IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-振動抑制装置 図1
  • 特開-振動抑制装置 図2
  • 特開-振動抑制装置 図3
  • 特開-振動抑制装置 図4
  • 特開-振動抑制装置 図5
  • 特開-振動抑制装置 図6
  • 特開-振動抑制装置 図7
  • 特開-振動抑制装置 図8
  • 特開-振動抑制装置 図9
  • 特開-振動抑制装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124541
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】振動抑制装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20230830BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20230830BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20230830BHJP
   F16F 15/023 20060101ALN20230830BHJP
【FI】
F16F15/04 A
F16F15/04 M
F16F15/08 E
F16F15/08 G
F16L55/00 F
F16F15/023 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028355
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸朗
(72)【発明者】
【氏名】門脇 剛
(72)【発明者】
【氏名】井出 悠輔
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AC04
3J048BA24
3J048BD08
3J048DA10
3J048EA29
(57)【要約】
【課題】複数の配管の振動を効果的に抑制できる振動抑制装置を提供する。
【解決手段】振動抑制装置は、第1方向に沿って延在する第1水平部を有する第1配管と、第1方向に沿って延在する第2水平部であって第1水平部より第1方向と直交する第2方向の一方側に離間して配置される第2水平部を有する第2配管と、を含む複数の配管の振動を抑制するためのものである。振動抑制装置は、第1水平部に固定されるとともに第1水平部から記第2水平部に向かって延在する第1腕部と、第2水平部に固定されるとともに第2水平部から第1水平部に向かって延在する第2腕部であって、第1方向および第2方向の各々と直交する第3方向に沿った第1隙間が第1腕部との間に形成されるように構成された第2腕部と、第1腕部および第2腕部の夫々と当接するように第1隙間に設けられた粘弾性体と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配管の振動を抑制するための振動抑制装置であって、
前記複数の配管は、第1方向に沿って延在する第1水平部を有する第1配管と、前記第1方向に沿って延在する第2水平部であって前記第1水平部より前記第1方向と直交する第2方向の一方側に離間して配置される第2水平部を有する第2配管と、を含み、
前記振動抑制装置は、
前記第1水平部に固定されるとともに前記第1水平部から前記第2水平部に向かって延在する第1腕部と、
前記第2水平部に固定されるとともに前記第2水平部から前記第1水平部に向かって延在する第2腕部であって、前記第1方向および前記第2方向の各々と直交する第3方向に沿った第1隙間が前記第1腕部との間に形成されるように構成された第2腕部と、
前記第1腕部および前記第2腕部の夫々と当接するように前記第1隙間に設けられた粘弾性体と、を備える
振動抑制装置。
【請求項2】
前記複数の配管は、前記第1方向に沿って延在する第3水平部であって前記第1水平部より前記第2方向の他方側に離間して配置される第3水平部を有する第3配管、をさらに含み、
前記振動抑制装置は、
前記第1水平部に固定されるとともに前記第1水平部から前記第3水平部に向かって延在する第3腕部と、
前記第3水平部に固定されるとともに前記第3水平部から前記第1水平部に向かって延在する第4腕部であって、前記第3方向に沿った第2隙間が前記第3腕部との間に形成されるように構成された第4腕部と、
前記第3腕部および前記第4腕部の夫々と当接するように前記第2隙間に設けられた粘弾性体と、をさらに備える
請求項1に記載の振動抑制装置。
【請求項3】
前記第1水平部に固定されるとともに前記第1水平部から前記第2水平部に向かって延在する第5腕部であって、前記第1隙間とは前記第2腕部を挟んで反対側に形成される前記第3方向に沿った第3隙間が前記第2腕部との間に形成されるように構成された第5腕部と、
前記第2腕部および前記第5腕部の夫々と当接するように前記第3隙間に設けられた粘弾性体と、を備える
請求項1又は2に記載の振動抑制装置。
【請求項4】
前記第2水平部に固定されるとともに前記第2水平部から前記第1水平部に向かって延在する第6腕部であって、前記第1隙間とは前記第1腕部を挟んで反対側に形成される前記第3方向に沿った第4隙間が前記第1腕部との間に形成されるように構成された第6腕部と、
前記第1腕部および前記第6腕部の夫々と当接するように前記第4隙間に設けられた粘弾性体と、を備える
請求項1乃至3の何れか1項に記載の振動抑制装置。
【請求項5】
複数の配管の振動を抑制するための振動抑制装置であって、
前記複数の配管は、第1方向に沿って延在する第1水平部を有する第1配管と、前記第1方向に沿って延在する第2水平部であって前記第1水平部より前記第1方向と直交する第2方向の一方側に離間して配置される第2水平部を有する第2配管と、を含み、
前記振動抑制装置は、
前記第2水平部の外周を覆うとともに前記第2水平部に固定された第1固定部と、
前記第1水平部に固定されるとともに前記第1水平部から前記第2水平部に向かって延在する第1腕部であって、前記第1方向および前記第2方向の各々と直交する第3方向に沿った第1隙間が前記第1固定部との間に形成されるように構成された第1腕部と、
前記第1腕部および前記第1固定部の夫々と当接するように前記第1隙間に設けられた粘弾性体と、を備える
振動抑制装置。
【請求項6】
前記複数の配管は、前記第1方向に沿って延在する第3水平部であって前記第1水平部より前記第2方向に他方側に離間して配置される第3水平部を有する第3配管、をさらに含み、
前記振動抑制装置は、
前記第3水平部の外周を覆うとともに前記第3水平部に固定された第2固定部と、
前記第1水平部に固定されるとともに前記第1水平部から前記第3水平部に向かって延在する第2腕部であって、前記第3方向に沿った第2隙間が前記第2固定部との間に形成されるように構成された第2腕部と、
前記第2腕部および前記第2固定部の夫々と当接するように前記第2隙間に設けられた粘弾性体と、をさらに備える
請求項5に記載の振動抑制装置。
【請求項7】
前記粘弾性体の各々は、ゴム材料により構成される、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の振動抑制装置。
【請求項8】
前記粘弾性体の各々は、流動性を有する粘性材料により構成され、
前記振動抑制装置は、内部に前記第1隙間が設けられるとともに前記粘弾性体が充填されるケーシングをさらに備える、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の振動抑制装置。
【請求項9】
前記複数の配管の各々は、前記第2方向に沿って延在する主管に一端が接続された枝管からなる、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の振動抑制装置。
【請求項10】
前記複数の配管の各々は、前記主管に接続された前記一端から前記第1方向および前記第2方向の各々と交差する方向に沿って延在する第1直線部と、前記第1直線部の他端から前記第1方向に沿って延在する第2直線部と、を含み、
前記第1水平部は、前記第1配管の前記第2直線部からなり、
前記第2水平部は、前記第2配管の前記第2直線部からなる、
