IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トヨタマップマスターの特許一覧

<>
  • 特開-駐車場情報提供サーバ 図1
  • 特開-駐車場情報提供サーバ 図2
  • 特開-駐車場情報提供サーバ 図3
  • 特開-駐車場情報提供サーバ 図4
  • 特開-駐車場情報提供サーバ 図5
  • 特開-駐車場情報提供サーバ 図6
  • 特開-駐車場情報提供サーバ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124614
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】駐車場情報提供サーバ
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20230830BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230830BHJP
   B60L 53/10 20190101ALI20230830BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20230830BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20230830BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20230830BHJP
【FI】
G08G1/14 A
B60L50/60
B60L53/10
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028488
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】馬場 一人
(72)【発明者】
【氏名】大崎 新太郎
【テーマコード(参考)】
5H125
5H181
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125CC04
5H125CD02
5H181AA01
5H181BB08
5H181CC04
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181KK01
5H181KK06
5H181KK07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】駐車場におけるEV車室の満空情報を提供する。
【解決手段】駐車場情報提供サーバ1は、EV車室保存部10、EV車室判定部20及びEV満空信号生成部41を備え、EV車室保存部10に電気自動車へ充電可能なEV車室を特定するEV車室情報を保存させ、EV車室判定部20にEV車室情報に基づき特定されたEV車室の満空状態を判定させ、EV満空信号生成部41にEV車室判定部20の判定結果に基づきEV車室満空信号を生成させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EV車室保存部、EV車室判定部及びEV満空信号生成部を備え、駐車場におけるEV車室の満空状態をナビゲーション装置に提供する駐車場情報提供サーバであって、
前記EV車室保存部に、電気自動車へ充電可能なEV車室を特定するEV車室情報を保存させ、
前記EV車室判定部に、前記EV車室情報に基づき特定された前記EV車室の満空状態を判定させ、
前記EV満空信号生成部に、EV車室判定部の判定結果に基づきEV車室満空信号を生成させる、駐車場情報提供サーバ。
【請求項2】
前記駐車場自体の満空状態を判定させる駐車場満空状態判定部、及び
該駐車場満空状態判定部の判定結果に基づき駐車場満空信号を生成する駐車場満空信号生成部を更に備える、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記EV車室判定部は
前記EV車室を撮影するカメラ、及び
前記カメラの撮影画像を処理して、前記EV車室に車両が駐車しているか否かを判定する画像判定部、を備える請求項1又は2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記EV車室判定部は
前記EV車室の座標を保存するEV車室座標保存部、
車両の走行データを保存する走行データ保存部、及び
前記車両の走行データと前記EV車室の座標とを比較して、前記EV車室に車両が駐車しているか否かを判定する座標判定部、を備える請求項1又は2に記載のサーバ。
【請求項5】
電気自動車へ充電する電源の数Xを保存する電源数保存部、
前記電源の使用中の数Yを保存する電源使用数保存部、及び
前記電源の数Xと前記使用中の数Yとを比較して、前記EV車室満空信号を補正する、満空信号補正部、を更に備える請求項1~4のいずれかに記載のサーバ。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の駐車場情報提供サーバから送信される前記EV車室満空信号を受信する受信部、及び
受信した前記EV車室満空信号に基づき、駐車場におけるEV車室の満空状態を表示する表示部、を備えるナビゲーション装置。
【請求項7】
前記受信部は、請求項2に記載の前記駐車場情報提供サーバから送信される前記駐車場満空信号を更に受信し、
