
第1の流入口に、第1の配管から第1の洗浄水供給手段の側への洗浄水の逆流を防止する第1の逆止弁を備えるとともに、
第2の流入口に、第2の配管から第2の洗浄水供給手段の側への洗浄水の逆流を防止する第2の逆止弁を備える
ことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0045】
これにより、第1の配管及び第2の配管に洗浄水を貯留することができ、貯留した後に、第1の流入口から第1の配管内又は第2の流入口から第2の配管内へと洗浄水を流入させる際に、それぞれの配管内に貯留した洗浄水の分だけ、第1の流入口又は第2の流入口から流入させる洗浄水の水量を減らしつつ、複数のノズルから素早く洗浄水を噴射することができる。
【0046】
そして、1回当たりの被洗浄物の洗浄時間を可能な限り短くすることができ、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0047】
また、所定の時間、第1の流入口又は第2の流入口からそれぞれの配管へと洗浄水を流入させる際に、それぞれの配管内に洗浄水を貯留しない場合と比較して、より長く洗浄水を噴射し、被洗浄物の洗浄性を向上させることができる。
【0048】
第11の発明では、第5~10の発明において、
第1の洗浄水供給手段から第1の洗浄配管と第1の接続配管を通じて第1の流入口へと接続する系統である第1の洗浄水流動系統と、
第2の洗浄水供給手段から第2の洗浄配管と第2の接続配管を通じて第2の流入口へと接続する系統である第2の洗浄水流動系統と、
を備え、
前記第1の接続配管と前記第2の接続配管の末端を接続部としてまとめ、前記第1の洗浄配管と前記第2の洗浄配管の末端を接続開口としてまとめて、前記接続部と前記接続開口とを着脱自在に構成し、
前記接続部と前記接続開口とを接続することにより、前記第1の接続配管と前記第1の洗浄配管とを連通させ、前記第2の接続配管と前記第2の洗浄配管とを連通させる
ことを特徴とする洗浄装置としたものである。
【0049】
これにより、形状の異なる被洗浄物を洗浄するにあたり、被洗浄物の形状に応じたノズルへの付け替え作業を容易とし、異なる被洗浄物の形状に適した洗浄を行い洗浄力を向上させることができる。
【0050】
(実施形態1)
(洗浄装置の概要)
本発明の一実施形態である洗浄装置1について、基本的な構成を説明する。
【0051】
図1及び
図2に示すように、洗浄装置1は、略直方体形状の筐体で、筐体内部は水平方向に設けられた仕切部材38によって上下に仕切られ、仕切部材38の上側となる上部外郭体2と、下側となる下部外郭体3で構成される。
【0052】
上部外郭体2には、
筐体の壁面であるハウジングに囲まれた洗浄室30と、
洗浄室30の正面側に、開くことにより洗浄装置1の外部と洗浄室30とが連通し、閉じることにより洗浄室30を略密閉した状態とすることができる開閉可能な扉部4と、
被洗浄物であるボトルGを収納するラック50と、
洗浄室30内で、ラック50を下方から支持するラック支持部31と、
洗浄水を洗浄室30内のノズルへと流動させる上部接続開口(接続開口)32から、流入した洗浄水をボトルGの上方から噴射する回転ノズル(ノズル)40と、
洗浄水を洗浄室30内のノズルへと流動させる下部接続開口(接続開口)35から、ラック50に固定された共用配管51に接続部60を介して流入した洗浄水をボトルGの下方から噴射するノズル52と、
筐体の正面側の壁面上部に洗浄装置1の運転を操作する操作部7と、
を備える。
【0053】
下部外郭体3には、
第1の洗浄水(洗浄水)W1を貯水する第1のタンク(タンク)10と、
第1のタンク10に貯水された第1の洗浄水W1を吸い込んで吐出する第1の洗浄水供給手段(洗浄水供給手段)13と、
第2の洗浄水(洗浄水)W2を貯水する第2のタンク(タンク)20と、
第2のタンク20に貯水された第2の洗浄水W2を吸い込んで吐出する第2の洗浄水供給手段(洗浄水供給手段)23と、
洗浄装置1に備える各部材に信号を送り駆動させ、また各種センサ、操作部7等から信号を受けて各部材の運転を制御する制御部6と、
洗浄装置1の内部で上方が解放され洗浄室30と連通している第1のタンク10の上面を覆うことで、洗浄室30と第1のタンク10との空間を仕切るよう構成された仕切部材38と、
を備える。
【0054】
(被洗浄物)
図3に示すように、実施形態1の洗浄装置1にて洗浄する被洗浄物であるボトル(被洗浄物)Gは、上方に開口G1を有する深底の容器(瓶、コップ、グラス、フラスコ、ビーカー等)であり、本実施形態ではこれら容器の内、容器の最大径部となる胴体部G2と、胴体部G2から開口G1に向かって順次縮径した肩部G3と、肩部G3から開口G1までを接続する首部G4と、を有する「瓶形状のボトル」を例に説明する。なお、被洗浄物の形状は一例であり、これに限定されない。
【0055】
被洗浄物であるボトルGは、例えばガラスやプラスチックで形成されたボトルであり、内部には飲料や調味料など(内容物)が入れられる。使用後に空になった容器には、飲料に含まれる糖質類の汚れ成分、調味料に含まれる油脂類の汚れ成分や細かく刻まれた果肉や野菜等の固形物である残菜が残留又は付着している。このようなボトルGは、使用後、洗浄して再び内容物を入れて繰り返し使用される。
【0056】
(洗浄水について)
本実施形態の説明において、第1の洗浄水W1、第2の洗浄水W2を、単に「洗浄水」と称することがある。
【0057】
また、第1の洗浄水W1は洗剤を含む洗浄水、第2の洗浄水W2は洗剤を含まない洗浄水(清水)として説明する。これら洗浄水の洗剤の有無は、被洗浄物の汚れの程度に合わせて選択することが可能で、第1の洗浄水W1及び第2の洗浄水W2がともに清水、もしくはともに洗剤入りとしてもよい。また、洗浄したい被洗浄物の種類や汚れ成分の種類によって、洗浄水に含む洗剤の種類を適宜選択することができるものとする。
【0058】
(洗浄装置の構成)
次に、洗浄装置1の各構成について、
図1~
図17を参照して、具体的に説明する。
【0059】
(洗浄室)
図2、
図4及び
図6に示すように、洗浄室30は、板金等により形成されたハウジングである左側面側、右側面側、背面側、天面側の壁面と、底面側の仕切部材38と、正面側に設けた扉部4とによって囲われた空間である。洗浄室30内に被洗浄物であるボトルGを収容し、ボトルGに洗浄水を噴射して洗浄を行う。
【0060】
洗浄室30には、
洗浄室30の正面側に、開くことにより洗浄装置1の外部と洗浄室30とが連通し、閉じることにより洗浄室30を略密閉した状態とすることができる開閉可能な扉部4と、
被洗浄物であるボトルGを収納するラック50と、
洗浄室30内で、ラック50を下方から支持するラック支持部31と、
洗浄水を洗浄室30内のノズルへと流動させる上部接続開口32から、流入した洗浄水をボトルGの上方から噴射する回転ノズル40と、
洗浄水を洗浄室30内のノズルへと流動させる下部接続開口35から、ラック50に固定された共用配管51に接続部60を介して流入した洗浄水をボトルGの下方から噴射するノズル52と、
を備える。
【0061】
扉部4は、洗浄室30内へのボトルGの搬入や搬出、及び洗浄室30内の清掃時やメンテナンス時に、洗浄室30内へとアクセスできるように洗浄装置1の正面側に設けられた開口を開閉可能に構成されている。
【0062】
ラック50は、複数のボトルGを収納可能であり、洗浄室30の正面側の扉部4を開いた状態で、洗浄室30内と洗浄装置1の外部とで、出し入れ自在に構成されている。これにより、一度に複数のボトルGを、洗浄室30内に搬入、又は洗浄室30内から搬出することができる。
【0063】
洗浄室30内の左右側面の壁面の内側には、洗浄室30内に搬入されたラック50を下方から支持する一対のラック支持部31が設けられており、洗浄室30内へと搬入されたラック50を、洗浄室30内の所定の高さ位置で支持する。
【0064】
洗浄室30の上部と下部とには、洗浄水供給手段13,23より吐出される洗浄水を、洗浄室30内へと流動させる上部接続開口32と、下部接続開口35とが設けられている。
【0065】
上部接続開口32には、上部接続開口32から流入した洗浄水を、洗浄室30の上部から下方に向けて噴射する回転ノズル40が取り付けられている。
【0066】
下部接続開口35には、ラック50に固定された共用配管51へと洗浄水を流動させる接続部60が取り付けられており、下部接続開口35から接続部60を介して共用配管51とへ流入した洗浄水は、
共用配管51に取付けられた複数のノズル52から上方に向けて噴射される。
【0067】
ラック50に収納されたボトルGは、洗浄室30内で、上方から回転ノズル40により洗浄水が噴射されるとともに、下方から共用配管51のノズル52により洗浄水が噴射されることにより外側と内側とが洗浄される。
【0068】
(扉部)
図1、
図4及び
図6に示すように、扉部4は、
扉部4の正面上部に取り付けられ、把持して操作することで扉部4を開閉させる取手4aと、
扉部4の内面に取り付けられ、洗浄室30から搬出したラック50を下方から支持するラック待機部5と、
扉部4が閉じられていることを検知する扉センサ(センサ)4bと、
を備える。
【0069】
扉部4は、略鉛直方向となる閉じられた状態から、取手4aを把持して手前側に引くことで、完全に開いた状態となる略水平方向となるまで回動可能に構成されている。完全に開いた状態の扉部4の内面側(上面側)のラック待機部5に、洗浄室30より搬出したラック50を載置することができる。そして、ラック50内に収納する洗浄前後の被洗浄物を入れ替える際の載置台となる。(
図6参照)このように、扉部4は、洗浄室30の密閉に加え、洗浄室30より搬出したラック50の載置台としても機能する。
【0070】
ラック待機部5は、板金等により形成された水平面を有する長尺な部材であり、扉部4を完全に開いたとき、後述する洗浄室30内のラック支持部31と略同じ高さ位置となるように、左右対向して一対設けられている。ラック待機部5は、洗浄室30からラック50を引き出して搬出する際、洗浄室30内のラック支持部31からラック待機部5へと容易にラック50を乗り継ぎできるよう構成している。そして、ラック50をラック待機部5に載置した状態である「ラック待機位置」で、洗浄前後のボトルGを入れ替えることができる。
【0071】
洗浄装置1の左側面と右側面の側壁の内部には、扉部4が閉じられたときに扉部4の開閉動作を支持するステー4cが接する箇所に、例えばリミットスイッチである扉センサ4bを備える。扉センサ4bは、制御部6と電気的に接続され、扉部4が閉じられた状態であることを検知して制御部6に信号を送るよう構成されている。なお、扉センサ4bは、扉部4が閉じられた状態であることを検知可能であればリミットスイッチに限定されず、近接スイッチ等で構成してもよく、左側面と右側面のいずれか一方のみに設けるよう構成してもよい。
【0072】
(ラック)
図2、
図9及び
図10に示すように、ラック50は、例えば、樹脂等により上面視略矩形状に形成されており、内側が格子状に仕切られて、複数の収納空間50aを形成している。それぞれの収納空間50a内にボトルGを収納することにより、複数のボトルGを水平方向に所定の間隔で配置することができる。そして、一度に複数のボトルGを洗浄室30内へ搬入して洗浄し、また洗浄室30内から搬出することができる。
【0073】
ラック50の底部には、水平方向に配置された2種類の洗浄水を流動させ、流動させた洗浄水を噴射するノズル52を有する共用配管51を備える。共用配管51には洗浄水を上方へと噴射する噴射口52aを有する所定の長さの複数のノズル52が、それぞれの収納空間50a内に配置されるよう上方に向けて設けられている。そして、ボトルGの開口G1を下向きとした倒立姿勢で、ノズル52を開口G1からボトルG内部に挿入するようにして、ラック50の収納空間50aにボトルGを収納する。
【0074】
なお、ノズル52の長さと内径及び噴射口52aの口径は、複数のノズル52において、略同じもので構成している。
【0075】
ラック50の両側面の下端部には、ラック50の両側面に沿って樹脂等により形成された摺動部材50bが設けられている。ラック50を洗浄室30内に搬入した際は、摺動部材50bを介してラック支持部31によりラック50が下方から支持される。これにより、ボトルGを収納して重量が増したラック50を、洗浄室30内へと搬入、洗浄室30内から搬出する際の摺動抵抗を軽減することができる。
【0076】
(ラック支持部)
図2及び
図4に示すように、ラック支持部31は、板金等により形成された水平面を有する長尺な部材であり、洗浄室30内の左右側面の壁面の内側の所定の高さ位置に、対向して一対設けられている。
【0077】
ラック支持部31は、ラック50の両側面の下端部に設けられた樹脂等により形成された摺動部材50bを介してラック50を下方から支持する。これにより、洗浄室30内の所定の高さ位置にラック50を支持するとともに、ラック50の搬入及び搬出の際、ラック支持部31上を滑らかに摺動させることができる。そして、ボトルGを収納して重量が増したラック50の洗浄室30との搬入、搬出を円滑に行うことができる。
【0078】
なお、ラック支持部31は、ラック50を摺動可能とすることができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、板金ではなく樹脂板やローラ等により構成されてもよい。
