(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124846
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】アンテナ構造体およびそれを含むモーション認識センサ、レーダーセンサ、ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/06 20060101AFI20230830BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20230830BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q1/38
G01S7/02 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027036
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2022-0024938
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】李 元熙
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲ユン▼宙
(72)【発明者】
【氏名】徐 旻秀
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
5J070
【Fターム(参考)】
5J021AA03
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021CA03
5J021HA04
5J021HA10
5J021JA10
5J046AA09
5J046AB13
5J046PA07
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC15
5J070AD05
5J070AE09
(57)【要約】
【課題】向上した信号送受信効率および放射信頼性を有するアンテナ構造体およびそれを含むディスプレイ装置を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態はアンテナ構造体を提供する。アンテナ構造体は、第1方向に配列される複数の第1放射体112を含む第1放射体群110と、第1方向に垂直な第2方向に配列される複数の第2放射体122を含む第2放射体群120と、第1放射体112と同じ層で第1放射体112に接続される第1伝送線路114と、第2放射体122と同じ層で第2放射体122に接続される第2伝送線路124とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列される複数の第1放射体を含む第1放射体群と、
前記第1方向に垂直な第2方向に配列される複数の第2放射体を含む第2放射体群と、
前記第1放射体と同じ層で前記第1放射体のそれぞれに接続される第1伝送線路と、
前記第2放射体と同じ層で前記第2放射体のそれぞれに接続される第2伝送線路とを含む、アンテナ構造体。
【請求項2】
前記第1放射体群と前記第2放射体群は同じ層に配置される、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記第1放射体群と前記第2放射体群は1つの放射体を共有する、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
前記第1放射体の数と前記第2放射体の数は同じである、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項5】
前記第1放射体群および前記第2放射体群とは離隔して配置される第3放射体をさらに含む、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項6】
前記第3放射体は送信放射体として提供され、前記第1放射体群および前記第2放射体群は受信放射体として提供される、請求項5に記載のアンテナ構造体。
【請求項7】
前記第1放射体群および前記第2放射体群が配置された誘電層をさらに含み、
前記第1方向は、前記誘電層の長手方向に対して第1チルティング角度で傾斜し、前記第2方向は、前記誘電層の長手方向に対して第2チルティング角度で傾斜する、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項8】
前記第1チルティング角度および前記第2チルティング角度は、それぞれ30~60°である、請求項7に記載のアンテナ構造体。
【請求項9】
前記第1放射体群は2つの第1放射体を含み、前記第2放射体群は2つの第2放射体を含む、請求項7に記載のアンテナ構造体。
【請求項10】
前記第1伝送線路間の長さ差に対する前記第2伝送線路間の長さ差の比は0.8~1.2である、請求項9に記載のアンテナ構造体。
【請求項11】
前記第1伝送線路のそれぞれの一端に電気的に接続される第1信号パッドと、前記第2伝送線路のそれぞれの一端に電気的に接続される第2信号パッドとを含む、請求項7に記載のアンテナ構造体。
【請求項12】
前記第1信号パッドおよび前記第2信号パッドは、第3方向に一列に配列され、
前記第1方向および前記第2方向は、それぞれ前記第3方向に対して前記第1チルティング角度および前記第2チルティング角度で傾斜する、請求項11に記載のアンテナ構造体。
【請求項13】
前記第1信号パッドと離隔して前記第1信号パッドを挟んで配置される一対の第1グランドパッドと、前記第2信号パッドと離隔して前記第2信号パッドを挟んで配置される一対の第2グランドパッドとをさらに含む、請求項11に記載のアンテナ構造体。
【請求項14】
前記第1放射体および前記第2放射体はメッシュ構造を含む、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項15】
前記第1放射体および前記第2放射体の周辺に前記第1放射体および前記第2放射体と離隔して配置されたダミーメッシュパターンをさらに含む、請求項14に記載のアンテナ構造体。
【請求項16】
前記第1放射体および前記第2放射体と離隔して配置され、前記第1放射体および前記第2放射体とは異なる共振周波数を有するアンテナユニットをさらに含む、請求項1に記載のアンテナ構造体。
【請求項17】
