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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124626
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】イオン化用ヒータ
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/04 20060101AFI20230830BHJP
   H01J 49/00 20060101ALN20230830BHJP
   H01J 49/16 20060101ALN20230830BHJP
【FI】
H01J49/04 770
H01J49/00 130
H01J49/16 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028503
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】橋口 佳実
(57)【要約】
【課題】信頼性を低下させることなく小型化することが可能なイオン化用ヒータを提供する。
【解決手段】イオン化用ヒータは、試料からイオンを生成するため用いられる。イオン化用ヒータ100は、ボビン10、電熱線20および電極30を有する。ボビン10は、一方向に延びる。電熱線20は、ボビン10に巻回される。電極30は、電熱線20に溶接される。ボビン10には、一方向に沿った溝部13が形成される。電極30は、溝部13に嵌め込まれる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料のイオン化に用いられるイオン化用ヒータであって、
一方向に延びるボビンと、
前記ボビンに巻回される電熱線と、
前記電熱線に溶接される電極とを有し、
前記ボビンには、前記一方向に沿った溝部が形成され、
前記電極は前記溝部に嵌め込まれる、イオン化用ヒータ。
【請求項2】
前記電極は、前記ボビンに取り付けられる板ばねを含む、請求項1記載のイオン化用ヒータ。
【請求項3】
前記板ばねは、
前記ボビンを狭持する狭持部と、
前記狭持部から前記一方向に突出し、前記溝部に嵌め込まれる突出部とを含む、請求項2記載のイオン化用ヒータ。
【請求項4】
前記ボビンは、円筒形状を有し、
前記狭持部の断面は、前記ボビンの外周面に当接するC字形状を有する、請求項3記載のイオン化用ヒータ。
【請求項5】
前記電熱線は、前記電極との接触部分を除き、宙に浮くことなく前記ボビンと接触する、請求項1~4のいずれか一項に記載のイオン化用ヒータ。
【請求項6】
前記ボビンの端部には、第1のフランジが形成され、
前記溝部は、前記第1のフランジに形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のイオン化用ヒータ。
【請求項7】
前記ボビンの前記端部から前記一方向に所定距離だけ離間した部分には、第2のフランジが形成され、
前記電極は、前記第1のフランジの前記溝部に嵌め込まれた状態で、前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間の領域に取り付けられる、請求項6記載のイオン化用ヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン化用ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析装置には、分析対象の試料からイオンを生成するイオン化装置が設けられる。例えば、特許文献1には、ヒータおよびイオン化プローブが設けられた質量分析装置が記載されている。ヒータにより加熱されたアシストガスがイオン化プローブから噴霧される液体試料に供給されることにより、液体試料の有機溶媒が気化する。これにより、液体試料のイオン化効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-89227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、質量分析装置の小型化に伴い、イオン化装置を小型化することが要求されている。この場合、イオン化用のヒータも小型化する必要がある。しかしながら、ヒータを小型化すると、電熱線と電圧供給用の電極との接続部分が断線しやすくなることにより、信頼性が低下することが判明した。
【0005】
本発明の目的は、信頼性を低下させることなく小型化することが可能なイオン化用ヒータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、試料からイオンを生成するイオン化用ヒータであって、一方向に延びるボビンと、前記ボビンに巻回される電熱線と、前記電熱線に溶接される電極とを有し、前記ボビンには、前記一方向に沿った溝部が形成され、前記電極は前記溝部に嵌め込まれる、イオン化用ヒータに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、信頼性を低下させることなくイオン化用ヒータを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係るヒータを含む質量分析装置の構成を示す模式図である。
図2】ヒータの構成を示す模式的斜視図である。
図3図2のヒータの平面図である。
図4】板ばねの構成を示す平面図である。
