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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124687
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/024 20160101AFI20230830BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H02P25/024
B25B23/14 630B
B25B23/14 610A
B25B23/14 610L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028610
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻本 直生
【テーマコード(参考)】
3C038
5H505
【Fターム(参考)】
3C038CA01
3C038CA06
3C038CA07
3C038CB02
3C038CB06
3C038CC02
3C038EA02
5H505AA13
5H505CC04
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE41
5H505FF05
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505LL09
5H505LL20
5H505LL22
5H505LL38
5H505LL40
5H505LL41
(57)【要約】
【課題】先端工具に生じる締付トルク値を正確に算出できる電動工具を提供すること。
【解決手段】電動工具1は、モータ2と、先端工具31を保持する保持部3にモータ2の回転を伝達する伝達機構4と、モータ2の回転を停止させるモータ制御部5と、を備える。モータ2は、回転可能に構成され磁石を具備するロータ21と、ロータ21の回転角度を検出する複数の磁気センサ24と、を有する。複数の磁気センサ24の数は、コイル23の相数よりも多い。モータ制御部5は、モータ2から保持部3に伝達されるモータトルク値を検出するトルク検出部51と、モータトルク値に基づいてモータ2の回転が停止するようにモータ2を制御する停止制御部52と、を有する。電動工具1は、停止制御部52が停止制御を開始した後に、複数の磁気センサ24の検出結果に基づき、ロータ21及び伝達機構4の少なくとも一方の慣性力を演算する演算部6を更に備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動作を行うモータと、
先端工具を保持する保持部と、
前記モータの回転を前記保持部に伝達する伝達機構と、
前記モータの前記回転を停止させるモータ制御部と、を備え、
前記モータは、
回転可能に構成され、磁石を具備するロータと、
前記ロータの周囲に配置されるステータと、
前記ステータに巻かれるコイルと、
前記ロータの回転角度を検出する複数の磁気センサと、を有し、
前記複数の磁気センサの数は、前記コイルの相数よりも多く、
前記モータ制御部は、
前記モータから前記保持部に伝達されるトルクの値であるモータトルク値を検出するトルク検出部と、
前記モータトルク値に基づいて、前記モータの前記回転が停止するように前記モータを制御する停止制御を行う停止制御部と、を有し、
前記停止制御部が前記停止制御を開始した後に、前記複数の磁気センサの検出結果に基づき、前記ロータ及び前記伝達機構の少なくとも一方の慣性力を演算する演算部を更に備える、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記演算部は、
前記複数の磁気センサの検出結果に基づき、前記ロータの角速度を算出する角速度算出部と、
前記慣性力として、前記ロータの前記角速度を用いて、前記慣性力によって作用するトルクの値である慣性トルク値を算出する慣性トルク算出部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記モータトルク値と前記慣性トルク値との合計値を締付トルク値として記憶する記憶部を更に備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記複数の磁気センサは、
前記コイルの相数と同じ数の第1磁気センサと、
前記第1磁気センサとは異なる第2磁気センサと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記第2磁気センサの検出結果は、前記演算部によって前記慣性力を算出することのみに使用される、
