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特開2023-124765真空吸着パッド及びそれを有する真空グリッパ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124765
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】真空吸着パッド及びそれを有する真空グリッパ装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20230830BHJP
   B65G 47/91 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B25J15/06 M
B65G47/91 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109419
(22)【出願日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0024853
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521311115
【氏名又は名称】ブイテク カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ホ-ヨン
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707FS01
3C707FT06
3C707FT11
3C707FT17
3F072AA06
3F072KA07
3F072KD03
3F072KD04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸着パッドの耐久性及び対象物品に対する吸着の安定性・効率性を向上することができる真空吸着パッド及びそれを有する真空グリッパ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、真空移送システムに適用される真空吸着パッドに関する。前記吸着パッドは柔軟性隔壁で形成される複数の吸着セルの形態であって、各吸着セルの内部の縦方向の中心部に隔壁の間に間隔をおいて同軸設置されるコイルばねと、前記ばねの下端部に締結される管路型の流路コントール弁を含んでなる。前記吸着パッドは別途に提供される本体と締結されて本発明の真空グリッパ装置を構成するが、このグリッパ装置は本体の一側の排気ポートを介して真空ポンプに連結される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸着セル(21)が柔軟性隔壁(22)を間に挟んで連続して形成されるものであって、前記隔壁(22)の吸着セル(21)の開放側の下端部(22a)が物品の表面に接触する柔軟パッド部(20)と、
各吸着セル(21)内部の縦方向の中心部に、前記隔壁(22)の間に間隔d1をおいて同軸に設置されるコイルばね(30)と、
前記ばね(30)の下端部に締結されるものであって、前記隔壁(22)の間にエア通路d2をおいて吸着セル(21)の内側に配置され、管路(41)の下部が物品の表面に対応する管路型の流路コントール弁(40)と、
を含み、
各セルの内部空間はその上側の排気孔を介して外部と疎通する、ことを特徴とする真空吸着パッド。
【請求項2】
前記パッド部(20)は複数の隔壁(22)で構成される隔壁部(24)の上側に一体に形成されるコア部(25)を含み、
前記吸着セル(21)の排気孔(23)はコア部(25)を通過して延長される、ことを特徴とする請求項1に記載の真空吸着パッド。
【請求項3】
前記コア部(25)の延長孔にはばね(30)の端部を支持するストッパ(26)が設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の真空吸着パッド。
【請求項4】
前記コントロール弁(40)はその端部に形成される吸着用の小型パッド(42)を含んで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の真空吸着パッド。
【請求項5】
前記吸着パッド(10)は、
各隔壁(22)及びコントロール弁(40)を横方向に貫通して形成されるテンションワイヤ(27)を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載の真空吸着パッド。
【請求項6】
前記コントロール弁(40)は、その端部が隔壁(22)の下端部(22a)の内側に位置し、少なくとも前記下端部(22a)から突出されないように構成される、ことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の真空吸着パッド。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の吸着パッド(10)と、前記吸着パッド(10)の上側に締結される本体(60)を含み、
前記本体(60)は、
前記吸着セル(21)の排気孔(23)と疎通するように形成される内側の真空チェンバ(61)と、
前記真空チェンバ(61)と連通して形成される排気ポート(62)と、を有する、ことを特徴とする真空グリッパ装置。
【請求項8】
