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特開2023-12465凍結乾燥ポリペプチドの再構成時間を低減するための方法及び製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012465
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】凍結乾燥ポリペプチドの再構成時間を低減するための方法及び製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230118BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
A61K39/395 M
A61K9/19
A61K47/26
A61K47/10
A61K9/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022162128
(22)【出願日】2022-10-07
(62)【分割の表示】P 2019534348の分割
【原出願日】2017-12-21
(31)【優先権主張番号】62/438,232
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘインズ, クリストファー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ルオマ, ジェイコブ エドワード
(72)【発明者】
【氏名】リム, フレデリック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ザラガ, イシドロ アンヘロ エレアザール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】凍結乾燥ポリペプチドの再構成時間を低減するために有用な方法及び製剤を提供する。
【解決手段】凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法は、(a)少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で前記抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと、(b)tert-ブチルアルコール(TBA)を前記液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することであって、前記液体抗体/TBA混合物中の前記TBAの量が、約5体積%~6体積%である、形成することと、(c)前記液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、(d)前記液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、(e)前記凍結乾燥抗体組成物を希釈液で再構成することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法であって、(a)少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で前記抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと、(b)tert-ブチルアルコール(TBA)を前記液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することであって、前記液体抗体/TBA混合物中の前記TBAの量が、約5体積%~6体積%である、形成することと、(c)前記液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、(d)前記液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、(e)前記凍結乾燥抗体組成物を希釈液で再構成することであって、TBAの存在下で凍結乾燥された前記抗体を再構成するための時間が、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない、再構成することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記液体抗体/TBA混合物中の前記TBAの量が、約5体積%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
糖:抗体の前記モル比が、約360:1~約500:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
TBAが、前記液体抗体/TBA混合物を冷凍する直前に、前記抗体を含む前記液体組成物に添加される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が、完全長抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体を含む前記液体組成物中の前記抗体の濃度が、約10mg/mL~約250mg/mL、約25mg/mL~約250mg/mL、約50mg/mL~約250mg/mL、約100mg/mL~約250mg/mL、約150mg/mmL~約250mg/mL、約25mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約25mg/mL~約125mg/mL、または約50mg/mL~約125mg/mLである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体を含む前記液体組成物中の前記抗体の量が、約150mg~11グラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記糖が、スクロースまたはトレハロースである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記液体抗体/TBA混合物が、ガラスバイアル中で凍結乾燥される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ガラスバイアルが、6ccバイアル、10ccバイアル、15ccバイアル、20ccバイアル、25ccバイアル、50ccバイアル、または100ccバイアルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ガラスバイアルが、2.5mL、25mL、50mL、または100mLの充填量を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
TBAの存在下で凍結乾燥された前記凍結乾燥抗体組成物を再構成するための時間が、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体組成物を再構成するための時間と比較して、約40~95%低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
TBAの存在下で凍結乾燥された前記凍結乾燥抗体組成物を再構成するための時間が、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体組成物を再構成するための時間と比較して、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約95%低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
TBAの存在下で凍結乾燥された前記凍結乾燥抗体組成物を再構成するための時間が、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体組成物を再構成するための時間と比較して、約50~60%、約60~70%、約70~80%、約80~90%、または約90~95%低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記凍結乾燥抗体組成物の再構成は、前記凍結乾燥抗体組成物が真空下にある条件下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記真空が、100Torr未満、50Torr未満、または100mTorr~50Torrである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記真空が、100mTorrである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記凍結乾燥抗体組成物の再構成が、攪拌器を使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記製剤が、前記抗体、糖、希釈液、及びTBAを含み、前記液体製剤中の前記TBAの量が、約5体積%~6体積%であり、前記液体製剤中の前記糖の量が、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比であり、TBAの存在下で凍結乾燥された前記抗体を再構成するための時間が、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない、凍結乾燥に好適な液体抗体製剤。
【請求項20】
前記液体組成物中の前記TBAの量が、約5体積%である、請求項19に記載の液体抗体製剤。
【請求項21】
前記凍結乾燥抗体組成物が、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で前記抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を前記液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することであって、前記液体製剤中の前記TBAの量が、約5体積%~6体積%である、形成することと、前記液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、前記液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することであって、希釈液での前記凍結乾燥抗体組成物の再構成時に、TBAの存在下で凍結乾燥された前記抗体を再構成するための時間が、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない、凍結乾燥することと、を含む、凍結乾燥抗体組成物。
【請求項22】
前記液体組成物中の前記TBAの量が、約5体積%である、請求項21に記載の凍結乾燥抗体製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月22日出願の米国仮出願第62/438,232号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、凍結乾燥ポリペプチドの再構成時間を低減するために有用な方法及び製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
薬学的または他の用途のための生体分子は、多くの場合、凍結乾燥され、このプロセスにおいて、それが冷凍され、真空下に置かれた後に液体組成物から水が除去される。一般に、凍結乾燥は、水の除去によって(多くの生物学的化学分解が加水分解性であるため)及びその系の全体移動度を減少させることによって(側鎖及び分子の動的移動が化学的かつ物理的分解事象の発生に必須であるため)、ポリペプチド組成物の安定性を改善する。凍結乾燥ポリペプチドは、多くの場合、それらが凍結乾燥され、保管されたものと全く同じ容器またはバイアル中で、使用前に後次に再構成される。特に凍結乾燥された医薬ポリペプチド組成物(例えば、抗体組成物)の再構成の文脈において、短い再構成時間が好ましい。
【0004】
高濃度及び高用量(例えば、グラム量)の凍結乾燥された医薬品は、長い凍結乾燥サイクル及び多くの場合、長い再構成時間を含む、固有の処理及び取り扱いの課題を提起する。(例えば、American Pharmaceutical Review,13(2010),pp.31-32 34-38を参照。)生体分子の再構成時間を制御する1つのアプローチは、タンパク質濃度を減少させることにより、充填量を増加させることである。しかしながら、このアプローチは、充填量を増加させることが1用量当たり複数のバイアルの使用を必要とする、高用量製剤には不適切であり得る。かかる場合、代替の凍結乾燥製剤及び方法が必要とされる。
【0005】
凍結乾燥製剤中のtert-ブチルアルコール(TBA)の存在は、少量または低用量(例えば、ミリグラム量)の生体分子の再構成時間を改善することが示された(例えば、米国特許出願公開第US2014/0044717号、Nail et al.,(2002)J Pharma Sci.Vol.91、Degobert et al.,(2016)Drying Technology、Yong et al.,(2009)Int J Pharmaceutics,371:71-81、Teagarden and Baker(2002)Eur J Pharma Sci 15:115-133、Vessot and Andrieu(2012)Drying Technology(2012) 30:377-385を参照)。
【0006】
しかしながら、生体分子の凍結乾燥製剤中の共溶媒系中のTBAの使用、ならびに再構成時間及びポリペプチド安定性に対するその効果は、大量のタンパク質(例えば、グラム量)を含有する、または高タンパク質濃度を有するポリペプチド製剤において十分に特徴付けられていなかった。
【0007】
したがって、低減されたまたは速い再構成時間を提供するとともに、生体分子の完全性及び安定性を維持する、大きい量及び濃度(すなわち、高濃度、高用量)のポリペプチド組成物(抗体組成物を含む)の凍結乾燥された生体分子の方法及び製剤が必要である。本発明は、凍結乾燥ポリペプチドの再構成時間を低減するための方法及び製剤を提供することによって、この必要性を満たし、該方法及び製剤は、特に高濃度及び/または高用量製剤の凍結乾燥された抗体組成物について、凍結乾燥ポリペプチドの完全性及び安定性を維持する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、凍結乾燥ポリペプチド、例えば、凍結乾燥された抗体組成物の再構成時間を低減するために有用な方法及び製剤を提供する。