請求項9に記載の振動抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の配管の振動を抑制するための振動抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶、建設機械、産業機械、車両等に接続された配管は、燃料の供給やエンジンの回転等によって振動するため、この振動を抑制する振動の抑制装置が設けられている。特許文献1には、互いに隣り合う配管の外周にそれぞれ巻き付けられた弾性体からなる制振材と、制振材同士を連結する連結材と、連結材に接続されて、質量を付加する付加質量体と、を有する振動抑制装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-126122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンの配管構造には、一つの主管から複数の枝管に分岐して配置される構造であることが多い。特に、気筒数が多いエンジンの場合、主管がエンジンに沿って長手方向に配置され、そこから各気筒位置に対応する形で枝管が配置される。各気筒と主管の間は、枝管を支持する部品を付ける空間を確保することが難しい。また、枝管の剛性は、枝管自身の重量に対して相対的に低く、固有振動数が低くなる傾向がある。
【0005】
一方、エンジンの起振力は、エンジン回転数の倍数のピッチの周波数で存在している。気筒数が多いエンジンの場合には、高次成分までエンジンの起振力が大きくなる虞がある。エンジンの起振力成分と枝管の固有振動数が近接すると、配管が共振で大きく振動し、配管の損傷を招く虞がある。
【0006】
特許文献1に記載の振動抑制装置によれば、弾性体からなる制振材を配管の外周に巻き付けることで、多方向の振動に対して減衰能を発揮させることができるが、振動抑制装置の構造上、制振材の減衰能を効果的に発揮することが困難であり、振動を抑制する効果
が低いという問題点があった。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、複数の配管の振動を効果的に抑制できる振動抑制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態に係る振動抑制装置は、
複数の配管の振動を抑制するための振動抑制装置であって、
前記複数の配管は、第1方向に沿って延在する第1水平部を有する第1配管と、前記第1方向に沿って延在する第2水平部であって前記第1水平部より前記第1方向と直交する第2方向の一方側に離間して配置される第2水平部を有する第2配管と、を含み、
前記振動抑制装置は、
前記第1水平部に固定されるとともに前記第1水平部から前記第2水平部に向かって延在する第1腕部と、
前記第2水平部に固定されるとともに前記第2水平部から前記第1水平部に向かって延在する第2腕部であって、前記第1方向および前記第2方向の各々と直交する第3方向に沿った第1隙間が前記第1腕部との間に形成されるように構成された第2腕部と、
前記第1腕部および前記第2腕部の夫々と当接するように前記第1隙間に設けられた粘弾性体と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、複数の配管の振動を効果的に抑制できる振動抑制装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る振動抑制装置が取り付けられる複数の配管の概略斜視図である。
図2】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
図3】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
図4】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
図5】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
図6】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
図7】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
図8】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
図9】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
図10】一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(複数の配管)
図1は、一実施形態に係る振動抑制装置1が取り付けられる複数の配管2の概略斜視図である。図2図10の各々は、一実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図である。図2図10の各々において、第1方向は図示面に対して垂直である。幾つかの実施形態に係る振動抑制装置1は、図1に示されるような、複数の配管2の振動を抑制するためのものである。
【0013】
複数の配管2の各々は、図1に示されるように、第1方向に沿って延在する水平部を有し、互いの水平部が第1方向と直交する第2方向に沿って離間して配置されている。具体的には、複数の配管2は、第1方向に沿って延在する第1水平部22を有する第1配管21と、第1方向に沿って延在する第2水平部24を有する第2配管23と、を少なくとも含む。第2水平部24は、第1水平部22より第2方向の一方側(図中右下側)に配置される。
【0014】
複数の配管2は、図1に示されるように、第1方向に沿って延在する第3水平部26を有する第3配管25をさらに含んでもよい。第3水平部26は、第1水平部22より第2方向の上記一方側とは反対側である他方側(図中左上側)に配置される。
【0015】
図示される実施形態では、図1に示されるように、複数の配管2の各々は、第2方向に沿って延在する主管12に一端141が接続された枝管13からなる。主管12は、エンジン10に一列に並んで設けられた複数の気筒11の配列方向に沿って延在している。第2方向は、複数の気筒11の配列方向である。
【0016】
図示される実施形態では、図1に示されるように、複数の配管2(枝管13)の各々は、主管12に接続された一端141から第1方向および第2方向の各々と交差(図示例では、直交)する方向に沿って延在する第1直線部14と、第1直線部14の他端142から第1方向に沿って延在する第2直線部15と、を含む。第2直線部15は、第1直線部14の他端142に接続される一端151と、気筒11に接続される他端152と、を有する。
【0017】
以下、第1水平部22は、第1配管21の第2直線部15からなり、第2水平部24は、第2配管23の第2直線部15からなり、第3水平部26は、第3配管25の第2直線部15からなる場合について説明する。なお、本開示は、第1水平部22が、第1配管21の第1直線部14からなり、第2水平部24は、第2配管23の第1直線部14からなり、第3水平部26は、第3配管25の第1直線部14からなる場合にも適用可能である。また、本開示は、複数の配管2が枝管13以外の場合にも適用可能である。
【0018】
(第1の実施形態)
幾つかの実施形態に係る振動抑制装置1は、図2図5に示されるように、第1腕部31と、第1腕部31との間に第1隙間41が形成される第2腕部32と、第1腕部31および第2腕部32の夫々と当接するように第1隙間41に設けられた粘弾性体51と、を備える。
【0019】
(第1腕部)
第1腕部31は、第1方向に沿って延在する第1水平部22に固定されるとともに、第1水平部22から第2水平部24に向かって延在している。
【0020】
図示される実施形態では、振動抑制装置1は、第1水平部22の周方向に沿って延在して第1水平部22の外周の一部を覆う第1円弧部311と、第1水平部22の周方向に沿って延在して第1水平部22の外周の一部を覆う第2円弧部312であって、第1円弧部311との間に第1水平部22を挟んで配置される第2円弧部312と、第1円弧部311及び第2円弧部312の各々の一方の端部同士を締結する第1締結部材16Aと、をさらに備える。第1腕部31は、第1円弧部311又は第2円弧部312にその基端315が接続され、基端315から第2方向に沿って延在している。
