(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124662
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20230830BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028564
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 光
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CD02
5D208CG07
5D208CG10
(57)【要約】
【課題】楽曲毎に適切なキーの設定を可能とするカラオケ装置を提供する。
【解決手段】楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別と、当該楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、当該カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けて記憶させる記憶処理部、ある楽曲を選曲したある利用者の性別と、当該ある楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、記憶されている当該ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定する決定部、決定された一のキーを、ある楽曲のカラオケ演奏において設定可能とする設定部を有するカラオケ装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別と、当該楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、当該カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けて記憶手段に記憶させる記憶処理部と、
ある楽曲を選曲したある利用者の性別と、当該ある楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、前記記憶手段に記憶されている当該ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定する決定部と、
決定された前記一のキーを、前記ある楽曲のカラオケ演奏において設定可能とする設定部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー、及び歌唱採点値に含まれる音高正確性の評価のみに基づいて前記一のキーを決定することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記ある利用者の性別が男性の場合、且つ決定された前記一のキーが基準以上である場合、前記ある楽曲を1オクターブ低い音高でカラオケ歌唱するよう前記ある利用者に対して推奨し、前記ある利用者の性別が女性の場合、且つ決定された前記一のキーが基準以下である場合、前記ある楽曲を1オクターブ高い音高でカラオケ歌唱するよう前記ある利用者に対して推奨することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置を利用する際、原曲歌手が女性である楽曲を男性の利用者がカラオケ歌唱したり、原曲歌手が男性である楽曲を女性の利用者がカラオケ歌唱することがある。
【0003】
このような場合、一般的には原曲のキーでカラオケ歌唱を行うことは困難であるため、利用者はリモコン装置を操作し、キーの変更を行う。
【0004】
ここで、特許文献1には、原曲歌手が女性である楽曲を男性の利用者が歌唱する場合に1オクターブ低く歌唱することを前提として、キーを2~4半音上げ、原曲歌手が男性である楽曲を女性の利用者が歌唱する場合に1オクターブ高く歌唱することを前提として、キーを3~5半音下げるカラオケ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術によれば、設定されるキーは楽曲によらず予め決定されている。
【0007】
本発明の目的は、楽曲毎に適切なキーの設定を可能とするカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別と、当該楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、当該カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けて記憶手段に記憶させる記憶処理部と、ある楽曲を選曲したある利用者の性別と、当該ある楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、前記記憶手段に記憶されている当該ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定する決定部と、決定された前記一のキーを、前記ある楽曲のカラオケ演奏において設定可能とする設定部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、楽曲毎に適切なキーの設定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図2】実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図3A】実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図3B】実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係るキー及び歌唱採点値のテーブルを示す図である。
