(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124776
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】ポリエステル複合フィルム及びそれを含むホットメルト接着剤ラミネート
(51)【国際特許分類】
C09J 7/35 20180101AFI20230830BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20230830BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20230830BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20230830BHJP
C08G 63/66 20060101ALI20230830BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20230830BHJP
C09J 167/00 20060101ALI20230830BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20230830BHJP
B29C 48/154 20190101ALI20230830BHJP
【FI】
C09J7/35
A41D31/00 502F
A41D31/00 504B
A41D31/02 C
A41D31/04 C
C08G63/66
C08L67/02
C09J167/00
B29C48/08
B29C48/154
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139923
(22)【出願日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】111125360
(32)【優先日】2022-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】63/313,881
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595009383
【氏名又は名称】長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHANG CHUN PLASTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】7F., No.301, Songkiang Rd., Zhongshan Dist Taipei City,Taiwan 104
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲曾▼ 崇豪
(72)【発明者】
【氏名】林 得順
【テーマコード(参考)】
4F207
4J002
4J004
4J029
4J040
【Fターム(参考)】
4F207AA24
4F207AA32
4F207AA45
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4J002CF051
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4J040EF131
4J040JA09
4J040JB01
4J040LA08
4J040MA07
4J040MB02
4J040NA10
4J040PA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来とは異なる材料の耐水フィルム又はホットメルト接着剤フィルムを提供する。
【解決手段】本開示は、第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ(TPEE)フィルム及び第2TPEEフィルムを含み、該第2TPEEフィルムにおける第2TPEE樹脂の融点は該第1TPEEフィルムにおける第1TPEE樹脂の融点より大きく、且つ該第1TPEEフィルムの融解熱と該第2TPEEフィルムの融解熱との両者の絶対差が5J/g~15J/gであるポリエステル複合フィルムを提供する。本開示のポリエステル複合フィルムは良好に織物にホットプレスして貼り合わせられて十分な剥離強度を取得させると共に、貼り合わせた織物が良好な耐水性を取得させることができる。また、上記ポリエステル複合フィルムを含むホットメルト接着剤ラミネートを織物の貼り合わせに応用しても上記の有益な効果を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム及び第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムを含むポリエステル複合フィルムであって、
前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの材料は第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂を含み、前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの材料は第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂を含み、前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点より大きく、且つ前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱と前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱の両者の絶対差が5J/g~15J/gである、ポリエステル複合フィルム。
【請求項2】
前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱が1J/g~10J/gである、請求項1に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項3】
前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱が3J/g~10J/gである、請求項1に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項4】
前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱が5J/g~25J/gである、請求項1に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項5】
前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱が6J/g~25J/gである、請求項4に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項6】
