(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124777
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20230830BHJP
H05B 3/16 20060101ALI20230830BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
B62D1/06
H05B3/16
G01B7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148967
(22)【出願日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2022028007
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山下 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 匠
(72)【発明者】
【氏名】澤田 剛輝
【テーマコード(参考)】
2F063
3D030
3K092
【Fターム(参考)】
2F063AA49
2F063BA08
2F063BA29
2F063BC02
2F063BD11
2F063DA02
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD02
2F063HA01
2F063HA12
2F063HA18
3D030DA35
3D030DA64
3D030DA69
3D030DB02
3D030DB13
3D030DB81
3K092PP15
3K092QA03
3K092QA05
3K092QB02
3K092QB45
3K092QB76
3K092RF02
3K092RF04
3K092RF14
3K092RF17
3K092RF19
3K092RF22
3K092VV03
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールの外観性を確保しつつ、ステアリングホイールの製造コストの高騰化を抑制することができる電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法を提供する。
【解決手段】電極構造体20は、絶縁体と、絶縁体における芯金11側の面とは反対側の面である第1面21aに配置された、線状の第1電極31とを備える。絶縁体は、芯金11に設けられた被係合部に係合する係合部を有する。そして、芯金11に電極構造体20を係合させた後、発泡体15を成形してステアリングホイール1を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたステアリングホイールの芯金の外周に沿って配置される電極構造体であって、
絶縁体と、
前記絶縁体における前記芯金側の面とは反対側の面である第1面に配置された、線状の第1電極とを備え、
前記絶縁体は、前記芯金に係合する係合部を有する、
電極構造体。
【請求項2】
前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極、および、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線を兼用する、
請求項1に記載の電極構造体。
【請求項3】
前記第1電極は、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線である、
請求項1に記載の電極構造体。
【請求項4】
前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極である、
請求項1に記載の電極構造体。
【請求項5】
前記絶縁体の前記第1面とは反対側の面である第2面に配置された第2電極を備える、
請求項2に記載の電極構造体。
【請求項6】
前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、
前記第1電極は、前記絶縁体の前記第1面の形状に沿って形成され、
前記第2電極は、前記絶縁体の前記第2面の形状に沿って形成されている、
請求項5に記載の電極構造体。
【請求項7】
前記絶縁体は、第1絶縁体および第2絶縁体を含み、
前記第1絶縁体には、前記第1面と、前記第2面とが形成され、
前記第1電極は、前記第1絶縁体の前記第1面に配置され、
前記第2電極は、前記第1絶縁体の前記第1面とは反対側の面である前記第2面に配置され、
前記第2絶縁体は、
前記第2電極と前記芯金との間に配置され、
前記芯金に係合する前記係合部を有する、
請求項5に記載の電極構造体。
【請求項8】
前記第1絶縁体、前記第2絶縁体、前記第1電極、および、前記第2電極は、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、少なくとも前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールの内周側までの範囲に配置される、
請求項7に記載の電極構造体。
【請求項9】
前記第1絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第2絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第1電極は、金属メッキ、または、金属薄膜を含む構成であり、
前記第2電極は、金属メッキ、金属薄膜、金属シート、または、金属板を含む構成である、
請求項7に記載の電極構造体。
【請求項10】
前記第1絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第2絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第1電極は、樹脂シートと、導線とを有し、
前記導線は、前記樹脂シートの前記第1面側の面とは反対側の面に配置され、縫製糸で縫い付けられ、
前記第2電極は、金属メッキ、金属薄膜、金属シート、または、金属板を含む構成である、
請求項7に記載の電極構造体。
【請求項11】
前記第1絶縁体は、第1位置決め部を有し、
前記第2絶縁体は、前記第1位置決め部と噛み合わさる第2位置決め部を有する、
請求項7に記載の電極構造体。
【請求項12】
車両に設けられたステアリングホイールの芯金の外周に沿って配置される電極構造体であって、
第1絶縁体と、
前記第1絶縁体における前記芯金側の面とは反対側の面である第1面に配置された樹脂シートと、
前記樹脂シートの一方面に配置された線状の第1電極と、
前記第1面側の面であり、前記樹脂シートの前記一方面の裏面である他方面に配置された第2電極とを備え、
前記第1絶縁体は、前記芯金に係合する係合部を有し、
前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極、および、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線を兼用する、
電極構造体。
【請求項13】
前記第1電極を前記センサ電極として使用する場合と、前記第1電極を前記ヒータ線として使用する場合とは、排他的に使用される、
請求項2に記載の電極構造体。
【請求項14】
前記第1電極が前記センサ電極として使用される場合、前記第1電極には、前記第2電極に印加される交流電圧と同位相の交流電圧が印加される、
請求項5~12の何れか1項に記載の電極構造体。
【請求項15】
前記係合部は、前記芯金に設けられた被係合部に係合される、
請求項1~12の何れか1項に記載の電極構造体。
【請求項16】
請求項1~12の何れか1項に記載の電極構造体と、
前記芯金と、
前記芯金を覆う発泡体とを備える、
ステアリングホイール。
【請求項17】
請求項16に記載のステアリングホイールの前記電極構造体が有する前記係合部を、前記芯金に設けられた被係合部に係合させ、
前記係合部を前記被係合部に係合させた状態で、前記発泡体を用いて前記芯金を覆う、
ステアリングホイールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切削工具を用いてステアリングホイールの発泡体に切れ込みを入れ、切れ込みの第1の層および第2の層のそれぞれにセンサの導電体を導入する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ステアリングホイールの発泡体に切れ込みがなされるため、外観性に改善の余地があった。また、切れ込み作業およびセンサの導電体を導入するための工数が増加してしまう。また、ステアリングホイールにヒータ機能を搭載する場合、ヒータ線をさらにステアリングホイールに設けることになる。これらのため、ステアリングホイールの製造コストに改善の余地があった。
【0005】
そこで、本開示は、ステアリングホイールの外観性を確保しつつ、ステアリングホイールの製造コストの高騰化を抑制することができる電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電極構造体は、車両に設けられたステアリングホイールの芯金の外周に沿って配置される電極構造体であって、絶縁体と、前記絶縁体における前記芯金側の面とは反対側の面である第1面に配置された、線状の第1電極とを備え、前記絶縁体は、前記芯金に係合する係合部を有する。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な側面は、システム、装置、方法、記録媒体、または、コンピュータプログラムで実現されてもよく、システム、装置、方法、記録媒体、および、コンピュータプログラムの任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電極構造体等は、ステアリングホイールの外観性を確保しつつ、ステアリングホイールの製造コストの高騰化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態におけるステアリングホイールが配置された車両の車室を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態のステアリングホイールを示す斜視図、
図2の一点鎖線における芯金の断面図、および、電極構造体を示す部分拡大図である。
【
図3】
図3は、
図2のA-A線におけるステアリングホイールの第1被係合部および第1係合部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態におけるステアリングホイールの第1被係合部、第2被係合部および第2係合部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4のB-B線におけるステアリングホイールの第2被係合部および第2係合部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態におけるステアリングホイールを示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施の形態のステアリングホイールの製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例1のステアリングホイールを示す斜視図および芯金の断面図である。
