(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124822
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】着色感光性樹脂組成物、これを用いて製造されたカラーフィルタおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20230830BHJP
G03F 7/033 20060101ALI20230830BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230830BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/033
G02B5/20 101
G09F9/30 349B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018359
(22)【出願日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0025128
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム・ヤン-ギュン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ナム-サン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ソン-ウク
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE13
2H148BE15
2H148BE18
2H148BF02
2H148BF16
2H148BG01
2H148BG11
2H148BH02
2H148BH03
2H148BH08
2H225AC36
2H225AD06
2H225AM22P
2H225AM32P
2H225AN39P
2H225AN66P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA33P
2H225BA35P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
5C094AA09
5C094AA10
5C094ED03
5C094FB01
5C094JA01
5C094JA08
(57)【要約】
【課題】着色感光性組成物、これを用いて製造された着色パターンを含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含む表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含み、前記着色剤は、着色剤の総重量に対して、青色顔料(A-1)60~85重量%、前記青色顔料(A-1)以外の青色顔料(A-2)5~20重量%、バイオレット顔料(B)5~20重量%およびバイオレット染料(C)0.5~5重量%を含む、着色感光性樹脂組成物、これを用いて製造された着色パターンを含むカラーフィルタおよび表示装置に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含み、
前記着色剤は、着色剤の総重量に対して、青色顔料(A-1)60~85重量%、前記青色顔料(A-1)以外の青色顔料(A-2)5~20重量%、バイオレット顔料(B)5~20重量%およびバイオレット染料(C)0.5~5重量%を含む、着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記青色顔料(A-1)は、C.I.ピグメントブルー15:6を含む、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記青色顔料(A-2)は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4およびC.I.ピグメントブルー60からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記バイオレット顔料(B)は、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36およびC.I.ピグメントバイオレット38からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
バイオレット染料(C)は、下記式(1)で表される化合物を含む、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、
R
1~R
4は、それぞれ独立して、水素原子、-R
6または炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基を示す。前記炭素数6~10の芳香族炭化水素基に含有される水素原子は、ハロゲン原子、-R
6、-OH、-OR
6、-SO
3
-、-SO
3H、-SO
3M、-CO
2H、-CO
2R
6、-SO
3R
6または-SO
2N(R
8)R
9で置換されていてもよい。
R
5は、-SO
3
-、-SO
3H、-SO
3M、-CO
2Hまたは-CO
2R
6を示す。
mは、0~5の整数を示す。mが2以上の整数の場合、複数のR5は、同一でも異なっていてもよい。
Xは、ハロゲン原子を示す。
aは、0または1の整数を示す。
R
6は、炭素数1~10の1価の飽和炭化水素基を示す。前記炭素数1~10の飽和炭化水素基に含有される水素原子は、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルコキシ基で置換されていてもよい。
R
8およびR
9は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基または-Qを示し、前記アルキル基および前記シクロアルキル基に含有される水素原子は、-OH、ハロゲン原子、-Q、-CH=CH
2または-CH=CHR
6で置換されていてもよく、前記アルキル基および前記シクロアルキル基に含有される-CH
2-は、-O-、-S-、-CO-、-NH-または-NR
6-で置換されていてもよく、R
8およびR
9は、互いに結合して炭素数1~10の複素環を形成していてもよく、前記複素環に含有される水素原子は、-R
6、-OHまたは-Qで置換されていてもよい。
Qは、炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基、または炭素数5~10の1価の芳香族複素環基を示し、前記芳香族炭化水素基および芳香族複素環基に含有される水素原子は、-OH、-R
6、-OR
6、-NO
2、-CH=CH
2、-CH=CHR
6またはハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【請求項6】