【0021】
図2図5に示される実施形態では、振動抑制装置1は、第1円弧部311の一方(図示例では、第2方向の他方側)の先端(円弧端)から第1水平部22の径方向における外側に突出する第1突出部313と、第2円弧部312の一方(図示例では、第2方向の他方側)の先端(円弧端)から第1水平部22の径方向における外側に突出して、第1突出部313に当接する第2突出部314と、を備える。第1締結部材16Aは、第1突出部313と第2突出部314をボルト締結するように構成されたボルト17Aおよびナット18Aを含んでいてもよい。
【0022】
(第2腕部)
第2腕部32は、第2水平部24に固定されるとともに第2水平部24から第1水平部22に向かって延在している。第2腕部32は、第1方向および第2方向の各々と直交する第3方向に沿った第1隙間41が第1腕部31との間に形成されるように構成される。換言すると、第2腕部は、第2方向において第1腕部31と重複する部分(先端)を有するとともに、第3方向において第1腕部31とずれた位置に配置されている。
【0023】
図示される実施形態では、振動抑制装置1は、第2水平部24の周方向に沿って延在して第2水平部24の外周の一部を覆う第3円弧部321と、第2水平部24の周方向に沿って延在して第2水平部24の外周の一部を覆う第4円弧部322であって、第3円弧部321との間に第2水平部24を挟んで配置される第4円弧部322と、第3円弧部321及び第4円弧部322の各々の一方の端部同士を締結する第2締結部材16Bと、をさらに備える。第2腕部32は、第3円弧部321又は第4円弧部322にその基端325が接続され、基端325から第2方向に沿って延在している。
【0024】
図2図5に示される実施形態では、振動抑制装置1は、第3円弧部321の一方(図示例では、第2方向の一方側)の先端(円弧端)から第2水平部24の径方向における外側に突出する第3突出部323と、第4円弧部322の一方(図示例では、第2方向の一方側)の先端(円弧端)から第2水平部24の径方向における外側に突出して、第3突出部323に当接する第4突出部324と、を備える。第2締結部材16Bは、第3突出部323と第4突出部324をボルト締結するように構成されたボルト17Bおよびナット18Bを含んでいてもよい。
【0025】
図示される実施形態では、第1隙間41に設けられた粘弾性体51は、重力に対して自身の形状を維持することができ、加えた力の方向に大きく伸縮し、力を除くと元の形状に戻る特性(弾性変形)を有する。図2図5に示される実施形態では、粘弾性体51は、ゴム材料により構成される。粘弾性体51は、第1隙間41において、一端が第1腕部31に接着剤を介して固着され、他端が第2腕部32に接着剤を介して固着されている。
【0026】
第1腕部31と第2腕部32との間に第3方向に沿った第1隙間41が設けられ、この第1隙間41に設けられた粘弾性体51は、第1腕部31および第2腕部32の夫々と当接している。この場合には、第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、第1隙間41に設けられた粘弾性体51がせん断抵抗を発生させる。このように、第1水平部22と第2水平部24の間に発生する相対的な動きを、粘弾性体51の減衰能を効果的に発揮できるせん断変形に変換することで、粘弾性体51により振動を効果的に減衰させることができる。上記の構成によれば、粘弾性体51が発生させたせん断抵抗により、第1水平部22や第2水平部24が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管21や第2配管23の振動を抑制できる。
【0027】
幾つかの実施形態では、上述した振動抑制装置1は、図3に示されるように、第3腕部33と、第3腕部33との間に第2隙間42が形成される第4腕部34と、第3腕部33および第4腕部34の夫々と当接するように第2隙間42に設けられた粘弾性体52と、をさらに備える。
【0028】
(第3腕部)
第3腕部33は、第1方向に沿って延在する第1水平部22に固定されるとともに、第1水平部22から第3水平部26に向かって延在している。図示される実施形態では、第3腕部33は、第1円弧部311又は第2円弧部312にその基端316が接続され、基端316から第2方向に沿って延在している。
【0029】
図3に示される実施形態では、第1腕部31が第1円弧部311に接続され、第3腕部33が第2円弧部312に接続されているが、第1腕部31および第3腕部33の両方が第1円弧部311又は第2円弧部312に接続されてもよい。
【0030】
図3に示される実施形態では、振動抑制装置1は、第1円弧部311及び第2円弧部312の各々の上記一方とは反対側である他方(図示例では、第2方向の一方側)の端部同士を締結する第3締結部材16Cと、第1円弧部311の上記他方の先端(円弧端)から第1水平部22の径方向における外側に突出する第5突出部317と、第2円弧部312の上記他方の先端(円弧端)から第1水平部22の径方向における外側に突出して、第5突出部317に当接する第6突出部318と、を備える。第3締結部材16Cは、第5突出部317と第6突出部318をボルト締結するように構成されたボルト17Cおよびナット18Cを含んでいてもよい。
【0031】
図3に示される実施形態では、振動抑制装置1は、第3円弧部321及び第4円弧部322の各々の上記一方とは反対側である他方(図示例では、第2方向の他方側)の端部同士を締結する第4締結部材16Dと、第3円弧部321の上記他方の先端(円弧端)から第2水平部24の径方向における外側に突出する第7突出部326と、第4円弧部322の上記他方の先端(円弧端)から第2水平部24の径方向における外側に突出して、第7突出部326に当接する第8突出部327と、を備える。第4締結部材16Dは、第7突出部326と第8突出部327をボルト締結するように構成されたボルト17Dおよびナット18Dを含んでいてもよい。
【0032】
(第4腕部)
第4腕部34は、第1方向に沿って延在する第3水平部26に固定されるとともに、第3水平部26から第1水平部22に向かって延在している。第4腕部34は、第3方向に沿った第2隙間42が第3腕部33との間に形成されるように構成される。換言すると、第4腕部34は、第2方向において第3腕部33と重複する部分(先端)を有するとともに、第3方向において第3腕部33とずれた位置に配置されている。
【0033】
図示される実施形態では、振動抑制装置1は、第3水平部26の周方向に沿って延在して第3水平部26の外周の一部を覆う第5円弧部341と、第3水平部26の周方向に沿って延在して第3水平部26の外周の一部を覆う第6円弧部342であって、第5円弧部341との間に第3水平部26を挟んで配置される第6円弧部342と、第5円弧部341及び第6円弧部342の各々の一方(図示例では、第2方向の他方側)の端部同士を締結する第5締結部材16Eと、をさらに備える。第4腕部34は、第5円弧部341又は第6円弧部342にその基端345が接続され、基端345から第2方向に沿って延在している。
【0034】
図3に示される実施形態では、振動抑制装置1は、第5円弧部341の上記一方の先端(円弧端)から第3水平部26の径方向における外側に突出する第9突出部343と、第6円弧部342の上記一方の先端(円弧端)から第3水平部26の径方向における外側に突出して、第9突出部343に当接する第10突出部344と、を備える。第5締結部材16Eは、第9突出部343と第10突出部344をボルト締結するように構成されたボルト17Eおよびナット18Eを含んでいてもよい。
【0035】
図3に示される実施形態では、振動抑制装置1は、第5円弧部341及び第6円弧部342の各々の上記一方とは反対側である他方(図示例では、第2方向の一方側)の端部同士を締結する第6締結部材16Fと、第5円弧部341の上記他方の先端(円弧端)から第3水平部26の径方向における外側に突出する第11突出部346と、第6円弧部342の上記他方の先端(円弧端)から第3水平部26の径方向における外側に突出して、第11突出部346に当接する第12突出部347と、を備える。第6締結部材16Fは、第11突出部346と第12突出部347をボルト締結するように構成されたボルト17Fおよびナット18Fを含んでいてもよい。
【0036】