ことを特徴とする請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記第2磁気センサの個数は、少なくとも前記コイルの相数と同じ数である、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電動工具に関する。より詳細には、本開示は、モータを備える電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定の目標の締付トルクに基づいて、永久磁石同期モータのトルク発生に寄与する電流を、所定の最大電流値で制限する制限手段を備えた電動工具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/230140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような電動工具は、永久磁石同期モータ(モータ)のトルク発生に寄与する電流を用いて検出したトルク値が所定の目標の締付トルク値となったときに、永久磁石同期モータを停止させて、締付トルク値を制御する。しかし、永久磁石同期モータを瞬時に停止させることは困難であるため、実際に先端工具に生じる締付トルク値は目標の締付トルク値を超えてしまうという問題があった。すなわち、実際に先端工具に生じる締付トルク値を正確に算出できないという問題があった。
【0005】
本開示の目的とするところは、実際に先端工具に生じる締付トルク値を正確に算出できる電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具は、モータと、保持部と、伝達機構と、モータ制御部と、を備える。前記モータは、回転動作を行う。前記保持部は、先端工具を保持する。前記伝達機構は、前記モータの回転を前記保持部に伝達する。前記モータ制御部は、前記モータの前記回転を停止させる。前記モータは、ロータと、ステータと、コイルと、複数の磁気センサと、を有する。前記ロータは、回転可能に構成され、磁石を具備する。前記ステータは、前記ロータの周囲に配置される。前記コイルは、前記ステータに巻かれる。前記複数の磁気センサは、前記ロータの回転角度を検出する。前記複数の磁気センサの数は、前記コイルの相数よりも多い。前記モータ制御部は、トルク検出部と、停止制御部と、を有する。前記トルク検出部は、前記モータから前記保持部に伝達されるトルクの値であるモータトルク値を検出する。前記停止制御部は、前記モータトルク値に基づいて、前記モータの前記回転が停止するように前記モータを制御する停止制御を行う。前記電動工具は、前記停止制御部が前記停止制御を開始した後に、前記複数の磁気センサの検出結果に基づき、前記ロータ及び前記伝達機構の少なくとも一方の慣性力を演算する演算部を更に備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、実際に先端工具に生じる締付トルク値を正確に算出できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る電動工具システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上の電動工具が備えるモータの機械的な構造を示す概略図である。
図3図3は、同上の電動工具において複数の磁気センサが出力する検出信号について説明する説明図である。
図4図4は、同上の電動工具において複数の磁気センサが実装される位置について説明する説明図である。
図5図5は、同上の電動工具において角速度算出部がロータの角速度を算出する方法を説明する説明図である。
図6図6は、同上の電動工具において停止制御部が停止制御を開始した後のロータの回転数の時間変化を示す図である。
図7図7は、同上の電動工具において慣性トルク算出部が算出する慣性トルク値の算出限界を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
(1)概要
以下、本実施形態に係る電動工具1の概要について、図1を参照して説明する。
【0010】
本実施形態に係る電動工具1は、図1に示すように、モータ2と、保持部3と、伝達機構4と、モータ制御部5と、演算部6と、を備える。本実施形態では、一例として、電動工具1は、電源部B1等の動力原からの動力(電力等)によって動作するインパクトドライバである。なお、本実施形態では、作業者が締付対象(電化製品、家具等)に締付部品(ネジ、ボルト、ナット等)を締め付ける締付作業に電動工具1を用いる場合を想定する。また、電動工具1は、作業者が締付対象から締付部品を緩める取り外し作業に用いられてもよい。
【0011】
モータ2は、回転動作を行う。保持部3は、先端工具31を保持する。伝達機構4は、モータ2の回転を保持部3に伝達する。モータ制御部5は、モータ2の回転を停止させる。
【0012】
モータ2は、ロータ21と、ステータ22と、コイル23と、複数の磁気センサ24と、を有する。ロータ21は、回転可能に構成され、磁石を具備する。ステータ22は、ロータ21の周囲に配置される。コイル23は、ステータ22に巻かれる。複数の磁気センサ24は、ロータ21の回転角度を検出する。複数の磁気センサ24の数は、コイル23の相数よりも多い。
