IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

特開2023-124700走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム
<>
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図1A
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図1B
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図2
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図3
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図4
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図5
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図6
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図7
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図8
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図9
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図10
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図11
  • 特開-走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124700
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】走行支援装置、走行支援方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230830BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230830BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20230830BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20230830BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230830BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 H
B60W30/09
B60W30/095
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028633
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 勝
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA32
3D241BA33
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB20Z
3D241DB32Z
3D241DC02Z
3D241DC03Z
3D241DC22Z
3D241DC23Z
3D241DC40Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC12
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】事故やストレスの発生を未然に防ぐことができる、走行支援装置、走行支援方法、および、プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】走行支援装置1は、自移動体の後方を走行している所定以上の密分布の移動体群の平均速度を求め、平均速度、自移動体の位置、および前記自移動体が走行する道路ごとに定められている上限速度に基づいて、自移動体と移動体群との合流を回避もしくは遅らせるように自移動体の走行速度を演算する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自移動体の後方を走行している所定以上の密分布の移動体群の平均速度を求める平均速度算出部と、
前記平均速度、前記自移動体の位置、および前記自移動体が走行する道路ごとに定められている上限速度に基づいて、前記自移動体と前記移動体群との合流を回避もしくは遅らせるように前記自移動体の走行速度を演算する走行演算部と、
を備えた走行支援装置。
【請求項2】
前記走行演算部は、
前記自移動体と前記移動体群との合流が避けられない場合に、予定経路から退避し、前記移動体群が前記自移動体の後方から前記自移動体の前方へ通過した後に、前記予定経路に復帰するように経路を演算する、
請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記走行演算部は、
前記自移動体と前記移動体群との合流が自移動体では避けられない場合に、後方の移動体に通知する、
請求項1または2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
自移動体の後方を走行している所定以上の密分布の移動体群の平均速度を求める平均速度算出ステップと、