【0009】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することと、凍結乾燥ポリペプチド組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、約0.5体積%~約20体積%である。他の実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、0.5体積%、1体積%、2.5体積%、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、及び20体積%からなる群から選択される。さらに他の実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、約1体積%~約20体積%、約1体積%~約10体積%、約1体積%~約5体積%、約5体積%~約20体積%、または約5体積%~約10体積%である。一実施形態では、TBAは、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍する直前に、ポリペプチドを含む液体組成物に添加される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、方法は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することを含む。
【0010】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、抗体を含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することと、液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、凍結乾燥抗体組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、約0.5体積%~約20体積%である。他の実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、0.5体積%、1体積%、2.5体積%、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、及び20体積%からなる群から選択される。さらに他の実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、約1体積%~約20体積%、約1体積%~約10体積%、約1体積%~約5体積%、約5体積%~約20体積%、または約5体積%~約10体積%である。いくつかの実施形態では、方法は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することを含む。一実施形態では、TBAは、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍する直前に、ポリペプチドを含む液体組成物に添加される。一実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。一実施形態では、抗体は、抗体断片である。一実施形態では、抗体は、二重特異性抗体である。一実施形態では、抗体は、抗体-薬物コンジュゲート(例えば、免疫コンジュゲート)である。
【0011】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製することと(ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの濃度は、約10mg/mL~約150mg/mLである)、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することと、凍結乾燥ポリペプチド組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの濃度は、約10mg/mL~約250mg/mL、約25mg/mL~約250mg/mL、約50mg/mL~約250mg/mL、約100mg/mL~約250mg/mL、約150mg/mmL~約250mg/mL、約25mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約25mg/mL~約125mg/mL、または約50mg/mL~約125mg/mLである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの濃度は、約25mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約200mg/mL、または約250mg/mLである。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、約0.5体積%~約20体積%である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、方法は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することを含む。
【0012】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製することと(ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの量は、約150mg~約11グラムである)、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することと、凍結乾燥ポリペプチド組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの量は、約150mg、約250mg、約500mg、約750mg、約1グラム、約2グラム、約3グラム、約4グラム、約5グラム、約6グラム、約7グラム、約8グラム、約9グラム、約10グラム、または約11グラムである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの量は、約150mg~11グラムである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの量は、約150mg~約1グラム、約500mg~約1グラム、約500mg~約5グラム、約1グラム~約5グラム、約1グラム~約10グラム、または約5グラム~約10グラムである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの量は、11グラム超である。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、約0.5体積%~約20体積%である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、方法は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することを含む。
【0013】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することと、凍結乾燥ポリペプチド組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも短く、TBAの存在下で凍結乾燥された凍結乾燥ポリペプチド組成物を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチド組成物を再構成するための時間と比較して、約40%~約95%低減される。いくつかの実施形態では、TBAの存在下で凍結乾燥された凍結乾燥ポリペプチド組成物を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチド組成物を再構成するための時間と比較して、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、または約90%~約95%低減する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、方法は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することを含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物は、バイアル、シリンジ(二室式シリンジを含む)、またはカートリッジ中で凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物は、ガラスバイアル中で凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、バイアルは、6ccバイアル、10ccバイアル、15ccバイアル、20ccバイアル、50ccバイアル、または100ccバイアルである。いくつかの実施形態では、ガラスバイアルは、6ccバイアル、10ccバイアル、15ccバイアル、20ccバイアル、50ccバイアル、または100ccバイアルである。いくつかの実施形態では、バイアルは、0.1mL、0.3mL、0.5mL、1mL、2mL、2.5mL、5mL、10mL、20mL、25mL、50mL、または100mLの容量または充填量を有する。いくつかの実施形態では、ガラスバイアルは、0.1mL、0.3mL、0.5mL、1mL、2mL、2.5mL、5mL、10mL、20mL、25mL、50mL、または100mLの容量または充填量を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成が真空下で行われる条件下で行われる。いくつかの実施形態では、本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することと、凍結乾燥ポリペプチド組成物を希釈液で再構成することと、を含み、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成が真空下にある条件下で行われ、さらにTBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドの再構成は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、真空は、深真空である。いくつかの実施形態では、真空は、部分真空である。ある特定の実施形態では、真空は、100Torr未満である。ある特定の実施形態では、真空は、50Torr未満である。ある特定の実施形態では、真空は、100mTorr~50Torrである。一実施形態では、真空は、100mTorrである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、方法は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成は、機械撹拌器などの撹拌器を使用して行われる。一実施形態では、本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することと、凍結乾燥ポリペプチド組成物を、撹拌器を使用することにより希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、バイアルまたは容器は、撹拌器上に置かれる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、方法は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成は、凍結乾燥ポリペプチド組成物が真空下にある条件下で撹拌器を使用して行われる。一実施形態では、本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することと、凍結乾燥ポリペプチド組成物を、撹拌器を使用することにより希釈液で再構成することと、を含み、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成は、凍結乾燥ポリペプチド組成物が真空下にある条件下で行われ、さらにTBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドの再構成は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、真空は、深真空である。いくつかの実施形態では、真空は、部分真空である。ある特定の実施形態では、真空は、100Torr未満である。ある特定の実施形態では、真空は、50Torr未満である。ある特定の実施形態では、真空は、100mTorr~50Torrである。一実施形態では、真空は、100mTorrである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、方法は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することを含む。
【0018】
本発明は、凍結乾燥に好適な液体ポリペプチド製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、凍結乾燥に好適な液体ポリペプチド製剤を提供し、該製剤は、ポリペプチド、希釈液、及びTBAを含み、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体製剤中のTBAの量は、約0.5体積%~20体積%である。いくつかの実施形態では、液体製剤中のTBAの量は、0.5体積%、1体積%、2.5体積%、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、及び20体積%からなる群から選択される。他の実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、約1体積%~約20体積%、約1体積%~約10体積%、約1体積%~約5体積%、約5体積%~約20体積%、または約5体積%~約10体積%である。一実施形態では、TBAは、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍する直前に、ポリペプチドを含む液体組成物に添加される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、抗体である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、製剤は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で糖をさらに含む。
