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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124617
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】播種機
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/04 20060101AFI20230830BHJP
   A01C 1/06 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
A01C7/04 J
A01C1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028493
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】598049573
【氏名又は名称】トーテク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】池島 敏二
(72)【発明者】
【氏名】大橋 一道
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 広樹
【テーマコード(参考)】
2B051
2B054
【Fターム(参考)】
2B051AB01
2B051BA20
2B051BB14
2B054AA15
2B054BA01
2B054BB03
2B054CA06
2B054DB01
2B054EA23
(57)【要約】
【課題】効率的な種子の播種を実施するととともに、作業者の負担を減らす。
【解決手段】電磁力により、金属を含む被覆材により被覆された種子Sを吸着し、播種する播種機100であって、電磁力により、種子Sを直接的に吸着する金属棒22と、金属棒22に設けられ、通電により金属棒22に電磁力を発生させるコイル24と、コイル24に印加する電圧を制御する制御装置60と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁力により、金属を含む被覆材により被覆された種子を吸着し、播種する播種機であって、
電磁力により、前記種子を直接的に吸着する金属棒と、
前記金属棒に設けられ、通電により前記金属棒に前記電磁力を発生させるコイルと、
前記コイルに印加する電圧を制御する制御装置と、
を備える播種機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記種子の重量に応じて、前記電圧を制御する、
請求項1に記載の播種機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記種子のサイズ及び形状の少なくともいずれか一方を加味して、前記電圧を制御する、
請求項1または2に記載の播種機。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記金属棒が前記種子を吸着する時に、前記コイルに第1の電圧を印加し、
前記種子を吸着した状態の前記金属棒を移動させる間に、前記コイルに第2の電圧を印加し、
前記第2の電圧が、前記第1の電圧より大きい、
請求項1から3の何れか1項に記載の播種機。
【請求項5】
複数の前記金属棒を有し、
前記制御装置は、複数の前記金属棒のうち隣り合う前記金属棒間の距離に応じて、前記電圧を制御する、請求項1から4のいずれか1項に記載の播種機。
【請求項6】
前記金属棒は、長手方向において、先端に向けて断面積が小さくなる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の播種機。
【請求項7】
前記金属棒は、フェライトステンレスにより構成される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の播種機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種子を播くための播種機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、種子を圃場に播種する場合に、単純に播種しただけでは種子が露出するため鳥が播種された種子を食べてしまうという問題があり、そのため種子を圃場に埋めるか土壌で覆う等の作業をして鳥に見えないようにする必要がある。また種子が籾である場合、籾だけでは軽いため水田に張られた水により籾が流亡するという問題がある。