前記平均速度、前記自移動体の位置、および前記自移動体が走行する道路ごとに定められている上限速度に基づいて、前記自移動体と前記移動体群との合流を回避もしくは遅らせるように前記自移動体の走行速度を演算する走行演算ステップと、
を含む、走行支援方法。
【請求項5】
自移動体の後方を走行している所定以上の密分布の移動体群の平均速度を求める平均速度算出ステップと、
前記平均速度、前記自移動体の位置、および前記自移動体が走行する道路ごとに定められている上限速度に基づいて、前記自移動体と前記移動体群との合流を回避もしくは遅らせるように前記自移動体の走行速度を演算する走行演算ステップと、
を含む、走行支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援装置、走行支援方法、および、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車列の渋滞等を予想する技術や、走行中の物体回避支援を行う技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、道路の撮影画像を画像処理して、交通渋滞の状態及び交通渋滞の列の末尾を経時的に検出し、その検出結果の経時変化に基づいて、交通渋滞の列が延伸するか減縮するかを判定する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、他車線の状況に応じた回避制御を行うことで、より適切に回避制御を発動させるために、車両の周辺に存在する物体を含む車両の周辺状況を認識し、車両が存在する第1車線とは異なる第2車線に渋滞が発生していることが認識された場合、第2車線の属性に基づいて、認識された横断物体の接近に対する回避制御の発動度合いを変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-101569号公報
【特許文献2】特開2021-9624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、渋滞を加味して経路を再計算するものであったり、渋滞時における加減速を抑制するためのものであり、予定の経路を走行しながら、密集団にかかわらないように事故を防いだりストレスを軽減するように走行支援を行うものではない、という問題がある。
【0007】
本発明は、事故やストレスの発生を未然に防ぐことができる、走行支援装置、走行支援方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る走行支援装置は、自移動体の後方を走行している所定以上の密分布の移動体群の平均速度を求める平均速度算出部と、前記平均速度、前記自移動体の位置、および前記自移動体が走行する道路ごとに定められている上限速度に基づいて、前記自移動体と前記移動体群との合流を回避もしくは遅らせるように前記自移動体の走行速度を演算する走行演算部と、を備える。
【0009】
本実施形態にかかる走行支援方法は、自移動体の後方を走行している所定以上の密分布の移動体群の平均速度を求める平均速度算出ステップと、前記平均速度、前記自移動体の位置、および前記自移動体が走行する道路ごとに定められている上限速度に基づいて、前記自移動体と前記移動体群との合流を回避もしくは遅らせるように前記自移動体の走行速度を演算する走行演算ステップと、を含む。
【0010】
本実施形態にかかるプログラムは、自移動体の後方を走行している所定以上の密分布の移動体群の平均速度を求める平均速度算出ステップと、前記平均速度、前記自移動体の位置、および前記自移動体が走行する道路ごとに定められている上限速度に基づいて、前記自移動体と前記移動体群との合流を回避もしくは遅らせるように前記自移動体の走行速度を演算する走行演算ステップと、を含む、走行支援方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、事故やストレスの発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、本発明の実施形態に係る走行支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。
図1B図1Bは、本発明の実施形態に係る走行支援装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施形態1の走行支援処理の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、前方密集団が不在または希望自車速度Vmより速い場合であって、後方密集団が不在または希望自車速度Vmより遅い場合を示したグラフ図である。
図4図4は、前方密集団が不在または希望自車速度Vmより速い場合であって、後方密集団が希望自車速度Vmより速い場合を示したグラフ図である。
図5図5は、前方密集団が希望自車速度Vmより遅い場合であって、後方密集団が希望自車速度Vmより遅い場合を示したグラフ図である。
図6図6は、前方密集団が希望自車速度Vmより遅い場合であって、後方密集団が希望自車速度Vmより速い場合を示したグラフ図である。
図7図7は、前方密集団が希望自車速度Vmより遅い場合であって、後方密集団が希望自車速度Vmより速い場合を示したグラフ図である。
図8図8は、実施形態2の走行支援処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、前方密集団が不在または干渉限界速度Vflより速い場合であって、後方密集団が不在または干渉限界速度Vbhより遅い場合を示したグラフ図である。