【0079】
(接続開口)
図2に示すように、接続開口32,35は、第1の洗浄配管14及び第2の洗浄配管24によって、第1の洗浄水供給手段13及び第2の洗浄水供給手段23と接続されており、第2の洗浄配管24の流動路の末端となる小径管34,37の外側に、第1の洗浄配管14の流動路の末端となる大径管33,36を組み合わせた二重管で構成される。つまり、接続開口32,35は、第1の洗浄配管14及び第2の洗浄配管24の流動路の末端をまとめた部材である。洗浄室30には、2つの接続開口を備えており、洗浄室30の水平方向の略中央の上部に上部接続開口32が、また洗浄室30の水平方向の略中央の下部に下部接続開口35が、上下方向に対向するように設けられている。以下、接続開口32,35の具体的な構成について、下部接続開口35を例に説明する。
【0080】
図16に示すように、下部接続開口35は、二重管の内、大径管36の内面と小径管37の外面の間の管路が、第1の洗浄配管14から第1の洗浄水W1が流動可能な第1の流動路(流動路)36aを構成し、小径管37の管路が、第2の洗浄配管24から第2の洗浄水W2が流動可能な第2の流動路(流動路)37aを構成する。
【0081】
小径管37の端面は、大径管36の端面よりも突出しており、先端部にネジ部37bが形成されている。小径管37の突出部分に後述する接続部60を複数の軸受け部(符号なし)を介して差し込んで、ネジ部37bにキャップ35aを取り付けることで、下部接続開口35に対して回動自在に、かつ着脱自在に取り付けることができる。
【0082】
小径管37の先端側には、壁面に孔37cが開けられており、小径管37の先端部のネジ部37bにキャップ35aを取り付けることで先端が閉塞されるが、壁面の孔37cから第2の流動路37aを流動する第2の洗浄水W2が流出可能に構成されている。
【0083】
大径管36は、先端部に開口が有り、先端部の開口から第1の流動路36aを流動する第1の洗浄水W1が流出可能に構成されている。
【0084】
上部接続開口32は、下部接続開口35を上下逆とした構成であり、具体的な説明は省略する。
【0085】
詳細は後述するが、上部接続開口32には、回転ノズル40のジョイント部42,44が取り付けられ、下部接続開口35には、ラック50の共用配管51と接続された接続部60のジョイント部61,63が取り付けられる。
【0086】
(回転ノズル)
図4、
図5及び
図8に示すように、回転ノズル40は、第1の洗浄ノズル(回転ノズル)41と第2の洗浄ノズル(回転ノズル)43とで構成される。
【0087】
第1の洗浄ノズル41は、長尺な中空状に形成され上下方向に扁平したノズルであり、内部には第1の洗浄水W1を流動させる流動路を有する。下方側となる面には、下方に向けて洗浄水を噴射する複数の噴射口41aが設けられている。
【0088】
第1の洗浄ノズル41の長手方向の略中央には、上部接続開口32の小径管34と回転自在に接続する第1のジョイント部(ジョイント部)42を備える。第1のジョイント部42の内部には、第1の洗浄ノズル41の内部と連通する流動路を有し、回転ノズル40を上部接続開口32へと取り付けることで、第1のジョイント部42が上部接続開口32の大径管33の端面の開口を覆うように配置され、上部接続開口32の第1の流動路(流動路)33aと、第1の洗浄ノズル41内の流動路とが第1のジョイント部42を介して連通する。
【0089】
第2の洗浄ノズル43は、両端が閉じられた長尺な丸パイプ状のノズルであり、内部には第2の洗浄水W2を流動させる流動路を有する。下方側となる面の頂点部には、複数の噴射口43aが設けられている。
【0090】
第2の洗浄ノズル43の長手方向の略中央には、上部接続開口32の小径管34の突出部と回転自在に接続する第2のジョイント部(ジョイント部)44を備える。第2のジョイント部44の内部には、第2の洗浄ノズル43の内部と連通する流動路を有し、回転ノズル40を上部接続開口32へと取り付けることで、第2のジョイント部44が小径管34の先端側の壁面の孔37cを覆うように配置され、上部接続開口32の第2の流動路(流動路)34aと、第2の洗浄ノズル43内の流動路とが第2のジョイント部44を介して連通する。
【0091】
第1の洗浄ノズル41と第2の洗浄ノズル43とは、略中央を中心として回転方向に所定の角度、例えば25度~26度をもって、一体にボルト等により結合されている。第1のジョイント部42及び第2のジョイント部44は、上部接続開口32の小径管34と回動自在となるよう複数の軸受け部(図示なし)を有する。回転ノズル40を上部接続開口32の小径管34に差し込んでキャップ32aを取り付けることで、上部接続開口32に対して回転自在に取り付けることができる。
【0092】
そして、回転ノズル40が上部接続開口32に取り付けられると、上部接続開口32の第1の流動路33aと第1のジョイント部42の流動路とが連通し、第1の洗浄水W1を第1の洗浄ノズル41へと流動可能な状態となる。同様に、上部接続開口32の第2の流動路34aと第2のジョイント部44の流動路とが連通し、第2の洗浄水W2を第2の洗浄ノズル43へと流動可能な状態となる。このように、第1の洗浄水W1、第2の洗浄水W2をそれぞれ別の流動路で回転ノズル40へと流動可能とすることができる。
【0093】
第1の洗浄ノズル41及び第2の洗浄ノズル43のそれぞれの両端部には、回転用の噴射口(図示なし)が設けられており、回転用の噴射口から噴射される洗浄水の噴射圧力により回転ノズル41,43を回転させるよう構成されている。これにより、第1の洗浄水W1及び第2の洗浄水W2を、ラック50に収納した複数のボトルGに万遍なく噴射することができる。
【0094】
(共用配管)
図9及び
図10に示すように、共用配管51は、略水平方向にその管路が屈曲、分岐しながら上面視櫛歯状に形成され、共用配管51から上方に向かって延出するよう設けられた複数のノズル52が各収納空間50a内の上面視略中央に配置されるようラック50の底部に固定されており、一方端側から他方端側にかけて連続した1つの管路を形成する。
【0095】
共用配管51の一方端側には、第1の洗浄水W1を流入させる第1の流入口(流入口)53が設けられている。第1の流入口53には、後述する接続部60と接続された第1の接続配管(接続配管)62が第1の逆止弁(逆止弁)53aを介して接続される。第1の逆止弁53aは、共用配管51内の洗浄水が共用配管51から第1の接続配管62へと逆流しないように取り付けられる。
【0096】
共用配管51の他方端側には、第2の洗浄水W2を流入させる第2の流入口(流入口)55が設けられている。第2の流入口55には、接続部60と接続された第2の接続配管(接続配管)64が第2の逆止弁(逆止弁)55aを介して接続される。第2の逆止弁55aは、共用配管51内の洗浄水が共用配管51から第2の接続配管64へと逆流しないように取り付けられる。このように共用配管51を構成することで、次のような流路が形成される。
【0097】
図11に示すように、第1の洗浄水W1が第1の流入口53から流入する際は、第2の逆止弁55aが閉じた状態であるため、共用配管51は管路末端が閉塞された連続した1つの流路である第1の流路(流路)54を形成する。
【0098】
逆に、
図12に示すように、第2の洗浄水W2が第2の流入口55から流入する際は、第1の逆止弁53aが閉じた状態であるため、共用配管51は管路末端が閉塞された連続した1つの流路である第2の流路(流路)56を形成する。
【0099】
また、いずれの流入口53,55からも洗浄水が共用配管51へと流入しない場合、つまり、いずれの洗浄水供給手段13,23も停止しており、洗浄水供給手段13,23から吐出圧力がかかっていない場合は、第1の逆止弁53a及び第2の逆止弁55aは共に閉じた状態となるため、共用配管51内に最後に流入した洗浄水を貯留することができる。
【0100】
これにより、共用配管51内の洗浄水が流入口53,55から逆流して洗浄水供給手段13,23やタンク10,20内で異なる洗浄水が混ざることを防止するとともに、共用配管51内に洗浄水を貯留することができる。
【0101】
また、共用配管51において、第1の流入口53と第2の流入口55とが設けられる位置が異なることにより、第1の流路54と第2の流路56とでは、流入口53,55から各ノズル52までの管路長さ(流路長さ)が異なることとなる。
【0102】
例えば、ラック50の複数のノズル52の内、第1の流入口53からの流路長さが最も短い位置にあるノズル52(第1の流入口53に最も近い位置にあるノズル52)をX位置の第1のノズル(ノズル)52Xとし、第2の流入口55からの流路長さが最も短い位置にあるノズル52(第2の流入口55から最も近い位置にあるノズル52)をY位置の第2のノズル(ノズル)52Yとした場合で説明する。
【0103】
図11に示すように、第1の流路54においては、第1の流入口53からX位置の第1のノズル52Xまでの流路長さよりも、第1の流入口53からY位置の第2のノズル52Yまでの流路長さは長くなる。つまり、Y位置の第2のノズル52Yは、第1の流入口53を基準として、第1の流入口53から最も近い位置にあるX位置の第1のノズル52Xとの間の距離よりも遠い位置にある。
【0104】
また、
図12に示すように、第2の流路56においては、第2の流入口55からY位置の第2のノズル52Yまでの流路長さよりも、第2の流入口55からX位置の第1のノズル52Xまでの流路長さは長くなる。つまり、X位置の第1のノズル52Xは、第2の流入口55を基準として、第2の流入口55から最も近い位置にあるY位置の第2のノズル52Yとの間の距離よりも遠い位置にある。このように、共用配管51の異なる箇所に流入口53,55を設けることで、流入口53,55を基準とした、それぞれのノズル52までの流路長さは異なるよう構成される。
【0105】
なお、複数のノズル52は、第1の流路54と第2の流路56とで、第1の流入口53と第2の流入口55からの流路長さが同じとなるノズル52が含まれていてもよく、少なくとも2つ以上のノズル52の流路長さが異なるよう構成すればよい。
【0106】
また、第1の流入口53と第2の流入口55との位置は、共用配管51の一方端側、他方端側に限定されず、異なる位置であればよい。しかし、後述するように、例えば、X位置の第1のノズル52XとY位置の第2のノズル52Yとから噴射する洗浄水W1,W2の総水量を比較した際に、第1の流路54と第2の流路56とで、噴射する洗浄水W1,W2の総水量の多寡が略逆となるように、第1の流入口53と第2の流入口55との位置を、互いに可能な限り離れた位置(遠い位置)となる共用配管51の一方端側と他方端側とに、それぞれ設けるのが好ましい。
【0107】
図2及び
図10に示すように、共用配管51には、共用配管51内を流動する洗浄水W1,W2を噴射するノズル52が、上方に向かって複数設けられている。
【0108】
ノズル52は、所定の長さで形成された中空状の配管であり、上端部の上面には噴射口52aを有し、下端部は水平方向に形成された共用配管51の上部に設けた孔に溶接等により取り付けられ、ノズル52の内部と共用配管51の内部とが連通するよう構成されている。これにより、共用配管51内を流動する洗浄水W1,W2は、ノズル52内を上方へと流動し、噴射口52aから上方に向かって噴射可能となる。
【0109】
共用配管51に設けられた複数のノズル52は、ラック50の底部に共用配管51を配置した際に、ラック50の収納空間50aの上面視略中央にそれぞれ配置されるように、共用配管51に取付けられている。
【0110】
なお、ノズル52の長さと内径及び噴射口52aの口径は、複数のノズル52において、略同じもので構成している。
【0111】
図2及び
図13に示すように、共用配管51に設けられたノズル52の付け根近傍(共用配管51とノズル52との接合部近傍)には、樹脂等により円環状に形成されたスペーサ57が着脱自在に設けられており、ボトルGの開口G1を下向きとした倒立姿勢で、ノズル52を開口G1からボトルG内部に挿入するようにして、ラック50の収納空間50aにボトルGを収納した際に、ボトルGの開口G1がスペーサ57の上面に載置される。これにより、例えばガラス等で形成されたボトルGが洗浄水の噴射による振動等により破損することを防止することができる。
【0112】
スペーサ57には、スペーサ57を上下方向に貫通する切り欠き部57aが設けられており、ノズル52からボトルG内部に噴射された洗浄水が、ボトルGの内表面を流下しボトルGの開口G1から切り欠き部57aを通じて流出可能としている。なお、切り欠き部57aは、スペーサ57を上下方向に貫通するものでなくてもよく、ボトルG内の洗浄水を流出させることができるのであれば、例えば上面から側面にかけて切り欠き部57aを有するものでもよい。この切り欠き部57aの面積の大きさで、ボトルGの開口G1から流出する洗浄水の単位時間当たりの量を調整することができる。
【0113】
スペーサ57の形状は円環状に限定されるものではなく、例えば矩形状など、その他の形状のものでもよい。また、切り欠き部57aを含めた形状も上面視C字状に限定されるものではなく、例えば上面視多角形状や花びら状など、その他の形状としてもよい。この場合、ボトルGの開口G1が安定して載置できる状態を維持し、切り欠き部57aの開口の大きさや形状を設定するのが好ましい。
【0114】