そこで種子の表面に鉄粉をコーティングすることで種子の外観を無機的なものに偽装し、鳥に対して食料でないと見せかけると共に、比重を大きくして水による流亡を防ぐようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、種子の表面を酸化鉄で被覆する場合、硫酸イオンのような有害物が流出したり、反応熱により種子が熱焼けするおそれがある。そこで、種子、酸化鉄の粉末、アルカリ土類金属の水酸化物の粉末、および水を混合したもので造粒する技術がある(例えば特許文献2参照)。特許文献2においては、種子の表面に酸化鉄およびアルカリ土類金属の水酸物の混合物を付着、固化させた後、該アルカリ土類金属の水酸化物を二酸化炭素と反応させてアルカリ土類金属の炭酸塩にすることで種子表面を酸化鉄で被覆する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4441645号公報
【特許文献2】特許第6598233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した文献に用いられている種子は、種子の表面を、金属を含む被覆材により被覆するものである。これにより、種子の管理の負担を軽減することを狙っている。これに加えて、このような被覆を含む種子は、磁力に引き寄せられる性質を持つ。このような性質を利用して、磁力を用いた装置により種子を吸着して播種を行い、播種の効率を向上させることができる。
【0006】
本発明は、金属を含む被覆材により被覆された種子を吸着し、効率のよい播種を実行できる播種機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電磁力により、金属を含む被覆材により被覆された種子を吸着し、播種する播種機であって、
電磁力により、前記種子を直接的に吸着する金属棒と、
前記金属棒に設けられ、通電により前記金属棒に前記電磁力を発生させるコイルと、
前記コイルに印加する電圧を制御する制御装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の播種機によれば、金属を含む被覆材により被覆された種子を吸着して搬送することができるので、効率的な種子の播種を実施するととともに、作業者の負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態の播種機および蒔き床の概要を示す斜視図である。
図2A図2Aは、播種機の要部である種子吸着部の側面図である。
図2B図2Bは、金属棒の先端の一変形例の拡大図である。
図2C図2Cは、金属棒の先端の他の変形例の拡大図である。
図3図3は、播種機により種子を吸着する時の状態を示す概念図である。
図4図4は、吸着した種子を解放する時の状態を示す概念図である。
図5A図5Aは、蒔き床およびプレートの断面図であり、金属棒が種子を吸着する前の状態を示す。
図5B図5Bは、蒔き床およびプレートの断面図であり、金属棒が種子を吸着した状態を示す。
図6図6は、播種機のブロック図である。
図7A図7Aは、試験2の播種機における種子吸着部の配置を示す図である。
図7B図7Bは、試験2において、図7Aに対応した種子吸着部が、それぞれいくつの種子を吸着したかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の播種機および蒔き床の斜視図である。
【0011】
図1に示すように、播種機100は、種子を播種する、すなわち、種まきを行う装置である。播種機100は、蒔き床200に蒔かれ、金属を含む被覆材により被覆された種子Sを吸着し、別の場所に播種する。金属を含む被覆材により被覆された種子Sの種類は特に限定されず、たとえば、特許文献1、2などに開示されたものであってよい。また、種子Sは、図1等ではサイズ及び形状が同じものとして記載されているが、実際には、同一品種であっても、様々なサイズ及び形状を有する。
【0012】
播種機100は、支持板10と、種子吸着部20とを備える。実施形態では、種子吸着部20は、樹脂などにより構成された支持板10を貫通するように配置されている。具体的に、種子吸着部20は、電磁力により、種子Sを直接的に吸着する金属棒22と、金属棒22に設けられ、通電により金属棒22に電磁力を発生させるコイル24と、を備えている。また、破線で示すカバー30が、種子吸着部20の金属棒22を覆うように、支持板10の上に設けられてもよい。
【0013】