【0019】
本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物を提供し、凍結乾燥ポリペプチド組成物は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製すること、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成すること、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍すること、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することによって産生され、凍結乾燥ポリペプチド組成物の、希釈液での再構成時に、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体製剤中のTBAの量は、約0.5体積%~約20体積%である。いくつかの実施形態では、液体製剤中のTBAの量は、0.5体積%、1体積%、2.5体積%、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、及び20体積%からなる群から選択される。他の実施形態では、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成するために液体ポリペプチド組成物に添加されるTBAの量は、約1体積%~約20体積%、約1体積%~約10体積%、約1体積%~約5体積%、約5体積%~約20体積%、または約5体積%~約10体積%である。一実施形態では、TBAは、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍する直前に、ポリペプチドを含む液体組成物に添加される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドは、抗体である。ある特定の実施形態では、TBAの、ポリペプチド製剤への添加は、ポリペプチドの完全性または安定性に対する影響がない。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、抗体であり、凍結乾燥ポリペプチド組成物は、TBAを液体組成物に添加する前に、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することによって産生される。
【0020】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することと(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、凍結乾燥抗体組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、及び20体積%からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~6体積%である。さらに他の実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~約10体積%である。一実施形態では、TBAは、液体抗体/TBA混合物を冷凍する直前に、抗体を含む液体組成物に添加される。ある特定の実施形態では、抗体は、完全長抗体である。一実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。一実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。一実施形態では、抗体は、抗体断片である。一実施形態では、抗体は、抗原結合断片、例えばFv、Fab、Fab′、Fab′-SH、F(ab′);ダイアボディ;直鎖状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体である。一実施形態では、抗体は、二重特異性抗体である。一実施形態では、抗体は、抗体-薬物コンジュゲート(例えば、免疫コンジュゲート)である。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースまたはトレハロースである。ある特定の実施形態では、TBAの、液体組成物への添加は、抗体の完全性または安定性に対する影響がない。
【0021】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと(抗体を含む液体組成物中の抗体の濃度は、約10mg/mL~約250mg/mLである)、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することと(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、凍結乾燥抗体組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~6体積%である。いくつかの実施形態では、抗体を含む液体組成物中の抗体の濃度は、約25mg/mL~約250mg/mL、約50mg/mL~約250mg/mL、約100mg/mL~約250mg/mL、約150mg/mmL~約250mg/mL、約25mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約25mg/mL~約125mg/mL、または約50mg/mL~約125mg/mLである。いくつかの実施形態では、抗体を含む液体組成物中の抗体の濃度は、約25mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約200mg/mL、または約250mg/mLである。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースまたはトレハロースである。ある特定の実施形態では、TBAの、液体組成物への添加は、抗体の完全性または安定性に対する影響がない。
【0022】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと(抗体を含む液体組成物中の抗体の量は、約150mg~約11グラムである)、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することと(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、凍結乾燥抗体組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~6体積%である。いくつかの実施形態では、抗体を含む液体組成物中の抗体の量は、約150mg、約250mg、約500mg、約750mg、約1グラム、約2グラム、約3グラム、約4グラム、約5グラム、約6グラム、約7グラム、約8グラム、約9グラム、約10グラム、または約11グラムである。いくつかの実施形態では、抗体を含む液体組成物中の抗体の量は、約150mg~約1グラム、約500mg~約1グラム、約500mg~約5グラム、約1グラム~約5グラム、約1グラム~約10グラム、または約5グラム~約10グラムである。いくつかの実施形態では、抗体を含む液体組成物中の抗体の量は、11グラム超である。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースまたはトレハロースである。ある特定の実施形態では、TBAの、液体組成物への添加は、抗体の完全性または安定性に対する影響がない。
【0023】
一実施形態では、本発明は、凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することと(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、凍結乾燥抗体組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも短く、TBAの存在下で凍結乾燥された凍結乾燥抗体組成物を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体組成物を再構成するための時間と比較して、約40%~約95%低減される。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~6体積%である。いくつかの実施形態では、TBAの存在下で凍結乾燥された凍結乾燥抗体組成物を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチド組成物を再構成するための時間と比較して、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%、または約90%~約95%低減する。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースまたはトレハロースである。ある特定の実施形態では、TBAの、液体組成物への添加は、抗体の完全性または安定性に対する影響がない。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物は、バイアル、シリンジ(二室式シリンジを含む)、またはカートリッジ中で凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物は、ガラスバイアル中で凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、バイアルは、6ccバイアル、10ccバイアル、15ccバイアル、20ccバイアル、50ccバイアル、または100ccバイアルである。いくつかの実施形態では、バイアルは、0.1mL、0.3mL、0.5mL、1mL、2mL、2.5mL、5mL、10mL、20mL、25mL、50mL、または100mLの容量または充填量を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥抗体組成物の再構成は、凍結乾燥抗体組成物の再構成が真空下で行われる条件下で行われる。いくつかの実施形態では、本発明は、凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することと(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、凍結乾燥抗体組成物を希釈液で再構成することと、を含み、凍結乾燥抗体組成物の再構成は、凍結乾燥抗体組成物が真空下にある条件下で行われ、さらにTBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~6体積%である。いくつかの実施形態では、真空は、深真空である。いくつかの実施形態では、真空は、部分真空である。ある特定の実施形態では、真空は、100Torr未満である。ある特定の実施形態では、真空は、50Torr未満である。ある特定の実施形態では、真空は、100mTorr~50Torrである。一実施形態では、真空は、100mTorrである。
【0026】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥抗体組成物の再構成は、機械撹拌器などの撹拌器を使用して行われる。一実施形態では、本発明は、凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することと(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、凍結乾燥抗体組成物を、撹拌器を使用することにより希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、バイアルまたは容器は、撹拌器上に置かれる。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~6体積%である。
【0027】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥抗体組成物の再構成は、凍結乾燥抗体組成物が真空下にある条件下で撹拌器を使用して行われる。一実施形態では、本発明は、凍結乾燥抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製することと、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成することと(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成することと、凍結乾燥抗体組成物を、撹拌器を使用することにより希釈液で再構成することと、を含み、凍結乾燥抗体組成物の再構成は、凍結乾燥抗体組成物が真空下にある条件下で行われ、さらにTBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、真空は、深真空である。いくつかの実施形態では、真空は、部分真空である。ある特定の実施形態では、真空は、100Torr未満である。ある特定の実施形態では、真空は、50Torr未満である。ある特定の実施形態では、真空は、100mTorr~50Torrである。一実施形態では、真空は、100mTorrである。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~6体積%である。
【0028】
本開示の方法のステップは、一個人または実体によって行われ得るか、またはステップは、複数の人々によってもしくは複数の実体によって行われ得る。ステップは、一個人または一実体の指示で、複数の人々または複数の実体によって行われてもよい。例えば、一個人または実態は、ポリペプチド及び糖を含む液体組成物を調製することができ、異なる個人または実態は、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍する前に、TBAを液体組成物に添加して、液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することができる。別の実施例では、一個人または実態は、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して、凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することができ、異なる個人または実態は、凍結乾燥ポリペプチド組成物を希釈液で再構成することができる。
