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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124748
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20230830BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230830BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230830BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/19
A61K8/73
A61K8/34
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022040769
(22)【出願日】2022-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 美咲
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC712
4C083AD112
4C083AD132
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD281
4C083AD282
4C083BB06
4C083BB07
4C083BB34
4C083CC23
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】洗浄成分としてアシルアミノ酸塩を用いた洗浄剤における、使用時の泡の量、泡のきめ細かさ、泡のもちといった泡の質において各段に優れた効果を発揮する洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】
成分A:アシルアミノ酸塩と、成分B:カオリンおよび/又はベントナイトと、成分C:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸と、成分D:多価アルコールとを含有する洗浄剤組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、下記成分B、下記成分Cおよび下記成分Dを含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
成分A:アシルアミノ酸塩
成分B:カオリンおよび/又はベントナイト
成分C:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸
成分D:多価アルコール
【請求項2】
前記成分Aが、アシルグリシン塩、アシルアラニン塩、アシルアスパラギン酸塩およびアシルグルタミン酸塩から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分Aに対する前記成分Bの含有量の比(成分B/成分A)が、0.5~2.0の範囲を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに、下記成分Eを含有することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の洗浄剤組成物。
成分E:カチオン性ポリマー
【請求項5】
さらに、下記成分Fを含有することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の洗浄剤組成物。
成分F:アミドベタイン型界面活性剤およびイミダゾリン型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種
【請求項6】
さらに、下記成分Gを含有することを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の洗浄剤組成物。
成分G:ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/又はヒドロキシエチルセルロース
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗浄剤組成物では、主な洗浄成分としてアニオン界面活性剤が用いられ、中でも、洗浄効果や起泡性の観点から、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩や、ラウレス硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩が最も汎用されている。しかしながら、これら成分は、洗浄力や泡立ちに優れているものの、肌刺激を感じ易いという欠点や、脱脂効果に優れることから使用後の肌がつっぱるという課題があった。
【0003】
これら種々の問題を解決するために、アニオン界面活性剤の中でもアシルアミノ酸塩を用い、肌刺激を緩和させることでマイルドな使用感を発揮させる洗浄剤組成物が開発されている。しかしながら、アシルアミノ酸塩では、使用時において形成された「泡の量」、「泡のきめ細かさ」、「泡のもち(泡の持続性)」が悪いという課題があり、泡の質や使用感において十分に満足のいく洗浄剤組成物が得られなかった。
【0004】
そこで、使用時の泡の量や泡のきめ細かさを改善する試みとして、アシルアミノ酸塩と、固形状又は半固形状の炭化水素油と、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸とを含有した洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。これら試みにより、使用時の泡の量や泡のきめ細かさをある程度向上させることができるものの、依然として泡のもちが悪く、十分に満足できるものではなかった。
【0005】