【0013】
モータ制御部5は、トルク検出部51と、停止制御部52と、を有する。トルク検出部51は、モータ2から保持部3に伝達されるトルク値であるモータトルク値を検出する。停止制御部52は、モータトルク値に基づいて、モータ2の回転が停止するようにモータ2を制御する停止制御を行う。
【0014】
演算部6は、停止制御部52が停止制御を開始した後に、複数の磁気センサ24の検出結果に基づき、ロータ21及び伝達機構4の少なくとも一方の慣性力を演算する。
【0015】
以上から、実施形態の電動工具1は、停止制御部52が停止制御を開始した後からモータ2が停止するまでに、ロータ21及び伝達機構4の少なくとも一方の慣性力によって締付部品に生じるトルクの値である慣性トルク値Ti(式4参照)を正確に算出することが可能である。すなわち、本実施形態の電動工具1は、実際に先端工具31に生じる締付トルク値を正確に算出できるという利点がある。本開示でいう「締付トルク値」は、モータトルク値と慣性トルク値Tiとの合計値である。
【0016】
(2)詳細な構成
(2-1)全体の構成
以下に、本実施形態の電動工具1の詳細な構成について、図1図7を参照して説明する。
【0017】
電動工具1は、図1に示すように、モータ2と、保持部3と、伝達機構4と、モータ制御部5と、演算部6と、記憶部7と、出力軸91と、回転角算出部92と、回転制御部93と、備える。
【0018】
以下の本実施形態では、電動工具1の締付作業の内容は、ハードジョイントであることを想定して説明する。ハードジョイントとは、例えば、金属製の締付部品を締付対象に締め付ける締付作業である。
【0019】
電動工具1は、コンピュータシステムを備えることが好ましい。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるモータ制御部5、演算部6、回転角算出部92、及び回転制御部93の機能の少なくとも一部が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0020】
(2-2)モータ
モータ2は、回転動作を行う。より詳細には、モータ2は、電源部B1から供給される電力によって駆動し、回転動作を行う。一例として、電源部B1は、電動工具1に着脱可能に取り付けられる充電式の電池パックである。電源部B1は、電動工具1の構成要素ではない。ただし、電源部B1は、電池パックを構成要素として備えていてもよい。
【0021】
本実施形態のモータ2は、ブラシレスモータである。より詳細には、本実施形態のモータ2は、3相(U相、V相、W相)のブラシレスモータである。モータ2は、図1及び図2に示すように、ロータ21と、ステータ22と、コイル23と、磁気センサ24と、回転軸27と、を有する。
【0022】
ロータ21は、回転可能に構成され、磁石を具備する。ロータ21が具備する磁石は、永久磁石である。ステータ22は、図2に示すように、ロータ21の周囲に配置される。ロータ21は、ステータ22に対して、回転軸27の中心線271回りに回転可能に構成される。回転軸27は、ロータ21と機械的に接続されており、ロータ21の回転に伴い回転する。
【0023】
コイル23は、ステータ22に巻かれる。本実施形態のコイル23は、3相(U相、V相、W相)である。すなわち、本実施形態のモータ2では、図2に示すように、3相のコイル23のそれぞれが、ステータ22に巻かれる。コイル23を構成する電線は、例えば、エナメル線である。
【0024】
3相のコイル23に電源部B1から供給される電力が流れることによって、磁束が発生する。モータ2では、ステータ22に巻かれた3相のコイル23から発生する磁束により、ロータ21を回転させる電磁気力が発生する。モータ2は、ロータ21の回転力を回転軸27から伝達機構4へ伝達する。
【0025】
複数の磁気センサ24は、ロータ21の回転角度を検出する。より詳細には、複数の磁気センサ24は、ロータ21の磁石が発する磁界を検出し、ロータ21の回転角度に応じた検出結果を出力する。一例として、複数の磁気センサ24は、ホール効果を利用してロータ21の磁石が発する磁界を検出するホール素子である。
【0026】
複数の磁気センサ24の数は、コイル23の相数よりも多い。本実施形態では、複数の磁気センサ24の数は、6個である。複数の磁気センサ24は、コイル23の相数と同じ数の第1磁気センサ25と、第1磁気センサ25とは異なる第2磁気センサ26と、を含む。すなわち、本実施形態の第2磁気センサ26の個数は、コイル23の相数と同じである。言い換えれば、本実施形態の第2磁気センサ26の個数は、3個である。要するに、本実施形態の電動工具1は、3個の第1磁気センサ25a、25b、25cと、3個の第2磁気センサ26a、26b、26cと、を備える。本実施形態では、第2磁気センサ26の個数は、コイル23の相数と同じであるため、第2磁気センサ26をコイル23の各相に対応させて配置することができるという利点がある。
