(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124733
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】筋収縮検出センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/22 20060101AFI20230830BHJP
G01L 1/02 20060101ALN20230830BHJP
G01L 1/00 20060101ALN20230830BHJP
【FI】
A61B5/22 200
G01L1/02
G01L1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028706
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】諸麥 俊司
(57)【要約】
【課題】改良された筋収縮検出センサを提供する。
【解決手段】基板2と、基板2上に配置された少なくとも2つの押付け部材3、4と、押付け部材3、4が受ける反力を検出する少なくとも2つの反力検出部6、7と、を有し、押付け部材3、4が、第1の押付け部材3と、前記筋肉が収縮する際に筋肉に向けた押付けにより受ける反力が第1の押付け部材3よりも小さい第2の押付け部材4と、を含み、反力検出部6、7が、第1の押付け部材3が受ける反力を検出する第1の反力検出部6と、第2の押付け部材4が受ける反力を検出する第2の反力検出部7と、を含み、第1の反力検出部6により検出された反力と第2の反力検出部7により検出された反力との差または比の変化に基づいて、筋肉の収縮を検出する筋収縮検出センサ1であって、それぞれ押付け部材3、4の表面に固定された一対の柔軟なシート状の電極8をさらに有することを特徴とする、筋収縮検出センサ1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象となる筋肉に対向配置される基板と、
前記基板上に配置され、それぞれ前記筋肉に向けて押し付けられるとともに該押付けにより受ける反力が互いに相違する少なくとも2つの押付け部材と、
それぞれ対応する前記押付け部材が受ける反力を検出する少なくとも2つの反力検出部と、を有し、
前記押付け部材が、第1の押付け部材と、前記筋肉が収縮する際に前記筋肉に向けた押付けにより受ける反力が前記第1の押付け部材よりも小さい第2の押付け部材と、を含み、
前記反力検出部が、前記第1の押付け部材が受ける反力を検出する第1の反力検出部と、前記第2の押付け部材が受ける反力を検出する第2の反力検出部と、を含み、
前記第1の反力検出部により検出された前記第1の押付け部材が受ける反力と前記第2の反力検出部により検出された前記第2の押付け部材が受ける反力との差または比の変化に基づいて、筋肉の収縮を検出する筋収縮検出センサであって、
それぞれ前記押付け部材の表面に固定された一対の柔軟なシート状の電極をさらに有することを特徴とする、筋収縮検出センサ。
【請求項2】
一対の前記電極にパルス信号を入力するパルス発生器と、
前記パルス発生器から一対の前記電極にパルス信号を入力したときに、前記第1の反力検出部により検出された前記第1の押付け部材が受ける反力と前記第2の反力検出部により検出された前記第2の押付け部材が受ける反力との差または比の変化に基づいて検出される筋肉の収縮量に基づいて前記パルス発生器の作動をフィードバック制御する制御部と、をさらに有する、請求項1に記載の筋収縮検出センサ。
【請求項3】
一対の前記電極により検出された筋肉の筋電位と、前記第1の反力検出部により検出された前記第1の押付け部材が受ける反力と前記第2の反力検出部により検出された前記第2の押付け部材が受ける反力との差または比の変化に基づいて検出される筋肉の収縮量との差分から、前記筋肉の疲労を測定する疲労測定部をさらに有する、請求項1に記載の筋収縮検出センサ。
【請求項4】
前記第1の押付け部材及び前記第2の押付け部材が、それぞれ内部に流体を封入した柔軟な袋状に形成されている、請求項1~3の何れか1項に記載の筋収縮検出センサ。
【請求項5】
連結流路により互いの内部空間が連結された一対の前記第2の押付け部材と、一対の前記第2の押付け部材の間に配置された1つの前記第1の押付け部材とを備え、
一方の前記電極が一方の前記第2の押付け部材の表面に固定され、他方の前記電極が他方の前記第2の押付け部材の表面に固定されている、請求項4に記載の筋収縮検出センサ。
【請求項6】
無負荷状態における前記第1の押付け部材の前記基板からの突出高さが、無負荷状態における前記第2の押付け部材の前記基板からの突出高さよりも高い、請求項1~5の何れか1項に記載の筋収縮検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉の収縮を検出する筋収縮検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筋肉の収縮すなわち筋肉の活動量を測定する筋収縮検出センサとして、検出対象となる筋肉に対向配置される基板と、基板上に配置され、それぞれ筋肉に向けて押し付けられるとともに該押付けにより受ける反力が互いに相違する少なくとも2つの押付け部材と、それぞれ対応する押付け部材が受ける反力を検出する少なくとも2つの反力検出部と、を有し、押付け部材が、第1の押付け部材と、筋肉に向けた押付けにより受ける反力が第1の押付け部材よりも小さい第2の押付け部材と、を含み、反力検出部が、第1の押付け部材が受ける反力を検出する第1の反力検出部と、第2の押付け部材が受ける反力を検出する第2の反力検出部と、を含み、第1の反力検出部により検出された第1の押付け部材が受ける反力と第2の反力検出部により検出された第2の押付け部材が受ける反力との差または比の変化に基づいて、筋肉の収縮を検出するように構成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の筋収縮検出センサは、第1の押付け部材が受ける反力と第2の押付け部材が受ける反力との差または比の変化に基づくことで、筋肉が活動する際に生じる筋電位(表面筋電位)を測定することなく筋肉の収縮を検出することができるという特徴を有しているが、当該特徴を利用したさらなる改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、改良された筋収縮検出センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の筋収縮検出センサは、検出対象となる筋肉に対向配置される基板と、前記基板上に配置され、それぞれ前記筋肉に向けて押し付けられるとともに該押付けにより受ける反力が互いに相違する少なくとも2つの押付け部材と、それぞれ対応する前記押付け部材が受ける反力を検出する少なくとも2つの反力検出部と、を有し、前記押付け部材が、第1の押付け部材と、前記筋肉が収縮する際に前記筋肉に向けた押付けにより受ける反力が前記第1の押付け部材よりも小さい第2の押付け部材と、を含み、前記反力検出部が、前記第1の押付け部材が受ける反力を検出する第1の反力検出部と、前記第2の押付け部材が受ける反力を検出する第2の反力検出部と、を含み、前記第1の反力検出部により検出された前記第1の押付け部材が受ける反力と前記第2の反力検出部により検出された前記第2の押付け部材が受ける反力との差または比の変化に基づいて、筋肉の収縮を検出する筋収縮検出センサであって、それぞれ前記押付け部材の表面に固定された一対の柔軟なシート状の電極をさらに有することを特徴とする。
【0007】
本発明の筋収縮検出センサは、上記構成において、一対の前記電極にパルス信号を入力するパルス発生器と、前記パルス発生器から一対の前記電極にパルス信号を入力したときに、前記第1の反力検出部により検出された前記第1の押付け部材が受ける反力と前記第2の反力検出部により検出された前記第2の押付け部材が受ける反力との差または比の変化に基づいて検出される筋肉の収縮量に基づいて前記パルス発生器の作動をフィードバック制御する制御部と、をさらに有するのが好ましい。
【0008】
本発明の筋収縮検出センサは、上記構成において、一対の前記電極により検出された筋肉の筋電位と、前記第1の反力検出部により検出された前記第1の押付け部材が受ける反力と前記第2の反力検出部により検出された前記第2の押付け部材が受ける反力との差または比の変化に基づいて検出される筋肉の収縮量との差分から、前記筋肉の疲労を測定する疲労測定部をさらに有するのが好ましい。
【0009】
本発明の筋収縮検出センサは、上記構成において、前記第1の押付け部材及び前記第2の押付け部材が、それぞれ内部に流体を封入した柔軟な袋状に形成されているのが好ましい。
【0010】
本発明の筋収縮検出センサは、上記構成において、連結流路により互いの内部空間が連結された一対の前記第2の押付け部材と、一対の前記第2の押付け部材の間に配置された1つの前記第1の押付け部材とを備え、一方の前記電極が一方の前記第2の押付け部材の表面に固定され、他方の前記電極が他方の前記第2の押付け部材の表面に固定されているのが好ましい。
【0011】
本発明の筋収縮検出センサは、上記構成において、無負荷状態における前記第1の押付け部材の前記基板からの突出高さが、無負荷状態における前記第2の押付け部材の前記基板からの突出高さよりも高いのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、改良された筋収縮検出センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態である筋収縮検出センサの平面図である。
【
図2】
図1に示す筋収縮検出センサのA-A線に沿う断面図である。
【
図3】
図1に示す筋収縮検出センサの、人体に装着した状態の断面図である。
【
図4】
図1に示す筋収縮検出センサの、人体に装着した状態で筋肉が収縮したときの断面図である。
【
図5】
図1に示す筋収縮検出センサを、定量的電気刺激装置として用いる場合の制御体系を示すブロック図である。
【
図6】
図1に示す筋収縮検出センサを、筋疲労測定装置として用いる場合の制御体系を示すブロック図である。
【
図7】
図2に示す筋収縮検出センサの変形例の断面図である。
【
図8】
図2に示す筋収縮検出センサの他の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に例示説明する。
【0015】
図1、
図2に示す本発明の一実施の形態である筋収縮検出センサ1は、人体の腕や脚などの部位に取り付けられて当該部位における筋肉の収縮を検出することができるものである。
【0016】
筋収縮検出センサ1は基板2を有している。基板2は、検出対象となる筋肉に対向するように配置され、例えば伸縮性ベルト等の固定具を用いて当該筋肉に向けて付勢された状態で人体に固定される。
【0017】
基板2は、例えばエンジニアリング・プラスチックなどの合成樹脂材料や真ちゅう(黄銅)等の金属材料により形成することができる。基板2は、使用時に過度の変形が生じない程度の剛性を有するものとするのが好ましい。本実施形態では、基板2は、筋収縮検出センサ1の検出対象となる筋肉の筋幅(伸縮方向に垂直な方向の幅)に対応した幅を有する矩形の板状に形成されており、
図2中上側となる上面の中央部分には上方に向けて吐出する段差部2aが一体に設けられている。
【0018】
なお、基板2の幅は、検出対象となる筋肉に応じて種々変更可能である。また、基板2の形状も、矩形の板状に限らず、例えば円形の板状など種々変更可能である。
【0019】
基板2の