【
図10】
図10は、
図9のC-C線におけるステアリングホイールの第1被係合部および第1係合部を示す断面図である。
【
図11】
図11は、ステアリングホイールの第2被係合部および第2係合部を示す断面図である。
【
図12】
図12は、ステアリングホイールの第1被係合部および第1係合部を示す断面図である。
【
図13】
図13は、ステアリングホイールの第2被係合部および第2係合部を示す断面図である。
【
図14】
図14は、ステアリングホイールの第1被係合部および第1係合部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様に係る電極構造体は、車両に設けられたステアリングホイールの芯金の外周に沿って配置される電極構造体であって、絶縁体と、前記絶縁体における前記芯金側の面とは反対側の面である第1面に配置された、線状の第1電極とを備え、前記絶縁体は、前記芯金に係合する係合部を有する。
【0011】
これによれば、電極構造体を予め芯金に取り付けることができる。これにより、ステアリングホイールを形成する際に電極構造体をステアリングホイールの内部に配置することができる。このため、従来技術のように、ステアリングホイールを形成してから、ステアリングホイールに切り込みを入れて第1電極を配置する必要もない。
【0012】
したがって、電極構造体は、ステアリングホイールの外観性を確保しつつ、製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0013】
また、本開示の一態様に係る電極構造体において、前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極、および、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線を兼用する。
【0014】
これによれば、第1電極はセンサ電極とヒータ線とを兼用することができるため、ステアリングホイールに別途ヒータ線を設けなくてもよい。このため、電極構造体を適用するステアリングホイールの製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0015】
また、本開示の一態様に係る電極構造体において、前記第1電極は、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線である。
【0016】
これによれば、芯金に取り付けられる電極構造体が備える線状の第1電極により、ステアリングホイールを温めることができる。
【0017】
また、本開示の一態様に係る電極構造体において、前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極である。
【0018】
これによれば、芯金に取り付けられる電極構造体が備える線状の第1電極により、ステアリングホイールへの把持を検出することができる。
【0019】
また、本開示の一態様に係る電極構造体は、前記絶縁体の前記第1面とは反対側の面である第2面に配置された第2電極を備える。
【0020】
これによれば、第2電極を備える電極構造体を予め芯金に取り付けることができる。これにより、ステアリングホイールを形成する際に電極構造体をステアリングホイールの内部に配置することができる。このため、従来技術のように、ステアリングホイールを形成してから、ステアリングホイールに切り込みを入れて第2電極を配置する必要もない。
【0021】
また、本開示の一態様に係る電極構造体は、車両に設けられたステアリングホイールの芯金の外周に沿って配置される電極構造体であって、第1絶縁体と、前記第1絶縁体における前記芯金側の面とは反対側の面である第1面に配置された樹脂シートと、前記樹脂シートの一方面に配置された線状の第1電極と、前記第1面側の面であり、前記樹脂シートの前記一方面の裏面である他方面に配置された第2電極とを備え、前記第1絶縁体は、前記芯金に係合する係合部を有し、前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極、および、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線を兼用する。
【0022】
これによれば、1枚の樹脂シートの一方面に第1電極を配置し、他方面に第2電極を配置することができる。このため、第1電極と第2電極のそれぞれに樹脂シートを用いる場合に比べて、本開示の電極構造体の方が部品点数の増加を抑制することで、製造コストの高騰化を抑制することができる。また、この電極構造体においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0023】
また、本開示の一態様に係るステアリングホイールは、電極構造体と、前記芯金と、前記芯金を覆う発泡体とを備える。
【0024】
このようなステアリングホイールにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0025】
また、本開示の一態様に係るステアリングホイールの製造方法は、ステアリングホイールの前記電極構造体が有する前記係合部を、前記芯金に設けられた被係合部に係合させ、前記係合部を前記被係合部に係合させた状態で、前記発泡体を用いて前記芯金を覆う。
【0026】
これによれば、係合部を芯金の被係合部に係合することで、電極構造体と芯金とを強固に締結することができる。このため、ステアリングホイールの樹脂成型時の圧力によって、絶縁体が芯金に対して位置ズレしたり、ステアリングホイールの周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。このステアリングホイールの製造方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0027】
また、電極構造体において、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、前記第1電極は、前記絶縁体の前記第1面の形状に沿って形成され、前記第2電極は、前記絶縁体の前記第2面の形状に沿って形成されている。
【0028】
これによれば、第1電極と第2電極との間隔を均一にすることができるため、電極構造体が設置されている領域においては運転者が手でステアリングホイールのどの部分を把持しても精度よく検出することができる。
【0029】
また、電極構造体において、前記絶縁体は、第1絶縁体および第2絶縁体を含み、前記第1絶縁体には、前記第1面と、前記第2面とが形成され、前記第1電極は、前記第1絶縁体の前記第1面に配置され、前記第2電極は、前記第1絶縁体の前記第1面とは反対側の面である前記第2面に配置され、前記第2絶縁体は、前記第2電極と前記芯金との間に配置され、前記芯金に係合する前記係合部を有する。
【0030】
これによれば、第2絶縁体が第2電極を芯金から離間した状態で配置することができ、第1絶縁体が第1電極を第2電極および芯金から離間した状態で配置することができる。また、第1絶縁体に第1電極および第2電極を配置することができるため、第1絶縁体、第1電極および第2電極が一体化された部材を芯金に容易に組付けることができる。
【0031】
また、電極構造体において、前記第1絶縁体、前記第2絶縁体、前記第1電極、および、前記第2電極は、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、少なくとも前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールの内周側までの範囲に配置される。
【0032】
これによれば、運転者の手がステアリングホイールを把持した場合、運転者の手がステアリングホイールの表面に接触し易い個所に電極構造体を配置することができる。このため、運転者の手によるステアリングホイールの把持を検出することができる。
【0033】
また、電極構造体において、前記第1絶縁体は、樹脂材料で構成され、前記第2絶縁体は、樹脂材料で構成され、前記第1電極は、金属メッキ、または、金属薄膜を含む構成であり、前記第2電極は、金属メッキ、金属薄膜、金属シート、または、金属板を含む構成である。
【0034】
これによれば、第1絶縁体に第1電極および第2電極を配置することができるため、第1絶縁体、第2絶縁体、第1電極および第2電極が一体化された部材を芯金に容易に組付けることができる。さらに、第1絶縁体および第2電極と芯金との間に第2絶縁体を配置するため、第2絶縁体は、芯金から離間した状態で第1電極を配置させることができる。
【0035】
また、電極構造体において、前記第1絶縁体は、樹脂材料で構成され、前記第2絶縁体は、樹脂材料で構成され、前記第1電極は、樹脂シートと、導線とを有し、前記導線は、前記樹脂シートの前記第1面側の面とは反対側の面に配置され、縫製糸で縫い付けられ、前記第2電極は、金属メッキ、金属薄膜、金属シート、または、金属板を含む構成である。
【0036】
これによれば、第1電極を第1絶縁体の第1面に配置し、第2電極を第1絶縁体の第2面に配置する場合、樹脂シートは縫製糸で導線を縫い付けることができる程度の柔らかい素材であるため、第1面および第2面の形状に沿ってフォーミング加工をしなくても、容易に第1絶縁体の形状に追従するように第1電極および第2電極を配置することができる。このため、第1電極を第1絶縁体の第1面および第2電極を第1絶縁体の第2面に配置するときの工数の増加を抑制することができる。
【0037】
また、電極構造体において、前記第1絶縁体は、第1位置決め部を有し、前記第2絶縁体は、前記第1位置決め部と噛み合わさる第2位置決め部を有する。
【0038】
これによれば、第1絶縁体を第2絶縁体に組付ける際に、第1位置決め部と第2位置決め部とを噛み合わすことができる。これにより、第1絶縁体と第2絶縁体との位置合わせをすることができるため、第1絶縁体と第2絶縁体との周方向のズレの発生を抑制でき、組付けを容易かつ適切にすることができる。
【0039】
また、電極構造体において、前記第1電極を前記センサ電極として使用する場合と、前記第1電極を前記ヒータ線として使用する場合とは、排他的に使用される。
【0040】
これによれば、例えば、寒冷地において車両を運転する場合には、ヒータ機能をオンにして第1電極(ヒータ線)に電力を供給することでステアリングホイールを温めることができるだけでなく、運転者がステアリングホイールを把持しているか否かを検知することができる。
【0041】
また、電極構造体において、前記第1電極が前記センサ電極として使用される場合、前記第1電極には、前記第2電極に印加される交流電圧と同位相の交流電圧が印加される。
【0042】
これによれば、第1電極がセンサ電極として使用される場合、第1電極と芯金との間に形成される静電容量を打ち消す、または、小さくすることができる。このため、運転者の手によるステアリングホイールの把持を検出する制御回路を用いれば、制御回路は、この手がステアリングホイールを把持した際に生じる、第1電極と運転者の手との間に形成される静電容量を精度よく検出することができるようになる。
【0043】
また、電極構造体において、前記係合部は、前記芯金に設けられた被係合部に係合される。
【0044】
これによれば、被係合部と係合部とが係合することで、第1電極および絶縁体の距離の確保と姿勢の維持との両立を図ることができる。このため、ステアリングホイールの樹脂成型時において、電極構造体をステアリングホイールに組み込むことができる。
【0045】
また、被係合部と係合部とが係合するだけで、第1絶縁体が第1電極および第2電極を芯金から離間した状態で配置することができ、第1絶縁体および第1電極が一体化された部材を芯金に容易に組付けることができる。
【0046】
また、被係合部と係合部とが係合することで、電極構造体を芯金に強固に締結することができる。このため、ステアリングホイールの樹脂成型時の圧力によって、絶縁体が芯金に対して位置ズレしたり、ステアリングホイールの周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。その結果、ステアリングホイールの製造に関する工数の増加を抑制でき、製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0047】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0048】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0049】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0050】
また、以下の実施の形態において、略等間隔またはT字状等の表現を用いている。例えば、略等間隔またはT字状は、完全に等間隔またはT字であることを意味するだけでなく、実質的に等間隔またはT字である、すなわち数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略等間隔またはT字状は、本開示による効果を奏し得る範囲において等間隔またはT字という意味である。他の「略」、「状」を用いた表現についても同様である。
【0051】
(実施の形態)
<構成>
まず、ステアリングホイール1の構成について
図1~
図7Bを用いて説明する。
【0052】
図1は、実施の形態におけるステアリングホイール1が配置された車両3の車室を示す図である。
図2は、実施の形態のステアリングホイール1を示す斜視図、
図2の一点鎖線における芯金11の断面図、および、電極構造体20を示す部分拡大図である。
図2の第1絶縁体21の第1位置決め部21tと第2絶縁体22の第2位置決め部22tとを示す部分拡大図では、ハーネス8a、8b、8cの図示を省略している。
図3は、
図2のA-A線におけるステアリングホイール1の第1被係合部11c1および第1係合部23aを示す断面図である。
図4は、実施の形態におけるステアリングホイール1の第1被係合部11c1、第2被係合部11c2および第2係合部23bを示す斜視図である。
図5は、
図4のB-B線におけるステアリングホイール1の第2被係合部11c2および第2係合部23bを示す断面図である。
図6は、実施の形態におけるステアリングホイール1を示すブロック図である。
図7Aは、第1電極31を示す平面図である。
図7Bは、別の第1電極31を示す平面図である。
【0053】
図1および
図2に示すように、ステアリングホイール1は、例えば車両3の操舵輪に対して操舵角を与えることができる。
【0054】
ステアリングホイール1は、リム10を有する。リム10は、リム10の内周面に配置されたT字状のスポーク9と一体的に形成されている。
【0055】
リム10は、芯金11と、電極構造体20と、電極構造体20を覆う発泡体15とを備える。
【0056】
[芯金11]
芯金11は、
図2および
図3に示すように、金属製の円環状の芯である。具体的には、芯金11は、円環状の第1部11aと、第1部11aの内周側に配置された円環状の第2部11bと、第1部11aと第2部11bとを連結する湾曲状の湾曲部11cとを有する。第1部11aの一端縁は湾曲部11cの一端縁に連結され、第2部11bの一端縁は湾曲部11cの他端縁に連結されている。つまり、湾曲部11cは、芯金11の周方向と垂直な平面で芯金11を切断した場合の断面(以下、芯金11の断面ということがある。)において第1部11aと第2部11bとの間に配置される。このような芯金11の断面は、U字状、V字状、J字状、C字状等の形状である。
図2では、芯金11の断面がU字状の場合を例示している。また、本実施の形態では、芯金11の断面において、第1部11aおよび第2部11bは、直線状である。
【0057】
また、芯金11の断面がU字状、V字状、J字状、C字状等の形状であるため、第1部11a、第2部11bおよび湾曲部11cによって、芯金11には凹部10aが形成されている。凹部10aは、円環状をなした凹溝である。本実施の形態では、凹部10aの開口は、リム10における車両3の前方側(リム10に対する座席側とは反対側)に形成されている。
【0058】
図3および
図4に示すように、凹部10aには、第1被係合部11c1と、第2被係合部11c2とが形成されている。
【0059】
第1被係合部11c1は、凹部10a側である湾曲部11cの裏面に形成され、当該裏面から立設する円筒状または円管状の突部である。第1被係合部11c1の内部には、ネジ等の締結部材19および第2絶縁体22の第1係合部23aを挿入可能な挿入孔11dが形成されている。第1被係合部11c1の底部、言い換えれば第1被係合部11c1の先端には、締結部材19を挿入可能なネジ孔11d1が形成されている。第1被係合部11c1は、被係合部に含まれている。
【0060】
図4および
図5に示すように、第2被係合部11c2は、凹部10aに形成された挿通孔11c3および立壁11c4で構成される。挿通孔11c3の内部には、第2絶縁体22の第2係合部23bが挿入されている。立壁11c4は、凹部10a側である湾曲部11cの裏面に形成され、当該裏面から立設する板状の突部である。立壁11c4は、挿通孔11c3に挿入された第2係合部23bと係合可能である。第2被係合部11c2は、被係合部に含まれている。
【0061】
[電極構造体20]
図1および
図2に示すように、電極構造体20は、運転者の手によるステアリングホイール1の把持を検出する装置に用いられる。具体的には、電極構造体20は、ステアリングホイール1の把持を検出しやすいように、車両3に設けられたステアリングホイール1における芯金11の外周に沿って配置されている。より具体的には、電極構造体20は、芯金11の第1部11aから湾曲部11cを経由して第2部11bに亘って覆う、つまり芯金11の外周側から内周側に亘って覆うように、芯金11に設けられている。つまり、複数の電極構造体20は、芯金11の凹部10aを除いて、芯金11を覆うように芯金11に設けられている。
【0062】
電極構造体20には、運転者の手によってステアリングホイール1の把持を検出することが可能な
図1の制御回路40が電気的に接続されている。運転者の手によってリム10が把持されると、電極構造体20の電極とその手との間の静電容量が変化する。制御回路40は、電極構造体20の電極から、静電容量が変化した出力信号に基づいて把持を検出する。具体的には、制御回路40は、その電極の静電容量、または、その静電容量に応じた値(変化量)を計測し、その値に基づいて、運転者の手によるリム10の把持を検出する。このような、制御回路40は、専用回路または汎用プロセッサで構成されている。
【0063】
また、電極構造体20は、車両3に設けられたステアリングホイール1に配置されている。本実施の形態では、電極構造体20は、ステアリングホイール1のリム10に埋設されている。また、
図1等では、電極構造体20がリム10の左右にそれぞれ設けられている場合を例示している。なお、
図1等では、リム10に一対の電極構造体20が設けられている場合を例示しているが、これには限定されない。例えば、電極構造体20は、3つ以上がリム10に設けられてもよく、1つがリム10に設けられてもよい。また、電極構造体20は、円環状のリム10の全周に亘って設けられてもよい。
【0064】
図2および
図3に示すように、電極構造体20は、第1絶縁体21と、第2絶縁体22と、第1電極31と、第2電極32とを備える。
【0065】
第1絶縁体21は、ステアリングホイール1におけるリム10の周方向と垂直な平面でリム10を切断した場合の断面(以下、リム10の断面ということがある。)において、芯金11の外周側の面から内周側の面に沿って配置されている。ここで、芯金11の内周側の面とは、スポーク9が配置された側の面であり、芯金11の外周側の面とは芯金11の内周側の面とは反対側の面である。
【0066】
また、第1絶縁体21は、芯金11側とは反対側の面である第1面21aと、芯金11側の第2面21bとを有する。
【0067】
第1面21aには第1電極31が配置され、第2面21bには第2電極32が配置されている。言い換えれば、第1絶縁体21は、第1電極31と第2電極32とで挟まれている。このような、第1絶縁体21は、第1電極31と第2電極32とを離間させ、かつ、第1電極31と第2電極32とが重なる状態に配置することができる。つまり、第1絶縁体21は、第1電極31と第2電極32とが電気的に接続されないように第1電極31と第2電極32とを配置することができる。
【0068】
また、第1絶縁体21は、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等の硬質プラスチック等の樹脂材料で構成されている。
【0069】
また、第1絶縁体21は、一定の板厚が確保されている。一定の板厚とは、例えば、第1絶縁体21の厚みが数mm程度の厚みである。第1絶縁体21が一定の板厚を確保しているため、剛性が確保される。
【0070】
また、第1絶縁体21および第2電極32は、第2絶縁体22に支持されることで、芯金11に対して所定距離だけ離間した状態で配置されている。言い換えると、第1絶縁体21と第2絶縁体22との間に配置された第2電極32は、第2絶縁体22によって芯金11に対して所定距離だけ離間した状態で配置される。
【0071】