前記表示部は、受信した前記駐車場満空信号に基づき前記駐車場自体の満空状態を表示する、請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
EV車室保存部、EV車室判定部及びEV満空信号生成部を備え、駐車場におけるEV車室の満空状態をナビゲーション装置に提供する駐車場情報提供サーバを用いる駐車場情報提供方法であって、
前記EV車室保存部に、電気自動車へ充電可能なEV車室を特定するEV車室情報を保存させ、
前記EV車室判定部に、前記EV車室情報に基づき特定された前記EV車室の満空状態を判定させ、
前記EV満空信号生成部に、EV車室判定部の判定結果に基づきEV車室満空信号を生成させる、駐車場情報提供方法。
【請求項9】
EV車室保存部、EV車室判定部及びEV満空信号生成部を備え、駐車場におけるEV車室の満空状態をナビゲーション装置に提供する駐車場情報提供サーバに適用されるコンピュータ用のプログラムであって、
前記EV車室保存部に、電気自動車へ充電可能なEV車室を特定するEV車室情報を保存させ、
前記EV車室判定部に、前記EV車室情報に基づき特定された前記EV車室の満空状態を判定させ、
前記EV満空信号生成部に、EV車室判定部の判定結果に基づきEV車室満空信号を生成させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駐車場において電気自動車の利用者へ充電可能なEV車室の満空情報を提供するサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)の普及に伴い、時間貸しや日貸しの駐車場においても、充電が可能な車室が提供されつつある。
電気自動車のドライバからみれば、電気自動車に充電可能な車室(この明細書で「EV車室」という)を利用できるか否かは駐車場選択の一つの指標となりうる。ドライバに対して駐車場自体の満空情報を提供するサーバは例えば特許文献1で提案されている。
本件発明に関連する技術を開示する他の文献として、特許文献2~7を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-242555号公報
【特許文献2】特開2015-036884号公報
【特許文献3】特公表2014-533836号公報
【特許文献4】特開2012-221412号公報
【特許文献5】特開2012-058964号公報
【特許文献6】特開2009-267679号公報
【特許文献7】特開2001-266296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車場の全ての車室がEV車室とされている駐車場は殆ど見受けられない現在において、充電を望む電気自動車のドライバにすれば、空車案内されている駐車場であっても、そのEV車室が使えなれば、不足を感じる。
しかしながら、従来の駐車場情報提供サーバに、駐車場におけるEV車室の満空情報を提供するものはなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、その第1局面は次のように規定される。即ち、
EV車室保存部、EV車室判定部及びEV満空信号生成部を備え、駐車場におけるEV車室の満空状態をナビゲーション装置に提供する駐車場情報提供サーバであって、
前記EV車室保存部に、電気自動車へ充電可能なEV車室を特定するEV車室情報を保存させ、
前記EV車室判定部に、前記EV車室情報に基づき特定された前記EV車室の満空状態を判定させ、
前記EV満空信号生成部に、EV車室判定部の判定結果に基づきEV車室満空信号を生成させる、 駐車場情報提供サーバ。
【0006】
このように規定される第1局面の駐車場情報提供サーバによれば、駐車場のEV車室についての満空情報を提供できるので、充電を希望する電気自動車のドライバの利用目的に沿ったものとなる。
【0007】
この発明の第2局面は次のように規定される。即ち、
第1局面のサーバであって、前記駐車場自体の満空状態を判定させる駐車場満空状態判定部、及び
該駐車場満空状態判定部の判定結果に基づき駐車場満空信号を生成する駐車場満空信号生成部を更に備える。
従来の駐車場情報提供サーバが備える機能、即ち駐車場自体の満空状態を提供できる機能を併せて備えれば、特に充電を希望しない電気自動車のドライバにとっても有用な駐車場満空情報が得られる。
【0008】
駐車場単位の満空状態を提供していた従来のサーバが提供する満空情報において、駐車場自体に空車車室があったしても、その駐車場のEV車室が満車状態であれば、充電を希望するドライバにとっては利用目的に沿わない。第2局面で規定されるサーバのように駐車場自体の満空状態と併せてその駐車場のEV車室の満空状態を提供することが電気自動車のドライバにとって有用になる。
【0009】
この発明の第3局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2局面のサーバであって、前記EV車室判定部は
前記EV車室を撮影するカメラ、及び
前記カメラの撮影画像を処理して、前記EV車室に車両が駐車しているか否かを判定する画像判定部、を備える。
駐車場には一般的にカメラが装備されている。EV車室の位置が定められているとき、カメラで撮影した画像においてEV車室を映し込んだ領域を特定できる。このように特定された領域に存在する車室(即ちEV車室)に自動車が駐車しているか否かが画像処理によって、例えばAIを用いた画像処理によって、判定される。このように、第3局面に規定のサーバによれば、駐車場の既存の設備を用いてEV車室判定部を構成可能となり、これを安価に提供できる。