【
図5】変形例1に係るキー及び歌唱採点値のテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
図1~
図4を参照して、実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0012】
==カラオケ装置==
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。
【0013】
図1に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0014】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は利用者のカラオケ歌唱の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0015】
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0016】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶手段10aは、楽曲データおよび利用者データを記憶する。
【0017】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ、歌詞テロップデータ、背景映像データ、属性情報等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、カラオケ演奏された楽曲の主旋律を示すデータである。歌詞テロップデータは、各楽曲に対応する歌詞テロップをカラオケ演奏に合わせて表示装置30等に表示させるためのデータである。背景映像データは、カラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景映像のデータである。属性情報は、楽曲名、原曲歌手の歌手名、原曲歌手の性別等である。
【0018】
なお、楽曲データは、サーバ装置(図示なし)に記憶されていてもよい。この場合、カラオケ装置Kは、利用者が選曲した楽曲の楽曲IDをサーバ装置に送信し、当該楽曲IDに対応する楽曲データの送信を要求する。サーバ装置は、当該楽曲IDに対応する楽曲データをカラオケ装置Kに送信する。カラオケ装置Kは、受信した楽曲データを記憶手段10aに記憶させる。
【0019】
利用者データは、利用者識別情報、歌唱履歴、属性情報等を含む。利用者識別情報は、利用者を識別するための利用者ID等、各利用者に固有の情報である。歌唱履歴は、利用者がカラオケ歌唱を行った楽曲、日時、カラオケ演奏を行ったカラオケ装置の装置識別情報、楽曲毎の歌唱採点値等、利用者毎のカラオケ歌唱に関する情報である。属性情報は、利用者の氏名、ニックネーム、好みのジャンル、性別等である。
【0020】
なお、利用者データは、サーバ装置に記憶されていてもよい。後者の場合、カラオケ装置Kは、ログインした利用者の利用者IDをサーバ装置に送信し、当該利用者IDに対応する利用者データの送信を要求する。サーバ装置は、当該利用者IDに対応する利用者データをカラオケ装置Kに送信する。カラオケ装置Kは、受信した利用者データを記憶手段10aに記憶させる。
【0021】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の操作入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0022】
[演奏手段]
演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏、及びマイク40を通じて入力された歌唱音声に基づく信号の処理を行う。演奏手段10dは、音源、ミキサ、アンプ等を含む(いずれも図示なし)。
【0023】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0024】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、記憶処理部100、決定部200、及び設定部300として機能する。
【0025】
(記憶処理部)
記憶処理部100は、楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別と、当該楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、当該カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0026】
カラオケ装置Kを利用する場合、利用者は、リモコン装置50を操作し、自己の利用者識別情報を入力する。
【0027】
カラオケ装置Kは、入力された利用者の利用者識別情報を記憶手段10aに記憶させることにより(すなわち、ログイン処理を行うことにより)、カラオケ装置Kに対する利用者のログインを完了させる。
【0028】
カラオケ装置Kにログインした利用者は、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲を選曲する。また、利用者は、リモコン装置50を操作し、選曲した楽曲をカラオケ歌唱する際のキーを任意に設定する。なお、利用者がキーの設定を行わない場合、カラオケ装置Kは、楽曲の伴奏データを移調せず、そのままカラオケ演奏させる。これは、キーが「0に設定」された状態であり、以下、キーが「基準に設定」されたと記載する場合がある。また、本実施形態においては、キーを-7半音から+7半音の範囲で設定できるものとする。たとえば、キーが「+3」に設定された場合、カラオケ装置Kは、楽曲の伴奏データの音高を3半音高く移調してカラオケ演奏させる。