図10図10は、前方密集団が不在または干渉限界速度Vflより速い場合であって、後方密集団が干渉限界速度Vbhより速い場合を示したグラフ図である。
図11図11は、前方密集団が干渉限界速度Vflより遅い場合であって、後方密集団が干渉限界速度Vbhより遅い場合を示したグラフ図である。
図12図12は、前方密集団が干渉限界速度Vflより遅い場合であって、後方密集団が干渉限界速度Vbhより速い場合を示したグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する場合がある。なお、本実施形態では、移動体として車両を例として説明する場合があるがこれに限られず、移動体は、無人ロボットや、宅配ロボット等であってもよく、また、手動により運転を行う移動体であってもよく、自動運転を行う移動体であってもよい。
【0014】
[構成]
図1Aは、本発明の実施形態に係る走行支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。図1Bは、本発明の実施形態に係る走行支援装置の概略構成を示す図である。なお、本実施形態の説明では、移動体の例として車両を用いて説明する。そのため、「自移動体」の例として自車両M0を用いて説明し、「所定以上の密分布の移動体群」の例として密集団となっている車列(後方または前方の密集団Msであり、例えば、高速道路の車両の場合は1kmに25以上の車両が存在するような車列のように、所定間隔内に所定数以上の車両が存在する車列)を用いて説明する場合がある。しかしながら、上述のように、移動体は車両に限られずロボット等であってもよく、以下の説明において、車両に関する自車両や車列などの用語は、ロボット等の他の移動体に読み替えて実施可能であることは言うまでもない。
【0015】
走行支援装置1は、移動体の一例である車両の走行を支援するためのものであり、車両に搭載されている。図1Aに示すように、車両(M-2~M3)が走行する道路には、カメラ(C0~C2)が設置されており、カメラ監視区間における映像データが、道路を管理するセンター10に送信されている。センター10は、映像データから、公知の技術により、車両台数や走行速度といった情報を分析し、車両の位置(区間等)や台数、速度等の交通情報(VICS(登録商標)情報等)を、路車間通信等の通信手段により、車両Mへ送信する。ここでは、走行支援装置1を搭載する自車両M0(自移動体の一例)に交通情報が送信されている。
【0016】
より具体的には、センター10は、高速道路に設置された監視カメラC等の映像を取得し、交通量、すなわち単位時間の車両通過台数や、平均的な車両間隔に基づいて、センター10またはセンター10から交通情報を受信した走行支援装置1が、分布が密か疎かを判断する。密な状態を検知した場合、その状態一帯を密集団とし、その集団の移動速度を測定する。観測点(カメラ)C2で観測した密集団M2の移動は、観測時に得た移動速度を基に推測可能で、下流の観測点(カメラ)C1までの密集団の時々刻々変化する分布を推定する。この様に高速道路設備で取得した密集団分布を含む交通情報を、路車間通信等で、自車両M0でも共有できるようになっており、高速道路走行中に、自車両前後の密集団の分布、移動を把握できるようになっている。
【0017】
図1Bに示すように、自車両M0に搭載された走行支援装置1は、ECU(電子制御ユニット)2、ナビゲーション部3、通信部4、センサ部5、駆動部6、制動部7、操舵部8、出力部9を備えている。なお、走行支援装置1は、後述する平均速度算出部と走行演算部という機能を備えたECU2を少なくとも備えた装置である。なお、平均速度は、例えば、ある区間長の走破に要する個別車両の走行時間の平均値を区間長で除したものとして算出することができる。さらに、密集団Msの平均速度の場合は、ある区間の走破に要する密集団先頭車から密集団最後尾車までの個別車両の走行時間の平均値を区間長で除したものとして算出することができる。
【0018】
ECU2は、制御装置の装置全体の制御を行うものであり、たとえば、CPU、ROM、RAM等を含むコンピュータで構成されている。ECU2は、後述する各種情報に基づいて、平均速度算出部および走行演算部として機能する。
【0019】
すなわち、ECU2は、自車両M0の前後方(「前方および/または後方」を意味する。)を走行している所定以上の密分布の車列の平均速度を求める平均速度算出部として機能する。例えば、ECU2は、所定以上の密分布の車列が単位時間(例:1時間)で移動した距離(km)を平均速度(km/時)として求めてもよい。ECU2は、通信部4を介して、センター10から交通情報を取得することにより、交通情報に基づいて平均速度を求めてもよい。所定以上の密分布としては、渋滞として定義されるものに限られず、複数車線において1車線のみが密度の高い状態であるなど、任意に設定可能である。例えば、所定区間内に所定の車両数以上が存在する場合に、所定以上の密分布の集団(密集団)として設定してもよい。
【0020】
また、ECU2は、前後方の密集団の平均速度、自車両M0の位置、および自車両M0が走行する道路ごとに定められている上限速度に基づいて、密集団との合流を回避もしくは遅らせるように自車両M0の走行速度を演算する走行演算部として機能する。前後方の密集団の平均速度は、上述の平均速度算出部により求められたものであり、自車両M0の位置や、自車両M0が走行する道路ごとに定められている上限速度は、ナビゲーション部3から取得してもよい。例えば、自車両M0の位置は、GPSやセンサ部5から取得してもよく、自車両M0が走行する道路ごとに定められている上限速度(法定の上限速度等)および下限速度(法定の下限速度等)は、ナビゲーション部3の地図データから取得してもよい。例えば、ECU2は、後方の密集団の平均速度よりも大きく、上限速度よりも小さく自車両の走行速度を決定すれば、後方の密集団との合流を避けることができる。より複雑な演算例については、後述する。