【0029】
したがって、一態様において、本発明は、凍結乾燥ポリペプチドまたは抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、tert-ブチルアルコール(TBA)を、少なくとも約360:1のモル比でポリペプチドまたは抗体及び糖を含む液体組成物に添加して、液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物を形成することと(液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチドまたは抗体組成物を形成することと、凍結乾燥ポリペプチドまたは抗体組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドまたは抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドまたは抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~6体積%である。
【0030】
別の態様において、本発明は、凍結乾燥ポリペプチドまたは抗体組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、tert-ブチルアルコール(TBA)を、少なくとも約360:1のモル比でポリペプチドまたは抗体及び糖を含む液体組成物に添加して、液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物を形成することと(液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物を冷凍することと、液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチドまたは抗体組成物を形成することと、を含み、凍結乾燥ポリペプチドまたは抗体組成物は、その後、希釈液で再構成され、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドまたは抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドまたは抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体ポリペプチドまたは抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~6体積%である。
【0031】
本発明は、凍結乾燥に好適な液体抗体製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、凍結乾燥に好適な液体抗体製剤を提供し、該製剤は、抗体、糖、希釈液、及びTBAを含み、液体製剤中のTBAの量は、約5体積%~20体積%であり、液体製剤中の糖の量は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比であり、TBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体製剤中のTBAの量は、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、及び20体積%からなる群から選択される。他の実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~約10体積%である。いくつかの実施形態では、液体製剤中のTBAの量は、約5体積%~6体積%である。一実施形態では、TBAは、液体抗体/TBA混合物を冷凍する直前に、抗体を含む液体組成物に添加される。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースまたはトレハロースである。ある特定の実施形態では、液体抗体製剤中のTBAの存在は、抗体の完全性または安定性に対する影響がない。
【0032】
本発明は、凍結乾燥抗体組成物を提供し、該凍結乾燥抗体組成物は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物を調製すること、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体抗体/TBA混合物を形成すること(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物を冷凍すること、液体抗体/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥抗体組成物を形成するによって産生され、希釈液による凍結乾燥抗体組成物の再構成時に、TBAの存在下で凍結乾燥された抗体を再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じ抗体を再構成するための時間よりも少ない。いくつかの実施形態では、液体製剤中のTBAの量は、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、及び20体積%からなる群から選択される。他の実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~約10体積%である。いくつかの実施形態では、液体抗体/TBA混合物を形成するために液体抗体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~約6体積%である。一実施形態では、TBAは、液体抗体/TBA混合物を冷凍する直前に、抗体を含む液体組成物に添加される。いくつかの実施形態では、糖は、スクロースまたはトレハロースである。ある特定の実施形態では、TBAの、液体組成物への添加は、液体組成物中または凍結乾燥抗体組成物中の抗体の完全性または安定性に対する影響がない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】0%、0.5%、1%、5%、及び20%(v/v)のtert-ブチルアルコールを含有する凍結乾燥抗体製剤の再構成時間を示すデータを記載する。
図2】6ccバイアル中に凍結乾燥された0%、5%、及び10%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する2.5mLの凍結乾燥抗体製剤の再構成時間を示すデータを記載する。
図3】50ccバイアル中に凍結乾燥された0%、1%、5%、10%、及び20%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する25mLの凍結乾燥抗体製剤の再構成時間を示すデータを記載する。
図4】100ccバイアル中に凍結乾燥された0%、5%、及び10%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する60mLの凍結乾燥抗体製剤の再構成時間に対する真空の効果を示すデータを記載する。
図5】100ccバイアル中に凍結乾燥された0%、5%、及び10%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する100mLの凍結乾燥抗体製剤の再構成時間に対する撹拌器の効果を示すデータを記載する。
図6】100ccバイアル中に凍結乾燥された0%、5%、及び10%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する100mLの凍結乾燥抗体製剤の再構成時間に対する真空及び撹拌器の効果を示すデータを記載する。
図7】100ccバイアル中に0%または5%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する100mLの凍結乾燥抗体製剤の再構成時間に対する真空、撹拌器、ならびに真空及び撹拌器の効果を示すデータを記載する。
図8A】サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定して、2~8℃または30℃のいずれかで、0%、1%、5%、10%、及び20%(v/v)のtert-ブチルアルコールを含有する抗体製剤の7日安定性分析を示すデータを記載する。
図8B】サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定して、2~8℃または30℃のいずれかで、0%、1%、5%、10%、及び20%(v/v)のtert-ブチルアルコールを含有する抗体製剤の7日安定性分析を示すデータを記載する。
図9】IECによって測定して、2~8℃または30℃のいずれかで、0%、1%、5%、10%、及び20%(v/v)のtert-ブチルアルコールを含有する抗体製剤の7日安定性分析を示すデータを記載する。
図10A】0%、5%、または10%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する凍結乾燥前の液体抗体混合物から生成された凍結乾燥抗体製剤の、50℃での4ヶ月安定性分析を示すデータを記載する。モノマーパーセンテージを、SECによって測定した。図10Aは、mAb1の結果を示し、図10Bは、mAb2の結果を示す。
図10B】0%、5%、または10%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する凍結乾燥前の液体抗体混合物から生成された凍結乾燥抗体製剤の、50℃での4ヶ月安定性分析を示すデータを記載する。モノマーパーセンテージを、SECによって測定した。図10Aは、mAb1の結果を示し、図10Bは、mAb2の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、特に、ポリペプチド製剤、凍結乾燥製剤、凍結乾燥製剤の作製方法、ならびに凍結乾燥ポリペプチドの再構成時間を低減するのに有用な方法及び製剤を提供する。
【0035】
定義
本明細書の「抗体」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むがこれらに限定されない、様々な抗体構造を包含する。
【0036】
「抗体断片」とは、無傷の抗体が結合する抗原に結合する、無傷の抗体の一部分を含む無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab′、Fab′-SH、F(ab′);二重特異性抗体;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の源または種に由来する一方で、重鎖及び/または軽鎖の残りの部分が異なる源または種に由来する抗体を指す。
【0038】
抗体の「クラス」は、その重鎖が所有する定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。5つの主要なクラスの抗体、つまり、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAにさらに分類され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0039】
「完全長抗体」、「無傷抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書で、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように同義に使用される。
【0040】
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞により産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に排除する。
【0041】
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基及びヒトFRからのアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そのHVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
【0042】
「免疫コンジュゲート」は、細胞傷害性剤を含むが、これに限定されない1つ以上の異種分子(複数可)にコンジュゲートされる抗体である。
【0043】
「抗体-薬物コンジュゲート」は、細胞傷害性剤を含むが、これに限定されない1つ以上の異種分子(複数可)にコンジュゲートされる抗体である。
【0044】
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、個体または対象は、ヒトである。
【0045】
「単離された」抗体とは、その天然環境の構成成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換もしくは逆相HPLC)によって決定される、95%または99%を超える純度に精製される。抗体の純度を評定するための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。
【0046】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一であり、及び/または同じエピトープに結合するが、例えば、自然発生突然変異を含有するか、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる、起こり得る変異型抗体は例外であり、かかる変異型は一般的に少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向された異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない、様々な技法により作製され得、モノクローナル抗体を作製するためのかかる方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載される。
【0047】
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)または放射標識にコンジュゲートされていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的製剤中に存在し得る。
【0048】