前記着色感光性樹脂組成物で製造された塗膜の445nmの波長での透過率が88.5%以上であり、700nmの波長での透過率が20%以下である、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記着色感光性樹脂組成物は、青色画素形成用である、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記青色画素のライン幅は、1μm以下である、請求項7に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記着色感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して、
着色剤5~60重量%;
アルカリ可溶性樹脂5~85重量%;
光重合性化合物5~45重量%;
光重合開始剤0.05~30重量%;および
前記着色感光性樹脂組成物の総重量に対して、溶剤60~90重量%を含む、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物で製造された着色パターンを含むカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項10に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感光性組成物、これを用いて製造された着色パターンを含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサは、携帯電話カメラやDSC(Digital Still Camera)などで映像を生成する映像撮像素子部品を称するもので、その製作工程と応用方式によって、大きく、固体撮像素子(charge coupled device;CCD)イメージセンサと、相補性金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor;CMOS)イメージセンサとに分類することができる。このうち、前記固体撮像素子に用いられるカラー撮像素子は、その受光素子上に赤色(red)、緑色(green)、青色(blue)のフィルタセグメント(filter segment)を備えるカラーフィルタ(color filter)をそれぞれ設け、色を分解することが一般的である。最近、このようなカラー撮像素子に装着されるカラーフィルタのパターンサイズは通常2μm以下のサイズで、既存のLCD用カラーフィルタパターンの1/100~1/200に減少した。これによって、カラー撮像素子に装着されるカラーフィルタの高光透過性の達成およびクロストークの改善が性能を左右するさらに重要な項目になった。
【0003】
これに関連し、韓国公開特許第10-2006-0047854号公報には、青色画素を形成する青色感光性組成物の着色剤として、C.I.ピグメントバイオレット23の紫色着色剤をC.I.ピグメントブルー15:6に併用することが開示されているが、これら顔料の組み合わせは、最近のイメージセンサに要求されている400~500nmの高光透過性は達成しにくい状況である。また、次第に画素の大きさが微細化されるにつれ、隣接した緑色および赤色画素に影響を及ぼしてクロストークが増加する。
【0004】
したがって、既存の顔料の組み合わせで達成しにくかった高光透過性をはじめとしてクロストークの改善が可能な着色感光性組成物の開発が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2006-0047854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を改善するためのものであって、既存の顔料の組み合わせで達成しにくかった青色領域での高光透過性をはじめとしてクロストークの改善が可能な着色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、前記本発明の着色感光性樹脂組成物を用いて製造された着色パターンを含むカラーフィルタおよびこれを含む表示装置を提供することを他の目的とする。
【0008】
しかし、本願が解決しようとする課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は以下の記載から通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含み、前記着色剤は、着色剤の総重量に対して、青色顔料(A-1)60~85重量%、前記青色顔料(A-1)以外の青色顔料(A-2)5~20重量%、バイオレット顔料(B)5~20重量%、およびバイオレット染料(C)0.5~5重量%を含む、着色感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、前記着色感光性樹脂組成物で製造された着色パターンを含むカラーフィルタを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、前記カラーフィルタを含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による着色感光性樹脂組成物は、既存の顔料の組み合わせでは達成しにくかった青色領域での高光透過性を示すことができながらも、600nm以上の波長領域での透過率を低下させてクロストーク現象の改善が可能であり、現像性の改善により残渣特性が良好な効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、着色感光性樹脂組成物、これを用いて製造された着色パターンを含むカラーフィルタおよび表示装置に関し、本発明による着色感光性樹脂組成物は、着色剤、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含み、前記着色剤は、着色剤の総重量に対して、青色顔料(A-1)60~85重量%、前記青色顔料(A-1)以外の青色顔料(A-2)5~20重量%、バイオレット顔料(B)5~20重量%、およびバイオレット染料(C)0.5~5重量%を含むことを特徴とし、これによる本発明の着色感光性樹脂組成物は、既存の顔料の組み合わせでは達成しにくかった青色領域での高光透過性を示すことができながらも、600nm以上の波長領域での透過率を低下させてクロストーク現象の改善が可能であり、現像性の改善により残渣特性が良好な効果を有することを実験的に確認して、本発明を完成した。
【0014】
前記着色感光性樹脂組成物は、青色画素形成用であることを特徴とし、前記青色画素のライン幅は、1μm以下であることを特徴とする。
【0015】
また、前記着色感光性樹脂組成物で製造された塗膜の445nmの波長での透過率が88.5%以上であり、700nmの波長での透過率が20%以下であることを特徴とする。
【0016】
以下、本発明の着色感光性樹脂組成物を構成する各成分について詳細に説明する。しかし、本発明がこれらの成分によって限定されるものではない。
【0017】
<着色感光性樹脂組成物>
着色剤
青色顔料(A)
本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色剤として青色顔料を含み、具体的には、青色顔料(A-1)および前記青色顔料(A-1)以外の青色顔料(A-2)を含む。
【0018】
青色顔料(A-1)