請求項1に記載のアンテナ構造体を含む、モーション認識センサ。
【請求項18】
請求項1に記載のアンテナ構造体を含む、レーダーセンサ。
【請求項19】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネル上に配置された請求項1に記載のアンテナ構造体とを含む、ディスプレイ装置。
【請求項20】
前記第1方向は、前記ディスプレイパネルの長手方向に対して第1チルティング角度で傾斜し、
前記第2方向は、前記ディスプレイパネルの長手方向に対して第2チルティング角度で傾斜する、請求項19に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造体およびそれを含むディスプレイ装置に関する。より詳細には、複数の放射体を含むアンテナ構造体およびそれを含むディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が進展するにつれて、ワイファイ(Wi-Fi)、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの無線通信技術、またはジェスチャー検知、モーション認識(Motion recognition)などの非接触式センシングが画像表示装置、電子機器、建築物などに適用または内蔵されている。
【0003】
また、移動通信技術が進化するにつれて、例えば高周波または超高周波帯域の通信を行うためのアンテナが各種モバイル機器に適用されている。
【0004】
具体的には、無線通信技術がディスプレイ装置と結合され、例えばスマートフォンの形で実現されている。この場合には、アンテナが前記ディスプレイ装置に結合され、通信機能を実行することができる。
【0005】
また、アンテナを搭載するディスプレイ装置がより薄型化および軽量化することにより、前記アンテナが占める空間も減少し得る。そのため、限られた空間内にアンテナを実装するために、ディスプレイパネル上にフィルムまたはパッチの形態で含まれ得る。
【0006】
しかし、アンテナをディスプレイパネル上に配置する場合には、信号の送受信または給電のための同軸(Coaxial)回路の設計が困難になることがある。また、別の同軸給電回路のため感度が低下したり、アンテナ機器が適用される構造物の空間効率、審美的特性を阻害したりすることがある。
【0007】
例えば、韓国公開特許第10-2014-0104965号では、アンテナ・エレメント及び接地エレメントを含むアンテナ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2014-0104965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、向上した信号送受信効率および放射信頼性を有するアンテナ構造体を提供することである。
【0010】
本発明の課題は、前記アンテナ構造体を含むディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.第1方向に配列される複数の第1放射体を含む第1放射体群と、前記第1方向に垂直な第2方向に配列される複数の第2放射体を含む第2放射体群と、前記第1放射体と同じ層で前記第1放射体のそれぞれに接続される第1伝送線路と、前記第2放射体と同じ層で前記第2放射体のそれぞれに接続される第2伝送線路とを含む、アンテナ構造体。
【0012】
2.前記項目1において、前記第1放射体群と前記第2放射体群は同じ層に配置される、アンテナ構造体。
【0013】
3.前記項目1において、前記第1放射体群と前記第2放射体群は1つの放射体を共有する、アンテナ構造体。
【0014】
4.前記項目1において、前記第1放射体の数と前記第2放射体の数は同じである、アンテナ構造体。
【0015】
5.前記項目1において、前記第1放射体群および前記第2放射体群とは離隔して配置される第3放射体をさらに含む、アンテナ構造体。
【0016】
6.前記項目5において、前記第3放射体は送信放射体として提供され、前記第1放射体群および前記第2放射体群は受信放射体として提供される、アンテナ構造体。
【0017】
7.前記項目1において、前記第1放射体群および前記第2放射体群が配置される誘電層をさらに含み、
前記第1方向は前記誘電層の長手方向に対して第1チルティング角度で傾斜し、前記第2方向は前記誘電層の長手方向に対して第2チルティング角度で傾斜する、アンテナ構造体。
【0018】
8.前記項目7において、前記第1チルティング角度および前記第2チルティング角度は、それぞれ30~60°である、アンテナ構造体。
【0019】
9.前記項目7において、前記第1放射体群は2つの第1放射体を含み、前記第2放射体群は2つの第2放射体を含む、アンテナ構造体。
【0020】
10.前記項目9において、前記第1伝送線路間の長さ差に対する前記第2伝送線路間の長さ差の比は0.8~1.2である、アンテナ構造体。
【0021】
11.前記項目7において、前記第1伝送線路のそれぞれの一端に電気的に接続される第1信号パッドと、前記第2伝送線路のそれぞれの一端に電気的に接続される第2信号パッドとを含む、アンテナ構造体。
【0022】
12.前記項目11において、前記第1信号パッドと前記第2信号パッドは第3方向に一列に配列され、
前記第1方向および前記第2方向は、それぞれ前記第3方向に対して前記第1チルティング角度および前記第2チルティング角度で傾斜する、アンテナ構造体。
【0023】
13.前記項目11において、前記第1信号パッドと離隔して前記第1信号パッドを挟んで配置される一対の第1グランドパッドと、前記第2信号パッドと離隔して前記第2信号パッドを挟んで配置される一対の第2グランドパッドとをさらに含む、アンテナ構造体。
【0024】
14.前記項目1において、前記第1放射体および前記第2放射体はメッシュ構造を含む、アンテナ構造体。
【0025】
15.前記項目14において、前記第1放射体および前記第2放射体の周辺に、前記第1放射体および前記第2放射体と離隔して配置されるダミーメッシュパターンをさらに含む、アンテナ構造体。
【0026】
16.前記項目1において、前記第1放射体および前記第2放射体と離隔して配置され、前記第1放射体および前記第2放射体とは異なる共振周波数を有するアンテナユニットをさらに含む、アンテナ構造体。
【0027】
17.前記項目1に記載のアンテナ構造体を含む、モーション認識センサ。