【0021】
ここで、ECU2は、前後方の密集団との合流が避けられない場合に、密集団との合流の時間が短縮されるように走行速度を演算してもよい。例えば、ECU2は、後方の密集団の平均速度よりも小さく、法定の下限速度よりも大きく自車の走行速度を決定すれば、後方の密集団との合流の時間を短縮することができる。より複雑な演算例については、後述する。
【0022】
また、ECU2は、前後方の密集団との合流が速度上避けられない場合に、一旦、予定経路から退避し、密集団が後方から前方へ通過した後に、予定経路に復帰するように経路を演算してもよい。例えば、ECU2は、後方の密集団の平均速度が法定速度と比べて同じか大きい場合、自車両の走行速度を後方の密集団の平均速度よりも大きく決定することはできず合流は避けられない。しかし、高速道路ならばサービスエリア/パーキングエリアに入ったり、一般道ならばコンビニエンスストア駐車場に入ったりするなど、一時的にルートを外れることによって、後方の密集団が前方へ通り過ぎるまでやり過ごすことができる。
【0023】
また、ECU2は、更に予定経路に基づいて、前後方の密集団との合流を回避もしくは遅らせつつ、予定経路を予定時間通りに通過または到達するように、走行速度を演算してもよい。なお、ECU2は、予定経路をナビゲーション部3から得てもよく、予定経路を考慮に入れて演算した走行速度等をナビゲーション部3に与えて、予定経路を予定時間通りに通過または到達するように支援してもよい。例えば、ECU2は、後方の密集団が前方へ通り過ぎるのに費やした時間と予定経路での通過時間との差分が縮まるように走行速度を決定してもよい。詳細な演算例については後述する。
【0024】
また、ECU2は、前後方の密集団との合流が自車両M0では避けられない場合に、前後方の密集団の車両M2に通知(報知)してもよい。この通信には、通信部4による車車間通信を用いてもよい。ECU2は、前後方の車両M2に、自車両M0の走行速度制御では安全な車間距離の維持ができないことを報知することによって、間接的に密集団との合流を回避することができる。
【0025】
ナビゲーション部3は、自車両M0の経路設定をしたり、位置情報を検出する。ナビゲーション部3は、GPS機能や道路情報を含む地図データベースを備えている。例えばカーナビゲーションなどである。それにより、ナビゲーション部3は、登録された目的地までの経路案内や周辺施設案内等をドライバへ提供することができる。
【0026】
通信部4は、自車両M0の前後を走行している車両M-2~M-1、M1~M3との間で車車間通信や無線ネットワーク通信を行ったり、走行する道路の路側に設けられたインフラ(ビーコン、交通監視システム等)との間で各種情報を送受信したり、交通情報を提供するセンター10から渋滞情報等を受信したりする。この通信部4は、車車間通信で通信可能な周辺車両からその位置や速度に関する情報をリアルタイムで受信してもよい。また、通信部4は、交通情報として、特定の区間における交通量や車両密度、車列の速度などを受信する。
【0027】
センサ部5は、車両に関する計測を行う。車両に搭載された複数のセンサによって構成されており、例えば車輪速センサやレーダー測距センサ、車載カメラ等が含まれる。このセンサ部5は、車輪速センサにより車速を検知することができる。また、車両前後に設けられたレーダー測距センサにより、前方および後方の車両の検出や、前後の車両の速度、前後の車両との車間距離を検出してもよい。
【0028】
駆動部6は、車両の走行駆動を行う。例えばエンジンECU、スロットルモータ、インジェクタなどにより構成される。この駆動部6は、ECU2の走行駆動信号を受けて作動し、その走行駆動信号に応じた車両走行駆動を実行する。走行駆動信号や後述する制動指令信号は、手動運転の場合は、運転者が操作するアクセルペダルやブレーキペダルに応じた信号であり、自動走行の場合は、ECU2の自動運転制御による出力信号である。なお、本実施形態を手動運転の場合に適用する場合、ECU2で演算された走行速度等は、ナビゲーション部3により音声出力や表示出力されてもよい。また、本実施形態を自動走行に適用する場合、ECU2で演算された走行速度等は、それに応じた出力信号となり、駆動部6や制動部7や操舵部8が車両走行制御を行う。
【0029】
制動部7は、車両の制動を行う。例えばブレーキECU、ブレーキ油圧を調整する電磁弁、ブレーキ油圧を生成するポンプモータにより構成される。この制動部7は、ECU2の制動指令信号を受けて作動し、その制動指令信号に応じた車両制動を実行する。
【0030】
操舵部8は、車両の操舵を行う。例えばステアリングECU、電動パワーステアリングシステムの電動モータにより構成される。
【0031】
出力部9は、ドライバに対して各種メッセージを伝えるモニタ等の表示デバイスやスピーカ等の音声デバイスで構成されている。この出力部9は、ECU2からの制御信号に応じて作動し、適切な速度をドライバに対して報知してもよい。
【0032】
以上が、本実施形態の走行支援装置1を搭載した自車両M0の構成の一例である。
【0033】
[実施形態1の処理]
つづいて、走行支援装置1における実施形態1の走行支援処理の一例について、図2図7を参照して説明する。図2は、実施形態1の走行支援処理の一例を示すフローチャートである。
【0034】
図2で示すように、まず、走行支援装置1のECU2は、センター10から受信した交通情報および自車両M0の位置に基づいて、前方に希望自車速度Vmより遅い密集団(前方密集団の速度Vf<Vm)があるか否かを判断する(S-1)。センター10から路車間通信で送信される交通情報には、密集団分布や移動速度などの情報が含まれているので、ECU2は、自車両M0の位置関係から、前方にVf<Vmの密集団があるか否かを判定してもよい。