【0027】
第1磁気センサ25は、図3に示すように、検出結果として、検出信号S1を出力する。同様に、第2磁気センサ26は、検出結果として、検出信号S2を出力する。検出信号S1及び検出信号S2は、ロータ21が回転することより第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26が検出する磁界の極性が切り替わるタイミングにおいて、lowとhighとが切り替わる信号である。本実施形態では、第1磁気センサ25a、25b、25cのそれぞれは、検出信号S1である検出信号S1a、S1b、S1cを出力する。同様に、第2磁気センサ26a、26b、26cのそれぞれは、検出信号S2である検出信号S2a、S2b、S2cを出力する。
【0028】
第1磁気センサ25a、25b、25c及び第2磁気センサ26a、26b、26cは、検出信号S1a、S1b、S1c及び検出信号S2a、S2b、S2cの間の電気角が30°となるように配置される。本開示でいう「電気角」は、検出信号S1a、S1b、S1c及び検出信号S2a、S2b、S2cの位相の差である。より詳細には、本開示でいう「電気角」は、検出信号S1a、S1b、S1c及び検出信号S2a、S2b、S2cのlowとhighとが切り替わるタイミングの差である。
【0029】
一例として、第1磁気センサ25a、25b、25c及び第2磁気センサ26a、26b、26cは、図4に示すように、センサ基板240に実装される。センサ基板240は、ロータ21が貫通する貫通孔242を有する。第1磁気センサ25a、25b、25cのそれぞれは、所定の間隔で円弧状に並んで実装される。言い換えれば、第1磁気センサ25a、25b、25cのそれぞれは、センサ基板240の中心点241を中心として、所定の角度ずつ離れて円弧状に並んで実装される。より詳細には、第1磁気センサ25aの中央及びセンサ基板240の中心点241を通る直線L1aと第1磁気センサ25bの中央及びセンサ基板240の中心点241を通る直線L1bとがなす角θ1aと、直線L1bと第1磁気センサ25cの中央及びセンサ基板240の中心点241を通る直線L1cとがなす角θ1bと、は等しい。
【0030】
同様に、第2磁気センサ26a、26b、26cのそれぞれは、所定の間隔で円弧状に並んで実装される。言い換えれば、第2磁気センサ26a、26b、26cのそれぞれは、センサ基板240の中心点241を中心として、所定の角度ずつ離れて円弧状に並んで実装される。より詳細には、第2磁気センサ26aの中央及びセンサ基板240の中心点241を通る直線L2aと第2磁気センサ26bの中央及びセンサ基板240の中心点241を通る直線L2bとがなすθ2aと、直線L2bと第2磁気センサ26cの中央及びセンサ基板240の中心点241を通る直線L2cとがなす角θ2bと、は等しい。
【0031】
また、第1磁気センサ25a、25b、25cと、第2磁気センサ26a、26b、26cと、は、円弧状に並んで交互に実装される。
【0032】
本実施形態では、第2磁気センサ26aは、第1磁気センサ25aと第1磁気センサ25bとの間に配置される。より詳細には、第2磁気センサ26aは、第1磁気センサ25aと第1磁気センサ25bとの間において、第1磁気センサ25bに近い位置に配置される。
【0033】
同様に、第2磁気センサ26bは、第1磁気センサ25bと第1磁気センサ25cとの間に配置される。より詳細には、第2磁気センサ26bは、第1磁気センサ25bと第1磁気センサ25cとの間において、第1磁気センサ25cに近い位置に配置される。
【0034】
第1磁気センサ25の検出結果は、回転制御部93によってモータ2の回転を制御することと、演算部6によって慣性力を算出することと、に使用される。
【0035】
本実施形態の第2磁気センサ26の検出結果は、演算部6によって慣性力を算出することのみに使用される。言い換えれば、本実施形態の第2磁気センサ26の検出結果は、回転制御部93によってモータ2の回転を制御することには使用されない。
【0036】
(2-3)伝達機構
伝達機構4は、モータ2の回転軸27が機械的に接続されている。伝達機構4は、ロータ21の回転力を所定の減速比で減速して、出力軸91に伝達する。出力軸91には、保持部3が機械的に接続されている。言い換えれば、伝達機構4は、モータ2の回転を保持部3に伝達する。
【0037】
(2-4)保持部
保持部3は、先端工具31を保持する。より具体的には、保持部3は、先端工具31が着脱可能に設けられている。また、保持部3に先端工具31が一体に形成されていてもよい。先端工具31は、例えば、ドライバビットである。
【0038】
