(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124839
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】医用画像処理方法、医用画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20230830BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
A61B6/00 360Z
A61B6/03 360T
A61B6/00 300D
A61B6/00 300X
A61B6/00 350S
A61B6/03 370E
A61B6/03 350K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026447
(22)【出願日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】17/680,873
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VERILOG
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルイ フア
(72)【発明者】
【氏名】コマル ドゥッタ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ マナーク
(72)【発明者】
【氏名】イー フー
(72)【発明者】
【氏名】ユービン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユジエ リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン バウムガルト
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA01
4C093CA06
4C093CA07
4C093EC16
4C093FC16
4C093FC26
4C093FF03
4C093FF04
4C093FF34
4C093FF42
(57)【要約】
【課題】画質を向上させること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理方法は、訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得されたX線画像データを適用し、画質の劣化が少ない前記X線画像データを処理画像として出力する方法である。前記訓練済み機械学習モデルは、第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3Dデータに基づいて、シミュレートされた投影画像データと、シミュレートされた画質の劣化データとを取得し、前記シミュレートされた投影画像データと前記シミュレートされた画質の劣化データとを使用することにより、生成される。前記第1の放射線イメージング装置はCアームを備えるX線診断装置であり、前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得されたX線画像データを適用し、画質の劣化が少ない前記X線画像データを処理画像として出力する医用画像処理方法であって、
前記訓練済み機械学習モデルは、
第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3Dデータに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影画像データと、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた画質の劣化データとを取得し、前記シミュレートされた投影画像データと前記シミュレートされた画質の劣化データとを使用することにより、訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成され、
前記第1の放射線イメージング装置はCアームを備えるX線診断装置であり、
前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography: CT)装置である、医用画像処理方法。
【請求項2】
前記シミュレートされた画質の劣化データは、前記3Dデータに基づいて生成された、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた散乱データである、
請求項1に記載の医用画像処理方法。
【請求項3】
前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを入力として適用し、前記X線画像データの散乱データを出力として取得し、
前記X線画像データから当該散乱データを減算することで、散乱補正された投影画像データを生成する、請求項1ないし2に記載の医用画像処理方法。
【請求項4】
前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを適用することは、
前処理済み画像データを生成するために、前記X線画像データに飽和補正を適用することと、
前記訓練済み機械学習モデルに前記前処理済み画像データを適用することと、
を含む、請求項1に記載の医用画像処理方法。
【請求項5】
前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを適用することは、
前処理済み画像データを生成するために、前記X線画像データにトランケーション補正を適用することと、
前記訓練済み機械学習モデルに前記前処理済み画像データを適用することと、
を含む、請求項1に記載の医用画像処理方法。
【請求項6】
前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを適用することは、散乱補正された投影データを生成するために、前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを適用することを含み、前記医用画像処理方法は、
散乱補正された画像データを生成するために、前記散乱補正された投影データに対して再構成を実行すること、
をさらに含む、請求項1に記載の医用画像処理方法。
【請求項7】
ノイズ低減され、散乱補正された画像を生成するために、少なくとも1つのノイズ低減ニューラルネットワークに前記散乱補正された画像データを適用することをさらに含む、請求項6に記載の医用画像処理方法。
【請求項8】
アーチファクト低減され、散乱補正された画像を生成するために、少なくとも1つのコーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワークに前記散乱補正された画像データを適用することをさらに含む、請求項6に記載の医用画像処理方法。
【請求項9】
前記X線画像データは、前記Cアームを備えるX線診断装置により取得された投影データを再構成した画像に対応する画像データである、請求項1に記載の医用画像処理方法。
【請求項10】
前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートは、モンテカルロ計算と、放射伝達方程式(Radiative Transfer Equation:RTE)の決定論的解法のいずれかを用いて、前記第1の放射線イメージング装置の撮像ジオメトリによる前記被検体の撮像を模すシミュレーションである、請求項1に記載の医用画像処理方法。
【請求項11】
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得されたX線画像データを適用し、画質の劣化が少ない前記X線画像データを処理画像として出力する処理回路を備え、
前記訓練済み機械学習モデルは、
第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3Dデータに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影画像データと、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた画質の劣化データとを取得し、前記シミュレートされた投影画像データと前記シミュレートされた画質の劣化データとを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成され、
前記第1の放射線イメージング装置はCアームを備えるX線診断装置であり、
前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography: CT)装置である、医用画像処理装置。
【請求項12】
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得されたX線画像データを適用し、画質の劣化が少ない前記X線画像データを処理画像として出力する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記訓練済み機械学習モデルは、
第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3Dデータに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影画像データと、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた画質の劣化データとを取得し、前記シミュレートされた投影画像データと前記シミュレートされた画質の劣化データとを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成され、
前記第1の放射線イメージング装置はCアームを備えるX線診断装置であり、
前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography: CT)装置である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理方法、医用画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コーンビームコンピュータ断層撮影(Cone Beam Computed Tomography:CBCT)などのX線イメージングでは、ノイズ、ビームハードニング、飽和、視野トランケーション、メタルアーチファクト、およびコーンビームアーチファクトなどのいくつかの要因、特に散乱によって、画像が劣化し得る。現在のノイズ補正および散乱補正の技術は、多くの場合、パラメータチューニングのために多くのエンジニアリング労力を必要とする。
【0003】