図2中上側となる上面には、少なくとも2つの押付け部材が配置されている。本実施形態では、基板2の段差部2aにおける上面に第1の押付け部材3が配置されるとともに、基板2の段差部2aの両側部分における上面に一対の第2の押付け部材4が配置されている。すなわち、本実施形態では、基板2の上面において、一対の第2の押付け部材4の間に1つの第1の押付け部材3が配置された構成となっている。
【0020】
第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4は、それぞれ基板2の上面から上方に向けて突出しており、基板2が伸縮性ベルト等によって筋肉に向けて付勢された状態で人体に固定されると、それぞれ検出対象となる筋肉に向けて押し付けられるようになっている。つまり、筋収縮検出センサ1が人体に取り付けられると、第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4は、それぞれ人体の当該筋肉がある部位に押し付けられるようになっている。
【0021】
本実施形態では、第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4は、それぞれ、例えば塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料により、内部空間3a、4aに流体(本実施形態では空気)が封入された柔軟な袋状となっている。無負荷状態つまり筋肉に向けて押し付けられていない自然状態においては、第1の押付け部材3の内部空間3aの圧力と一対の第2の押付け部材4の内部空間4aの圧力は同等となっている。
【0022】
より具体的には、第1の押付け部材3は、平面視で基板2よりも小さく、段差部2aに対応した大きさの矩形の袋状となっており、基板2の中央部分において段差部2aの上面に配置されている。
【0023】
一対の第2の押付け部材4は、それぞれ平面視で基板2よりも小さく、且つ、第1の押付け部材3よりも大きい矩形の袋状となっている。一方の第2の押付け部材4は、段差部2aの一方の側方側における基板2の上面に配置され、他方の第2の押付け部材4は、段差部2aの他方の側方側における基板2の上面に配置されている。一対の第2の押付け部材4は、連結流路5により互いの内部空間4aが連結されており、互いの内部空間4aの圧力は同一となっている。
【0024】
上述のように、本実施形態の筋収縮検出センサ1では、押付け部材として、連結流路5により互いの内部空間4aが連結された一対の第2の押付け部材4と、一対の第2の押付け部材4の間に配置された1つの第1の押付け部材3とを備えた構成としている。これにより、筋収縮検出センサ1を人体の所定部位に取り付けたときに、一対の第2の押付け部材4によって基板2を人体の所定部位に安定的に支持させつつ第1の押付け部材3を人体の所定部位に確実に押し付けることができる。したがって、基板2を、筋肉に対向する姿勢から大きく傾斜させることなく安定的に筋肉に向けて押し付けることができる。また、基板2の傾斜を抑制することにより、当該基板2が直接人体に触れることを防止して、この筋収縮検出センサ1による筋肉の収縮の検出精度を高めることができる。
【0025】
また、本実施形態の筋収縮検出センサ1では、第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とを、それぞれ内部に流体を封入した柔軟な袋状の構成としている。これにより、第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とを、それぞれ筋肉に向けて人体に押し付けたときに、第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とがそれぞれ柔軟に変形し、皮膚が第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とから均一の圧力を受けるようにして、人体が受ける感触を良くすることができる。すなわち、この筋収縮検出センサ1を人体に取り付けたときに人体が感じる痛みや違和感を低減させることができる。特に、第1の押付け部材3の内部空間3a及び第2の押付け部材4の内部空間4aに、空気等の圧縮性流体を封入した構成とした場合には、第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とをより柔軟なものとして、第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とを筋肉に向けて人体に押し付けたときに人体が受ける感触をより良くすることができる。これにより、筋収縮検出センサ1の、人体に取り付けたときの装用感ないし快適性を高めることができる。
【0026】
本実施形態では、第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4は、それぞれ内部空間3a、4aに流体として空気が封入された構成となっているが、これに限らず、内部空間3a、4aに、例えば、空気以外の圧縮性流体(気体)や水等の非圧縮性流体を封入した構成とすることもできる。但し、第1の押付け部材3の内部空間3a及び第2の押付け部材4の内部空間4aに空気を封入した構成とすると、この筋収縮検出センサ1のコストを低減することができるので好ましい。
【0027】
無負荷状態(筋肉に向けて押し付けられていない自然状態)においては、
図2から解るように、第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さは、一対の第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くなっている。上記突出高さの比較は、第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とで、基板2の同一部分における上面を基準としたものであり、段差部2aが設けられてない部分における基板2の上面を基準としてもよく、段差部2aが設けられた部分における上面を基準としてもよい。