【0029】
カラオケ装置Kは、演奏手段10dを制御し、利用者が選曲した楽曲のカラオケ演奏を、設定されたキーに基づいて行う。利用者は、マイク40を用いてカラオケ歌唱を行う。
【0030】
カラオケ装置Kは、利用者のカラオケ歌唱に応じて採点処理を行い、歌唱採点値を求める。カラオケ歌唱の採点処理は、公知の手法を用いることができる。たとえば、カラオケ装置Kは、利用者がカラオケ歌唱する楽曲のリファレンスデータ、及び当該利用者の歌唱音声に基づく歌唱音声データを用い、各歌唱区間を構成するノート毎の音高の一致度合いを求める(すなわち、音高正確性の評価を行う)。また、カラオケ装置Kは、加点処理の対象として、歌唱音声データから「ビブラート」、「しゃくり」等の歌唱技法を抽出する(すなわち、歌唱技法の評価を行う)。そして、カラオケ装置Kは、音高正確性の評価と歌唱技法の評価とに基づいて、歌唱採点値を決定する。歌唱採点値は、たとえば0~100点の数値で示すことができる。
【0031】
ここで、記憶処理部100は、楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別と、当該楽曲の原曲歌手の性別との比較を行う。
【0032】
具体的に、記憶処理部100は、楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の利用者データ(属性情報)を参照し、当該利用者の性別を特定する。また、記憶処理部100は、楽曲の楽曲データ(属性情報)を参照し、当該楽曲の原曲歌手の性別を特定する。
【0033】
記憶処理部100は、特定した利用者の性別と、原曲歌手の性別とが一致するかどうかを判断する。
【0034】
利用者の性別と、原曲歌手の性別とが異なると判断した場合、記憶処理部100は、カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けて記憶手段10aに記憶させる。一方、利用者の性別と、原曲歌手の性別とが同じであると判断した場合、記憶処理部100は、特段の処理を実行しない。
【0035】
なお、上記例では、利用者データに含まれる属性情報に基づいて利用者の性別を特定する例について述べた。一方、記憶処理部100は、カラオケ装置Kが備えるカメラにより撮影された利用者の映像を、公知の手法を用いて解析し、利用者の性別を特定してもよい。この場合、利用者データに含まれる属性情報は、利用者の性別を含まなくてよい。また、上記例では、楽曲データに含まれる属性情報に基づいて原曲歌手の性別を特定する例について述べた。一方、記憶処理部100は、選曲された楽曲の楽曲IDをサーバ装置や外部のデータベース等に送信して照会することにより、原曲歌手の性別を特定してもよい。この場合、楽曲データに含まれる属性情報は、原曲歌手の性別を含まなくてよい。
【0036】
(決定部)
決定部200は、ある楽曲を選曲したある利用者の性別と、当該ある楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、記憶手段10aに記憶されている当該ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定する。
【0037】
上述の通り、カラオケ装置Kは、利用者のログインを完了させることができる。そして、カラオケ装置Kにログインした利用者は、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行うある楽曲を選曲する。
【0038】
ここで、決定部200は、ある楽曲を選曲した利用者の性別と、当該ある楽曲の原曲歌手の性別との比較を行う。
【0039】
具体的に、決定部200は、ある楽曲を選曲した利用者の利用者データ(属性情報)を参照し、当該利用者の性別を特定する。また、決定部200は、ある楽曲の楽曲データ(属性情報)を参照し、当該ある楽曲の原曲歌手の性別を特定する。
【0040】
決定部200は、特定した利用者の性別と、原曲歌手の性別とが一致するかどうかを判断する。
【0041】
利用者の性別と、原曲歌手の性別とが異なると判断した場合、決定部200は、記憶手段10aに記憶されているある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定する。
【0042】
一のキーの決定は様々な方法により行うことができる。たとえば、決定部200は、記憶手段10aを参照し、ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー毎に、歌唱採点値の平均値を求める。決定部200は、平均値が最も高いキーを、一のキーとして決定する。なお、決定部200は、平均値ではなく、中央値や偏差値等の統計量に基づいて一のキーを決定してもよい。
【0043】
(設定部)
設定部300は、決定された一のキーを、ある楽曲のカラオケ演奏において設定可能とする。
【0044】
たとえば、設定部300は、決定部200で決定された一のキーを、利用者が選曲したある楽曲の楽曲IDと紐付けて予約待ち行列に登録することができる。この場合、決定された一のキーが、ある楽曲のカラオケ演奏において設定されることとなる。
【0045】
