(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124650
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】手元供養具
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
A47G33/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028540
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】391029406
【氏名又は名称】カリモク家具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】高須 博明
(57)【要約】
【課題】札板等の板状部材の厚みのばらつきがあった際にも、がたつきが生じない手元供養具を提供する。
【解決手段】内部に収納室7を備えた本体部4と、収納室7内に収納する複数枚の板状部材5と、本体部4における収納室7の前後方向の一方の側Aに形成した収納用開口部8を開閉する蓋体6を有する祈り部材1を備え、本体部4に、収納室7の前後方向の他方の側Bに開口窓9を形成し、開口窓9を通じて、板状部材5の文字等を視認できるようにし、蓋体6に板状部材5を開口窓9側に付勢する第1付勢部材11を設け、本体部4に蓋体6の抜け止めを防止する抜け止め部13を設けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に収納室を備えた本体部と、該収納室内に収納する複数枚の板状部材と、前記本体部における前記収納室の前後方向の一方の側に形成した収納用開口部を開閉する蓋体を有する祈り部材を備え、
前記本体部に、前記収納室の前後方向の他方の側に開口窓を形成し、該開口窓を通じて、前記板状部材の文字等を視認できるようにし、
前記蓋体に前記板状部材を開口窓側に付勢する第1付勢部材を設け、
前記本体部に前記蓋体の抜け止めを防止する抜け止め部を設けたことを特徴とする手元供養具。
【請求項2】
前記本体部に第2付勢部材を設け、該第2付勢部材により、抜け止め部を本体部の側壁側から収納室側に付勢するようにしたことを特徴とする請求項1記載の手元供養具。
【請求項3】
前記板状部材を、長尺に形成し、長手方向が縦方向と、横方向のいずれの方向となるようにも前記収納室を載置できるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の手元供養具。
【請求項4】
前記祈り部材は、繰り出し位牌であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の手元供養具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り出し位牌等の祈り部材を備えた手元供養具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繰り出し位牌として、窓部を有する前方部材と後方部材を取り外し可能に係合し、前方部材と後方部材の何れか一方の部材の内側に複数の札板を収納できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の繰り出し位牌においては、製造誤差等により、札板の厚みにばらつきが生じてしまう。繰り出し位牌に複数枚の札板を収納するため、札板の厚みのばらつきの影響が大きくなり、札板を収納した際にがたつきが発生してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、札板等の板状部材の厚みのばらつきがあった際にも、がたつきが生じない手元供養具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、内部に収納室を備えた本体部と、該収納室内に収納する複数枚の板状部材と、前記本体部における前記収納室の前後方向の一方の側に形成した収納用開口部を開閉する蓋体を有する祈り部材を備え、
前記本体部に、前記収納室の前後方向の他方の側に開口窓を形成し、該開口窓を通じて、前記板状部材の文字等を視認できるようにし、
前記蓋体に前記板状部材を開口窓側に付勢する第1付勢部材を設け、