また、補正プロセスは非常に時間がかかり、実施が困難で、一貫性のない結果をもたらし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0273214号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面の開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、画質を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像処理方法は、訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得されたX線画像データを適用し、画質の劣化が少ない前記X線画像データを処理画像として出力する医用画像処理方法である。前記訓練済み機械学習モデルは、第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3Dデータに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影画像データと、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた画質の劣化データとを取得し、前記シミュレートされた投影画像データと前記シミュレートされた画質の劣化データとを使用することにより、訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成される。前記第1の放射線イメージング装置はCアームを備えるX線診断装置であり、前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography: CT)装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態による、シミュレートされた投影データおよびシミュレートされた散乱データを用いてモデルを訓練することによって散乱X線の影響を低減する、訓練済み機械学習モデルを生成する方法のためのワークフローを示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、飽和補正、トランケーション補正、散乱補正、ノイズ低減、およびアーチファクト低減を使用した高画質X線画像を生成する方法のためのワークフローを示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、飽和補正のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、トランケーション補正のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、散乱補正のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、ノイズ低減のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態による、コーンビームアーチファクト低減のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態による、飽和およびトランケーション補正のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す図である。
【
図9】本開示の一実施形態による、ノイズおよびコーンビームアーチファクト低減のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す図である。
【
図10】本開示の一実施形態による、それぞれの係数ライブラリを利用することによる、解剖学ベースの飽和補正、トランケーション補正、散乱補正、ノイズ低減、およびコーンビームアーチファクト低減のためのワークフローを示す図である。
【
図11】本開示の一実施形態による、高画質画像を生成する方法のフローチャートである。
【
図12】本開示の一実施形態による、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)システムを示す図である。
【
図13】本開示の一実施形態による、X線診断装置の構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら、医用画像処理方法、医用画像処理装置及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0009】
本明細書に記載された装置および方法は、本開示の非限定的実施例の実施態様として提供される。当業者には理解されるように、本開示は、その精神または本質的特徴から逸脱することなしに、他の特定の形態で具体化されてもよい。したがって、詳細な説明は、例示であって、本開示の範囲を限定するものではないことを意図している。本明細書での教示の容易に認識可能な変形を含む本開示は、発明の主題が公共の用に供されないように、前述の特許請求の範囲の用語の範囲を、部分的に定義する。
【0010】
本開示は、コーンビームCTイメージング装置を含むがこれに限定されない医用イメージング装置のための、深層学習ベースの画像再構成に関する。ノイズ、飽和、トランケーション、およびアーチファクトなどの異なるタイプ、特に散乱の画像劣化を補正するために、複数の深層学習ベースのモデルが最適化され得る。投影領域では、散乱の強度は、主信号の強度よりも一桁高く達し得る。コリメータ、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)、および散乱線除去グリッドは、散乱強度の低減に役立つが、それでも散乱強度は、主信号と同じ桁になり得る。したがって、場合によっては、再構成された画像には、かなりの不均一性および定量化誤差が含まれ得る。散乱の影響を低減するために、ハードウェア(例えば、患者側コリメータおよび/またはボウタイフィルタおよび/または検出器側散乱線除去グリッド)に加えて、もしくはその代わりに、本明細書に記載の技術は、X線画像に訓練済み機械学習システム(例えば、ニューラルネットワーク)を適用する。散乱補正のための既知のソフトウェア技術は、投影領域における散乱除去(例えば、(1)ダブルガウス形状フィルタ法、および(2)反復画像領域散乱関連のアーチファクト補正など)を含むが、このようなソフトウェア技術は、時間がかかることがある。本明細書に記載されるように、オフライン訓練プロセス(例えば、
図1に示されるように)を実行して、少なくとも1つの機械学習システム(例えば、深層学習ニューラルネットワーク)を訓練し、減算のための異なる角度で各投影ビューの散乱プロファイルを予測することができる。
【0011】
一実施形態では、異なる3D/ボリュームデータ120の多数のセットは、ファントムおよび臨床部位から取得することができ、投影画像および散乱画像の合成ペアを生成するために使用することができる。得られたデータは、例えば、臨床的な頭部データまたは腹部データであり、コンピュータ断層撮影イメージング装置などの3Dイメージングソースからのものである。得られたデータは、造影剤の存在下または非存在下で得られたデータのいずれであってもよく、両者の組み合わせであってもよい。
【0012】
次に、訓練データ(例えば、ボリュームデータ120を使用した、シミュレートされた高ノイズ投影データ125)は、GEANT4によるモンテカルロシミュレーションから得ることができるが、他の訓練データソースも同様に可能である。訓練データは、ボリュームデータ120が得られた3Dイメージングソースと同じ種類ではないことのある放射線装置によって被検体が撮像された場合を示す投影データとなるように生成される。各ボリュームに対して、様々な角度データの多数のセット(例えば50~300)をシミュレートすることができる。このようなシミュレーションは、連続的、または同時のいずれかで行うことができる(例えば、計算サーバファームまたはマルチプロセッサシステムからの複数のCPUコアを使用する)。シミュレートされたデータは、散乱線除去グリッド(Anti-Scatter Grid:ASG)のある、または散乱線除去グリッドのない構成に対してシミュレートすることができる。ASGのある構成に対するシミュレーションの場合、被検体の材質に依存する被検体によって生じる散乱に限定した、シミュレートされた散乱を生成することができる。その場合、オブジェクトボリュームからの散乱のみが抽出され、ASGからの散乱を含める必要はない。あるいは、ASGからの散乱を含むこともできる。
【0013】
一実施形態では、モンテカルロシミュレーション(単数または複数)のために必要な時間を短縮するために、計算効率を考慮して、シミュレーションの各ビューに対して、制限された光子数を適用することができる。散乱プロファイル130が空間に沿ってゆっくりと変化し、ファントムまたは患者の小さな細部に対して敏感でないことを考えると、訓練前に、強いガウシアンフィルタを適用して、シミュレートされた散乱画像を平滑化する(低ノイズのシミュレートされた散乱プロファイルデータ140を生成する)ことができる。訓練用シミュレートされた投影データ135を生成するために、シミュレートされた高ノイズ投影データ125のいくつかの前処理を実行することができるが、好ましい実施形態では、シミュレートされた散乱画像を平滑化するために(低ノイズのシミュレートされた散乱プロファイルデータ140を生成するために)適用される強いガウシアンフィルタは、画像品質を保持するために、シミュレートされた高ノイズ投影データ125に適用されない。
【0014】
また、訓練データ作成には、モンテカルロ計算に加えて、放射伝達方程式(Radiative Transfer Equation:RTE)の決定論的解法に基づく散乱プロファイルデータ140の計算を使用することができる。訓練に利用できるデータ量を増加させるために、ビュー間の補間およびデータの回転のうちの少なくとも1つによって初期の訓練セットを増大/拡大し、追加の訓練データを生成する。一実施形態では、造影剤および非造影剤のボリュームデータに基づいて別々の訓練データを生成し、別々の訓練データを使用して、ボリュームデータを取得したときに造影剤が存在したかどうかに固有のネットワークを訓練する。別の実施形態では、単一のネットワークのための訓練データは、造影剤が存在する場合と存在しない場合の両方のイメージングによって得られるボリュームデータから生成される。
【0015】
1つの構成では、修正されたUネットの形態での機械学習システムが使用され、入力、隠れ層および出力層の数は、散乱をモデル化するために必要なネットワークの複雑さに基づいて変えることができ、さらに処理される様々なビュー角度に従って変えることができる。訓練用シミュレートされた投影データ135は、機械学習システムを訓練するための入力として使用され、散乱プロファイルデータ140は、機械学習システムを訓練している間の出力/目標として使用される。また、投影/画像情報は、ネットワークによって、初期画像(例えば、1024×1024ピクセル)をより小さなスケール画像(例えば、256×256)に縮小することなどによってダウンサンプリングし、後にアップサンプリングして元の画像サイズに再び適合させてもよい。同じネットワークもしくは異なるネットワークまたはプロセスにおいて、元のデータもまた適切な強度レベルにスケーリングしてもよい(例えば、正規化プロセスを介して)。さらに、本明細書の議論の多くは、投影領域(2D)データへの訓練プロセスの適用に基づくが、訓練済み機械学習ベースの方法およびシステムを使用した散乱補正は、画像領域(3D)データおよび/またはサイノグラム領域データにも適用することができ、ここで、散乱のないシミュレートされた再構成画像またはサイノグラムを、訓練目標/望ましい結果として使用することができ、散乱のある再構成データ(サイノグラム)を、訓練入力として使用する。
【0016】
本明細書で論じる一実施形態では、散乱X線の影響を低減するために生成された訓練済み機械学習モデルは、コンピュータ断層撮影(CT)システムからの高解像度3D投影/画像データから生成されたデータを使用して訓練されるが、投影図単位でコーンビームコンピュータ断層撮影(Cone Beam Computed Tomography:CBCT)システムからの投影データを補正するために使用される。
【0017】
すなわち、実施形態にかかる医用画像処理方法は、訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得された目標画像データを適用する医用画像処理方法である。訓練済み機械学習モデルは、第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3D訓練データに基づいて、第1の放射線装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた投影データを生成し、シミュレートされた投影データを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成される。