実施形態においては、コイル24が支持板10の上面に配置され、コイル24から下方に延びる金属棒22が、支持板10を貫通し、かつ、支持板10の下面から下方に延びる。ただし、支持板10は必須ではなく、種子吸着部20は、少なくとも一つ存在すればよい。実施形態では、5列×2行=10個の種子吸着部20が、マトリックス状に設けられているが、種子吸着部20の数、配置態様は特に限定されない。
【0014】
図2Aは、播種機100の要部である種子吸着部20の側面図である。上述したように、種子吸着部20は、金属棒22と、コイル24とを備えている。図2の例では、図1では省略されている導電線26が、金属棒22の長手方向における上半分の領域に渡って金属棒22の周囲に巻回され、巻回された導電線26がコイル24を形成している。
【0015】
図示せぬ電源部(図6参照)が、導電線26、ひいてはコイル24に電圧を印加すると、コイル24に電流が流れ、コイル24は、電磁誘導により、金属棒22に電磁力を発生させる。種子Sは、金属を含む被覆材により被覆されているため、電磁力の発生した金属棒22の先端22aが種子Sに接近すると、種子Sが先端22aに吸着する。
【0016】
金属棒22は長手方向を持ち、中実の円筒形状を有するが、その形状は特に限定されない。金属棒22の材料も特に限定されないが、たとえば、フェライトステンレスにより構成することが好ましく、特にフェライトステンレスの一種である、ASK-3200を使用することができる。ASK-3200は、被削性、耐食性、冷間加工性、保磁力などの観点から優れた材料であり、特に高湿度な植物工場の内部などでの利用に適した材料である。
【0017】
図2Bは、金属棒22の先端22aの一変形例の拡大図であり、この変形例では、先端22aが先細りになるようにテーパ状を呈し、先端面が平面である。図2Cは、金属棒22の先端22aの他の変形例の拡大図である。この変形例では、先端22aが先細りになるように丸みを呈し、先端面が曲面である。いずれの例においても、金属棒22は、長手方向において、先端22aに向けて、長手方向に垂直な面における断面積が小さくなっている。このような形状により、先端22aにおける電磁力が増大する。よって、コイル24に印加する電圧を大きくしなくても、種子Sを確実に吸着および保持することが容易に可能となり、消費電力を抑えることができる。
【0018】
また、金属棒22の長さを短くすることにより、印加する電圧が一定であっても、発生する電磁力を強めることができる。
【0019】
図1の播種機100は、たとえば人が手で持ち、電圧を印加した金属棒22の先端22aを蒔き床200の種子Sに接近させ、種子Sを先端22aに吸着させることができる。この後、人が、これから種子Sを播種する別の播種領域の上に手で播種機100を搬送し、当該播種領域の上で電圧の印加を停止することにより、種子Sが落下し、この播種領域に種子Sを播種することができる。
【0020】
ただし、人の手による搬送は、播種の効率を低下させ得る。そこで本実施形態の播種機100は、図3に示すように、金属棒22およびコイル24を含む種子吸着部20を移動させる駆動装置40を備えている。駆動装置40は、第1垂直駆動装置41と、水平駆動装置43と、第2垂直駆動装置45と、を備えている。本実施形態では、第1垂直駆動装置41および第2垂直駆動装置45は、支持板10およびカバー30を上下の垂直方向に駆動させることにより、種子吸着部20を上下の垂直方向に駆動させる。水平駆動装置43は、支持板10およびカバー30を左右の水平方向に駆動させることにより、種子吸着部20を左右の水平方向に駆動させる。
【0021】
図3は、播種機100により種子Sを吸着する時の状態を示す。金属棒22の先端22aは、蒔き床200に接近または密着している。この状態で、蒔き床200に蒔かれた種子Sが、金属棒22に発生した電磁力により、先端22aに吸着する。種子Sの吸着後、駆動装置40は、種子吸着部20を矢印方向に移動させ、播種機100は、図4の状態に移行する。
【0022】
図4は、播種機100により吸着した種子Sを解放する時の状態を示す。金属棒22の先端22aは、別の播種領域として用意された育苗用シート300に接近または密着している。この状態で、コイル24に印加された電圧が消失し、金属棒22に発生した電磁力が消失すると、先端22aに吸着した種子Sが、先端22aから解放され、育苗用シート300に配置される。種子Sの解放後、駆動装置40は、種子吸着部20を矢印方向に移動させ、播種機100は、図3の状態に移行する。
【0023】
育苗用シート300は、種子Sの発芽を促すように、水分を保持したスポンジなどにより構成される。育苗用シート300は、たとえば、種子を一粒ごとに、個別に配置するための凹部を有している。本例では、種子吸着部20に対応するように、5列×2行=10個の凹部が、育苗用シート300に設けられている。