「天然抗体」は、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3)が続く。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、その後に定常軽(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの種類のうちの1つに割り当てられ得る。
【0049】
「薬学的製剤」という用語は、調製物中に含有される活性成分の生物活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を全く含有しない調製物を指す。
【0050】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、凍結保護物質(例えば、スクロース、トレハロース)、または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容される担体または希釈液は、注入用の滅菌水を含む。
【0051】
本明細書で使用される場合、「再構成時間」及びその文法上の変形は、凍結乾燥された分子が溶解され、及び/または液体形態で懸濁されるのに必要な時間の量を指す。例えば、再構成時間には、ポリペプチドの乾燥(すなわち、凍結乾燥)ペレットまたはケークが、凍結乾燥に続いて水または緩衝液中で懸濁されるのに必要な時間が含まれるが、これに限定されない。「低減」または「低減する」または「低減された」再構成時間及びその文法上の変形は、第2の製剤及び/または条件下で凍結乾燥され、同じ液体中に懸濁された同量の同じポリペプチドと比較して、第1の製剤及び/または条件下で凍結乾燥されたポリペプチドの量が液体中に懸濁するために、より少ない時間が必要とされることを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「ケーク」または「凍結乾燥されたケーク」または「lyoケーク」という用語は、フリーズドライ(すなわち、凍結乾燥)ポリペプチド組成物または製剤を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」などのその文法上の変形)とは、治療されている個体の自然経過を変更することを目的とした臨床介入を指し、予防のために、または臨床病理過程中に行われ得る。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的病理学的帰結の縮小、疾患進行速度の減少、病状の回復または寛解、及び緩解または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明の抗体を使用して、疾患の発達を遅延させるか、または疾患の進行を減速させる。
【0054】
薬学的製剤
本明細書に記載される抗体の薬学的製剤は、所望の程度の純度を有するかかる抗体を、1つ以上の任意の薬学的に許容される担体と混合することによって(Remington′s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製される。薬学的に許容される担体は一般に、レシピエントに対し、用いられる投薬量及び濃度で無毒であり、緩衝液(リン酸、クエン酸、及び他の有機酸など)、アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤、保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチルもしくはプロピルパラベンなど)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなど)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなど)、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む)、キレート剤(EDTAなど)、糖類(スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど)、塩形成対イオン(ナトリウムなど)、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)、及び/または非イオン性界面活性剤(ポリエチレングリコール(PEG)など)を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性薬物分散剤をさらに含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
【0055】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及び同第WO2006/044908号に記載されるものが含まれ、後者の製剤は、ヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。ある特定の実施形態では、本発明の抗体製剤は、液体抗体組成物及びTBAを含み、TBAは、凍結乾燥前に液体抗体組成物に添加される。いくつかの態様では、本発明の抗体製剤は、0.5体積%、1体積%、2.5体積%、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、及び20体積%からなる群から選択される液体抗体組成物中のTBAの量を含む。他の実施形態では、液体抗体組成物中のTBAの量は、約1体積%~約20体積%、約1体積%~約10体積%、約1体積%~約5体積%、約5体積%~約20体積%、または約5体積%~約10体積%である。
【0056】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体組成物及び製剤は、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む。いくつかの実施形態では、糖:抗体のモル比は、少なくとも約360:1、少なくとも約380:1、少なくとも約400:1、少なくとも約420:1、少なくとも約440:1、少なくとも約460:1、少なくとも約480:1、または少なくとも約500:1であり、これらの数の間のあらゆる値を含む。いくつかの実施形態では、比は、約360:1~約500:1である。糖は、凍結乾燥中のタンパク質の安定性を改善するための、スクロースもしくはトレハロース、または当該技術分野において知られている任意の他の糖であり得る。本明細書で使用される場合、抗体対トレハロースの重量比を計算するための製剤中のトレハロースの重量は、トレハロース無水物の量(MW342.30)に基づいている。他の形態のトレハロース(例えば、トレハロース二水和物)が使用される場合、製剤中のトレハロースの重量は、同じモル濃度を有するトレハロース二水和物の重量から変換されるべきである。糖:抗体のモル比を計算するとき、150kDaの分子量が、抗体に想定され得る。
【0057】
本明細書における製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な2つ以上の活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してもよい。かかる活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0058】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。
【0059】
インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌性は、例えば、滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に達成され得る。
【0060】
本発明は、特に、ポリペプチド製剤、凍結乾燥製剤、及び凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供する。凍結乾燥方法及び技法は、当該技術分野において周知である。一般に、凍結乾燥のプロセスは、以下の通りである。溶解された物質(例えば、生体分子、ポリペプチド)を、その最終パッケージまたは保存容器(例えば、バイアル、シリンジ、またはカートリッジ)中で、低温(例えば、-60℃)で冷凍する。凍結乾燥またはフリーズドライは、それが冷凍され、真空下で置かれた後に、産生物から水が除去されるプロセスであり、氷が液相を通過することなく固体から蒸気に直接変化するのを可能にする。プロセスは、3つの別個及び相互依存のプロセス、つまり冷凍、一次乾燥(昇華)、及び二次乾燥(脱着)を伴う。結果は、ドライ乾燥凍結ケーク(すなわち、ドライlyoケーク)であり、その密度、孔径、総孔体積、及び表面積を含むこの構造は、産生(例えば、希釈液、温度、真空強度、乾燥条件、冷凍条件等)によって制御される。適切な保管により、凍結乾燥生体分子及びポリペプチドは、典型的に、2年または3年にわたって安定したままである。
【0061】
凍結乾燥容器としては、例えば、バイアル、シリンジ、またはカートリッジが挙げられる。様々なサイズの多くの凍結乾燥容器は、市販されており、これらの多くはガラスで作製されている。凍結乾燥において使用するためのバイアルサイズには、6ccバイアル、10ccバイアル、15ccバイアル、20ccバイアル、50ccバイアル、100ccバイアル等が含まれるが、これらに限定されない。0.1mL、0.3mL、0.5mL、1mL、2mL、2.5mL、5mL、10mL、20mL、25mL、50mL、100mL等の容量または充填量を有するバイアルを含む、様々な容量(または充填量)の凍結乾燥バイアルもまた入手可能である。
【0062】
本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間の低減方法を提供し、該方法は、(a)ポリペプチドを含む液体組成物を調製することと、(b)tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することと、(c)液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍することと、(d)液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物(すなわち、凍結乾燥ポリペプチドケーク)を形成することと、(e)凍結乾燥ポリペプチド組成物を希釈液で再構成することと、を含み、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。
【0063】
本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間を低減するための方法及び製剤を提供し、TBAは、凍結乾燥前にポリペプチドを含む液体組成物に添加される。ある特定の実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物に添加されるTBAの量は、約0.5体積%~約20体積%、約1体積%~約20体積%、約1体積%~約10体積%、約1体積%~約5体積%、約5体積%~約20体積%、約5体積%~約10体積%、または約10体積%~約20体積%である。
【0064】
他の実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物に添加されるTBAの量は、約0.5体積%、1体積%、2.5体積%、5体積%、7.5体積%、10体積%、12.5体積%、15体積%、17.5体積%、または20体積%である。一実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%~6体積%である。一実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物に添加されるTBAの量は、約5体積%である。一実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物に添加されるTBAの量は、4.5体積%、4.6体積%、4.7体積%、4.8体積%、4.9体積%、5体積%、5.1体積%、5.2体積%、5.3体積%、5.4体積%、5.5体積%、5.6体積%、5.7体積%、5.8体積%、5.9体積%、6体積%、6.1体積%、または6.2体積%である。一実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物に添加されるTBAの量は、約10体積%である。一実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物に添加されるTBAの量は、約20体積%である。
【0065】
本発明の方法及び製剤は、ポリペプチドの様々な濃度の再構成時間を低減することにおいて有効であり、特に高濃度ポリペプチド組成物の再構成時間を低減することにおいて有用かつ有効である。例えば、本発明は、凍結乾燥前にポリペプチドを含む液体組成物にTBAを添加することによって、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間を低減することにおいて有効な方法及び製剤を提供し、ポリペプチドを含む液体組成物は、高ポリペプチド濃度を有する。ある特定の実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの濃度は、約10mg/mL~250mg/mLである。ある特定の実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの濃度は、約25mg/mL~約250mg/mL、約50mg/mL~約250mg/mL、約100mg/mL~約250mg/mL、約150mg/mmL~約250mg/mL、約25mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約25mg/mL~約125mg/mL、または約50mg/mL~約125mg/mLである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの濃度は、約25mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約200mg/mL、または約250mg/mLである。
【0066】