図5】板ばねの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)質量分析装置
以下、本発明の実施の形態に係るイオン化用ヒータ(以下、単にヒータと呼ぶ。)について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るヒータを含む質量分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、質量分析装置200は、ヒータ100、真空容器110、イオン化装置120、イオンガイド130,140、質量フィルタ150および検出器160を含む。
【0010】
真空容器110内には、イオン化室111、真空室112、真空室113および真空室114が上流から下流に向かってこの順で並ぶように設けられる。真空容器110内の真空度は、上流から下流に向かって高くなる。したがって、イオン化室111の真空度が最も低く、真空室114の真空度が最も高い。例えば、イオン化室111の圧力は略大気圧であり、真空室114の圧力は10-2~10-3Paである。
【0011】
イオン化室111と真空室112とは、隔壁170により隔てられる。隔壁170には、脱溶媒管171が設けられる。真空室112と真空室113とは、隔壁180により隔てられる。隔壁180には、スキマコーン181が設けられる。真空室113と真空室114とは、隔壁190により隔てられる。隔壁190には、孔部191が設けられる。
【0012】
イオン化装置120は、ESI(Electrospray Ionization)プローブ等のイオン化プローブである。イオン化装置120は、イオン化室111に取り付けられる。イオン化装置120には、液体クロマトグラフ等から液体状の試料が導入される。また、イオン化装置120には、窒素ガス等のネブライザガスが導入される。イオン化装置120は、ネブライザガスを用いて、試料に電荷を付与しつつ試料をイオン化室111に噴霧する。
【0013】
ヒータ100は、イオン化室111に取り付けられる。ヒータ100には、クリーンエア等のヒーティングガスが導入される。ヒータ100は、ヒーティングガスを加熱しつつノズル101から試料に供給する。これにより、噴霧された試料の脱溶媒が促進され、試料中の成分がイオン化室111内でイオン化する。通常は、各成分の1価のイオンが生成される。ヒータ100の詳細については後述する。
【0014】
イオンガイド130,140は、真空室112,113にそれぞれ配置される。イオン化室111で生成されたイオンは、隔壁170の脱溶媒管171を通して真空室112に導かれる。真空室112に到達したイオンは、イオンガイド130により隔壁180のスキマコーン181を通して真空室113に導かれる。真空室113に到達したイオンは、イオンガイド140により隔壁190の孔部191を通して真空室114に導かれる。
【0015】
質量フィルタ150は、例えば4本のロッド電極を含む四重極型質量フィルタであり、真空室114に配置される。質量フィルタ150は、真空室114に到達したイオンのうち、ロッド電極に印加された電圧に対応する特定の質量電荷比を有するイオンのみを飛行させて通過させる。検出器160は、例えば電子増倍管であり、質量フィルタ150の下流に位置するように真空室114に配置される。検出器160は、質量フィルタ150を通過したイオンを検出する。イオンの検出結果は、例えばマススペクトルの生成に用いられる。
【0016】
(2)ヒータ
図2は、ヒータ100の構成を示す模式的斜視図である。図2に示すように、ヒータ100は、ボビン10、電熱線20および一対の電極30を含む。ボビン10は、一方向に延びる筒状部材であり、本例では略円筒形状を有する。以下の説明では、ヒータ100において、ボビン10が延びる方向を軸方向と呼び、軸方向に直交する方向を径方向と呼ぶ。また、軸方向に直交する断面において、ボビン10の外周面に沿った方向を周方向と呼ぶ。
【0017】
ボビン10は、耐熱性および絶縁性を有する材料により形成される。ボビン10は、1000℃以上の耐熱性を有することが好ましい。本例では、ボビン10は、セラミックにより形成される。電熱線20は、ボビン10の外周面に巻回される。電熱線20は、高い発熱性を有する材料により形成されることが好ましい。本例では、電熱線20はニクロム線である。電熱線20の両端部は、一対の電極30にそれぞれ電気的に接続される。
【0018】
一対の電極30は、ボビン10の両端部にそれぞれ取り付けられ、ボビン10の両端部から軸方向外側にそれぞれ引き出される。また、一対の電極30は、電源から一対の電極30に電圧が供給されることにより、ヒータ100が動作する。これにより、導入されるヒーティングガスが加熱される。
【0019】
図3は、図2のヒータ100の平面図である。図3に示すように、ボビン10は、一対のフランジ11および一対のフランジ12を有する。各フランジ11,12は、円形の外縁を有する。各フランジ11は、第1のフランジの例である。各フランジ12は、第2のフランジの例である。
【0020】
一対のフランジ11は、ボビン10の両端部の外周面を取り囲む。各フランジ11には、軸方向に沿った溝部13が形成される。一方のフランジ12は、ボビン10の一端部から軸方向に所定距離だけ離間した部分の外周面を取り囲む。他方のフランジ12は、ボビン10の他端部から軸方向に所定距離だけ離間した部分の外周面を取り囲む。
【0021】