【0018】
第1の放射線イメージング装置は、例えば
図13に示されるX線診断装置であり、第1のスキャンであるCBCTスキャンを実行する。一方、第2の放射線イメージング装置は、例えば
図12に示されるX線CT装置であり、第2のスキャンであるCTスキャンを実行して3D訓練データを作成する。
【0019】
また、実施形態に係る医用画像処理装置は、訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得された目標画像データを適用する処理回路を備え、訓練済み機械学習モデルは、第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3D訓練データに基づいて、第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた投影データを生成し、シミュレートされた投影データを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成される。
図13に示される処理回路609が、目標画像データを適用する処理回路の一例である。また、
図12に示される再構成デバイス514が、目標画像データを適用する処理回路の一例であってもよい。また、実施形態に係るプログラムは、訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得された目標画像データを適用する処理をコンピュータに実行させる。
【0020】
機械学習システムによって適用される散乱補正に加えて、機械学習システム(または機械学習システムの出力が適用される追加のネットワーク)は、機械学習システムに適用される投影データに対して追加のタイプの補正を実行することができる。本開示の一部で記載したように、追加の補正(例えば、飽和補正、トランケーション補正、ノイズ除去、およびアーチファクト除去)は、1つ以上の追加のネットワークによって適用されるが、散乱補正、飽和補正、トランケーション補正、ノイズ低減、およびアーチファクト除去のいずれか1つ、または任意の組み合わせを組み合わせる、組み合わせシステムもまた可能である。
【0021】
1つ以上のニューラルネットワークの第1のセットは、データセット(例えば、CBCTデータセット)の投影領域における飽和および/またはトランケーションを補正するために訓練することができ、1つ以上のニューラルネットワークの第2のセットは、画像領域において、再構成後のCBCTデータセットのノイズおよびアーチファクトを低減するために訓練することができる。訓練プロセスは、訓練ペアを生成するために、シミュレーションを介して高品質なデータセットに対して劣化をシミュレートすることを含むことができる。あるいは、少なくとも1つの他のソース(例えば、ノイズソース)からの実際の劣化データを、訓練前にデータセットに適用することができる。
【0022】
ここで図面を参照すると、同様の参照番号が複数のビューを通して同一または対応する部分を示しており、
図2は、医用イメージング装置でキャプチャされたスキャンの画像再構成のための方法100を示す。明確にするために、議論される医用イメージング装置は、CBCTスキャナであるが、他のシステムもまたこのような技術を実施することできると理解され得る。
【0023】
はじめに、CBCTスキャナによって生データ101が収集される。この生データ101は、患者などの、被検体の実際のスキャンからの投影データセットとすることができる。
【0024】
ステップ200では、生データ101が飽和に対して補正される。補正プロセスは、CBCT投影データセット(例えば、生データ101)を入力とし、飽和補正されたCBCT投影データセットを出力することができるニューラルネットワークを利用することを含む。ステップ200および飽和補正のためのこのようなニューラルネットワークを訓練することに関する追加の詳細については、
図3を参照して後述する。
【0025】
次に、ステップ200からの飽和補正されたCBCT投影データセットは、ステップ300でトランケーションに対して補正される。ニューラルネットワークを使用して、ステップ300でのトランケーション補正は、CBCT投影データセットを入力とし、トランケーション補正されたCBCT投影データセットを出力することができる。ステップ300およびトランケーション補正のためのこのようなニューラルネットワークを訓練することに関する追加の詳細については、
図4を参照して後述する。
【0026】
次に、ステップ300からの出力は、ステップ400で散乱補正のために使用される。図示されているように、ステップ400は、
図1のプロセスと同様であるが、追加の詳細事項が記載され、CBCT固有の投影データおよび散乱データのシミュレーションに関して特に詳細に説明される(ただし、本明細書に記載される技術は、CBCT固有の技術に限定されない)。ステップ400は、CBCT投影データセットをニューラルネットワークに入力すること、ニューラルネットワークを使用して入力CBCT投影データセットに対する散乱プロファイルを推定すること、入力CBCT投影データセットから推定散乱プロファイルを減算すること、および散乱補正されたCBCT投影データセットを生成すること、を含む。ステップ400および散乱補正のためのこのようなニューラルネットワークを訓練することに関する追加の詳細については、
図5を参照して後述する。
【0027】
この時点で、生データ101は、投影領域における飽和、トランケーション、および散乱に対して補正されている。次に、ステップ103で再構成が実行され、ステップ400の出力をCBCT画像に変換する。この再構成は、フィルタ逆投影など、当業者に知られている任意の手法を使用して実行することができる。
【0028】
次に、ステップ103で再構成された画像は、ステップ600でノイズ低減のために使用される。ステップ600は、再構成されたCBCT画像をニューラルネットワークに入力すること、および低減されたノイズを有するCBCT画像を出力として出力することを含む。ノイズ低減のためのこのようなニューラルネットワークを訓練することに関する追加の詳細については、
図6を参照して後述する。
【0029】
次に、ノイズ低減を有するCBCT画像は、ステップ700でコーンビームアーチファクト低減のために使用される。ステップ700は、ステップ600から生成されたノイズ低減を有するCBCT画像をニューラルネットワークに入力すること、および低減されたアーチファクトを有するCBCT画像を出力することを含む。アーチファクト低減のためのこのようなニューラルネットワークを訓練することに関する追加の詳細については、
図7を参照して後述する。
【0030】
ステップ200、300、400、103、600、および700が完了すると、生データ101は、高画質画像105に変換され、高画質画像105は、閲覧するために表示され得る。生データ101から直接再構成された可能性のある画像と比較して、高画質画像105は、より少ない飽和、トランケーション、散乱、ノイズ、およびアーチファクトを有する。
【0031】
当業者によって理解され得るように、方法100でのステップの順序は、他の実施形態で変化し得る。他の実施形態では、例えば、ステップ200、300、および400の順序は、任意の組み合わせであり得る。同様に、一実施形態では、ステップ600と700の順序を反転させることができる。別の実施形態では、ステップ200、300、400、600、および700は、全て実行する必要はなく、これらのステップの1つ以上を省くことができる。
【0032】
図3は、一実施形態による、飽和補正のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す。方法210は、飽和補正訓練プロセスを示す。第一に、高解像度CT(コンピュータ断層撮影)データセット207が得られる。高解像度CTデータセット207(または
図1における120)は、CTスキャナで患者をスキャンするなどの、様々な方法で得ることができる。あるいは、あたかも3Dデータを取得したかのように処理することができる3Dボリュームデータに変換するデジタルファントムをシミュレートすることによって、高解像度CTデータセットを作成してもよい。
【0033】
次に、高解像度CTデータセット207は、ステップ209で順投影されて、シミュレートされたCBCT投影データセット211を生成する。順投影は、画像領域におけるCTデータセットを、投影領域におけるCBCTデータセットに変換することができる。当業者に知られている任意の順投影技術を使用することができる。低解像度のCTデータセットではなく、高解像度のCTデータセットを使用することにより、順投影CBCT投影データセットもまた高解像度にすることができる。
【0034】
ステップ213でCBCT投影データセット211に飽和を追加して(例えばシミュレーションを介して)、追加された飽和を有するCBCT投影データセット215を生成する。飽和の様々なレベルを追加して、幅広い飽和レベルに及ぶ訓練ペアを作成することができる。シミュレートされたCBCT投影データセット211は、飽和効果をシミュレートするために、特定の閾値でクリッピングすることができる。その後、シミュレートされたCBCT投影データセット211を目標学習データとして使用し、ステップ217で、追加された飽和を有するCBCT投影データセット215を、ニューラルネットワークを訓練するための入力学習データとして使用する。ステップ217でニューラルネットワークが十分に訓練された(例えば停止基準を満たした)後、飽和補正ニューラルネットワーク203が生成される。
【0035】
この飽和補正ニューラルネットワーク203は、方法100におけるステップ200の飽和補正で使用することができる。ステップ200での飽和補正中に、CBCT投影データセット201が得られる。CBCT投影データセット201は、一実施形態によれば、CBCTスキャナによって被検体の実際のスキャンから得ることができる。方法100に関連して、CBCT投影データセット201は、生データ101である。その後、CBCT投影データセット201は、飽和補正されたCBCT投影データセット205を生成するために、飽和補正ニューラルネットワーク203に入力される。
【0036】
図4は、一実施形態による、トランケーション補正のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す。方法310は、トランケーション補正訓練プロセスを示す。第一に、高解像度CTデータセット307が得られる。高解像度CTデータセット307は、CTスキャナで患者をスキャンする、またはデジタルファントムをシミュレートするなどの、様々な方法で得ることができる。
【0037】
次に、高解像度CTデータセット307は、ステップ309で順投影されて、シミュレートされたCBCT投影データセット311を生成する。順投影は、投影領域におけるCTデータセットを、投影領域におけるCBCTデータセットに変換することができる。当業者に知られている任意の順投影技術を使用することができる。
【0038】
ステップ313でシミュレートされたCBCT投影データセット311にトランケーションを追加して(例えばシミュレーションを介して)、追加されたトランケーションを有するCBCT投影データセット315を生成する。トランケーションの様々なレベルは、シミュレーションを介して追加することができる。シミュレートされたCBCT投影データセット311の中心位置は、トランケーションをシミュレートするために移動およびパディングすることができる。その後、シミュレートされたCBCT投影データセット311を目標学習データとして使用し、ステップ317で、追加されたトランケーションを有するCBCT投影データセット315を、ニューラルネットワークを訓練するための入力学習データとして使用する。ステップ317でニューラルネットワークが十分に訓練された(例えば停止基準を満たした)後、トランケーション補正ニューラルネットワーク303が生成される。