前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点が90℃~164℃である、請求項1に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項7】
前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点が100℃~160℃である、請求項6に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項8】
前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点が165℃~220℃である、請求項1に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項9】
前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂又は前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の比重が1.00~1.15である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項10】
前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂又は前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さが15~45である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項11】
前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さが15~30である、請求項10に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項12】
前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さが25~45である、請求項10に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項13】
前記第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さは前記第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さより大きい、請求項10に記載のポリエステル複合フィルム。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか一項に記載のポリエステル複合フィルム及び離型フィルムを含み、前記ポリエステル複合フィルムの第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムは前記ポリエステル複合フィルムの第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムと前記離型フィルムとの間に挟み込まれる、ホットメルト接着剤ラミネート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高分子複合フィルム及びそれを含むホットメルト接着剤ラミネートに関し、特に、ポリエステル複合フィルム及びそれを含むホットメルト接着剤ラミネートに関する。
【背景技術】
【0002】
時代の変化に応じて、織物に対する消費者の機能的要求も徐々に高まり、耐水機能を有する機能生地は紡績工業の重要な発展課題の一つとなっている。
【0003】
耐水機能生地の耐水効果は耐水圧値(耐水係数とも称する)により評価される。耐水圧値とは、生地表面が水の浸入を発生させずに耐えられる水圧値であり、単位はミリメートル水柱高さ(mmH2O)であり、耐水圧値が高いほど、生地の耐水効果が高いことを表す。一般的に、耐水圧値が1000mmH2O以上に達すると、耐水効果が普通であることを表し、耐水圧値が3000mmH2O以上に達すると、よい耐水効果を有することを表し、耐水圧値が5000mmH2O以上に達すると、良好な耐水効果を有することを表し、この耐水機能生地は小雨から、豪雨までの天気に適用できる。
【0004】
現在、耐水機能生地は耐水フィルムが生地にホットプレスして貼り合わせられて形成されるか、或いはホットメルト接着剤フィルムを2つの生地の縫い代にホットプレスして貼り合わせ、生地の耐水効果を向上させる。従来市販されている耐水フィルム又はホットメルト接着剤フィルムの大部分はポリウレタン(polyurethane、PU)又は熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane,TPU)で製造されてなり、しかしながら、このような材料のフィルム層は生地とホットプレスして貼り合わせるとき、加熱分解の問題が存在し、耐水フィルム又はホットメルト接着剤フィルムが生地から剥離しやすいリスクを有し、生地の耐水効果も劣化する。
【0005】
そのため、現在、異なる材料の耐水フィルム又はホットメルト接着剤フィルムを開発し、従来の技術に存在する欠陥を解決する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑みて、本開示の目的の一つは、従来のポリエステル複合フィルムとは異なり、このポリエステル複合フィルムは良好に織物に貼り合わせることができ、且つ貼り合わせた織物が良好な耐水性を取得させることができるポリエステル複合フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示は、第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ(thermoplastic polyether ester elastomer、TPEE)フィルム及び第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマを含むポリエステル複合フィルムであって、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの材料は第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂を含み、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの材料は第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂を含み、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点より大きく、且つ第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱(enthalpy of fusion、ΔHm)と該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱の両者の絶対差が5ジュール/グラム(J/g)~15J/gであるポリエステル複合フィルムを提供する。
【0008】