第2絶縁体22は、第2電極32と芯金11との間に配置されている。第2絶縁体22は、第1電極31、第1絶縁体21および第2電極32と重なり合い、第1電極31、第1絶縁体21および第2電極32に覆われている。また、第2絶縁体22は、芯金11の表面に接触した状態で、芯金11の表面に沿って配置されている。つまり、第2絶縁体22は、第2電極32と芯金11とが電気的に接続されないように第2電極32と芯金11との間を絶縁できる。
【0072】
また、第1絶縁体21および第2絶縁体22は、絶縁体と総称することがある。また、第1絶縁体21および第2絶縁体22は、絶縁体に含まれている。
【0073】
また、第2絶縁体22は、
図3、
図4および
図5に示すように、リム10の断面において、芯金11に設けられた第1被係合部11c1に係合する第1係合部23a、および、第2被係合部11c2に係合する第2係合部23bを有する。第1係合部23aおよび第2係合部23bは、係合部に含まれる。
【0074】
図3に示すように、第1係合部23aは、芯金11の第1被係合部11c1と係合する。具体的には、第1係合部23aは、第1被係合部11c1の内部に挿入することで、第1被係合部11c1と係合することができる。つまり、第1係合部23aは、第2絶縁体22の芯金11側の面から立設する円筒状または円管状をなしており、第1被係合部11c1の内部に嵌め合わされることで、第1被係合部11c1に固定される。
【0075】
また、第1係合部23aは、円筒状または円管状であるが、第1被係合部11c1のネジ孔11d1に対応する締結孔23a1を有する。つまり、第1係合部23aは、第1被係合部11c1のネジ孔11d1を挿通した締結部材19が第1係合部23aの締結孔23a1に挿入されることで、締結部材19と締結することができる。
【0076】
図4および
図5に示すように、第2係合部23bは、芯金11の第2被係合部11c2と係合する係合爪23b1を有する。具体的には、第2係合部23bは、第2被係合部11c2の挿通孔11c3に挿入されて、第2被係合部11c2の立壁11c4と係合することができる係合爪23b1を有する。第2係合部23bは、第2絶縁体22の芯金11側の面から立設する棒状または板状をなしており、第2被係合部11c2の挿通孔11c3に挿入されることで、第2係合部23bの係合爪23b1が第2被係合部11c2の立壁11c4に引っ掛かる。
【0077】
また、第1係合部23aおよび第2係合部23bのそれぞれは、第2絶縁体22に1以上配置されている。また、第1係合部23aおよび第2係合部23bの数に応じて、第1被係合部11c1および第2被係合部11c2のそれぞれは、芯金11に複数形成されている。また、第1係合部23a、第2係合部23b、第1被係合部11c1および第2被係合部11c2のそれぞれは、リム10上に略等間隔に配置されてもよい。
【0078】
また、第2絶縁体22は、例えば、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等の硬質プラスチック等の樹脂材料で構成されている。
【0079】
また、第2絶縁体22は、一定の板厚が確保されている。一定の板厚とは、例えば、第2絶縁体22の厚みが数mm程度の厚みである。第2絶縁体22が一定の板厚を確保しているため、剛性が確保される。
【0080】
また、
図2に示すように、第1絶縁体21は第1位置決め部21tを有し、第2絶縁体22は第2位置決め部22tを有している。
【0081】
第1位置決め部21tは、芯金11の周方向に沿って延びた第1絶縁体21の両端部の角部に形成されている。第2位置決め部22tは、芯金11の周方向に沿って延びた第2絶縁体22の両端部の角部に形成されている。本実施の形態では、第1位置決め部21tは、第2位置決め部22tと噛み合わさる凹部であるが、第2位置決め部22tと噛み合わさる凸部であってもよい。第2位置決め部22tは、第1位置決め部21tと噛み合わさる凸部であるが、第1位置決め部21tと噛み合わさる凹部であってもよい。第1絶縁体21と第2絶縁体22とで第2電極32を挟みながら、第1絶縁体21を第2絶縁体22に組付ける際に、第1位置決め部21tと第2位置決め部22tとが噛み合わされる。このように、第1絶縁体21と第2絶縁体22との位置合わせをすることができるため、第1絶縁体21と第2絶縁体22との周方向のズレの発生を抑制し、組付けを容易かつ適切にすることができる。
【0082】
なお、第1位置決め部21tは第1絶縁体21の角部に形成されているが、どこに形成されていてもよい。また、第1位置決め部21tは第1絶縁体21に複数形成されていてもよい。また、第2位置決め部22tは第2絶縁体22の角部に形成されているが、どこに形成されていてもよい。また、第2位置決め部22tは第2絶縁体22に複数形成されていてもよい。例えば、第1位置決め部21tは第1絶縁体21の両端部における4つの角部に形成されていてもよく、第2位置決め部22tは、第2絶縁体22の両端部における4つの角部に形成されていてもよい。
【0083】
第1電極31は、線状をなしており、ステアリングホイール1の芯金11側の面とは反対側の面である第1絶縁体21の第1面21aに配置されている。
【0084】
第1電極31は、樹脂シート31aと、導線31bとを有していてもよい。つまり、第1電極31では、導線31bを電極として用いてもよい。
【0085】
樹脂シート31aは、一方面に導線31bを配置するための基材である。樹脂シート31aは、一方面とは反対側の他方面が第1絶縁体21の第1面21aと接触するように、第1面21aに配置されている。樹脂シート31aは、第1面21aに配置できるように、第1絶縁体21の第1面21aの大きさ、および、形状に応じて形成されている。
【0086】
樹脂シート31aは、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不織布、または、ポリエチレン(PE)マットなどで構成されていてもよい。樹脂シート31aが不織布、または、ポリエチレン(PE)マットの場合、第1電極31をフォーミング加工しなくても、第1絶縁体21の第1面21aに沿って第1電極31を配置することができる。
【0087】
樹脂シート31aが不織布、または、ポリエチレンマットの場合、導線31bは、樹脂シート31aの第1面21a側の他方面とは反対側の一方面に配置され、縫製糸で縫い付けられていてもよい。縫製糸は、導線31bを樹脂シート31aに固定するために、導線31bの延在方向に沿って導線31bを樹脂シート31aに縫い付ける糸である。
【0088】
導線31bが樹脂シート31aの一方面に配置されている場合、導線31bが樹脂シート31aの他方面に配置されている場合と比べて、リム10の表面から導線31bまでの距離を小さくできるため、ステアリングホイール1への把持の検知感度がよくなるとともに、ステアリングホイール1の表面を温めやすくなる。なお、導線31bは、樹脂シート31aの他方面に配置されていてもよい。
【0089】
図7Aに示すように、導線31bは、銅、アルミニウム、または、銀等を含んだ金属線である。導線31bは、芯金11の周方向に沿った線部分と折返し部分とからなるつづら折り状のパターンが形成されるように、複数回の折返しを経て一繋ぎで樹脂シート31aの一方面に縫い付けられている。なお、
図7Bに示すように、例えば、導線31bは、線部分が芯金11の周方向と直交する方向に沿った略平行なつづら折り状のパターンであってもよい。
【0090】
また、導線31bは、
図7A及び
図7Bに示すように、樹脂シート31aの一方面に略等間隔に配置されているが、これには限定されない。例えば、導線31bは、樹脂シート31aの一方面において一部が基準密度よりも密に配置され、他の部分が基準密度よりも粗に配置されていてもよい。つまり、第1電極31には、導線31bが密に配置された領域と、導線31bが粗に配置された領域とが形成されていてもよい。樹脂シート31aの一方面において、導線31bを密に配置したり、粗に配置したりすることで、リム10の表面の温度のばらつきを抑制することができる。なお、
図7A及び
図7Bに示すように、略等間隔に配置されている導線31bの場合、例えば、一部の間隔を狭くすることで、基準密度よりも密に配置される。また、リム10の表面にさらに革を巻き付ける場合、マットの表面の温度が均一になるように、樹脂シート31aの一方面において、導線31bを密に配置する領域と、粗に配置する領域とが形成されてもよい。基準密度は、予め設定された密度であり、任意に設定してもよい。
【0091】
また、第1電極31は、樹脂シート31aにエッチングまたは塗布されることで形成された金属薄膜を含んだ構成であってもよい。例えば、樹脂シート31aの一方面に
図7Aおよび
図7Bのような導線31bがエッチングまたは塗布されることで形成されていてもよい。
【0092】
また、
図2および
図6に示すように、第1電極31は、第1絶縁体21の第1面21aにエッチングまたは塗布されることで形成された金属メッキで構成されていてもよい。つまり、第1電極31は、樹脂シート31aを設けない構成であってもよい。
【0093】
このような、第1電極31は、ステアリングホイール1への把持を検知するセンサ電極、および、ステアリングホイール1を温めるヒータ線を兼用する。
【0094】
具体的には、第1電極31をセンサ電極として使用する場合と、第1電極31をヒータ線として使用する場合とは、排他的に使用される。つまり、第1電極31をセンサ電極として使用する場合とヒータ線として使用する場合との間で、制御回路40によって択一的に切り替えられる。
【0095】
また、第1電極31は、ステアリングホイール1を温めるヒータ線であってもよい。つまり、第1電極31は、センサ電極として使用しなくてもよい。また、第1電極31は、ヒータ線として使用しなくてもよく、センサ電極としてのみ使用してもよい。
【0096】
第1電極31をセンサ電極として使用する場合、第1電極31には、交流電圧が印加される。第1電極31に印加される交流電圧は、電源部41から供給された電力によって制御回路40で生成される。ここで、第1電極31は第1絶縁体21の第1面21aに配置されているため、リム10において第1電極31が配置されている部位が、運転者の手によって把持されると、第1電極31とその手との間に静電容量が形成される。したがって、制御回路40は、その静電容量の変化に応じて、手によるリム10の把持を検出することができる。
【0097】
第1電極31をヒータ線として使用する場合、第1電極31には、直流電圧が印加される。第1電極31に印加される直流電圧は、電源部41で生成される。第1電極31は、制御回路40で制御された電源部41からの電力によって発熱する。
【0098】
第1電極31をセンサ電極として使用する場合と、第1電極31をヒータ線として使用する場合とが、排他的に使用される例について説明する。
【0099】