【0028】
このように、本実施形態では、無負荷状態における第1の押付け部材3の基板2からの突出高さが、無負荷状態における一対の第2の押付け部材4の基板2からの突出高さよりも高くなっているので、筋収縮検出センサ1が人体に取り付けられて第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とが人体の筋肉がある部位に押し付けられたときに、一対の第2の押付け部材4が当該押付けにより受ける反力は、第1の押付け部材3が当該押付けにより受ける反力よりも小さくなる。
【0029】
なお、一対の第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さは、互いに同一であるのが好ましいが、互いに相違してもよい。
【0030】
第1の押付け部材3を筋肉に向けて人体に押し付けたときに当該第1の押付け部材3が人体から受ける反力(圧力)を検出するために、基板2には第1の反力検出部6が設けられている。本実施形態では、第1の反力検出部6は板状の圧力センサで構成されており、基板2の段差部2aにおける上面に嵌め込まれて基板2に装着されている。第1の反力検出部6の圧力検知面6aは、基板2の段差部2aにおける上面に面一となって第1の押付け部材3に接触している。
【0031】
また、第2の押付け部材4を筋肉に向けて押し付けたときに当該第2の押付け部材4が人体から受ける反力(圧力)を検出するために、基板2には第2の反力検出部7が設けられている。本実施形態では、第2の反力検出部7も板状の圧力センサで構成されており、基板2の段差部2aの一方の側方における上面の第2の押付け部材4の直下における上面に嵌め込まれて基板2に装着されている。第2の反力検出部7の圧力検知面7aは、基板2の上面に面一となって一方の第2の押付け部材4に接触している。本実施形態では、一対の第2の押付け部材4は、互いの空気が封入された内部空間4aが連結流路5で連結されているので、一対の第2の押付け部材4が人体から受けた反力を、一方の第2の押付け部材4のみに接する1つの第2の反力検出部7によって正確に検出することができる。
【0032】
第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7を構成する板状の圧力センサとしては、例えばひずみゲージ式の圧力変換器を用いることができる。なお、第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7を構成する板状の圧力センサとして、上記したひずみゲージ式の圧力変換器に替えて、第1の押付け部材3や第2の押付け部材4が受ける反力を検出し、これを電気信号等として出力することができる他のタイプのものを用いることもできる。
【0033】
筋収縮検出センサ1は、人体に取り付けられて第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とが人体の筋肉がある部位に押し付けられた状態において、第1の反力検出部6により検出された第1の押付け部材3が受ける反力と第2の反力検出部7により検出された一対の第2の押付け部材4が受ける反力との差または比の変化に基づいて、筋肉の収縮を検出することができる。
【0034】
次に、筋収縮検出センサ1により、筋肉の収縮を検出ないし測定する方法について説明する。
【0035】
まず、
図3に示すように、筋収縮検出センサ1を、例えば伸縮性ベルト等の固定具(不図示)を用いて人体の腕などの所定の部位に皮膚SKに直接接触するように取り付ける。すなわち、筋収縮検出センサ1を、基板2が検出対象となる筋肉(不図示)に対向し、第1の押付け部材3及び一対の第2の押付け部材4が基板2に対して検出対象となる筋肉の側を向くとともに、それぞれ第2の押付け部材4の表面に固定された一対の電極8が皮膚SKの表面に直接接触するように、固定具により人体の所定部位に取り付ける。筋収縮検出センサ1が人体の所定部位に取り付けられると、一対の電極8が皮膚SKの表面に直接接触するとともに、第1の押付け部材3及び一対の第2の押付け部材4が筋肉の側に向けて人体に押し付けられた状態となる。
【0036】
固定具は、基板2、第1の押付け部材3及び一対の第2の押付け部材4が過度に変形を生じない程度に筋収縮検出センサ1を人体の所定部位に押し付けることができる張力を生じる伸縮性ベルトであるのが好ましいが、コルセットやサポーター等の他の部材であってもよい。
【0037】
筋収縮検出センサ1が人体の所定の部位に取り付けられて第1の押付け部材3及び一対の第2の押付け部材4が筋肉の側に向けて人体に押し付けられた押付け状態となると、第1の押付け部材3及び一対の第2の押付け部材4はそれぞれ人体の皮膚SKから反力を受けて若干変形した状態となる。この状態においても、自然状態のときと同様に、第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さは第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くなっている。
【0038】
このとき、皮膚SKが柔軟に撓んで第1の押付け部材3及び第2の押付け部材4の両方に当接するので、第1の押付け部材3に皮膚SKからの反力FBが加わるとともに、一対の第2の押付け部材4に皮膚SKからの反力FDが加わることになる。これらの反力FB、FDは、それぞれ第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7により検出され、第1の信号処理回路11ないし第2の信号処理回路13、及び第1のA/D変換器12ないし第2のA/D変換器14を介して出力デジタル信号として制御部10に入力される。この押付け状態においては、第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さが第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くなっていることに起因して、第1の押付け部材3が人体から受ける反力FBは、一対の第2の押付け部材4が人体から受ける反力FDよりも大きくなる。したがって、制御部10は、出力デジタル信号として入力された反力FBと反力FDとの差または比の変化に基づいて検出対象となる筋肉の収縮を検出することができる。