第1、第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムを併せて採用し、第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点が第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点より大きく、並びに第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱と第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱の両者の絶対差が5J/g~15J/gになるように制御することで、本開示のポリエステル複合フィルムは、第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムを介して織物に貼り合わせられて良好な剥離強度(peel strength)を取得するだけでなく、その第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムはホットプレスしてからも依然としてそのフィルム層の品質を維持でき、ホットプレス高温の影響を受けて溶融することがないため、貼り合わせた織物が良好な耐水性を取得させることができる。簡単に言えば、本開示のポリエステル複合フィルムは織物の貼り合わせに応用すると同時に、良好な剥離強度と防水性を兼備し、防水機能衣類の開発に適用する。
【0009】
本開示によれば、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱と該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱の両者の絶対差は5J/g、6J/g、7J/g、8J/g、9J/g、10J/g、11J/g、12J/g、13J/g、14J/g、15J/gであってもよい。また、その両者の絶対差は、上記の任意の2つの数値で構成される範囲にあってもよい。一実施態様において、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱と該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱の両者の絶対差は6J/g~15J/gであってもよい。
【0010】
該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱は1J/g、2J/g、3J/g、4J/g、5J/g、6J/g、7J/g、8J/g、9J/g、10J/gであってもよい。また、その融解熱は、上記の任意の2つの数値で構成される範囲にあってもよい。一実施態様において、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱は1J/g~10J/gであってもよい。他の実施態様において、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱は3J/g~10J/gであってもよい。
【0011】
該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱は5J/g、6J/g、7J/g、8J/g、9J/g、10J/g、11J/g、12J/g、13J/g、14J/g、15J/g、16J/g、17J/g、18J/g、19J/g、20J/g、21J/g、22J/g、23J/g、24J/g、25J/gであってもよい。また、その融解熱は、上記の任意の2つの数値で構成される範囲にあってもよい。一実施態様において、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱は5J/g~25J/gであってもよい。他の実施態様において、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムの融解熱は6J/g~25J/gであってもよい。
【0012】
本開示によれば、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムにおける第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムにおける第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂は、テレフタル酸ジメチル(dimethyl terephthalate、DMT)、1,4-ブタンジオール(1,4-butanediol、BDO)、イソフタル酸(m-phthalic acid、IPA)及びポリテトラメチレンエーテルグリコール(poly(tetramethylene ether)glycol、PTMEG)で共重縮合して形成されるが、これに制限されない。例として、工程において、更に1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(1,3,5-trimethyl-2,4,6-tris(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxybenzyl)benzene、AO330)の酸化防止剤又はチタン酸テトラブチル(titanium butoxide,TBT)の触媒を選択して添加して反応に参与させることができる。
【0013】
該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、164℃であってもよい。また、その融点は、上記の任意の2つの数値で構成される範囲にあってもよい。一実施態様において、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は90℃~164℃であってもよい。他の実施態様において、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は100℃~160℃であってもよい。
【0014】
該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点より大きく、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃、205℃、210℃、215℃、220℃であってもよい。また、その融点は、上記の任意の2つの数値で構成される範囲にあってもよい。一実施態様において、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は165℃~220℃であってもよい。他の実施態様において、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点は165℃~210℃であってもよい。
【0015】