或いは、設定部300は、決定された一のキーを利用者に対して提示することができる。キーの提示は、たとえば、表示装置30やリモコン装置50の表示画面にキーの変更内容(たとえば「キーの設定を「+3」することをお勧めします」)を表示させることにより行うことができる。利用者は、表示されたキーの変更内容に基づいて、リモコン装置50を操作し、キーの設定を行う。この場合、利用者が設定したキー(すなわち、決定された一のキー)が、ある楽曲のカラオケ演奏において設定されることとなる。
【0046】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、
図3Aから
図4を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図3Aは、キー及び歌唱採点値を記憶させる際の処理(すなわち、記憶処理部100の動作例)を示すフローチャートである。
図3Bは、一のキーを決定し、当該一のキーを設定する際の処理(すなわち、決定部200及び設定部300の動作例)を示すフローチャートである。
図4は、記憶手段10aに記憶されたキー及び歌唱採点値のテーブルの一例である。この例では、
図3Bの処理を行う際、
図4に示したテーブルが記憶手段10aに記憶されているとする。すなわち、キー及び歌唱採点値を記憶させる際の処理と、一のキーを決定し、当該一のキーを設定する際の処理とは別のタイミング(たとえば、別々の日)に行われる。
【0047】
[キー及び歌唱採点値を記憶させる際の処理]
利用者U1は、リモコン装置50を操作し、自己の利用者IDを入力する。カラオケ装置Kは、入力された利用者U1の利用者IDを記憶手段10aに記憶させることにより、カラオケ装置Kに対する利用者U1のログインを完了させる(ログイン処理。ステップ10)。
【0048】
利用者U1は、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲を選曲する。また、利用者U1は、リモコン装置50を操作し、選曲した楽曲をカラオケ歌唱する際のキーを設定する(楽曲の選曲及びキーの設定。ステップ11)。この例において、利用者U1は、楽曲X1を選曲し、キーK2を設定したとする。
【0049】
カラオケ装置Kは、演奏手段10dを制御し、ステップ11で選曲された楽曲のカラオケ演奏を、ステップ11で設定されたキーに基づいて行う(設定されたキーに基づくカラオケ演奏。ステップ12)。利用者U1は、マイク40を用いてカラオケ歌唱を行う。カラオケ装置Kは、利用者U1のカラオケ歌唱に応じて採点処理を行い、歌唱採点値を求める(歌唱採点値の算出。ステップ13)。この例において、カラオケ装置Kは、設定されたキーK2に基づいて楽曲X1のカラオケ演奏を行い、利用者U1のカラオケ歌唱に応じた採点結果として歌唱採点値Sn(80点)を算出したとする。
【0050】
記憶処理部100は、楽曲X1のカラオケ歌唱を行った利用者U1の性別と、楽曲X1の原曲歌手の性別との比較を行う(利用者の性別と原曲歌手の性別とを比較。ステップ14)。
【0051】
楽曲X1のカラオケ歌唱を行った利用者U1の性別と、楽曲X1の原曲歌手の性別とが異なる場合(ステップ15でYの場合)、記憶処理部100は、カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を楽曲Xの楽曲IDと対応付けて記憶手段10aに記憶させる(キー及び歌唱採点値を楽曲IDと対応付けて記憶。ステップ16)。
【0052】
たとえば、記憶処理部100は、楽曲X1のカラオケ歌唱を行った利用者U1の利用者データを参照し、利用者U1の性別を「男性」と特定したとする。一方、記憶処理部100は、楽曲X1の楽曲データを参照し、楽曲X1の原曲歌手の性別を「女性」と特定したとする。
【0053】
この場合、特定した利用者の性別(男性)と、原曲歌手の性別(女性)とは異なる。よって、記憶処理部100は、カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキーK2、及び歌唱採点値Sn(80点)を楽曲X1の楽曲ID「ID***X1」と対応付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0054】
このような処理を繰り返し行うことにより、たとえば
図4に示したようなテーブルが生成される。
図4においては、楽曲X1について、キーと歌唱採点値の組み合わせが複数記憶されている。
【0055】
[一のキーを決定し、当該一のキーを設定する際の処理]
利用者U2は、リモコン装置50を操作し、自己の利用者IDを入力する。カラオケ装置Kは、入力された利用者U2の利用者IDを記憶手段10aに記憶させることにより、カラオケ装置Kに対する利用者U2のログインを完了させる(ログイン処理。ステップ20)。
【0056】
利用者U2は、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を行う楽曲を選曲する(楽曲の選曲。ステップ21)。この例において、利用者U2は、楽曲X1を選曲したとする。
【0057】
決定部200は、楽曲X1を選曲した利用者U2の性別と、楽曲X1の原曲歌手の性別との比較を行う(利用者の性別と原曲歌手の性別とを比較。ステップ22)。
【0058】
楽曲X1を選曲した利用者U2の性別と、楽曲X1の原曲歌手の性別とが異なる場合(ステップ23でYの場合)、決定部200は、記憶手段10aに記憶されている楽曲X1の楽曲IDに対応付けられたキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定する(一のキーを決定。ステップ24)。
【0059】