例えば、まず、第1電極31に交流電圧が印加されて、第1電極31をセンサ電極として使用した後、第1電極31への交流電圧の印加が停止される。第1電極31への交流電圧の印加が停止されて所定時間経過後、第1電極31に直流電圧が印加されて、第1電極31をヒータ線として使用する。さらに、第1電極31への直流電圧の印加が停止され、所定時間経過後、第1電極31に交流電圧が印加されて、第1電極31をセンサ電極として使用される。このような動作が繰り返されるように、第1電極31をセンサ電極として使用する場合と、第1電極31をヒータ線として使用する場合とは、排他的に使用される。
【0100】
なお、このように、第1電極31をセンサ電極として使用する場合と、第1電極31をヒータ線として使用する場合とを、繰り返し切り替えて、排他的に使用する場合、第1電極31をセンサ電極として使用する場合の時間よりも、第1電極31をヒータ線として使用する場合の時間の方が長くてもよい。
【0101】
第2電極32は、第1絶縁体21の第1面21aとは反対側に位置する面である第2面21bに配置されている。具体的には、第2電極32は、第1電極31とともに第1絶縁体21を挟むように第1絶縁体21の第2面21bに沿って配置されている。第2電極32は、第1絶縁体21と第2絶縁体22とで挟まれている。つまり、第2電極32は、芯金11および第1電極31から離間して配置されている。このため、第2電極32は、芯金11および第1電極31と電気的に接続されていない。
【0102】
本実施の形態の第2電極32は、金属板で構成されている。この場合、金属板が接着剤等によって第1絶縁体21の第2面21bに貼り付けられる。第2電極32は、例えば、銅、アルミニウム、または、銀等を含んだ金属である。
【0103】
また、第2電極32は、樹脂シートと、樹脂シートの第2面21b側の一方面に配置された金属薄膜で構成されていてもよく、または、第2電極32は、金属シートで構成されていてもよい。
【0104】
第2電極32の樹脂シートは、一方面に第2電極32の金属薄膜、または、金属シートを配置するための基材である。第2電極32の樹脂シートは、一方面とは反対側の他方面が第1絶縁体21の第2面21bと接触するように、第2面21bに配置されている。第2面21bに配置できるように、第2電極32の樹脂シートは、第1絶縁体21の第2面21bの大きさ、および、形状に応じて形成されている。
【0105】
第2電極32の樹脂シートは、例えば、不織布などで構成されていてもよい。この場合、第2電極32をフォーミング加工しなくても、第1絶縁体21の第2面21bに沿って第2電極32を配置することができる。
【0106】
また、第2電極32は、樹脂シートにエッチングまたは塗布されることで形成された金属薄膜で構成されていてもよい。例えば、樹脂シートの一方面に第2電極32の金属薄膜がエッチングまたは塗布されることで形成されていてもよい。
【0107】
また、第2電極32は、第1絶縁体21の第2面21bにエッチングまたは塗布されることで形成された金属メッキで構成されていてもよい。
【0108】
なお、第1電極31および第2電極32を金属メッキで形成する場合、第2絶縁体22における第2係合部23bの付根に孔22fが形成されているため、第2絶縁体22の孔22fにマスキングを施し、かつ、当該孔22fに対応する個所の第1絶縁体21の第1面21aにもマスキングを施す。これにより、孔22fを除いて、第2絶縁体22の第1絶縁体21側の面に第2電極32を形成し、当該孔22fに対応する個所を除いて、第1絶縁体21の第1面21aに第1電極31を形成することができる。言い換えれば、第2絶縁体22の孔22fには、第2電極32が形成されず、孔22fに対応する第1絶縁体21の第1面21aに第1電極31が形成されていない。また、別の方法として、第1絶縁体21の第1面21aに金属メッキを施して第1電極31を形成し、第1絶縁体21の第2面21bに金属メッキを施して第2電極32を形成してもよい。
【0109】
第1電極31を第1絶縁体21に組付ける場合、第1電極31の樹脂シート31aがポリカーボネート等の樹脂フィルムであるとき、第1電極31をフォーミング加工する。これにより、第1電極31は、第1絶縁体21の第1面21aの形状に沿って形成される。加工後の第1電極31は、第1絶縁体21の第1面21aに配置される。
【0110】
第2電極32を第1絶縁体21に組付ける場合において、第2電極32が金属シートである場合、第2電極32が金属板である場合、または、第2電極32の樹脂シートが樹脂フィルムである場合、第2電極32をフォーミング加工する。これにより、第2電極32は、第1絶縁体21の第2面21bの形状に沿って形成される。加工後の第2電極32は、第1絶縁体21の第2面21bに配置される。
【0111】
また、第1電極31および第2電極32において、第1電極31と第2電極32とを重ねて見た場合、第1電極31が第2電極32の全てに覆われ、かつ、第1電極31が第1面21aに配置される表面積よりも、第2電極32が第2面21bに配置される表面積の方が大きい。このため、第2電極32は、第1電極31と芯金11との間に静電容量が形成されることを抑制することができる。
【0112】
第1電極31の一端はハーネス8aと電気的に接続され、第1電極31の他端はハーネス8cと電気的に接続されている。また、第2電極32は、ハーネス8bと電気的に接続されている。
【0113】
ハーネス8aと第1電極31の一端とが半田付けされることによって、ハーネス8aと第1電極31とが電気的に接続されてもよい。また、ハーネス8aと第1電極31の一端とがリベットでカシメられることで、ハーネス8aと第1電極31とが電気的に接続されてもよい。また、ハーネス8cと第1電極31の他端とが半田付けされることによって、ハーネス8cと第1電極31の他端とが電気的に接続されてもよい。また、ハーネス8cと第1電極31の他端とがリベットでカシメられることで、ハーネス8cと第1電極31の他端とが電気的に接続されてもよい。
【0114】
また、ハーネス8bと第2電極32とが半田付けされることによって、ハーネス8bと第2電極32とが電気的に接続されてもよい。また、ハーネス8bと第2電極32とがリベットでカシメられることで、ハーネス8bと第2電極32とが電気的に接続されてもよい。
【0115】
これらのハーネス8a、8b、8cは、制御回路40と電気的に接続されている。
【0116】
制御回路40は、ハーネス8a、8b、8cを介して第1電極31および第2電極32に交流電圧を印加することができる。制御回路40は、ハーネス8a、8b、8cを介して第1電極31および第2電極32に電源部41が生成した交流電圧を印加させることができる。第1電極31および第2電極32に同位相の交流電圧を印加することで、第1電極31と芯金11との間に形成される静電容量を打ち消す、または、小さくすることができる。このため、制御回路40は、第1電極31と運転者の手との間に形成される静電容量を精度よく検出することができる。
【0117】
また、ステアリングホイール1を温めるヒータ線として第1電極31を使用する場合、制御回路40は、ハーネス8a、8cを介して第1電極31に直流電圧を印加することができる。制御回路40は、ハーネス8a、8cを介して第1電極31に電源部41が生成した直流電圧を印加させることができる。このため、第1電極31は、制御回路40で制御された電源部41からの電力によって発熱し、ステアリングホイール1を温めることができる。
【0118】
また、第1絶縁体21、第2絶縁体22、第1電極31、および、第2電極32は、ステアリングホイール1のリム10の断面において、少なくともステアリングホイール1のリム10の外周側の部分からリム10における車両3の後方側の部分までの範囲に配置されている。
【0119】
本実施の形態では、第1絶縁体21、第2絶縁体22、第1電極31、および、第2電極32は、リム10の断面の周方向に沿って、少なくとも1/4周の範囲に亘って配置されている。
図3に示すように、第1絶縁体21、第1電極31、および、第2電極32は、二点鎖線で示される2つの直線V1、V2の間の範囲Lよりも大きい範囲に亘って配置されている。具体的には、第1絶縁体21、第2絶縁体22、第1電極31、および、第2電極32は、リム10の第1部11aから湾曲部11cを経由して第2部11bに亘って、配置されている。このように、運転者の手がリム10を把持した場合の手が接触し易い個所に、第1絶縁体21、第1電極31、および、第2電極32が配置されることで、電極構造体20では、運転者の手によるステアリングホイール1の把持を精度よく検出することができる。
【0120】
[発泡体15]
図2に示すように、発泡体15は、運転者の手が把持する部分であり、ステアリングホイール1におけるリム10の外殻を構成している。発泡体15は、電極構造体20を覆うポリウレタン等のウレタン樹脂の樹脂材料からなる。発泡体15は、第1絶縁体21、第2絶縁体22、第1電極31、第2電極32および芯金11を埋設している。つまり、第1絶縁体21、第2絶縁体22、第1電極31、第2電極32および芯金11は、発泡体15によって覆われている。
【0121】
<ステアリングホイール1の製造方法>
図8は、実施の形態におけるステアリングホイール1の製造方法を示すフローチャートである。
【0122】
まず、
図8に示すように、作業者は、芯金11と、電極構造体20とを準備する。そして、電極構造体20が備える係合部と、芯金11の被係合部とを係合させ、締結孔23a1に締結部材19を挿入して、係合部を芯金11に締結させることにより、電極構造体20は芯金11に組付けられる(S11:組付け工程)。具体的には、芯金11の第1被係合部11c1は、第2絶縁体22の第1係合部23aと係合する。つまり、第1係合部23aを第1被係合部11c1に係合させ、第1被係合部11c1のネジ孔11d1および第1係合部23aの締結孔23a1に挿入する締結部材19によって、第1係合部23aと第1被係合部11c1とが締結される。また、芯金11の第2被係合部11c2は、第2絶縁体22の第2係合部23bと係合する。つまり、電極構造体20が備える第2係合部23bの係合爪23b1を芯金11に設けられた第2被係合部11c2に係合させる。これにより、電極構造体20が芯金11に締結された構造体が得られる。
【0123】
次に、構造体を金型のキャビティ内に固定し、金型を型締めする。金型に形成されているゲートから射出成形樹脂を金型内のキャビティに流し込む(S12:射出工程)ことで、電極構造体20と芯金11とを締結させた状態の構造体を覆う発泡体15を形成する。射出成形樹脂は、例えばポリウレタン等のウレタン樹脂のような樹脂材料である。
【0124】
これにより、発泡体15は、電極構造体20を芯金11に係合させた状態で、電極構造体20および芯金11を覆うことができる。こうして、ステアリングホイール1を得ることができる。
【0125】
<作用効果>
本実施の形態における電極構造体20、ステアリングホイール1およびステアリングホイール1の製造方法の作用効果について説明する。
【0126】