本発明の方法及び製剤は、様々な量(amounts)及び量(quantities)のポリペプチドの再構成時間を低減することにおいて有効である。例えば、本発明は、凍結乾燥前にポリペプチドを含む液体組成物にTBAを添加することによって、凍結乾燥ポリペプチド組成物の再構成時間を低減することにおいて有効な方法及び製剤を提供し、ポリペプチドを含む液体組成物は、大量(quantityまたはamount)のポリペプチドを有する。ある特定の実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの量は、約150mg~約11グラムである。ある特定の実施形態では、ポリペプチドを含む(及び凍結乾燥後の)液体組成物中のポリペプチドの量は、約150mg、約250mg、約500mg、約750mg、約1グラム、約2グラム、約3グラム、約4グラム、約5グラム、約6グラム、約7グラム、約8グラム、約9グラム、約10グラム、または約11グラムである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドを含む液体組成物中のポリペプチドの量は、11グラム超である。
【0067】
凍結乾燥容器の渦流または揺動は、凍結乾燥ポリペプチドの再構成時間をさらに改善し得る。本発明のいくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドの再構成は、凍結乾燥容器中の凍結乾燥ポリペプチドに希釈液を添加し、凍結乾燥ポリペプチドが希釈液中に溶解または懸濁されるまで容器を渦流させることによって行われる。本発明の他の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドの再構成は、凍結乾燥容器中の凍結乾燥ポリペプチドに希釈液を添加し、容器を撹拌器(例えば、機械撹拌器)上に置き、凍結乾燥ポリペプチドが希釈液中に溶解または懸濁されるまで凍結乾燥容器を揺動させることによって行われる。
【0068】
真空下でのポリペプチドの再構成はまた、凍結乾燥ポリペプチドの再構成時間を改善し得る。本発明のいくつかの実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む凍結乾燥容器は、再構成中に真空下で維持される。一実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む凍結乾燥容器は、再構成中に完全真空下にある。ある特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む凍結乾燥容器は、再構成中に100Torr未満である。ある特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む凍結乾燥容器は、再構成中に50Torr未満である。ある特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む凍結乾燥容器は、100mTorr~50Torrである。一実施形態では、凍結乾燥ポリペプチドを含む凍結乾燥容器は、100mTorrである。
【0069】
本発明は、本発明の方法によって産生される凍結乾燥ポリペプチド組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、凍結乾燥ポリペプチド組成物を提供し、該凍結乾燥ポリペプチド組成物は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製すること、tert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成すること、液体ポリペプチド/TBA混合物を冷凍すること、液体ポリペプチド/TBA混合物を凍結乾燥して凍結乾燥ポリペプチド組成物を形成することによって産生され、凍結乾燥ポリペプチド組成物の、希釈液での再構成時に、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。ある特定の実施形態では、凍結乾燥ポリペプチド組成物は、ポリペプチドを含む凍結乾燥ケークである。
【0070】
本発明は、本発明の方法によって産生される液体ポリペプチド組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、液体ポリペプチド組成物を提供し、該液体ポリペプチド組成物は、ポリペプチドを含む液体組成物を調製すること、及びtert-ブチルアルコール(TBA)を液体組成物に添加して液体ポリペプチド/TBA混合物を形成することによって産生され、液体ポリペプチド組成物を形成するための液体ポリペプチド/TBA混合物、及びその後の凍結乾燥ポリペプチド組成物の、希釈液での再構成時に、TBAの存在下で凍結乾燥されたポリペプチドを再構成するための時間は、TBAの不在下で凍結乾燥された同量の同じポリペプチドを再構成するための時間よりも少ない。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態では、少なくとも約360:1の糖:抗体のモル比で抗体及び糖を含む液体組成物へのTBAの添加は(液体抗体/TBA混合物中のTBAの量は、約5体積%~20体積%である)、液体抗体/TBA混合物中、凍結乾燥抗体組成物中、または凍結乾燥に好適な液体抗体製剤中の抗体の完全性または安定性に対する影響がない。かかる実施形態では、抗体は、液体組成物中または凍結乾燥組成物中での保管時に、その物理的安定性及び/または化学的安定性及び/または生物学的活性を本質的に保持する。好ましくは、本明細書に提供される組成物及び製剤中の抗体は、保管時に、その物理的及び化学的安定性、ならびにその生物学的活性を本質的に保持する。保管期間は、一般に、製剤の意図される貯蔵寿命に基づいて選択される。タンパク質安定性を測定するための種々の分析技法が当該技術分野で利用可能であり、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery,247-301,Vincent Lee Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)及びJones,A.Adv.Drug Delivery Rev.10:29-90(1993)に概説されている。安定性は、選択された温度で選択された期間にわたって測定され得る。
【0072】
ある特定の実施形態では、凍結乾燥に好適な液体抗体製剤は、約40℃で少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、14、21、28日、またはそれ以上にわたって安定である。ある特定の実施形態では、液体抗体製剤は、約40℃で少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8週間、またはそれ以上にわたって安定である。ある特定の実施形態では、液体抗体製剤は、約25℃で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24ヶ月、またはそれ以上にわたって安定である。ある特定の実施形態では、液体抗体製剤は、約5℃で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24ヶ月、またはそれ以上にわたって安定である。ある特定の実施形態では、液体抗体製剤は、約-20℃以下で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48ヶ月、またはそれ以上にわたって安定である。さらに、液体抗体製剤は、好ましくは液体抗体製剤の冷凍(例えば、-20℃、-40℃、または-70℃まで)及び解凍後、例えば1、2、3、4、または5サイクルの冷凍及び解凍後に安定である。
【0073】
ある特定の実施形態では、凍結乾燥抗体組成物は、約25℃で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8週間、もしくはそれ以上、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24ヶ月、もしくはそれ以上にわたって安定である。ある特定の実施形態では、凍結乾燥抗体組成物は、約5℃で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24ヶ月、またはそれ以上にわたって安定である。ある特定の実施形態では、凍結乾燥抗体組成物は、約-20℃以下で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年、またはそれ以上にわたって安定である。
【0074】
安定性は、様々な異なる方法で、例えば、凝集体形成の評価によって(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、濁度を測定することによって、及び/または目視検査によって)、カチオン交換クロマトグラフィーまたはキャピラリーゾーン電気泳動を使用して電荷不均一性を評定することによって、アミノ末端またはカルボキシ末端配列分析によって、質量分光分析によって、還元されたインタクトな抗体を比較するSDS-PAGE分析によって、ペプチドマッピング(例えば、トリプシンまたはLYS-C)分析によって、抗体の生物学的活性または抗原結合機能を評価することによって、質的及び/または量的に評価され得る。不安定性は、凝集、脱アミド化(例えば、Asn脱アミド化)、酸化(例えば、Met酸化)、異性化(例えば、Asp異性化)、クリッピング/加水分解/断片化(例えば、ヒンジ領域断片化)、スクシンイミド形成、不対システイン(複数可)、N末端伸長、C末端処理、グリコシル化差異等のうちのいずれか1つ以上を伴い得る。
【0075】
抗体は、それが、色及び/または透明度の目視検査時に、または当該技術分野において既知の方法、例えば、UV光散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィーなどによって測定されたときに、凝集、沈殿、及び/または変性の兆候をほとんどまたは全く示さない場合、組成物または薬学的製剤中で「その物理的安定性を保持する」。
【0076】
抗体は、所与の時点での化学的安定性が、抗体が以下に定義されるその生物学的活性を依然として保持しているとみなされるようなものである場合、組成物または薬学的製剤中で「その化学的安定性を保持する」。化学的安定性は、抗体の化学的に改変された形態を検出及び定量することによって評定され得る。化学的改変は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS-PAGE、及び/またはマトリックス補助レーザー脱着イオン化/飛行時間型質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して評価され得るサイズ修正(例えば、クリッピング)を含み得る。他のタイプの化学的改変としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたはicIEFによって評価され得る電荷改変(例えば、脱アミド化の結果として起こる)が挙げられる。
【0077】
抗体は、所与の時点での抗体の生物学的活性が、例えば、抗原結合アッセイで決定されたときに、組成物または薬学的製剤が調製された時点で呈される生物学的活性の約10%以内である場合(アッセイのエラー内)、組成物または薬学的製剤中で「その生物学的活性を保持する」。抗体の他の「生物学的活性」アッセイは、本明細書で以下に詳述される。
【0078】
本明細書で使用される場合、モノクローナル抗体の「生物学的活性」とは、抗原に結合する抗体の能力を指す。これは、抗原に結合し、インビトロまたはインビボで測定され得る測定可能な生物学的応答をもたらす抗体をさらに含み得る。かかる活性は、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性であり得る。
【0079】
抗体
本発明に従って製剤化され得る抗体を産生するための例示的な技法が本明細書に提供される。一実施形態では、抗体が結合する抗原は、生物学的に重要なタンパク質であり、疾患または障害に罹患している哺乳動物への抗体の投与により、その哺乳動物に治療的利益がもたらされ得る。しかしながら、非ポリペプチド抗原(腫瘍関連糖脂質抗原など、米国特許第5,091,178号を参照されたい)を対象とする抗体もまた企図される。
【0080】
抗原がポリペプチドである場合、それは、膜貫通分子(例えば、受容体)または成長因子等のリガンドであり得る。例示的な抗原としては、分子、例えば、レニン;ヒト成長ホルモン及びウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α-1-抗トリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;抗凝固因子、例えば、タンパク質C;心房性ナトリウム利尿因子;肺界面活性剤;プラスミノーゲン活性化因子、例えば、ウロキナーゼまたはヒト尿もしくは組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子-α及び-β;エンケファリナーゼ;RANTES(活性化時に調節され、T細胞が正常に発現及び分泌している);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-α);血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;微生物タンパク質、例えば、β-ラクタマーゼ;DNase;IgE;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)、例えば、CTLA-4;インヒビン;アクチビン;ホルモンまたは成長因子受容体;タンパク質AまたはD;リウマチ因子;神経栄養因子、例えば、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、ニューロトロフィン-5、もしくはニューロトロフィン-6(NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)、または神経成長因子、例えば、NGF-β;血小板由来成長因子(PDGF);線維芽細胞成長因子、例えば、aFGF及びbFGF;上皮成長因子(EGF);形質転換成長因子(TGF)、例えば、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含むTGF-α及びTGF-β;インスリン様成長因子I及びII(IGF-I及びIGF-II);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質、例えば、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD22、及びCD40;エリスロポエチン;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えば、インターフェロン-α、インターフェロン-β、及びインターフェロン-γ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、及びIL-10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;ウイルス抗原、例えば、AIDSエンベロープの一部分など;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;インテグリン、例えば、CD1 la、CD1 lb、CD1 lc、CD18、ICAM、VLA-4、及びVCAM;腫瘍関連抗原、例えば、HER2、HER3、またはHER4受容体;ならびに上述のポリペプチドのうちのいずれかの断片が挙げられる。