図示される実施形態では、第2隙間42に設けられた粘弾性体52は、重力に対して自身の形状を維持することができ、加えた力の方向に大きく伸縮し、力を除くと元の形状に戻る特性(弾性変形)を有する。図3に示される実施形態では、粘弾性体52は、ゴム材料により構成される。粘弾性体52は、第2隙間42において、一端が第3腕部33に接着剤を介して固着され、他端が第4腕部34に接着剤を介して固着されている。
【0037】
第3腕部33と第4腕部34との間に第3方向に沿った第2隙間42が設けられ、この第2隙間42に設けられた粘弾性体52は、第3腕部33および第4腕部34の夫々と当接している。この場合には、第1配管21や第3配管25が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第3水平部26との間の距離が増減したときに、第2隙間42に設けられた粘弾性体52がせん断抵抗を発生させる。第1隙間41や第2隙間42に設けられた粘弾性体51、52が発生させたせん断抵抗により、第1水平部22、第2水平部24及び第3水平部26が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管21、第2配管23及び第3配管25の振動を効果的に抑制できる。
【0038】
なお、振動抑制装置1は、図3に示されるように、互いに隣接する配管2の水平部の各々から隣接する配管2に向かって延びる一対の腕部と、一対の腕部の夫々と当接するように一対の腕部の間に設けられた隙間に設けられた粘弾性体を、複数の配管2の数に応じて追加することで、3本以上の配管2を相互に固定でき、これらの配管2の振動を抑制することができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、図3に示されるように、上述した第1腕部31は、第5突出部317又は第6突出部318の何れか(図示例では第5突出部317)からなる。上述した第2腕部32は、第7突出部326又は第8突出部327の何れか(図示例では第7突出部326)からなる。上述した第3腕部33は、第1突出部313又は第2突出部314の何れか(図示例では第2突出部314)からなる。上述した第4腕部34は、第11突出部346又は第12突出部347の何れか(図示例では第11突出部346)からなる。これらの場合には、振動抑制装置1における腕部31~34が突出部を兼ねることで、振動抑制装置1の構造の複雑化を抑制できる。
【0040】
幾つかの実施形態では、上述した振動抑制装置1は、図4図5に示されるように、第2腕部32との間に第3隙間43が形成される第5腕部35と、第2腕部32および第5腕部35の夫々と当接するように第3隙間43に設けられた粘弾性体53と、を備える。
【0041】
(第5腕部)
第5腕部35は、第1水平部22に固定されるとともに、第1水平部22から第2水平部24に向かって延在している。第5腕部35は、第3方向において第1隙間41とは第2腕部32を挟んで反対側に形成される第3方向に沿った第3隙間43が第2腕部32との間に形成されるように構成される。第5腕部35は、第2方向において第2腕部32と重複する部分(先端)を有する。
【0042】
図示される実施形態では、第5腕部35は、第1円弧部311又は第2円弧部312にその基端351が接続され、基端351から第2方向に沿って延在している。図4図5に示される実施形態では、第1腕部31が第1円弧部311に接続され、第5腕部35が第2円弧部312に接続されているが、第1腕部31および第5腕部35の両方が第1円弧部311又は第2円弧部312に接続されてもよい。
【0043】
図示される実施形態では、第3隙間43に設けられた粘弾性体53は、重力に対して自身の形状を維持することができ、加えた力の方向に大きく伸縮し、力を除くと元の形状に戻る特性(弾性変形)を有する。図4、5に示される実施形態では、粘弾性体53は、ゴム材料により構成される。粘弾性体53は、第3隙間43において、一端が第2腕部32に接着剤を介して固着され、他端が第5腕部35に接着剤を介して固着されている。
【0044】
第2腕部32と第5腕部35との間に第3方向に沿った第3隙間43が設けられ、この第3隙間43に設けられた粘弾性体53は、第2腕部32および第5腕部35の夫々と当接している。この場合には、第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、第1隙間41及び第3隙間43に設けられた粘弾性体51、53の各々がせん断抵抗を発生させる。上記の構成によれば、第1隙間41のみに粘弾性体51を設ける場合に比べて、各粘弾性体51、53が発生させるせん断抵抗の合計を大きくできる。これにより、第1水平部22や第2水平部24が第2方向にずれるのを効果的に抑制でき、第1配管21や第2配管23の振動を効果的に抑制できる。
【0045】
幾つかの実施形態では、上述した振動抑制装置1は、図5に示されるように、第1腕部31との間に第4隙間44が形成される第6腕部36と、第1腕部31および第6腕部36の夫々と当接するように第4隙間44に設けられた粘弾性体54と、を備える。
【0046】
(第6腕部)
第6腕部36は、第2水平部24に固定されるとともに、第2水平部24から第1水平部22に向かって延在している。第6腕部36は、第3方向において第1隙間41とは第1腕部31を挟んで反対側に形成される第3方向に沿った第4隙間44が第1腕部31との間に形成されるように構成される。第6腕部36は、第2方向において第1腕部31と重複する部分(先端)を有する。
【0047】
図示される実施形態では、第6腕部36は、第3円弧部321又は第4円弧部322にその基端361が接続され、基端361から第2方向に沿って延在している。図5に示される実施形態では、第2腕部32が第3円弧部321に接続され、第6腕部36が第4円弧部322に接続されているが、第2腕部32および第6腕部36の両方が第3円弧部321又は第4円弧部322に接続されてもよい。
【0048】
図示される実施形態では、第4隙間44に設けられた粘弾性体54は、重力に対して自身の形状を維持することができ、加えた力の方向に大きく伸縮し、力を除くと元の形状に戻る特性(弾性変形)を有する。図5に示される実施形態では、粘弾性体54は、ゴム材料により構成される。粘弾性体54は、第4隙間44において、一端が第6腕部36に接着剤を介して固着され、他端が第1腕部31に接着剤を介して固着されている。
【0049】
第1腕部31と第6腕部36との間に第3方向に沿った第4隙間44が設けられ、この第4隙間44に設けられた粘弾性体54は、第1腕部31および第6腕部36の夫々と当接している。この場合には、第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、第1隙間41及び第4隙間44に設けられた粘弾性体51、54の各々がせん断抵抗を発生させる。上記の構成によれば、第1隙間41のみに粘弾性体51を設ける場合に比べて、各粘弾性体51、54が発生させるせん断抵抗の合計を大きくできる。これにより、第1水平部22や第2水平部24が第2方向にずれるのを効果的に抑制でき、第1配管21や第2配管23の振動を効果的に抑制できる。なお、本実施形態は、第3隙間43に設けられた粘弾性体53を備えない振動抑制装置1にも適用可能である。
【0050】
幾つかの実施形態では、図2図5に示されるように、上述した粘弾性体51、52、53および54の夫々は、ゴム材料により構成される。なお、粘弾性体51は、粘弾性体52、53および54の夫々とは別体に構成される。
【0051】
上記の構成によれば、粘弾性体51、52、53および54の夫々は、ゴム材料により構成されるので、外部から加えられた振動に応じて変形し、外部から加えられる振動がなくなると元の形に戻る。よって、ゴム材料により構成された粘弾性体51、52、53および54の夫々は、外部から加えられた振動に対して即座にせん断抵抗を発揮できる。また、粘弾性体51、52、53および54の夫々が外部から加えられた振動により変形しても、該粘弾性が設けられた隙間(第1隙間41など)に該粘弾性を維持できるため、該粘弾性の外部から加えられた振動に対して繰り返しせん断抵抗を発揮できる。これにより、複数の配管2の振動を効果的に抑制できる。
【0052】
(第2実施形態)