該第1又は第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の比重は1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09、1.10、1.11、1.12、1.13、1.14、1.15であってもよい。また、その両者の比重は、それぞれ独立に上記の任意の2つの数値で構成される範囲にあってもよい。一実施態様において、該第1又は第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の比重は、それぞれ独立に1.00~1.15であってもよい。
【0016】
該第1又は第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さ(Shore hardness)は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45であってもよい。また、その両者のショア硬さは、それぞれ独立に上記の任意の2つの数値で構成される範囲にあってもよい。一実施態様において、該第1又は第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さは、それぞれ独立に15~45であってもよい。他の実施態様において、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さは、それぞれ独立に15~30であってもよい。更に他の実施態樣において、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さは、それぞれ独立に25~45であってもよい。また他の実施態樣において、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さは該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂のショア硬さより大きくてもよい。
【0017】
また、本開示の他の目的は、良好に織物と一緒にホットプレスして貼り合わせられて十分な剥離強度を取得させると共に、貼り合わせた織物が良好な耐水性を取得させることができるホットメルト接着剤ラミネートを提供することである。
【0018】
上記の目的を達成するために、本開示は、上記のポリエステル複合フィルム及び離型フィルムを含み、該ポリエステル複合フィルムの第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムは、該ポリエステル複合フィルムの第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムと該離型フィルムとの間に挟み込まれる、ホットメルト接着剤ラミネートをまた提供する。
【0019】
本開示のホットメルト接着剤ラミネートを用いて織物を貼り合わせるとき、ホットメルト接着剤ラミネートの第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムを織物に設置でき、該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムにおける第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点が該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムにおける第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点より低いため、ホットプレス工程を行うとき、第1、第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂の融点の間の温度のみでも第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムを溶融し、良好に織物に貼り合わせることができ、且つこのホットプレス温度は、第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルムのフィルム層の品質を破壊しないため、同時に貼り合わせた織物の耐水効果も確保できる。
【0020】
本開示によれば、該離型フィルムは、例えば、ポリエチレン(polyethylene,PE)離型フィルム、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate,PET)離型フィルム、オリエンテッドポリプロピレンフィルム(oriented polypropylene,OPP)離型フィルムであるが、これに制限されない。
【0021】
本開示に適用可能な織物は特別な制限がなく、一般的なニット布、織布又は不織布のいずれにも適用できる。また、該ホットメルト接着剤ラミネートは織物に大面積にホットプレスして貼り合わられて、1つの耐水織物が形成されるか、或いは該ホットメルト接着剤ラミネートは織物の縫い代に部分的にホットプレスして貼り合わせることもでき、これによって縫製された織物の耐水性を向上させ、縫い代からの水の浸入を避ける。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、ポリエステル複合フィルム及びホットメルト接着剤ラミネートを製造するフロー概略図である。
【
図2】
図2は、ポリエステル複合フィルムの側面概略図である。
【
図3】
図3は、ホットメルト接着剤ラミネートの側面概略図である。
【
図4】
図4は、試験例5におけるホットプレスしたラミネートの側面概略図である。
【
図5】
図5は、試験例6におけるホットプレスしたラミネートの側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、複数の製造例と実施例を挙げて、ポリエステル複合フィルム及びそれを含むホットメルト接着剤ラミネートの実施形態を説明し、同時に複数の比較例を提供して参照し、当業者は以下の実施例及び比較例の内容によって本開示が達成できる利点と効果を容易に理解できる。本明細書に記載された実施例は、本開示の範囲を限定するものではなく、単に本開示の実施形態を例示的に説明するためのものであり、当業者が本開示の内容を実施又は適用するために、通常の知識に基づいて、本開示を要旨を逸脱せずに様々な修飾、変更を行うことができるということが理解されるべきである。
【0024】
<熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂>
【0025】
製造例1:TPEE樹脂粒子
【0026】
先ず、下記表1に示す重量に応じて、テレフタル酸ジメチル(DMT)10キログラム、1,4-ブタンジオール(BDO)10キログラム、イソフタル酸(IPA)3.43キログラム、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG、その数平均分子量が1000であり、下記表1に「PTMEG1000」で示す)22キログラム、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン(AO330)70グラムをそれぞれ秤量し、それらを3キログラムの反応釜中に加え、且つチタン酸テトラブチル(TBT)70gを加える。その後、反応釜のヒータチップの温度を210℃~230℃に設定して、エステル化反応を行う。
【0027】