また一方で、使用時の泡のきめ細かさ、泡のもちを改善する試みとして、アシル変性澱粉同士が架橋された架橋物と、アミノ酸系界面活性剤および/又は脂肪酸石鹸とを含有した洗浄剤組成物も提案されている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、これら試みによっても、使用時の泡のきめ細かさ、泡のもちをある程度向上させることができる反面、使用時の泡の量が少なく、起泡力において十分に満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-125434号公報
【特許文献2】特開2005-232049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、洗浄成分としてアシルアミノ酸塩を用いた洗浄剤における、使用時の泡の量、泡のきめ細かさ、泡のもちといった泡の質において各段に優れた効果を発揮する洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、下記成分A、下記成分B、下記成分Cおよび下記成分Dを含有することを特徴とする洗浄剤組成物を提供する。
成分A:アシルアミノ酸塩
成分B:カオリンおよび/又はベントナイト
成分C:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸
成分D:多価アルコール
【0009】
上記成分Aが、アシルグリシン塩、アシルアラニン塩、アシルアスパラギン酸塩およびアシルグルタミン酸塩から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0010】
上記成分Aに対する上記成分Bの含有量の比(成分B/成分A)が、0.5~2.0の範囲を満たすことが好ましい。
【0011】
本発明の洗浄剤組成物には、さらに、下記成分Eを含有することが好ましい。
成分E:カチオン性ポリマー
【0012】
本発明の洗浄剤組成物には、さらに、下記成分Fを含有することが好ましい。
成分F:アミドベタイン型界面活性剤およびイミダゾリン型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種
【0013】
本発明の洗浄剤組成物には、さらに、下記成分Gを含有することが好ましい。
成分G:ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/又はヒドロキシエチルセルロース
【発明の効果】
【0014】
本発明の洗浄剤組成物は、必須構成要件を満たすことにより、安定な組成物として調製することができ、かつ、洗浄成分としてアシルアミノ酸塩を用いた従来の洗浄剤組成物に比べて、使用時に形成された「泡の量」、「泡のきめ細かさ」、「泡のもち」といった泡の質において各段に優れた効果を発揮する。また、本発明の洗浄剤組成物は、良質な泡で施術することができることから、使用後、主にタオルドライ後の肌においてつっぱり感がなく良好な感触が得られるという効果も奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物は、成分A:アシルアミノ酸塩と、成分B:カオリンおよび/又はベントナイトと、成分C:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸と、成分D:多価アルコールとを少なくとも含有する。
【0017】
以下に、本発明の洗浄剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0018】
[成分A]
上記成分Aは、アシルアミノ酸塩である。本発明においては、上記成分Aを用いることで、使用時の泡の量、泡のもちに優れた効果を発揮させることができるとともに、施術時および施術後の肌への刺激を緩和させることができるようになる。上記成分Aは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせてもよい。
【0019】
上記成分Aを構成するアシル基としては、所望の効果が付与できるのであれば特に限定されないが、例えば、ヤシ油脂肪酸アシル基、ラウロイル基、ミリストイル基、ステアロイル基、イソステアロイル基、パルミトイル基、硬化牛脂脂肪酸アシル基等が挙げられる。
【0020】
上記成分Aを構成するアミノ酸としては、所望の効果が付与できるのであれば特に限定されないが、例えば、グリシン、グルタミン酸、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジン、アルギニン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸等が挙げられる。
【0021】
上記成分Aを構成する塩としては、所望の効果が付与できるのであれば特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)等が挙げられる。
【0022】
本発明においては、上記アシルアミノ酸塩の中でも、安定な組成物として調製することができる観点、使用時の泡の量、泡のもちに優れた効果を発揮させる観点、並びに刺激緩和の観点から、アシルグリシン塩、アシルアラニン塩、アシルアスパラギン酸塩およびアシルグルタミン酸塩から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0023】
具体的なアシルグリシン塩としては、例えば、ラウロイルグリシンナトリウム、ココイルグリシンカリウム、ココイルグリシンナトリウム、ココイルグリシンTEA等が挙げられる。これら成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記アシルグリシン塩の中でも、上記効果を発揮させる観点から、ココイルグリシンナトリウムを用いることが好ましい。
【0024】
なお、上記アシルグリシン塩は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。本発明において、上記アシルグリシン塩は市販品を用いることができる。ココイルグリシンナトリウムの市販品としては、例えば、商品名「アミライトGCS-12K」(味の素株式会社製)等が挙げられる。