EV車室の位置が可変な場合、即ち駐車場において電源が可動の場合には、電源装置の位置を撮影画像から抽出し、さらに当該電源装置からのコードが車両に連結されているか否かを画像処理して判定することで、EV車室の満空状態を判定できる。
【0010】
この発明の第4局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2局面のサーバであって、前記EV車室判定部は
前記EV車室の座標を保存するEV車室座標保存部、
車両の走行データを保存する走行データ保存部、及び
前記車両の走行データと前記EV車室の座標とを比較して、前記EV車室に車両が駐車しているか否かを判定する座標判定部、を備える。
車両の走行データには座標(x、y)と時刻(t)とが含まれるので、EV車室座標保存部に保存されるEV車室の座標において、現時刻に車両が存在しているか否かを判定できる。
【0011】
この発明の第5局面は次のように規定される。即ち、
第1~第4局面のサーバであって、電気自動車へ充電する電源の数Xを保存する電源数保存部、
前記電源の使用中の数Yを保存する電源使用数保存部、及び
前記電源の数Xと前記使用中の数Yとを比較して、前記EV車室満空信号を補正する、満空信号補正部、を更に備える。
【0012】
駐車場のタイプによっては、電源からのコードが届く範囲において電気自動車に対する充電を可能にしている。この場合、電源を中心に例えば2つの車室において充電が可能であるとき、1つの車室において充電がなされていると(コードが使われていると)、他の車室では充電できない。
例えば、2つの車室をEV車室(EV車室A,EV車室B)として登録しても、1のEV車室Aで充電がなされていると(EV車室A:満)、他のEV車室Bでは充電できないので、このEV車室Bも「満」扱いとなる。他方、EV車室Aに自動車が駐車していても充電がなされていなければ、EV車室Bは「空」扱いとなる。
【0013】
このように電気自動車に充電する電源の数Xと使用中の電源の数Yとの関係で、使用できるEV車室の数が変化する。よって、第5局面で規定するように、電源の数Xと使用中の数Yとを比較して、EV車室満空信号を補正できるようにすることで、駐車場における電源の使用態様に如何にかかわらず、正確なEV車室満空信号を送信できる。
【0014】
この発明の第6局面は次の様に規定される。即ち、
第1~5局面の何れかに規定のサーバから送信される前記EV車室満空信号を受信する受信部、及び
受信した前記EV車室満空信号に基づき、駐車場におけるEV車室の満空状態を表示する表示部、を備えるナビゲーション装置。
このように規定される第6局面のナビゲーション装置によれば、充電を希望する電気自動車のドライバにとって、有用な情報を提供できる。
【0015】
この発明の第7局面は次のように規定される。即ち、
第6局面に規定のナビゲーション装置において、前記受信部は、第2局面に規定の前記サーバから送信される前記駐車場満空信号を更に受信し、
前記表示部は、受信した前記駐車場満空信号に基づき前記駐車場自体の満空状態を表示する。
このように規定される第7局面のナビゲーション装置によれば、駐車場自体の満空情報も得られるので、特に充電を希望しない電気自動車のドライバにとっても使い勝手がよいものとなる。
【0016】
この発明の第1局面は駐車場情報提供サーバの使用方法は下記の第8局面として規定される。即ち、
EV車室保存部、EV車室判定部及びEV満空信号生成部を備え、駐車場におけるEV車室の満空状態をナビゲーション装置に提供する駐車場情報提供サーバを用いる駐車場情報提供方法であって、
前記EV車室保存部に、電気自動車へ充電可能なEV車室を特定するEV車室情報を保存させ、
前記EV車室判定部に、前記EV車室情報に基づき特定された前記EV車室の満空状態を判定させ、
前記EV満空信号生成部に、EV車室判定部の判定結果に基づきEV車室満空信号を生成させる、駐車場情報提供方法。
【0017】
この発明の第1局面の駐車場情報提供サーバはコンピュータ装置により動作する。かかるコンピュータに適用されるプログラムは下記第9局面として規定される。即ち、
EV車室保存部、EV車室判定部及びEV満空信号生成部を備え、駐車場におけるEV車室の満空状態をナビゲーション装置に提供する駐車場情報提供サーバに適用されるコンピュータ用のプログラムであって、
前記EV車室保存部に、電気自動車へ充電可能なEV車室を特定するEV車室情報を保存させ、
前記EV車室判定部に、前記EV車室情報に基づき特定された前記EV車室の満空状態を判定させ、
前記EV満空信号生成部に、EV車室判定部の判定結果に基づきEV車室満空信号を生成させる、プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1はこの発明の実施形態の駐車場情報提供サーバの構成を示すブロック図である。
図2図2はナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
図3図3はEV車室判定部の構成の一の態様を示すブロック図である。
図4図4は他の態様のEV車室判定部の構成を示すブロック図である。
図5図5図4のEV車室判定部の動作を説明するフローチャートである。
図6図6は満空信号補正部の構成を示すブロック図である。