前記本体(60)は請求項2に記載の前記コア部(25)と締結される、ことを特徴とする請求項7に記載の真空グリッパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空移送システムで対象物品を把持するために使用される真空吸着パッド及び真空グリッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、真空移送システムとは高速の圧縮空気で作動する真空ポンプを利用して「吸着パッド」の内部空気を強制的に排出するが、この際、パッドの内部に発生する真空及び負圧で物品を吸着し把持した後、決められた位置に移送するシステムをいう。この構造において、前記吸着パッドは別途の本体と結合して「グリッパ装置」を構成するが、その本体を介して真空ポンプに連結される。
【0003】
前記パッドは物品の特性によって単一または複数に備えられるが、例えば、物品の表面積が広くて曲形であれば前記本体に小型のパッドをいくつか配列して使用することが普通であり、この方式が大型の単一パッドを使用することに比べ安定的である。しかし、小型のパッドを多数設置すること自体が非常に難しくて不便なだけでなく、設置された各パッドが任意に離れる恐れがある。また、各パッドの間に物品の吸着に関与しない空間が多いため全体的な空間の活用性及び吸着の効率性が落ちる。
【0004】
そこで提案されたのが、特許文献3及び特許文献4に開示のマルチセルタイプの柔軟な吸着パッドである。2つの特許に開示された吸着機能をする多数の吸入セルが柔軟な隔壁を間に挟んで一体に形成されものであり、物品を吸着する際に各セルが負圧によって収縮することを防止するために各セルの内部に挿入された隔壁支持体を含むが、前記隔壁支持体として前者は多孔性材料を、後者はコイルばねを適用している。
【0005】
しかし、ここには:
第一、前記支持体の繰り返しの収縮及び拡張による摩擦のため前記セルの柔軟な隔壁が摩耗、損傷、破損しやすく、
第二、各単位セルの隔壁の下端部で真空漏れが発生する場合に関する技術的認識及び対策が別途に設けられていない
という問題があり、
結果的に、真空移送システムにおける吸着パッドの物品吸着の安定性及び効率性を信頼することができなくなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1019948号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2016-0042508号公報
【特許文献3】韓国登録特許第10-2252435号公報
【特許文献4】韓国登録特許第10-2291521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決しようと提案されたものであって、吸着パッドの耐久性及び対象物品に対する吸着の安定性・効率性を向上することができる真空吸着パッド及びそれを有する真空グリッパ装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吸着パッドは、
複数の吸着セルが柔軟性隔壁を間に挟んで連続して形成されたものであって、前記隔壁のセルの開放側の下端部が物品の表面に接触する柔軟パッド部と、
各セル内部の縦方向の中心部に、前記隔壁の間に間隔をおいて同軸に設置されるコイルばねと、
前記ばねの下端部に締結されるものであって、前記隔壁の間にエア通路をおいて吸着セルの内側に配置され、この際に管路の下部が物品の表面に対応する管路型の流量コントロール弁と、
を含み、
各セルの内部空間はその上側の排気孔を介して外部と疎通することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記パッド部は複数の隔壁で構成される隔壁部の上側に一体に形成されるコア部を含むが、前記吸着セルの排気孔は前記コア部を通過して延長されることを特徴とする。また、前記コア部の延長孔にはばね端部を支持するストッパが設置される。
【0010】
前記コントロール弁は、その端部に形成される吸着小型パッドを含む。
【0011】
本発明の真空グリッパ装置は、
前記吸着パッドとその上に締結される本体を含み、
前記本体は、
各セルの排気孔と疎通するように形成される内側の真空チェンバと、
前記チェンバと連通して形成される排気ポートと、を有する。
【0012】
好ましくは、前記本体は前記コア部と締結される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の真空吸着パッドは、前記吸着セルによって形成される第1吸着とコントロール弁によって形成される第2吸着が二重作用するが、この際、前記セルの隔壁とばねは一定間隔離隔されているため互いに接触及び摩擦しない。よって、吸着パッドの耐久性及び対象物品に対する吸着の安定性・効率性を大きく向上することができる。一方、本発明の真空グリッパ装置は前記吸着パッドと締結される本体を含むが、前記本体は各セルが一括して疎通する真空チェンバを含む。よって、グリッパ装置を全体的にコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明による真空グリッパ装置の斜視図である。
図2図1の断面図である。
図3図2の「A」の部分拡大図である。
図4図2に適用された「ばね」の他の例示図である。
図5図1の底面図である。
図6】本発明による真空グリッパ装置の作用を示す断面図である。