【0028】
18.前記項目1に記載のアンテナ構造体を含む、レーダーセンサ。
【0029】
19.ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネル上に配置された前記項目1に記載のアンテナ構造体とを含む、ディスプレイ装置。
【0030】
20.前記項目19において、前記第1方向は、前記ディスプレイパネルの長手方向に対して第1チルティング角度で傾斜し、前記第2方向は、前記ディスプレイパネルの長手方向に対して第2チルティング角度で傾斜する、ディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施形態によると、アンテナ構造体に含まれる第1放射体群は、第1方向に配列される複数の放射体を含むことができ、第2放射体群は、第1方向に垂直な第2方向に配列される複数の放射体を含むことができる。これにより、第1方向への放射体の信号強度および第2方向への放射体の信号強度をそれぞれ検知することができる。
【0032】
前記第1方向および前記第2方向は、誘電層の一側辺またはディスプレイパネルの一側辺に対して所定のチルティング角度で傾斜することができる。これにより、第1放射体のそれぞれに接続される伝送線路の長さを相対的に短くすることができ、信号の伝送速度および効率を向上させることができる。また、伝送線路が折れることなく一直線に延びることができ、信号の損失および低減を防止することができる。
【0033】
また、第1伝送線路間の長さの偏差に対する第2伝送線路間の長さの偏差の比を所定の範囲内に調整することができる。これにより、第1方向および第2方向における信号の不均衡を解消することができ、アンテナ構造体によって全方向へのモーション又はジェスチャー検知性能を向上させることができる。
【0034】
前記アンテナ構造体は、回路基板によってモーションセンサ回路またはレーダープロセッサと電気的に接続することができる。これにより、検知対象による信号変化をモーションセンサ回路またはレーダープロセッサに伝送することができ、検知対象の動作または距離を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【
図2】例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【
図3】例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【
図4】例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【
図5】例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【
図6】例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【
図7】例示的な実施形態によるディスプレイ装置を示す概略平面図である。
【
図8】例示的な実施形態によるディスプレイ装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態は、互いに異なる方向に配列される複数の放射体群を含むアンテナ構造体を提供するものである。
【0037】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0038】
本出願で使用される用語「第1」、「第2」、「第3」、「一端」、「他端」、「上面」、「底面」、「上部」、「下部」などは、絶対的な位置または順序を限定するものではなく、互いに異なる構成または部分を区分するための相対的な意味で使用されるものである。
【0039】
図1は、例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【0040】
図1を参照すると、前記アンテナ構造体は、誘電層100、並びに誘電層100上に形成された第1放射体群110、第2放射体群120、第1伝送線路114、および第2伝送線路124を含むことができる。
【0041】
誘電層100は、例えば透明樹脂物質を含むことができる。例えば、誘電層100は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラル系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;ウレタン系またはアクリルウレタン系樹脂;シリコン系樹脂などを含むことができる。これらは、単独でまたは2以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、また、光学透明粘着剤(Optically clear Adhesive:OCA)、光学透明樹脂(Optically Clear Resin:OCR)などの粘接着フィルムが誘電層100に含まれ得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、誘電層100は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物、ガラスなどの無機絶縁物質を含むことができる。
【0044】
一実施形態では、誘電層100は実質的に単一層で提供され得る。
【0045】
一実施形態では、誘電層100は、少なくとも2層以上の複層構造を含むこともできる。例えば、誘電層100は、基材層およびアンテナ誘電層を含むことができ、前記基材層と前記アンテナ誘電層との間の粘接着層を含むこともできる。
【0046】
誘電層100によって、アンテナ構造体に対するインピーダンス(impedance)またはインダクタンス(inductance)が形成され、前記アンテナ構造体が駆動又はセンシングできる周波数帯域を調整することができる。いくつかの実施形態では、誘電層100の誘電率は約1.5~12の範囲に調節することができる。前記誘電率が約12を超えると、駆動周波数が減少しすぎて、高周波帯域での駆動を実現できないことがある。
【0047】
第1放射体群110は、第1方向に配列される複数の第1放射体112を含むことができる。例えば、前記第1放射体112は、第1方向に延びる第1軸X1に沿って互いに離隔して配置することができる。前記第1軸X1は、前記第1放射体112の中心を通って第1方向に延びる仮想直線と定義することができる。
【0048】