【0035】
前方にVf<Vmの密集団がある場合(S-1,Yes)、ECU2は、後方に希望自車速度Vmより速い密集団(後方密集団の速度Vb>Vm)があるか否かを判定する(S-1)。走行支援装置1のECU2は、上述のように、センター10から路車間通信で送信される交通情報には、密集団分布や移動速度などの情報が含まれているので、ECU2は、自車両の位置関係から、後方にVb>Vmの密集団があるか否かを判定してもよい。
【0036】
後方にVb>Vmの密集団がある場合(S-2、Yes)、現状では後方密集団に追いつかれる可能性が高く、かつ、前方の密集団に追いつく可能性が高いので、ECU2は、自車両M0の速度Vmを、前方の密集団の速度Vfより小さく後方密集団の速度Vbより大きく(Vf>Vm>Vb)、法定上限速度以下および法定下限速度以上の速度(法定上限速度≧Vm≧法定下限速度)に調整する(S-3)。
【0037】
一方、ECU2は、後方にVb>Vmの密集団がない場合(S-2、No)、前方の密集団に追いつく可能性を避けるために、ECU2は、自車両M0の速度Vmを、前方の密集団の速度Vfよりも小さく(Vf>Vm)、法定下限速度以上の速度(Vf>Vm≧法定下限速度)に調整する(S-4)。
【0038】
ステップS-1において、ECU2は、前方にVf<Vmの密集団がない場合(S-1、No)、後方にVb>Vmの密集団があるか否かを判定する(S-5)。
【0039】
ECU2は、後方にVb>Vmの密集団がある場合(S-5、Yes)、現状では後方密集団に追いつかれる可能性が高いので、自車両M0の速度Vmを、後方密集団の速度Vbより大きく(Vm>Vb)、法定上限速度以下の速度(法定上限速度≧Vm>Vb)に調整する(S-6)。
【0040】
ECU2は、後方にVb>Vmの密集団がない場合(S-5、No)、現状では後方密集団に追いつかれる可能性も低く、前方の密集団に追いつく可能性も低いので、当初の希望自車速度Vmのまま調整を行わない。
【0041】
以上のように、基本的には、ECU2は、後方の密集団の速度Vbよりも大きく、前方の密集団の速度Vfより小さい自車速度Vmを決定しようとするが、VbがVfよりも大きい場合など、合流が避けられない場合もある。その場合、ECU2は、(1)前後方の密集団との合流の時間が短縮されるように自車速度を演算するか、(2)一旦、予定経路からサービスエリア/パーキングエリアなどに退避し、後方の密集団が後方から前方へ通過した後に、予定経路に復帰するように経路案内を行うか、(3)後方の密集団に含まれる車両に対し車車間通信を行い、このままでは安全な車間距離が保たれない虞などを報知する処理のうち、いずれかを行う。なお、ECU2は、更に予定経路に基づいて、密集団との合流を回避もしくは遅らせつつ、予定経路を予定時間通りに通過または到達するように、走行速度を演算し、ナビゲーション部3が経路案内等を行ってもよい。すなわち、密集団通過時は自車速度を増減させるため、希望速度で巡行した場合の到達値到達時刻が変化する。到達地点の到達時刻は予定に合わせることが望ましい。特に時間超過すなわち遅延は回避すべきであるので、密集団通過の前後でも速度調整を行い、密集団通過対応における到達時刻変動を吸収する。
【0042】
ここで、下表は、ECU2が、希望自車速度Vm、後方密集団の速度Vb、前方密集団の速度Vfの大小関係に基づいて、処理を行う場合の制御例を示した表である。図3図7は、希望自車速度Vm、後方密集団の速度Vb、前方密集団の速度Vfの大小関係に基づく制御例を示すグラフ図である。
【0043】
【表1】
【0044】
図3は、前方密集団MsF(前方密集団先頭車MsF1~最後尾車MsFx)が不在または希望自車速度Vmより速い場合であって(Vf≧Vm)、後方密集団MsB(後方密集団先頭車MsB1~最後尾車MsBx)が不在または希望自車速度Vmより遅い場合(Vb≦Vm)を示したグラフ図である。このような場合、自車両M0は、前方密集団MsFに追いつくこともなく、後方密集団MsBに追いつかれることもないため、予定経路に基づく希望自車速度Vmのまま走行することができる。なお、図3図7の点線は、各車両が予定経路の希望自車速度Vmで走行した場合を示している。したがって、前方密集団最後尾車MsFxが点線よりも遅い速度で進み、自車両M0が当初の希望自車速度Vmで進みつづけると、いずれ合流することになる。同様に、後方密集団先頭車MsB1が点線よりも速い速度で進み、自車両M0が当初の希望自車速度Vmで進みつづけると、いずれ合流することになる。
【0045】
図4は、前方密集団が不在または希望自車速度Vmより速い場合であって、後方密集団が希望自車速度Vmより速い場合を示したグラフ図である。このような場合、前方密集団MsFは希望自車速度Vmよりも速く移動しているので影響はないが、後方密集団MsBには希望自車速度Vmでは追いつかれる。図4に示すように、前方密集団の速度Vfが後方密集団の速度Vbよりも小さい場合、いずれかの密集団への合流は避けられない。そこで、この制御例では、ECU2は、自車両M0と後方密集団MsBとの合流の時間(図4の「滞在時間」)が最小化されるように合流中の自車速度を許容可能な最低速度と決定する。また、この制御例では、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流する前に、自車両M0が後方密集団MsBとB地点で合流してA地点で抜け出すように自車両M0の速度が設定されている。
【0046】