前記本体部に前記蓋体の抜け止めを防止する抜け止め部を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記本体部に第2付勢部材を設け、該第2付勢部材により、抜け止め部を本体部の側壁側から収納室側に付勢するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記板状部材を、長尺に形成し、長手方向が縦方向と、横方向のいずれの方向となるようにも前記収納室を載置できるようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の発明において、前記祈り部材は、繰り出し位牌であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、本体部に、収納室の前後方向の他方の側に開口窓を形成し、開口窓を通じて、板状部材の文字等を視認できるようにし、蓋体に板状部材を開口窓側に付勢する第1付勢部材を設け、収納室に蓋体の抜け止めを防止する抜け止め部を設けたことにより、板状部材の厚みにばらつきが生じた場合においても、板状部材のがたつきが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係る祈り部材を縦置きした状態の手元供養具の斜視図。
【
図2】本発明の実施例に係る祈り部材を横置きした状態の手元供養具の斜視図。
【
図8】
図2の祈り部材を構成する蓋体の前側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る祈り部材1を縦置きした状態の手元供養具2の斜視図を示す。
【0014】
手元供養具2は、
図1,
図2に示すように、祈り部材1と第1台板3aと第2台板3bで構成されている。
【0015】
第1台板3aと第2台板3bは、上面が長方形状の板状部材で構成されている。第1台板3aと、第2台板3bの前後方向の長さは同じであるが、横方向の長さが異なるように形成され、第1台板3aの横方向の長さは、第2台板3bの横方向の長さより短く形成されている。
【0016】
祈り部材1は、
図3,
図4に示すように、本体部4と、複数枚の板状部材5と、蓋体6を備えている。
【0017】
図5~
図7に示すように、本体部4は、4つの側壁4aにより直方体形状に形成され、その内部には収納室7が形成されている。収納室7内には、
図3,
図4に示すように、7枚の板状部材5を収納できるようになっている。なお、収納室7内に収納できる板状部材5の枚数は、複数枚であれば任意に設定することができる。
【0018】
図5~
図7に示すように、本体部4における収納室7の前後方向の一方の側である後側Aには、収納用開口部8が前後方向に貫通形成され、収納室7の前後方向の他方の側である前側Bには、開口窓9が貫通形成され、収納室7の前後は開口するように形成されている。
【0019】
板状部材5は、長尺で薄厚の直方体形状に形成され、その枚数は、複数枚であれば任意に設定できる。本実施例では、板状部材5を札板で構成し、その枚数は7枚とした。
【0020】
板状部材5の表面には、何某家先祖代々の霊位との記載、故人の戒名、俗名、ペット名等を縦書きで記載したり、英字等の外国語により個人の氏名等を横書きで記載したり、任意の文字、図形、記号、絵柄等を付すことができる。また、購入時には、板状部材5には何も記載せず、購入後、任意の時期に、板状部材5の表面に、任意の文字、図形、記号、絵柄等を付すようにしてもよい。
【0021】
板状部材5を、収納用開口部8を通じて、収納室7内に収納したり、収納室7内から取り出すことができるようになっている。本実施例では、
図3,
図4に示すように、収納用開口部8の開口形状を、板状部材5の表面の長方形状より少し大きい長方形状に形成した。
【0022】
開口窓9は、
図1~
図7に示すように、その開口形状が長方形状に形成された貫通穴で形成されている。開口窓9の開口形状は、板状部材5の表面の長方形状より小さく形成され、板状部材5に付した文字等を視認できるようになっているとともに、開口窓9を通じて、板状部材5が前方に抜け落ちないようになっている。
【0023】
図3,
図4に示すように、蓋体6を、本体部4の収納用開口部8に取り付けて閉塞し、又は、取り外して収納用開口部8を開口することにより、蓋体6により収納用開口部8を開閉できるようになっている。蓋体6は、
図8~
図10に示すように、板状に形成され、その長手方向の両端部の前側には、第1付勢部材11が2個固設されている。蓋体6を、
図3,
図4に示すように、本体部4に取付けた際に、第1付勢部材11により、板状部材5を、開口窓9側に付勢するとともに、外部から視認できないようになっている。第1付勢部材11として、板状部材5を、開口窓9側に付勢することができれば任意の部材を用いることができ、例えば、ゴム材、バネ材等で構成でき、本実施例では、天然ゴムとEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)の複合素材で構成した。なお、第1付勢部材11の数は、2個以外にも任意に設定することができる。