【0025】
具体的なアシルアラニン塩としては、例えば、ココイルアラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン等が挙げられる。これら成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記アシルアラニン塩の中でも、上記効果を発揮させる観点から、ココイルアラニンナトリウムを用いることが好ましい。
【0026】
なお、上記アシルアラニン塩は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。本発明において、上記アシルアラニン塩は市販品を用いることができる。ココイルアラニンナトリウムの市販品としては、例えば、商品名「アミライト ACS-12」(味の素株式会社製)等が挙げられる。
【0027】
具体的なアシルアスパラギン酸塩としては、例えば、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、ココイルアスパラギン酸ナトリウム等が挙げられる。これら成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記アシルアスパラギン酸塩の中でも、上記効果を発揮させる観点から、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0028】
なお、上記アシルアスパラギン酸塩は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。本発明において、上記アシルアスパラギン酸塩は市販品を用いることができる。ラウロイルアスパラギン酸ナトリウムの市販品としては、例えば、商品名「アミノフォーマー FLDS-L」(旭化成ファインケム株式会社製)等が挙げられる。
【0029】
具体的なアシルグルタミン酸塩としては、例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、硬化牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。これら成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記アシルグルタミン酸塩の中でも、上記効果を発揮させる観点から、ココイルグルタミン酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0030】
なお、上記アシルグルタミン酸塩は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。本発明において、上記アシルグルタミン酸塩は市販品を用いることができる。ココイルグルタミン酸ナトリウムの市販品としては、例えば、商品名「アミソフトCS-11」(味の素株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物中の上記成分Aの含有量は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、使用時の泡の量、泡のもちに優れた効果を発揮させ、タオルドライ後の肌への刺激を緩和させる観点から、洗浄剤組成物100質量%中、5質量%~30質量%であることが好ましく、10質量%~20質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Aの含有量は、純分に換算した量である。
【0032】
[成分B]
上記成分Bは、カオリンおよび/又はベントナイトである。本発明においては、上記成分Bを用いることにより、泡の質を高めることができる。より具体的には、使用時の泡の量、泡のきめ細かさ、泡のもちを高めることができる。
【0033】
本発明において上記成分Bは、市販品を用いることもできる。上記成分Bの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。カオリンの具体的な市販品としては、例えば、商品名「カオリンクレーSPMA」(竹原化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、ベントナイトの具体的な市販品としては、例えば、商品名「ベンゲル」(株式会社ホージュン製)等が挙げられる。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物中の上記成分Bの含有量は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、通常、泡の質を高める観点から、洗浄剤組成物100質量%中、5質量%~40質量%であることが好ましく、10質量%~30質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Bの含有量は、純分に換算した量である。
【0035】
なお、本発明の洗浄剤組成物における上記成分Aに対する上記成分Bの含有量の比(成分B/成分A)は、所望の効果を十分に発揮できるのであれば特に限定されないが、泡の質を更に高める観点から、0.1~5.0の範囲を満たすことが好ましく、0.5~2.0の範囲を満たすことがより好ましい。
【0036】
[成分C]
上記成分Cは、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸である。本発明においては、上記成分Cを用いることにより、泡の質をより一層高めることができる。より具体的には、使用時の泡の量、泡のきめ細かさ、泡のもちをより一層高めることができる。
【0037】
本発明において上記成分Cは、市販品を用いることもできる。上記成分Cの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。具体的な市販品としては、例えば、商品名「STRUCTURE XL」(ヌーリオン・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0038】