エステル化反応過程において副生成物のメタノール(MeOH、沸点64.7℃)、水(H2O、沸点100℃)を生じ、220℃~225℃の反応釜においてメタノール及び水が沸騰し、反応釜と連結された凝縮管内に再び凝縮して、凝縮収集槽に収集される。凝縮管の頂部の温度が40℃以下まで下がるとエステル化反応が終了したと見なされ、すぐに重縮合段階に入る。
【0028】
重縮合段階において、反応釜の温度を240℃~250℃まで昇温し、且つ真空ポンプを起動して反応釜の内部圧力を1ミリバール(mbar)以下に到達させ、その後、反応釜の温度と圧力を約200分間維持し、反応釜内の共重合体の溶融指数が15グラム/10分間(g/10min)~20g/10minに到達すると、反応が完了したと見なされ、即ち、釜底弁を回転して開き、後続のストランド造粒工程を行うことができる。ここで、上記溶融係数は、共重合体が190℃、負荷2.16kgのテスト条件下で、10分間内に直径約2.095mmの標準口型を通過する重量を指す。
【0029】
最後に、釜底弁の出口に水中造粒設備を用意し、そのカッタの回転数を2000回転数/分間(rpm)に設定し、ダイヘッド温度を230℃に設定し、造粒水温を10℃に設定し、且つ歯車ポンプの吐出量を50キログラム/時間(kg/hr)に設定して造粒を行い、造粒後に、粒子は直径約3ミリメートル(mm)の円形粒子を形成し、冷却水路内の冷却と結晶化を経た後、更に脱水機によって水分を除去してから生成物(即ち、TPEE樹脂粒子)を得る。
【0030】
製造例2~12:TPEE樹脂粒子
【0031】
製造例2~12のTPEE樹脂粒子の工程は大体製造例1と同じであり、その差異は以下の表1に示すDMT、BDO、IPA、AO300、TBT等の原料の重量、PTMEGの数平均分子量及び重量のみである。
【0032】
ここで、各製造例が選択するポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は僅かに異なる。前述したように、数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコールは下記表1に「PTMEG1000」で示し、数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコールは「PTMEG2000」で示す。
【0033】
上記製造例1~12のTPEE樹脂粒子の理論生成物の重量(Wtheor)下記の計算式によって算出できる。
【数1】
上記式において、
W
theor:理論生成物の重量、
W
DMT:DMT重量、
W
PTMEG:PTMEG重量、
W
IPA:IPA重量、
W
TBT:TBT重量、
W
AO300:AO300重量、
M
DMT:DMT分子量:194g/mol、
M
IPA:IPA分子量:166g/mol、
M
PTMEG:PTMEG分子量、
M
BDO:BDO分子量:90g/mol、
M
MeOH:MeOH分子量:32g/mol、
M
H2O:H
2O分子量:18g/mol。
【0034】
また、PTMEGとIPAの重量割合は下記の計算式によって算出できる。
【数2】
【0035】
上記の計算式により求められた製造例1~12のTPEE樹脂粒子の理論生成物の重量、PTMEGの重量割合及びIPAの重量割合を表1に示す。
【0036】
上記製造例に例示する実施形態以外に、当業者は本開示の精神を逸脱せずに上記工程を調整、修飾、変更し、本開示に適用できるTPEE樹脂粒子を得ることができる。例えば、様々な原料の重量を需要に応じて調整したり、工程において触媒の添加タイミングを需要に応じて調整したりすることができる。例として、重縮合段階で触媒を別途添加して反応の進行を加速させることができ、即ち、触媒の添加タイミングは、最初のエステル化反応段階でのみ添加できるとは限らない。
【0037】
試験例1:融点
【0038】
本試験例は、上記製造例1~12のTPEE樹脂粒子を被測定サンプルとし、被測定サンプル10ミリグラムを取ってアルミニウムトレイ内に置き、且つブランクアルミニウムトレイと一緒に示差走査熱量計(DSC)(メーカ:TA Instrument、型番:Q-2000)に入れ、1分当たり10℃の昇温速度で室温から溶融ピークが現れるまで加熱し、且つ各製造例のTPEE樹脂粒子の融点を記録し、その結果を表1に示す。
【0039】
試験例2:比重
【0040】
本試験例は、上記製造例1~12のTPEE樹脂粒子を被測定サンプルとし、ISO1183の標準方法に準じてその比重を測定する。
【0041】
具体的に、天秤を用いて各被測定サンプルの重量(a、単位:グラム)を空気中で秤量し、小数点第4位まで取る。小さなワイヤを天秤に掛けて一杯になっているビーカ内へ垂直に浸漬し、水中の小さなワイヤの重さをゼロにする。次に、小さなワイヤで被測定サンプルを引っ掛け、天秤に掛けて水が満たされたビーカ内へ垂直に浸漬し、被測定サンプルに付着した気泡を慎重に除去する。水に浸漬したサンプルの重量(b、単位:グラム)を秤量し、小数点第4位まで取る。最後に、a/(a-b)により各被測定サンプルの比重を求める。表1に示すように、製造例1~12のTPEE樹脂粒子の比重が1.00~1.15である。
表1:製造例1~12(PE1~PE12)のTPEE樹脂粒子の製造に採用する原料の重量、理論生成物の重量及びPTMEGとIPAの重量割合
【表1】
表2:製造例1~12のTPEE樹脂粒子の融点、比重及びショア硬さ
【表2】
【0042】
試験例3:ショア硬さ
【0043】
本試験例は、上記製造例1~12のTPEE樹脂粒子を分析対象とし、ISO868の標準方法に準じ、硬さ試験機(メーカ:ドイツBareiss、型番:digi test II)を用いて測定してショア硬さを得る。
【0044】
具体的に、各製造例のTPEE樹脂粒子を射出成形することによって、厚さが少なくとも4ミリメートル以上の試験片を製造する。硬さ試験機を起動し、おもりとプローブが装着されて位置決めされていることを確認し、FUNCページにアクセスしてStd.PVモードを選択する。更に試験片をプラットフォーム上に置き、目標測定点は試験片の境界から少なくとも9ミリメートル以上離れなければならない。スタートボタンを押して測定し、3秒待った後に計器に表示された数値はTPEE樹脂粒子のショア硬さである。上記表1に示すように、製造例1~12のTPEE樹脂粒子のショア硬さは15~45である。
【0045】
<ポリエステル複合フィルム及びホットメルト接着剤ラミネート>
【0046】
図1を参照すると、本開示は、2種類の異なる特性のTPEE樹脂(第1、第2TPEE樹脂)を混合して採用し、2種類の異なる特性のTPEEフィルム(第1、第2TPEE樹脂フィルム)をそれぞれ形成し、2種類のTPEE樹脂の間の融点を制御し、及び2層のTPEEフィルムの間の融解熱の絶対差を制御することにより、所望のポリエステル複合フィルム及びホットメルト接着剤ラミネートを取得する。上記ポリエステル複合フィルム及びホットメルト接着剤ラミネートの実施形態は後述する。
【0047】
実施例1
【0048】
実施例1は、上記製造例1のTPEE樹脂粒子を第1TPEE樹脂として採用し、更に上記製造例6のTPEE樹脂粒子を第2TPEE樹脂として採用し、且つ下記の方法により第1TPEEフィルム及び第2TPEEフィルムを製造して、ポリエステル複合フィルム及びホットメルト接着剤ラミネートを得ることができる。