【0039】
本実施の形態においては、制御部10は、より正確に筋肉の収縮を検出するために、第1の押付け部材3が人体から受ける反力F
Bと一対の第2の押付け部材4が人体から受ける反力F
Dとの和F
Tを算出し、反力F
Bを和F
Tで除した値を筋肉の収縮の度合いのパラメータ値Sとして筋肉の収縮を検出するようにしている。パラメータ値Sの算出式となる数式(1)を以下に示す。パラメータ値Sは0~1の範囲で変化する無次元の変数である。
【数1】
【0040】
制御部10は、
図3に示す状態におけるパラメータ値Sを算出し、これを基準としたパラメータ値Sの変化に基づき筋肉の収縮を検出する。ここで、パラメータ値Sは、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと一対の第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの比の変化に基づいて変化する値であるので、パラメータ値Sの変化に基づいて筋肉の収縮を検出することは、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと一対の第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの比の変化に基づいて筋肉の収縮を検出することと同じことである。なお、制御部10は、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと一対の第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの比の変化に基づいて筋肉の収縮を検出する構成に限らず、第1の押付け部材3が受ける反力F
Bと一対の第2の押付け部材4が受ける反力F
Dとの差の変化に基づいて筋肉の収縮を検出する構成とすることもできる。
【0041】
図3に示す状態から、徐々に筋肉が収縮して筋肉が硬化していくと、皮膚SKは、より基板2からの突出高さが高い第1の押付け部材3に強く接してこれを弾性変形させるとともに、一対の第2の押付け部材4からは徐々に離れることになる。そのため、筋肉の収縮に伴って和F
Tに対する反力F
Bの割合が徐々に高まり、反対に反力F
Dの割合が徐々に減少することになる。すなわち、筋肉の収縮に伴ってパラメータ値Sは基準とした値に徐々に増加することになる。
【0042】
そして、
図4に示すように、さらに筋肉が収縮した状態となると、皮膚SKは第1の押付け部材3にこれを弾性変形させながら強く接し、一対の第2の押付け部材4には弱く接した状態となってパラメータ値Sの値は1に近い値となり、さらに筋肉が収縮すると、皮膚SKが第1の押付け部材3にのみ接してパラメータ値Sの値は1となる。このように、パラメータ値Sは、基準値から1の間で当該筋肉の収縮に伴って増加することになる。したがって、制御部10はパラメータ値Sの増加から筋肉が収縮していることを検出することができるとともに、そのときのパラメータ値Sから筋肉の収縮の程度すなわち筋活動量を検出(測定)することもできる。
【0043】
反対に、
図4に示す状態から筋肉が弛緩して収縮が解消されると、和F
Tに対する反力F
Bの割合が徐々に低下し、パラメータ値Sは1から基準値に向けて徐々に低下する。したがって、制御部10は、パラメータ値Sの減少から筋肉が弛緩していることを検出することができるとともに、そのときのパラメータ値Sから筋肉の収縮の程度すなわち筋活動量を検出(測定)することもできる。
【0044】
パラメータ値Sは、例えばS=FD/(FB+FD)=FD/FTに設定することもできる。この場合、筋肉の収縮に伴ってパラメータ値Sは徐々に減少することになるので、制御部10はパラメータ値Sの減少から筋肉が収縮していることを検出することができるとともに、そのときのパラメータ値Sから筋肉の収縮の程度すなわち筋活動量を検出(測定)することもできる。
【0045】
図1、
図2に示すように、筋収縮検出センサ1は、一対の第2の押付け部材4の表面に固定された一対の柔軟なシート状の電極8を有している。一対の電極8は、例えば導電性ゴムなどを用いて第2の押付け部材4の変形に合わせて変形可能な柔軟なシート状に形成された生体用電極で構成されている。本実施形態では、一対の電極8は、それぞれ平面視で第2の押付け部材4よりも一回り小さい矩形のシート状となっており、一方の電極8は一方の第2の押付け部材4の表面(基板2とは反対側を向く面)に接着剤、両面テープ等の貼付け手段を用いて貼り付けられ、他方の電極8は他方の第2の押付け部材4の表面(基板2とは反対側を向く面)に接着剤、両面テープ等の貼付け手段を用いて貼り付けられている。一対の電極8は、図示しない配線により、外部機器に接続することができる。
【0046】
一対の電極8は、筋収縮検出センサ1が人体に取り付けられて第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4とが人体の筋肉がある部位に押し付けられたときに、人体の当該部位における皮膚に直接接触することで、外部機器から入力されたパルス信号すなわち刺激パルスを筋肉ないし当該筋肉を支配する運動神経に伝達することができるとともに、筋肉が活動したときに生じる筋電位信号を外部機器に送ることができる。