本発明の青色顔料(A-1)は、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16からなる群より選択される1種以上を含むことができ、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:6を含むことができる。
【0019】
前記青色顔料(A-1)は、着色剤の総重量に対して、60~85重量%を含み、さらに好ましくは60~80重量%含む。
【0020】
前記青色顔料(A-1)が前記範囲を満足する場合、青色領域の光透過率が向上するという利点がある。
【0021】
青色顔料(A-2)
本発明の青色顔料(A-2)は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー21、C.I.ピグメントブルー28、C.I.ピグメントブルー64、およびC.I.ピグメントブルー74からなる群より選択される1種以上を含むことができ、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0022】
前記青色顔料(A-2)は、着色剤の総重量に対して、5~20重量%を含み、さらに好ましくは7~20重量%含む。
【0023】
前記青色顔料(A-2)が前記範囲を満足する場合、クロストーク透過率が改善される効果がある。
【0024】
バイオレット顔料(B)
バイオレット顔料(B)としては、例えば、色指数においてピグメントバイオレット(Pigment Violet)に分類されている化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、およびC.I.ピグメントバイオレット38からなる群より選択される1種以上を含むことができ、特に、C.I.ピグメントバイオレット23が好ましい。
【0025】
前記バイオレット顔料(B)は、着色剤の総重量に対して、5~20重量%を含み、さらに好ましくは7~20重量%含む。
【0026】
前記バイオレット顔料(B)が前記範囲を満足する場合、青色領域の光透過率が向上するという利点がある。
【0027】
バイオレット染料(C)
バイオレット染料(C)は、式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする。
【0028】
【0029】
(式(1)中、
R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、-R6または炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基を示す。前記炭素数6~10の芳香族炭化水素基に含有される水素原子は、ハロゲン原子、-R6、-OH、-OR6、-SO3
-、-SO3H、-SO3M、-CO2H、-CO2R6、-SO3R6または-SO2N(R8)R9で置換されていてもよい。
R5は、-SO3
-、-SO3H、-SO3M、-CO2Hまたは-CO2R6を示す。
mは、0~5の整数を示す。mが2以上の整数の場合、複数のR5は、同一でも異なっていてもよい。
Xは、ハロゲン原子を示す。
aは、0または1の整数を示す。
R6は、炭素数1~10の1価の飽和炭化水素基を示す。前記炭素数1~10の飽和炭化水素基に含有される水素原子は、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルコキシ基で置換されていてもよい。
R8およびR9は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~30のシクロアルキル基または-Qを示し、前記アルキル基および前記シクロアルキル基に含有される水素原子は、-OH、ハロゲン原子、-Q、-CH=CH2または-CH=CHR6で置換されていてもよく、前記アルキル基および前記シクロアルキル基に含有される-CH2-は、-O-、-S-、-CO-、-NH-または-NR6-で置換されていてもよく、R8およびR9は、互いに結合して炭素数1~10の複素環を形成していてもよく、前記複素環に含有される水素原子は、-R6、-OHまたは-Qで置換されていてもよい。
Qは、炭素数6~10の1価の芳香族炭化水素基、または炭素数5~10の1価の芳香族複素環基を示し、前記芳香族炭化水素基および芳香族複素環基に含有される水素原子は、-OH、-R6、-OR6、-NO2、-CH=CH2、-CH=CHR6またはハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【0030】
前記バイオレット染料(C)は、着色剤の総重量に対して、0.5~5重量%を含む。
【0031】
前記バイオレット染料(C)が前記範囲を満足する場合、青色領域の光透過率が向上するという利点がある。
【0032】
前記着色剤の含有量は特に限定されないが、着色感光性樹脂組成物の固形分総重量に対して、3~60重量%、好ましくは5~50重量%含まれる。前記範囲内で着色剤の外部流出をもたらすことなく、所望の色再現性を実現することができる。
【0033】
アルカリ可溶性樹脂
本発明において、アルカリ可溶性樹脂は、本発明の溶剤に溶解可能であり、光または熱の作用に対する反応性を有し、前記着色剤に対する結着樹脂の機能をし、アルカリ性現像液に溶解可能なアクリル系共重合体であれば、その種類を特に制限なく使用可能である。
【0034】
アクリル系共重合体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、および前記単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。
【0035】
カルボキシル基含有単量体の具体例としては、不飽和モノカルボン酸、または不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和多価カルボン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0036】
不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、桂皮酸などが挙げられる。
【0037】
不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。前記不飽和多価カルボン酸は、酸無水物であってもよいし、具体的には、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。
【0038】
不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであってもよいし、例えば、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などが挙げられる。また、前記不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであってもよいし、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0039】
これらのカルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独または2種以上を混合して使用可能である。
【0040】
前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;
メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;
2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;
アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;
マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;
1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;
ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有するマクロ単量体類などが挙げられる。
【0041】
これらの単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用可能である。
【0042】
アルカリ可溶性樹脂中のカルボキシル基含有単量体単位の含有量は、通常10~50質量%であり、好ましくは15~40質量%であり、より好ましくは25~40質量%である。カルボキシル基含有単量体単位の含有量が10~50質量%の場合には、現像液に対する溶解性が良好であり、現像時、パターンが正確に形成される傾向があるので、好ましい。
【0043】
前記アクリル系共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロ単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロ単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロ単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロ単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロ単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/ポリメチル(メタ)アクリレートマクロ単量体共重合体、(メタ)アクリル酸/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシ)/スチレン/ベンジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)/スチレン/アリル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミド共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミド/スチレン/グリセロールモノ(メタ)アクリレート共重合体などが挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0044】
これらのうち、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート/スチレン共重合体が好ましく使用される。
【0045】
アルカリ可溶性樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量は、通常5,000~50,000であり、好ましくは8,000~40,000であり、より好ましくは10,000~35,000であり、最も好ましくは10,000~30,000である。アルカリ可溶性樹脂の分子量が5,000~50,000の場合には、塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好であり、解像度が向上する傾向があるので、好ましい。
【0046】
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、通常50~150KOHmg/gであり、好ましくは60~140KOHmg/gであり、より好ましくは80~135KOHmg/gであり、最も好ましくは80~130KOHmg/gである。酸価が50~150KOHmg/gの場合には、現像液に対する溶解性が向上して未露光部が溶解しやすく、高感度化されて、現像時、露光部のパターンが残って残膜率が向上する傾向があるので、好ましい。ここで、酸価とは、アクリル系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常、水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求められる。
【0047】
アルカリ可溶性樹脂は、本発明の着色感光性樹脂組成物中の総固形分重量に対して、5~85重量%含まれ、10~70重量%含まれることが好ましい。前記のような含有量で含まれる場合には、現像液への溶解性が十分で非画素部分の基板上に現像残渣が発生しにくく、現像時、露光部の画素部分の膜減少が生じにくくて、非画素部分の欠落性が良好な傾向があるので、好ましい。
【0048】
光重合性化合物
前記光重合性化合物は、光重合開始剤の作用で重合可能な化合物であり、単官能単量体、二官能以上の多官能単量体を使用することができ、好ましくは、二官能以上の多官能単量体を使用することができる。
【0049】
前記単官能単量体の具体例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレートまたはN-ビニルピロリドンなどがあるが、これに限定されるものではない。前記二官能単量体の具体例としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテルまたは3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどがあるが、これらに限定されるものではない。3官能以上の多官能単量体の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロール、プロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
前記光重合性化合物は、着色感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して、重量分率で5~45重量%含まれることが好ましく、7~45重量%含まれることがさらに好ましい。前記光重合性化合物が前述した範囲に含まれる場合には、画素部の強度や平滑性が良好になるので、好ましい。
【0051】
光重合開始剤
本発明の一実施形態において、前記光重合開始剤は、前記アルカリ可溶性樹脂および光重合性単量体を重合させることができるものであれば、その種類を特に制限なく使用可能である。特に、重合特性、開始効率、吸収波長、入手性、価格などの観点から、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物およびオキシム化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用することが好ましい。
【0052】
前記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