幾つかの実施形態に係る振動抑制装置1は、図6図7に示されるように、上述した第1腕部31と、第1腕部31との間に第1隙間41が形成される上述した第2腕部32と、流動性を有する粘性材料により構成された粘弾性体61と、内部に第1隙間41が設けられるとともに、粘弾性体61が充填されたケーシング7と、を備える。
【0053】
図6図7に示される実施形態では、ケーシング7は、第1腕部31の先端(基端315とは反対側の端)をケーシング7の内部に挿入するための第1挿入孔71と、第2腕部32の先端(基端325とは反対側の端)をケーシング7の内部に挿入するための第2挿入孔72と、が形成されている。第1腕部31の先端と第2腕部32の先端が、ケーシング7の内部に挿入されることで、ケーシング7の内部に第1隙間41が設けられる。ケーシング7の内部には、流動性を有する粘性材料により構成される粘弾性体61が充填されており、この粘弾性体61の一部が、上述した粘弾性体51を構成する。粘弾性体51は、流動性を有する粘性材料により構成される。
【0054】
図7に示される実施形態では、ケーシング7は、第5腕部35の先端(基端351とは反対側の端)をケーシング7の内部に挿入するための第3挿入孔73と、第6腕部36の先端(基端361とは反対側の端)をケーシング7の内部に挿入するための第4挿入孔74と、がさらに形成されている。第5腕部35の先端と第6腕部36の先端が、ケーシング7の内部に挿入されることで、ケーシング7の内部に第3隙間43及び第4隙間44が設けられる。ケーシング7の内部に充填された粘弾性体61の一部がそれぞれ粘弾性体51、53、54を構成する。粘弾性体53および54の夫々は、流動性を有する粘性材料により構成される。粘弾性体51は、粘弾性体53および54の夫々とは一体的に構成される。なお、上述した粘弾性体52も、粘弾性体51と同様に流動性を有する粘性材料により構成されていてもよい。
【0055】
図6図7に示される実施形態では、ケーシング7は、第1方向に直交する断面において、第1辺部75と、第2辺部76と、第3辺部77と、第4辺部78と、を含む。
【0056】
第1辺部75は、第3方向における第2腕部32を挟んで第1腕部31とは反対側において第2方向に沿って延在する。第2辺部76は、第3方向における第1腕部31を挟んで第2腕部32とは反対側において第2方向に沿って延在する。第3辺部77は、第2方向における第2腕部32の先端よりも一方(第2方向の上記他方側)において第3方向に沿って延在し、一端が第1辺部75に接続され、他端が第2辺部76に接続されている。第1挿入孔71や第3挿入孔73は、第3辺部77に形成されている。第4辺部78は、第2方向における第1腕部31の先端よりも他方(第2方向の上記一方側)において第3方向に沿って延在し、一端が第1辺部75に接続され、他端が第2辺部76に接続されている。
【0057】
図6に示される実施形態では、第1辺部75は、第2腕部32との間に第3方向に沿った隙間70Aが設けられている。第2辺部76は、第1腕部31との間に第3方向に沿った隙間70Bが設けられている。隙間70A、70Bの夫々に粘弾性体61の一部が充填されている。第1隙間41、隙間70A、70Bの夫々に充填された粘弾性体61は、流動性を有する粘性材料により構成されるので、粘弾性体61の外部から加えられた振動に応じて変形し、即座にせん断抵抗を発揮できる。第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、第1隙間41、隙間70A、70Bの夫々に充填された粘弾性体61がせん断抵抗を発生させる。
【0058】
図7に示される実施形態では、第1辺部75は、第5腕部35との間に第3方向に沿った隙間70Cが設けられている。第2辺部76は、第6腕部36との間に第3方向に沿った隙間70Dが設けられている。隙間70C、70Dの夫々に粘弾性体61の一部が充填されている。第1隙間41、第3隙間43、第4隙間44、隙間70C、70Dの夫々に充填された粘弾性体61は、流動性を有する粘性材料により構成されるので、粘弾性体61の外部から加えられた振動に応じて変形し、即座にせん断抵抗を発揮できる。第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、第1隙間41、第3隙間43、第4隙間44、隙間70C、70Dの夫々に充填された粘弾性体61がせん断抵抗を発生させる。
【0059】
上記の構成によれば、第1隙間41やケーシング7と腕部(第1腕部31など)との間の隙間に充填された粘弾性体61は、流動性を有する粘性材料により構成されるので、粘弾性体61の外部から加えられた振動に応じて変形する。よって、粘弾性体61は、粘弾性体61の外部から加えられた振動に対して即座にせん断抵抗を発揮できる。第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、粘弾性体61が発生させたせん断抵抗により、第1水平部22や第2水平部24が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管21や第2配管23の振動を抑制できる。これにより、複数の配管2の振動を効果的に抑制できる。
【0060】
(第3の実施形態)
幾つかの実施形態に係る振動抑制装置1は、図8図9に示されるように、第1固定部320と、第1固定部320との間に第1隙間41Aが形成される第1腕部31Aと、第1腕部31Aおよび第1固定部320の夫々と当接するように第1隙間41Aに設けられた粘弾性体51Aと、を備える。
【0061】
(第1固定部)
第1固定部320は、第2水平部24の外周を覆うとともに、第2水平部24に固定されている。図示される実施形態では、第1固定部320は、上述した第3円弧部321と、上述した第4円弧部322と、上述した第2締結部材16Bと、を含む。
【0062】
(第1腕部)
第1腕部31Aは、第1方向に沿って延在する第1水平部22に固定されるとともに、第1水平部22から第2水平部24に向かって延在している。図示される実施形態では、振動抑制装置1は、上述した第1円弧部311と、上述した第2円弧部312と、上述した締結部材16Aと、をさらに備える。第1腕部31Aは、第1円弧部311又は第2円弧部312にその基端315Aが接続され、基端315Aから第2方向に沿って延在している。
【0063】
第1腕部31Aは、第3方向に沿った第1隙間41Aが第1固定部320との間に形成されるように構成される。換言すると、第1腕部31Aは、第2方向において第1固定部320と重複する部分(先端)を有するとともに、第3方向において第1固定部320とずれた位置に配置されている。図示される実施形態では、第1腕部31Aは、第1円弧部311に基端315Aが接続され、基端315Aとは反対側の端である先端が、第4円弧部322の外周面との間に第1隙間41Aを形成するようになっている。
【0064】
図示される実施形態では、第1隙間41Aに設けられた粘弾性体51Aは、重力に対して自身の形状を維持することができ、加えた力の方向に大きく伸縮し、力を除くと元の形状に戻る特性(弾性変形)を有する。図8図9に示される実施形態では、粘弾性体51Aは、ゴム材料により構成される。粘弾性体51Aは、第1隙間41Aにおいて、一端が第1腕部31Aに接着剤を介して固着され、他端が第4円弧部322の外周面に接着剤を介して固着されている。
【0065】
第1腕部31Aと第1固定部320との間に第3方向に沿った第1隙間41Aが設けられ、この第1隙間41Aに設けられた粘弾性体51Aは、第1腕部31Aおよび第1固定部320の夫々と当接している。この場合には、第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、第1隙間41Aに設けられた粘弾性体51Aがせん断抵抗を発生させる。このように、第1水平部22と第2水平部24の間に発生する相対的な動きを、粘弾性体51Aの減衰能を効果的に発揮できるせん断変形に変換することで、粘弾性体51Aにより振動を効果的に減衰させることができる。上記の構成によれば、粘弾性体51Aが発生させたせん断抵抗により、第1水平部22や第2水平部24が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管21や第2配管23の振動を抑制できる。