また、スペーサ57の厚みを変更することで、ノズル52の噴射口52aの位置に対するボトルGの高さ方向の位置を変更することができる。例えば、複数の形状の異なるボトルGを一緒にラック50へ収納して洗浄するなど、ボトルGの首部G4の高さ位置が異なるボトルGを洗浄する場合、異なる厚みのスペーサ57を用いることで、ノズル52の高さを変更することなく噴射口52aに対するボトルGの肩部G3の高さ位置を所望する位置へと調整することができる。
【0115】
これにより、ボトルG内部に噴射された洗浄水が、切り欠き部57aから流出するまでに一時的に首部G4付近に滞留する際に、滞留した洗浄水に噴射口52aが水没してしまい、噴射口52aから噴射される洗浄水が、ボトルG内部の所望の位置に噴射されなくなることを防止することができる。
【0116】
また、例えば、ボトルG内部の底面など、汚れが堆積しやすい箇所に向けて洗浄水を集中して噴射したい場合、噴射口52aの位置をボトルGの底面に近づけて洗浄水がボトルGの底面によく接触するよう、スペーサ57の厚みを変更して噴射口52aに対するボトルGの高さ方向の位置を調整してもよい。これにより、ボトルGの形状や汚れが堆積している箇所に合わせて最適な洗浄を行うことができる。
【0117】
なお、共用配管51の管路形状(配管レイアウト)は一例であり、複数のノズル52が各収納空間50a内に配置できるのであれば、どのような管路形状にしてもよい。例えば、共用配管の管路形状は、端部を有さない上面視略矩形状のループ管とすることもできる。この場合も、第1の流入口53と第2の流入口55との位置は、ループ管の異なる位置にそれぞれ設けられていればよく、互いに可能な限り離れた位置となるように、例えば上面視で対角位置もしくは対辺位置に設けるのが好ましい。
【0118】
(接続部)
図2、
図14、
図15及び
図16に示すように、接続部60は、下部接続開口35と回動自在に、かつ着脱自在に接続され、下部接続開口35からラック50の共用配管51へと洗浄水を流動させる流動路を構成する。
【0119】
接続部60は、
第1の逆止弁53aを介して共用配管51の第1の流入口53と接続され、第1の洗浄水W1を流動させる第1の接続配管62と、
第2の逆止弁55aを介して共用配管51の第2の流入口55と接続され、第2の洗浄水W2を流動させる第2の接続配管64と、
下部接続開口35の第1の流動路36aから第1の接続配管62へと第1の洗浄水W1を流動させる第1のジョイント部(ジョイント部)61と、
下部接続開口35の第2の流動路37aから第2の接続配管64へと第2の洗浄水W2を流動させる第2のジョイント部(ジョイント部)63と、
を備える。
【0120】
なお、
図16は、図面の見やすさを考慮して、
図14のD-D断面とE-E断面とを組み合わせた状態で記載している。
【0121】
第1の接続配管62及び第2の接続配管64は、変形自在な素材で形成された例えばゴムホース等であり、洗浄室30からのラック50を出し入れする際、ラック50の動きに合わせて追従するように変形可能に構成される。
【0122】
第1のジョイント部61の内部には、第1の流動路36aと第1の接続配管62とを連通する流動路を有し、接続部60を下部接続開口35へと取り付けることで、第1のジョイント部61が下部接続開口35の大径管36の端面の開口を覆うように配置され、下部接続開口35の第1の流動路36aと、第1の接続配管62とが第1のジョイント部61を介して連通する。
【0123】
第2のジョイント部63の内部には、第2の流動路37aと第2の接続配管64とを連通する流動路を有し、接続部60を下部接続開口35へと取り付けることで、第2のジョイント部63が小径管37の先端側の壁面の孔37cを覆うように配置され、下部接続開口35の第2の流動路37aと、第2の接続配管64とが第2のジョイント部63を介して連通する。
【0124】
第1のジョイント部61と第2のジョイント部63とは、ボルト等により上下方向に一体に結合されており、下部接続開口35の小径管37と回動自在となるよう軸受け部(符号なし)を有する。接続部60は、下部接続開口35の小径管37に差し込んでキャップ35aを取り付けることで、下部接続開口35に対して回動自在に取り付けることができる。このように、接続部60は、下部接続開口35からラック50の共用配管51へと、洗浄水W1,W2を流動させる接続配管62,64の末端をまとめた部材であり、下部接続開口35から流動する洗浄水W1,W2を共用配管51へと受け渡すよう作用する。
【0125】
そして、接続部60が下部接続開口35に取り付けられると、下部接続開口35の第1の流動路36aと第1のジョイント部61の流動路とが連通し、第1の洗浄水W1を第1の接続配管62へと流動可能な状態となる。そして、第1の接続配管62から第1の流入口53へと第1の洗浄水W1を流動させることができる。同様に、下部接続開口35の第2の流動路37aと第2のジョイント部63の流動路とが連通し、第2の洗浄水W2を第2の接続配管64へと流動可能な状態となる。そして、第2の接続配管64から第2の流入口55へと第2の洗浄水W2を流動させることができる。このように、第1の洗浄水W1、第2の洗浄水W2をそれぞれ別の流動路でラック50の共用配管51へと流動可能とすることができる。
【0126】
接続部60を下部接続開口35に取り付けることで、洗浄水の漏れを抑制しつつ、洗浄室30からラック50を搬入又は搬出する際、ラック50の動きに合わせて接続部60が回動するとともに接続配管62,64が追従するように変形して、ラック50の出し入れをより円滑に行うことができる。(
図4及び
図6参照)
【0127】
また、接続部60を下部接続開口35と着脱自在に接続されるよう構成していることで、例えば、異なる形状(高さ等)のボトルGを洗浄する場合、ボトルGの形状に合わせた収容空間50a、ノズル52(例えば高さが異なるノズル)を設けたラック50へ取り換える際に、下部接続開口35のキャップ35aを取り外すだけで、接続部60、接続配管62,64、共用配管51、ラック50の一式を、1度に取り外すことができる。
【0128】
これにより、形状の異なるボトルGを洗浄するにあたり、ボトルGの形状に応じたラック50、ノズル52への付け替え作業を容易とし、異なる被洗浄物の形状に適した洗浄を行い洗浄力を向上させることができる。
【0129】
(第1のタンク及び第1の洗浄水供給手段)
図2に示すように、第1のタンク10は、第1の洗浄水W1を貯水するとともに、洗浄室30内で回転ノズル40及びラック50のノズル52から噴射された洗浄水を受けて、第1の洗浄水W1として貯水する。また、第1のタンク10は、ポンプ等である第1の洗浄水供給手段13の吸い込み口と配管で接続されている。第1の洗浄水供給手段13の吐出口は、上部接続開口32及び下部接続開口35と第1の洗浄配管14で接続されている。第1の洗浄水供給手段13は、制御部6と電気的に接続されている。
【0130】
第1のタンク10は、
第1のタンク10に貯水する第1の洗浄水W1を加熱する第1の加熱手段(加熱手段)11と、
第1の洗浄水W1の温度を検知する第1の温度センサ(センサ)12と、
第1の洗浄水W1の上限水位を検知する上限水位センサ(センサ)17aと、
第1の洗浄水W1の下限水位を検知する下限水位センサ(センサ)17bと、
底部に設けられ、第1のタンク10に貯水する第1の洗浄水W1を排水するための排水口15と、
排水口15に着脱自在に接続され、所定の水位を越える第1の洗浄水W1を溢流させて排水口15へと導くオーバーフロー兼排水栓16と、
を備える。
【0131】
第1の加熱手段11は、制御部6と電気的に接続された例えば電気ヒータであり、第1のタンク10に貯水された第1の洗浄水W1を所定の温度、例えば60度Cに加熱し維持する。
【0132】
第1の温度センサ12は、制御部6と電気的に接続されており、第1の洗浄水W1の温度を検知して、制御部6へと信号を送るよう構成されている。第1の温度センサ12により、第1の洗浄水W1が所定の温度、例えば60度Cより低いことを検知すると、制御部6は、第1の加熱手段11を稼働させて所定の温度となるまで第1の洗浄水W1を加熱する。また、第1の温度センサ12により、第1の洗浄水W1が所定の温度を越えたことを検知すると、制御部6は、第1の加熱手段11の稼働を停止して、第1の洗浄水W1を所定の温度に維持するよう制御する。
【0133】
上限水位センサ17aは、制御部6と電気的に接続されており、第1のタンク10の満水となる水位に設けられた例えば電極式のセンサであり、第1のタンク10に貯水する第1の洗浄水W1が満水であることを検知して、制御部6へと信号を送るよう構成されている。
【0134】
下限水位センサ17bは、第1のタンク10の下限となる水位に設けられた例えば電極式のセンサであり、第1のタンク10内の第1の加熱手段11よりも少し高い位置に設けられている。そして、第1の洗浄水W1の水位が下限となる水位より低いことを検知すると、制御部6は、第1の加熱手段11を停止する。これにより、第1の加熱手段11の空焚きを防止することができる。
【0135】
第1のタンク10の底部に備えた排水口15には、施設内の排水設備へと排水可能とする排水管15aが設けられている。
【0136】
オーバーフロー兼排水栓16は、下端部側が排水口15に着脱自在に接続されており、上端部が第1の洗浄水W1の満水となる水位よりもわずかに高い位置に配置される。そして、満水となる水位より高くなった第1の洗浄水W1は、オーバーフロー兼排水栓16の上端部に有する開口からオーバーフロー兼排水栓16内へと溢流し、排水口15を通じて排水管15aから排水される。このように、第1のタンク10には、オーバーフロー兼排水栓16の上端部を越えて第1の洗浄水W1は貯水されないようになっている。
【0137】
また、清掃時等において、オーバーフロー兼排水栓16を排水口15から取り外すことで、第1のタンク10に貯水する第1の洗浄水W1を、排水口15を通じて排水管15aから直接排水することができる。
【0138】
(第2のタンク及び第2の洗浄水供給手段)
図2に示すように、第2のタンク20は、清水である第2の洗浄水W2を貯水する。また、第2のタンク20は、ポンプ等である第2の洗浄水供給手段23の吸い込み口と配管で接続されており、第2の洗浄水供給手段23の吐出口は、上部接続開口32及び下部接続開口35と第2の洗浄配管24で接続されている。第2の洗浄水供給手段23は、制御部6と電気的に接続されている。
【0139】
第2のタンク20は、
洗浄装置1を設置する施設内の水道等と接続された給水管28と、
第2のタンク20に貯水する第2の洗浄水W2を加熱する第2の加熱手段(加熱手段)21と、
第2の洗浄水W2の温度を検知する第2の温度センサ(センサ)22と、
第2の洗浄水W2の上限水位を検知する上限水位センサ(センサ)27aと、
第2の洗浄水W2の下限水位を検知する下限水位センサ(センサ)27bと、
底部に設けられ、第2のタンク20に貯水する第2の洗浄水W2を排水するための排水口25と、
所定の水位を越える第2の洗浄水W2を溢流させて排水するオーバーフロー配管26と、
を備える。
【0140】
給水管28には、制御部6と電気的に接続された電磁弁28aが設けられており、制御部6は、上限水位センサ27aにより満水であることを検知するまで電磁弁28aを開いて、第2のタンク20へ清水である第2の洗浄水W2を給水するよう制御する。また、制御部6は、上限水位センサ27aが満水であることを検知すると、電磁弁28aを閉じて給水を停止するよう制御する。
【0141】
第2の加熱手段21は、制御部6と電気的に接続された例えば電気ヒータであり、第2のタンク20に貯水された第2の洗浄水W2を所定の温度、例えば80度Cに加熱し維持する。
【0142】
第2の温度センサ22は、制御部6と電気的に接続されており、第2の洗浄水W2の温度を検知して、制御部6へと信号を送るよう構成されている。第2の温度センサ22により、第2の洗浄水W2が所定の温度、例えば80度Cより低いことを検知すると、制御部6は、第2の加熱手段21を稼働させて所定の温度となるまで第2の洗浄水W2を加熱する。また、第2の温度センサ22により、第2の洗浄水W2が所定の温度になったことを検知すると、制御部6は、第2の加熱手段21の稼働を停止して、第2の洗浄水W2を所定の温度に維持するよう制御する。
【0143】
上限水位センサ27aは、制御部6と電気的に接続されており、第2のタンク20の満水となる水位に設けられた例えばフロート式の水位センサであり、第2のタンク20内に貯水する第2の洗浄水W2が満水であることを検知して、制御部6へと信号を送るよう構成されている。
【0144】
下限水位センサ27bは、第2のタンク20の下限となる水位に設けられた例えばフロート式の水位センサであり、第2のタンク20内の第2の加熱手段21よりも少し高い位置に設けられている。そして、第2の洗浄水W2の水位が下限となる水位より低いことを検知すると、制御部6は、第2の加熱手段21の稼働を停止する。これにより、第2の加熱手段21の空焚きを防止することができる。
【0145】
第2のタンク20の底部に備えた排水口25には、施設内の排水設備へと排水可能とする排水管25aが取り付けられている。排水管25aの末端側には着脱自在なドレンキャップ25bが取り付けられており、第2タンク20内の第2の洗浄水W2を排水する際には、ドレンキャップ25bを取り外すことで排水することができる。なお、ドレンキャップ25bの代わりに、手動式の開閉弁又は電磁弁である開閉弁等を設けて、開閉弁を操作して排水できるよう構成してもよい。