【0053】
前記アセトフェノン系化合物の具体例としては、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0054】
前記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2-ビス(2,6-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールまたは4,4’,5,5’位のフェニル基がカルボアルコキシ基によって置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。これらのうち、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾールまたは2,2-ビス(2,6-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールが好ましく使用される。
【0055】
前記オキシム化合物の具体例としては、o-エトキシカルボニル-α-オキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、下記化学式1~3で表される化合物などが挙げられる。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
また、本発明の効果を損なわない程度であれば、当該技術分野にて通常使用されているその他の光重合開始剤を追加的に併用してもよい。
【0060】
本発明の着色感光性組成物における光重合開始剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して、0.05~30重量%が好ましく、0.5~20重量%であることがさらに好ましく、0.5~10重量%であることがより好ましい。光重合開始剤が前記含有量範囲を満足する場合、ターゲットサイズの良好なパターン特性を実現するのに有利である。
【0061】
溶剤
前記溶剤は、着色感光性樹脂組成物に含まれる他の成分を溶解させるのに効果的なものであれば、通常の感光性樹脂組成物で使用される溶剤を特に制限なく使用可能であり、特に、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類またはアミド類などが好ましく使用可能である。
【0062】
溶剤は、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0063】
前記溶剤は、塗布性および乾燥性の面から、沸点が100℃~200℃の有機溶剤が好ましく、さらにより好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、ブチルラクテート、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどを用いることができる。前記例示した溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用可能である。
【0064】
前記溶剤は、本発明の着色感光性樹脂組成物の総重量を基準として、60~90重量%、好ましくは80~90重量%含まれる。溶剤が上述した範囲に含まれると、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になる効果を得ることができる。
【0065】
添加剤
前記添加剤は、必要に応じて選択的に添加できるものであって、例えば、他の高分子化合物、硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などが挙げられる。
【0066】
前記他の高分子化合物の具体例としては、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの感光性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0067】
前記硬化剤は、深部硬化および機械的強度を高めるために使用され、硬化剤の具体例としては、エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、メラミン化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0068】
前記硬化剤においてエポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、その他の芳香族系エポキシ樹脂、脂環族系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系樹脂、またはこのようなエポキシ樹脂の臭素化誘導体、エポキシ樹脂およびその臭素化誘導体以外の脂肪族、脂環族または芳香族エポキシ化合物、ブタジエン(共)重合体エポキシ化物、イソプレン(共)重合体エポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレート(共)重合体、トリグリシジルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0069】
前記硬化剤においてオキセタン化合物の具体例としては、カーボネートビスオキセタン、キシレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
【0070】
前記硬化剤は、硬化剤と共に、エポキシ化合物のエポキシ基、オキセタン化合物のオキセタン骨格を開環重合可能にする硬化補助化合物を併用することができる。前記硬化補助化合物は、例えば、多価カルボン酸類、多価カルボン酸無水物類、酸発生剤などがある。前記多価カルボン酸無水物類は、エポキシ樹脂硬化剤として市販のものを用いることができる。前記エポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、商品名(アデカハードナーEH-700)(アデカ工業(株)製造)、商品名(リカシッドHH)(新日本理化(株)製造)、商品名(MH-700)(新日本理化(株)製造)などが挙げられる。前記例示した硬化剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用可能である。
【0071】
前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物の被膜形成性をより向上させるために使用することができ、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤などが好ましく使用可能である。
【0072】
前記シリコーン系界面活性剤は、例えば、市販品として、ダウコーニング東レシリコーン社のDC3PA、DC7PA、SH11PA、SH21PA、SH8400などがあり、GE東芝シリコーン社のTSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4446、TSF-4460、TSF-4452などがある。前記フッ素系界面活性剤は、例えば、市販品として、大日本インキ化学工業社のメガピースF-470、F-471、F-475、F-482、F-489などがある。前記例示された界面活性剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用可能である。