上述したように、本実施の形態に係る電極構造体20は、車両3に設けられたステアリングホイール1の芯金11の外周に沿って配置される電極構造体20であって、絶縁体(第1絶縁体21および第2絶縁体22)と、絶縁体における芯金11側の面とは反対側の面である第1面21aに配置された、線状の第1電極31とを備える。そして、絶縁体は、芯金11に係合する係合部(第1係合部23aおよび/または第2係合部23b)を有する。
【0127】
これによれば、電極構造体20を予め芯金11に取り付けることができる。これにより、ステアリングホイール1を形成する際に電極構造体20をステアリングホイール1の内部に配置することができる。このため、従来技術のように、ステアリングホイールを形成してから、ステアリングホイールに切り込みを入れて第1電極を配置する必要もない。
【0128】
したがって、電極構造体20は、ステアリングホイール1の外観性を確保しつつ、製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0129】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1電極31は、ステアリングホイール1への把持を検知するセンサ電極、および、ステアリングホイール1を温めるヒータ線を兼用する。
【0130】
これによれば、第1電極31はセンサ電極とヒータ線とを兼用することができるため、ステアリングホイール1に別途ヒータ線を設けなくてもよい。このため、電極構造体20を適用するステアリングホイール1の製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0131】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1電極31は、ステアリングホイール1を温めるヒータ線である。
【0132】
これによれば、芯金11に取り付けられる電極構造体20が備える線状の第1電極31により、ステアリングホイール1を温めることができる。
【0133】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1電極31は、ステアリングホイール1への把持を検知するセンサ電極である。
【0134】
これによれば、芯金11に取り付けられる電極構造体20が備える線状の第1電極31により、ステアリングホイール1への把持を検出することができる。
【0135】
また、本実施の形態に係る電極構造体20は、絶縁体の第1面21aとは反対側の面である第2面21bに配置された第2電極32を備える。
【0136】
これによれば、第2電極32を備える電極構造体20を予め芯金11に取り付けることができる。これにより、ステアリングホイール1を形成する際に電極構造体20をステアリングホイール1の内部に配置することができる。このため、従来技術のように、ステアリングホイールを形成してから、ステアリングホイールに切り込みを入れて第2電極を配置する必要もない。
【0137】
また、本実施の形態に係るステアリングホイール1は、電極構造体20と、芯金11と、芯金11を覆う発泡体15とを備える。
【0138】
このようなステアリングホイール1においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0139】
また、本実施の形態に係るステアリングホイール1の製造方法は、ステアリングホイール1の電極構造体20が有する係合部を、芯金11に設けられた被係合部(第1被係合部11c1および/または第2被係合部11c2)に係合させ、係合部を被係合部に係合させた状態で、発泡体15を用いて芯金11を覆う。
【0140】
これによれば、係合部を芯金11の被係合部に係合することで、電極構造体20と芯金11とを強固に締結することができる。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時の圧力によって、絶縁体が芯金11に対して位置ズレしたり、ステアリングホイール1の周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。このステアリングホイール1の製造方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0141】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、ステアリングホイール1の周方向と垂直な平面でステアリングホイール1を切断した場合の断面において、第1電極31は、絶縁体の第1面21aの形状に沿って形成され、第2電極32は、絶縁体の第2面21bの形状に沿って形成されている。
【0142】
これによれば、第1電極31と第2電極32との間隔を均一にすることができるため、電極構造体20が設置されている領域においては運転者が手でステアリングホイール1のどの部分を把持しても精度よく検出することができる。
【0143】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、絶縁体は、第1絶縁体21および第2絶縁体22を含む。第1絶縁体21には、第1面21aと、第2面21bとが形成される。また、第1電極31は、第1絶縁体21の第1面21aに配置される。また、第2電極32は、第1絶縁体21の第1面21aとは反対側の面である第2面21bに配置される。また、第2絶縁体22は、第2電極32と芯金11との間に配置される。そして、第2絶縁体22は、芯金11に係合する係合部を有する。
【0144】
これによれば、第2絶縁体22が第2電極32を芯金11から離間した状態で配置することができ、第1絶縁体21が第1電極31を第2電極32および芯金11から離間した状態で配置することができる。また、第1絶縁体21に第1電極31および第2電極32を配置することができるため、第1絶縁体21、第1電極31および第2電極32が一体化された部材を芯金11に容易に組付けることができる。
【0145】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1絶縁体21、第2絶縁体22、第1電極31、および、第2電極32は、ステアリングホイール1の周方向と垂直な平面でステアリングホイール1を切断した場合の断面において、少なくともステアリングホイール1の外周側からステアリングホイール1の内周側までの範囲に配置される。
【0146】
これによれば、運転者の手がステアリングホイール1を把持した場合、運転者の手がステアリングホイール1の表面に接触し易い個所に電極構造体20を配置することができる。このため、運転者の手によるステアリングホイール1の把持を検出することができる。
【0147】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1絶縁体21は、樹脂材料で構成される。また、第2絶縁体22は、樹脂材料で構成される。また、第1電極31は、金属メッキ、または、金属薄膜を含む構成である。そして、第2電極32は、金属メッキ、金属薄膜、金属シート、または、金属板を含む構成である。
【0148】
これによれば、第1絶縁体21に第1電極31および第2電極32を配置することができるため、第1絶縁体21、第2絶縁体22、第1電極31および第2電極32が一体化された部材を芯金11に容易に組付けることができる。さらに、第1絶縁体21および第2電極32と芯金11との間に第2絶縁体22を配置するため、第2絶縁体22は、芯金11から離間した状態で第1電極31を配置させることができる。
【0149】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1絶縁体21は、樹脂材料で構成される。また、第2絶縁体22は、樹脂材料で構成される。また、第1電極31は、樹脂シート31aと、導線31bとを有する。また、導線31bは、樹脂シート31aの第1面21a側の面とは反対側の面に配置され、縫製糸で縫い付けられる。そして、第2電極32は、金属メッキ、金属薄膜、金属シート、または、金属板を含む構成である。
【0150】
これによれば、第1電極31を第1絶縁体21の第1面21aに配置し、第2電極32を第1絶縁体21の第2面21bに配置する場合、樹脂シート31aは縫製糸で導線31bを縫い付けることができる程度の柔らかい素材であるため、第1面21aおよび第2面21bの形状に沿ってフォーミング加工をしなくても、容易に第1絶縁体21の形状に追従するように第1電極31および第2電極32を配置することができる。このため、第1電極31を第1絶縁体21の第1面21aおよび第2電極32を第1絶縁体21の第2面21bに配置するときの工数の増加を抑制することができる。
【0151】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1絶縁体21は、第1位置決め部21tを有する。そして、第2絶縁体22は、第1位置決め部21tと噛み合わさる第2位置決め部22tを有する。
【0152】
これによれば、第1絶縁体21を第2絶縁体22に組付ける際に、第1位置決め部21tと第2位置決め部22tとを噛み合わすことができる。これにより、第1絶縁体21と第2絶縁体22との位置合わせをすることができるため、第1絶縁体21と第2絶縁体22との周方向のズレの発生を抑制でき、組付けを容易かつ適切にすることができる。
【0153】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1電極31をセンサ電極として使用する場合と、第1電極31をヒータ線として使用する場合とは、排他的に使用される。
【0154】
これによれば、例えば、寒冷地において車両3を運転する場合には、ヒータ機能をオンにして第1電極(ヒータ線)に電力を供給することでステアリングホイール1を温めることができるだけでなく、運転者がステアリングホイール1を把持しているか否かを検知することができる。
【0155】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、第1電極31がセンサ電極として使用される場合、第1電極31には、第2電極32に印加される交流電圧と同位相の交流電圧が印加される。
【0156】
これによれば、第1電極31がセンサ電極として使用される場合、第1電極31と芯金11との間に形成される静電容量を打ち消す、または、小さくすることができる。このため、運転者の手によるステアリングホイール1の把持を検出する制御回路40を用いれば、制御回路40は、この手がステアリングホイール1を把持した際に生じる、第1電極31と運転者の手との間に形成される静電容量を精度よく検出することができるようになる。
【0157】
また、本実施の形態に係る電極構造体20において、係合部(第1係合部23aおよび/または第2係合部23b)は、芯金11に設けられた被係合部(第1被係合部11c1および/または第2被係合部11c2)に係合される。
【0158】