【0047】
一対の電極8は、電気刺激に適した通電及び筋電位の検出が可能な程度の導電性を有する柔軟なシート状のものであれば、種々の構成ないし材質のものを用いることができる。
【0048】
上記構成を有する筋収縮検出センサ1は、筋活動量フィードバック機能を備えた定量的電気刺激装置として用いることができる。
【0049】
図5に示すように、筋収縮検出センサ1を定量的電気刺激装置として用いる場合には、第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7は、それぞれコンピュータにより構成される制御部10に接続される。
【0050】
本実施形態では、第1の反力検出部6は、第1の反力検出部6から入力される出力信号を増幅して出力する第1の信号処理回路11及び第1の信号処理回路11から入力される出力増幅信号をデジタル信号に変換して出力する第1のA/D変換器12を介して制御部10に接続されており、第1の反力検出部6の出力信号は出力デジタル信号として制御部10に入力される。同様に、第2の反力検出部7は、第2の反力検出部7から入力される出力信号を増幅して出力する第2の信号処理回路13及び第2の信号処理回路13から入力される出力増幅信号をデジタル信号に変換して出力する第2のA/D変換器14を介して制御部10に接続されており、第2の反力検出部7の出力信号は出力デジタル信号として制御部10に入力される。
【0051】
また、
図5に示すように、筋収縮検出センサ1を定量的電気刺激装置として用いる場合には、一対の電極8は、それぞれパルス発生器15に接続される。本実施形態では、パルス発生器15は、パルス発生器15が出力するパルス信号を電気刺激に必要な電力となるように電圧、電流を増幅して刺激パルスに変換する信号処理回路16を介して一対の電極8に接続されている。パルス発生器15は、一対の電極8に、信号処理回路16により増幅された刺激パルスをパルス信号として入力することができる。パルス発生器15は、制御部10に接続されており、制御部10から入力される波形情報に基づいてパルス信号を出力するように構成される。刺激パルスは、例えば、筋肉を刺激する刺激時間を2秒、筋肉を休憩させる休憩時間を3秒となるように設定することができる。制御部10は、パルス発生器15から出力されるパルス信号ないし刺激パルスの強度(電圧)を調整することができる。
【0052】
次に、上記構成を有する筋収縮検出センサ1の、定量的電気刺激装置としての作動について説明する。
【0053】
まず、
図3に示すように、筋収縮検出センサ1を、上記の通り、例えば伸縮性ベルト等の固定具(不図示)を用いて人体の腕などの所定の部位に、一対の電極8が皮膚SKに直接接触するように取り付ける。
【0054】
次に、制御部10からパルス発生器15に波形情報を入力し、パルス発生器15から一対の電極8に向けてパルス信号を出力させる。パルス発生器15から出力されたパルス信号が信号処理回路16により増幅されて刺激パルスとなって一対の電極8に入力されると、一対の電極8の刺激パルスが筋肉ないし当該筋肉を支配する運動神経に印加され、筋肉ないし当該筋肉を支配する運動神経が電気刺激されて筋肉が収縮する。このとき、筋肉の収縮量すなわち筋活動量は、一対の電極8から筋肉ないし運動神経に印加される刺激パルスの強度に応じて変化する。制御部10は、筋活動量が予め設定した所定の目標値(例えば最大随意収縮の50%)となるように、パルス発生器15の作動すなわち一対の電極8から筋肉に印加される刺激パルスの強度を調整する。
【0055】
一対の電極8から刺激パルスが印加されて筋肉が収縮すると、上記の通りの方法で、制御部10は、第1の反力検出部6により検出された第1の押付け部材3が受ける反力と第2の反力検出部7により検出された一対の第2の押付け部材4が受ける反力との差または比の変化に基づいて、一対の電極8から刺激パルスが入力されて収縮する筋肉の筋活動量を測定する。
【0056】
そして、制御部10は、検出した筋活動量に基づいて、筋活動量が予め設定した所定の目標値となるように、パルス発生器15の作動すなわち一対の電極8に入力する刺激パルスの強度をフィードバック制御する。例えば、筋肉に電気刺激を印加し続けると、筋活動量は筋疲労により徐々に減衰し、第1の反力検出部6により検出された第1の押付け部材3が受ける反力と第2の反力検出部7により検出された一対の第2の押付け部材4が受ける反力との差または比の変化に基づいて検出される筋活動量は目標値よりも低くなるが、この場合、制御部10は、筋活動量が目標値を維持するように、刺激パルスの強度(電圧)を高めるようにパルス発生器15の作動を制御する。一方、第1の反力検出部6により検出された第1の押付け部材3が受ける反力と第2の反力検出部7により検出された一対の第2の押付け部材4が受ける反力との差または比の変化に基づいて検出した筋活動量が目標値よりも高くなった場合には、筋活動量が目標値を維持するように、制御部10は刺激パルスの強度(電圧)を弱めるようにパルス発生器15の作動を制御する。これにより、筋活動量が所定の目標値となるように、筋肉に定量的に筋活動を生じさせることができる。
【0057】
従来、筋活動量の検出ないし測定は筋電位計を用いて行うのが一般的であった。しかし、電気刺激下では筋電位が刺激パルスに埋もれてしまうため、筋肉に対する電気刺激を行いつつ筋電位計を用いて電気刺激された筋肉の筋活動量の検出(測定)を行うことは困難であった。また、皮膚性状や皮下脂肪の量などによって電気刺激による筋活動量は大きく異なるため、同じ強度の刺激パルスを与えても生じる筋活動量には個人差があり、さらに、電極と皮膚との密着度や発汗の有無などによっても筋活動量が変化するため、筋活動量のフードバックなしに刺激パルスの強度を設定して筋肉に定量的に筋活動を生じさせることは困難であった。
【0058】