【0049】
図1に示すように、20キログラム~25キログラムの第2TPEE樹脂(高融点TPEE樹脂粒子)を取って結晶化乾燥タンクに入れ、温度を100℃~120℃に設定して少なくとも4時間~8時間結晶化乾燥して、乾燥空気で高融点TPEE樹脂粒子を計量押出機へ輸送する。押出機の速度を10rpm~50rpmに設定し、押出スクリュの各区域の温度を150℃~230℃に設定し、高融点TPEE樹脂粒子を押出機の加熱温度とスクリュ攪拌剪断摩擦熱によって、高融点TPEE溶融スラリーに溶解し、その後、押出ダイヘッドの各区域の温度を190℃~230℃の保持温度に設定して、押出流延成形する。
【0050】
そのとき、ラミネート機の片側に連続式PET離型フィルムを置き、その離型力は250g~1500gであり、高融点TPEE溶融スラリーが押出ダイヘッドを経て流出した後、離型フィルムは圧力ローラと冷却ローラの間を貫通し、上記圧着区域は金型の下方に位置して高融点TPEE溶融スラリーを受け入れて高融点TPEEフィルムを圧着成形し、この高融点TPEEフィルムは更に1つ~複数の熟成ローラグループを介して延伸し、熟成ローラの温度は5℃~30℃であり、速度は1rpm~10rpmであり、最後に巻き取りローラを介して1rpm~10rpmの速度で離型フィルムとその上の高融点TPEEフィルム(即ち、第2TPEEフィルム)を巻き取って成形する。
【0051】
20キログラム~25キログラムの第1TPEE樹脂(低融点TPEE樹脂粒子)を取って結晶化乾燥タンクに入れ、温度を60℃~120℃に設定して少なくとも4時間~8時間結晶化乾燥して、乾燥空気で低融点TPEE樹脂粒子を計量押出機へ輸送する。押出機の速度を10rpm~50rpmに設定し、押出スクリュの各区域の温度を100℃~210℃に設定し、低融点TPEE樹脂粒子を押出機の加熱温度とスクリュ攪拌剪断摩擦熱によって、低融点TPEE溶融スラリーに溶解し、その後、押出ダイヘッドの各区域の温度を140℃~200℃の維持温度に設定し、押出流延成形する。
【0052】
そのとき、ラミネート機の片側に上記連続式離型フィルム及び高融点TPEEフィルムを置き、低融点TPEE溶融スラリーが押出ダイヘッドを経て流出した後、上記離型フィルム及び高融点TPEEフィルムは圧力ローラと冷却ローラの間を貫通し、この圧着区域は金型の下方に位置して低融点TPEE溶融スラリーを受け入れて低融点TPEEフィルム(即ち、第1TPEEフィルム)を圧着成形し、この低融点TPEEフィルムは更に1つ~複数の熟成ローラグループを介して延伸し、熟成ローラの温度は5℃~30℃であり、速度は1rpm~10rpmであり、最後に巻き取りローラを介して1rpm~10rpmの速度で離型フィルム及び高融点TPEEフィルム、低融点TPEEフィルムを共に巻き取って成形し、離型フィルム上に形成されたポリエステル複合フィルムを取得する。上記離型フィルム及びポリエステル複合フィルムでホットメルト接着剤ラミネートを構成する。
【0053】
図2に示すように、ポリエステル複合フィルム20は、第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム21、及び該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム21に設けられた第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム22を含む。該第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム21の材料は第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂を含み、該第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム22の材料は第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ樹脂を含む。
【0054】
図3に示すように、ホットメルト接着剤ラミネート30は、上記ポリエステル複合フィルム20及び離型フィルム31を含み、上記ポリエステル複合フィルム20は離型フィルム31に設けられ、具体的に、ポリエステル複合フィルム20の第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム22は該ポリエステル複合フィルム20の第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム21と該離型フィルム31との間に挟み込まれる。
【0055】
実施例2~7、比較例1~3
【0056】
実施例2~7、比較例1~3は、大体上記実施例1と同様の方法を採用してポリエステル複合フィルム及びホットメルト接着剤ラミネートを製造し、その差異について、各実施例及び比較例が採用する第1TPEE樹脂及び第2TPEE樹脂の由来及び融点が僅かに異なり、そのデータは表2~表4に示す。
【0057】
前述したように、実施例2~7及び比較例1~3のポリエステル複合フィルムの構造も
図2に示し、実施例2~7及び比較例1~3のホットメルト接着剤ラミネートの構造も
図3に示す。採用する第1、第2TPEE樹脂の由来の僅かな差異により、更に実施例2~7及び比較例1~3と実施例1の差異について後述する。
【0058】
試験例4:融解熱
【0059】
本試験例は、上記実施例1~7及び比較例1~3のポリエステル複合フィルムを分析対象とし、下記方法により、各分析対象を2つの被測定サンプルに分け、更にそれらの融解熱をそれぞれ測定する。
【0060】
先ず、長さ10センチ、幅4センチのポリエステル複合フィルムを取り、25ミリリットルのサンプルボトルにアセトン15ミリリットルを充填し、更に上記特定サイズのポリエステル複合フィルムをサンプルボトルに1日間浸漬し、浸漬されたポリエステル複合フィルムを取り出し、はさみ又はカッターナイフなどの器具を利用してポリエステル複合フィルム中の第1TPEEフィルムと第2TPEEフィルムを分離して、2つの被測定サンプル(第1TPEEフィルム及び第2TPEEフィルム)を得る。
【0061】
次に、被測定サンプル10ミリグラムを取ってアルミニウムトレイ内に置き、且つブランクアルミニウムトレイと一緒に示差走査熱量計(DSC)(メーカ:TA Instrument、型番:Q-2000)に入れ、1分当たり10℃の昇温速度で室温から溶融ピークが現れるまで加熱し、更に1分当たり10℃の降温速度で室温まで冷却し、溶融ピークと溶融開始、終了の2点間を線で囲んだ面積を計算して各被測定サンプルの融解熱を取得し、その結果を表3に示す。各ポリエステル複合フィルムについて分析し、その第1TPEEフィルムの融解熱は下記表3に「△H
1st」で表し、第2TPEEフィルムの融解熱は下記表3に「△H
2nd」で表す。各ポリエステル複合フィルムにおける第1TPEEフィルムの融解熱と該第2TPEEフィルムの融解熱の両者の絶対差は下記表3及び表4に
【数3】
で表す。
【0062】
