(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124746
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】緩まない締結構造
(51)【国際特許分類】
F16B 35/00 20060101AFI20230830BHJP
F16B 39/16 20060101ALI20230830BHJP
F16B 39/282 20060101ALI20230830BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
F16B35/00 T
F16B39/16
F16B39/282 C
F16B7/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022040767
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】514007069
【氏名又は名称】畠山 志郎
(72)【発明者】
【氏名】畠山 志郎
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA01
3J039BB01
3J039GA01
3J039GA12
(57)【要約】
【課題】同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたボルト、棒材やパイプ材を締結また継ぐ際に、構造が簡単で、緩むことがなく再利用可能な締結構造を提供することにある。
【解決手段】波状に形成された締め付け面(2a)を有する右ネジナット(2)と波状に形成された締め付け面(3a)を有する左ネジナット(3)で構成し、前記右ネジナット(2)に対し左ネジナットで締め付け、ナットどうしがかみ合い、ロックされると飛躍的に信頼性の高い締結構造となる。前記と同じ原理で棒材の継ぎ手構造体(
図5)やパイプ材の継ぎ手構造体(
図7)においても、非常に信頼性の高い締結が確立され、また簡単に締結状態を解除する事ができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸上に右ネジと左ネジを交差に形成したボルトを締結する際に用いる、波状に形成された締め付け面(2a)を有する右ネジナット(2)と、波状に形成された締め付け面(3a)を有する左ネジナット(3)で構成されていることを特徴とする締結構造。
【請求項2】
同軸上に右ネジと左ネジを交差に形成した棒材(5)どうしの継ぎ手締結構造であり、上記請求項1に記載の波状に形成された締め付け面(2a)を有する右ネジナット(2)と、波状に形成された締め付け面(6a)、波状に形成された締め付け面(6b)を有し、左雌ネジが形成された継ぎ手材(6)、および波状に形成された締め付け面(2a)を有するもう一つの右ネジナット(2)で構成されていることを特徴とする棒材継ぎ手締結構造。
【請求項3】
同軸上に右ネジと左ネジを交差に形成した棒材(5)どうしの継ぎ手締結構造であり、上記請求項1に記載の波状に形成された締め付け面(3a)を有する左ネジナット(3)と、波状に形成された締め付け面(7a)、波状に形成された締め付け面(7b)を有し、右雌ネジが形成された継ぎ手材(7)、および波状に形成された締め付け面(3a)を有するもう一つの左ネジナット(3)で構成されていることを特徴とする棒材継ぎ手締結構造。
【請求項4】
同軸上に右ネジと左ネジを交差に形成したパイプ材(8)どうしの継ぎ手締結構造であり、前記パイプ材と、上記請求項1に記載の波状に形成された締め付け面(2a)を有する右ネジナット(2)と、波状に形成された締め付け面(9a)、波状に形成された締め付け面(9b)を有し、左雌ネジを形成した継ぎ手材(9)および波状に形成した締め付け面(2a)を有するもう一つの右ネジナット(2)とシール材(11)で構成されていることを特徴とするパイプ材継ぎ手締結構造。
【請求項5】
同軸上に右ネジと左ネジを交差に形成したパイプ材(8)どうしの継ぎ手締結構造であり、上記請求項1に記載の波状に形成した締め付け面(3a)を有する左ネジナット(3)と、波状に形成された締め付け面(10a)、波状に形成された締め付け面(10b)を有し、右雌ネジを形成した継ぎ手材(10)および波状に形成した締め付け面(3a)を有するもう一つの左ネジナット(3)とシール材(11)で構成されていることを特徴とするパイプ材継ぎ手締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたボルト、棒材、パイプ材を締結また、継ぎ手締結する際に用いる締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルトとナットに代表されるこの類の締結構造は、各種車両や航空機産業及び工作機器、各種建造物等において、部材等の締結に広く使用されている。しかし長年これらの締結構造は締結部分が緩む問題があった。
【0003】
一般的にボルト、棒材、パイプ材は締結部分の軸上に一本の右ネジが成形されており、それに対して右ネジナットで締結するが、この締結部分が振動などの原因で緩む問題があった。
【0004】
締結構造の一つに、上記の一般的な締結構造とは異なり、同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたボルトを利用し、右ネジナットと左ネジナットどうしを固定する事によりボルトと二つのナットを締結する方法も古くからある。特許文献1や特許文献2がそれらである。しかしながらこれらの文献にある技術は右回ネジナットと左ネジナットどうしを締結する部分に摩擦を利用するなど、ネジの緩み防止上信頼性に欠ける。
【0005】
特許文献3も上記の同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたボルトを使用し、右回ネジナットと左ネジナットどうしを固定する事による締結構造としているが、その構造が複雑すぎるとか、締結の解除が簡単にできないのどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06-307427号公報(段落番号0004)
【特許文献】
【0007】
【特許文献2】特開2002-106534号公報(段落番号0004)
【特許文献】
【0008】
【特許文献3】特願2009-554410(段落番号0005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたボルト(1)、棒材(5)、パイプ材(8)を締結する際、また継ぎ手締結する際、その締結構造が複雑過ぎず、緩むことがなく、再利用が可能で、さらに締結解除を簡単に行える締結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係わる締結構造は