図5は、前方密集団MsFの移動速度Vfが希望自車速度Vmより遅い場合であって、後方密集団MsBの移動速度Vbが希望自車速度Vmより遅い場合を示したグラフ図である。このような場合、後方密集団MsBは希望自車速度Vmよりも遅く移動しているので影響はないが、前方密集団MsFには現状の希望自車速度Vmでは追いついてしまう。図5に示すように、前方密集団の速度Vfが後方密集団の速度Vbよりも小さい場合、いずれかの密集団への合流は避けられない。そこで、この制御例では、ECU2は、前方密集団MsFとの合流の時間(滞在時間)が最小化されるように合流中の自車速度を許容可能な最高速度と決定する。また、この制御例では、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流する前に、自車両M0が前方密集団MsFとB地点で合流してA地点で抜け出すように自車両M0の速度が設定されている。
【0047】
図6および図7は、前方密集団MsFが希望自車速度Vmより遅い場合であって、後方密集団MsBが希望自車速度Vmより速い場合を示したグラフ図である。この例では、自車両M0の位置関係および下限速度、上限速度も考慮すると、後方密集団MsBと前方密集団MsFが合流する前に、いずれかの密集団と合流して抜け出すことは難しい。したがって、図6および図7に示すように、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流してから抜け出す区間D~Cで、自車両M0も合流して抜け出す制御を行う。すなわち、この制御例では、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流し始める時に、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流するD地点に自車両M0が到達するように、D地点までの自車両M0の速度を決定する。また、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流し終わる時に、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流し終わるC地点に自車両M0が到達するように、D地点からC地点までの自車両M0の速度を決定する。
【0048】
なお、上述のように、ECU2は、更に予定経路に基づいて、密集団との合流を回避もしくは遅らせつつ、予定経路を予定時間通りに通過または到達するように、走行速度を演算し、ナビゲーション部3が経路案内等を行ってもよい。すなわち、図6の例では、制御前の予定経路の通過時間に比べて早くC地点を通過している。そこで、予定経路の通過時間に復帰するために、C~A地点に向けた速度で進み、その後、当初の希望自車速度Vmに復帰する。すなわち、C地点到達時刻が予定時刻(Vm巡行時の到達時刻)より早い場合は、後方密集団の移動速度、あるいは許容最低速度の速い方の速度でA地点に向かう。つまり、後方密集団に追いつかれることなく、可能最短時間で予定走行に戻る。一方、図7に示すように、C地点到達時刻が予定時刻(Vm巡行時の到達時刻)より遅い場合は、前方密集団の移動速度、あるいは許容最高速度の遅い方の速度でA地点に向かう。つまり、前方密集団に追いつくことなく、可能最短時間で予定走行に戻る。このような速度制御を行うことで、最終到達点への到達時刻を維持しつつ、密集団内の滞在時間を最小化できる。
【0049】
以上で、実施形態1の処理例の説明を終える。
【0050】
[実施形態2の処理]
つづいて、走行支援装置1における実施形態2の走行支援処理の一例について、図8図12を参照して説明する。実施形態1では密集団通過後に希望自車速度Vmで走行できるように調整を行ったが、実施形態2では、任意に通過点を設定し、そこを予定通りに通過できるように速度調整する点が異なる。図8は、実施形態2の走行支援処理の一例を示すフローチャートである。実施形態1(図2)と同様の処理については説明を省略する場合があるが、実施形態1において説明した同符号(S-1,2,5等)の処理を実施形態2に適宜参照することができる。
【0051】
図8において、後方にVb>Vmの密集団がある場合(S-2、Yes)、現状では後方密集団に追いつかれる可能性が高く、かつ、前方の密集団に追いつく可能性が高いので、ECU2は、自車両M0の速度Vmを、予定経路の任意の通過地点と前方および後方の密集団との合流地点に合わせた、前方の密集団の速度Vfより小さく後方密集団の速度Vbより大きく(Vf>Vm>Vb)、法定上限速度以下および法定下限速度以上の速度(法定上限速度≧Vm≧法定下限速度)に調整する(S-3’)。なお、予定経路の任意の通過地点と前方および/または後方の密集団との合流地点に合わせた速度調整の方法の詳細については図9図12を参照しながら後述する。
【0052】
一方、ECU2は、後方にVb>Vmの密集団がない場合(S-2、No)、前方の密集団に追いつく可能性を避けるために、ECU2は、自車両M0の速度Vmを、予定経路の任意の通過地点と前方の密集団との合流地点に合わせた、前方の密集団の速度Vfよりも小さく(Vf>Vm)、法定下限速度以上の速度(Vf>Vm≧法定下限速度)に調整する(S-4’)。
【0053】
図8のステップS-5において、ECU2は、後方にVb>Vmの密集団がある場合(S-5、Yes)、現状では後方密集団に追いつかれる可能性が高いので、自車両M0の速度Vmを、予定経路の任意の通過地点と後方の密集団との合流地点に合わせた、後方密集団の速度Vbより大きく(Vm>Vb)、法定上限速度以下の速度(法定上限速度≧Vm>Vb)に調整する(S-6’)。
【0054】
ECU2は、後方にVb>Vmの密集団がない場合(S-5、No)、現状では後方密集団に追いつかれる可能性も低く、前方の密集団に追いつく可能性も低いので、当初の希望自車速度Vmのまま調整を行わない。