図7図7はサーバに適用されるコンピュータシステムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照しながら、説明する。
図1は、この発明の一の実施形態の駐車場情報提供サーバ1の構成を示す。
このサーバ1はEV車室保存部10、EV車室判定部20、駐車場満空判定部30、満空信号生成部40及び満空信号送信部50を備えてなる。
EV車室保存部10は駐車場毎にEV車室を特定するためのEV車室情報を保存する。当該EV車室情報として、駐車場毎に付与される車室ナンバを用いることができる。また、車室の位置を特定する座標(例えば、車室の中心座標)をEV車室情報とすることもできる。
【0020】
なお、この明細書で電気自動車とは、外部電源から充電が可能な車両をいう。いわゆるEVの他、プラグインHV車両も電気自動車に含まれる。
EV車室における電気自動車に対する充電方式は任意であり、駐車場に固定された電源、若しくは可動の電源からコードを介して電気自動車へ給電することができる。また、EV車室にコイル式電源を埋設することで非接触式の給電も可能である。
電源のオン/オフについては、駐車場のコントローラによって制御され、その状態がモニタされる。
【0021】
EV車室判定部20はEV車室保存部10のEV車室情報に基づき特定されたEV車室の満空状態を判定する。このEV車室判定部20の具体的な構成は後述する。
EV車室判定部20は、駐車場自体に備えられる装置によりその判定をすることができる。例えば、後述する図3に示すようなカメラを用いた画像処理技術を用いることができる。また、EV車室に車両検出センサを設け、このセンサの検出結果を利用してEV車室の満空状態を判定できる。これらの場合、駐車場のコントローラからこのサーバへ、駐車場を特定するIDとともに検出結果がインターネット等の通信手段を用いて提供される。
【0022】
他方、後述する図4のシステムでは、予め登録されているEV車室の座標と、車両の走行データから得られる現在位置とを比較することから、EV車室の満空状態を判定する。これにより、駐車場へ何らの設備を追加することなく、そのEV車室の満空状態を判定できる。
【0023】
駐車場満空判定部30は駐車場自体の満空状態を判定する。かかる駐車場満空判定部30は汎用的なものであるため詳細は省略するが、例えば、駐車場の最大駐車車両数を基準にして、駐車場に対する入場/出場の車両数をカウントすることにより、駐車場自体の満空状態を判定できる。
【0024】
満空信号生成部40はEV満空信号生成部41と駐車場満空信号生成部43とを備える。EV満空信号生成部41はEV車室判定部20の判定結果に基づき、駐車場毎に、EV満空信号を生成する。EV満空信号はEV車室が満車であることを示す信号(EV車室:満)、若しくはEV車室に空があることを示す信号(EV車室:空)であり、これらが駐車場に紐づけられる。
駐車場満空信号生成部43は駐車場満空判定部30の判定結果に基づき、駐車場毎に、駐車場満空信号を生成する。駐車場満空信号は駐車場自体が満車であることを示す信号(駐車場室:満)、若しくは駐車場の車室に空があることを示す信号(駐車場:空)であり、これらが駐車場に紐づけられる。
満空信号生成部40で生成された駐車場の満空に関する信号(EV満空信号、駐車場満空信号)は、満空信号送信部50を介して、ナビゲーション装置100へ送信される。
【0025】
ナビゲーション装置100は、図2に示すとおり、満空信号受信部101でEV満空信号及び駐車場満空信号を受信する。
このナビゲーション装置100は、汎用的なマップデータ保存部103とルート作成部105とを備える。ナビゲーション表示データ作成部107はマップデータ保存部103に保存されているマップデータに基づき、道路地図を構成してこれを表示部109に表示させる。ドライバより目的地までのルート作成要求があったとき、ルート作成部105はルート探索を行い、探索結果のルートをデータ作成部107へ送り、データ作成部107はそのルートを道路地図に重畳表示させる。
【0026】
ナビゲーション装置100に対してドライバが駐車場の表示を求めるコマンドを入力したとき、データ作成部107は満空信号受信部101が受信したEV満空信号と駐車場満空信号とに基づき、表示された駐車場の満空状態(EV車室の満空状態と駐車場自体の満空状態)を表示する。
ドライバが運転する車両が電気自動車でないとき、EV満空状態の表示を省略できる。
充電希望のコマンドを入力したドライバに対してのみ、EV車室が空である駐車場を表示することもできる。
【0027】
次に、図3に示すEV車室判定部20について説明する。
このEV車室判定部20はカメラ201、画像処理部202を備える。
カメラ201は空のEV車室及びこれに車両が駐車した状態が撮影画像に映し込まれるように視野が設定される。
画像処理部202はEV車室抽出部2021及び満空判定部2023を備える。
【0028】
EV車室の位置は予め固定されているので、カメラの撮像画像においてEV車室が占める領域も予め定められる。EV車室保存部10のEV車室情報に基づき、EV車室抽出部2021はカメラの撮像画像においてEV車室に対応する領域を抽出し、満空判定部2023へ送る。満空判定部2023は当該領域の画像を処理して、EV車室が空の状態であるか、満の状態(車両が駐車している状態)であるかを判定する。前者の状態の画像と後者の状態の画像の多数を先生データとして予め準備し、これを汎用的なAI装置に入力して学習させ、学習結果に基づき、満空状態をAI判定することが好ましい。判定結果はEV満空信号生成部41へ送られる。