【0073】
前記密着促進剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。前記例示した密着促進剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用可能である。前記密着促進剤は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、重量分率で、通常0.01~10重量%、好ましくは0.05~2重量%含まれる。
【0074】
前記酸化防止剤の具体例としては、2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールなどが挙げられる。
【0075】
前記紫外線吸収剤の具体例としては、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0076】
前記凝集防止剤の具体例としては、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0077】
<カラーフィルタおよび表示装置>
また、本発明は、本発明による着色感光性樹脂組成物で製造された着色パターンを含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含む表示装置を提供する。本発明のカラーフィルタおよび表示装置は、偏光板を含まないものでもよいし、偏光板を含むものも本発明の範囲に該当する。
【0078】
このようなカラーフィルタを備えることができる表示装置には、液晶表示装置、OLED、フレキシブルディスプレイなどがあり得るが、これに限定されるものではなく、適用可能なこの分野にて知られたすべての表示装置を例示することができる。
【0079】
カラーフィルタは、前述した本発明の着色感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、光硬化および現像してパターンを形成することにより製造することができる。
【0080】
まず、着色感光性樹脂組成物を基材に塗布した後、加熱乾燥することにより、溶媒などの揮発成分を除去して平滑な塗膜を得る。
【0081】
塗布方法としては、例えば、スピンコート、流延塗布法、ロール塗布法、スリットアンドスピンコートまたはスリットコート法などによって実施できる。塗布後、加熱乾燥(プリベーク)、または減圧乾燥後に加熱して溶媒などの揮発成分を揮発させる。ここで、加熱温度は、通常70~200℃、好ましくは80~130℃である。加熱乾燥後の塗膜厚さは、通常1~8μm程度である。こうして得られた塗膜に、目的とするパターンを形成するためのマスクを介して紫外線を照射する。この時、露光部全体に均一に平行光線が照射され、また、マスクと基板との正確な位置合わせが実施されるように、マスクアライナやステッパなどの装置を用いることが好ましい。紫外線を照射すれば、紫外線が照射された部位の硬化が行われる。
【0082】
前記紫外線としては、g線(波長:436nm)、h線、i線(波長:365nm)などを使用することができる。紫外線の照射量は、必要に応じて適宜選択可能であり、本発明においてこれを限定しない。硬化が終了した塗膜を現像液に接触させて非露光部を溶解させて現像すれば、目的とするパターン形状を形成することができる。
【0083】
前記現像方法は、液添加法、ディッピング法、スプレー法などのいずれを用いても構わない。また、現像時、基板を任意の角度に傾けてもよい。前記現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤とを含有する水溶液である。前記アルカリ性化合物は、無機および有機アルカリ性化合物のいずれでもよい。無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸2水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。また、有機アルカリ性化合物の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。
【0084】
これらの無機および有機アルカリ性化合物は、それぞれ単独または2種以上組み合わせて使用可能である。アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の濃度は、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.03~5質量%である。
【0085】
前記アルカリ現像液中の界面活性剤は、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤または陽イオン系界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1つを使用することができる。
【0086】
前記非イオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
【0087】
前記陰イオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
【0088】
前記陽イオン系界面活性剤の具体例としては、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミン塩または4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらの界面活性剤は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用可能である。
【0089】
前記現像液中の界面活性剤の濃度は、通常0.01~10質量%、好ましくは0.05~8質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。現像後、水洗し、また、必要に応じて、80~230℃で、好ましくは80~120℃で10~60分のポストベークを実施してもよい。
【実施例0090】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、下記に開示される本発明の一実施形態はあくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲に示され、なおかつ特許請求の範囲の記録と均等な意味および範囲内でのすべての変更を含む。また、以下の実施例、比較例において、含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、質量基準である。
【0091】
<実施例>
合成例:バイオレット染料Cの合成
3’,6’-ジクロロスピロ[ベンゾ[c][1,2]オキサゾール-3,9’-キサンテン]1,1-ジオキシド化合物20部と2,6-ジメチルアニリン200部を遮光条件下で混合して、得られた溶液を110℃で6時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却後、水800部、35%塩酸50部の混合液中に添加して室温で1時間撹拌したところ、結晶が析出した。析出した結晶を吸引濾過の残渣として得た後、乾燥して、式Cで表される化合物(染料C)24部を得た。