図1、
図2、
図3および
図4に示された同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたボルト(1)を締結する際に用いる締結構造である。 波状に形成された締め付け面(2a)を有する右ネジナット(2)と波状に形成された締め付け面(3b)を有する左ナットで構成される。
【0011】
本発明に係わる締結構造は
図5及び
図6に示された同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成された棒材(5)を継ぎ手締結する際に用いる継ぎ手の締結構造である。 波状に形成された締め付け面(2a)を有する右ネジナット(2)と波状に形成された締結面(6a)と波状に形成された締結面(6b)を有し、左雌ネジが成形された継ぎ手部材(6)と、もう一つの右ネジナット(2)で構成される。 この締結構造は上記右ネジナット(2)の代わりに左ネジナット(3)二つと、波状に形成された締結面(7a)と波状に形成された締結面(7b)を有し、右雌ネジが成形された継ぎ手部材(7)で構成することも可能である。
【0012】
本発明に係わる締結構造は
図7及び
図8の同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたパイプ材(8)を締結する際に用いる継ぎ手の締結構造である。 波状に形成された締め付け面(2a)を有する右ネジナット(2)と波状に形成された締結面(9a)と波状に形成された締結面(9b)を有し、左雌ネジが成形された継ぎ手部材(9)と、もう一つの右ネジナット(2)及びシール材(11)で構成される。 この締結構造は上記右ネジナット(2)の代わりに左ネジナット(3)を二つと、波状に形成された締結面(10a)と波状に形成された締結面(10b)を有し、右雌ネジが成形された継ぎ手部材(10)およびシール材(11)で構成することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
一般的な同軸上に一本の右ネジが形成されたボルトを使用する場合、振動などの外力が継続的にかかると、ボルトのねじ山とナットのねじ山との間に極僅かであったとしてもずれが生じる。 この僅かなずれが継続的に進行し、ずれの部分が大きくなり締結部分が緩む場合が多い。 本発明においては、
図4に示す様に、同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたボルト(1)上での締結構造であるため、一度右ネジナット(2)と左ネジナット(3)がかみ合いロックされると、振動などの外力により僅かなずれが生じたとしても、右ネジナット(2)と左ネジナット(3)が互いにずれを元に戻す方向に回転しようとし、ずれの更なる進行はない。 波状に形成された締め付け面を持つナットや座金は既存技術として数多く存在するが、本発明の右ネジナット(2)と左ネジナット(3)は従来の同軸上に一本のネジ山が形成されたボルト上で機能するものとは上記の様に構造原理が大きく異なる。 また、構造が複雑過ぎず、特殊な工具を必要とせず簡単に締結作業を行うことができ、締結の解除も容易である。
【0014】
図5及び
図6は同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成された棒材(5)を締結する際に用いる継ぎ手の締結構造である。 この結合構造においても一度継ぎ手部材(6)と二つのナット(2)がかみ合いロックされると緩みが生じる事はない。
【0015】
図7及び
図8は同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたパイプ材(8)を締結する際に用いる継ぎ手の締結構造である。 この結合構造においても一度継ぎ手部材(9)と二つのナット(2)がかみ合いロックされると緩みが生じる事はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】 本発明に係るボルトに右ネジナットで部材を締め付けた時の斜視図である。
【
図2】 右ネジナットと左ネジナットの装着方向を示す斜視図である。
【
図3】 左ネジナットで締め付けた時の斜視図である。
【
図5】 本発明に係る棒材を継ぎ手締結構造を用いて締結した時の斜視図である。
【
図6】 上記
図5の棒材を継ぎ手により締結する際に右雌ネジが形成された継ぎ手部材と左ネジナット二つを用いて締結した時の斜視図である。
【
図7】 本発明に係わるパイプ材を継ぎ手の締結構造を用いて締結した時の斜視図である。
【
図8】 上記
図7のパイプ材を継ぎ手により締結する際に右雌ネジが形成された継ぎ手部材と左ネジナット二つを用いて締結した時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1ないし
図2は本発明に係わるボルトの締結構造の実施例を示す。
図1は被締結材を右ネジナット(2)で締め付け、
図2は左ネジナットの装着方向R2を示す。
図3は左ネジナットの締め付け回転方向R3を示す。
図4が締結完了時点の図である。
【0018】
図5ないし
図6は本発明に係わる棒材(5)の継ぎ手締結構造の実施例を示す。
図5は前記棒材(5)の継ぎ手締結構造のロック完了時の図である。
図6は継ぎ手材に右雌ネジを形成した継ぎ手材を使用し、締め付けナットに左ネジナットを使用した時の締結完了時の図である。
【0019】
図7ないし
図8は本発明に係わるパイプ材(8)の継ぎ手締結構造の実施例を示す。
図7は前記棒材(8)の継ぎ手締結構造のロック完了時の図である。
図8は継ぎ手材に右雌ネジを形成した継ぎ手材を使用し、締め付けナットに左ネジナットを使用した時の締結完了時の図である。
【符号の説明】
【0020】
1 同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたボルト
2 波状に形成された締め付け面(2a)を有する右ネジナット
3 波状に形成された締め付け面(3a)を有する左ネジナット
2a 波状に形成された締め付け面
3a 波状に形成された締め付け面
4 被締結物
5 同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成された棒材
6 左雌ネジが形成された継ぎ手部材
6a 波状に形成された締め付け面
6b 波状に形成された締め付け面
7 右雌ネジが形成された継ぎ手部材
7a 波状に形成された締め付け面
7b 波状に形成された締め付け面
8 同軸上に右ネジと左ネジを交差させて形成されたパイプ材
9 左雌ネジが形成された継ぎ手部材
9a 波状に形成された締め付け面
9b 波状に形成された締め付け面
10 右雌ネジが形成された継ぎ手部材
10a 波状に形成された締め付け面
10b 波状に形成された締め付け面
11 シール材
R1 右回り
R2 左ネジナット装着方向
R3 左回り