【0081】
本発明によって包含される抗体の例示的な分子標的としては、CDタンパク質、例えば、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD22、CD34、及びCD40;ErbB受容体ファミリーのメンバー、例えばEGF受容体、HER2、HER3、またはHER4受容体;B細胞表面抗原、例えばCD20またはBR3;腫瘍壊死受容体スーパーファミリーのメンバー(DR5を含む);前立腺幹細胞抗原(PSCA);細胞癒着分子、例えば、LFA-1、Macl、pl50.95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、α4/β7インテグリン、及びαv/β3インテグリン(そのαまたはβサブユニットのいずれかを含む)(例えば、抗CD1 la、抗CD18、または抗CD1 lb抗体);成長因子、例えばVEGFならびにその受容体;組織因子(TF);腫瘍壊死因子(TNF)、例えば、TNF-αまたはTNF-β、αインターフェロン(α-IFN);インターロイキン、例えば、IL-8;IgE;血液群抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA-4;タンパク質C等が挙げられる。
【0082】
他の分子に任意でコンジュゲートされる可溶性抗原またはその断片は、抗体を生成するための免疫原として使用され得る。受容体などの膜貫通分子の場合、これらの断片(例えば、受容体の細胞外ドメイン)が免疫原として使用され得る。あるいは、膜貫通分子を発現する細胞が免疫原として使用され得る。かかる細胞は、天然源(例えば、癌細胞株)に由来し得るか、または膜貫通分子を発現するように組み換え技法によって形質転換された細胞であり得る。抗体の調製に有用な他の抗原及びその形態は、当業者には明らかであろう。
【0083】
本発明に従って製剤化され得る例示的な抗体としては、以下、抗HER2抗体を含む抗ErbB抗体(例えば、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))またはペルツズマブ);B細胞表面マーカーに結合する抗体、例えば、CD20(例えば、リツキシマブ及びヒト化2H7/オクレリズマブ)、CD22、CD40、またはBR3;IgEに結合する抗体(Genentechから市販されているオマリズマブ(XOLAIR(登録商標))、E26、HAE1、そのFc領域の265位にアミノ酸置換を有するIgE抗体(US2004/0191244 A1)、Hu-901、WO2004/070011にあるようなIgE抗体、またはIgE上の小さい細胞外セグメントに結合する抗体、Ml′(例えば、47H4v5、米国特許第8,071,097号を参照)、またPresta et al,J.Immunol.151:2623-2632(1993)を参照;国際公開第WO95/19181号;1998年2月3日発行の米国特許第5,714,338号;1992年2月25日発行の米国特許第5,091,313号、1993年3月4日公開のWO93/04173;1999年1月14日公開のWO99/01556;及び米国特許第5,714,338号;血管内皮成長因子(VEGF)(例えば、ベバシズマブ)またはVEGF受容体に結合する抗体;抗IL-8抗体(St John et al,Chest,103:932(1993)及び国際公開WO 95/23865);抗PSCA抗体(WO0l/40309);抗CD40抗体(S2C6及びそのヒト化変異形)(WO00/75348);エファリズマブ(RAPTIVA(登録商標))を含む抗CD1 la抗体(米国特許第5,622,700号、WO98/23761、Steppe et al,Transplant Intl.4:3-7(1991)、及びHourmant et al,Transplantation 58:377-380(1994));抗CD18抗体(1997年4月22日発行の米国特許第5,622,700号、または1997年7月31日公開のWO97/26912にあるような);抗Apo-2受容体抗体(1998年11月19日公開のWO98/51793);cA2(REMICADE(登録商標))及びアダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、CDP571、及びMAK-195(Afelimomab)を含む、抗TNF-α抗体(1997年9月30日発行の米国特許第5,672,347号、Lorenz et al.J.Immunol.156(4):1646-1653(1996)、及びDhainaut et al.Crit.Care Med.23(9):1461-1469(1995)を参照);抗組織因子(TF)(1994年11月9日に付与された欧州特許第0420937B1号);抗ヒトα4β7インテグリン(1998年2月19日公開のWO98/06248);抗EGFR抗体(1996年12月19日公開のWO96/40210号にあるようなキメラ化またはヒト化225抗体を含む);抗CD3抗体、例えば、OKT3(1985年5月7日発行の米国特許第4,515,893号);抗CD25または抗tac抗体、例えば、CHI-621(SIMULECT(登録商標))及び(ZENAPAX(登録商標))(1997年12月2日発行の米国特許第5,693,762号を参照);抗CD4抗体、例えば、cM-7412抗体(Choy et al.Arthritis Rheum 39(l):52-56(1996));抗CD52抗体、例えば、アレムツズマブ(CAMPATH-1H(登録商標))(Riechmann et al.Nature 332:323-337(1988);抗Fc受容体抗体、例えば、Graziano et al.J.Immunol.155(10):4996-5002(1995)にあるようなFcyRIに対して指向されたM22抗体;抗がん胎児性抗原(CEA)抗体、例えば、hMN-14(Sharkey et al.Cancer Res.55(23Suppl):5935s-5945s(1995);huBrE-3、hu-Mc3、及びCHL6を含む乳房内皮細胞に対して指向された抗体(Ceriani et al.Cancer Res.55(23):5852s-5856s(1995);及びRichman et al.Cancer Res.55(23 Supp):5916s-5920s(1995));C242などの結腸癌細胞に結合する抗体(Litton et al.EurJ.Immunol.26(1):1-9(1996));抗CD38抗体、例えば、AT13/5(Ellis et al.J.Immunol.155(2):925-937(1995));抗CD33抗体、例えば、Hu M195(Jurcic et al.Cancer Res 55(23 Suppl):5908s-5910s(1995)、及びCMA-676またはCDP771;抗CD22抗体、例えば、LL2またはLymphoCide(Juweid et al.Cancer Res 55(23 Suppl):5899s-5907s(1995);抗EpCAM抗体、例えば、17-1A(PANOREX(登録商標));抗GpIIb/IIIa抗体、例えば、アブシキシマブまたはc7E3 Fab(REOPRO(登録商標));抗RSV抗体、例えば、MEDI-493(SYNAGIS(登録商標));抗CMV抗体、例えば、PROTOVIR(登録商標));抗HIV抗体、例えば、PR0542;抗肝炎抗体、例えば、抗Hep B抗体 OSTAVIR(登録商標);抗CA 125抗体OvaRex;抗イディオタイプGD3エピトープ抗体BEC2;抗avP3抗体VITAXIN(登録商標);抗ヒト腎細胞癌抗体、例えば、ch-G250;ING-1;抗ヒト17-1A抗体(3622W94);抗ヒト結腸直腸腫瘍抗体(A33);GD3ガングリオシドに対して指向された抗ヒト黒色腫抗体R24;抗ヒト扁平細胞癌(SF-25);及び抗ヒト白血球抗原(HLA)抗体、例えば、Smart ID10及び抗HLA DR抗体Oncolym(Lym-1);抗CCR5(PRO 140);ABT-325;ABT-308;ABT-147;抗β7(エトロリズマブ);抗HER3/EGFR DAF(DLl If);抗インターロイキン6受容体(IL6R)、例えば、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標));抗FluA(WO2014/078268を参照)、ならびに抗Aβ(WO2003/070760及びWO2008/011348を参照)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例0084】
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上述の概要を考慮すると、様々な他の実施形態が実施され得ることを理解する。
【0085】
実施例1.0~20%のTBAを有する2.5mL及び25mLのmAbケークの再構成
精製されたモノクローナル抗体(mAb)溶液(mAb1及びmAb2)を、168mMのスクロース、20mMのHis-HCl、0.03%のPS20を含有する緩衝液中で70mg/mLまで希釈した。TBAを、25℃のその融点より上に温めた後、mAb試料を以下のように添加した。最大5%の最終TBA濃度の場合、TBAを70mg/mLのmAb溶液に直接添加した。10%または20%(体積/体積)の最終TBA濃度を有する試料の場合、より高い初期濃度のmAb1(90mg/mL)及びmAb2(100mg/mL)を使用し、適量のTBAの添加に続いて、168mMのスクロース及び0.03% PS20を含有する20mMのHis緩衝液を使用して70mg/mLのタンパク質まで希釈して、最終mAb溶液中10%のTBAまたは20%のTBA(v/v)濃度を得た。
【0086】
次いで、mAb/TBA混合物を添加して、Schott管バイアル(2.5mL充填の場合6ccバイアル、25mL充填の場合50ccバイアル)を洗浄し、脱発熱化した。Daikyo D777-1 20mm lyoストッパーでバイアルを塞いだ。次いで、バイアルを実験室フリーズドライヤーに装填した(Lyostar II,FTS Systems,Stone Ridge,NYまたはLyostar III,SP Scientific,Stone Ridge,NY)。
【0087】
凍結乾燥を以下のように行った。非制御核形成を使用する実験の場合、バイアルを5℃で1時間平衡させた。次いで、シェルフ温度を-0.3℃/分で-35℃まで低減し、この温度で6時間保持した。
【0088】
制御核形成を使用する実験の場合、バイアルを-10℃で2時間平衡させた。チャンバを窒素で5分間にわたって28.5psigまで加圧し、次いで約2秒間にわたって減圧した。次いで、シェルフ温度を-0.3℃/分で-35℃まで低減し、この温度で6時間保持した。乾燥挙動における任意の可能性のある凍結乾燥器間の変動性を避けるために、所与の実験における全てのバイアル試料を、乾燥用の1つの凍結乾燥器中で統合した。一次乾燥を、ピラニ真空管がキャパシタンスマノメーターで集束されるまで、-10℃のシェルフ温度及び100mTorrのチャンバ圧で行った。二次乾燥を(乾燥ケーク中の水分を0.5~2%の許容レベルまで減少させる)、20℃のシェルフ温度及び100mTorrのチャンバ圧で12時間行った。凍結乾燥に続いて、バイアルを5℃で保管した。
【0089】
凍結乾燥されたモノクローナル抗体組成物を、凍結乾燥前に、タンパク質濃度と同一のmAbタンパク質濃度を有する溶液を産生するのに十分な量の注入用滅菌水(希釈液)で再構成した。2.2mLの注入用滅菌水を、元々2.5mL充填を含有していた各6ccバイアルに添加し、22mLの注入用滅菌水を、もともと25mL充填を含有していた各50ccバイアルに添加した。再構成前に、バイアル及び注入用滅菌水(再構成希釈液)を室温で平衡させた。
【0090】
6ccバイアル中のmAb1の再構成を、2.2mLの注入用滅菌水を添加することによって行い、5秒間にわたって渦流させた後、抗体溶液が完全に再構成される(すなわち、完全溶解)まで、60rpmで軌道撹拌器上に置いた。6ccバイアル中のmAb2の再構成を、2.2mLの注入用滅菌水を添加することによって行い、5秒間にわたって渦流させた後、抗体溶液が完全に再構成されるまで、10分毎に5秒間にわたってバイアルを手動で渦流させた。50ccバイアル中のmAb1の再構成を、22mLの注入用滅菌水を添加することによって行い、5秒間にわたって渦流させた後、抗体溶液が完全に再構成されるまで、10分毎に5秒間にわたってバイアルを手動で渦流させた。
【0091】
手動再構成のための試料を含有するバイアルを、希釈液の添加直後に5秒間にわたって渦流させた後、残りの固体が目視によって溶解されたと確認されるまで、およそ10分毎に渦流させた。時折、撹拌を停止して、残りの固体を視覚的に評定した。
【0092】
図1は、6ccバイアル(2.5mL充填)からの凍結乾燥mAb1の再構成時間(分)に対する異なる濃度のTBAの効果を示す。図1に示されるように、凍結乾燥前の抗体溶液への0.5%、1%、5%、または20% TBAの添加は、mAb1の再構成時間の低減をもたらした。特に、5% TBAの添加は、凍結乾燥抗体の再構成時間を20分超から5分未満に低減し、非TBAで処置した対照と比較して、再構成時間のおよそ80%の低減であった。
【0093】
以下の表1は、試験した各TBA濃度について、3つの別個の6ccバイアルの上記実験と関連した特定の再構成時間を示す。
表1
【0094】