【0146】
第2のタンク20の満水となる上限水位よりわずかに高い位置には、オーバーフロー配管26が接続されており、上限水位を越える水量が給水された場合は、オーバーフロー配管26へと溢流して施設内の排水設備へと排水されるよう構成している。
【0147】
なお、第1の加熱手段11、第2の加熱手段21は、電気ヒータとして説明したが、例えば、ガス燃焼式のヒータとしてもよく、洗浄装置1を設置する施設の設備等により、適宜選択することができる。
【0148】
なお、第1の洗浄水供給手段13、第2の洗浄水供給手段23は、いずれもポンプ等である場合を例に説明したが、被洗浄物や洗浄したい汚れに合わせて、いずれか一方又は両方を水道直結としてもよい。この場合、水道の吐出口はタンクを介さずに第1の洗浄配管14もしくは第2の洗浄配管24へと直結して、水道の送水圧により洗浄水を送水するよう構成することができる。これにより、洗浄装置1を小型化することができる。
【0149】
(仕切部材)
図7に示すように、仕切部材38は、第1のタンク10の上面に着脱自在に載置され、第1のタンク10の上面の中央部を塞ぐカバー部材38aと、カバー部材38aの両側の開口を塞ぐフィルタ部材38bにより構成される。フィルタ部材38bは、複数の孔があけられたパンチングプレート等で形成される。洗浄室30で噴射された洗浄水は、フィルタ部材38bの複数の孔を通じて第1のタンク10へと流下し貯水される。このとき、洗浄水に混ざった固形物等のフィルタ部材38bの孔よりも大きな汚れは、フィルタ部材38bによって捕集される。これにより、第1のタンク10に貯水する第1の洗浄水W1の清浄度が低くなることを抑制することができる。
【0150】
また、清掃時等において、フィルタ部材38bを洗浄室30から取り外すことで、フィルタ部材38bで捕集されたフィルタ部材38bの孔よりも大きな固形物を、流司等で容易に除去することができる。また、フィルタ部材38bに加え、カバー部材38aを取り外すことで、第1のタンク10内にアクセスすることが可能となり、第1のタンク10内を容易に清掃することができる。
【0151】
なお、
図2、
図4、
図6、
図17~
図22での仕切部材38は第1のタンク10とは離れた記載としているが、実際は第1のタンク10に載置され、接する構造となっている。これは、仕切部材38が第1のタンク10とは異なる部材であることを示すための便宜的な表現である。
【0152】
(洗浄水流動系統)
洗浄水流動系統は、タンク10,20から回転ノズル40及びラック50のノズル52へと洗浄水が流動する経路であり、第1の洗浄水W1が流動する第1の洗浄水流動系統71と、第2の洗浄水W2が流動する第2の洗浄水流動系統72と、で構成される。
【0153】
(第1の洗浄水流動系統)
図5、
図16及び
図17に示すように、第1の洗浄水流動系統71は、第1のタンク10から順に、第1の洗浄水供給手段13、第1の洗浄配管14へと続き、第1の洗浄配管14の途中で上部接続開口32側と下部接続開口35側とに分岐している。
【0154】
上部接続開口32へと分岐した経路は、順に、上部接続開口32の第1の流動路33a、回転ノズル40の第1のジョイント部42、第1の洗浄ノズル41へと続いている。また、下部接続開口35へと分岐した経路は、順に、下部接続開口35の第1の流動路36a、接続部60の第1のジョイント部61、第1の接続配管62、第1の逆止弁53a、第1の流入口53、共用配管51へと続いている。
【0155】
そして、第1の洗浄水流動系統71を流動する第1の洗浄水W1は、第1のタンク10から第1の洗浄水供給手段13により吸い込まれて第1の洗浄配管14へと吐出され、第1の洗浄配管14の途中で上部接続開口32側と下部接続開口35側とに分岐して流動する。
【0156】
上部接続開口32側へと分岐して流動する第1の洗浄水W1は、第1の流動路33a、第1のジョイント部42の流動路を通じて、第1の洗浄ノズル41内へと流入し、噴射口41aから噴射される。
【0157】
また、下部接続開口35側へと分岐して流動する第1の洗浄水W1は、第1の流動路36a、第1のジョイント部61を通じて、第1の接続配管62へと流動する。さらに、第1の接続配管62から第1の逆止弁53aを介して、第1の流入口53から共用配管51内へと流入する。
【0158】
共用配管51内へと流入した第1の洗浄水W1は、第1の流入口53から第2の流入口55側へと屈曲又は分岐しながら第1の流路54を流動し、ノズル52の噴射口52aから噴射される。
【0159】
(第2の洗浄水流動系統)
図5、
図16及び
図17に示すように、第2の洗浄水流動系統72は、第2のタンク20から順に、第2の洗浄水供給手段23、第2の洗浄配管24へと続き、第2の洗浄配管24の途中で上部接続開口32側と下部接続開口35側とに分岐している。
【0160】
上部接続開口32へと分岐した経路は、順に、上部接続開口32の第2の流動路34a、回転ノズル40の第2のジョイント部44、第2の洗浄ノズル43へと続いている。また、下部接続開口35へと分岐した経路は、順に、下部接続開口35の第2の流動路37a、接続部60の第2のジョイント部63、第2の接続配管64、第2の逆止弁55a、第2の流入口55、共用配管51へと続いている。
【0161】
そして、第2の洗浄水流動系統72を流動する第2の洗浄水W2は、第2のタンク20から第2の洗浄水供給手段23により吸い込まれて第2の洗浄配管24へと吐出され、第2の洗浄配管24の途中で上部接続開口32側と下部接続開口35側とに分岐して流動する。
【0162】
上部接続開口32側へと分岐して流動する第2の洗浄水W2は、第2の流動路37a、第2のジョイント部44の流動路を通じて、第2の洗浄ノズル43内へと流入し、噴射口43aから噴射される。
【0163】
また、下部接続開口35側へと分岐して流動する第2の洗浄水W2は、第2の流動路37aから第2のジョイント部63を通じて、第2の接続配管64へと流動する。さらに、第2の接続配管64から第2の逆止弁55aを介して、第2の流入口55から共用配管51内へと流入する。
【0164】
共用配管51内へと流入した第2の洗浄水W2は、第2の流入口55から第1の流入口53側へと屈曲又は分岐しながら第2の流路56を流動し、ノズル52の噴射口52aから噴射される。
【0165】
(制御部)
図2に示すように、制御部6は、洗浄装置1の下部外郭体3に配置され、操作部7、第1の洗浄水供給手段13及び第2の洗浄水供給手段23、第1の温度センサ12及び第2の温度センサ22、上限水位センサ17a,27a、下限水位センサ17b,27b、扉センサ4b、電磁弁28a、第1の加熱手段11及び第2の加熱手段21、と電気的に接続されており、これら部材からの信号を受信したり、予め組まれたプログラムにより部材の運転の制御を行う。
【0166】
(洗浄装置を用いた洗浄方法)
次に、本実施形態の洗浄装置1を用いた洗浄方法について、
図18~
図22を用いて説明する。
【0167】
洗浄装置1を用いた洗浄方法では、
洗浄装置1の第1のタンク10及び第2のタンク20に所定の温度の洗浄水を貯水し被洗浄物であるボトルGを洗浄可能な状態にする準備ステップS1と、
準備ステップS1の後に、ラック50にボトルGを収納し、ラック50を洗浄装置1の洗浄室30内へと搬入する搬入ステップS2と、
搬入ステップS2の後に、第1の洗浄水W1を噴射してボトルGを洗浄する第1の洗浄ステップ(洗浄ステップ)S3と、
第1の洗浄ステップS3の後に、第2の洗浄水W2を噴射してボトルGを洗浄する第2の洗浄ステップ(洗浄ステップ)S4と、
第2の洗浄ステップS4の後に、洗浄室30内からボトルGが収納されたラック50を搬出する搬出ステップS5と、
を行う。
【0168】
(準備ステップ)
準備ステップS1について、
図18~
図20を用いて、具体的に説明する。
【0169】
図18に示すように、まず、扉部4が閉まっていることを確認して、操作部7の電源スイッチを入れる。扉センサ4bは扉部4が閉まっていることを検知して、制御部6へと信号を送る。制御部6は、給水管28に設けられた電磁弁28aを開いて、給水管28から第2のタンク20へと第2の洗浄水W2である清水の供給を開始する。
【0170】
第2の洗浄水W2が満水となると、上限水位センサ27a及び下限水位センサ27bが満水を検知して、制御部6へと信号を送る。制御部6は、給水管28の電磁弁28aを閉じて清水の供給を停止し、第2の加熱手段21を稼働させ、第2の洗浄水W2の加熱を開始する。第2のタンク20に貯水された第2の洗浄水W2が所定の温度、例えば80度Cに到達したことを第2の温度センサ22が検知し、制御部6へと信号を送る。制御部6は、第2の加熱手段21を停止させる。
【0171】
次に
図19に示すように、制御部6は、第2の洗浄水供給手段23を駆動する。そして、第2の洗浄水W2は第2の洗浄水流動系統72を流動して、回転ノズル40の第2の洗浄ノズル43及びラック50のノズル52から、洗浄室30内へと所定の時間、例えば12秒間噴射される。
【0172】
具体的には、第2の洗浄水供給手段23により第2のタンク20から吸い込まれ第2の洗浄配管24へと吐出された第2の洗浄水W2は、第2の洗浄配管24から上部接続開口32及び下部接続開口35へと分岐して、それぞれの第2の流動路34a,37aへと流動する。
【0173】
上部接続開口32の第2の流動路34aへと流動した第2の洗浄水W2は、第2のジョイント部44を通じて、回転ノズル40の第2の洗浄ノズル43へと流入し、噴射口43aから下方に向けて噴射される。
【0174】
下部接続開口35の第2の流動路37aへと流動した第2の洗浄水W2は、第2のジョイント部63を通じて、第2の接続配管64へと流動し、第2の逆止弁55aを通過して第2の流入口55から共用配管51内へと流入する。このとき、第1の逆止弁53aは閉塞されており、第2の洗浄水W2は、共用配管51の第2の流路56を流動して、それぞれのラック50のノズル52から上方に向けて噴射される。このように、回転ノズル40及びノズル52から第2の洗浄水W2が噴射される。
【0175】
洗浄室30内へと噴射された第2の洗浄水W2は、洗浄室30内を昇温させながら流下し、仕切部材38のフィルタ部材38bを通じて第1のタンク10へと流下し、第1の洗浄水W1として貯水される。
【0176】
第2のタンク20内の第2の洗浄水W2の貯水量が減少し、上限水位センサ27aが満水でないことを検知して制御部6へと信号を送る。制御部6は、給水管28の電磁弁28aを開いて、上限水位センサ27aが満水を検知するまで第2のタンク20へ清水を供給する。このとき、制御部6は、下限水位センサ27bが第2の洗浄水W2の水位が下限となる水位よりも低いことを検知していない場合に限り、第2の加熱手段21による加熱を継続する。
【0177】
そして制御部6は、第2のタンク20内に第2の洗浄水W2が満水であることを検知すると、給水管28の電磁弁28aを閉じて、給水を停止する。第2のタンク20に貯水された第2の洗浄水W2が所定の温度、例えば80度Cに到達したことを第2の温度センサ22が検知すると、制御部6は、第2の加熱手段21を停止させる。そして、第2の洗浄水供給手段23を駆動して、回転ノズル40及びラック50のノズル52から第2の洗浄水W2を噴射し、第1のタンク10へと貯水する。これは第1のタンク10に満水となる水位まで貯水されるまで繰り返し行われる。
【0178】
第1のタンク10に第2の洗浄水W2が満水となると、上限水位センサ17aが満水を検知して、制御部6へと信号を送る。制御部6は、第2の洗浄水供給手段23の駆動を停止する。
【0179】
このとき、第1の逆止弁53a及び第2の逆止弁55aがともに閉塞していることにより、共用配管51内には第2の洗浄水W2が貯留された状態となる。
【0180】
制御部6は、第1のタンク10の第1の温度センサ12が貯水された洗浄水の温度を監視し、所定の温度よりも低くなると第1の加熱手段11を適宜稼働させて、所定の温度に維持するよう制御する。これは、第1の洗浄ステップS3が開始されるまで継続される。
【0181】
そして、制御部6は、第2のタンク20内に満水となる水位まで貯水された第2の洗浄水W2の温度が、第2の温度センサ22により、所定の温度になったことを検知すると、第2の加熱手段21を停止させる。また、制御部6は、第2の温度センサ22が貯水された第2の洗浄水W2の温度を監視し、所定の温度よりも低くなると第2の加熱手段21を適宜稼働させて、所定の温度に維持するよう制御する。これは、第2の洗浄ステップS4が開始されるまで継続される。
【0182】
加えて、図示しない洗剤供給手段を駆動して、所定の濃度となるように第1のタンク10に洗剤を投入し、第1のタンク10に貯水された第1の洗浄水W1は、洗剤を含む第1の洗浄水W1となる。
【0183】
図20に示すように、制御部6は、第1のタンク10及び第2のタンク20の洗浄水が、共に所定の温度であり満水となっていることを検知して、洗浄ステップS3,S4を行う準備が完了したことを、操作部7に有するブザー(図示なし)を鳴動させて作業者に知らせ、準備ステップS1は終了する。
【0184】
(搬入ステップ)