本発明の洗浄剤組成物中の上記成分Cの含有量は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、通常、泡の質をより一層高める観点から、洗浄剤組成物100質量%中、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Cの含有量は、純分に換算した量である。
【0039】
[成分D]
上記成分Dは、多価アルコールである。本発明においては、上記成分Dを用いることで、泡の質の中でも使用時の泡の量、泡のもちを良好にすることができる。また、タオルドライ後における肌のつっぱり感を低減する効果を発揮させることができる。上記成分Dは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせてもよい。
【0040】
上記成分Dの具体例としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、イソペンチルジオール、1,2-ヘキサンジオール、ジグリセリン、ソルビトール等が挙げられる。これら成分の中でも、使用時の泡の量、泡のもちを良好にし、タオルドライ後における肌のつっぱり感を低減する観点から、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンチレングリコール、イソペンチルジオール、1,2-ヘキサンジオール、ジグリセリンから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールおよびソルビトールから選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
【0041】
本発明において上記成分Dは、市販品を用いることもできる。上記成分Dの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。グリセリンの市販品としては、例えば、商品名「局方濃グリセリン」(花王株式会社製)、ジプロピレングリコールの市販品としては、例えば、商品名「ジプロピレングリコール」(AGC株式会社製)、1,3-ブチレングリコールの市販品としては、例えば、商品名「1,3-ブチレングリコールUK」(株式会社ダイセル製)、ソルビトールの市販品としては、例えば、商品名「ソルビトール 花王」(花王株式会社製)等が挙げられる。
【0042】
本発明の洗浄剤組成物中の上記成分Dの含有量は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、使用時の泡の量、泡のもちを良好にし、タオルドライ後における肌のつっぱり感を低減する観点から、洗浄剤組成物100質量%中、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Dの含有量は、純分に換算した量である。
【0043】
[成分E]
本発明の洗浄剤組成物には、さらに成分Eとしてカチオン性ポリマーを含有させることが好ましい。本発明においては、上記成分Eを用いることで、泡の質の中でも使用時の泡の量、泡のもちをより良好にすることができる。上記成分Eは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせてもよい。
【0044】
本発明においては、上記カチオン性ポリマーの中でも、使用時の泡の量や泡のもちをより良好にする観点から、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7およびポリクオタニウム-10から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0045】
本発明においてポリクオタニウム-39とは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,2014年,p.2786):POLYQUATERNIUM-39で表記される化合物である。
【0046】
本発明においてポリクオタニウム-51とは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,2014年,p.2787~p.2788):POLYQUATERNIUM-51で表記される化合物である。
【0047】
本発明においてポリクオタニウム-6とは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,2014年,p.2779):POLYQUATERNIUM-6で表記される化合物である。
【0048】
本発明においてポリクオタニウム-7とは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,2014年,p.2779):POLYQUATERNIUM-7で表記される化合物である。
【0049】
本発明においてポリクオタニウム-10とは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,2014年,p.2780):POLYQUATERNIUM-10で表記される化合物である。
【0050】
本発明において上記成分Eは、市販品を用いることもできる。上記成分Eの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。ポリクオタニウム-39の市販品としては、例えば、商品名「Merquat 3330 PR Polymer」(日本ルーブリゾール株式会社製)、ポリクオタニウム-51の市販品としては、例えば、商品名「Lipidure-PMB」(日油株式会社製)、ポリクオタニウム-6の市販品としては、例えば、商品名「Merquat 100 Polymer」(日本ルーブリゾール株式会社製)、ポリクオタニウム-7の市販品としては、例えば、商品名「Merquat 550 Polymer」(日本ルーブリゾール株式会社製)、ポリクオタニウム-10の市販品としては、例えば、商品名「カチナール HC-100」(東邦化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0051】