【0039】
このトランケーション補正ニューラルネットワーク303は、方法100におけるステップ300のトランケーション補正で使用することができる。ステップ300でのトランケーション補正中に、CBCT投影データセット301が得られる。CBCT投影データセット301は、一実施形態によれば、CBCTスキャナによって被検体の実際のスキャンから得ることができる。方法100に関連して、CBCT投影データセット301は、ステップ200から出力された投影データセット(すなわち、飽和補正されたCBCT投影データセット205)である。CBCT投影データセット301は、トランケーション補正されたCBCT投影データセット305を生成するために、トランケーション補正ニューラルネットワーク303に入力される。
【0040】
図5は、一実施形態による、散乱補正のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す。方法410は、散乱を推定するための訓練プロセスを示す。第一に、3Dボリュームデータ409が得られる。3Dボリュームデータ409は、ファントムおよび/または臨床部位から取得することができる。例えば、3Dボリュームデータ409は、臨床頭部データまたは腹部データとすることができる。この3Dボリュームデータ409は、訓練のための投影および散乱データセットの合成ペアを生成するために使用することができる。
【0041】
ステップ411は、3Dボリュームデータ409を使用してCBCT投影データをシミュレートし、シミュレートされたCBCT投影データセット413を生成するためのものである。シミュレートされたCBCT投影データセット413は、投影データだけでなくノイズも含み、モンテカルロ法(例えば、GEANT4)および/または放射伝達方程式(RTE)技術を使用して生成することができる。モンテカルロ法を使用してシミュレートされたデータセットを生成する場合の一実施形態では、より少ない検出器の画素数を使用して、使用される光子数を低減することができる。モンテカルロ法を使用する場合の別の実施形態では、幾何学的形状は実際のセットアップと同一であり、一方向の散乱線除去グリッドが含まれている。
【0042】
ステップ415は、3Dボリュームデータ409を使用してCBCT散乱データセットをシミュレートし、シミュレートされたCBCT散乱データセット417を生成するためのものである。シミュレートされたCBCT散乱データセット417は、3Dボリュームデータ409からの散乱プロファイルを示し、モンテカルロ法(例えば、GEANT4)および/または放射伝達方程式(RTE)技術を使用して生成することができる。さらに、シミュレートされたCBCT散乱データセット417は、ノイズを除去して平滑なシミュレートされたCBCT散乱データセット421を生成するために、ステップ419で適切なフィルタ(例えば、強ガウシアンフィルタ)を使用してフィルタリングすることができる。散乱プロファイルは空間に沿ってゆっくりと変化し、ファントムまたは患者の小さな細部に対して敏感でないため、フィルタを適用することができる。一次投影はそのままに、低周波の散乱プロファイルを平滑化することができる。
【0043】
ステップ423では、シミュレートされたCBCT投影データセット413を入力学習データとして、かつ平滑なシミュレートされたCBCT散乱データセット421を目標学習データとして使用して、ニューラルネットワークが訓練される。ニューラルネットワークは、訓練データの複雑さに応じてその複雑さを調整することができる、修正されたU-net構造を含むことができる。ステップ423の出力は、投影データセット入力の散乱プロファイルを推定することができる、散乱推定ニューラルネットワーク403である。
【0044】
散乱推定ニューラルネットワーク403は、方法100におけるステップ400の散乱補正で使用することができる。ステップ400での散乱補正中に、CBCT投影データセット401が得られる。CBCT投影データセット401は、一実施形態によれば、CBCTスキャナによって被検体の実際のスキャンから得ることができる。方法100に関連して、CBCT投影データセット401は、ステップ300から出力された投影データセット(すなわち、トランケーション補正されたCBCT投影データセット305)である。その後、CBCT投影データセット401は、CBCT投影データセット401の推定された散乱プロファイルを生成するために、散乱推定ニューラルネットワーク403に入力される。
【0045】
ステップ405では、散乱推定ニューラルネットワーク403から推定された散乱は、CBCT投影データセット401から除去(減算)されて、散乱補正されたCBCT投影データセット407を生成する。推論前に検出器画素の縮小プロセスがあった場合、推論後(例えば、ステップ403の後、かつステップ405の前)に拡大プロセスを実行することができる。
【0046】
場合によっては、臨床例で取得された生データセットは、大きい(例えば、サイズ1024×1024)ことに留意されたい。シミュレーションに使用される光子の数に制限があり得るため、より小さなサイズのシミュレートされたデータ(例えば、256×256)を訓練に使用することができる。このようなシナリオでは、予測前の縮小および予測後の拡大を含めることができる。また、予測されるデータは、適切な強度レベル(すなわち、訓練に使用されるシミュレートされたデータセットと同様の強度レベル)にスケーリングすることができる。
【0047】
別の実施形態では、散乱補正は、投影領域ではなく、画像領域またはサイノグラム領域で実行することができる。このような場合、散乱のないシミュレートされた再構成画像またはサイノグラムを目標学習データとして使用することができ、散乱のある再構成画像またはサイノグラムを入力学習データとして使用することができる。
【0048】
図6は、一実施形態による、ノイズ低減のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す。方法610は、ノイズ低減ニューラルネットワークのための訓練プロセスを示す。第一に、高解像度CTデータセット607が得られる。高解像度CTデータセット607は、CTスキャナで患者をスキャンする、またはデジタルファントムをシミュレートするなどの、様々な方法で得ることができる。
【0049】
次に、高解像度CTデータセット607は、ステップ609で順投影されて、シミュレートされたCBCT投影データセット611を生成する。順投影は、投影領域におけるCTデータセットを、投影領域におけるCBCTデータセットに変換することができる。当業者に知られている任意の順投影技術を使用することができる。
【0050】
ステップ613でシミュレートされたCBCT投影データセット611にノイズを追加して(例えばシミュレーションを介して)、追加されたノイズを有するCBCT投影データセット615を生成する。その後、ステップ619でシミュレートされたCBCT投影データセット611を画像に再構成して、目標学習データとして使用する一方で、ステップ621で追加されたノイズを有するCBCT投影データセット615を画像に再構成して、ステップ617でニューラルネットワークを訓練するための入力学習データとして使用する。ステップ617でニューラルネットワークが十分に訓練された(例えば停止基準を満たした)後、ノイズ低減ニューラルネットワーク603が生成される。
【0051】
ノイズ低減ニューラルネットワーク603は、方法100のステップ600でノイズ低減のために使用することができる。ステップ600でのノイズ低減中に、CBCT画像データセット601が得られる。CBCT画像データセット601は、一実施形態によれば、画像領域にあり、CBCTスキャナによって被検体の実際のスキャンから得ることができる。方法100に関連して、CBCT画像データセット601は、ステップ103の出力(すなわち、再構成された、散乱補正されたCBCT投影データセット407)である。その後、CBCT画像データセット601は、ノイズ低減されたCBCT画像データセット605を生成するために、ノイズ低減ニューラルネットワーク603に入力される。
【0052】
訓練ペアは、異なる線量レベルで生成することができる。一実施形態では、線量レベルの範囲は、臨床の場で最も一般的に使用される線量レベルに基づき得る。
【0053】
図7は、一実施形態による、コーンビームアーチファクト低減のためのニューラルネットワークを訓練および利用するためのワークフローを示す。方法710は、アーチファクト低減のための訓練プロセスを示す。第一に、高解像度CTデータセット707が得られる。高解像度CTデータセット707は、CTスキャナで患者をスキャンする、またはデジタルファントムをシミュレートするなどの、様々な方法で得ることができる。
【0054】
次に、高解像度CTデータセット707は、ステップ709で順投影されて、シミュレートされたCBCT投影データセット711を生成する。順投影は、投影領域におけるCTデータセットを、投影領域におけるCBCTデータセットに変換することができる。当業者に知られている任意の順投影技術を使用することができる。
【0055】
シミュレートされたCBCT投影データセット711は、ステップ719で再構成されて画像を生成し、この画像は、ステップ717でニューラルネットワークを訓練するための入力学習データとして使用される。高解像度CTデータセット707は、ステップ721で画像に形成するために再構成され、再構成された画像は、次いでステップ717での訓練中に目標学習データとして使用される。ステップ717の出力は、コーンビームアーチファクトを補正することができるコーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワーク703である。
【0056】
コーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワーク703は、方法100のステップ700でアーチファクト低減のために使用することができる。ステップ700でのコーンビームアーチファクト低減中に、CBCT画像データセット701が得られる。CBCT画像データセット701は、一実施形態によれば、画像領域にあり、CBCTスキャナによって被検体の実際のスキャンから得ることができる。方法100に関連して、CBCT画像データセット701は、ステップ600の出力(すなわち、ノイズ低減されたCBCT画像データセット605)である。その後、CBCT画像データセット701は、アーチファクト低減されたCBCT画像データセット705を生成するために、コーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワーク703に入力される。
【0057】
一実施形態では、飽和、トランケーション、および散乱を訓練するためのニューラルネットワークのセットは、1つのニューラルネットワーク、2つのニューラルネットワーク、または3つのニューラルネットワークであり得る。例えば、1つのニューラルネットワークは、飽和補正、トランケーション補正、および散乱補正の3つ全てを実行することができる。あるいは、第1のニューラルネットワークは、飽和に対して補正することができ、第2のニューラルネットワークは、トランケーションに対して補正することができ、第3のニューラルネットワークは、散乱に対して補正することができる。あるいは、第1のニューラルネットワークは、飽和、トランケーション、または散乱の1つに対して補正し、第2のニューラルネットワークは、残りの2つに対して補正することができる。同じ概念が、ノイズ低減およびコーンビームアーチファクト低減のために訓練されるニューラルネットワークのセットに適用され、1つまたは2つのニューラルネットワークを使用することができる。つまり、飽和補正、トランケーション補正、散乱補正、ノイズ低減、およびアーチファクト低減のそれぞれを、個々のニューラルネットワークを使用して実行する必要はない。