【0024】
蓋体6の長手方向の両端部には、
図8~
図10に示すように、その前側Bに、長手方向の外側方向に突出する突出部6aが、短手方向全体に亘って形成されている。突出部6aにおける長手方向の断面形状は、前側B端から後側Aに向かう程、徐々に長手方向の外側に位置した後に、後側Aに向かう程、長手方向の内側に位置する円弧状に形成されている。
【0025】
蓋体6の長手方向の一端部には、布状の取り外し用部材6bが、その突出部6aにおける長手方向の側面を覆うように前側Bから後側Aにかけて設けられるとともに、後側A方向に突出するように設けられている。
【0026】
本体部4の長手方向の両端に位置する側壁4aの内側には、板バネで構成された第2付勢部材12の一端部12aが固設されている。第2付勢部材12の他端部12bは固定されず、本体部4の長手方向に移動できるようになっている。第2付勢部材12における後側A部には、抜け止め部13が形成されている。蓋体6を、
図3,
図4に示すように、本体部4に取付けた際に、抜け止め部13により、蓋体6の位置が保持されるとともに、蓋体6の突出部6aが後側Aに移動することを抑制し、抜け落ちないようになっている。
【0027】
抜け止め部13は、前側B端から後側Aに向かう程、徐々に長手方向の内側に位置した後に、後側Aに向かう程、長手方向の外側に位置する円弧状に形成されている。抜け止め部13は、本体部4の長手方向に移動できるとともに、第2付勢部材12により、本体部4の側壁4a側から収納室7側に付勢され、すなわち、抜け止め部13,13は近接する方向に付勢されている。本実施例では、第2付勢部材12と抜け止め部13を、板バネで一体に構成したが、第2付勢部材12と抜け止め部13を別部材で構成するようにしてもよい。
【0028】
蓋体6を、
図3,
図4に示すように、本体部4に取付けた際に、布状の取り外し用部材6bは、蓋体6の突出部6aと抜け止め部13の間に位置する。取り外し用部材6bを後側A方向に引っ張ることにより、蓋体6の一端部は、他端部を中心として、後方に移動し、蓋体6を後側Aに移動する力と、取り外し用部材6bにより、第2付勢部材12の付勢力に抗して抜け止め部13,13は離間する方向(外側方向)に移動し、蓋体6を容易に取り外すことができるようになっている。
【0029】
また、突出部6aと抜け止め部13の双方が円弧状に形成されていることにより、蓋体6を本体部4に取付ける際には、蓋体6の一方の突出部6aを、抜け止め部13の前側Bに位置するように本体部4内に挿入した後に、他方の突出部6aを、抜け止め部13に押し付けることで、第2付勢部材12の付勢力に抗して、抜け止め部13,13は離間する方向(外側方向)に移動し、他方の突出部6aを、抜け止め部13の前側B方向に挿入できる。その後、第2付勢部材12の付勢力により、抜け止め部13,13は近接する方向に移動し、蓋体6を本体部4に容易に取り付けることができるようになっている。
【0030】
図1に示すように、祈り部材1を、後述する板状部材5の長手方向が縦方向となるように縦置きした状態で、第1台板3aの上部に載置することができるようになっている。第2台板3bを、祈り部材1の前方に配置し、第2台板3bの上に、鈴20やりん棒21や、故人の遺品などを載置して、故人やペット等を偲ぶ空間等として使用することができるようになっている。
【0031】
また、
図2に示すように、祈り部材1を、後述する板状部材5の長手方向が横方向となるように横置きした状態で、第2台板3bの上部に載置することができるようになっている。第1台板3aを、祈り部材1の前方に配置し、第1台板3aの上に、香炉22や、故人の遺品などを載置して、故人やペット等を偲ぶ空間等として使用することができるようになっている。
【0032】
手元供養具2を、
図1,
図2に示すような状態で、室内の任意の場所に設定して、故人やペット等を偲ぶ空間等として使用することもできるし、仏壇内に祈り部材1を設置して位牌として使用することもできる。
【0033】
また、板状部材5の表面に、何某家先祖代々の霊位との記載、故人の戒名、俗名を記載して、祈り部材1を繰り出し位牌として用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 祈り部材
2 手元供養具
4 本体部
5 板状部材
6 蓋体
7 収納室
8 収納用開口部
9 開口窓
11 第1付勢部材
12 第2付勢部材
13 抜け止め部