【0024】
図3図4の状態が繰り返されることにより、種子Sは、蒔き床200から育苗用シート300に移され、育苗用シート300において成長し、発芽する。播種機100は、数多くの種子Sを、容易に、かつ、短時間に移動させることが可能であり、効率的に播種を行うことができる。
【0025】
図5A及び図5Bは、蒔き床200およびプレート50の断面図である。プレート50は、たとえば透明な樹脂板により構成され、一面(上面)に形成された第一開口51と、他面(下面)に形成された第二開口53とを連通させる連通孔55を備えている。プレート50は、図1図4では示されておらず、必須の部材ではない。
【0026】
第一開口51は、金属棒22の少なくとも先端22aを挿入可能な第一サイズを有する。一方、第二開口53は、種子Sのサイズに応じて定められる第二サイズを有する。図5及び図5Bにおいては、第二サイズは、第一サイズよりも大きくされている。プレート50は、蒔き床200のように、既に種子Sが蒔かれた播種領域の上に配置される。よって、図示せぬ制御装置(図6参照)の制御により、駆動装置40、特に第1垂直駆動装置41が、金属棒22の先端22aが第一開口51および第二開口53を通過するように、金属棒22を移動させる。
【0027】
たとえば、図5Bに示すように、金属棒22の先端22aが、連通孔55の内部に配置された状態で、コイル24に通電すると、蒔き床200から一または複数の種子Sが、先端22aに引き寄せられ、先端22aに吸着する。この状態から、駆動装置40が、金属棒22を引き上げると、先端22aに複数の種子Sが吸着された場合に、一の種子Sのみが第一開口51を通過し、一の種子Sのみを連通孔55から取り出し、移動させることができる。また、第二開口53の第二サイズを、第一開口51の第一サイズよりも小さくすれば、第二開口53の第二サイズより小さい、所定のサイズ以下の種子Sのみを連通孔55から取り出し、移動させることもできる。このように、プレート50の設置により、移動させる種子Sの数またはサイズを制御することができ、利用者の意図に応じた播種を行うことが可能となる。
【0028】
コイル24の通電タイミングは適宜決定することができる。上述したように、金属棒22の先端22aが、連通孔55の内部に配置された状態で通電してよいし、金属棒22の先端22aが連通孔55を通過し、第二開口53の下方に達した状態で通電してもよい。
【0029】
なお、連通孔55は、種子吸着部20(金属棒22)の数、配置態様に応じて、プレート50に形成してよい。
【0030】
図6は、播種機100のブロック図である。本図では、単一の種子吸着部20のみが示されている。播種機100は、これまで説明した要素に加えて、制御装置60と電源部70とを備えている。制御装置60は、播種機100の各種制御を行うコンピュータであり、たとえば、図示せぬ記憶部から、播種機100の制御プログラムを読み込んで、播種機100を制御する。制御装置60は、たとえば、電源部70の出力電圧を制御して、コイルに印加する電圧を制御するとともに、駆動装置40の動作を制御する。電源部70は、制御装置60の制御の下、導電線26、コイル24に電圧を印加する。
【0031】
実施形態の播種機100によれば、電磁力の作用により、金属を含む被覆材により被覆された種子を吸着して搬送することができるので、効率的な種子の播種を実施するととともに、作業者の負担を減らすことができる。
【0032】
なお、制御装置60は、たとえば、種子Sの重量に応じて、コイル24に印加する電圧を制御することができる。種子Sの重量の重量が大きいほど、制御装置60は印加する電圧を増大させ、種子Sを確実に吸着する。また、種子Sの重量の重量が小さいほど、制御装置60は印加する電圧を減少させ、金属棒22に吸着する種子Sの数が増えすぎるのを抑制する。
【0033】
すなわち、制御装置60が、種子Sの重量に応じた電圧を印加することにより、金属棒に発生する電磁力の強さを調整できるため、適切な数の種子Sを確実に吸着および保持して、所望の位置に播種することができる。よって、歩留まりよく正確な播種が可能となる。
【0034】
また、制御装置60は、種子Sのサイズ及び形状の少なくともいずれか一方を加味して、電圧を制御することができる。制御装置60が、種子Sのサイズや形状に応じた適切な電磁力を印加することにより、種子Sの種類に応じて確実に吸着することができる。
【0035】