これに対し、本実施形態の筋収縮検出センサ1は、筋肉の収縮により、少なくとも2つの押付け部材(本実施形態では、1つの第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4)に生じる物理的な変化(筋肉の収縮に伴う筋肉の硬さの変化)に基づいて当該筋肉の筋活動量を検出するようにしているので、筋電位に影響を与えることなく、筋肉に対する電気刺激と、電気刺激された筋肉の筋活動量の検出(測定)とを同時に行うことができる。したがって、検出した筋活動量をフィードバックして刺激パルスの強度を制御する構成として、筋肉に対する定量的な電気刺激、再現性の高い電気刺激、疲労の影響を受けない電気刺激が可能となる。
【0059】
また、本実施形態の筋収縮検出センサ1では、電気刺激を行うための一対の電極8を、筋活動量を検出ないし測定するための押付け部材(本実施形態では、一対の第2の押付け部材4)の表面に固定するようにしたので、小さな筋肉に対しても、電気刺激を行うための一対の電極8と筋活動量を検出ないし測定するための押付け部材(本実施形態では、1つの第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4)の両方を当該筋肉に装着することができる。したがって、本実施形態の筋収縮検出センサ1を、より多くの部位の筋肉に適用することが可能となる。さらに、電気刺激を行うための一対の電極8が、筋活動量を検出ないし測定するための押付け部材(本実施形態では、一対の第2の押付け部材4)の表面に固定されて一体化されているので、筋収縮検出センサ1を、より容易に人体の所定部位に装着することができ、より使い易いものとすることができるとともに、筋収縮検出センサ1を小型化して、そのコストを低減することができる。
【0060】
さらに、本実施形態の筋収縮検出センサ1では、電気刺激を行うための一対の電極8を、筋活動量を検出ないし測定するための押付け部材(本実施形態では、一対の第2の押付け部材4)の表面に固定することで、筋肉に電気刺激を加える位置と筋肉の活動量を検出ないし測定する位置とを近接させることができる。これにより、筋活動量をより精度よくフィードバックして、筋肉に対してより精度よく定量的な電気刺激を行うことができる。
【0061】
さらに、本実施形態の筋収縮検出センサ1では、連結流路5により互いの内部空間4aが連結された一対の第2の押付け部材4と、一対の第2の押付け部材4の間に配置された1つの第1の押付け部材3とを備えるとともに、一方の電極8が一方の第2の押付け部材4の表面に固定され、他方の電極8が他方の第2の押付け部材4の表面に固定された構成としたので、筋肉に電気刺激を加える位置と筋肉の活動量を検出ないし測定する位置とをより近接させて、筋肉に対してより精度よく定量的な電気刺激を行うことができる。
【0062】
さらに、本実施形態の筋収縮検出センサ1では、無負荷状態における第1の押付け部材3の基板2からの突出高さが、無負荷状態における第2の押付け部材4の基板2からの突出高さよりも高い構成としたので、簡単な構成で第2の押付け部材4が皮膚SKから受ける反力を第1の押付け部材3が皮膚SKから受ける反力をよりも小さくすることができる。これにより、筋収縮検出センサ1の構成を簡素化して、そのコストを低減することができる。
【0063】
上記構成を有する筋収縮検出センサ1は、筋疲労の測定装置として用いることもできる。
【0064】
図6に示すように、筋収縮検出センサ1を筋疲労の測定装置として用いる場合には、第1の反力検出部6及び第2の反力検出部7は、
図5に示す場合と同様に、それぞれコンピュータにより構成される制御部10に接続される。
【0065】
すなわち、第1の反力検出部6は、第1の反力検出部6から入力される出力信号を増幅して出力する第1の信号処理回路11及び第1の信号処理回路11から入力される出力増幅信号をデジタル信号に変換して出力する第1のA/D変換器12を介して制御部10に接続されており、第1の反力検出部6の出力信号は出力デジタル信号として制御部10に入力される。同様に、第2の反力検出部7は、第2の反力検出部7から入力される出力信号を増幅して出力する第2の信号処理回路13及び第2の信号処理回路13から入力される出力増幅信号をデジタル信号に変換して出力する第2のA/D変換器14を介して制御部10に接続されており、第2の反力検出部7の出力信号は出力デジタル信号として制御部10に入力される。
【0066】
また、
図6に示すように、筋収縮検出センサ1を筋疲労の測定装置として用いる場合には、一対の電極8は、それぞれ制御部10に接続される。本実施形態では、一対の電極8は、当該電極8が検出した筋電位信号を増幅して出力する信号処理回路17と、信号処理回路17から出力される筋電位増幅信号をデジタル信号に変換して出力するA/D変換器18とを介して制御部10に接続されており、一対の電極8が検出した筋電位信号は筋電位デジタル信号として制御部10に入力される。
【0067】
次に、上記構成を有する筋収縮検出センサ1を、筋疲労の測定装置として用いる方法について説明する。
【0068】
筋収縮検出センサ1を、筋疲労の測定装置として用いる場合には、
図3に示すように、筋収縮検出センサ1を、上記の通り、例えば伸縮性ベルト等の固定具(不図示)を用いて人体の腕などの所定の部位に、一対の電極8が皮膚SKに直接接触するように取り付けた状態において、一対の電極8を、筋電位測定用の電極として用いる。すなわち、筋収縮検出センサ1を、筋疲労の測定装置として用いる場合では、制御部10は、第1の反力検出部6により検出された第1の押付け部材3が受ける反力と第2の反力検出部7により検出された第2の押付け部材4が受ける反力との差または比の変化に基づいて収縮する筋肉の筋活動量を検出ないし測定するとともに、当該測定と同時に、一対の電極8から入力される筋電位ないし筋電位デジタル信号に基づいて収縮する筋肉の筋活動量を検出ないし測定する。このように、筋収縮検出センサ1は、少なくとも2つの押付け部材(本実施形態では、1つの第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4)による筋収縮量の検出ないし測定と一対の電極8による筋電位とを同時計測する。そして、制御部10は、これらの検出値ないし測定値の差分に基づき、筋肉の疲労を検出する。