保持部3は、伝達機構4から伝達される回転力を先端工具31に伝達する。これにより、モータ2の回転軸27が回転すると、先端工具31が回転する。先端工具31が締結部材に当てられた状態で先端工具31が回転することにより、締付部品を締め付ける又は緩めるといった作業が可能となる。本実施形態では、先端工具31は、電動工具1の構成に含まれていない。ただし、先端工具31は、電動工具1の構成に含まれていてもよい。
【0039】
(2-5)回転制御部
回転制御部93は、モータ2に電源部B1から供給される電力の切替を行い、モータ2の回転を制御する。より具体的には、回転制御部93は、回転角算出部92が第1磁気センサ25の検出結果から算出したロータ21の回転角度に基づいて、3相のコイル23の電線のそれぞれに供給される電力の切替を行う。
【0040】
本実施形態では、回転制御部93は、第1磁気センサ25の検出結果のみに基づき、モータ2の回転を制御するため、回転制御部93によるモータ2の回転に関する制御内容を簡略化することができるという利点がある。
【0041】
(2-6)モータ制御部
モータ制御部5は、モータ2の回転を停止させる。本実施形態では、モータ制御部5は、モータ2の回転を停止させるように、モータ2を制御する。具体的には、本実施形態のモータ制御部5は、電子クラッチである。
【0042】
モータ制御部5は、トルク検出部51と、停止制御部52と、を有する。トルク検出部51は、モータ2から保持部3に伝達されるトルク値であるモータトルク値を検出する。本実施形態のトルク検出部51は、モータ2に電源部B1から供給される電力によってモータ2に流れるモータ電流に基づいて、モータトルク値を算出する。本開示でいう「モータ電流」は、モータ2に流れる電流がトルクを発生させる電流成分であるトルク電流と磁束を発生させる電流成分である励磁電流とに分解され、それぞれの電流成分が独立に制御される場合(モータ2がベクトル制御される場合)、トルク電流に相当する。
【0043】
停止制御部52は、トルク検出部51が検出するモータトルク値に基づいて、モータ2の回転が停止するようにモータ2を制御する停止制御を行う。より詳細には、停止制御部52は、トルク検出部51が検出するモータトルク値が予め設定された設定トルク値に達したときに、停止制御を開始する。本実施形態の停止制御部52は、停止制御として、電源部B1からモータ2への電力の供給を停止させる。
【0044】
(2-7)演算部
演算部6は、停止制御部52が停止制御を開始した後に、第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26の検出結果に基づき、ロータ21及び伝達機構4の少なくとも一方の慣性力を演算する。演算部6は、図1に示すように、角速度算出部61と、慣性トルク算出部62と、を有する。
【0045】
角速度算出部61は、複数の磁気センサ24の検出結果に基づき、ロータ21の角速度を算出する。より詳細には、角速度算出部61は、停止制御部52が停止制御を開始した後に、第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26の検出結果である検出信号S1及び検出信号S2に基づき、ロータ21の角速度を算出する。
【0046】
以下、角速度算出部61がロータ21の角速度を算出する方法について、図5を用いて説明する。
【0047】
角速度算出部61は、検出信号S1及び検出信号S2のいずれかのlowとhighとが切り替わるタイミングから、次に検出信号S1及び検出信号S2のいずれかのlowとhighとが切り替わるタイミングまでの間において、所定のカウント間隔Tcでカウントを行う。
【0048】
一例として、図5を使用して具体的に説明する。図5に示す検出信号S(k-1)、検出信号S(k)、及び検出信号S(k+1)は、第1磁気センサ25の検出信号S1又は第2磁気センサ26の検出信号S2である。以下の説明では、説明の簡略化のために、検出信号S(k-1)、検出信号S(k)、及び検出信号S(k+1)のそれぞれは、第2磁気センサ26aの検出信号S2a、第1磁気センサ25bの検出信号S1b、第2磁気センサ26cの検出信号S2c(図3参照)であることを想定する。
【0049】
角速度算出部61が、検出信号S(k-1)がlowからhighに変化したタイミングt(k-1)から、検出信号S(k)がlowからhighに変化したタイミングt(k)までの間において、所定のカウント間隔Tc[ms]でカウントを行ったときのカウント数をn1とする。その結果、タイミングt(k-1)からタイミングt(k)まで要する時間T1[ms]は、Tc×n1で算出される。この場合、タイミングt(k)におけるロータ21の回転数ω(k)[rad/ms]は、(式1)で算出される。(式1)における「θ(k-1)」は、タイミングt(k-1)におけるロータ21の回転角度であり、「θ(k)」は、タイミングt(k)におけるロータ21の回転角度である。また、(式1)における「Pn」は、ロータ21が具備する磁石の磁極の対の数であり、すなわち、ロータ21の極対数である。
【0050】
【数1】