設定部300は、ステップ24で決定された一のキーを楽曲X1の楽曲IDと紐付けて予約待ち行列に登録することにより、楽曲X1のカラオケ演奏における一のキーを設定する(楽曲のカラオケ演奏における一のキーを設定。ステップ25)。
【0060】
たとえば、決定部200は、楽曲X1を選曲した利用者U2の利用者データを参照し、利用者U2の性別を「男性」と特定したとする。一方、決定部200は、楽曲X1の楽曲データを参照し、楽曲X1の原曲歌手の性別を「女性」と特定したとする。
【0061】
この場合、特定した利用者の性別(男性)と、原曲歌手の性別(女性)とは異なる。よって、決定部200は、記憶手段10aに記憶されたキー及び歌唱採点値を参照し、楽曲X1の楽曲IDに対応付けられたキー毎に(たとえば、
図4の場合、キーK1、キーK2、キーK3それぞれについて)、歌唱採点値の平均値を求める。決定部200は、平均値が最も高いキーを一のキーKmとして決定する。
【0062】
設定部300は、決定された一のキーKmを、楽曲X1の楽曲IDと紐付けて予約待ち行列に登録することにより、楽曲X1のカラオケ演奏におけるキーKmを設定する。
【0063】
なお、本実施形態では、カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けて記憶手段10aに記憶させる例について述べた。一方、カラオケ装置Kの記憶手段10aではなく、サーバ装置の記憶手段に記憶させることも可能である。
【0064】
たとえば、記憶処理部100は、楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別と、当該楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、当該カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けてサーバ装置に送信する。サーバ装置は、自己が備える記憶手段(図示なし)に受信した情報を記憶させる。
【0065】
一方、決定部200は、ある楽曲を選曲したある利用者の性別と、当該ある楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、当該ある楽曲の楽曲IDをサーバ装置に送信し、当該ある楽曲に対応付けられたキー及び歌唱採点値を要求する。サーバ装置は、記憶手段から当該ある楽曲に対応付けられたキー及び歌唱採点値を読み出し、カラオケ装置Kに送信する。決定部200は、受信したキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定することができる。
【0066】
==まとめ==
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別と、当該楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、当該カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けて記憶手段10aに記憶させる記憶処理部100と、ある楽曲を選曲したある利用者の性別と、当該ある楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、記憶手段10aに記憶されている当該ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定する決定部200と、決定された一のキーを、ある楽曲のカラオケ演奏において設定可能とする設定部300と、を有する。
【0067】
このようなカラオケ装置Kによれば、楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別と、当該楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、実際のカラオケ歌唱で設定されていたキーと歌唱採点結果とを対応付けて記憶しておくことができる。また、カラオケ装置Kは、ある楽曲を選曲したある利用者の性別と、当該ある楽曲の原曲歌手の性別とが異なる場合、過去に行われたある楽曲のカラオケ演奏におけるキー及び歌唱採点値に基づいて、一のキーを決定し、ある楽曲のカラオケ演奏において設定可能とすることができる。よって、利用者の性別と原曲歌手の性別とが異なる楽曲をカラオケ歌唱する場合であっても、楽曲を選曲するだけで、当該楽曲に適したキーを設定することができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、楽曲毎に適切なキーの設定ができる。
【0068】
<変形例1>
上記実施形態で述べたように、一般的な歌唱採点値は、音高正確性の評価と歌唱技法の評価とに基づいて決定される。一方、キーの変更を行った場合、音高正確性の評価に影響を与える可能性が高い。そこで、決定部200は、ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー、及び歌唱採点値に含まれる音高正確性の評価のみに基づいて一のキーを決定することが可能である。
【0069】
たとえば、実施形態で述べたように、利用者の性別と、原曲歌手の性別とが異なると判断した場合、記憶処理部100は、カラオケ歌唱を行った際のカラオケ演奏において設定されていたキー、及び歌唱採点値を当該楽曲の楽曲識別情報と対応付けて記憶手段10aに記憶させる。
【0070】
この際、本変形例においては、歌唱採点値を、音高正確性の評価と歌唱技法の評価とが区別可能な状態で記憶手段10aに記憶させる。
図5は、記憶手段10aに記憶されたキー及び歌唱採点値のテーブルの一例である。