図7図6の「B」の部分拡大図である。
図8図7から変形された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前記記載のまたは不記載の本発明の「真空吸着パッド」(以下、「吸着パッド」)及び「真空グリッパ装置」(以下、「グリッパ装置」)は、以下で添付図面を参照して説明する実施例記載によってより明白になるはずである。図面において、前記吸着パッドは符号10で、前記グリッパ装置は符号50で示されている。
【0016】
図1乃至図5を参照すると、前記吸着パッド10は、柔軟パッド部20と、コイルばね30と、コントロール弁40を含んでなり、本発明のグリッパ装置50は、前記吸着パッド10と本体60と含んでなる。
【0017】
吸着パッド10
本発明の前記吸着パッド10は、有機的に結合される柔軟パッド部20と、その内側のコイルばね30と、コントロール弁40を含んでなる。
【0018】
前記パッド部20は、複数の吸着セル21が柔軟性隔壁22を間に挟んで連続して形成されたものであって、物品を吸着する際に前記隔壁22のセル21の開放側の下端部22aが物品の表面に接触するようになる。前記パッド部20は、隔壁22の柔軟性を提供するシリコン、その他の軟性物質で形成される。この際、前記吸着セル21の断面の形態は、好ましくは、いわゆるハニカム(honeycomb)形態の六角形であるがこれに限らず、三角形乃至五角形、その他の多角形のうちから選択される。ここで「柔軟性」とは、前記隔壁22の変形、収縮、伸長、及び原状への復帰が可能な性質をいう。
【0019】
前記ばね30は、各セル21内部の縦方向の中心部に前記隔壁22の間に間隔d1をおいて同軸に設置されるコイルばねである。前記ばね30は、その下端部に締結されるコントロール弁40が物品の表面の形態によって可変的に対応できるようにする。ここで、前記間隔d1は、隔壁22の柔軟性の程度、吸着セル21の空間の面積、ばね30の弾力性及び外径などの事情を考慮して具体的に設計されるべきである。前記ばね30は、図面のように必要によって部分的にコイルの稠密度を異なるようにしてもよい。
【0020】
前記間隔d1は物品吸着の際にも隔壁22とばね30との間の摩擦が発生しない程度に設計されるが、前記隔壁22の柔軟性による予期せぬ変形によってその摩擦が発生する恐れがある。これを防止するために、図4で参照されるように、実施例によっては通気性ポケット31を備えて、前記ばね30をそのポケット31の内側に配置さてもよい。
【0021】
前記コントロール弁40はコイルばね30の下端部に締結される管路型の流路コントール弁であって、前記隔壁22の間にエア通路d2をおいて吸着セル21の内側に配置されるが、その管路41の下部が物品の表面に対応する。詳しくは、前記コントロール弁40はその端部が少なくとも隔壁22の下端部22aから突出されない。本実施例において、前記コントロール弁40はその端部に形成される吸着用小型パッド42を含んで構成されることを例示しているが、本発明はその形態に限らず、但し、いかなる形態であっても動作前の初期状態でその外径が前記通路d2を塞がないように設計されるべきである。
【0022】
また、前記コントロール弁40が小型パッド42を含む場合でも、前記小型パッド42が隔壁22の下端部22aの内側に位置するようになる。例えば、前記小型パッド42がその下端部22aより長く突出されれば、物品に接触する小型パッド42の姿勢が不安定になる恐れがあるためである。
【0023】
本発明において、各セル21の内部空間はその前記排気孔32を介して外部と疎通するように構成される。また、前記コントロール弁40の管路41はセル21の内部空間に連結された後、排気孔23を介して外部と疎通する。そこで、真空システムが動作する際、各セル21の内部空気及びコントロール弁40を通過した空気が排気孔23を介して外部に排出される。ちなみに、ここで前記流路コントール弁40とは、吸着セル21及び排気孔23側の内側に比べ狭い口径の管路41を構成して流路を調節することで、前記弁40と物品との間に高い真空度を具現するようにしたものをいう。
【0024】
前記パッド部20は、詳しくは、複数の隔壁22で構成される隔壁部24の上側に一体に形成されるコア部25を含み、前記吸着セル21の排気孔23はコア部25を介して延長されるが、この際、前記コア部25の延長孔内にはばね30の上端を支持する管路型のストッパ26が設置される。
【0025】
構造的に、前記ばね30は吸着セル21の内部に配置され、上端と下端がストッパ26及びコントロール弁40に支持及び固定されるが、各セル21の内部で縦方向に収縮・伸長可能に構成される。図5の符号「W」のように、物品の表面が平坦ではなく屈曲が激しい場合は、目的とする吸着が円滑に行われない恐れがある。よって、下端のコントロール弁40の高さ及び姿勢は十分に可変的な必要があり、前記ばね30はこの点を考慮して選択されるべきである。
【0026】
本実施例において、本発明の前記吸着パッド10は、各隔壁22及びコントロール弁40を横方向に貫通して設置されるテンションワイヤ27を更に含む。前記ワイヤ24は、物品の表面の形態によって前記隔壁22及びチューブ30が昇降することに対応して形状が可変しながら所定の圧力を加える。前記ワイヤ27としては、好ましくは、合成繊維ワイヤが適用される。
【0027】
グリッパ装置50