【0058】
別の例として、訓練データを変更して、訓練されるニューラルネットワークの数を減少させることができる。例えば、
図8に示すように、1つのニューラルネットワークを、飽和およびトランケーション補正のために使用することができる。方法810は、組み合わされた飽和およびトランケーション補正の訓練プロセスを示す。第一に、高解像度CTデータセット807が得られる。高解像度CTデータセット807は、CTスキャナで患者をスキャンする、またはデジタルファントムをシミュレートするなどの、様々な方法で得ることができる。
【0059】
次に、高解像度CTデータセット807は、ステップ809で順投影されて、シミュレートされたCBCT投影データセット811を生成する。順投影は、投影領域におけるCTデータセットを、投影領域におけるCBCTデータセットに変換することができる。当業者に知られている任意の順投影技術を使用することができる。
【0060】
ステップ813でシミュレートされたCBCT投影データセット811に、飽和およびトランケーションを追加し(例えばシミュレーションを介して)、追加された飽和およびトランケーションを有するCBCT投影データセット815を生成する。方法210および310のステップ213および313でそれぞれ議論されたのと同じ技術を使用して、シミュレートされた飽和およびトランケーションを追加することができる。その後、シミュレートされたCBCT投影データセット811を、目標学習データとして使用して、ステップ817で、追加された飽和およびトランケーションを有するCBCT投影データセット815を、ニューラルネットワークを訓練するための入力学習データとして使用する。ステップ817でニューラルネットワークが十分に訓練された(例えば停止基準を満たした)後、飽和およびトランケーション補正ニューラルネットワーク803が生成される。
【0061】
この飽和およびトランケーション補正ニューラルネットワーク803は、ステップ800において、組み合わされた飽和およびトランケーション補正のために使用することができる。ステップ800中に、CBCT投影データセット801が得られる。CBCT投影データセット801は、一実施形態によれば、CBCTスキャナによって被検体の実際のスキャンから得ることができる。その後、CBCT投影データセット801は、飽和およびトランケーション補正されたCBCT投影データセット805を生成するために、飽和およびトランケーション補正ニューラルネットワーク803に入力される。方法100に関連して、ステップ800/810は、ステップ200/210および300/310の代わりに実行することができ、ステップ400の前または後に実行することができる。
【0062】
訓練データを変更して訓練されるニューラルネットワークの数を減少させる別の例として、
図9は、ノイズおよびアーチファクト低減を実行することができる1つのニューラルネットワークを生成するためのワークフローを示す。
【0063】
方法910は、組み合わされたノイズおよびコーンビームアーチファクト低減の訓練プロセスを示す。第一に、高解像度CTデータセット907が得られる。高解像度CTデータセット907は、CTスキャナで患者をスキャンする、またはデジタルファントムをシミュレートするなどの、様々な方法で得ることができる。
【0064】
次に、高解像度CTデータセット907は、ステップ909で順投影されて、CBCT投影データセット911を生成する。順投影は、投影領域におけるCTデータセットを、投影領域におけるCBCTデータセットに変換することができる。当業者に知られている任意の順投影技術を使用することができる。
【0065】
ステップ913では、CBCT投影データセット911にノイズを追加して(例えばシミュレーションを介して)、追加されたノイズを有するCBCT投影データセット915を生成する。追加されたノイズを有するCBCT投影データセット915は、ステップ919で再構成されて画像を形成し、この画像は、ステップ917でニューラルネットワークを訓練するための入力学習データとして使用される。
【0066】
ステップ921では、高解像度CTデータセット907は、再構成されて画像を形成し、この画像は、ステップ917でニューラルネットワークを訓練するための目標学習データとして使用される。ステップ917が完了すると、その結果は、ノイズおよびコーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワーク903である。
【0067】
このノイズおよびコーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワーク903は、ステップ900において、組み合わされたノイズおよびコーンビームアーチファクト低減のために使用することができる。ステップ900中に、CBCT画像データセット901が得られる。CBCT画像データセット901は、一実施形態によれば、CBCTスキャナによって被検体の実際のスキャンから得ることができる。その後、CBCT画像データセット901は、ノイズおよびアーチファクト低減されたCBCT画像データセット905を生成するために、ノイズおよびコーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワーク903に入力される。方法100に関連して、ステップ900/910は、ステップ600/610および700/710の代わりに実行することができる。
【0068】
別の実施形態では、異なる解剖学的構造および/または関心のある1つ以上の解剖学に関連する臨床応用情報に対応する画像特徴をより良く捕捉して表現するために、テーラーメイド最適化戦略およびコスト関数が利用され得る。例えば、撮像された特定の解剖学的構造(例えば、頭部、腹部、肺、心臓)を示す解剖学データを利用して、ニューラルネットワークの係数を係数のライブラリから選択することができる。
図10の方法1000は、一例を示す。方法1000は方法100と関連しているが、いくつかの重要な態様で異なっており、それは以下の議論に続いて明らかになるであろう。
【0069】
第一に、方法100の場合と同様に、生データ101が得られる。次いで、方法100とは異なり、ステップ1017で生データ101によって表される解剖学的構造が選択される(すなわち、既知にされる)。例えば、生データ101が患者の頭部のスキャンを表す場合、ステップ1017で解剖学的構造として頭部が選択される。次いで、この選択された解剖学データを使用して、飽和補正係数ライブラリ1019、トランケーション補正係数ライブラリ1021、散乱補正係数ライブラリ1023、ノイズ低減係数ライブラリ1025および/またはアーチファクト低減係数ライブラリ1027を使用して、ステップ1003の飽和補正、ステップ1005のトランケーション補正、ステップ1007の散乱補正、ステップ1011のノイズ低減、および/またはステップ1013のアーチファクト低減で使用されるニューラルネットワークの係数をそれぞれ選択する。方法1000の最後ステップは、高画質画像1015を生成することである。
【0070】
係数ライブラリ1019、1021、1023、1025、および1027のそれぞれは、解剖学的構造に基づいて分類された訓練データを使用して作成することができる。例えば、飽和補正のためにステップ1003で使用される飽和補正係数ライブラリ1019は、方法210を使用して作成することができるが、飽和補正係数ライブラリ1019の係数の第1のセットを作成するための頭部の訓練データ画像、および飽和補正係数ライブラリ1019の係数の第2のセットを作成するための腹部の画像を用いる。ステップ1017で選択された解剖学的構造が頭部である場合、ステップ1003での飽和補正のためのニューラルネットワークにおいて、係数の第1のセットを使用することができ、ステップ1017で選択された解剖学的構造が腹部である場合、係数の第2のセットを使用することができる。さらに、ステップ1017で選択された解剖学的構造が係数のセットを有さない場合、デフォルトの係数のセットを使用することができる。
【0071】
図11は、本開示の一実施形態による、別の方法1100のフローチャートである。第1のステップ1101は、第1のスキャンからの第1の投影データセットを、飽和補正、トランケーション補正、および散乱補正のために訓練される1つ以上のニューラルネットワークの第1のセットに入力して、第2の投影データセットを生成することであり、1つ以上のニューラルネットワークの第1のセットは、第2のスキャンからの訓練データセットの第1の部分を使用して訓練される。
【0072】
一実施形態では、訓練データセットの第1の部分は、1つ以上のニューラルネットワークの第1のセットを訓練するための、高品質CBCT投影データセット、追加された飽和を有する高品質CBCT投影データセット、追加されたトランケーションを有する高品質CBCT投影データセット、シミュレートされた投影データセット、および/またはシミュレートされた散乱データセットを含むことができる。さらに、第1のスキャンは、CBCTスキャンであり得る。
【0073】
ステップ1101の別の実施形態では、1つ以上のニューラルネットワークは、3つである。ニューラルネットワークが3つある場合、第1のニューラルネットワークは、高画質CBCT投影データセットを目標学習データとして、かつ追加された飽和を有する高画質CBCT投影データセットを入力学習データとして使用して、飽和補正のために訓練することができ、第2のニューラルネットワークは、高画質CBCT投影データセットを目標学習データとして、かつ追加されたトランケーションを有する高画質CBCT投影データセットを入力学習データとして使用することができ、トランケーション補正のために訓練することができ、第3のニューラルネットワークは、シミュレートされた散乱データセットを目標学習データとして、かつシミュレートされた散乱データセット(ノイズ除去の有無に関わらず)を入力学習データとして使用して、散乱補正に使用するための散乱プロファイルを推定するために訓練することができる。
【0074】
ステップ1101の別の実施形態では、1つ以上のニューラルネットワークは、2つである。ニューラルネットワークが2つある場合、第1のニューラルネットワークは、飽和補正、トランケーション補正、または散乱補正のうちの1つのために訓練することができ、第2のニューラルネットワークは、残りの2つの補正のために訓練することができる。
【0075】
ステップ1101の別の実施形態では、1つ以上のニューラルネットワークは、1つである。ニューラルネットワークが1つある場合、1つのニューラルネットワークは、飽和補正、トランケーション補正、および散乱補正のために訓練される。
【0076】
3つ未満のニューラルネットワークが使用されている場合、3つ未満のニューラルネットワークを訓練することは、訓練データセットの第1の部分を変更することによって行うことができる。1つのニューラルネットワークは、高品質と低品質の訓練ペアを使用して訓練することができ、ここで、目標学習データは、対応する入力学習データより少ない飽和、トランケーション、および散乱を有する。
【0077】
訓練データセットの第1の部分を変更する例として、訓練データセットの第1の部分は、高品質CBCT投影データセット、およびニューラルネットワークを訓練するための追加された飽和、トランケーション、または散乱のうち少なくとも2つを有する高品質CBCT投影データセットを含むことができる。
【0078】