【0055】
以上のように、基本的には、ECU2は、予定経路の通過時間等に基づいて、密集団との合流を回避もしくは遅らせつつ、予定経路の任意の通過地点を予定時間通りに通過するように、走行速度を演算し、ナビゲーション部3が経路案内等を行う。なお、上述と同様に、ECU2は、(1)前後方の密集団との合流の時間が短縮されるように自車速度を演算するか、(2)一旦、予定経路からサービスエリア/パーキングエリアなどに退避し、後方の密集団が後方から前方へ通過した後に、予定経路に復帰するように経路案内を行うか、(3)後方の密集団に含まれる車両に対し車車間通信を行い、このままでは安全な車間距離が保たれない虞などを報知する処理のうち、少なくとも一つを更に行ってもよい。
【0056】
ここで、下表は、ECU2が、希望自車速度Vm、後方密集団の速度Vb、前方密集団の速度Vf等の大小関係に基づいて、処理を行う場合の制御例を示した表である。図9図12は、希望自車速度Vm、後方密集団の速度Vb、前方密集団の速度Vf、前方密集団の干渉限界速度Vfl、後方密集団の干渉限界速度Vbh等の大小関係に基づく制御例を示すグラフ図である。
【0057】
【表2】
【0058】
ここで、干渉限界速度とは、前方または後方の密集団が、任意の通過点までに、ぎりぎり合流(干渉)しない限界の速度であり、以下の式により、自車両M0の速度Vm、前後方の密集団との位置関係、すなわち、任意の地点までの距離Dtに対する、前方密集団までの距離Dfまたは後方密集団までの距離Dbの割合、前方の密集団の速度Vf、後方の密集団の速度Vbにより以下の式で求められる。
Vfl=(1-Df/Dt)Vm
Vbh=(1+Db/Dt)Vm
【0059】
したがって、この前方密集団が干渉限界速度より遅くなければ、予定経路の任意の目標地点を予定時間で通過することができ、同様に、後方密集団が干渉限界速度より速くなければ、予定経路の任意の目標地点を予定時間で通過することができる。
【0060】
図9は、前方密集団MsFが不在または干渉限界速度Vflより速い場合であって(Vf≧Vfl)、後方密集団MsBが不在または干渉限界速度Vbhより遅い場合(Vb≦Vbh)を示したグラフ図である。実施形態1(図3図7)とは異なり、実施形態2の図9図12では、点線は、干渉限界速度を示している。したがって、前方密集団最後尾車MsFxが点線よりも遅い速度で進み、自車両M0が当初の希望自車速度Vmで進みつづけると、目標地点Tまでに合流することになる。同様に、後方密集団先頭車MsB1が点線よりも速い速度で進み、自車両M0が当初の希望自車速度Vmで進みつづけると、目標地点Tまでに合流することになる。図9の例では、前方密集団最後尾車MsFxが干渉限界速度Vflよりも速く、後方密集団先頭車MsB1が干渉限界速度Vbhよりも遅いため、自車両M0は、前方密集団MsFに目標地点Tまでに追いつくこともなく、後方密集団MsBにも目標地点Tまでに追いつかれることもない。したがって、予定経路に基づく希望自車速度Vmのまま、すなわち、疎の区間を走行することができる。
【0061】
図10は、前方密集団MsFが不在または干渉限界速度Vflより速い場合であって、後方密集団MsBが干渉限界速度Vbhより速い場合を示したグラフ図である。このような場合、前方密集団MsFの移動速度Vfは干渉限界速度Vflよりも速く移動しているので地点Tまで影響はないが、後方密集団MsBは干渉限界速度Vbhよりも速く、自車両M0は希望自車速度Vmのままでは地点Tまでに追いつかれる。図10に示すように、前方密集団の速度Vfが後方密集団の速度Vbよりも小さい場合、いずれかの密集団への合流は避けられない。そこで、この制御例では、ECU2は、後方の密集団との合流中(区間B地点~A地点)は許容可能な最低速度で走行しつつ、それ以外の区間は、予定経路の希望自車速度Vmとの差が最小化されるように制御する。すなわち、希望自車速度Vmとの差が最小化される速度の範囲(図示のハッチ部)で走行する。これにより、可能な限り、任意の通過地点での予定経路の予定通過時間との誤差を最小化することができる。
【0062】
図11は、前方密集団が干渉限界速度Vflより遅い場合であって、後方密集団が干渉限界速度Vbhより遅い場合を示したグラフ図である。このような場合、後方密集団MsBは干渉限界速度Vbhよりも遅く移動しているので影響はないが、前方密集団MsFには希望自車速度Vmでは地点Tまでに合流してしまう。図11に示すように、前方密集団の速度Vfが後方密集団の速度Vbよりも小さい場合、いずれかの密集団への合流は避けられない。そこで、この制御例では、ECU2は、前方の密集団との合流中(区間B~A)は許容可能な最高速度で走行しつつ、それ以外の区間は、予定経路の希望自車速度Vmとの差が最小化されるように制御する。すなわち、希望自車速度Vmとの差が最小化される速度の範囲(図示のハッチ部)で走行する。これにより、可能な限り、任意の通過地点での予定経路の予定通過時間との誤差を最小化することができる。
【0063】
図12は、前方密集団MsFが干渉限界速度Vflより遅い場合であって、後方密集団MsBが干渉限界速度Vbhより速い場合を示したグラフ図である。この例では、自車両M0の位置関係および下限速度、上限速度も考慮すると、後方密集団MsBと前方密集団MsFが合流する前に、いずれかの密集団と合流して抜け出すことは難しい。したがって、図12に示すように、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流してから抜け出す区間(D地点~C地点)で、自車両M0も合流して抜け出す制御を行う。すなわち、この制御例では、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流し始める時に、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流するD地点に自車両M0が到達するように、D地点までの自車両M0の速度を決定する。また、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流し終わる時に、前方密集団MsFと後方密集団MsBが合流し終わるC地点に自車両M0が到達するように、D地点からC地点までの自車両M0の速度を決定する。なお、自車両M0が地点Cで抜け出した後は、目標地点Tへ予定時間どおりに到達する速度を決定する。