ボビン10における一対のフランジ12の間には、円筒形状を有する巻回領域14が設けられる。巻回領域14には、電熱線20が巻回される。本例では、巻回領域14の径は、各フランジ12の径よりも大きいが、実施の形態はこれに限定されない。巻回領域14の径は、フランジ12の径よりも小さくてもよいし、フランジ12の径と等しくてもよい。ボビン10の各端部におけるフランジ11,12間には、円筒形状を有する電極領域15が設けられる。各電極領域15の径は、フランジ11の径およびフランジ12の径よりも小さい。
【0022】
各電極30は、接続端子31および板ばね32を含む。以下、一方の電極30の構成を説明するが、他方の電極30の構成も同様である。接続端子31は、軸方向に延びるピン形状を有する。図4は、板ばね32の構成を示す平面図である。図5は、板ばね32の構成を示す側面図である。図4および図5に示すように、板ばね32は、狭持部32aおよび突出部32bを含む。
【0023】
狭持部32aは、断面C字形状を有する湾曲部材である。軸方向において、狭持部32aの幅は、図3のボビン10の電極領域15の幅(フランジ11,12間の距離)よりも小さい。狭持部32aの内径(曲率径)は、電極領域15の外径よりもわずかに大きい。図5の例では、狭持部32aの両端部は周方向外側に折り返されているが、実施の形態はこれに限定されない。
【0024】
突出部32bは、略平板形状を有し、狭持部32aの端面における略中央部分から軸方向に突出する。周方向において、狭持部32aの幅は、図3のフランジ11の溝部13の幅よりもわずかに小さい。図4の例では、突出部32bの先端は幅広に形成されているが、実施の形態はこれに限定されない。
【0025】
突出部32bがフランジ11の溝部13に嵌め込まれる。この状態で、狭持部32aは、ボビン10の電極領域15に当接するように電極領域15を狭持する。これにより、板ばね32がボビン10の端部に取り付けられる。電熱線20の端部は、溶接により狭持部32aおよび突出部32bの外周面に接続される。本例では、電熱線20は、板ばね32との接触部分を除き、宙に浮くことなくボビン10と接触する。突出部32bの先端は、溶接により接続端子31の基端に接続される。接続端子31の先端は、図示しないケーブルを介して電圧供給用の電源に接続される。
【0026】
(3)効果
本実施の形態に係るヒータ100においては、溶接により電極30が電熱線20に接続される。そのため、ねじ等により電極30が電熱線20に接続される場合とは異なり、電熱線20と電極30との接続部分にねじれが発生しない。
【0027】
また、電極30は、ボビン10の軸方向に沿った溝部13に嵌め込まれるので、軸方向に摺動可能な自由度を有する。これにより、電熱線20と電極30との接続部分に加わる機械的な軸方向の張力が軽減される。したがって、ヒータ100が小型である場合でも、電熱線20と電極30との接続部分が断線する可能性が低減される。その結果、信頼性を低下させることなくヒータ100を小型化することができる。
【0028】
また、電極30は、ボビン10に取り付けられる板ばね32を含む。この場合、板ばね32は、径方向に変形可能な自由を有する。これにより、電熱線20と電極30との接続部分に加わる機械的な径方向の張力が軽減される。そのため、電熱線20と電極30との接続部分が断線する可能性がより低減される。その結果、信頼性をより向上させつつヒータ100を小型化することができる。
【0029】
ここで、板ばね32は、ボビン10を狭持する狭持部32aと、狭持部32aから軸方向に突出し、溝部13に嵌め込まれる突出部32bとを含む。ボビン10は、円筒形状を有し、狭持部32aの断面は、ボビン10の外周面に当接するC字形状を有する。この場合、電極30を溝部13に嵌め込んだ状態でボビン10に容易に取り付けることができる。
【0030】
電熱線20は、電極30との接触部分を除き、宙に浮くことなくボビン10と接触する。この場合、電熱線20の局所的な温度低下が軽減されるので、電熱線20の温度分布を均一に近づけることができる。そのため、熱的な張力が電熱線20と電極30との接続部分に加わることが防止される。これにより、電熱線20と電極30との接続部分が断線する可能性がさらに低減される。その結果、信頼性をさらに向上させつつヒータ100を小型化することができる。
【0031】
ボビン10の端部には、フランジ11が形成され、溝部13は、フランジ11に形成される。この場合、フランジ11により電極30がボビン10の端部から抜け落ちることが防止される。これにより、電極30を安定的にボビン10に取り付けることができる。
【0032】
また、ボビン10の端部から軸方向に所定距離だけ離間した部分には、フランジ12が形成され、電極30は、フランジ11の溝部13に嵌め込まれた状態で、フランジ11とフランジ12との間の電極領域15に取り付けられる。この場合、フランジ11とフランジ12とにより電極30の摺動範囲が規制される。これにより、電極30をより安定的にボビン10に取り付けることができる。
【0033】
(4)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、電極30は接続端子31を含むが、実施の形態はこれに限定されない。電極30は接続端子31を含まなくてもよい。この場合、電源からのケーブルが溶接等により板ばね32に接続されてもよい。
【0034】