方法1100のステップ1103は、(投影領域内の)第2の投影データセットを、(画像領域内の)第1の画像データセットに再構成することである。一実施形態では、フィルタ逆投影を実行することができる。
【0079】
ステップ1105は、第1の画像データセットを、ノイズ低減およびアーチファクト低減のために訓練された1つ以上のニューラルネットワークの第2のセットに入力することであり、1つ以上のニューラルネットワークの第2のセットは、第2のスキャンからの訓練データセットの第2の部分を使用して訓練される。
【0080】
ステップ1105の一実施形態では、訓練データセットの第2の部分は、第2のスキャンに基づく高品質CBCT画像データセット、追加されたノイズを有する高品質CBCT画像データセット、および/または第2のスキャンに基づく高品質CT画像データセットを含むことができる。
【0081】
ステップ1105の一実施形態では、第2のセットにおける1つ以上のニューラルネットワークは、2つである。第2のセットにおける第1のニューラルネットワークは、第2のスキャンに基づく高画質CBCT画像データセットを目標訓練データとして、かつ追加されたノイズを有する高画質CBCT画像データセットを入力訓練データとして使用して、ノイズ低減のために訓練される。第2セットにおける第2ニューラルネットワークは、高画質CT画像データセットを目標訓練データとして、かつ第2スキャンに基づくCBCT画像データセットを入力学習データとして使用して、コーンビームアーチファクト低減のために訓練される。
【0082】
ステップ1105の一実施形態では、1つ以上のニューラルネットワークは、1つである。
【0083】
方法1100の一実施形態は、ディスプレイユニットを介して1つのニューラルネットワークの第2のセットからの出力を表示することをさらに含む。
【0084】
方法1100の別の実施形態では、第2のスキャンは、医療画像処理装置(例えば、CTスキャナ)によって実行される実際のスキャンであり得る。方法1100の別の実施形態では、第2のスキャンは、シミュレーションを介して実行することができる。
【0085】
方法1100の別の実施形態では、第1の投影データセットを生成する第1のスキャンは、CBCTスキャンである。
【0086】
方法1100の別の実施形態では、第2のスキャンは、CTスキャンである。CTスキャンは、CT投影データセットを生成することができる。このCT投影データセットは、順投影を使用してCBCT投影に変換することができる。
【0087】
方法1100の一実施形態は、第1のスキャンでスキャンされている解剖学的構造に関連する解剖学データを受信すること、および、解剖学データに基づく係数のライブラリから、1つ以上のニューラルネットワークの第1のセットおよび第2のセットに対する係数を選択することをさらに含む。
【0088】
図12は、本開示の実施形態によるCTスキャナの実施態様の概略図を示す。
図12に示されるCTスキャナは、例えば、第2のスキャンであるCTスキャンを実行する。すなわち、
図12に示されるCTスキャナは、第2の放射線イメージング装置の一例である。
【0089】
図12を参照すると、放射線ガントリ500は、側面からの様子が示されており、さらに、X線管501、環状フレーム502、および複数列または2次元アレイ型のX線検出器503を含む。X線管501およびX線検出器503は、環状フレーム502上に被検体OBJを挟んで正反対側に取り付けられ、環状フレーム502は、回転軸RA(または回転の軸)の周りで回転可能に支持される。回転ユニット507は、被験者Sが軸RAに沿って、図示されたページの奥の方向またはページの手前の方向に移動されている間に、0.4秒/回転などの高速で環状フレーム502を回転させる。
【0090】
X線CT装置は、例えばX線管およびX線検出器が、検査される被検体の周りを共に回転する回転/回転型装置、ならびに、多くの検出器素子が環状または面状に配列され、かつX線管のみが検査される被検体の周りを回転する固定/回転型装置などの様々な型の装置を含む。本開示は、どちらの型にも適用することができる。明瞭にするために、回転/回転型を例として使用する。
【0091】
CT装置は、高電圧発生器509をさらに含み、高電圧発生器509は、X線管501がX線(例えば、コーンビームX線)を生成するように、スリップリング508を通してX線管501に印加される管電圧を発生させる。X線は、被験者Sに向かって照射され、被験者Sの断面領域が円で表される。例えば、X線管501は、第2スキャン中の平均X線エネルギーよりも小さい、第1スキャン中の平均X線エネルギーを有する。このようにして、異なるX線エネルギーに対応して、2回以上のスキャンを得ることができる。X線検出器503は、被検体OBJを通り抜けて伝播してきた照射X線を検出するために、被検体OBJを挟んでX線管501から反対側に位置している。X線検出器503は、個々の検出器素子または検出器ユニットをさらに含む。
【0092】
CT装置は、X線検出器503から検出された信号を処理するための、その他のデバイスをさらに含む。データ取得回路またはデータ取得システム(Data Acquisition System:DAS)504は、それぞれのチャンネルに対するX線検出器503から出力された信号を電圧信号に変換し、その信号を増幅し、さらにその信号をデジタル信号へと変換する。X線検出器503およびDAS504は、1回転当たりの所定全投影数(Total number of Projections Per Rotation:TPPR)を処理するように構成されている。
【0093】
上述のデータは、非接触データ送信機505を通じて、放射線ガントリ500外部のコンソール内に収容された、前処理デバイス506に送信される。前処理デバイス506は、生データに対し、感度補正などの特定の補正を実行する。メモリ512は、結果データを格納し、この結果データは、再構成処理直前の段階において投影データとも呼ばれる。メモリ512は、再構成デバイス514、入力デバイス515、およびディスプレイ516と共に、データ/制御バス511を通して、システムコントローラ510に接続されている。システムコントローラ510は、CTシステムを駆動させるのに十分なレベルに電流を制限する、電流調整器513を制御する。
【0094】
検出器は、様々な世代のCTスキャナシステムにおいて、患者に対して、回転されるおよび/または固定される。一実施態様では、上述のCTシステムは、第3世代ジオメトリシステムと第4世代ジオメトリシステムとが組み合わせられた例であり得る。第3世代システムでは、X線管501とX線検出器503とは、環状フレーム502上に正反対に取り付けられ、環状フレーム502が回転軸RAの周りを回転するときに、被検体OBJの周りを回転する。第4世代ジオメトリシステムでは、検出器は患者の周りに固定して設置され、X線管は患者の周りを回転する。代替的実施形態では、放射線ガントリ500は、Cアームおよびスタンドによって支持されている環状フレーム502上に配列された多数の検出器を有する。
【0095】
メモリ512は、X線検出器ユニット503でX線照射度を示す測定値を格納することができる。さらに、メモリ512は、例えば、本明細書で論じる方法およびワークフローの様々なステップを実行するための専用プログラムを格納することができる。
【0096】
再構成デバイス514は、本明細書で論じる方法/ワークフローの様々なステップを実行することができる。さらに、再構成デバイス514は、ボリュームレンダリング処理および画像差分処理などの前再構成処理画像処理を、必要に応じて実行することができる。
【0097】
前処理デバイス506によって実行された投影データの前再構成処理は、例えば検出器キャリブレーション、検出器非直線性、および極性効果に対する補正を含むことができる。
【0098】
再構成デバイス514によって実行される後再構成処理は、画像のフィルタリングおよび平滑化、ボリュームレンダリング処理、ならびに画像差分処理を、必要に応じて含むことができる。画像再構成プロセスは、様々なCT画像再構成方法に加えて、本明細書で論じる方法の様々なステップを実行することができる。再構成デバイス514は、メモリを使用して、例えば、投影データ、再構成された画像、較正データおよびパラメータ、ならびにコンピュータプログラムを格納することができる。
【0099】
再構成デバイス514は、離散論理ゲートとして実行され得るCPU(処理回路)を、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、またはその他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)として含み得る。FPGAまたはCPLDの実装は、VHDL、Verilog、またはその他のハードウェア記述言語でコード化されてよく、そのコードはFPGAもしくはCPLD内の電子メモリに直接格納されてもよく、または個別の電子メモリとして格納されてもよい。さらに、メモリ512は、ROM、EPROM(登録商標)、EEPROM(登録商標)、またはフラッシュメモリ(登録商標)などの不揮発性であり得る。メモリ512は、静的または動的RAMなど揮発性であり得、FPGAまたはCPLDとメモリとの間の相互作用だけでなく電子メモリを管理するための、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサなどのプロセッサが提供され得る。
【0100】
あるいは、再構成デバイス514内のCPUは、本明細書に記載された機能を実行するコンピュータ可読命令のセットを含むコンピュータプログラムを実行することができ、そのプログラムは、上述の非一時的電子メモリおよび/もしくはハードディスクドライブ、CD、DVD、フラッシュドライブのいずれか、またはその他の任意の既知の格納媒体に格納される。さらに、コンピュータ可読命令は、米国Intel社(登録商標)からのXenon(登録商標)プロセッサまたは米国AMD(登録商標)社からのOpteron(登録商標)プロセッサなどのプロセッサ、ならびにMicrosoft(登録商標) VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、Apple(登録商標)、MAC-OS(登録商標)および当業者に知られている他のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムと共に実行するユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、もしくはオペレーティングシステムの構成要素、またはそれらの組み合わせとして提供されてもよい。さらに、CPUは、命令を実行するために並行して協同的に動作する、複数のプロセッサとして実装することができる。
【0101】
一実施態様では、再構成された画像は、ディスプレイ516に表示することができる。ディスプレイ516は、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、LED、または当該技術分野において既知のその他のディスプレイであり得る。
【0102】
メモリ512は、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、または当該技術分野において既知のその他の電子記憶装置であり得る。
【0103】
図12に関して上述したCTスキャナは、イメージングビームが(扇形ではなく)円錐形であるCBCTスキャナとして構成されることもできることを理解することができる。
【0104】
図13は、本開示の実施形態によるX線診断装置の実施態様の概略図を示す。
図13に示されるX線診断装置は、例えば、第1のスキャンであるCBCTスキャンを実行する。すなわち、