図2は、6ccバイアル(2.5mL充填)からの凍結乾燥mAb2の再構成時間(分)に対する異なる濃度のTBAの効果を示す。図2に示されるように、凍結乾燥前の抗体溶液への5%または10% TBAの添加は、mAb2の再構成時間の低減をもたらした。特に、5% TBAの添加は、凍結乾燥抗体の再構成時間を20分超からおよそ7.5分に低減した。
【0095】
図3は、50ccバイアル(25mL充填)からの凍結乾燥mAb1の再構成時間(分)に対する異なる濃度のTBAの効果を示す。図3に示されるように、凍結乾燥前の抗体溶液への1%、5%、10%、または20% TBAの添加は、mAb1の再構成時間の低減をもたらした。特に、5% TBAの添加は、凍結乾燥抗体の再構成時間を、およそ70分からおよそ27分に低減した。
【0096】
まとめると、これらの結果は、凍結乾燥前の抗体溶液へのTBAの添加は、再構成時間の低減をもたらすことを示した。追加として、これらの結果は、5% TBAが、1% TBA、10% TBA、または20% TBAで得られるものと比較して、再構成時間の最大低減を提供することを示した。
【0097】
実施例2.TBA及び真空での再構成
TBAとの組み合わせで、部分真空下に対する完全真空下での凍結乾燥mAb1の再構成時間に対する効果を、以下のように調べた。この研究の場合、70mg/mLで60mLの充填量のmAb1を含有する、100ccバイアルを使用した。TBAをmAb1溶液に添加して、最終濃度を5% TBAまたは10% TBAのいずれかにした。凍結乾燥に続いて、バイアルを100mTorr(真空)または200Torr(部分真空対照)のいずれかに埋め戻した。
【0098】
100ccバイアル中の凍結乾燥mAb1を、注入用滅菌水の添加によって元の60mLの充填量に再構成し、5秒間にわたって渦流させた後、抗体溶液が完全に再構成される(すなわち、完全溶解)まで、バイアルを10分毎に5秒間にわたって渦流させた。
【0099】
図4は、2つの異なる真空条件下(100mTorrまたは200Torrのいずれか)、100ccバイアル中の凍結乾燥mAb1の再構成時間に対する異なる濃度のTBA(5%及び10% TBA)の効果を示す。図4に示されるように、凍結乾燥前の、抗体溶液への5% TBAまたは10% TBAのいずれかの添加は、60mLの充填量を有する100ccバイアル中のmAb1の再構成時間の低減をもたらし、それぞれ2.5mLの充填量または25mLの充填量のいずれかを含有する6ccまたは50ccバイアルのいずれかで得られた結果と一致していた。特に、200Torr条件下、5% TBAまたは10% TBAの添加は、TBAなしで110分超から5% TBAでおよそ60分、及び10% TBAでおよそ80分まで再構成時間を低減した。
【0100】
100mTorr条件下で再構成を行ったとき、再構成時間が大幅に低減した。特に、100mTorr条件下、5% TBAまたは10% TBAの添加は、TBAなしでおよそ40分から5% TBAでおよそ20分、及び10% TBAでおよそ40分まで再構成時間を低減した。
【0101】
まとめると、これらの結果は、TBAと真空との組み合わせが、TBAまたは真空を単独で使用することと比較して、再構成時間の大幅な低減を示した。
【0102】
実施例3.様々な撹拌器条件下でのTBAによる再構成
TBAとの組み合わせで撹拌器の助けを借りて、または助けなしに再構成を行ったときの、凍結乾燥mAb1の再構成時間に対する効果を、以下のように調べた。この研究の場合、70mg/mLで60mLの充填量のmAb1を含有する、100ccバイアルを使用した。TBAをmAb1溶液に添加して、最終濃度を5% TBAまたは10% TBAのいずれかにした。
【0103】
100ccバイアル中の凍結乾燥mAb1を、注入用滅菌水の添加によって元の60mLの充填量に再構成した。手動再構成のための試料を含有するバイアルを、希釈液の添加直後に5秒間にわたって渦流させた後、残りの固体が目視によって溶解されたと確認されるまで、およそ10分毎に渦流させた。撹拌器による再構成のための試料を含有するバイアルを、希釈液の添加に続いて、Novartis/Genentech 500rpm Xolair Shaker(South San Francisco,CA)で撹拌した。時折、撹拌を停止して、残りの固体を視覚的に評定した。
【0104】
図5は、撹拌器の使用とともに、または使用なしに再構成されたときの、100ccバイアル中の凍結乾燥mAb1の再構成時間に対する異なる濃度のTBA(5%及び10% TBA)の効果を示す。図5に示されるように、凍結乾燥前の抗体溶液への5% TBAまたは10% TBAのいずれかの添加は、60mLの充填量を有する100ccバイアル中のmAb1の再構成時間の低減をもたらした。特に、対照(撹拌器なし)条件下、凍結乾燥前のTBAの添加は、TBAなしで110分超から5% TBAでおよそ60分、及び10% TBAでおよそ80分まで再構成時間を低減した。
【0105】
撹拌器を500rpmで使用して再構成を行ったとき、再構成時間が大幅に低減した。特に、撹拌器を用いて再構成を行ったとき、TBAの添加は、TBAなしでおよそ18分から5% TBAまたは10% TBAのいずれかでおよそ10分まで再構成時間を低減した。
【0106】
まとめると、これらの結果は、TBAと撹拌器との組み合わせが、TBAを単独で使用することと比較して、再構成時間の大幅な低減を示したことを示した。
【0107】
実施例4.TBA、真空、及び撹拌器での再構成
TBAとの組み合わせで撹拌器の助けを借りて、真空下(100mTorr)で再構成を行ったときの、凍結乾燥mAb1の再構成時間に対する効果を、以下のように調べた。この研究の場合、70mg/mLで60mLの充填量のmAb1を含有する、100ccバイアルを使用した。TBAをmAb1溶液に添加して、最終濃度を5% TBAまたは10% TBAのいずれかにした。真空及び撹拌器条件は、実施例3で上に記載した通りであった。
【0108】
図6は、撹拌器の使用とともに、100mTorr下で再構成されたときの、100ccバイアル中の凍結乾燥mAb1の再構成時間に対する異なる濃度のTBA(5%及び10% TBA)の効果を示す。図6に示されるように、再構成は、TBAなし、真空なし、及び撹拌器なしで60mLの充填を含有する100ccバイアルの場合、再構成にはおよそ110分を要した(10分毎に5秒間渦流させる)。しかしながら、真空、TBA、及び撹拌器の添加は、再構成時間を10分未満まで劇的に低減し、これら3つのパラメータの組み合わせは、再構成時間を95%超低減した。
【0109】
5% TBA、真空、及び撹拌器の組み合わせを使用して、4.2gmのタンパク質の再構成時間は、平均115分から5分に低減し、急速再構成時間を有する高用量生体分子製剤の調製を可能にした。
【0110】
図7は、100ccバイアル中に0%または5%(v/v)tert-ブチルアルコールを含有する100mLの凍結乾燥抗体製剤の再構成時間に対する真空、撹拌器、ならびに真空及び撹拌器の効果を示す。
【0111】
実施例5.液体安定性研究
液体中のmAb1安定性に対するTBAの効果を調べるための安定性研究を行った。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、及びイオン交換クロマトグラフィー(IEC)によって、mAb1安定性を測定した。mAb1(70mg/mL)を、0% TBA、1% TBA、5% TBA、10% TBA、または20% TBAを含有する50ccバイアル(25mL充填)に添加した。次いで、バイアルを2~8℃または30℃で7日間維持し、その間、SEC及びIEC分析によって、各条件について0日目、3日目、及び7日目に抗体の安定性を決定した。
【0112】
Tosoh Biosciences TSKゲル7.8mm ID×30cm Lカラム(South San Francisco,CA)を有するAgilent 1100または1200 HPLC(Santa Clara,CA)を使用して、SEC分析を行った。Dionex ProPac WCX-10 BioLC(商標)4×250mm分析カラム(Sunnyvale,CA)を有するAgilent 1200 HPLCを使用して、IEC分析を行った。
【0113】
図8A及び8Bに示されるように、SEC分析は7日の経過にわたって高いパーセンテージのモノマーピークの維持を示したため、mAb1は、2~8℃または30℃のいずれかで7日の経過にわたる様々な濃度のTBAの添加時に、良好な安定性を維持した。図8Bは、図8Aに示されるグラフの拡大バージョンを示す(すなわち、図8Bは、30℃での20% TBAと関連したデータを含まない図8Aのデータを示す)。
【0114】
図9に示されるように、IEC分析は7日の経過にわたって全ての例で対照に相当する主要ピークの維持を示したため、mAb1は、2~8℃または30℃のいずれかで7日の経過にわたる様々な濃度のTBAの添加時に、良好な安定性を維持した。
【0115】
まとめると、これらの結果は、20%(例えば、1%、5%、10% TBA)より下のTBA濃度で、抗体の安定性は、少なくとも7日間維持されるが、20% TBA条件でいくらかの安定性の喪失が観察された。
【0116】
実施例6.水分分析
凍結乾燥に続く乾燥mAbの水分レベルに対する、凍結乾燥前のmAb1またはmAb2へのTBA添加の効果を調べた。mAb1及びmAb2(いずれも70mg/mL)を、上記のように6ccバイアルに添加した。TBAをmAb溶液に添加して、最終濃度を0%、5%、または10% TBAにした。次いで、試料を上に記載したように凍結乾燥した。凍結乾燥に続いて、凍結乾燥試料(すなわち、固体試料)の含水量を、Mettler Toledo DL31容積測定カール・フィッシャー滴定装置(Columbus,OH)を使用して決定した。
【0117】
以下の表2に示されるように、TBAの添加は、凍結乾燥抗体調製の水分レベルに影響を及ぼさない。
表2
【0118】
非制御核形成(UCN)及び制御核形成(CN)の下で、様々な濃度のTBA(0%、5%、10%)を有するmAb1(50ccバイアル中40mg/mL)について含水量をさらに調べた。以下の表3に示されるように、TBAの添加は、標準冷凍技法(非制御核形成)を使用して凍結乾燥された抗体調製物の水分レベルに影響を及ぼさない。TBAの添加は、制御核形成を使用して凍結乾燥された抗体調製物の含水量を減少させる。
表3
【0119】
表1及び表2の両方に示されるモノクローナル抗体調製へのTBAの添加は、TBAの添加が、UCNケーク中の水分レベルにそれほど影響がなく、CNケーク中の水分レベルを減少させることを示す。
【0120】
実施例7.特定の表面積を決定するためのBET分析
凍結乾燥抗体ケーク構造の特定の表面積に対する様々な濃度のTBAの効果を調べた。mAb1及びmAb2を6ccバイアルに70mg/mLで0%、5%、または10% TBAとともに添加し、上記のように凍結乾燥した。特定の表面積の測定は、Quantachrome Quadrasorb Evo自動化表面積及び孔径分析器(Boynton Beach,FL)を用いて行った。相対湿度<3%で、グローブボックス内で試料を粉砕し、タールバルブに装填した。およそ100mgの試料サイズを使用した。強真空で少なくとも3時間にわたって40℃で残留水分の脱着を行った。次いで、Kryptonを吸着物として使用し、0.05~0.24の相対圧力P/Poで、マルチポイントBrunauer-Emmett-Teller(BET)分析を行った。
【0121】
以下の表4は、m/グラムとして提示される、特定の表面積(SSA)決定の結果を示す。以下の表4に示されるように、凍結乾燥前の抗体調製物へのTBAの添加は、凍結乾燥ケークの表面積の増加をもたらした。
表4
【0122】
非制御核形成(UCN)及び制御核形成(CN)を用いて、様々な濃度のTBA(0%、5%、10%)を有するmAb1(50ccバイアル中の40mg/mL)のBET分析を使用して、表面積をさらに調べた。非制御核形成(UCN)及び制御核形成(CN)を有するmAb1ケークの孔径を、以下の表5に示す。
表5
【0123】
BET分析は、TBAの添加が、恐らく凍結乾燥中に昇華するにつれて垂直孔を形成するTBAに起因して、孔径及び凍結乾燥ケーク構造の差をもたらしたことを示唆した。(Nail,SL et al.Freeze-Drying of tert-Butanol/Water Cosolvent Systems:A Case Report on Formation of a Friable Freeze-Dried Powder of Tobramycin Sulfate.Journal of Pharmaceutical Sciences.Vol.91,No.4.April 2002.American Pharmacists Associationを参照。)
【0124】
実施例8.凍結乾燥抗体の安定性研究
後次に凍結乾燥された抗体組成物中の抗体の安定性に対する凍結乾燥前の液体抗体/TBA混合物中のTBAの効果を調べる安定性研究を行った。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって安定性を測定した。
【0125】
6ccバイアルを、70mg/mL抗体(mAb1またはmAb2)、168mMのスクロース、20mMのヒスチジンHCl(pH5.8)、0.028%のポリソルベート20、及び0、5、または10%(v/v)TBAを含有する2.5mLの製剤で充填した。保存的凍結乾燥サイクルでバイアルを凍結乾燥し、50℃で4ヶ月超にわたってインキュベートした。試料を月1回採取し、サイズ排除クロマトグラフィーによるバッチ分析まで-20℃に置いた。図10Aは、各月1回の時点で凍結乾燥されたmAb1組成物中で維持されたモノマーのパーセンテージを示す。図10Bは、凍結乾燥mAb2組成物の結果を示す。
【0126】
結果は、50℃での凍結乾燥mAbの加速した分解は、5% TBAが凍結乾燥前の液体抗体/TBA混合物中に存在するとき、依然として凍結乾燥mAbの典型的かつ許容される範囲内である。上記のように、このレベルのTBAもまた、凍結乾燥mAbの再構成時間を最小化することを示した。したがって、5% TBAを凍結乾燥前の液体抗体製剤に添加することは、大きな(例えば、50または100cc)バイアルを必要とする高用量の凍結乾燥mAb産生物に利点を提供し得、再構成時間は、より少量のバイアルと比較して著しく長くなり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
【手続補正書】
【提出日】2022-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された一発明。
【外国語明細書】