図6に示すように、準備ステップS1の後に、扉部4を開いて、洗浄室30内のラック50を手で持って引き出し、ラック支持部31からラック待機部5へと摺動させて移動させ、ラック待機位置まで引き出す。このとき、ラック50の移動に追従するように、第1の接続配管62及び第2の接続配管64が変形し、下部接続開口35に対して接続部60が回動することにより、スムーズに移動することができる。
【0185】
そしてラック50の収納空間50aに、ボトルGの開口G1を下向きとした倒立姿勢で収納する。このとき、ボトルGの開口G1をラック50のノズル52へと挿入するように収納し、ボトルGの開口G1がスペーサ57の上面に載置されるように収納する。
【0186】
ラック50に複数のボトルGを収納した後、ラック50を手で持って押し、ラック待機位置からラック支持部31の所定の位置へと搬入する。このとき、ラック50の移動に追従するように、第1の接続配管62及び第2の接続配管64が変形し、下部接続開口35に対して接続部60が回動することにより、スムーズに搬入することができる。ラック50を所定の位置に搬入し終えたら扉部4を閉めて、搬入ステップS2は終了する。
【0187】
(第1の洗浄ステップ)
搬入ステップS2の後に、操作部7の洗浄運転開始スイッチ(図示なし)を操作して、第1の洗浄ステップS3を開始する。操作部7から信号を受けた制御部6は、扉部4が閉まっていることを扉センサ4bが検知して、第1の洗浄水供給手段13の駆動を開始する。第1の洗浄水供給手段13が駆動すると、第1の洗浄水流動系統71を流動し、回転ノズル40及びラック50のノズル52から第1の洗浄水W1が噴射され、ボトルGが洗浄される。
【0188】
図21に示すように、第1の洗浄水供給手段13は、第1のタンク10から第1の洗浄水W1を吸い込み、第1の洗浄配管14へと吐出する。第1の洗浄配管14へと吐出された第1の洗浄水W1は、第1の洗浄配管14から上部接続開口32及び下部接続開口35へと分岐して、それぞれの第1の流動路33a,36aへと流動する。
【0189】
上部接続開口32へと流動した第1の洗浄水W1は、第1のジョイント部42を通じて、回転ノズル40の第1の洗浄ノズル41へと流入し、噴射口41aから下方に向けて所定の時間、例えば75秒間噴射される。ボトルGに接触した第1の洗浄水W1は、ボトルGの外表面に付着した汚れ成分を洗い流す。そして、汚れ成分を含んだ第1の洗浄水W1は、洗浄室30の下部にある仕切部材38へと流下する。
【0190】
下部接続開口35へと流動した第1の洗浄水W1は、接続部60の第1のジョイント部61を通じて、第1の接続配管62へと流動し、第1の逆止弁53aを通過して第1の流入口53から共用配管51内へと流入する。このとき、第2の逆止弁55aは閉じられている。
【0191】
そして、共用配管51内へと流入した第1の洗浄水W1は、共用配管51内の第1の流路54を流動し、それぞれのノズル52の噴射口52aから上方に向けて噴射される。
【0192】
このとき、共用配管51内には準備ステップS1において貯留された第2の洗浄水W2が満たされているため、第1の洗浄水W1によって押し出され、第1の洗浄水W1よりも前に第2の洗浄水W2が所定の時間、ボトルG内部に噴射される。
【0193】
これにより、第1の洗浄水供給手段13が駆動してから第1の洗浄水W1が各ノズル52から噴射される前に、第2の洗浄水W2を噴射してボトルG内部を洗浄することができる。特に、準備ステップS1において共用配管51内に貯留された第2の洗浄水W2は、第1の洗浄水W1よりも高い温度としているため、例えば、準備ステップS1と第1の洗浄ステップS3とを、できるだけ時間を空けずに実施する等して、第1の洗浄ステップS3を開始するまで温度低下を可能な限り抑えれば、第1の洗浄水W1よりも高温の第2の洗浄水W2を、ボトルG内部に噴射することができる。
【0194】
そして、例えば、ボトルG内部の汚れ成分が飲料等に含まれる糖類や調味料等に含まれる油脂類であった場合、汚れ成分に熱を与えることで流動性を高めてから、第1の洗浄水W1で洗浄することができる。つまり、第2の洗浄水W2によって、第1の洗浄水W1での汚れ成分の除去を促進させることができる。
【0195】
これにより、第1の洗浄水W1よりも高い温度の第2の洗浄水W2によって、予め被洗浄物であるボトルG及びボトルGに付着した汚れ成分に対して熱を与え、汚れ成分の流動性を高めることができる。そして、第1の洗浄水W1による汚れ成分の除去を促進させ、ボトルGの洗浄性を向上することができる。
【0196】
また、共用配管51内に貯留された第2の洗浄水W2によって、ボトルG自身の温度も昇温させることができるため、第2の洗浄水W2の後に噴射される第1の洗浄水W1がボトルGに接触して温度低下することを抑制し、第1のタンク10に貯水される第1の洗浄水W1の所定の温度からの低下を抑制し、第1の洗浄水W1を所定の温度に再加熱するためのエネルギーを低減することができる。
【0197】
また、ラック50のノズル52からのボトルG内部へ噴射される第1の洗浄水W1に加え、回転ノズル40の第1の洗浄ノズル41からも第1の洗浄水W1が噴射され、ボトルGの外表面が洗浄される。このとき、第1の洗浄ノズル41から噴射される第1の洗浄水W1は、ボトルGの外表面を洗浄するとともに、ボトルGを昇温させる。このため、ボトルGの外表面に付着した汚れ成分に加え、ボトルG内表面に付着した汚れ成分へも、第1の洗浄ノズル41から噴射された第1の洗浄水W1による熱が作用することになる。そして、ボトルGに付着した汚れ成分が糖質類や油脂類の場合、汚れ成分の流動性が高められ、洗い落としやすくなる。
【0198】
これにより、被洗浄物であるボトルGにより多くの洗浄水を噴射してボトルGの洗浄力を向上させつつ、ボトルGを昇温し、ボトルGに付着した汚れを落としやすくすることができる。
【0199】
また、共用配管51内には準備ステップS1において貯留された第2の洗浄水W2が満たされているため、第1の洗浄ステップS3では、共用配管51内に貯留した第2の洗浄水W2の分だけ、第1の流入口53から流入させる第1の洗浄水W1の水量を減らしつつ、第1の洗浄ステップS3を素早く開始することができる。
【0200】
そして、第1の洗浄水供給手段13の駆動時間を、共用配管51内に洗浄水が満たされて複数のノズル52から噴射されるまでの時間(タイムラグ)を含めた時間とする必要が無く、1回当たりの被洗浄物であるボトルGの洗浄時間を可能な限り短くすることができ、洗浄水W1,W2を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0201】
また、所定の時間、実施される第1の洗浄ステップS3の開始から終了までの間でより長く洗浄水W1,W2を噴射することができ、第1の洗浄ステップS3で洗浄するボトルGの洗浄性を向上させることができる。
【0202】
そして、共用配管51内に貯留された第2の洗浄水W2が第1の洗浄水W1に置換されると、各ノズル52から第1の洗浄水W1が噴射される。
【0203】
このとき、第1の流路54では、準備ステップS1で共用配管51内に貯留された第2の洗浄水W2及び第1の洗浄水W1は、X位置の第1のノズル52Xから噴射される総水量よりも、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する総水量の方が多くなる。詳細は後述する。
【0204】
ボトルG内部に噴射された第2の洗浄水W2及び第1の洗浄水W1は、ボトルG内表面に接触又はボトルG内部で飛散して、汚れ成分を洗い流す。汚れ成分を含んだ洗浄水は、ボトルG内表面を流下又はボトルG内部を落下して首部G4にて一時滞留しながら、開口G1からスペーサ57の切り欠き部57aを通じて洗浄室30へと流出する。そして、汚れ成分を含んだ洗浄水は、洗浄室30の下部にある仕切部材38へと流下する。
【0205】
このように、回転ノズル40の第1の洗浄ノズル41から第1の洗浄水W1、ラック50のノズル52から第2の洗浄水W2及び第1の洗浄水W1を所定の時間、例えば75秒間噴射して、ボトルGの内表面及び外表面を洗浄する。
【0206】
汚れ成分を含んだ洗浄水は、洗浄室30から仕切部材38のフィルタ部材38bを通じて第1のタンク10へと流下し、第1のタンク10に貯水された第1の洗浄水W1に混入して貯水される。このとき、汚れ成分を含んだ洗浄水に混入した汚れのうちフィルタ部材38bの孔よりも大きな汚れ(残菜等)は、フィルタ部材38bで捕集されることとなる。これにより、第1のタンク10に貯水する第1の洗浄水W1の清浄度の低下を抑制し、より清浄度の高い洗浄水でボトルGを洗浄することができる。
【0207】
第1のタンク10に貯水された第1の洗浄水W1は、再び第1の洗浄水供給手段13によって第1の洗浄水流動系統71を流動し、回転ノズル40及びラック50のノズル52から噴射され、ボトルGの洗浄に供される。このように第1の洗浄水W1は、循環使用される。
【0208】
制御部6は、所定の時間、駆動を継続したあと、第1の洗浄水供給手段13を停止させる。
【0209】
第1の流入口53から共用配管51内への第1の洗浄水W1の流入が止まり、第1の逆止弁53aが閉じる。つまり、第1の逆止弁53a及び第2の逆止弁55aが共に閉じた状態となり、共用配管51内には、第1の洗浄水W1が貯留された状態となる。そして、制御部6は、ボトルGの水切りのために所定の時間、例えば3秒間、洗浄水供給手段13,23を停止した状態を維持して、第1の洗浄ステップS3は終了する。
【0210】
(第2の洗浄ステップ)
第1の洗浄ステップS3の後に、制御部6は、第2の洗浄水供給手段23を駆動して、第2の洗浄ステップS4を開始する。
【0211】
図22に示すように、第2の洗浄水供給手段23は、第2のタンク20から第2の洗浄水W2を吸い込み、第2の洗浄配管24へと吐出する。第2の洗浄配管24へと吐出された第2の洗浄水W2は、第2の洗浄配管24から上部接続開口32及び下部接続開口35へと分岐して、それぞれの第2の流動路34a,37aへと流動する。
【0212】
上部接続開口32へと流動した第2の洗浄水W2は、第2のジョイント部44を通じて、回転ノズル40の第2の洗浄ノズル43へと流入し、噴射口43aから下方に向けて所定の時間、例えば12秒間噴射される。ボトルGに接触した第2の洗浄水W2は、ボトルGの外表面に付着した第1の洗浄水W1及び第1の洗浄ステップS3で洗い流しきれなかった汚れ成分を洗い流す。そして、第1の洗浄水W1及び第1の洗浄ステップS3で洗い流しきれなかった汚れ成分を含んだ第2の洗浄水W2は、洗浄室30の下部にある仕切部材38へと流下する。
【0213】
下部接続開口35へと流動した第2の洗浄水W2は、接続部60の第2のジョイント部63を通じて、第2の接続配管64へと流動し、第2の逆止弁55aを通過して第2の流入口55から共用配管51内へと流入する。このとき、第1の逆止弁53aは閉じられている。
【0214】
そして、共用配管51内へと流入した第2の洗浄水W2は、共用配管51内の第2の流路56を流動し、それぞれのノズル52の噴射口52aから上方に向けて噴射される。
【0215】
このとき、共用配管51内には第1の洗浄ステップS3において貯留された第1の洗浄水W1が満たされているため、第2の洗浄水W2によって押し出され、第2の洗浄水W2よりも前に第1の洗浄水W1が所定の時間、ボトルG内に噴射される。
【0216】
これにより、第2の洗浄ステップS4では、第1の洗浄ステップS3で共用配管51内に貯留した第1の洗浄水W1の分だけ、第2の流入口55から流入させる第2の洗浄水W2の水量を減らしつつ、第2の洗浄ステップS4を素早く開始することができる。
【0217】
そして、第2の洗浄水供給手段23の駆動時間を、共用配管51内に洗浄水が満たされて複数のノズル52から噴射されるまでの時間(タイムラグ)を含めた時間とする必要が無く、1回当たりの被洗浄物であるボトルGの洗浄時間を可能な限り短くすることができ、洗浄水W1,W2を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0218】
また、所定の時間、実施される第2の洗浄ステップS4の開始から終了までの間でより長く洗浄水W1,W2を噴射することができ、第2の洗浄ステップS4で洗浄するボトルGの洗浄性を向上させることができる。
【0219】
また、ラック50のノズル52からのボトルG内部へ噴射される第2の洗浄水W2に加え、回転ノズル40の第2の洗浄ノズル43からも第2の洗浄水W2が噴射され、ボトルGの外表面が洗浄される。このとき、第2の洗浄ノズル43から噴射される第2の洗浄水W2は、ボトルGの外表面を洗浄するとともに、ボトルGを昇温させることになる。このため、第1の洗浄ステップS3で落としきれなかった、ボトルGの外表面に付着した汚れ成分に加え、ボトルG内表面に付着した汚れ成分へも、第2の洗浄ノズル43から噴射された第2の洗浄水W2による熱が作用することになる。そして、ボトルGに付着した汚れ成分が糖質類や油脂類の場合、汚れ成分の流動性が高められ、洗い落としやすくなる。
【0220】
これにより、被洗浄物であるボトルGにより多くの洗浄水を噴射してボトルGの洗浄力を向上させつつ、ボトルGを昇温し、ボトルGに付着した汚れを落としやすくすることができる。
【0221】
そして、共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1が第2の洗浄水W2に置換されると、それぞれのノズル52から第2の洗浄水W2が噴射される。