第2放射体群120は、第2方向に配列される複数の第2放射体122を含むことができる。例えば、前記第2放射体122は、第2方向に延びる第2軸X2に沿って互いに離隔して配置することができる。前記第2軸X2は、前記第2放射体122の中心を通って第2方向に延びる仮想直線と定義することができる。
【0049】
これにより、第1放射体群110の第1方向への信号強度および第2放射体群120の第2方向への信号強度は、検知対象体の位置によって変化することができる。
【0050】
第1放射体112のそれぞれおよび第2放射体122のそれぞれは、互いに独立して駆動することができる。このため、検知対象体の第1方向および第2方向における位置または距離による信号の強度変化をそれぞれ測定することができ、これにより検知対象体の動作、ジェスチャーおよび距離を検知することができる。
【0051】
例示的な実施形態によると、前記第1方向と前記第2方向は互いに垂直に交差することができる。これにより、アンテナ構造体が直交する2つの軸(X1,X2)における信号強度の変化を検知し、モーションセンサ駆動回路またはレーダープロセッサに伝達することができる。駆動回路またはプロセッサは、収集された情報に基づいて、例えばX-Y座標系上での全方向の動作または距離を測定することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1放射体112は同じ間隔で配置することができる。例えば、互いに隣接する第1放射体112間の第1方向への離隔距離は互いに等しくてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2放射体122は同じ間隔で配置することができる。例えば、互いに隣接する第2放射体122間の第2方向への離隔距離は互いに等しくてもよい。
【0054】
一定の間隔で配置される第1放射体112および第2放射体122によって、第1方向または第2方向への信号強度を一定の距離ごとに測定することができる。これにより、例えば、検知対象の位置変化による第1方向または第2方向への信号強度の変化をより正確に測定することができる。
【0055】
一実施形態では、第1放射体112間の第1方向への離隔距離は、第2放射体122間の第2方向への離隔距離と等しくてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1放射体群110および第2放射体群120は、1つの放射体112,122を共有することができる。例えば、前記第1放射体群110および前記第2放射体群120は、第1軸X1及び第2軸X2が交差する領域に配置された共有放射体112,122を含むことができる。
【0057】
共有放射体112,122は、第1方向および第2方向への信号強度の変化を測定するための基準点の役割を果たすことができる。例えば、共有放射体112,122の信号強度を基準として第1軸X1及び第2軸X2における信号強度の変化を測定し、検知対象体の位置変化を検知することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1放射体112の数と第2放射体122の数は同じであってもよい。例えば、第1放射体群110と第2放射体群120は、互いに同じ数の放射体を含むことができる。この場合、第1方向における信号の変化および第2方向における信号の変化をバランスよく測定することができ、第1方向および第2方向における感度および検知性能を共に向上させることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、放射体112,122の各々は、例えば3G、4G、5Gまたはそれ以上の高周波または超高周波帯域の共振周波数を有するように設計することができる。例えば、放射体112,122の各々の共振周波数は約50GHz以上であってもよく、具体的には50GHz~80GHz、より具体的には55GHz~77GHzの範囲であってもよい。
【0060】
アンテナ構造体は、放射体112,122に接続される伝送線路を含むことができる。伝送線路は、アンテナ駆動集積回路(IC)チップから駆動信号または電力を放射体に伝達することができ、放射体の電磁波信号または電気信号をアンテナ駆動ICチップまたはモーションセンサ駆動回路に伝達することができる。
【0061】
伝送線路は、第1放射体112に接続される第1伝送線路114と、第2放射体122に接続される第2伝送線路124とを含むことができる。
【0062】
第1伝送線路114は、第1放射体112と同じ層に配置することができる。例えば、第1伝送線路114は、第1放射体112と一体に接続され、第1放射体112の一端から延びることができる。
【0063】
第2伝送線路124は、第2放射体122と同じ層に配置することができる。例えば、第2伝送線路124は、第2放射体122と一体に接続され、第2放射体122の一端から延びることができる。
【0064】
一実施形態では、第1伝送線路114は第1放射体112のそれぞれに提供することができ、第2伝送線路124は第2放射体122のそれぞれに提供することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1伝送線路114および第2伝送線路124は、第1放射体群110および第2放射体群120と誘電層上の同じレベルに配置することができる。伝送線路114,124を放射体112,122と同じレベルに配置することにより、信号の入力・出力および給電のための別の同軸給電が不要となり、例えば、アンテナ構造体がディスプレイパネル上に配置されるアンテナ・オン・ディスプレイ(antenna on display、AOD)を実現することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記アンテナ構造体は、第1放射体群110および第2放射体群120と離隔して配置される第3放射体132をさらに含むことができる。
【0067】
第3放射体132は、モーションを検知するための送信放射体として提供でき、検知対象体に向かって電波を放射することができる。第1放射体112および第2放射体122は、受信放射体として提供でき、検知対象体から反射された電波を受信することができる。
【0068】
これにより、アンテナ構造体は、検知対象体に対する無線信号を受信および送信することができ、モーションセンサは、検知対象体の位置変化および距離による信号の減衰または増加を測定することができる。