本発明の洗浄剤組成物中の上記成分Eの含有量は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、使用時の泡の量や泡のもちをより良好にする観点から、洗浄剤組成物100質量%中、0.01質量%~1質量%であることが好ましく、0.05質量%~0.5質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Eの含有量は、純分に換算した量である。
【0052】
[成分F]
本発明の洗浄剤組成物には、さらに成分Fとしてアミドベタイン型界面活性剤およびイミダゾリン型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有させることが好ましい。上記成分Fを用いることにより、泡の質の中でも使用時の泡の量をより良好にすることができる。
【0053】
具体的なアミドベタイン型界面活性剤としては、例えば、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、馬油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ババスアミドプロピルベタイン、シア脂アミドプロピルベタイン等が挙げられる。これら成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記アミドベタイン型界面活性剤の中でも、使用時の泡の量をより良好にする観点から、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタインを用いることが好ましい。
【0054】
なお、上記アミドベタイン型界面活性剤は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。本発明において、上記アミドベタイン型界面活性剤は市販品を用いることができる。コカミドプロピルベタインの市販品としては、例えば、商品名「ソフタゾリン CPB-R」(川研ファインケミカル株式会社製)、ラウラミドプロピルベタインの市販品としては、例えば、商品名「アンホレックス LB-2」(ミヨシ油脂株式会社製)等が挙げられる。
【0055】
具体的なイミダゾリン型界面活性剤としては、例えば、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、オリーブアンホ酢酸ナトリウム、カカオ脂アンホ酢酸ナトリウム、パームアンホ酢酸ナトリウム等が挙げられる。これら成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。上記イミダゾリン型界面活性剤の中でも、使用時の泡の量をより良好にする観点から、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0056】
なお、上記イミダゾリン型界面活性剤は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。本発明において、上記イミダゾリン型界面活性剤は市販品を用いることができる。ココアンホ酢酸ナトリウムの市販品としては、例えば、商品名「ソフタゾリン CL-R」(川研ファインケミカル株式会社製)、ラウロアンホ酢酸ナトリウムの市販品としては、例えば、商品名「ソフタゾリン LHL-SF」(川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
【0057】
本発明の洗浄剤組成物中の上記成分Fの含有量は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、使用時の泡の量をより良好にする観点から、洗浄剤組成物100質量%中、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Fの含有量は、純分に換算した量である。
【0058】
なお、本発明の洗浄剤組成物中の上記成分Aと上記成分Fの含有量の合計は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、使用時の泡の量、泡のもちをより良好にする観点から、5質量%~40質量%であることが好ましく、8質量%~30質量%であることがより好ましく、10質量%~25質量%であることが最も好ましい。
【0059】
なお、本発明の洗浄剤組成物における上記成分Fに対する上記成分Aの含有量の比(成分A/成分F)は、所望の効果を十分に発揮できるのであれば特に限定されないが、使用時の泡の量、泡のもちをより一層良好にする観点から、1.0~50.0の範囲を満たすことが好ましく、3.0~40.0の範囲を満たすことがより好ましい。
【0060】
[成分G]
本発明の洗浄剤組成物には、さらに成分Gとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/又はヒドロキシエチルセルロースを含有させることが好ましい。上記成分Gを用いることにより、使用時の泡の量や泡のもちに優れた効果をより一層良好にすることができる。
【0061】
本発明において上記成分Gは、市販品を用いることもできる。上記成分Gの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの市販品としては、例えば、商品名「メトローズ 60SH-06」(信越化学工業株式会社製)およびヒドロキシエチルセルロースの市販品としては、例えば、商品名「SANHEC M」(三晶株式会社製)等が挙げられる。
【0062】
本発明の洗浄剤組成物中の上記成分Gの含有量は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、使用時の泡の量や泡のもちをより一層良好にする観点から、洗浄剤組成物100質量%中、0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.05質量%~0.5質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Gの含有量は、純分に換算した量である。