これによれば、この電極構造体20では、被係合部と係合部とが係合することで、第1電極31および絶縁体の距離の確保と姿勢の維持との両立を図ることができる。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時において、電極構造体20をステアリングホイール1に組み込むことができる。
【0159】
また、被係合部と係合部とが係合するだけで、第1絶縁体21が第1電極31及び第2電極32を芯金11から離間した状態で配置することができ、第1絶縁体21および第1電極31が一体化された部材を芯金11に容易に組付けることができる。
【0160】
また、被係合部と係合部とが係合することで、電極構造体20を芯金11に強固に締結することができる。このため、ステアリングホイール1の樹脂成型時の圧力によって、絶縁体が芯金11に対して位置ズレしたり、ステアリングホイール1の周方向に対して回転ズレしたりすることを抑制することができる。その結果、ステアリングホイール1の製造に関する工数の増加を抑制でき、製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0161】
(実施の形態の変形例1)
本変形例の電極構造体120およびステアリングホイール1aが第1絶縁体21、第1電極31および第2電極32を有し、第2絶縁体を有しない点で実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールと相違する。本変形例では、実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールと同一の構成および機能については同一の符号を付し、これら構成および機能に関する詳細な説明を適宜省略する。
【0162】
まず、ステアリングホイール1aの構成について
図9~
図11を用いて説明する。
【0163】
図9は、実施の形態の変形例1のステアリングホイール1aを示す斜視図および芯金11の断面図である。
図10は、
図9のC-C線におけるステアリングホイール1aの第1被係合部11c1および第1係合部23aを示す断面図である。
図11は、ステアリングホイール1aの第2被係合部11c2および第2係合部23bを示す断面図である。
【0164】
図9~
図11に示すように、本変形例の電極構造体120は、第1絶縁体21と、第1電極31と、第2電極32と、突出部21dとを備える。
【0165】
第1絶縁体21は、芯金11の外周側の面から内周側の面に沿って配置されている。第1絶縁体21は、芯金11側とは反対側の面である第1面21aと、芯金11側の第2面21bとを有する。第1面21aには第1電極31が配置され、第2面21bには第2電極32が配置されている。また、第2面21bは、突出部21dにより芯金11から所定距離離間した状態で位置している。このため、第2面21bに配置された第2電極32は、芯金11から離間した状態で配置される。また、射出工程において、発泡体15が第2電極32と芯金11との間に配置されるため、第2電極32は、芯金11と電気的に接続されない。
【0166】
このような、第1絶縁体21は、第1電極31と第2電極32、および、第2電極32と芯金11が電気的に接続されないように、互いに離間した状態で第1電極31および第2電極32を配置することができる。
【0167】
また、第1絶縁体21は、ステアリングホイール1aの周方向と垂直な平面でステアリングホイール1aを切断した場合の断面において、芯金11に設けられた第1被係合部11c1に係合する第1係合部23a、および、芯金11に設けられた第2被係合部11c2に係合する第2係合部23bを有する。
【0168】
第1係合部23aは、第1被係合部11c1の内部に挿入することで、第1被係合部11c1と係合することができる。つまり、第1係合部23aは、第1絶縁体21の第2面21bから立設する円筒状または円管状をなしており、第1被係合部11c1の内部に嵌め合わされることで、第1被係合部11c1に固定される。
【0169】
また、第1係合部23aは、円筒状または円管状であり、第1被係合部11c1のネジ孔11d1に対応する締結孔23a1を有する。つまり、第1係合部23aは、第1被係合部11c1のネジ孔11d1を挿通した締結部材19が第1係合部23aの締結孔23a1に挿入されることで、締結部材19と締結することができる。
【0170】
第2係合部23bは、芯金11の第2被係合部11c2と係合する係合爪23b1を有する。具体的には、第2係合部23bは、第2被係合部11c2の挿通孔11c3に挿入されて、第2被係合部11c2の立壁11c4と係合することができる係合爪23b1を有する。つまり、第2係合部23bは、第1絶縁体21の第2面21bから立設する棒状または板状をなしており、第2被係合部11c2の挿通孔11c3に挿入されることで、第2係合部23bの係合爪23b1が第2被係合部11c2の立壁11c4に引っ掛かる。
【0171】
突出部21dは、第1絶縁体21において芯金11と対向する位置に配置されている。また、突出部21dは、第1絶縁体21から芯金11へ向かって突出している。突出部21dの先端の一部は、芯金11と当接している。つまり、突出部21dは、第1絶縁体21と芯金11との間に配置されている。このため、突出部21dは、第1絶縁体21および第2電極32と芯金11とが接触しないように、芯金11に対する第2電極32の距離の確保と姿勢の維持との両立を図ることができる。
【0172】
また、突出部21dは、第1絶縁体21と一体的に形成されている。なお、突出部21dは、第1絶縁体21と分離可能な別体であってもよい。
【0173】
また、突出部21dは、芯金11と第1絶縁体21との間に複数配置されている。また、突出部21dは、芯金11および第1絶縁体21に略等間隔に配置されてもよい。
【0174】
第1電極31は、ステアリングホイール1aの芯金11側の面とは反対側の面である第1絶縁体21の第1面21aに配置されている。
【0175】
このような、本変形例の電極構造体120においても、実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0176】
(実施の形態の変形例2)
本変形例の電極構造体220およびステアリングホイール1bが第1絶縁体21、第1電極31および第2電極32を有し、第2絶縁体を有しない点、第2面21bに第2電極32が配置されておらず、樹脂シート33の一方面面に第1電極31が配置され、樹脂シート33の他方面に第2電極32が配置されている点で実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールと相違する。また、第1絶縁体21および突出部21dの構成は、実施の形態の変形例1の第1絶縁体と同様の構成である。本変形例では、実施の形態および実施の形態の変形例1の電極構造体およびステアリングホイールと同一の構成および機能については同一の符号を付し、これら構成および機能に関する詳細な説明を適宜省略する。
【0177】
まず、ステアリングホイール1bの構成について
図12および
図13を用いて説明する。
【0178】
図12は、ステアリングホイール1bの第1被係合部11c1および第1係合部23aを示す断面図である。
図13は、ステアリングホイール1bの第2被係合部11c2および第2係合部23bを示す断面図である。
【0179】
図12および
図13に示すように、本変形例の電極構造体220は、第1絶縁体21と、突出部21dとの他に、樹脂シート33と、第1電極31と、第2電極32とを備える。
【0180】
樹脂シート33は、一方面33aに第1電極31を配置し、一方面33aの裏面である他方面33bに第2電極32を配置するための基材である。樹脂シート33は、他方面33bが第2電極32を介して第1絶縁体21の第1面21aと対向するように、第1絶縁体21の第1面21aに配置されている。
【0181】
樹脂シート33は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不織布、または、ポリエチレン(PE)マットなどで構成されていてもよい。
【0182】
第1電極31は、樹脂シート33の一方面33aに配置されている。第1電極31は、樹脂シート33の一方面33aにつづら折り状のパターンが形成された線状の電極である。第1電極31は、導線、または、薄膜金属で構成されていてもよい。本変形例の第1電極31は、樹脂シート33の一方面33aにエッチングまたは塗布されることで形成された薄膜金属である。
【0183】
第2電極32は、第1面21a側の面であり、樹脂シート33の他方面33bに配置されている。第2電極32は、樹脂シート33の他方面33bに形成されたベタ電極である。第2電極32は、薄膜金属、または、金属シートで構成されていてもよい。本変形例の第2電極32は、樹脂シート33の他方面33bにエッチングまたは塗布されることで形成された薄膜金属である。
【0184】
樹脂シート33の一方面33aに第1電極31が配置され、樹脂シート33の他方面33bに第2電極32が配置された構造体は、第2電極32が第1面21aと対向するように、接着剤等によって第1絶縁体21の第1面21aに貼り付けられる。
【0185】
このような、本変形例に係る電極構造体220は、車両3に設けられたステアリングホイール1bの芯金11の外周に沿って配置される電極構造体220であって、第1絶縁体21と、第1絶縁体21における芯金11側の面とは反対側の面である第1面21aに配置された樹脂シート33と、樹脂シート33の一方面33aに配置された線状の第1電極31と、第1面21a側の面であり、樹脂シート33の一方面33aの裏面である他方面33bに配置された第2電極32とを備える。また、第1絶縁体21は、芯金11に係合する係合部(第1係合部23aおよび/または第2係合部23b)を有する。そして、第1電極31は、ステアリングホイール1bへの把持を検知するセンサ電極、および、ステアリングホイール1bを温めるヒータ線を兼用する。
【0186】
これによれば、1枚の樹脂シート33の一方面33aに第1電極31を配置し、他方面33bに第2電極32を配置することができる。このため、第1電極と第2電極のそれぞれに樹脂シートを用いる場合に比べて、本実施の形態の電極構造体220の方が部品点数の増加を抑制することで、製造コストの高騰化を抑制することができる。また、この電極構造体220においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0187】
(実施の形態の変形例3)
本変形例の電極構造体320及びステアリングホイール1cでは、電極構造体320が第1電極31を備え、第2電極及び第2絶縁体を備えていない点、発泡体315の表面315aから均等な距離に第1電極31が配置されている点で実施の形態の電極構造体およびステアリングホイールと相違する。本変形例では、実施の形態および実施の形態の変形例1、2の電極構造体およびステアリングホイールと同一の構成および機能については同一の符号を付し、これら構成および機能に関する詳細な説明を適宜省略する。