【0069】
一実施形態では、前記アンテナ構造体は、第3放射体132に電気的に接続される第3伝送線路134を含むことができる。第3伝送線路134は、第3放射体132と同じ層または同じレベルに配置することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、伝送線路114,124,134の一端部は放射体112,122,132と接続し、伝送線路114,124,134の他端部は回路基板とボンディングすることができる。
【0071】
回路基板は、例えばフレキシブルプリント回路基板(flexible printed circuit boards、FPCB)を含むことができる。例えば、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、ACF)のような導電性ボンディング構造を伝送線路114,124の前記他端部上に接合した後、前記導電性ボンディング構造上に回路基板を圧着することができる。
【0072】
回路基板上には、アンテナ駆動ICチップを実装することができる。一実施形態では、回路基板と前記アンテナ駆動ICチップとの間には、リジッドプリント回路基板のような仲介回路基板を配置することができる。一実施形態では、前記アンテナ駆動ICチップは回路基板上に直接実装することもできる。
【0073】
一実施形態では、前記回路基板上にモーションセンサ駆動回路を実装することができる。例えば、前記アンテナ構造体と前記回路基板を電気的に接続することにより、アンテナ構造体の信号送受信情報をモーションセンサ駆動回路に伝達することができる。これにより、前記アンテナ構造体を含むモーション認識センサを提供することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、誘電層100の底面上には、グランド層を形成することができる。グランド層により、伝送線路における電界の生成をより促進することができ、給電ラインの周辺の電気的ノイズを吸収または遮蔽することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、グランド層は前記アンテナ構造体の別の構成として含むことができる。いくつかの実施形態では、前記アンテナ構造体を搭載するディスプレイ装置の導電性部材をグランド層として提供することもできる。
【0076】
前記導電性部材は、例えば、ディスプレイパネルに含まれる薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極、スキャンラインまたはデータラインのような各種配線、若しくは画素電極、共通電極のような各種電極などを含むことができる。
【0077】
一実施形態では、画像表示装置の背面部に配置されるSUSプレート、デジタイザなどのセンサ部材、放熱シートなどの金属性部材をグランド層として提供することもできる。
【0078】
図2は、例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【0079】
図2を参照すると、前記第1方向および前記第2方向は、誘電層100の長手方向または幅方向と所定のチルティング(tilting)角度で傾斜することができる。
【0080】
本明細書で使用される用語「幅方向」とは、
図1~
図5における誘電層100の横方向を意味し、例えば第3方向を意味し得る。本明細書で使用される用語「長手方向」とは、
図1~
図5における誘電層100の前記横方向に垂直な縦方向を意味し得る。
【0081】
例えば、前記第1方向は、前記誘電層の長手方向または幅方向に対して第1チルティング角度θ1で傾斜することができ、前記第2方向は、前記誘電層の長手方向または幅方向に対して第2チルティング角度θ2で傾斜することができる。
【0082】
放射体112,122を誘電層100の側辺に対して傾斜して配列することにより、放射体112,122のそれぞれに接続される伝送線路114,124間の長さ差が増加することを防止することができる。
【0083】
放射体112,122のそれぞれに接続される伝送線路114,124間の長さ差が増加すると、抵抗および線路損失が増加して感度および信号効率が低下することがある。そのため、放射体112,122のそれぞれに入力される信号、および放射体112,122のそれぞれから放出される電磁波信号の正確性が低下することがあり、検知対象体に対する信号が不正確に測定され、位置および距離の測定において誤差が発生することがある。
【0084】
また、第1伝送線路114間の長さ差と第2伝送線路124間の長さ差が異なると、第1方向への信号感度と第2方向への信号感度が異なり得る。そのため、2つの軸における位置変化および距離の測定が不正確であり、ジェスチャーおよびモーションの検知性能が低下することがある。
【0085】
例示的な実施形態によると、第1放射体群110および第2放射体群120を誘電層100の長手方向または幅方向に対して所定のチルティング角度で傾斜して配置することにより、伝送線路の長さが短くなり、信号損失および抵抗増加を防ぐことができる。
【0086】
また、放射体112,122のそれぞれに接続される伝送線路114,124間の長さの差が減少し、第1軸と第2軸における感度差を低減することができ、検知対象体の動作および距離による信号強度の変化をより正確に測定することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、第1伝送線路114は第1放射体112から一直線に延びることができる。いくつかの実施形態では、第2伝送線路124は第2放射体122から一直線に延びることができる。
【0088】
伝送線路114,124を一直線に延びることにより、屈曲部または折れ部による信号損失およびノイズの発生を防止することができる。これにより、放射体群110,120の信号送受信効率および感度を向上させることができ、動作およびジェスチャーの検知精度を向上させることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、第1チルティング角度θ1および第2チルティング角度θ2は、それぞれ15°~75°、または30°~60°であってもよい。前記範囲内では、第1放射体群110と第2放射体群120を同一平面上に対称に配置することができ、第1伝送線路114間の長さ差および第2伝送線路124間の長さ差を低減することができる。