【0063】
本発明の洗浄剤組成物は、良質な泡を形成させる観点、並びに、過度な脱脂による肌のつっぱり感を低減させる観点から、石けん素地、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム等の脂肪酸石けんを実質的に含有しないことが好ましい。
【0064】
なお、本発明における「実質的に脂肪酸石けんを含有しない」とは、別途、脂肪酸石けんを含有させることをしないという意味であり、各配合成分に含まれる少量の脂肪酸石けんまで除外するものではない。
【0065】
[その他成分]
本発明の洗浄剤組成物には、上記した成分の他に、例えば、上記した成分A以外のアニオン界面活性剤、上記した成分F以外の両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤;シリコーン、油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類等の油剤;上記した成分G以外の水溶性増粘剤;保湿剤、香料、pH調整剤、皮膜形成剤、キレート剤、アルコール、アルカリ剤、ビタミン剤、抗炎症剤、発毛促進剤、収れん剤、酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、着色料、植物抽出エキス、植物発酵エキス、精製水等目的に応じて適宜配合することができる。
【0066】
本発明の洗浄剤組成物は、液状、ジェル状、クリーム状、半固形状等の如何なる性状であっても所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、手の平上で十分に泡立てることで良質な泡を形成させる観点から、クリーム状、半固形状の性状とすることが好ましい。
【0067】
本発明の洗浄剤組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、上記成分を混合し、例えば、ディスパーミキサー、パドルミキサー等の公知の混合装置を用いて混合する方法、若しくはホモミキサー等を用いて乳化させる方法等が挙げられるが、本発明はこれら製造方法にのみ限定されるものではない。
【0068】
本発明の洗浄剤組成物は、化粧料、医薬部外品、指定医薬部外品、医薬品、雑貨等に幅広く用いられる。
【0069】
本発明の洗浄剤組成物の商品形態は、特に限定されないが、チューブ容器、ジャー容器等に充填した商品形態とすることができる。中でも、クリーム状剤型、若しくは半固形状剤型の取り出しに好適なチューブ容器に充填した商品形態にすることが好ましい。また、使用形態としては、洗顔、ボディーソープ、ハンドソープ等として用いることができる。皮脂汚れを除去し、タオルドライ後の肌のつっぱり感のなさを十分に感じることができる洗顔剤として好適に用いることができる。
【実施例0070】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。
【0071】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1~7および比較例1~9の洗浄剤組成物を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果を表1および表2に記す。なお、表中の配合量は、全て純分換算した値である。
【0072】
(試験例1:調製時の状態の評価)
調製直後の状態を目視観察し、以下の評価基準に従って評価した。
【0073】
<状態の評価基準>
○(良好):均一な半固形状の性状を呈している
△(不十分):均一な半固形状の性状を呈しておらず、表面に明らかな液体の離液が認められる
×(不良):分離が認められる
【0074】
上記試験例1の評価において、「○(良好)」の結果が得られた各試料について下記試験に供した。
【0075】
(試験例2:使用感の評価)
各実施例および各比較例で得られた洗浄剤組成物0.5gを手の平に吐出し、一方の手の指先を濡らして手の平上で泡立て、顔に塗布してもらい使用試験を実施した。
顔へ塗布する直前の形成した「泡の量」、「泡のきめ細かさ」、「泡のもち」に関して目視評価を行い、「タオルドライ後の肌のつっぱり感のなさ」に関して官能評価を行い、下記1点~5点の評価点に従ってスコア付けをした。なお、評価は、5名の専門評価員が実施し、各評価員の評価を総合判断して決定した。
【0076】
「泡の量」の評価は、形成された泡の量が多いほど高得点とした。「泡のきめ細かさ」の評価は、形成された泡のきめが細かいほど高得点とした。「泡のもち」の評価は、形成された泡の持続性が良いほど高得点とした。「タオルドライ後の肌のつっぱり感のなさ」の評価は、タオルドライ後の肌へのつっぱり感がないほど高得点とした。
【0077】
下記5段階の評価基準に従って評価した。結果は、専門評価パネルの平均点を算出し、下記判定基準に従って判定を行った。
【0078】
<評価基準>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0079】
<判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
表1から明らかなように、本発明の構成を充足した実施例1~7の洗浄剤組成物では、安定な組成物として調製することができ、使用時に形成させた泡の「量」、「きめ細かさ」、「もち」といった泡の質において各段に優れた効果を発揮していることが分かる。また、本発明の洗浄剤組成物は、良質な泡で施術することができることから、タオルドライ後の肌においてつっぱり感がなく良好な感触が得られていることが分かる。
【0083】
一方、本発明の構成を充足しない比較例の洗浄剤組成物、並びに他の成分へと置き換えた比較例の洗浄剤組成物では、十分に満足のいく結果が得られなかった。これらの結果からも明らかな通り、本発明の洗浄剤組成物は、従来の洗浄剤組成物が抱えていた泡の量、泡のきめ細かさ、泡のもちといった泡の質に関する課題を解決するものであると言える。