【0222】
このとき、第2の流路56では、第1の流路54とは異なり、第1の洗浄ステップS3で共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1及び第2の洗浄水W2が、X位置の第1のノズル52Xから噴射される総水量よりも、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する総水量の方が少なくなる。詳細は後述する。
【0223】
ボトルG内部に噴射された、共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1及び第2の洗浄水W2は、ボトルG内表面に接触又はボトルG内部で飛散して、ボトルG内表面に付着した第1の洗浄ステップS3で落としきれなかった汚れ成分を洗い流す。第1の洗浄ステップS3で落としきれなかった汚れ成分を含んだ洗浄水は、ボトルG内表面を流下又はボトルG内部を落下して首部G4にて一時滞留しながら、開口G1からスペーサ57の切り欠き部57aを通じてボトルGから洗浄室30へと流出する。そして、第1の洗浄ステップS3で落としきれなかった汚れ成分を含んだ洗浄水は、洗浄室30の下部にある仕切部材38へと流下する。
【0224】
このとき、共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1が第2の洗浄水W2に置換された後は、それぞれのノズル52から噴射された第2の洗浄水W2が、ボトルG内表面に付着した第1の洗浄水W1及び第1の洗浄ステップS3で落としきれなかった汚れ成分を洗い流す。
【0225】
このように、回転ノズル40の第2の洗浄ノズル43から第2の洗浄水W2、ラック50のノズル52から第1の洗浄水W1及び第2の洗浄水W2を所定の時間、例えば12秒間噴射して、ボトルGの内表面及び外表面を洗浄する。
【0226】
第1の洗浄ステップS3で落としきれなかった汚れ成分を含んだ洗浄水は、洗浄室30から仕切部材38のフィルタ部材38bを通じて第1のタンク10へと流下し、第1のタンク10に貯水された第1の洗浄水W1に混入して、第1の洗浄水W1として貯水される。このとき、洗浄水に混入した汚れのうちフィルタ部材38bの孔よりも大きな汚れ(残菜等)は、フィルタ部材38bで捕集されることとなる。これにより、第1のタンク10に貯水する第1の洗浄水W1の清浄度の低下を抑制し、より清浄度の高い洗浄水でボトルGを洗浄することができる。
【0227】
また、洗浄室30内で回転ノズル40の第2の洗浄ノズル43及びラック50のノズル52から噴射された第2の洗浄水W2の分だけ、第1のタンク10内の洗浄水の量が増加する。増加した洗浄水は、オーバーフロー兼排水栓16の上端から溢流し、排水管15aを通じて洗浄装置1から施設側の排水溝等に排水される。
【0228】
これにより、第1のタンク10の水面付近に漂うフィルタ部材38bを通過した汚れ成分は、洗浄水とともに排水されることで、第1のタンク10に貯水された第1の洗浄水W1の清浄度の低下を抑制することができる。
【0229】
また、第2の洗浄水W2を清水とした場合、第2の洗浄水W2は、第1の洗浄水W1に比較して清浄度が高い(綺麗)ため、第1の洗浄水W1に混ざることで、第1の洗浄水W1の清浄度を高めることができる。
【0230】
この場合、第1の洗浄水W1に清水である第2の洗浄水W2が混ざることで、第1の洗浄水W1の洗剤濃度が低下することになるが、図示しない洗剤濃度センサにより濃度低下を検知し制御部6へと信号を送る。制御部6は、洗剤供給手段(図示なし)を駆動して所定の濃度となるように洗剤を第1のタンク10へと投入するよう制御する。これにより、第1の洗浄水W1の洗剤濃度を維持することができる。
【0231】
制御部6は、所定の時間、第2の洗浄水供給手段23の駆動を継続したあと、停止させる。
【0232】
第2の流入口55から共用配管51内への洗浄水の流入が止まり、第2の逆止弁55aが閉じる。つまり、第1の逆止弁53a及び第2の逆止弁55aが共に閉じた状態となり、共用配管51内には第2の洗浄水W2が貯留された状態となる。そして、制御部6は、ボトルGの水切りのために所定の時間、例えば3秒間、経過した後、第2の洗浄ステップS4が終了したことを、ブザーを鳴動させて作業者に知らせ、第2の洗浄ステップS4は終了する。
【0233】
(搬出ステップ)
第2の洗浄ステップS4が終了した後に、洗浄室30内からラック50を搬出する。
【0234】
図4及び
図6に示すように、扉部4を開き、ボトルGを収納したラック50を手で持って引き出し、ラック支持部31からラック待機部5の所定の位置へと搬出する。このとき、ラック50の移動に追従するように、第1の接続配管62及び第2の接続配管64が変形するとともに、接続部60が回動することにより、スムーズに搬出することができる。そして、洗浄済みのボトルGをラック50から取り出し、1回の洗浄が終了する。
【0235】
(洗浄サイクルについて)
準備ステップS1から実施して、1回目の搬出ステップS5が終了した後、連続してボトルGを洗浄する場合は、2回目の準備ステップS1から搬出ステップS5までを繰り返し行う洗浄サイクルを実施することができる。
【0236】
洗浄サイクルを実施するには、第2の洗浄ステップS4を実施したことにより水位の下がった、第2のタンク20内の第2の洗浄水W2を、再び満水まで貯水するとともに、所定の温度に加熱する、2回目の準備ステップS1を行う。
【0237】
2回目の準備ステップS1は、すでに第1のタンク10に第1の洗浄水W1が満水となるまで貯水されている状態から実施する点で、前述した1回目の準備ステップS1とは異なる。つまり、2回目の準備ステップS1では、第1のタンク10への洗浄水を貯水するために、第2の洗浄水供給手段23により、回転ノズル40及びラック50のノズル52から第2の洗浄水W2を噴射することを行わずに、第2のタンク20に清水である第2の洗浄水W2を満水まで貯水するとともに、第2の洗浄水W2の温度を所定の温度となるまで加熱し維持する。
【0238】
具体的には、第2の洗浄ステップS4を実施中に、第2のタンク20の上限水位センサ27aが、第2の洗浄水W2が満水でないことを検知し、制御部6へと信号を送る。制御部6は、給水管28の電磁弁28aへと信号を送って開き、満水となるまで清水の貯水を開始する。上限水位センサ27aが満水を検知すると、制御部6へと信号を送り、電磁弁28aを閉じる。そして、制御部6は、第2の加熱手段21を稼働させ、第2の洗浄水W2を加熱し所定の温度に維持する。
【0239】
第2の洗浄ステップS4が終了した時点では、第1のタンク10には満水となるまで第1の洗浄水W1が貯水されているため、制御部6は、第1のタンク10の上限水位センサ17aが満水であることを検知して、第1の加熱手段11を稼働させ、第1の洗浄水W1を所定の温度まで加熱し所定の温度に維持する。
【0240】
そして、制御部6は、第1のタンク10に貯水した第1の洗浄水W1と、第2のタンク20に貯水した第2の洗浄水W2とが、ともに所定の温度で満水まで貯水された状態として、次の第1の洗浄ステップS3に備える。
【0241】
作業者は、搬出ステップS5の後、洗浄済みのボトルGをラック50から取り出して、次に洗浄を行う洗浄前のボトルGをラック50に収納し、ボトルGを収納したラック50を洗浄室30へと搬入する2回目の搬入ステップS2を行う。その後、2回目の第1の洗浄ステップS3を開始し、順に第2の洗浄ステップS4、搬出ステップS5を行う。
【0242】
洗浄サイクルを繰り返す場合、1回目の第2の洗浄ステップS4が終了した際に、共用配管51内には第2の洗浄水W2が貯留されている。このため、次の2回目の第1の洗浄ステップS3で、第1の洗浄水W1が噴射される前に、共用配管51内に貯留した第2の洗浄水W2をボトルG内部に向けて噴射することができる。
【0243】
これにより、第1の洗浄水W1よりも高い温度の第2の洗浄水W2によって、予め被洗浄物であるボトルG及びボトルGに付着した汚れ成分に対して熱を与え、汚れ成分の流動性を高めることができる。そして、第1の洗浄水W1による汚れ成分の除去を促進させ、ボトルGの洗浄性を向上することができる。
【0244】
また、第1の洗浄水W1によるボトルGの洗浄性が向上することから、第1の洗浄ステップS3を行う時間を短くすることができ、1回当たりの洗浄時間の長さを可能な限り短くすることができ、第1の洗浄水W1を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0245】
(洗浄ステップを行う時間の長さの変更について)
本実施形態1の洗浄装置1では、操作部7を操作することにより制御部6での各部材の制御を変更し、第1の洗浄ステップS3を行う時間の長さと、第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さとを変更することができる。そして、第1の洗浄ステップS3を行う時間の長さと、第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さとを変更することにより、洗浄を行うために使用するエネルギーの消費量を大きく増大させることなく、ボトルGの洗浄をより確実なものとすることができるよう構成している。以下に、そのような構成を有する洗浄装置1の洗浄方法について説明する。
【0246】
ここでその方法の説明をする前に、仮に、本実施形態1とは異なり、第1の洗浄ステップS3で第1の洗浄水W1を第1の流入口53から共用配管51へと流入させ、第2の洗浄ステップS4でも第2の洗浄水W2を第1の流入口53から共用配管51へと流入させた場合について記載する。
【0247】
一般的に本実施形態1の洗浄装置1のようなバッチ式の被洗浄物の洗浄装置では、1回当たりの被洗浄物の洗浄で、流入口から最も近いノズルから噴射する洗浄水の総水量は、他のノズルから噴射する洗浄水の総水量に比較して少なくなる。
【0248】
そのため、
図9に示す共用配管51において、第1の洗浄ステップS3では第1の洗浄水W1を、第2の洗浄ステップS4では第2の洗浄水W2を、第1の流入口53から共用配管51へと流入させた場合でも、1回当たりのボトルGの洗浄で、第1の洗浄ステップS3でX位置の第1のノズル52Xから噴射する第1の洗浄水W1の総水量は、他のノズル52から噴射する第1の洗浄水W1の総水量より少なくなる。一方、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する第1の洗浄水W1の総水量は、X位置の第1のノズル52Xから噴射する第1の洗浄水W1の総水量より多くなる。
【0249】
また、第2の洗浄ステップS4でX位置の第1のノズル52Xから噴射する第2の洗浄水W2の総水量は、他のノズル52から噴射する第2の洗浄水W2の総水量より少なくなり、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する第2の洗浄水W2の総水量は、X位置の第1のノズル52Xから噴射する第1の洗浄水W1の総水量より多くなる。
【0250】
これにより、1回当たりのボトルGの洗浄で、X位置の第1のノズル52Xから噴射する洗浄水W1、W2の総水量は他のノズル52から噴射する洗浄水W1、W2の総水量より少なくなり、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する洗浄水W1、W2の総水量はX位置の第1のノズル52Xから噴射する洗浄水W1、W2の総水量より極端に多くなる。
【0251】
そして、洗浄ステップS3,S4を行う時間の長さにより違いがあるが、噴射する洗浄水W1、W2の総水量の極端に少ないノズル52、特に第1のノズル52Xで洗浄されるボトルGは、所望するレベルまで洗浄することができないおそれがある。また、噴射する洗浄水W1、W2の総水量が極端に多いノズル52、特に第2のノズル52Yからは、必要以上に洗浄水が噴射されるおそれがある。
【0252】
また仮に、いずれの洗浄ステップS3,S4でも同じ流入口となる第2の流入口55から、共用配管51へと洗浄水W1、W2を流入させて同じ流路となる第2の流路56を流動させた場合も、ノズル52により噴射する洗浄水W1、W2の総水量が極端に少なかったり、極端に多かったりする。
【0253】
そして、これらの場合に、X位置の第1のノズル52Xから噴射する洗浄水W1、W2で洗浄するボトルGと、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する洗浄水W1、W2で洗浄するボトルGとを所望するレベルまで洗浄しようとする際には、1回当たりのボトルGの洗浄で噴射する洗浄水W1、W2の総水量が極端に少ないノズル52を基準に、第1の洗浄ステップS3を行う時間の長さと、第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さとを調整することとなる。洗浄ステップS3,S4を行う時間の長さを調整することにより、1回当たりのボトルGの洗浄で噴射する洗浄水W1,W2の総水量を調整することとなる。
【0254】