表3及び表4に示すように、実施例1~7のポリエステル複合フィルムにおける第2TPEE樹脂の融点はいずれも該第1TPEE樹脂の融点より大きく、且つその
【数4】
が5J/g~15J/gである。一方、比較例1~3のポリエステル複合フィルムは、その第2TPEE樹脂の融点が該第1TPEE樹脂の融点より大きいが、
【数5】
はいずれも5J/g~15J/gの範囲を超える。具体的に、比較例1及び比較例3のポリエステル複合フィルムにおける第1、第2TPEEフィルムの両者の融解熱は非常に近接し、その
【数6】
はいずれも5J/gより低い。比較例2のポリエステル複合フィルムにおける第1、第2TPEEフィルムの両者の融解熱は差異が大きすぎ、
【数7】
が15J/gを超える。
【表3】
【0063】
<ポリエステル複合フィルム及びホットメルト接着剤ラミネートの応用>
【0064】
本開示のポリエステル複合フィルム及びホットメルト接着剤ラミネートが織物に貼り合わせられて十分な剥離強度を有するため、良好に織物と貼り合わせることができ、織物に良好な耐水性を具備させる。本開示のポリエステル複合フィルム又はホットメルト接着剤ラミネートの織物への応用効果を確認するために、以下、試験例5及び試験例6により、その剥離強度及び耐水性を評価し、その試験結果を併せて後述する。
【0065】
試験例5:剥離強度
【0066】
本試験例は上記実施例1~7及び比較例1~3のホットメルト接着剤ラミネートを採用し、ホットメルト接着剤ラミネートの離型フィルムを剥離した後に織布に設置し、更に下記のホットプレス、水洗、静置等の処理ステップを経た後に被測定サンプルを得る。その後、ISO2411の標準方法に準じ、引張試験機(メーカ:INSTRON、型番:3345)を用いてポリエステル複合フィルムと織布との間の剥離強度を取得する。各被測定サンプルの詳細な用意方法について後述する。
【0067】
先ず、試験織布9枚を用意し、各織布は、長さが少なくとも200mm、幅が少なくとも75mmであり、その表面にTPU製の耐水フィルムを被覆し、別に、長さが少なくとも200mmのポリエステル複合フィルム(幅制限なし)を取り、それを織布に置き、上記ポリエステル複合フィルムの第1TPEEフィルムは織布上の耐水フィルムに向ける。更に、ホットプレス機の片面ホットプレス温度を175℃とし、ホットプレス圧力を3.0キログラム/平方センチメートル(kg/cm2)とし、ホットプレス機によりポリエステル複合フィルム及び織布を一定時間ホットプレスし続け、ホットプレスしたラミネートを取得する。ここで、上記試験織布9枚のうち、3枚はそれぞれポリエステル複合フィルムと20秒ホットプレスし、他の3枚の試験織布はそれぞれポリエステル複合フィルムと30秒ホットプレスし、また他の3枚の試験織布はそれぞれポリエステル複合フィルムと40秒ホットプレスする。上記ポリエステル複合フィルムに100mm長さを残して織布とホットプレスして貼り合わせ、貼り合わせない末端は引張試験機の治具で挟む。次に、ホットプレスしたラミネートを24時間静置し、ポリエステル複合フィルムを熟成させる。
【0068】
図4に示すように、ホットプレスしたラミネートは、織布41、耐水フィルム42及び上記ポリエステル複合フィルム20を含み、上記耐水フィルム42は織布41に形成され、ポリエステル複合フィルム20は第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム21を介して耐水フィルム42に貼り合わせられ、即ち、第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム21は耐水フィルム42と第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム22との間に挟み込まれる。
【0069】
その後、各ホットプレスしたラミネートをそれぞれ水洗試験機に入れ、標準色落ち布を加えてその全重量を1.8kg±0.1kgに達させ、更に1993AATCC標準洗剤66.0g±1gを加えて18.0ガロン±0.5ガロンの水に溶解し、60℃±3℃の水温、179rpm±2rpmの攪拌速度で12分間水洗し、更に645rpm±15rpmの脱水速度で6分間脱水し、このような方法により、水洗、50回脱水後、24時間静置することを繰り返して被測定サンプルを取得する。
【0070】
最後に、引張試験機の上治具で被測定サンプルの織布端を挟み、下治具で被測定サンプルのポリエステル複合フィルム端を挟み(上、下治具の挟み物は相互に交換できる)、上、下治具の寸法は6インチ*2インチであり、上、下治具の挟み距離は50ミリメートルに設定する。更に引張試験機中の剥離治具の引張走行速度を100ミリメートル/分間(mm/min)±10ミリ/minに設定し、且つ適当な応力荷重範囲を選択し、ポリエステル複合フィルムと織布が剥離するまで定速に引っ張り、剥離時に検出される最大応力値はポリエステル複合フィルムと織布との間の剥離強度であり、単位は重量キログラム/センチメートル(kgf/cm)である。上記の20秒間ホットプレスした3つの被測定サンプルについて測定した剥離強度を平均値とし、その結果を表4に示す。同様に、上記の30秒間ホットプレスした3つの測定サンプルと、上記の40秒間ホットプレスした3つの被測定サンプルの剥離強度をそれぞれ平均値とし、その結果も表4に示す。
【0071】
表4に示すように、ポリエステル複合フィルムは、20秒、30秒或いは40秒のホットプレス時間を経過しても、実施例1~7のポリエステル複合フィルムと織物との間の剥離強度は、いずれも比較例1~3のポリエステル複合フィルムと織物との間の剥離強度より顕著に大きく、実施例1~7のポリエステル複合フィルムが良好に織物と貼り合わせ、予期しない剥離状況の発生を避けることができることを示す。
【0072】
ホットプレス時間が20秒経過すると、実施例1~7のポリエステル複合フィルムと織物との間の剥離強度は0.65kgf/cmを超える。具体的に、実施例1~7のポリエステル複合フィルムと織物との間の剥離強度は0.68kgf/cm~1.50kgf/cmである。ホットプレス時間が30秒経過すると、実施例1~7のポリエステル複合フィルムと織物との間の剥離強度は0.68kgf/cmを超える。具体的に、実施例1~7のポリエステル複合フィルムと織物との間の剥離強度は0.70kgf/cm~1.75kgf/cmである。ホットプレス時間が40秒経過すると、実施例1~7のポリエステル複合フィルムと織物との間の剥離強度は0.72kgf/cmを超える。具体的に、実施例1~7のポリエステル複合フィルムと織物との間の剥離強度は0.85kgf/cm~2.00kgf/cmである。
【0073】
試験例6:耐水性
【0074】
本試験例は上記実施例1~7及び比較例1~3のホットメルト接着剤ラミネートを採用し、ホットメルト接着剤ラミネートの離型フィルムを剥離した後、縫製された2枚の織布に設置し、更に下記のホットプレス、水洗、静置等の処理ステップを経た後に被測定サンプルを得る。その後、ISO811の標準方法に準じ、耐水圧機(メーカ:HEZO、型番:322AD)を用いて、ポリエステル複合フィルムを貼り合わせた織布の耐水圧性を測定する。各被測定サンプルの詳細な用意方法について後述する。
【0075】