このEV車室判定部20では、駐車場のEV車室に空がある否か(換言すれば、EV車室が満車状態であるかいなか)が画像処理により一元的に判定される。
なお、夜間においても画像を撮影できるように、EV車室は照明されていることが好ましい。
【0029】
他の態様のEV車室判定部21を示す(図4参照)。
このEV車室判定部21はEV車室座標保存部211、走行データ抽出部214、走行データ保存部215及び座標判定部216を備える。
このEV車室判定部21の動作を図5のフローチャートを参照して説明する。
ステップ1において、EV車室座標保存部211は、EV車室保存部10のEV車室情報を参照して、EV車室nを特定するEV車室座標を保存する。なお、この駐車場には1~KのEV車室が存在するものとする。
【0030】
ステップ3において、走行データ抽出部214は、車両走行データ保存部213(外部サーバ)に保存されている車両走行データ(プローブデータ)の中から、駐車場に来場した車両の走行データを抽出し、走行データ保存部215に駐車場内での走行データ(走行軌跡、駐車状態も含む)を保存させる。
【0031】
座標判定部216は、走行データ保存部215に保存されている走行データの中からEV車室nの座標と重複する走行データが存在するとき、EV車室n:満と判定する(ステップ5:Y,ステップ7)。他方、EV車室nの座標と一致する走行データが存在しないときはEV車室n:空と判定する(ステップ5:N、ステップ9)。
かかる判定を全てのEV車室1~Kについて行い(ステップ13)、空状態のEV車室の数を保存する(ステップ15)。空状態の数が1以上のとき、駐車場としてEV車室は空状態である。
EV車室1~Kを順次判定する際、少なくとも1つのEV車室が空状態であれば、その後の処理はスキップすることができる。
【0032】
図6に満空信号補正部60の構成を示す。
この満空信号補正部60は電源数保存部61、電源使用数保存部63、比較部65及び補正部67を備える。
電源数保存部61には、駐車場P1に備えられる電源数Xが保存される。駐車場P1においてそのコントローラにより現在使用されている電源数Yが特定され、電源使用数保存部63に保存される。
【0033】
比較部65では、使用可能な電源数Xと使用中の電源数Yとを比較する。X=Yであれば、全ての電源が使用中であるので、駐車場P1におけるEV車室は確実に満状態である。他方、X>Yの場合であっても、例えば、1つの電源を2つのEV車室A,Bで使用可能な場合、必ずしも充電可能とは言えない場合がある。即ち、一方のEV車室Aで電源を使用しているとき他方のEV車室Bでは充電ができなくなるからである。
この場合、両者の差が所定の閾値T以下であれば、即ち、X-Y≦Tのときは、EV満空信号生成部41からのEV満空信号が仮に空状態を示しているときでも、これを満状態に補正して、満空信号送信部50へ送る。
【0034】
図7にサーバ1のハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、EV車室判定部20及び21、駐車場満空判定部30、満空信号生成部40、満空信号補正部60として機能する。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305は、キーボード等の入力装置330を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPU301に対してワーキングエリアを提供したりする。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1、第2記憶装置340及び350に格納されていてもよい。出力装置320を介して各種のデータが出力される。入力装置330を介して処理対象となる駐車場についての必要な情報が入力される。
【0035】
第1記憶装置340はEV車室座標保存部211、走行データ保存部215、電源数保存部61及び電源使用数保存部63として機能する。
第2記憶装置350はEV車室保存部10としてとして機能する。
第1、第2記憶装置はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
一時的に保存されるデータ用保存部としての、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。外部の通信ネットワークには通信インターフェース13でつながれる。この通信インターフェース13が満空信号送信部50として機能する。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス370で連結されている。
【0036】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
以上、電気自動車用の駐車場を例に挙げて説明してきたが、電池駆動の二輪車や電池駆動のいわゆる空飛ぶ自動車についても、この発明が適用される。この発明の駐車場の概念はこれらのビークルを時間貸しや日貸しで保管する施設を含む概念である。
【符号の説明】
【0037】
1 駐車場情報提供サーバ
10 EV車室保存部
20、21 EV車室判定部
41 EV満空信号生成部
43 駐車場満空信号生成部
60 満空信号補正部
100 ナビゲーション装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7