【0090】
好ましくは、前記第1チルティング角度θ1および前記第2チルティング角度θ2は45°であってもよい。
【0091】
一実施形態では、第1伝送線路114および第2伝送線路124は互いに平行に延びることができる。例えば、第1伝送線路114および第2伝送線路124は、それぞれ放射体の一辺から直線に延び、誘電層の長手方向または幅方向(第3方向)に配列することができる。
【0092】
この場合、第1方向および第2方向のそれぞれは、伝送線路114,124の配列方向と前記チルティング角度で傾斜することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、第1放射体群110および第2放射体群120はそれぞれ複数の放射体を含むことができ、例えば、それぞれ2つの放射体または3つの放射体を含むことができる。
【0094】
図2を参照すると、第1放射体群110は2つの第1放射体112を含むことができ、第2放射体群120は2つの第2放射体122を含むことができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1放射体群110および第2放射体群120は1つの放射体を共有することができる。例えば、第1放射体群110および第2放射体群120は、3つの放射体で構成することができる。
【0096】
これにより、放射体112,122および伝送線路114,124が占める面積を低減することができる。これにより、アンテナ構造体は、向上した信号送受信効率およびモーション検知性能を有しながらも小型化および集積化することができる。
【0097】
一実施形態では、第1伝送線路114間の長さ差d1に対する第2伝送線路124間の長さ差d2の比は、0.8~1.2または0.9~1.1であってもよい。
【0098】
前記範囲内では、第1方向および第2方向の信号感度を類似に維持することができ、各方向における信号感度の差による測定誤差を減らすことができる。
【0099】
好ましくは、第1伝送線路114間の長さ差d1と、第2伝送線路124間の長さ差d2は同じであってもよい。
【0100】
放射体112,122および伝送線路114,124は、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)またはこれらの少なくとも1つを含有する合金を含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて用いることができる。
【0101】
一実施形態では、放射体112,122および伝送線路114,124は、低抵抗の実現および微細線幅パターニングのために、銀(Ag)若しくは銀合金(例えば、銀-パラジウム-銅(APC)合金)、または銅(Cu)若しくは銅合金(例えば、銅-カルシウム(CuCa)合金)を含むことができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、放射体112,122および伝送線路114,124は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(ITZO)、亜鉛酸化物(ZnOx)などの透明導電性酸化物を含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、放射体112,122および伝送線路114,124は、透明導電性酸化物層と金属層との積層構造を含むことができ、例えば、透明導電性酸化物層-金属層の2層構造、または透明導電性酸化物層-金属層-透明導電性酸化物層の3層構造を有することもできる。この場合、前記金属層によってフレキシブル特性が向上しつつ、抵抗を下げて信号伝送速度を向上させることができ、前記透明導電性酸化物層によって耐食性、透明性を向上させることができる。
【0104】
放射体112,122および伝送線路114,124は黒化処理部を含むことができる。これにより、放射体112,122および伝送線路114,124の表面での反射率を減少させ、光反射によるパターンの視認を低減することができる。
【0105】
一実施形態では、放射体112,122および伝送線路114,124に含まれる金属層の表面を金属酸化物または金属硫化物に変換して黒化層を形成することができる。一実施形態では、前記金属層上に黒色材料コート層、またはメッキ層のような黒化層を形成することができる。前記黒色材料またはめっき層は、ケイ素、炭素、銅、モリブデン、スズ、クロム、モリブデン、ニッケル、コバルトまたはこれらの少なくとも1つを含有する酸化物、硫化物、合金などを含むことができる。
【0106】
黒化層の組成および厚さは、反射率の低減効果、アンテナの放射特性を考慮して調整することができる。
【0107】
アンテナ構造体は、信号パッドをさらに含むことができる。例えば、前記信号パッドは、第1伝送線路114の末端部に接続される第1信号パッド116と、第2伝送線路124の末端部に接続される第2信号パッド126とを含むことができる。
【0108】
一実施形態では、信号パッド116,126は伝送線路114,124と実質的に一体の部材で提供され得る。例えば、伝送線路114,124の前記末端部が信号パッド116,126で提供されてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態によると、信号パッド116,126の周辺には、グランドパッドを配置することができる。例えば、一対の第1グランドパッドを、第1信号パッド116を挟んで互いに対向して配置することができる。例えば、一対の第2グランドパッドを、第2信号パッド126を挟んで互いに対向して配置することができる。グランドパッドは、伝送線路114,124および信号パッド116,126とは電気的・物理的に分離することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1信号パッド116および第2信号パッド126は、誘電層100の幅方向または長手方向に配列することができ、例えば第3方向に配列することができる。
【0111】
例えば、第1信号パッド116および第2信号パッド126は、第3方向に延びる第3軸X3に沿って互いに離隔して配置することができる。第3軸X3は、前記信号パッドの中心を通って第3方向に延びる仮想直線と定義することができる。
【0112】