【0188】
図14は、ステアリングホイール1cの第1被係合部11c1および第1係合部23aを示す断面図である。
【0189】
図14に示すように、本変形例のステアリングホイール1cのリム10cは、芯金11と、電極構造体320と、電極構造体320を覆う発泡体315とを備える。
【0190】
本変形例では、発泡体315の表面315aから均等な距離に第1電極31が配置されている。つまり、発泡体315は、第1電極31から発泡体315の表面315aまでの厚みが略均一に形成されている部分を有している。これにより、発泡体315の表面315aから略均一な距離に第1電極31を配置させることができる。このため、ステアリングホイール1cへの把持位置による検知感度のばらつきを抑制し、第1電極31に対応する箇所のステアリングホイール1cへの把持を検知することができる。また、第1電極31をヒータ線として用いた場合、リム10cの表面における温度のばらつきを抑制し、第1電極31に対応するステアリングホイール1c表面の温度を略均一化することができる。
【0191】
また、第1電極31から発泡体315の表面315aまでの厚みが略均一に形成されている場合であっても、第1電極31の導線31bは、樹脂シート31aの一方面において一部が基準密度よりも密に配置され、他の部分が基準密度よりも粗に配置されていてもよい。基準密度は、予め設定された密度であり、任意に設定してもよい。発泡体315の厚みが略均一であり、導線31bを均一に樹脂シート31aの一方面に配置することに加え、樹脂シート31aの一方面において、導線31bを密に配置する領域と、粗に配置する領域とを形成することで、リム10の表面の温度をより均一にすることができる。
【0192】
また、電極構造体320は、第1絶縁体21と、第1電極31と、突出部とを備える。本変形例の第1電極31は、ステアリングホイール1cへの把持を検知するセンサ電極、及び、ステアリングホイール1cを温めるヒータ線を兼用してもよい。また、第1電極31は、センサ電極として使用しなくてもよく、ステアリングホイール1cを温めるヒータ線であってもよい。また、第1電極31は、ヒータ線として使用しなくてもよく、センサ電極としてのみ使用してもよい。
【0193】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0194】
例えば、上記実施の形態に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法において、芯金は、第1被係合部を有さず、第2被係合部を有してもよい。この場合、電極構造体は、第1係合部を有さず、第2係合部を有してもよい。また、芯金は、第2被係合部を有さず、第1被係合部を有してもよい。この場合、電極構造体は、第2係合部を有さず、第1係合部を有してもよい。
【0195】
また、上記実施の形態に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法において、電極構造体が芯金の周方向に沿って互いに連結できてもよい。例えば、電極構造体の連結部は、当該電極構造体に隣接する別の電極構造体の絶縁体の被連結部と連結してもよい。この場合、ハーネスは複数の第1電極および複数の第2電極のそれぞれと個別に電気的に接続されてもよい。
【0196】
上記実施の形態に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法において、芯金の内周側の開口面に対して芯金が面対称となるように反転し、かつ、芯金に取り付けられている電極構造体の取り付け位置を反転してもよい。つまり、芯金における凹部の開口が運転席側と対向するように芯金がスポークに固定されてもよい。また、電極構造体が芯金における凹部を覆うように、車両の前方側に取り付けられてもよい。
【0197】
また、上記実施の形態に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法において、ステアリングホイールは、制御回路をさらに備えてもよい。
【0198】
また、上記実施の形態に係る電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法において、実施の形態および実施の形態の変形例1、2をそれぞれ任意に組み合わせてもよく、本実施の形態および実施の形態の変形例1、2に開示された態様に限定されない。
【0199】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0200】
(付記)
<技術1>
車両に設けられたステアリングホイールの芯金の外周に沿って配置される電極構造体であって、
絶縁体と、
前記絶縁体における前記芯金側の面とは反対側の面である第1面に配置された、線状の第1電極とを備え、
前記絶縁体は、前記芯金に係合する係合部を有する、
電極構造体。
【0201】
<技術2>
前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極、および、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線を兼用する、
技術1に記載の電極構造体。
【0202】
<技術3>
前記第1電極は、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線である、
技術1に記載の電極構造体。
【0203】
<技術4>
前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極である、
技術1に記載の電極構造体。
【0204】
<技術5>
前記絶縁体の前記第1面とは反対側の面である第2面に配置された第2電極を備える、
技術2に記載の電極構造体。
【0205】
<技術6>
前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、
前記第1電極は、前記絶縁体の前記第1面の形状に沿って形成され、
前記第2電極は、前記絶縁体の前記第2面の形状に沿って形成されている、
技術5に記載の電極構造体。
【0206】
<技術7>
前記絶縁体は、第1絶縁体および第2絶縁体を含み、
前記第1絶縁体には、前記第1面と、前記第2面とが形成され、
前記第1電極は、前記第1絶縁体の前記第1面に配置され、
前記第2電極は、前記第1絶縁体の前記第1面とは反対側の面である前記第2面に配置され、
前記第2絶縁体は、
前記第2電極と前記芯金との間に配置され、
前記芯金に係合する前記係合部を有する、
技術5に記載の電極構造体。
【0207】
<技術8>
前記第1絶縁体、前記第2絶縁体、前記第1電極、および、前記第2電極は、前記ステアリングホイールの周方向と垂直な平面で前記ステアリングホイールを切断した場合の断面において、少なくとも前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールの内周側までの範囲に配置される、
技術7に記載の電極構造体。
【0208】
<技術9>
前記第1絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第2絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第1電極は、金属メッキ、または、金属薄膜を含む構成であり、
前記第2電極は、金属メッキ、金属薄膜、金属シート、または、金属板を含む構成である、
技術7又は8に記載の電極構造体。
【0209】
<技術10>
前記第1絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第2絶縁体は、樹脂材料で構成され、
前記第1電極は、樹脂シートと、導線とを有し、
前記導線は、前記樹脂シートの前記第1面側の面とは反対側の面に配置され、縫製糸で縫い付けられ、
前記第2電極は、金属メッキ、金属薄膜、金属シート、または、金属板を含む構成である、
技術7又は8に記載の電極構造体。
【0210】
<技術11>
前記第1絶縁体は、第1位置決め部を有し、
前記第2絶縁体は、前記第1位置決め部と噛み合わさる第2位置決め部を有する、
技術7~10の何れか1つに記載の電極構造体。
【0211】
<技術12>
車両に設けられたステアリングホイールの芯金の外周に沿って配置される電極構造体であって、
第1絶縁体と、
前記第1絶縁体における前記芯金側の面とは反対側の面である第1面に配置された樹脂シートと、
前記樹脂シートの一方面に配置された線状の第1電極と、
前記第1面側の面であり、前記樹脂シートの前記一方面の裏面である他方面に配置された第2電極とを備え、
前記第1絶縁体は、前記芯金に係合する係合部を有し、
前記第1電極は、前記ステアリングホイールへの把持を検知するセンサ電極、および、前記ステアリングホイールを温めるヒータ線を兼用する、
電極構造体。
【0212】
<技術13>
前記第1電極を前記センサ電極として使用する場合と、前記第1電極を前記ヒータ線として使用する場合とは、排他的に使用される、
技術2、5~12の何れか1つに記載の電極構造体。
【0213】
<技術14>
前記第1電極が前記センサ電極として使用される場合、前記第1電極には、前記第2電極に印加される交流電圧と同位相の交流電圧が印加される、
技術5~13の何れか1つに記載の電極構造体。
【0214】
<技術15>
前記係合部は、前記芯金に設けられた被係合部に係合される、
技術1~14の何れか1つに記載の電極構造体。
【0215】
<技術16>
技術1~15の何れか1つに記載の電極構造体と、
前記芯金と、
前記芯金を覆う発泡体とを備える、
ステアリングホイール。
【0216】
<技術17>
技術16に記載のステアリングホイールの前記電極構造体が有する前記係合部を、前記芯金に設けられた被係合部に係合させ、
前記係合部を前記被係合部に係合させた状態で、前記発泡体を用いて前記芯金を覆う、
ステアリングホイールの製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0217】
本開示の電極構造体、ステアリングホイールおよびステアリングホイールの製造方法は、例えば車両のステアリングホイール等に適用可能である。
【符号の説明】
【0218】
1、1a、1b、1c ステアリングホイール
3 車両
11 芯金
11c1 第1被係合部
11c2 第2被係合部
15、315 発泡体
20、120、220、320 電極構造体
21 第1絶縁体(絶縁体)
21a 第1面
21b 第2面
21t 第1位置決め部
22t 第2位置決め部
22 第2絶縁体(絶縁体)
23a 第1係合部(係合部)
23b 第2係合部(係合部)
31 第1電極
31a、33 樹脂シート
31b 導線
32 第2電極
33a 樹脂シートの一方面
33b 樹脂シートの他方面