例えば、いずれの洗浄ステップS3,S4でも同じ流入口となる第1の流入口53から、共用配管51へと洗浄水W1,W2を流入させて同じ流路である第1の流路54を流動させた場合、1回当たりのボトルGの洗浄で、噴射する洗浄水W1,W2の総水量が極端に少ないX位置の第1のノズル52Xからの洗浄水W1,W2の総水量を増やすよう、洗浄ステップS3,S4を行う時間の長さを延ばす変更をすることとなる。
【0255】
これにより、X位置の第1のノズル52Xから噴射する洗浄水W1、W2で洗浄するボトルGと、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する洗浄水W1、W2で洗浄するボトルGとは、いずれも所望するレベルまで洗浄することができるようになるが、1回当たりのボトルGの洗浄で噴射する洗浄水W1、W2の総水量が極端に多いY位置の第2のノズル52Yからは、より多くの洗浄水W1、W2が必要以上に噴射されることとなり、洗浄水W1、W2を吐出するための洗浄水供給手段13、23が使用するエネルギーは、無駄に増大することとなる。
【0256】
一方、本実施形態1の洗浄装置1を用いた洗浄方法では、
図21に示すように、第1の洗浄ステップS3では、第1の洗浄水W1を第1の流入口53から共有配管51へと流入させて、第1の流路54を流動させている。
【0257】
これにより、1回当たりの第1の洗浄ステップS3では、
図11に示すX位置の第1のノズル52Xから噴射する第1の洗浄水W1の総水量は、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する第1の洗浄水W1の総水量より少なくなり、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する第1の洗浄水W1の総水量は、X位置の第1のノズル52Xから噴射する第1の洗浄水W1の総水量より多くなる。
【0258】
また、
図22に示すように、第2の洗浄ステップS4では、第2の洗浄水W2を第2の流入口55から共有配管51へと流動させて、第2の流路56を流動させている。
【0259】
これにより、1回当たりの第2の洗浄ステップS4では、
図12に示すY位置の第2のノズル52Yから噴射する第2の洗浄水W2の総水量は、X位置の第1のノズル52Xから噴射する第2の洗浄水W2の総水量より少なくなり、X位置の第1のノズル52Xから噴射する第2の洗浄水W2の総水量は、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する第2の洗浄水W2の総水量より多くなる。
【0260】
このように、第1の洗浄ステップS3と第2の洗浄ステップS4とで、洗浄水W1,W2を、共用配管51へと流入させる流入口53,55の位置を異なるものとし、共用配管51内を異なる流路54,56で流動させることで、第1の洗浄ステップS3で総水量が少ないノズル52は第2の洗浄ステップS4で総水量を多くすることができ、第1の洗浄ステップS3で総水量が多いノズル52は第2の洗浄ステップS4で総水量を少なくすることができる。
【0261】
これにより、1回当たりのボトルGの洗浄で、第1の流入口53から最も近い位置にあるX位置の第1のノズル52XからボトルGに噴射する洗浄水W1、W2の総水量と、第2の流入口55から最も近い位置にあるY位置の第2のノズル52YからボトルGに噴射する洗浄水W1、W2の総水量と、の均等化を図ることができる。
【0262】
このように洗浄水W1,W2の総水量の均等化を図ることにより、例えば、所望するレベルまで洗浄することができなかったボトルGを所望するレベルまで洗浄することができる程度に、第1の洗浄ステップS3を行う時間の長さと、第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さとを変更するときに、第1の洗浄ステップS3を行う時間の長さ、及び/又は第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さの変更量を可能な限り短くすることができる。つまり、均等化させない場合と比較して、第1の洗浄ステップS3を行う時間の長さ、及び/又は第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さを短くすることができる。
【0263】
その結果、洗浄ステップS3,S4で洗浄水W1,W2を噴射するための洗浄水供給手段13,23の駆動時間を短くすることができ、複数のノズル52全体から噴射する洗浄水の総水量を減らし、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0264】
そして、均等化させない場合と比較して、洗浄を行うために使用するエネルギーの消費量を大きく増大させることなく、被洗浄物であるボトルGの洗浄をより確実なものとすることができる。
【0265】
また、
図23に示すように、洗浄水W1,W2の総水量の均等化を図らなかった場合と比較して、第2の洗浄ステップS4で噴射される第2の洗浄水W2の総水量を、X位置の第1のノズル52Xでは多く、Y位置の第2のノズル52Yでは少なくすることができる。つまり、Y位置の第2のノズル52Yから必要以上に噴射される第2の洗浄水W2の一部で、X位置の第1のノズル52Xから噴射される第2の洗浄水W2の総水量の不足分を補填することができる。
【0266】
なお、第1の洗浄ステップS3を行う時間の長さと、第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さとは、両方の時間の長さを延長若しくは短縮してもよいし、いずれか一方の時間の長さのみを延長若しくは短縮してもよい。又は、いずれか一方を延長し、他方を短縮してもよい。
【0267】
(共用配管に貯留された第1の洗浄水について)
また、1回当たりのボトルGの洗浄で、第2の洗浄ステップS4では、第2の流入口55から共用配管51へと流入した第2の洗浄水W2が複数のノズル52から噴射される前に、第1の洗浄ステップS3において共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1が所定の時間、噴射される。
【0268】
このとき、共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1は、第2の流入口55から共用配管51へと流入し、第2の流路56を流動する第2の洗浄水W2によって、複数のノズル52から押し出されるように噴射する。
【0269】
これにより、X位置の第1のノズル52Xから噴射する共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1の総水量は、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する第1の洗浄水W1の総水量よりも多くなり、Y位置の第2のノズル52Yから噴射する共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1の総水量は、X位置の第1のノズル52Xから噴射する第1の洗浄水W1の総水量よりも少なくなる。
【0270】
つまり、共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1は、第1の洗浄ステップS3で噴射する第1の洗浄水W1の総水量が少なかったX位置の第1のノズル52Xからは貯留された第1の洗浄水W1が多く噴射され、第1の洗浄ステップS3で噴射する第1の洗浄水W1の総水量が多かったY位置の第2のノズル52Yからは貯留された第1の洗浄水W1が少なく噴射されることとなる。
【0271】
これにより、1回当たりのボトルGの洗浄で、X位置の第1のノズル52XとY位置の第2のノズル52Yとから噴射する第1の洗浄水W1の総水量を均等化することができる。
【0272】
そして、第1の洗浄水W1が洗剤を含む洗浄水である場合は、第1の洗浄水W1の洗剤による洗浄の効果(洗浄度)を複数のボトルG間で均等化することができる。
【0273】
加えて、第1の洗浄ステップS3で共用配管51内に貯留された第1の洗浄水W1の分だけ、第1の流入口53から第1の洗浄水W1を共用配管51内へと流入させる時間の長さを短くすることができる。
【0274】
その結果、第1の洗浄ステップS3で第1の洗浄水W1を噴射するための第1の洗浄水供給手段13の駆動時間を短くすることができ、複数のノズル52全体から噴射する洗浄水の総水量を減らし、洗浄水W1,W2を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0275】
そして、均等化させない場合と比較して、洗浄を行うために使用するエネルギーの消費量を大きく増大させることなく、被洗浄物であるボトルGの洗浄をより確実なものとすることができる。
【0276】
なお、本実施形態1において、共用配管51は、連続した1つの管路で、第1の流路54と第2の流路56とを形成する例で説明したが、共用配管51に替えて、第1の流路54を形成する配管と、第2の流路56を形成する配管とを隣接して設けて、それぞれの配管に連通する複数のノズル52を設けるよう構成してもよい。
【0277】
具体的には、一方端と他方端とを有し両端が閉塞された1つの管路で形成され、管路の一方端側に流入口があり、他方端側が閉塞された配管で1つの流路を形成する。このように構成された配管を2つ用意し、一方の配管を第1の流路54を形成する第1の配管81とし、他方の配管を第2の流路56を形成する第2の配管82として、互いに隣接させて配置する。
【0278】
第1の配管81及び第2の配管82には、それぞれ所定の位置に複数のノズル52を取り付け、第1の配管81と第2の配管82とを隣接して配置した際に、第1の配管81のそれぞれの複数のノズル52と、第2の配管82のそれぞれの複数のノズル52とが、互いに隣接するよう構成する。この場合、被洗浄物であるボトルGの開口G1からボトルG内へと、隣接させたノズル52がともに挿入可能となるよう構成するのが好ましい。
【0279】
そして、第1の配管81のいずれかの端部側に第1の流入口53を設け、第2の配管82のいずれかの端部側に第2の流入口55を設け、第1の配管81と第2の配管82とを互いに隣接して配置する際に、第1の流入口53と第2の流入口55とは異なる位置となるように構成する。例えば、第1の配管81と第2の配管82とを略同じ形状の配管で形成した場合、第1の配管81の第1の流入口53を設けた側の端部と、第2の配管82の末端側の端部とが、隣接するように配置する。さらに、第2の配管82の第2の流入口55を設けた側の端部と、第1の配管81の末端側の端部とが、隣接するように配置する。このように配置することで、第1の流入口53と第2の流入口55との位置は、異なる位置となる。
【0280】
そして、第1の配管81の複数のノズル52の内、第1の流入口53から最も流路長さが短いノズルをX位置の第1のノズル52Xとし、第2の配管82の複数のノズル52の内、第2の流入口55から最も流路長さが短いノズルをY位置の第2のノズル52Yとする。
【0281】
このように構成することで、第1の配管81の第1の流入口53からX位置の第1のノズル52Xまでの流路長さは、第1の流入口53から、第2の配管82のY位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81のノズル52までの流路長さよりも短くなる。つまり、X位置の第1のノズル52Xは、第1の配管81の第1の流入口53からの距離が、第1の流入口53から、第2の配管82のY位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81のノズル52までの距離よりも近い位置となる。
【0282】
逆に、第1の配管81の第1の流入口53から、第2の配管82のY位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81のノズル52までの流路長さは、第1の流入口53から、X位置の第1のノズル52Xまでの流路長さよりも長くなる。つまり、第2の配管82のY位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81のノズル52は、第1の配管81の第1の流入口53からの距離が、第1の流入口53から、X位置の第1のノズル52Xまでの距離よりも遠い位置となる。
【0283】
また、第2の配管82の第2の流入口55からY位置の第2のノズル52Yまでの流路長さは、第2の流入口55から、第1の配管81のX位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82のノズル52までの流路長さよりも短くなる。つまり、Y位置の第2のノズル52Yは、第2の配管82の第2の流入口55からの距離が、第2の流入口55から、第1の配管81のX位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82のノズル52までの距離よりも近い位置となる。
【0284】
逆に、第2の配管82の第2の流入口55から、第1の配管81のX位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82のノズル52までの流路長さは、第2の流入口55からY位置の第2のノズル52Yまでの流路長さよりも長くなる。つまり、第1の配管81のX位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82のノズル52は、第2の配管82の第2の流入口55からの距離が、第2の流入口55からY位置の第2のノズル52Yまでの距離よりも遠い位置となる。