第1放射体群110および第2放射体群120は、それぞれ信号パッド116,126の配列方向に対して所定のチルティング角度で傾斜して配置することができる。
【0113】
一実施形態では、回路基板は、信号パッド116,126および伝送線路114,124の他端部上に共にボンディングすることができる。グランドパッドを信号パッド116,126の周辺に配列することにより、回路基板のボンディング安定性をより向上させることができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、アンテナ構造体は、第3伝送線路134の一端に電気的に接続される第3信号パッド136を含むことができる。一実施形態では、第3信号パッド136は、第3伝送線路134と実質的に一体の部材で提供され得る。例えば、第3伝送線路134の末端部が第3信号パッド136で提供されてもよい。
【0115】
一実施形態では、アンテナ構造体は、第3信号パッド136を挟んで対向して配置される一対の第3グランドパッドを含むことができる。
【0116】
一実施形態では、アンテナ構造体は、第3放射体132を1つだけ含むことができる。例えば、1つの第1放射体群110および1つの第2放射体群120に1つの第3放射体132を提供することができる。
【0117】
一実施形態では、アンテナ構造体は複数の第3放射体132を含むことができる。例えば、複数の第3放射体132は、第1放射体群110および第2放射体群120の周辺において、第1放射体112および第2放射体122と離隔して配置することができる。
【0118】
図3は、例示的な実施形態によるアンテナ構造体を示す概略平面図である。
【0119】
図3を参照すると、前記アンテナ構造体は、第1放射体群110および第2放射体群120の周辺に配置されるダミーメッシュパターン150をさらに含むことができる。例えば、ダミーメッシュパターン150は、分離領域155により、放射体112,122、132および伝送線路114,124,134と電気的・物理的に分離することができる。
【0120】
例えば、誘電層100上に前述の金属または合金を含む導電層を形成することができる。前記導電層を、前述の放射体112,122,132および伝送線路114,124,134の直線周縁領域および曲線周縁領域を含むプロファイルに沿ってエッチングしながらメッシュ構造を形成することができる。これにより、分離領域155により、放射体112,122,132および伝送線路114,124,134と離隔しているダミーメッシュパターン150を形成することができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、放射体112,122,132および前記伝送線路114,124,134はメッシュ構造を含むことができる。これにより、アンテナ構造体の透過度を向上させることができ、ダミーメッシュパターン150によって放射体112,122,132の周辺の光学特性を均一化することができる。したがって、アンテナ構造体が視覚的に認識されることを防ぐことができる。
【0122】
一実施形態では、放射体112,122および伝送線路114,124は全体として前記メッシュ構造を含むことができる。一実施形態では、給電効率のために伝送線路114,124の少なくとも一部は、中身が詰まった(solid)構造を含むことができる。
【0123】
一実施形態では、信号パッドおよびグランドパッドは、回路基板による給電抵抗の低減、信号損失の防止のために中身が詰まった金属パターンで形成することができる。
【0124】
図4及び
図5は、例示的な実施形態によるアンテナ構造体の概略平面図である。
【0125】
図4及び
図5を参照すると、第1放射体群110は3つの第1放射体112を含むことができ、第2放射体群120は3つの第2放射体122を含むことができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、第1放射体群110および第2放射体群120は1つの放射体を共有することができる。この場合、第1放射体群110および第2放射体群120は、全体として5つの放射体を含むことができる。
【0127】
図4を参照すると、第1軸X1と第2軸X2の交差点に配置された放射体に接続された伝送線路の長さが最も短くてもよい。
【0128】
図5を参照すると、第1軸X1と第2軸X2の交差点に配置された放射体に接続された伝送線路の長さが最も長くてもよい。
【0129】
図6は、例示的な実施形態によるアンテナ構造体の概略平面図である。
【0130】
図6を参照すると、アンテナ構造体は、第1放射体112、第2放射体122および第3放射体132と離隔して配置されるアンテナユニット140をさらに含むことができる。
【0131】
アンテナユニット140は、第1放射体112および第2放射体122とは異なる共振周波数を有することができる。これにより、1つのアンテナ構造体内において、モーション検知のための信号放射および通信のための電磁波放射を共に実現することができる。
【0132】
アンテナユニット140は、高周波または超高周波帯域での移動通信用として使用することができ、例えば、3G、4G、5Gまたはそれ以上の周波数帯域での信号を送受信することができる。例えば、アンテナユニット140の共振周波数は約20~45GHzの範囲であってもよい。
【0133】
一実施形態では、アンテナユニット140は、誘電層100上で第1放射体112および第2放射体122と同じ層または同じレベルに配置することができる。
【0134】
アンテナユニット140は、第4放射体142と、第4放射体142に接続される第4伝送線路144とを含むことができる。第4放射体142は、例えば多角形のプレート状を有することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、1つの第4放射体142に複数の第4伝送線路144を接続することができる。これにより、実質的に複数の偏波方向を提供することができる。
【0136】
例えば、2つの第4伝送線路144のそれぞれを第4放射体142の下面の2つの頂点に接続することができる。この場合、第4伝送線路144のそれぞれにより、第4放射体142に実質的に直交する2つの方向への給電を行うことができる。これにより、1つの放射体142から二重偏波特性を実現することができる。例えば、アンテナユニット140から垂直放射および水平放射特性を共に実現することができる。