【0066】
幾つかの実施形態に係る振動抑制装置1は、図9に示されるように、第2固定部340と、第2固定部340との間に第2隙間42Aが形成される第2腕部32Aと、第2腕部32Aおよび第2固定部340の夫々と当接するように第2隙間42Aに設けられた粘弾性体52Aと、を備える。
【0067】
(第2固定部)
第2固定部340は、第3水平部26の外周を覆うとともに、第3水平部26に固定されている。図示される実施形態では、第2固定部340は、上述した第5円弧部341と、上述した第6円弧部342と、上述した第5締結部材16Eと、を含む。
【0068】
(第2腕部)
第2腕部32Aは、第1方向に沿って延在する第1水平部22に固定されるとともに、第1水平部22から第3水平部26に向かって延在している。図示される実施形態では、第2腕部32Aは、第1円弧部311又は第2円弧部312にその基端328が接続され、基端328から第2方向に沿って延在している。
【0069】
第2腕部32Aは、第3方向に沿った第2隙間42Aが第2固定部340との間に形成されるように構成される。換言すると、第2腕部32Aは、第2方向において第2固定部340と重複する部分(先端)を有するとともに、第3方向において第2固定部340とずれた位置に配置されている。図示される実施形態では、第2腕部32Aは、第2円弧部312に基端328が接続され、基端328とは反対側の端である先端が、第5円弧部341の外周面との間に第2隙間42Aを形成するようになっている。
【0070】
図示される実施形態では、第2隙間42Aに設けられた粘弾性体52Aは、重力に対して自身の形状を維持することができ、加えた力の方向に大きく伸縮し、力を除くと元の形状に戻る特性(弾性変形)を有する。図9に示される実施形態では、粘弾性体52Aは、ゴム材料により構成される。粘弾性体52Aは、第2隙間42Aにおいて、一端が第2腕部32Aに接着剤を介して固着され、他端が第5円弧部341の外周面に接着剤を介して固着されている。
【0071】
第2腕部32Aと第2固定部340との間に第3方向に沿った第2隙間42Aが設けられ、この第2隙間42Aに設けられた粘弾性体52Aは、第2腕部32Aおよび第2固定部340の夫々と当接している。第1配管21や第3配管25が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第3水平部26との間の距離が増減したときに、第2隙間42Aに設けられた粘弾性体52Aがせん断抵抗を発生させる。上記の構成によれば、第1隙間41Aや第2隙間42Aに設けられた粘弾性体51A、52Aが発生させたせん断抵抗により、第1水平部22、第2水平部24及び第3水平部26が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管21、第2配管23及び第3配管25の振動を効果的に抑制できる。
【0072】
幾つかの実施形態では、図8図9に示されるように、上述した粘弾性体51A、52Aの夫々は、ゴム材料により構成される。粘弾性体51Aは、粘弾性体52Aとは別体に構成される。
【0073】
上記の構成によれば、粘弾性体51A、52Aの夫々は、ゴム材料により構成されるので、外部から加えられた振動に応じて変形し、外部から加えられる振動がなくなると元の形に戻る。よって、ゴム材料により構成された粘弾性体51A、52Aの夫々は、外部から加えられた振動に対して即座にせん断抵抗を発揮できる。また、粘弾性体51A、52Aの夫々が外部から加えられた振動により変形しても、該粘弾性が設けられた隙間(第1隙間41Aなど)に該粘弾性体を維持できるため、該粘弾性体の外部から加えられた振動に対して繰り返しせん断抵抗を発揮できる。これにより、複数の配管2の振動を効果的に抑制できる。
【0074】
(第4実施形態)
幾つかの実施形態に係る振動抑制装置1は、図10に示されるように、上述した第1固定部320と、第1固定部320との間に第1隙間41Aが形成される上述した第1腕部31Aと、流動性を有する粘性材料により構成された粘弾性体61Aと、内部に第1隙間41Aが設けられるとともに、粘弾性体61Aが充填されたケーシング8と、を備える。
【0075】
図10に示される実施形態では、ケーシング8は、第1固定部320(図示例では、第4円弧部322)の外周に取り付けられることで、その内部に粘弾性体51A(61A)が充填される内部空間80が形成される。ケーシング8は、第1腕部31Aの先端(基端315Aとは反対側の端)をケーシング8の内部に挿入するための挿入孔81が形成されている。第1腕部31Aの先端が、ケーシング8の内部に挿入されることで、ケーシング8の内部に第1隙間41Aが設けられる。ケーシング8の内部には、流動性を有する粘性材料により構成される粘弾性体61Aが充填されており、この粘弾性体61Aの一部が上述した粘弾性体51Aを構成する。粘弾性体51Aは、流動性を有する粘性材料により構成される。
【0076】
図10に示される実施形態では、ケーシング8は、第1方向に直交する断面において、第1辺部82と、第2辺部83と、第3辺部84と、を含む。
【0077】
第1辺部82は、第3方向における第1腕部31Aの先端を挟んで第4円弧部322とは反対側において第2方向に沿って延在する。第2辺部83は、第2方向における第1腕部31Aの先端よりも一方(第2方向の上記一方側)において第3方向に沿って延在し、一端が第1辺部82に接続され、他端が第4円弧部322に接続されている。第3辺部84は、第2方向における第1腕部31Aの先端よりも他方(第2方向の上記他方側)において第3方向に沿って延在し、一端が第1辺部82に接続され、他端が第4円弧部322に接続されている。挿入孔81は、第3辺部84に形成されている。
【0078】
図10に示される実施形態では、第1辺部82は、第1腕部31Aとの間に第3方向に沿った隙間80Aが設けられている。内部空間80は、隙間80Aを含み、隙間80Aにも粘弾性体61Aの一部が充填されている。第1隙間41Aや隙間80Aの夫々に充填された粘弾性体61Aは、流動性を有する粘性材料により構成されるので、粘弾性体61Aの外部から加えられた振動に応じて変形し、即座にせん断抵抗を発揮できる。第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、第1隙間41Aや隙間80Aの夫々に充填された粘弾性体61Aがせん断抵抗を発生させる。
【0079】
上記の構成によれば、第1隙間41Aやケーシング8と第1腕部31との間の隙間に充填された粘弾性体61Aは、流動性を有する粘性材料により構成されるので、粘弾性体61Aの外部から加えられた振動に応じて変形する。よって、粘弾性体61Aは、粘弾性体61Aの外部から加えられた振動に対して即座にせん断抵抗を発揮できる。第1配管21や第2配管23が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部22と第2水平部24との間の距離が増減したときに、粘弾性体61Aが発生させたせん断抵抗により、第1水平部22や第2水平部24が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管21や第2配管23の振動を抑制できる。これにより、複数の配管2の振動を効果的に抑制できる。
【0080】
幾つかの実施形態では、図1に示されるように、上述した複数の配管2の各々は、第2方向に沿って延在する主管12に一端141が接続された枝管13からなる。上記の構成によれば、主管12に一端141が接続された複数の枝管13の各々は、主管12から伝達される振動により、主管12の延在する第2方向に沿って変形する傾向がある。このため、複数の枝管13に対して振動抑制装置1を設けることで、複数の枝管13の振動を効果的に抑制できる。
【0081】
幾つかの実施形態では、図1に示されるように、上述した複数の配管2の各々は、上述した第1直線部14および第2直線部15を含み、第1水平部22は、第1配管21の第2直線部15からなり、第2水平部24は、第2配管23の第2直線部15からなる。また、第3水平部26は、第3配管25の第2直線部15からなる。
【0082】