さらに、制御装置60は、金属棒22が種子Sを吸着する時に、コイル24に第1の電圧Vを印加し、種子Sを吸着した状態の金属棒22を移動させる間に、コイル24に第2の電圧Vを印加する。このとき制御装置60は、第2の電圧Vが、第1の電圧Vより大きくなるように設定してよい(V<V)。すなわち、図3に示す、種子Sの吸着時においては、制御装置60は、コイル24に第1の電圧Vを印加し、図3の状態から図4の状態へ移行する間は、制御装置60は、コイル24に第1の電圧Vより大きい第2の電圧Vを印加する。これにより、吸着時は、適切な数の種子Sを吸着することができ、かつ、金属棒22の移動時には、強い電磁力および吸着力により、種子Sの吸着を確実に維持し、金属棒22の移動に伴う種子Sの脱落を抑制することができる。
【0036】
また、実施形態のように、播種機100が複数の金属棒22を有する場合、制御装置60は、複数の金属棒22のうち隣り合う金属棒22間の距離に応じて、電圧を制御することができる。これにより、制御装置60は、隣り合う金属棒の電磁力が、互いに影響を受けない程度の電磁力に調整することが可能となり、金属棒が規定位置からずれるのを防止できるため、各金属棒が吸着した種子を正確な位置に播くことができる。
【0037】
発明者らは、金属棒22の長さ及び先端の形状の変化に伴う、吸着に必要な電圧について調べるための試験1を行った。金属棒22は元々、標準の長さ(例えば、100mm)を持ち、3mm(3φ)の直径を持つ。この金属棒22を長さについて、20mm短く(-20mm)するように加工するとともに、先端22aを、図2Bに示すように、2mm(2φ)に先細りになるように加工をし、計4種の金属棒22を用意した。7つの種について、各金属棒22が吸着に必要な電源部70の電圧を測定した。以下の表1は、電圧測定の結果を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
本試験1より、金属棒22は、先端径が小さい程、また、長さが短い程、小さい電圧をもって、種子Sを吸着することができることが判明した。
【0040】
次に、発明者らは、制御装置60が制御する、電源部70の電圧の変化に伴い、個々の種子吸着部20が吸着する種子Sの数を調べるための試験2を行った。図7Aは、上から見た種子吸着部20の配置を示しており、図1と同様に、5列×2行=10個の種子吸着部20(No.1~No.10)が、マトリックス状に設けられている。用いた金属棒22の長さは20mmであり、先端は平面である。
【0041】
図7Bは、図7Aに対応した種子吸着部20(No.1~No.10)が、それぞれいくつの種子Sを吸着したかを、各種子吸着部20に対し、吸着した種子Sの数を付与して示している。発明者は、サンプル1~8において、コイル24に印加する電圧の値を変えて、吸着した種子Sの数を調べた。たとえば、サンプル1では、No.1,2,4,6,9,10の種子吸着部20は、種子Sを吸着しておらず、No.3,5,7の種子吸着部20は、1つの種子Sを吸着しており、No.8の種子吸着部20は、2つの種子Sを吸着している。各サンプルにおいて印加した電圧は、以下の通りである。
【0042】
サンプル1 電源部70の電圧6.8V(1つのコイル24あたり0.68V)
サンプル2 電源部70の電圧7.0V(1つのコイル24あたり0.70V)
サンプル3 電源部70の電圧7.2V(1つのコイル24あたり0.72V)
サンプル4 電源部70の電圧7.4V(1つのコイル24あたり0.74V)
サンプル5 電源部70の電圧7.6V(1つのコイル24あたり0.76V)
サンプル6 電源部70の電圧7.8V(1つのコイル24あたり0.78V)
サンプル7 電源部70の電圧8.0V(1つのコイル24あたり0.80V)
サンプル8 電源部70の電圧8.2V(1つのコイル24あたり0.82V)
【0043】
本試験2において、例えばサンプル5において、種子吸着部20の多くが、それぞれ1つの種子Sのみを吸着しており、これは意図した適切な吸着である。このように、印加する電圧を制御することにより、種子Sを適切に吸着することができることが判明した。
【0044】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0045】
10 支持板
20 種子吸着部
22 金属棒
24 コイル
26 導電線
30 カバー
40 駆動装置
41 第1垂直駆動装置
43 水平駆動装置
45 第2垂直駆動装置
50 プレート
60 制御装置
70 電源部
100 播種機
200 蒔き床
300 育苗用シート
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B