【0064】
以上で、実施形態2の処理例の説明を終える。
【0065】
[実施形態3]
このほか様々な実施形態が考えられる。例えば、実施形態2では任意の通過地点を予定時間通りに通過するように制御したが、実施形態3として、累積的な誤差を、全行程の最終到達点の直前で、一気に挽回するように制御してもよい。最終到達点、例えば高速道路を出るインターチェンジまでの全行程で密集団との通過状況は、予測の下把握できる。同様に、自車希望速度(Vm)より速い密集団の通過は自車速度を下げ、自車希望速度(Vm)より遅い密集団の通過は自車速度を上げて通過する。密集団を通過する毎に最終点での最終到達時刻が早まったり、遅れたりするが、最終到達点までに累積する最終到達時刻の変動分に対応する誤差を解消するように速度調整を行ってもよい。速度調整はどこかで集中して行っても良いし、希望速度を平均的に増減しても良い。集中的に速度調整を行うのは最終到達点に近いところで行う方がよい。これにより、累積による到達時刻の変動分が、より正確に解消可能となる。
【0066】
[実施形態4]
図6図7図12の例では、前方密集団MsFと後方密集団MsBの合流中に自車両M0も合流したが、前方密集団と後方密集団とを分けて、それぞれ別々に合流してもよい。ただし、前後の密集団が合流した密集団の通過は、それらが合流する前に別々に2つを通過するより、総密集団滞在時間が短い、というメリットがある。よって、実施形態4として、更なる時間調整を行って、前後密集団の合流を待って合成密集団を通過する調整方法を行ってもよい。但し、合成密集団は密集度が上がり、自車両M0が自由に速度選択できなくなる場合がある、というデメリットがある。この状態では通過時間の想定からのズレが生じ易くなるため、このような合成密集団は避け、合流前の単独の密集団を通過するように速度調整する方がよい。各密集団の密集度合いも把握できているため、合成密集団の密集度を推定することは可能である。
【0067】
上述の実施形態において、最終到達点、例えば高速道路出口付近に密集団がある場合は例外的な速度調整を行ってもよい。つまり、通常は密集団内では許容最高速度か許容最低速度で通過する速度制御を行うが、この例外的な場合は常に許容最高速度で通過とする。密集団の移動速度に関係なく、速やかに出口に到達することで密集団滞在時間を最小にすることができる。一方、高速道路入口付近に密集団がある場合は、入線のタイミングを調整することにしてもよい。つまり、入口付近の密集団が通過するのを待って入線することで、疎の状態で合流できるので、スムーズかつより安全に合流できる。
【0068】
[実施形態の効果]
以上の本実施形態によれば、走行支援装置1は、自移動体の後方を走行している所定以上の密分布の移動体群の平均速度を求め、平均速度、自移動体の位置、および上限速度に基づいて、移動体群との合流を回避もしくは遅らせるように自移動体の走行速度を演算する。これにより、事故やストレスの発生を未然に防ぐことができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、走行支援装置1は、移動体群との合流が避けられない場合に、移動体群との合流の時間が短縮されるように走行速度を演算する。これにより、予定の経路を走行しながら、密集団との合流が避けられない場合に、事故の危険性がある時間やストレスが発生する時間を短縮することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、走行支援装置1は、移動体群との合流が速度上避けられない場合に、一旦、予定経路から退避し、移動体群が後方から前方へ通過した後に、予定経路に復帰するように経路を演算する。これにより、予定経路上、密集団との合流が避けられない場合であっても、事故の危険性やストレスの発生可能性を低減することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、走行支援装置1は、更に予定経路に基づいて、移動体群との合流を回避もしくは遅らせつつ、予定経路を予定時間通りに通過または到達するように、走行速度を演算する。これにより、密集団にかかわらないように走行支援しながら、予定経路を予定時間通りに通過するように走行支援を行うことができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、走行支援装置1は、移動体群との合流が自移動体では避けられない場合に、後方の移動体に通知する。これにより、密集団との合流が避けられない場合に報知して、後方車両に注意を促すことができ、事故の危険性やストレスの発生を低減することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…走行支援装置
2…ECU
3…ナビゲーション部
4…通信部
5…センサ部
6…駆動部
7…制動部
8…操舵部
9…出力部
M…車両
C…カメラ
10…センター
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12