上記の構成によれば、粘弾性体51、51A等が発生させたせん断抵抗により、第1水平部22(第1配管21の第2直線部15)や第2水平部24(第2配管23の第2直線部15)が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管21や第2配管23の振動を抑制できる。
【0083】
なお、第1円弧部311、第2円弧部312、第3円弧部321および第4円弧部322の各々は、振動抑制効果を高めるために、最も振動振幅の大きい位置に配置することが好ましい。図1に示される実施形態では、第1円弧部311および第2円弧部312は、第1配管21の第2直線部15の一端151側(第1直線部14に接続される側)に配置することが好ましい。また、第3円弧部321および第4円弧部322は、第2配管23の第2直線部15の一端151側(第1直線部14に接続される側)に配置することが好ましい。
【0084】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0085】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0086】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0087】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る振動抑制装置(1)は、
複数の配管(2)の振動を抑制するための振動抑制装置(1)であって、
前記複数の配管(2)は、第1方向に沿って延在する第1水平部(22)を有する第1配管(21)と、前記第1方向に沿って延在する第2水平部(24)であって前記第1水平部(22)より前記第1方向と直交する第2方向の一方側に離間して配置される第2水平部(24)を有する第2配管(23)と、を含み、
前記振動抑制装置(1)は、
前記第1水平部(22)に固定されるとともに前記第1水平部(22)から前記第2水平部(24)に向かって延在する第1腕部(31)と、
前記第2水平部(24)に固定されるとともに前記第2水平部(24)から前記第1水平部(22)に向かって延在する第2腕部(32)であって、前記第1方向および前記第2方向の各々と直交する第3方向に沿った第1隙間(41)が前記第1腕部(31)との間に形成されるように構成された第2腕部(32)と、
前記第1腕部(31)および前記第2腕部(32)の夫々と当接するように前記第1隙間(41)に設けられた粘弾性体(51)と、を備える。
【0088】
上記1)の構成によれば、第1腕部(31)と第2腕部(32)との間に第3方向に沿った第1隙間(41)が設けられ、この第1隙間(41)に設けられた粘弾性体(51)は、第1腕部(31)および第2腕部(32)の夫々と当接している。この場合には、第1配管(21)や第2配管(23)が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部(22)と第2水平部(24)との間の距離が増減したときに、第1隙間(41)に設けられた粘弾性体(51)がせん断抵抗を発生させる。上記1)の構成によれば、粘弾性体(51)が発生させたせん断抵抗により、第1水平部(22)や第2水平部(24)が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管(21)や第2配管(23)の振動を効果的に抑制できる。
【0089】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の振動抑制装置(1)であって、
前記複数の配管(2)は、前記第1方向に沿って延在する第3水平部(26)であって前記第1水平部(22)より前記第2方向の他方側に離間して配置される第3水平部(26)を有する第3配管(25)、をさらに含み、
前記振動抑制装置(1)は、
前記第1水平部(22)に固定されるとともに前記第1水平部(22)から前記第3水平部(26)に向かって延在する第3腕部(33)と、
前記第3水平部(26)に固定されるとともに前記第3水平部(26)から前記第1水平部(22)に向かって延在する第4腕部(34)であって、前記第3方向に沿った第2隙間(42)が前記第3腕部(33)との間に形成されるように構成された第4腕部(34)と、
前記第3腕部(33)および前記第4腕部(34)の夫々と当接するように前記第2隙間(42)に設けられた粘弾性体(52)と、をさらに備える。
【0090】
上記2)の構成によれば、第1配管(21)や第3配管(25)が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部(22)と第3水平部(26)との間の距離が増減したときに、第2隙間(42)に設けられた粘弾性体(52)がせん断抵抗を発生させる。上記2)の構成によれば、第1隙間(41)や第2隙間(42)に設けられた粘弾性体(51、52)が発生させたせん断抵抗により、第1水平部(22)、第2水平部(24)及び第3水平部(26)が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管(21)、第2配管(23)及び第3配管(25)の振動を効果的に抑制できる。
【0091】
3)幾つかの実施形態では、上記1)又は上記2)に記載の振動抑制装置(1)であって、
前記第1水平部(22)に固定されるとともに前記第1水平部(22)から前記第2水平部(24)に向かって延在する第5腕部(35)であって、前記第1隙間(41)とは前記第2腕部(32)を挟んで反対側に形成される前記第3方向に沿った第3隙間(43)が前記第2腕部(32)との間に形成されるように構成された第5腕部(35)と、
前記第2腕部(32)および前記第5腕部(35)の夫々と当接するように前記第3隙間(43)に設けられた粘弾性体(53)と、を備える。
【0092】
上記3)の構成によれば、第1配管(21)や第2配管(23)が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部(22)と第2水平部(24)との間の距離が増減したときに、第1隙間(41)及び第3隙間(43)に設けられた粘弾性体(51、53)の各々がせん断抵抗を発生させる。上記3)の構成によれば、第1隙間(41)のみに粘弾性体(51)を設ける場合に比べて、各粘弾性体(51、53)が発生させるせん断抵抗の合計を大きくできる。これにより、第1水平部(22)や第2水平部(24)が第2方向にずれるのを効果的に抑制でき、第1配管(21)や第2配管(23)の振動を効果的に抑制できる。
【0093】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から上記3)までの何れかに記載の振動抑制装置(1)であって、
前記第2水平部(24)に固定されるとともに前記第2水平部(24)から前記第1水平部(22)に向かって延在する第6腕部(36)であって、前記第1隙間(41)とは前記第1腕部(31)を挟んで反対側に形成される前記第3方向に沿った第4隙間(44)が前記第1腕部(31)との間に形成されるように構成された第6腕部(36)と、
前記第1腕部(31)および前記第6腕部(36)の夫々と当接するように前記第4隙間(44)に設けられた粘弾性体(54)と、を備える。
【0094】
上記4)の構成によれば、第1配管(21)や第2配管(23)が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部(22)と第2水平部(24)との間の距離が増減したときに、第1隙間(41)及び第4隙間(44)に設けられた粘弾性体(51、54)の各々がせん断抵抗を発生させる。上記4)の構成によれば、第1隙間(41)のみに粘弾性体(51)を設ける場合に比べて、各粘弾性体(51、54)が発生させるせん断抵抗の合計を大きくできる。これにより、第1水平部(22)や第2水平部(24)が第2方向にずれるのを効果的に抑制でき、第1配管(21)や第2配管(23)の振動を効果的に抑制できる。
【0095】
5)本開示の少なくとも一実施形態に係る振動抑制装置(1)は、
複数の配管(2)の振動を抑制するための振動抑制装置(1)であって、
前記複数の配管(2)は、第1方向に沿って延在する第1水平部(22)を有する第1配管(21)と、前記第1方向に沿って延在する第2水平部(24)であって前記第1水平部(22)より前記第1方向と直交する第2方向の一方側に離間して配置される第2水平部(24)を有する第2配管(23)と、を含み、