図13に示されるX線診断装置は、第1のスキャンを実行する第1の放射線イメージング装置の一例であり、訓練済み機械学習モデルに適用する第1の放射線イメージング装置によって取得された目標画像データは、X線診断装置でCアームを回転させて取得した投影データを再構成した画像に対応する画像データである。
【0105】
図13には、第1の放射線イメージング装置であるX線診断装置1300の一例として、Cアーム1304を備えたX線アンギオ装置が示されている。X線診断装置1300は、高電圧発生器1301と、X線発生装置1302と、X線検出器1303と、Cアーム1304と、寝台1305と、入力インタフェース1306と、ディスプレイ1307と、メモリ1308と、処理回路1309とを備える。
【0106】
X線高電圧装置1301は、X線発生装置1302が備えるX線管に高電圧を印加する。X線発生装置102は、例えばX線管及びX線絞り器を備え、X線を発生させて被検体Pに照射する。X線検出器1303は、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。X線検出器1303は、X線発生装置1302から照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路1309へと出力する。
【0107】
Cアーム1304は、X線発生装置1302とX線検出器1303とを、被検体Pを挟んで対向するように保持する。例えば、Cアーム1304は、モータ、アクチュエータ等の駆動機構を有し、処理回路1309から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に印加することにより、X線発生装置1302とX線検出器1303とを被検体Pに対して回転・移動させ、X線の照射位置や照射角度を制御する。
【0108】
寝台1305は、被検体Pを載せる天板を備えるベッドである。入力デバイス1306、ディスプレイ1307、メモリ1308については、
図12の入力デバイス515、ディスプレイ516及びメモリ512と同様にして構成することができる。なお、ディスプレイ1307については、例えばアームにより保持して、その位置や角度を制御できるように構成しても構わない。この場合、ディスプレイ22は、検査室内を動くことのできる物体の例に含まれる。
【0109】
処理回路1309は、X線診断装置1300全体の動作を制御する。X線診断装置1300においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ1308へ記憶されている。処理回路1309は、メモリ1308からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路1309は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0110】
なお、単一の処理回路1309にて、処理回路1309に含まれる各機能が実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路1309を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0111】
また、本開示の実施形態は、以下の付記に記載されるようであってもよい。
【0112】
(1)訓練済み機械学習モデルを生成する方法であって、方法は、第1の放射線イメージング装置を使用することによって取得された被検体の3D訓練データに基づいて、第2の放射線装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影データを生成することと、シミュレートされた投影データを使用することによって、訓練済み機械学習モデルを生成するために、訓練されていない機械学習モデルを訓練することと、を含む、方法。
【0113】
(2)3D訓練データに基づいて、第2の放射線装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた散乱データを生成することをさらに含み、訓練されていない機械学習モデルの訓練が、シミュレートされた投影データに加えてシミュレートされた散乱データを使用することによって、訓練済み機械学習モデルを生成するために、訓練されていない機械学習モデルを訓練することを含む、(1)に記載の方法。
【0114】
(3)第1の放射線イメージング装置が、コンピュータ断層撮影イメージング装置であり、シミュレートされた投影データが、シミュレートされたコンピュータ断層撮影投影データである、(1)~(2)のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
(4)第2の放射線イメージング装置が、コーンビームコンピュータ断層撮影イメージング装置であり、シミュレートされたコンピュータ断層撮影投影データが、シミュレートされたコーンビームコンピュータ断層撮影投影データである、(3)に記載の方法。
【0116】
(5)訓練済み機械学習モデルを生成するための装置であって、装置は、第1の放射線イメージング装置を使用することによって取得された被検体の3D訓練データに基づいて、第2の放射線装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影データを生成し、シミュレートされた投影データを使用することによって、訓練済み機械学習モデルを生成するために、訓練されていない機械学習モデルを訓練する、ように構成された処理回路、を備える、装置。
【0117】
(6)3D訓練データに基づいて、第2の放射線装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた散乱データを生成するように構成された処理回路をさらに備え、訓練されていない機械学習モデルを訓練するように構成された処理回路が、シミュレートされた散乱データおよびシミュレートされた投影データを使用することによって、訓練済み機械学習モデルを生成するために、訓練されていない機械学習モデルを訓練するように構成された処理回路を含む、(5)に記載の装置。
【0118】
(7)第1の放射線イメージング装置が、コンピュータ断層撮影イメージング装置であり、シミュレートされた投影データが、シミュレートされたコンピュータ断層撮影投影データである、(5)~(6)のいずれか1つに記載の装置。
【0119】
(8)第2の放射線イメージング装置が、コーンビームコンピュータ断層撮影イメージング装置であり、シミュレートされたコンピュータ断層撮影投影データが、シミュレートされたコーンビームコンピュータ断層撮影投影データである、(7)に記載の装置。
【0120】
(9)第1の放射線装置によって取得された第1の被検体の目標画像データを処理する方法であって、方法は、(a1)第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された第2の被検体の3D訓練データに基づいて、第1の放射線装置によって第2の被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影データを生成することと、(a2)シミュレートされた投影データを使用することによって、訓練済み機械学習モデルを生成するために、訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用することと、(a)によって生成された訓練済み機械学習モデルを受信することと、(b)訓練済み機械学習モデルに目標画像データを適用することと、を含むがこれらに限定されない、方法。
【0121】
(10)3D訓練データに基づいて、第2の放射線装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた散乱データを生成することをさらに含み、訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用することは、シミュレートされた散乱データおよびシミュレートされた投影データを使用することによって、訓練済み機械学習モデルを生成するために、訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用することを含む、(9)に記載の方法。
【0122】
(11)訓練済み機械学習モデルに目標画像データを適用することは、前処理済み画像データを生成するために、目標画像データに飽和補正を適用することと、訓練済み機械学習モデルに前処理済み画像データを適用することと、を含むがこれらに限定されない、(9)~(10)のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
(12)訓練済み機械学習モデルに目標画像データを適用することは、前処理済み画像データを生成するために、目標画像データにトランケーション補正を適用することと、訓練済み機械学習モデルに前処理済み画像データを適用することと、を含むがこれらに限定されない、(9)~(11)のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
(13)訓練済み機械学習モデルに目標画像データを適用することは、散乱補正された投影データを生成するために、訓練済み機械学習モデルに目標画像データを適用することを含み、方法は、散乱補正された画像データを生成するために、散乱補正された投影データに対して再構成を実行すること、をさらに含むがこれに限定されない、(9)~(12)のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
(14)ノイズ低減され、散乱補正された画像を生成するために、少なくとも1つのノイズ低減ニューラルネットワークに散乱補正された画像データを適用することをさらに含む、(13)に記載の方法。
【0126】
(15)第1のイメージング装置が、コーンビームコンピュータ断層撮影画像装置を備え、方法が、アーチファクト低減され、散乱補正された画像を生成するために、少なくとも1つのコーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワークに散乱補正された画像データを適用することをさらに含む、(9)~(14)のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
(16)第1の放射線装置によって取得された第1の被検体の目標画像データを処理するための装置であって、装置は、(9)~(15)のいずれか1つに記載の方法を実行するように構成された処理回路を含むが、これに限定されない、装置。
【0128】
(17)コンピュータによって実行されると、(1)~(4)のいずれか1つに記載の方法をコンピュータに実行させる、コンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0129】
(18)コンピュータによって実行されると、(9)~(15)のいずれか1つに記載の方法をコンピュータに実行させる、コンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0130】
(19)
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得された目標画像データを適用する医用画像処理方法であって、
前記訓練済み機械学習モデルは、第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3D訓練データに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた投影データを生成し、前記シミュレートされた投影データを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成される。
【0131】
(20)
前記3D訓練データに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた散乱データを生成することをさらに含み