【0051】
そして、角速度算出部61は、(式1)で算出されるロータ21の回転数ω(k)を用いて、タイミングt(k)から検出信号S(k+1)がlowからhighに変化したタイミングt(k+1)までの時間T2[ms]における、ロータ21の角速度dω/dtを(式2)を用いて算出する。なお、停止制御部52が停止制御を行い、ロータ21の回転数が減少している場合を想定しているため、ロータ21の角速度dω/dtは、負の値になることを前提としている。
【0052】
【数2】
【0053】
(式2)における「n2」は、タイミングt(k)からタイミングt(k+1)までの時間T2[ms]において、所定のカウント間隔Tc[ms]でカウントを行ったときのカウント数である。そのため、時間T2は、Tc×n2で算出される。また、(式2)における「θhole」は、第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26が出力する検出信号S1及び検出信号S2の電気角である。本実施形態では、「θhole」は30°になるように、第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26が配置される。なお、(式2)における「α」は、下記の(式3)で表される。
【0054】
【数3】
【0055】
本実施形態の角速度算出部61は、第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26の検出結果に基づきロータ21の角速度を算出するため、第1磁気センサ25のみの検出結果に基づきロータ21の角速度を算出する比較例と比較して、タイミングt(k-1)からタイミングt(k)まで要する時間T1が短くなり、カウント数n1が少なくなる。同様に、本実施形態の角速度算出部61は、比較例と比較して、タイミングt(k)からタイミングt(k+1)まで要する時間T2が短くなり、カウント数n2が少なくなる。その結果、本実施形態の角速度算出部61は、比較例と比較して、カウント数n1とカウント数n2との差が小さくなり、(式1)における1/n1と1/n2との差も小さくなる。すなわち、本実施形態の角速度算出部61は、比較例と比較して、より小さい値のロータ21の角速度dω/dtを求めることができ、ロータ21の角速度dω/dtの分解能が高くなるという効果を奏する。
【0056】
慣性トルク算出部62は、ロータ21及び伝達機構4の少なくとも一方の慣性力として、角速度算出部61が算出したロータ21の角速度に基づき、慣性トルク値Tiを算出する。慣性トルク値Tiは、ロータ21及び伝達機構4の少なくとも一方の慣性力によって作用するトルクの値である。より詳細には、慣性トルク値Tiは、停止制御部52が停止制御を開始した後に、ロータ21及び伝達機構4の少なくとも一方の慣性力によって、先端工具31に生じるトルクの値である。
【0057】
本実施形態では、慣性トルク算出部62は、伝達機構4の慣性力として、角速度算出部61が算出したロータ21の角速度に基づき、慣性トルク値Tiを算出する。
【0058】
以下、慣性トルク算出部62が算出する慣性トルク値Tiの算出限界について、説明する。本開示でいう「慣性トルク値Tiの算出限界」は、慣性トルク算出部62が慣性トルク値Tiを算出することができる最小単位のことである。
【0059】
慣性トルク算出部62は、下記の(式4)を用いて、角速度算出部61が算出したロータ21の角速度dω/dtに基づき、慣性トルク値Tiを算出する。(式1)における「a」は、伝達機構4がロータ21の回転力を減速して出力軸91に伝達するときの減速比である。また、(式4)における「Jm」は、ロータ21の慣性モーメントの値である。
【0060】
【数4】
【0061】
(式4)より、ロータ21の角速度dω/dtの分解能が高くなると、慣性トルク値Tiの算出限界は小さくなる。すなわち、慣性トルク値Tiの算出限界は、角速度算出部61が第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26の検出結果に基づきロータ21の角速度を算出することで、小さくなる。言い換えれば、慣性トルク算出部62は、角速度算出部61が第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26の検出結果に基づきロータ21の角速度を算出することで、第1磁気センサ25のみの検出結果に基づきロータ21の角速度を算出する比較例と比較して、より小さい値の慣性トルク値Tiを算出することができる。
【0062】
より具体的に、慣性トルク値Tiの算出限界について、図6及び図7を用いて説明する。図6に示すグラフG1は、電動工具1の締付作業の内容がハードジョイントである場合における、停止制御部52が停止制御を開始した後のロータ21の回転数の時間変化である。図6に示すタイミングtaは、停止制御部52が停止制御を開始したタイミングであり、タイミングtbは、ロータ21の回転数が0になったタイミングである。言い換えれば、タイミングtbは、ロータ21が完全に停止したタイミングである。