(b)上記実施の形態において、ボビン10にフランジ12が形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。ボビン10にフランジ12が形成されなくてもよい。また、ボビン10にフランジ11が形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。ボビン10にフランジ11が形成されなくてもよい。この場合、溝部13は、ボビン10の外周面に形成されてもよい。
【0035】
(c)上記実施の形態に例示したように、ボビン10の両端部に溝部13が形成され、一対の電極30がボビン10の両端部に溝部13にそれぞれ嵌め込まれることが好ましいが、実施の形態はこれに限定されない。ボビン10の片方の端部のみに溝部13が形成され、片方の電極30のみがボビン10の溝部13に嵌め込まれてもよい。
【0036】
(d)上記実施の形態において、一対の電極30がボビン10の両端部から軸方向外側にそれぞれ引き出されるが、実施の形態はこれに限定されない。一対の電極30がボビン10の片方の端部から軸方向外側に引き出されてもよい。
【0037】
(5)態様
上記の複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0038】
(第1項)一態様に係るイオン化用ヒータは、
試料のイオン化に用いられるイオン化用ヒータであって、
一方向に延びるボビンと、
前記ボビンに巻回される電熱線と、
前記電熱線と溶接される電極とを有し、
前記ボビンには、前記一方向に沿った溝部が形成され、
前記電極は前記溝部に嵌め込まれてもよい。
【0039】
このイオン化用ヒータにおいては、溶接により電極が電熱線に接続される。そのため、ねじ等により電極が電熱線に接続される場合とは異なり、電熱線と電極との接続部分にねじれが発生しない。また、電極は、ボビンの一方向に沿った溝部に嵌め込まれるので、一方向に平行な軸方向に摺動可能な自由度を有する。これにより、電熱線と電極との接続部分に加わる機械的な軸方向の張力が軽減される。したがって、イオン化用ヒータが小型である場合でも、電熱線と電極との接続部分が断線する可能性が低減される。その結果、信頼性を低下させることなくイオン化用ヒータを小型化することができる。
【0040】
(第2項)第1項に記載のイオン化用ヒータにおいて、
前記電極は、前記ボビンに取り付けられる板ばねを含んでもよい。
【0041】
この場合、板ばねは、一方向に交差する径方向に変形可能な自由度を有する。これにより、電熱線と電極との接続部分に加わる機械的な径方向の張力が軽減される。そのため、電熱線と電極との接続部分が断線する可能性がより低減される。その結果、信頼性をより向上させつつイオン化用ヒータを小型化することができる。
【0042】
(第3項)第2項に記載のイオン化用ヒータにおいて、
前記板ばねは、
前記ボビンを狭持する狭持部と、
前記狭持部から前記一方向に突出し、前記溝部に嵌め込まれる突出部とを含んでもよい。
【0043】
この場合、電極を溝部に嵌め込んだ状態でボビンに容易に取り付けることができる。
【0044】
(第4項)第3項に記載のイオン化用ヒータにおいて、
前記ボビンは、円筒形状を有し、
前記狭持部の断面は、前記ボビンの外周面に当接するC字形状を有してもよい。
【0045】
この場合、電極をボビンにより容易に取り付けることができる。
【0046】
(第5項)第1項~第4項のいずれか一項に記載のイオン化用ヒータにおいて、
前記電熱線は、前記電極との接触部分を除き、宙に浮くことなく前記ボビンと接触してもよい。
【0047】
この場合、電熱線の局所的な温度低下が軽減されるので、電熱線の温度分布を均一に近づけることができる。そのため、熱的な張力が電熱線と電極との接続部分に加わることが防止される。これにより、電熱線と電極との接続部分が断線する可能性がさらに低減される。その結果、信頼性をさらに向上させつつイオン化用ヒータを小型化することができる。
【0048】
(第6項)第1項~第5項のいずれか一項に記載のイオン化用ヒータにおいて、
前記ボビンの端部には、第1のフランジが形成され、
前記溝部は、前記第1のフランジに形成されてもよい。
【0049】
この場合、第1のフランジにより電極がボビンの端部から抜け落ちることが防止される。これにより、電極を安定的にボビンに取り付けることができる。
【0050】
(第7項)第6項に記載のイオン化用ヒータにおいて、
前記ボビンの前記端部から前記一方向に所定距離だけ離間した部分には、第2のフランジが形成され、
前記電極は、前記第1のフランジの前記溝部に嵌め込まれた状態で、前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間の領域に取り付けられてもよい。
【0051】
この場合、第1のフランジと第2のフランジとにより電極の摺動範囲が規制される。これにより、電極をより安定的にボビンに取り付けることができる。
【符号の説明】
【0052】
10…ボビン,11,12…フランジ,13…溝部,14…巻回領域,15…電極領域,20…電熱線,30…電極,31…接続端子,32…板ばね,32a…狭持部,32b…突出部,100…ヒータ,101…ノズル,110…真空容器,111…イオン化室,112~114…真空室,120…イオン化装置,130,140…イオンガイド,150…質量フィルタ,160…検出器,170,180,190…隔壁,171…脱溶媒管,181…スキマコーン,191…孔部,200…質量分析装置
図1
図2
図3
図4
図5