【0069】
同じ負荷を筋肉に継続的に加え、その間の筋収縮量と筋電位とを継続的に測定すると、筋発揮力が同じであっても筋電位の振幅(電圧)は徐々には増加する。これは、筋肉が疲労すると、同じ力を維持するためにより多くの筋繊維が動員されるためである。これに対し、少なくとも2つの押付け部材(本実施形態では、1つの第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4)により物理的に検出される筋収縮量は、筋発揮力が同じであれば、疲労によらず継続的に同じ値となる。したがって、少なくとも2つの押付け部材(本実施形態では、1つの第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4)による筋収縮量の検出値ないし測定値と一対の電極8により検出される検出値ないし測定値とを、最大筋発揮時の値で無次元化(100%換算)した上で差分を取ることで、当該筋肉の現在の疲労度を得ることができる。制御部10は、当該方法に基づいて、少なくとも2つの押付け部材(本実施形態では、1つの第1の押付け部材3と一対の第2の押付け部材4)による筋収縮量の検出値ないし測定値と一対の電極8により検出される検出値ないし測定値とに基づき筋肉の現在の疲労度を検出する。
【0070】
このように、筋収縮検出センサ1を筋疲労の測定装置として用いることで、筋肉の疲労を容易且つ正確に測定することができる。また、筋疲労の測定装置として筋収縮検出センサ1を用いることで、筋疲労の測定装置を簡素で低コストなものとすることができる。
【0071】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0072】
例えば、前記実施形態では、基板2に設けた段差部2aに第1の押付け部材3を配置することで、無負荷状態における第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さを第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くするようにしているが、例えば
図7に示すように、基板2に段差部2aを設けることなく、第1の押付け部材3の形状を第2の押付け部材4よりも上下方向寸法が大きいものとして、無負荷状態における第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さを第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くするようにしてもよい。
【0073】
また、前記実施形態では、筋収縮検出センサ1を、押付け部材として、連結流路5により互いの内部空間4aが連結された一対の第2の押付け部材4と、一対の第2の押付け部材4の間に配置された1つの第1の押付け部材3とを備えた構成としているが、これに限らず、例えば
図8に示すように、連結流路(不図示)により互いの内部空間3aが連結された一対の第1の押付け部材3と、一対の第1の押付け部材3の間に配置された1つの第2の押付け部材4とを備えた構成とすることもできる。この場合、一対の第1の押付け部材3の表面に、それぞれ電極8が固定される。
【0074】
さらに、前記実施形態では、無負荷状態における第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さを、無負荷状態における第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さよりも高くすることで、収縮する筋肉に向けて押し付けられた押付け状態において第1の押付け部材3が人体から受ける圧力が第2の押付け部材4が人体から受ける圧力よりも大きくなるように構成されているが、これに限らず、例えば第1の押付け部材3を第2の押付け部材4よりも高い弾力ないし反発力を有する構成(例えば、シリコン等の軟材質によって突起形状に形成された構成)等とすることにより、無負荷状態における突出高さに拘わらず、筋肉に向けて押し付けられた押付け状態において第1の押付け部材3が人体から受ける反力が第2の押付け部材4が人体から受ける反力よりも大きくなるように構成してもよい。この場合、無負荷状態における第1の押付け部材3の基板2の上面からの突出高さは、無負荷状態における第2の押付け部材4の基板2の上面からの突出高さと同一であってもよく相違していてもよい。
【0075】
さらに、前記実施形態では、一対の第2の押付け部材4に対して1つの第2の反力検出部7のみ設けるようにしているが、これに限らず、より精度よく第2の押付け部材4に加わる反力を検出可能とするために、それぞれの第2の押付け部材4に対応する一対の第2の反力検出部7を設け、これらの第2の反力検出部7の検出値の平均値を第2の押付け部材4に加わる反力として採用する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0076】
1 筋収縮検出センサ
2 基板
2a 段差部
3 第1の押付け部材
3a 内部空間
4 第2の押付け部材
4a 内部空間
5 連結流路
6 第1の反力検出部
6a 圧力検知面
7 第2の反力検出部
7a 圧力検知面
8 電極
10 制御部
11 第1の信号処理回路
12 第1のA/D変換器
13 第2の信号処理回路
14 第2のA/D変換器
15 パルス発生器
16 信号処理回路
17 信号処理回路
18 A/D変換器
FB 反力
FD 反力
FT 和
S パラメータ値
SK 皮膚