前記振動抑制装置(1)は、
前記第2水平部(24)の外周を覆うとともに前記第2水平部(24)に固定された第1固定部(320)と、
前記第1水平部(22)に固定されるとともに前記第1水平部(22)から前記第2水平部(24)に向かって延在する第1腕部(31A)であって、前記第1方向および前記第2方向の各々と直交する第3方向に沿った第1隙間(41A)が前記第1固定部(320)との間に形成されるように構成された第1腕部(31A)と、
前記第1腕部(31A)および前記第1固定部(320)の夫々と当接するように前記第1隙間(41A)に設けられた粘弾性体(51A)と、を備える。
【0096】
上記5)の構成によれば、第1腕部(31A)と第1固定部(320)との間に第3方向に沿った第1隙間(41A)が設けられ、この第1隙間(41A)に設けられた粘弾性体(51A)は、第1腕部(31A)および第1固定部(320)の夫々と当接している。この場合には、第1配管(21)や第2配管(23)が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部(22)と第2水平部(24)との間の距離が増減したときに、第1隙間(41A)に設けられた粘弾性体(51A)がせん断抵抗を発生させる。上記5)の構成によれば、粘弾性体(51A)が発生させたせん断抵抗により、第1水平部(22)や第2水平部(24)が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管(21)や第2配管(23)の振動を効果的に抑制できる。
【0097】
6)幾つかの実施形態では、上記5)に記載の振動抑制装置(1)であって、
前記複数の配管(2)は、前記第1方向に沿って延在する第3水平部(26)であって前記第1水平部(22)より前記第2方向の他方側に離間して配置される第3水平部(26)を有する第3配管(25)、をさらに含み、
前記振動抑制装置(1)は、
前記第3水平部(26)の外周を覆うとともに前記第3水平部(26)に固定された第2固定部(340)と、
前記第1水平部(22)に固定されるとともに前記第1水平部(22)から前記第3水平部(26)に向かって延在する第2腕部(32A)であって、前記第3方向に沿った第2隙間(42A)が前記第2固定部(340)との間に形成されるように構成された第2腕部(32A)と、
前記第2腕部(32A)および前記第2固定部(340)の夫々と当接するように前記第2隙間(42A)に設けられた粘弾性体(52A)と、をさらに備える。
【0098】
上記6)の構成によれば、第1配管(21)や第3配管(25)が伝達された振動により第2方向にずれ、第1水平部(22)と第3水平部(26)との間の距離が増減したときに、第2隙間(42A)に設けられた粘弾性体(52A)がせん断抵抗を発生させる。上記6)の構成によれば、第1隙間(41A)や第2隙間(42A)に設けられた粘弾性体(51A、52A)が発生させたせん断抵抗により、第1水平部(22)、第2水平部(24)及び第3水平部(26)が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管(21)、第2配管(23)及び第3配管(25)の振動を効果的に抑制できる。
【0099】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から上記6)までの何れかに記載の振動抑制装置(1)であって、
前記第1隙間(41、41A)に設けられた前記粘弾性体(51、51A)は、ゴム材料により構成される。
【0100】
上記7)の構成によれば、第1隙間(41、41A)に設けられた粘弾性体(51、51A)は、ゴム材料により構成されるので、粘弾性体(51、51A)の外部から加えられた振動に応じて変形し、外部から加えられる振動がなくなると元の形に戻る。よって、ゴム材料により構成された粘弾性体(51、51A)は、粘弾性体(51、51A)の外部から加えられた振動に対して即座にせん断抵抗を発揮できる。また、粘弾性体(51、51A)が外部から加えられた振動により変形しても、第1隙間に粘弾性体(51、51A)を維持できるため、粘弾性体(51、51A)の外部から加えられた振動に対して繰り返しせん断抵抗を発揮できる。これにより、複数の配管(2)の振動を効果的に抑制できる。
【0101】
8)幾つかの実施形態では、上記1)から上記6)までの何れかに記載の振動抑制装置(1)であって、
前記第1隙間(41、41A)に設けられた前記粘弾性体(51、51A)は、流動性を有する粘性材料により構成され、
前記振動抑制装置(1)は、内部に前記第1隙間(41、41A)が設けられるとともに前記粘弾性体(51(61)、51A(61A))が充填されるケーシング(7、8)をさらに備える。
【0102】
上記8)の構成によれば、第1隙間(41、41A)やケーシング(7、8)と腕部(第1腕部31など)との間の隙間に充填された粘弾性体(61、61A)は、流動性を有する粘性材料により構成されるので、粘弾性体(61、61A)の外部から加えられた振動に応じて変形する。よって、粘弾性体(61、61A)は、粘弾性体(61、61A)の外部から加えられた振動に対して即座にせん断抵抗を発揮できる。これにより、複数の配管(2)の振動を効果的に抑制できる。
【0103】
9)幾つかの実施形態では、上記1)から上記8)までの何れかに記載の振動抑制装置(1)であって、
前記複数の配管(2)の各々は、前記第2方向に沿って延在する主管(12)に一端(141)が接続された枝管(13)からなる。
【0104】
上記9)の構成によれば、主管(12)に一端(141)が接続された複数の枝管(13)の各々は、主管(12)から伝達される振動により、主管(12)の延在する第2方向に沿って変形する傾向がある。このため、複数の枝管(13)に対して振動抑制装置(1)を設けることで、複数の枝管(13)の振動を効果的に抑制できる。
【0105】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載の振動抑制装置(1)であって、
前記複数の配管(2)の各々は、前記主管(12)に接続された前記一端(141)から前記第1方向および前記第2方向の各々と交差する方向に沿って延在する第1直線部(14)と、前記第1直線部(14)の他端(142)から前記第1方向に沿って延在する第2直線部(15)と、を含み、
前記第1水平部(22)は、前記第1配管(21)の前記第2直線部(15)からなり、
前記第2水平部(24)は、前記第2配管(23)の前記第2直線部(15)からなる。
【0106】
上記10)の構成によれば、粘弾性体(51、51A)が発生させたせん断抵抗により、第1水平部(22、第1配管21の第2直線部15)や第2水平部(24、第2配管23の第2直線部15)が第2方向にずれるのを抑制できるため、第1配管(21)や第2配管(23)の振動を効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0107】
1 振動抑制装置
2 配管
7,8 ケーシング
10 エンジン
11 気筒
12 主管
13 枝管
14 第1直線部
15 第2直線部
16A~16F 締結部材
17A~17F ボルト
18A~18F ナット
21 第1配管
22 第1水平部
23 第2配管
24 第2水平部
25 第3配管
26 第3水平部
31,31A 第1腕部
32,32A 第2腕部
33 第3腕部
34 第4腕部
35 第5腕部
36 第6腕部
41,41A 第1隙間
42,42A 第2隙間
43 第3隙間
44 第4隙間
51,51A,52,52A,53,54,61,61A 粘弾性体
311 第1円弧部
312 第2円弧部
313 第1突出部
314 第2突出部
315,316 基端
317 第5突出部
318 第6突出部
321 第3円弧部
322 第4円弧部
323 第3突出部
324 第4突出部
325 基端
326 第7突出部
327 第8突出部
341 第5円弧部
342 第6円弧部
343 第9突出部
344 第10突出部
345 基端
346 第11突出部
347 第12突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10