【0285】
このように構成した場合も、第1の洗浄ステップS3では、第1の配管81における第1の流入口53から最も近い位置にあるX位置の第1のノズル52Xと、第2の配管82における第2の流入口55から最も近い位置にあるY位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81のノズル52と、から噴射する第1の洗浄水W1の総水量は、X位置の第1のノズル52Xの方が、Y位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81のノズル52よりも少なくなり、逆に、Y位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81のノズル52の方が、X位置の第1のノズル52Xよりも多くなる。
【0286】
また、第2の洗浄ステップS4では、第2の配管82における第2の流入口55から最も近い位置にあるY位置の第2のノズル52Yと、第1の配管81における第1の流入口53から最も近い位置にあるX位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82のノズル52と、から噴射する第2の洗浄水W2の総水量は、Y位置の第2のノズル52Yの方が、X位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82のノズル52よりも少なくなり、逆に、X位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82のノズル52の方が、Y位置の第2のノズル52Yよりも多くなり、本実施形態で説明したような作用を同様に発揮することができる。
【0287】
これにより、第1の配管81と第2の配管82とにそれぞれ連通する複数のノズル52の内、X位置の第1のノズル52X及びX位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82に有するノズル52と、Y位置の第2のノズル52Y及びY位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81に有するノズル52と、から噴射する洗浄水の総水量を、第1の洗浄ステップS3と、第2の洗浄ステップS4とで異なるものとして、1回当たりの洗浄で被洗浄物であるボトルGに噴射する洗浄水の総水量を均等化することができる。
【0288】
そして、1回当たりの洗浄で、複数のノズル52の内、噴射する洗浄水の総水量が少ないノズル52から、所望する総水量の洗浄水が噴射されるよう第1の洗浄ステップS3及び/又は第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さを変更する際に、X位置の第1のノズル52X及びX位置の第1のノズル52Xに隣接する第2の配管82に有するノズル52と、Y位置の第2のノズル52Y及びY位置の第2のノズル52Yに隣接する第1の配管81に有するノズル52と、から噴射する洗浄水の総水量を均等化させない場合と比較して、当該ノズルから噴射する洗浄水の総水量を所望する総水量としても、第1の洗浄ステップS3及び/又は第2の洗浄ステップS4を行う時間の長さを短くすることができる。
【0289】
その結果、複数のノズル52全体から噴射する洗浄水W1,W2の総水量を減らし、洗浄水W1,W2を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0290】
そして、均等化させない場合と比較して、洗浄を行うために使用するエネルギーの消費量を大きく増大させることなく、被洗浄物であるボトルGの洗浄をより確実なものとすることができる。
【0291】
また、第1の流入口53に、第1の配管81内の洗浄水が第1の洗浄水供給手段13の側へと逆流しないよう第1の逆止弁53aを設けていることで、第1の洗浄ステップS3の後、第1の配管81内に第1の洗浄水W1を貯留することができる。
【0292】
これにより、洗浄サイクルの実施にあたり、2回目の第1の洗浄ステップS3では、1回目の第1の洗浄ステップS3で第1の配管81内に貯留した第1の洗浄水W1の分だけ、第1の流入口53から流入させる第1の洗浄水W1の水量を減らしつつ、複数のノズル52から素早く第1の洗浄水W1を噴射することができる。
【0293】
加えて、第2の流入口55に、第2の配管82内の洗浄水が第2の洗浄水供給手段23の側へと逆流しないよう第2の逆止弁55aを設けていることで、第2の洗浄ステップS4の後、第2の配管82内に第2の洗浄水W2を貯留することができる。
【0294】
これにより、洗浄サイクルの実施にあたり、2回目の第2の洗浄ステップS4では、1回目の第2の洗浄ステップS4で第2の配管82内に貯留した第2の洗浄水W2の分だけ、第2の流入口55から流入させる第2の洗浄水W2の水量を減らしつつ、複数のノズル52から素早く第2の洗浄水W2を噴射することができる。
【0295】
そして、洗浄水供給手段13,23の駆動時間を、第1の配管81内又は第2の配管82内に洗浄水が満たされて複数のノズル52から噴射されるまでの時間(タイムラグ)を含めた時間とする必要が無く、1回当たりの被洗浄物であるボトルGの洗浄時間を可能な限り短くすることができ、洗浄水を噴射するためのエネルギーを低減することができる。
【0296】
また、洗浄ステップS3,S4とを、それぞれ所定の時間、実施する際に、第1の配管81及び第2の配管82内に洗浄水を貯留しない場合と比較して、洗浄ステップS3,S4の開始から終了までの間でより長く洗浄水W1,W2を複数のノズル52から噴射し、被洗浄物であるボトルGの洗浄性を向上させることができる。
【0297】
なお、第1の配管81と第2の配管82とを、それぞれに設けた複数のノズル52とともに隣接して配置する場合で説明したが、例えば共用配管51内を管長方向に沿って2つの領域に管路を仕切り、一方の管路を第1の流路54を形成する第1の配管81とし、他方の管路を第2の流路56を形成する第2の配管82となるように分割して構成してもよい。つまり、2つの領域に仕切られた管路も、互いに隣接した状態となる。この場合、複数のノズルは、第1の配管81及び第2の配管82に連通する複数のノズルを設ける。例えば、2つの噴射口を有する1つのノズルとして、ノズル内部を管長方向に沿って2つの領域に管路を仕切り、一方の噴射口と第1の配管81とを連通させ、他方の噴射口と第2の配管82とを連通させる構成としてもよい。この場合も、上記したような作用効果を同様に発揮することができる。
【0298】
また、洗浄水の所定の温度について、第1の洗浄水W1が60度C、第2の洗浄水W2が80Cとして説明したが、これに限定されるものではない。洗浄する汚れ成分の種類に応じて適宜変更することができる。
【0299】
また、洗浄装置1は、第1のタンク10及び第1の洗浄水供給手段13、又は第2のタンク20及び第2の洗浄水供給手段23の、いずれか一方を備えない構成としてもよい。若しくは、両方を備えない構成としてもよい。
【0300】
第1のタンク10及び第1の洗浄水供給手段13を備えない場合は、例えば第1の洗浄水W1を供給する水道管を第1の洗浄配管14へと接続する。そして、第1の洗浄水W1を加熱する第1の加熱手段11等は、第1の洗浄配管14にインラインに設けるのが好ましい。
【0301】
第2のタンク20及び第2の洗浄水供給手段23を備えない場合は、例えば第2の洗浄水W2を供給する水道管を第2の洗浄配管24へと接続する。また、第2の洗浄水W2を加熱する第2の加熱手段21等は、第2の洗浄配管24にインラインに設けるのが好ましい。
【0302】
また、接続部60が下部接続開口35と着脱自在に接続されているため、ボトルGの形状や大きさに対応したラック50を複数用意し、洗浄するボトルGの形状や大きさに合わせて、ラック50を取り換えてもよい。
【0303】
また、被洗浄物はボトルGに限らず、食器等としてもよい。その場合、ラック50の収納空間50aは、ボトルGを倒立した姿勢で立てて収納する格子状ではなく、例えば、ノズル52の先端部よりも上方に椀や皿などをうつ伏せ(食材の盛り付け面を下方とした)姿勢で被洗浄物を載置可能な平網状の形状としてもよい。これにより、1回の洗浄における洗浄度を均等化した洗浄を行うことができる。
【0304】
また、上部接続開口32に接続するノズルは、回転ノズル40に限らず、洗浄室30内に固定されたノズル、例えば共用配管51であってもよい。
【0305】
また、ボトルGに付着した汚れが多い場合は、第1の洗浄ステップS3を行う前に、第2の洗浄ステップS4のように第2の洗浄水流動系統72を用いた予備洗浄ステップを行ってもよい。これにより、高温の第2の洗浄水W2で被洗浄物及び汚れ成分に熱を与え、第1の洗浄ステップS3において第1の洗浄水W1での汚れ成分の除去を促進させることができる、いわゆる予備洗浄を行うことができる。
【0306】
加えて、第1の洗浄ステップS3の直前に、予め共用配管51内に第1の洗浄水W1よりも高温の第2の洗浄水W2を貯留することができるため、洗浄サイクルにおける搬入ステップS2を実施している間に、温度低下した共用配管51内で貯留される第2の洗浄水W2よりも、高い温度の第2の洗浄水W2を、第1の洗浄ステップS3でボトルG内部へと噴射することができる。これにより、第1の洗浄ステップS3における第1の洗浄水W1での洗浄性を向上させることができる。
【0307】
また、洗浄サイクルにおいて、搬出ステップS5を実施した後、次の搬入ステップS2を行う前に、一旦扉部4を閉じ、予め第1の洗浄ステップS3を行い、共用配管51内に第1の洗浄水W1を貯留した状態にしてもよい。これにより、第1の洗浄ステップS3において、共用配管51内に第1の洗浄水W1を満たしているため、第1の洗浄ステップS3で第1の洗浄水W1を複数のノズル52から噴射し始める際には、被洗浄物に最初に触れる洗浄水を第1の洗浄水W1とすることができる。特に洗剤を含む第1の洗浄水W1とした場合には、最初から被洗浄物に洗剤が触れることで第1の洗浄ステップS3でより長く洗剤による洗浄の効果を発揮させることができる。
【0308】
洗浄装置1は、上部接続開口32及び下部接続開口35に回転ノズル40を取り付けた通常のバッチ式の食器洗浄機から、下部接続開口35に取り付けた回転ノズル40に替えて、ラック50を接続部60ごと下部接続開口35へと取り付けることで通常の食器洗浄機をボトル洗浄機として使用することも可能である。
【符号の説明】
【0309】
1 洗浄装置
2 上部外郭体
3 下部外郭体
4 扉部
4a 取手
4b 扉センサ(センサ)
4c ステー
5 ラック待機部
6 制御部
7 操作部
10 第1のタンク(タンク)
11 第1の加熱手段(加熱手段)
12 第1の温度センサ(センサ)
13 第1の洗浄水供給手段(洗浄水供給手段)
14 第1の洗浄配管
15 排水口
15a 排水管
16 オーバーフロー兼排水栓
17a 上限水位センサ(センサ)
17b 下限水位センサ(センサ)
20 第2のタンク(タンク)
21 第2の加熱手段(加熱手段)
22 第2の温度センサ(センサ)
23 第2の洗浄水供給手段(洗浄水供給手段)
24 第2の洗浄配管
25 排水口
25a 排水管
25b ドレンキャップ
26 オーバーフロー配管
27a 上限水位センサ(センサ)
27b 下限水位センサ(センサ)
28 給水管
28a 電磁弁
30 洗浄室
31 ラック支持部
32 上部接続開口(接続開口)
32a キャップ
33 大径管
33a 第1の流動路(流動路)
34 小径管
34a 第2の流動路(流動路)
34b ネジ部
34c 孔
35 下部接続開口(接続開口)
35a キャップ
36 大径管
36a 第1の流動路(流動路)
37 小径管
37a 第2の流動路(流動路)
37b ネジ部
37c 孔
38 仕切部材
38a カバー部材
38b フィルタ部材
40 回転ノズル(ノズル)
41 第1の洗浄ノズル(回転ノズル)
41a 噴射口
42 第1のジョイント部(ジョイント部)
43 第2の洗浄ノズル(回転ノズル)
43a 噴射口
44 第2のジョイント部(ジョイント部)
50 ラック
50a 収納空間
50b 摺動部材
51 共用配管
52 ノズル
52X 第1のノズル(ノズル)
52Y 第2のノズル(ノズル)
52a 噴射口
53 第1の流入口(流入口)
53a 第1の逆止弁(逆止弁)
54 第1の流路(流路)
55 第2の流入口(流入口)
55a 第2の逆止弁(逆止弁)
56 第2の流路(流路)
57 スペーサ
57a 切り欠き部
60 接続部
61 第1のジョイント部(ジョイント部)
62 第1の接続配管(接続配管)
63 第2のジョイント部(ジョイント部)
64 第2の接続配管(接続配管)
71 第1の洗浄水流動系統
72 第2の洗浄水流動系統
81 第1の配管
82 第2の配管
S1 準備ステップ
S2 搬入ステップ
S3 第1の洗浄ステップ(洗浄ステップ)
S4 第2の洗浄ステップ(洗浄ステップ)
S5 搬出ステップ
G ボトル(被洗浄物)
G1 開口
G2 胴体部
G3 肩部
G4 首部
W1 第1の洗浄水(洗浄水)
W2 第2の洗浄水(洗浄水)