前記訓練プロセスを適用することは、前記シミュレートされた散乱データおよび前記シミュレートされた投影データを使用することによって、前記訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用することを含んでもよい。
【0132】
(21)
前記訓練済み機械学習モデルに前記目標画像データを適用することは、
前処理済み画像データを生成するために、前記目標画像データに飽和補正を適用することと、
前記訓練済み機械学習モデルに前記前処理済み画像データを適用することと、
を含んでもよい。
【0133】
(22)
前記訓練済み機械学習モデルに前記目標画像データを適用することは、
前処理済み画像データを生成するために、前記目標画像データにトランケーション補正を適用することと、
前記訓練済み機械学習モデルに前記前処理済み画像データを適用することと、
を含んでもよい。
【0134】
(23)
前記訓練済み機械学習モデルに前記目標画像データを適用することは、散乱補正された投影データを生成するために、前記訓練済み機械学習モデルに前記目標画像データを適用することを含み、前記医用画像処理方法は、
散乱補正された画像データを生成するために、前記散乱補正された投影データに対して再構成を実行すること、
をさらに含んでもよい。
【0135】
(24)
ノイズ低減され、散乱補正された画像を生成するために、少なくとも1つのノイズ低減ニューラルネットワークに前記散乱補正された画像データを適用することをさらに含んでもよい。
【0136】
(25)
前記第1の放射線イメージング装置が、コーンビームコンピュータ断層撮影(Cone Beam Computed Tomography: CBCT)装置を備え、前記医用画像処理方法は、アーチファクト低減され、散乱補正された画像を生成するために、少なくとも1つのコーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワークに前記散乱補正された画像データを適用することをさらに含んでもよい。
【0137】
(26)
前記第1の放射線イメージング装置はX線診断装置であり、
前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography: CT)装置であり、
前記目標画像データは、X線診断装置でCアームを回転させて取得した投影データを再構成した画像に対応する画像データであってもよい。
【0138】
(27)
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得された目標画像データを適用する処理回路を備え、
前記訓練済み機械学習モデルは、
第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3D訓練データに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた投影データを生成し、前記シミュレートされた投影データを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成される、医用画像処理装置。
【0139】
(28)
本発明の一つの側面において提供されるプログラムは、
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得された目標画像データを適用する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記訓練済み機械学習モデルは、
第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3D訓練データに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた投影データを生成し、前記シミュレートされた投影データを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成される。
【0140】
(29)
本発明の一つの側面において提供される医用画像処理方法は、
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得されたX線画像データを適用し、画質の劣化が少ない前記X線画像データを処理画像として出力する医用画像処理方法であって、
前記訓練済み機械学習モデルは、
第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3Dデータに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影画像データと、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた画質の劣化データとを取得し、前記シミュレートされた投影画像データと前記シミュレートされた画質の劣化データとを使用することにより、訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成され、
前記第1の放射線イメージング装置はCアームを備えるX線診断装置であり、
前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography: CT)装置である。
【0141】
(30)
前記シミュレートされた画質の劣化データは、前記3Dデータに基づいて生成された、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた散乱データであってもよい。
【0142】
(31)
前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを入力として適用し、前記X線画像データの散乱データを出力として取得し、
前記X線画像データから当該散乱データを減算することで、散乱補正された投影画像データを生成してもよい。
【0143】
(32)
前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを適用することは、
前処理済み画像データを生成するために、前記X線画像データに飽和補正を適用することと、
前記訓練済み機械学習モデルに前記前処理済み画像データを適用することと、
を含んでもよい。
【0144】
(33)
前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを適用することは、
前処理済み画像データを生成するために、前記X線画像データにトランケーション補正を適用することと、
前記訓練済み機械学習モデルに前記前処理済み画像データを適用することと、
を含んでもよい。
【0145】
(34)
前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを適用することは、散乱補正された投影データを生成するために、前記訓練済み機械学習モデルに前記X線画像データを適用することを含み、前記医用画像処理方法は、
散乱補正された画像データを生成するために、前記散乱補正された投影データに対して再構成を実行すること、
をさらに含んでもよい。
【0146】
(35)
ノイズ低減され、散乱補正された画像を生成するために、少なくとも1つのノイズ低減ニューラルネットワークに前記散乱補正された画像データを適用することをさらに含んでもよい。
【0147】
(36)
アーチファクト低減され、散乱補正された画像を生成するために、少なくとも1つのコーンビームアーチファクト低減ニューラルネットワークに前記散乱補正された画像データを適用することをさらに含んでもよい。
【0148】
(37)
前記X線画像データは、前記Cアームを備えるX線診断装置により取得された投影データを再構成した画像に対応する画像データであってもよい。
【0149】
(38)
前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートは、モンテカルロ計算と、放射伝達方程式(Radiative Transfer Equation:RTE)の決定論的解法のいずれかを用いて、前記第1の放射線イメージング装置の撮像ジオメトリによる前記被検体の撮像を模すシミュレーションであってもよい。
【0150】
(39)
本発明の一つの側面において提供される医用画像処理装置は、
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得されたX線画像データを適用し、画質の劣化が少ない前記X線画像データを処理画像として出力する処理回路を備え、
前記訓練済み機械学習モデルは、
第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3Dデータに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影画像データと、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた画質の劣化データとを取得し、前記シミュレートされた投影画像データと前記シミュレートされた画質の劣化データとを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成され、
前記第1の放射線イメージング装置はCアームを備えるX線診断装置であり、
前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography: CT)装置である。
【0151】
(40)
本発明の一つの側面において提供されるプログラムは、
訓練済み機械学習モデルに第1の放射線イメージング装置によって取得されたX線画像データを適用し、画質の劣化が少ない前記X線画像データを処理画像として出力する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記訓練済み機械学習モデルは、
第2の放射線イメージング装置を使用することによって取得された3Dデータに基づいて、前記第1の放射線イメージング装置によって被検体が撮像された場合を示すシミュレートされた投影画像データと、前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた画質の劣化データとを取得し、前記シミュレートされた投影画像データと前記シミュレートされた画質の劣化データとを使用することにより訓練されていない機械学習モデルに訓練プロセスを適用して訓練済み機械学習モデルを生成することにより生成され、
前記第1の放射線イメージング装置はCアームを備えるX線診断装置であり、
前記第2の放射線イメージング装置は、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography: CT)装置である。
【0152】
(41)
前記第1の放射線イメージング装置によって撮像された場合を示すシミュレートされた画質の劣化データは、散乱データと、ノイズと、飽和(サチレーション)と、トランケーションの少なくとも一つであってもよい。
【0153】
(42)
前記訓練済み機械学習モデルはニューラルネットワークであってもよい。
【0154】
(43)
前記訓練済み機械学習モデルはU-netであってもよい。
【0155】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、画質を向上させることができる。
【0156】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0157】
514 再構成デバイス
512 メモリ
515 入力デバイス
516 ディスプレイ
1306 入力デバイス
1307 ディスプレイ
1308 メモリ
1309 処理回路