先ず、長さ200ミリメートル~225ミリメートル、幅200ミリメートル~225ミリメートルの試験織布2枚を取り、両者を平縫いの方式で当接して縫製し、縫製ラインを折り返してラインを入れ、縫い代を側面視するとき三角形の凸面状況にならないように縫製部分を接触させて平らに貼ることができる。また、上方の織布の表面にTPU製の耐水フィルムを被覆する。
【0076】
その後、ホットメルト接着剤ラミネートの離型フィルムを剥離し、更にポリエステル複合フィルムを2枚の織布の縫い代上に置き、上記ポリエステル複合フィルムの第1TPEEフィルムは織布上の耐水フィルムに向ける。ホットプレス機の片面ホットプレス温度を175℃とし、ホットプレス圧力を3.0kg/cm2とし、ホットプレス機によりポリエステル複合フィルム及び2枚の織布を20秒、30秒又は40秒ホットプレスし続け、ホットプレスしたラミネートを取得する。
【0077】
図5に示すように、本試験例におけるホットプレスしたラミネートは、第1織布51、第2織布52、耐水フィルム53及びポリエステル複合フィルムを含み、上記第1織布51及び第2織布52は縫製により一体に成形される。耐水フィルム53は第1織布51及び第2織布52の上に形成される。ポリエステル複合フィルムは縫い代(図中に点線で示すように)に設けられ、即ち、ポリエステル複合フィルムは第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム21を介して耐水フィルム53に貼り合わせられ、ポリエステル複合フィルムの第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム21は耐水フィルム53と第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム22との間に挟み込まれる。
【0078】
その後、ホットプレスしたラミネートを水洗試験機に入れ、標準色落ち布を加えてその全重量を1.8キログラム±0.1キログラムに達させ、更に1993AATCC標準洗剤66.0グラム±1グラムを加えて18.0ガロン±0.5ガロンの水に溶解し、60℃±3℃の水温、179rpm±2rpmの攪拌速度で12分間水洗し、更に645rpm±15rpmの脱水速度で6分間脱水し、このような方法により、水洗、50回脱水後、24時間静置することを繰り返して被測定サンプルを取得する。
【0079】
最後に、耐水圧機の水柱水圧は100±0.5ミリメートル水柱高さ/分間(mmH2O/min)で増加し、被測定サンプル上にポリエステル複合フィルムが貼り合わせられた領域が静水圧ヘッド(hydrostatic head)の浸水情況を受け、布面の3箇所に水滴が貫通することが発生するまで観察し、増圧を停止し、且つすぐに水圧値、即ちポリエステル複合フィルムの耐水圧値を記録し、その結果は表4に示す。又は、耐水圧機の水柱水圧を固定値に設定し、例えば、静水圧の圧力を5,000mmH2Oと設定して120秒保持し、被測定サンプルにポリエステル複合フィルムが貼り合わせられた領域が静水圧ヘッドの浸水状況を受け、3箇所以下に水滴が漏れると、この設定値をポリエステル複合フィルムの耐水圧値と記録する。
【0080】
表4に示すように、実施例1~7までのポリエステル複合フィルムは20秒、30秒又は40秒のホットプレス時間で織物に付着してもいずれも5,000mmH
2O以上の耐水圧効果に達し、実施例1~7のポリエステル複合フィルムは、いずれも織物に良好な耐水性を具備させ、小雨から、豪雨までの雨水を遮蔽することに適用できることを示す。比較例3のポリエステル複合フィルムは、織物との間に十分な剥離強度が取得できないため、比較例3のポリエステル複合フィルムは、耐水圧テストを行うとき、水重量を支持できないため、耐水圧結果が測定できない。
【表4】
【0081】
実験結果の検討
【0082】
表4に示すように、実施例1~7のポリエステル複合フィルムは、第1、第2TPEEフィルムを採用し、且つポリエステル複合フィルムは、第2TPEE樹脂の融点が第1TPEE樹脂の融点より大きく、及び該第1TPEEフィルムの融解熱と該第2TPEEフィルムの融解熱の両者の絶対差が5J/g~15J/gである技術的特徴を有するため、実施例1~7のポリエステル複合フィルムを採用して織物にホットプレスして貼り合わせると、第1TPEEフィルムを介して織物に貼り合わせられて良好な剥離強度を取得するだけでなく、その上方の第2TPEEフィルムはホットプレスしてからも依然としてそのフィルム層の品質を維持でき、ホットプレス高温の影響を受けて溶融することがないため、貼り合わせた織物が5,000mmH2O以上を超える耐水圧値を確保して、実施例1~7のポリエステル複合フィルムを貼り合わせた織物が良好な耐水性を取得させることができる。
【0083】
一方、比較例1~3を見ると、比較例1及び比較例2のポリエステル複合フィルムが織物にホットプレスして貼り合わせられる剥離強度は、いずれも実施例1~7より低く、ポリエステル複合フィルムが織物上から剥離するリスクが存在しやすい。特に、比較例3のポリエステル複合フィルムが織物にホットプレスして貼り合わせられる剥離強度は、耐水圧テストによって与えられた水重量さえ耐えられなく、比較例3のポリエステル複合フィルムが良好に織物に貼り合わせられて必要な耐水性を提供することができない。
【0084】
また、第2TPEE樹脂の融点が第1TPEE樹脂の融点より大きいため、実施例1~7のポリエステル複合フィルムが第1TPEEフィルムを介して織物にホットプレスして貼り合わせられるとき、比較的低いホットプレス温度(即ち、第1TPEE樹脂の融点と第2TPEE樹脂の融点との間の温度)のみでもポリエステル複合フィルムの第1TPEEフィルムを溶融し、良好に織物に貼り合わせることができ、且つ第2TPEEフィルムはホットプレス高温の影響を受けて溶融することがないため、織物が良好な耐水性を取得させることができる。
【0085】
上述したとおり、第1TPEEフィルム及び第2TPEEフィルムを併せて採用し、且つポリエステル複合フィルムにおける第2TPEE樹脂の融点が第1TPEE樹脂の融点より大きく、並びに第1TPEEフィルムの融解熱と該第2TPEEフィルムの融解熱の両者の絶対差が5J/g~15J/gである等の技術手段を制御することで、本開示のポリエステル複合フィルムは良好に織物にホットプレスして貼り合わせられて十分な剥離強度を取得させると共に、貼り合わせた織物が良好な耐水性を取得させることができる。同様に、上記ポリエステル複合フィルムを含むホットメルト接着剤ラミネートも織物の貼り合わせの用途に適用でき、それと織物との間に十分な剥離強度を取得させると共に、貼り合わせた織物が良好な耐水性を取得させることができる。
【符号の説明】
【0086】
20 ポリエステル複合フィルム
21 第1熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム
22 第2熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマフィルム
30 ホットメルト接着剤ラミネート
31 離型フィルム
41 織布
42 耐水フィルム
51 第1織布
52 第2織布
53 耐水フィルム