【0092】
【0093】
製造例1~5:顔料分散液の製造
製造例1:顔料分散液A-1の製造
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6 11重量部、顔料分散剤としてDISPERBYK-2001(BYK社製)5.0重量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート84.0重量部を、ビーズミルによって12時間混合および分散して、顔料分散液A-1を製造した。
【0094】
製造例2:顔料分散液A-2-1の製造
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:4 12重量部、顔料分散剤としてDISPERBYK-2001(BYK社製)8.4重量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート79.6重量部を、ビーズミルによって12時間混合および分散して、顔料分散液A-2-1を製造した。
【0095】
製造例3:顔料分散液A-2-2の製造
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3 12重量部、顔料分散剤としてDISPERBYK-2001(BYK社製)8.4重量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート79.6重量部を、ビーズミルによって12時間混合および分散して、顔料分散液A-2-2を製造した。
【0096】
製造例4:顔料分散液Bの製造
顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23 11重量部、顔料分散剤としてDISPERBYK-2001(BYK社製)5.0重量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート84.0重量部を、ビーズミルによって12時間混合および分散して、顔料分散液Bを製造した。
【0097】
製造例5:染料分散液Cの製造
合成例による染料C8重量部、分散剤としてDISPERBYK-2001(BYK社製)6.4重量部、および溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテート85.6重量部を、ビーズミルによって12時間混合および分散して、染料分散液Cを製造した。
【0098】
実施例1~15および比較例1~7:着色感光性樹脂組成物の製造
下記表1の組成および含有量によって実施例1~15および比較例1~7の着色感光性樹脂組成物を製造した。
【0099】
【0100】
前記実施例および比較例で使用された成分は、下記の通りである。
着色剤A-1:製造例1の顔料分散液A-1
着色剤A-2-1:製造例2の顔料分散液A-2-1
着色剤A-2-2:製造例3の顔料分散液A-2-2
着色剤B:製造例4の顔料分散液B
着色剤C:製造例5の染料分散液C
樹脂D:メタクリル酸単位とベンジルメタクリレート単位とのモル比が31:69、重量平均分子量が12500、酸価が95のメタクリル酸とベンジルメタクリレートとの共重合体
光重合性化合物E:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬(株)製品)
光重合開始剤F:OXE-01(BASF社製)
添加剤G:SH-8400(韓国ダウコーニング(株)製品)
溶剤H:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0101】
実験例
1.透過率評価
まず、前記実施例および比較例で製造された着色感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを製造した。具体的には、前記着色感光性樹脂組成物それぞれをスピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、100℃の加熱オーブンで1分30秒間維持して薄膜を形成させた。次に、23℃に冷却させた後、形成された着色感光性樹脂組成物層を露光した。この時、紫外線光源はg、h、i線をすべて含む1kWの高圧水銀灯を用いて150mJ/cm2の露光量で照射し、特別な光学フィルタは用いなかった。以後、220℃の加熱オーブンで5分間加熱して熱硬化することにより、カラーフィルタを製造した。製造されたカラーフィルタのカラー層の厚さを0.5μmに作製した後、下記の評価基準で透過率を測定および評価して、その結果を下記表2に記載した。
<透過率評価基準>
×:445nmの透過率88.5%未満または700nmの透過率20%超過
○:445nmの透過率88.5%以上89.5%未満および700nmの透過率19%超過20%以下
◎:445nmの透過率89.5%以上および700nmの透過率19%以下
【0102】
2.残渣評価
前記実施例および比較例で得られた着色感光性樹脂組成物を6インチサイズのSi-waferの表面上にスピンコーティング法によって塗布した後、100℃で90秒間乾燥させて揮発成分を揮発させて感光性組成物層を形成した。23℃に冷却させた後、形成された感光性組成物層にi-line stepperを用いて露光した。露光した塗膜が形成されたウエハを0.2重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で現像し、220℃で180秒間後加熱して画素を形成した。得られた画素の厚さはいずれも0.5μmであった。形成された画素の最小ライン幅(解像度)は1.0μmであった。前記得られたパターンをCD-SEMを用いて観察し、残渣の有無を下記の評価基準で評価し、その結果を下記表2に記載した。
<残渣評価基準>
1:激しい不良、2:不良、3:普通、4:良好、5:極めて良好
【0103】
【0104】
前記表2を参照すれば、本発明による実施例1~15の場合、445nmと700nmの波長での基準透過率を満足し、残渣も普通以上の結果を示すことを確認することができる。
【0105】
これに対し、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23のみを含む比較例1の場合、445nmの波長での基準透過率を満足したが、700nmの波長での透過率が高かった。また、比較例1による着色剤の組成にバイオレット染料Cのみをさらに含む比較例2~4の場合、445nmの波長での透過率は良好であったが、700nmの波長での透過率が依然として高かった。そして、比較例1による着色剤の組成にC.I.ピグメントブルー15:4のみをさらに含む比較例5~7の場合には、700nmの波長での透過率は良好であったが、445nmの波長で透過率の低下が発生して基準を満足していない。
【0106】
上記の結果をまとめると、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントバイオレット23のみを含む従来の着色感光性樹脂組成物の場合、クロストーク透過率に非常に不利であることが分かる。