本発明の前記グリッパ装置50は、上述した吸着パッド10とその上部をカバーして締結される本体60を含んでなる。
【0028】
ここで、前記本体60は各セル21の排気孔23が多対一で一括疎通するように形成される内側の真空ポンプ61と、前記チェンバ61と連通して形成される一側の排気ポート62とを有する。つまり、システムが動作する際、各吸着セル21及びコントロール弁40の内部空気は前記排気孔23を経由して真空チェンバ61に吸入され、排気ポート62を介して排出される。よって、グリッパ装置50を全体的にコンパクトに構成することができ、真空移送システムの他の装置、つまり、真空ポンプと簡便に連結することができる。
【0029】
詳しくは、前記本体60はパッド部20の上側に形成されるコア部25と締結される。そのために、前記コア部25は縁から横方向に突出形成される掛け部28を含むが、前記掛け部28の部分が本体とボルトで締結されることで前記グリッパ装置50を構成するようになる。
【0030】
前記グリッパ装置50では、空気の流れからすると、「隔壁22の下端部及びエア通路d2-コントロール弁40-吸着セル21-排気孔23-ストッパ26-真空チェンバ61-排気ポート62」の要素が互いに連通する関係にあるといえる。図面符号63は組立の際に吸着パッド10の上面を加圧して流動を防止するプレートであるが、このプレート63は上述した連通関係を妨げない。
【0031】
吸着
図6及び図7を参照すると、別途に備えられる真空ポンプPが前記グリッパ装置50の排気ポート62に連結されて真空移送システムを構成するが、前記吸着パッド10は各隔壁22の下端部22a及びコントロール弁40の下端部が曲形の物品Wに対応して収縮、変形、及び上昇可能な状態に配置される。この状態で圧縮空気が高速に真空ポンプPを通過する際(矢印(1)を参照)、前記吸着セル21及びコントロール弁40が物品Wに対する吸着力を提供するようになる。
【0032】
まず、前記隔壁22の下端部22aの内側の空気はエア通路d2を通って吸着セル21に到達するが、吸着セル21の内側の空気は上側の排気孔23を通過し(矢印(2)を参照)、次に真空チェンバ61及び排気ポート62を経由して真空ポンプPの内側に導かれて(矢印(4)を参照)、圧縮空気と共に外部に排出される。この過程で吸着セル21の内部に真空及び負圧が発生するが、それによってセル21の隔壁22の下端部22aで物品Wに対する第1吸着が行われる。
【0033】
それと共に、前記コントロール弁40の管路41の内部の空気はセル21の内部を通って排気孔23を通過し(矢印(3)を参照)、次に真空チェンバ61及び排気ポート62を経由して前記真空ポンプP内に導かれて(矢印(4)を参照)、圧縮空気と共に外部に排出される。この過程でコントロール弁40の管理41及び小型パッド42内に真空及び負圧が発生するが、それによって前記管路41の下端部で物品Wに対する第2吸着が行われる。
【0034】
このように、前記第1及び第2吸着が同時に発生し、それによってセル21の内部空間が一時に配置されることで物品の吸着及び端が迅速に行われる。この状態で前記吸着セル21内の真空圧が上昇したら、柔軟性隔壁22が変形されながらエア通路d2が閉まる。
【0035】
図8を参照すると、第1及び第2吸着が行われてセル21の内部に真空及び負圧が十分に生成されたら前記エア通路d2は隔壁22の変形によって閉まるようになるが、この場合も隔壁22の下端部22aの空間で発生した第1吸着はそのまま維持され、また管路42内部の排気(矢印(3)を参照)による第2吸着は依然として行われているため、前記第1及び第2吸着は正常に行われる。よって、前記第1及び第2吸着による物品Wの迅速で完全な吸着が可能になる。
【0036】
もし隔壁22の下端部22aの空間で真空漏れが生じても、前記第2吸着のための管路41の排気(矢印(3)を参照)によってセル21の内部真空度が大きく落ちることはなく、例えば、漏れ量が多くなったら前記通路d2が開けながら更に図7のような排気及び吸着が行われるため、前記第1及び第2吸着は瞬時に正常を回復することができる。
【0037】
このように生成された吸着力で物品Wを把持し、次にロボットアームなどの装置によって物品Wの移送が行われる。そして、その物品Wが決められた位置に移送された後、圧縮空気の供給を中断すると共に全ての吸着力が解除されて物質Wが吸着パッド10から分離され、前記隔壁22及びコントロール弁40は原状及び原位置に復帰して次の作業を準備する。
【0038】
一方、前記吸着及び解除の際に前記ワイヤ27が隔壁22及びコントロール弁40を物品W側に軽く加圧していることで、吸着の際には隔壁22及びコントロール弁40の物品に対する密着力及び吸着力を向上することができ、解除の際には物品Wの分離、隔壁22及びコントロール弁40の原状及び原位置への復帰が迅速に行われるようにすることができる。
【符号の説明】
【0039】
10:吸着パッド 20:パッド部
21:吸着セル 22:隔壁
22a:下端部 23:排気孔
24:隔壁部 25:コア部
26:ストッパ 27:ワイヤ
28:掛け部 30:ばね
40:コントロール弁 41:管路
42:小型パッド 50:グリッパ装置
60:本体 61:真空チェンバ
62:排気ポート 63:プレート
d1:間隔 d2:エア通路
P:真空ポンプ W:物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8