【0063】
また、図7のグラフG2は、第1磁気センサ25及び第2磁気センサ26の検出結果に基づき算出する慣性トルク値Tiの算出限界と、停止制御部52が停止制御を開始したタイミングtaからロータ21の回転数が0になったタイミングtbまでの所要時間ΔX(図6参照)と、の関係を示す。すなわち、図7のグラフG2は、本実施形態の慣性トルク算出部62が算出した慣性トルク値Tiの算出限界と、所要時間ΔX(図6参照)と、の関係を示す。一方、図7のグラフG3は、比較例として、第1磁気センサ25のみの検出結果に基づき算出する慣性トルク値Tiの算出限界と、所要時間ΔXと、の関係を示す。
【0064】
一般的に、締付作業がハードジョイントである場合の所要時間ΔXは、おおよそ数ms~数十msのオーダであることが多い。なお、以下の説明では、所要時間ΔXが1msの場合を例にして、所要時間ΔXの間の任意のタイミングにおける慣性トルク値Tiの算出限界を説明する。比較例では、所要時間ΔXが1msのときの任意のタイミングにおける慣性トルク値Tiの算出限界Ti2は、図7に示すように、おおよそ0.3~0.4Nmの範囲に収まる。一方、本実施形態では、所要時間ΔXが1msのときの任意のタイミングにおける慣性トルク値Tiの算出限界Ti1は、おおよそ0.1~0.2Nmの範囲に収まる。言い換えれば、所要時間ΔXが1msのとき、本実施形態の慣性トルク算出部62が任意のタイミングで算出することができる慣性トルク値Tiの最小単位は、おおよそ0.1~0.2Nmである。所要時間ΔXが1msのとき、本実施形態の慣性トルク値Tiの算出限界Ti1は、比較例の慣性トルク値Tiの算出限界Ti2の略半分になる。
【0065】
締付作業がハードジョイントである場合、所要時間ΔXが1msのときに、所要時間ΔXの間の任意のタイミングにおける慣性トルク値Tiの算出限界は最大になると想定される。そのため、本実施形態では、所要時間ΔXの間の任意のタイミングにおける慣性トルク値Tiの算出限界は、おおよそ0.1Nmオーダになる。言い換えれば、本実施形態の慣性トルク算出部62が所要時間ΔXの間の任意のタイミングで算出することができる慣性トルク値Tiの分解能は、おおよそ0.1Nmオーダになる。
【0066】
以上より、本実施形態の慣性トルク算出部62は、第1磁気センサ25のみの検出結果に基づき慣性トルク値Tiを算出する場合と比較して、慣性トルク値Tiの算出限界が小さくなり、慣性トルク値Tiを正確に算出することが可能である。その結果、本実施形態の電動工具1は、締付トルク値を正確に算出できる。
【0067】
(2-8)記憶部
記憶部7は、履歴情報として、モータトルク値と慣性トルク値Tiとの合計値を締付トルク値として記憶する。より詳細には、記憶部7は、履歴情報として、トルク検出部51が算出したモータトルク値と、慣性トルク算出部62が算出した慣性トルク値Tiと、の合計値を締付トルク値として記憶する。
【0068】
記憶部7は、例えば、磁気コアメモリや半導体メモリ等の記憶装置である。また、記憶部7は、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置であってもよい。
電動工具1の使用者又は管理者は、記憶部7が締付トルク値を記憶しているため、締付作業後に締付トルク値を確認することが可能になるという利点がある。言い換えれば、電動工具1は、正確に算出された締付トルク値のトレーサビリティ機能を有するという利点がある。
【0069】
(3)変形例
以下、本実施形態の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0070】
本実施形態の第2磁気センサ26の個数は、コイル23の相数と同じである。しかし、第2磁気センサ26の個数は、コイル23の相数より多くてもよい。すなわち、第2磁気センサ26の個数は、少なくともコイル23の相数と同じ数であればよい。一例として、第2磁気センサ26の個数は、コイル23の相数の自然数倍である、6個又は9個であってもよい。
【0071】
電動工具1は、演算部6が演算したロータ21及び伝達機構4の少なくとも一方の慣性力に基づき、次の締付作業時にモータ2に供給される電力を制御するフィードバック制御部を更に備えていてもよい。より詳細には、フィードバック制御部は、慣性トルク算出部62が算出した前回の慣性トルク値Tiに基づき、次の締付作業時のモータトルク値が前回の慣性トルク値Tiだけ減少するように、モータ2に供給される電力を制御する。
【0072】
本実施形態の第2磁気センサ26の検出結果は、演算部6によって慣性力を算出することのみに使用され、回転制御部93によってモータ2が回転し続けるように制御することには使用されない。しかし、第2磁気センサ26の検出結果は、回転制御部93によってモータ2が回転し続けるように制御することには使用されていてもよい。