図5に示すように、たとえば、1番目のキーK1に対しては、歌唱採点値S1(音高正確性の評価P1と歌唱技法の評価ST1)が対応付けられている。
【0071】
そして、決定部200は、利用者の性別と、原曲歌手の性別とが異なると判断した場合、記憶手段10aに記憶されているある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー及び歌唱採点値に含まれる音高正確性の評価のみに基づいて、一のキーを決定する。
【0072】
たとえば、決定部200は、記憶手段10aを参照し、ある楽曲の楽曲識別情報に対応付けられたキー毎に(たとえば、
図5の場合、キーK1、キーK2、キーK3それぞれについて)、音高正確性の評価のみの平均値を求める。決定部200は、平均値が最も高いキーを、一のキーとして決定する。なお、決定部200は、平均値ではなく、中央値や偏差値等の統計量に基づいて一のキーを決定してもよい。
【0073】
このように本変形例に係るカラオケ装置Kによれば、音高正確性の評価のみを用いることにより、楽曲毎により適切なキーの設定ができる。
【0074】
<変形例2>
男性である利用者が、原曲歌手が女性である楽曲をカラオケ歌唱した場合に、利用者が、あるキーを設定したとする。ここで、設定されたキーが、楽曲の基準以上(すなわち、0以上)になる場合がありうる。このような場合、男性である利用者は、実際にはキーを基準以上に設定した上で、1オクターブ下げてカラオケ歌唱を行っている可能性が高い(特許文献1参照)。同様に、女性である利用者が、原曲歌手が男性である楽曲をカラオケ歌唱した場合に、利用者が、あるキーを設定したとする。ここで、設定されたキーが、楽曲の基準以下(すなわち、0以下)になる場合がありうる。このような場合、女性である利用者は、実際にはキーを基準以下に設定した上で、1オクターブ上げてカラオケ歌唱を行っている可能性が高い(特許文献1参照)。
【0075】
そこで、設定部300は、ある利用者の性別が男性の場合、且つ決定された一のキーが基準以上である場合、ある楽曲を1オクターブ低い音高でカラオケ歌唱するようある利用者に対して推奨し、ある利用者の性別が女性の場合、且つ決定された一のキーが基準以下である場合、ある楽曲を1オクターブ高い音高でカラオケ歌唱するようある利用者に対して推奨することができる。なお、本変形例では、音高を1オクターブ変更してカラオケ歌唱を行ったとしても、音高正確性の評価には影響を与えないものとする。
【0076】
たとえば、決定部200は、ある楽曲を選曲したある利用者の利用者データを参照し、ある利用者の性別を「男性」と特定したとする。一方、決定部200は、ある楽曲の楽曲データを参照し、ある楽曲の原曲歌手の性別を「女性」と特定したとする。
【0077】
この場合、特定した利用者の性別(男性)と、原曲歌手の性別(女性)とは異なる。よって、決定部200は、一のキーを決定する。
【0078】
設定部300は、決定された一のキーを、ある楽曲の楽曲IDと紐付けて予約待ち行列に登録することにより、ある楽曲のカラオケ演奏におけるキーを設定する。
【0079】
ここで、決定された一のキーが基準以上(0以上)である場合、設定部300は、ある楽曲を1オクターブ低い音高でカラオケ歌唱するようある利用者に対して推奨する。推奨は、たとえば、表示装置30やリモコン装置50の表示画面にメッセージ(たとえば「カラオケ歌唱の際には1オクターブ低い音高で歌いましょう」)を表示させることにより行うことができる。
【0080】
なお、記憶処理において、原曲歌手の声域が女性としては低い場合、男性の利用者は、基準より低いキーを設定し、音高を1オクターブ下げることなくそのままカラオケ歌唱した可能性が高い。したがって、ある利用者の性別が男性の場合、且つ決定された一のキーが基準より低い場合、設定部300は、特段の処理を実行しない。
【0081】
一方、決定部200は、ある楽曲を選曲したある利用者の利用者データを参照し、ある利用者の性別を「女性」と特定したとする。一方、決定部200は、ある楽曲の楽曲データを参照し、ある楽曲の原曲歌手の性別を「男性」と特定したとする。
【0082】
この場合、特定した利用者の性別(女性)と、原曲歌手の性別(男性)とは異なる。よって、決定部200は、一のキーを決定する。
【0083】
設定部300は、決定された一のキーを、ある楽曲の楽曲IDと紐付けて予約待ち行列に登録することにより、ある楽曲のカラオケ演奏におけるキーを設定する。
【0084】
ここで、決定された一のキーが基準以下(0以下)である場合、設定部300は、ある楽曲を1オクターブ高い音高でカラオケ歌唱するようある利用者に対して推奨する。推奨は、たとえば、表示装置30やリモコン装置50の表示画面にメッセージ(たとえば「カラオケ歌唱の際には1オクターブ高い音高で歌いましょう」)を表示させることにより行うことができる。
【0085】
なお、記憶処理において、原曲歌手の声域が男性としては高い場合、女性の利用者は、基準より高いキーを設定し、音高を1オクターブ上げることなくそのままカラオケ歌唱した可能性が高い。したがって、ある利用者の性別が女性の場合、且つ決定された一のキーが基準より高い場合、設定部300は、特段の処理を実行しない。
【0086】
このように本変形例に係るカラオケ装置Kによれば、決定された一のキーに応じて、ある楽曲を1オクターブ低い音高(または1オクターブ高い音高)でカラオケ歌唱するよう推奨することにより、利用者が適切な音高でカラオケ歌唱を行いやすくなる。
【0087】
<その他>
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
100 記憶処理部
200 決定部
300 設定部
K カラオケ装置