【0073】
電動工具1は、インパクトドライバに限らず、例えば、インパクトレンチ、ドリルドライバー、ハンマドリル、又はジグソー等でもよい。
【0074】
電動工具1の締付作業の内容は、ソフトジョイントであってもよい。ソフトジョイントとは、例えば、締付対象にゴム等の緩衝部材を挟んで締付部品を締め付ける作業である。
【0075】
ロータ21が具備する磁石は、永久磁石ではなく電磁石であってもよい。
【0076】
(まとめ)
実施形態に係る第1の態様の電動工具(1)は、モータ(2)と、保持部(3)と、伝達機構(4)と、モータ制御部(5)と、を備える。モータ(2)は、回転動作を行う。保持部(3)は、先端工具(31)を保持する。伝達機構(4)は、モータ(2)の回転を保持部(3)に伝達する。モータ制御部(5)は、モータ(2)の回転を停止させる。モータ(2)は、ロータ(21)と、ステータ(22)と、コイル(23)と、複数の磁気センサ(24)と、を有する。ロータ(21)は、回転可能に構成され、磁石を具備する。ステータ(22)は、ロータ(21)の周囲に配置される。コイル(23)は、ステータ(22)に巻かれる。複数の磁気センサ(24)は、ロータ(21)の回転角度を検出する。複数の磁気センサ(24)の数は、コイル(23)の相数よりも多い。モータ制御部(5)は、トルク検出部(51)と、停止制御部(52)と、を有する。トルク検出部(51)は、モータ(2)から保持部(3)に伝達されるトルクの値であるモータトルク値を検出する。停止制御部(52)は、モータトルク値に基づいて、モータ(2)の回転が停止するようにモータ(2)を制御する停止制御を行う。第1の態様の電動工具(1)は、停止制御部(52)が停止制御を開始した後に、複数の磁気センサ(24)の検出結果に基づき、ロータ(21)及び伝達機構(4)の少なくとも一方の慣性力を演算する演算部(6)を更に備える。
【0077】
この態様によれば、実際に先端工具(31)に生じる締付トルク値を正確に算出できる、という利点がある。
【0078】
実施形態に係る第2の態様の電動工具(1)では、第1の態様において、演算部(6)は、角速度算出部(61)と、慣性トルク算出部(62)と、を有する。角速度算出部(61)は、複数の磁気センサ(24)の検出結果に基づき、ロータ(21)の角速度を算出する。慣性トルク算出部(62)は、慣性力として、ロータ(21)の角速度を用いて、慣性力によって作用するトルクの値である慣性トルク値(Ti)を算出する。
【0079】
この態様によれば、実際に先端工具(31)に生じる締付トルク値をより正確に算出できる、という利点がある。
【0080】
実施形態に係る第3の態様の電動工具(1)は、第2の態様において、モータトルク値と慣性トルク値(Ti)との合計値を締付トルク値として記憶する記憶部(7)を更に備える。
【0081】
この態様によれば、電動工具(1)の使用者又は管理者は、正確に算出した締付トルク値を締付作業後に確認することが可能になる、という利点がある。
【0082】
実施形態に係る第4の態様の電動工具(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、複数の磁気センサ(24)は、コイル(23)の相数と同じ数の第1磁気センサ(25、25a、25b、25c)と、第1磁気センサ(25:25a、25b、25c)とは異なる第2磁気センサ(26:26a、26b、26c)と、を含む。
【0083】
この態様によれば、実際に先端工具(31)に生じる締付トルク値を正確に算出できる、という利点がある。
【0084】
実施形態に係る第5の態様の電動工具(1)では、第4の態様において、第2磁気センサ(26:26a、26b、26c)の検出結果は、演算部(6)によって慣性力を算出することのみに使用される。
【0085】
この態様によれば、モータ(2)に対する制御内容を簡略化することができる、という利点がある。
【0086】
実施形態に係る第6の態様の電動工具(1)では、第4又は第5の態様において、第2磁気センサ(26:26a、26b、26c)の個数は、少なくともコイル(23)の相数と同じ数である。
【0087】
この態様によれば、第2磁気センサ(26:26a、26b、26c)をコイル(23)の各相に対応させて配置することができる、という利点がある。
【符号の説明】
【0088】
1 電動工具
2 モータ
21 ロータ
22 ステータ
23 コイル
24 磁気センサ
25、25a、25b、25c 第1磁気センサ
26、26a、26b、26c 第2磁気センサ
3 保持部
31 先端工具
4 伝達機構
5 モータ制御部
51 トルク検出部
52 停止制御部
6 演算部
61 角速度算出部
62 慣性トルク算出部
7 記憶部
Ti 慣性トルク値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7