【0137】
一実施形態では、アンテナユニット140は、第4伝送線路144の一端部に接続された第4信号パッド146と、第4信号パッド146を挟んで互いに対向して配置された複数の第4グランドパッド148とをさらに含むことができる。
【0138】
一実施形態では、第4信号パッド146の間には、2つの第4グランドパッド148を配置することができる。例えば、第4信号パッド146のそれぞれに、第4信号パッド146を挟んで互いに対向して配置された2つの第4グランドパッド148を個別的に提供することができる。
【0139】
一実施形態では、第4信号パッド146の間には、1つの第4グランドパッド148を配置することができる。例えば、互いに隣接して配置された第4信号パッド146は、1つの第4グランドパッド148を共有することができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、アンテナユニット140は、前述の金属または合金で形成することができ、透明金属酸化物を含むこともできる。
【0141】
いくつかの実施形態では、アンテナユニット140は、透過率を向上させるためにメッシュ構造を含むことができる。例えば、第4放射体142および第4伝送線路144はメッシュ構造を含むことができる。
【0142】
一実施形態では、第4放射体142および第4伝送線路144は、中身が詰まった構造を含むことができる。例えば、第4放射体142の下面の一部領域および第4伝送線路144は、中身が詰まった構造を有することができる。この場合、アンテナユニット140における中身が詰まった構造を有する部分は、ディスプレイ装置の非表示領域に位置することができる。
【0143】
一実施形態では、第4信号パッド146および第4グランドパッド148は、給電抵抗の低減、ノイズ吸収効率および水平放射特性の向上のために、中身が詰まった(solid)構造を含むことができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、アンテナユニット140は、第1放射体群110および第2放射体群120とλ/2以上離隔して配置することができる。前記λは、アンテナユニット140、第1放射体群110、および第2放射体群120の共振周波数の中で最も低い周波数に相当する波長であり、例えば、アンテナユニット140の共振周波数に相当する波長であってもよい。
【0145】
例えば、第4放射体142と第1放射体112との間の離隔距離、および第4放射体142と第2放射体122との間の離隔距離はλ/2以上であってもよい。前記離隔距離は、2つの放射体間の最短直線距離を意味し得る。
【0146】
この場合、互いに異なる帯域の周波数をカバーする放射体間の十分な離隔距離を確保して信号の妨害及び干渉を抑制することができ、アンテナ構造体のモーション検知性能および信号特性の劣化を防止することができる。
【0147】
図7は、例示的な実施形態によるディスプレイ装置を示す概略平面図である。
【0148】
図7は、ディスプレイ装置300の前面部またはウインドウ面を示している。ディスプレイ装置300の前面部は、表示領域330および非表示領域340を含むことができる。非表示領域340は、例えば、画像表示装置の遮光部またはベゼル部に相当し得る。
【0149】
前述のアンテナ構造体は、ディスプレイ装置300の前面部に向かって配置することができ、例えばディスプレイパネル上に配置することができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、前述のアンテナ構造体はフィルムの形態でディスプレイパネル上に取り付けることができる。
【0151】
一実施形態では、前記アンテナ構造体は、ディスプレイ装置300の表示領域330および非表示領域340にわたって形成することができる。一実施形態では、放射体112,122は表示領域330と少なくとも部分的に重畳してもよい。
【0152】
いくつかの実施形態では、前記アンテナ構造体はディスプレイ装置の一側の中央部に位置することができる。例えば、前記ディスプレイ装置の前面部は、それぞれディスプレイ装置の4つの側の中央に位置する第1領域A1、第2領域A2、第3領域A3及び第4領域A4を含むことができる。
【0153】
アンテナ構造体をディスプレイ装置300の第1領域、第2領域、第3領域または第4領域に形成することにより、いずれか一側でのモーション検知性能が低下することを防止することができ、ディスプレイ装置300の前面部上において、検知対象体の全方向へのモーション、ジェスチャーまたは距離を検知することができる。
【0154】
図8は、例示的な実施形態によるディスプレイ装置を示す概略断面図である。
【0155】
図8を参照すると、ディスプレイ装置300は、ディスプレイパネル310と、ディスプレイパネル310上に配置されたアンテナ構造体160とを含むことができる。
【0156】
例示的な実施形態によると、ディスプレイパネル310上に光学層320をさらに含むことができる。例えば、光学層320は、偏光子または偏光板を含む偏光層であってもよい。
【0157】
一実施形態では、アンテナ構造体160上には、カバーウィンドウを配置することができる。カバーウインドウは、例えば、ガラス(例えば、超薄型ガラス(Ultra-Thin Glass、UTG))または透明樹脂フィルムを含むことができる。これにより、アンテナ構造体160に加えられる外部衝撃を低減または相殺することができる。
【0158】
例えば、アンテナ構造体160は、光学層320とカバーウィンドウとの間に配置することができる。この場合、放射体112,122の下に配置される誘電層100および光学層320を共に放射体112,122の誘電層として提供することができる。これにより、適当な誘電率を確保してアンテナ構造体160のモーション検知性能を十分に確保することができる。
【0159】
例えば、光学層320とアンテナ構造体160は第1粘接着層を介して積層することができ、アンテナ構造体160とカバーウィンドウは第2粘接着層を介して積層することができる。
【0160】
フレキシブルプリント回路基板200は、例えば、ディスプレイパネル310の側面屈曲プロファイルに沿って屈曲してディスプレイ装置300の背面部に配置することができ、駆動ICチップが実装されている仲介回路基板210(例えば、メインボード)に向かって延びることができる。
【0161】
フレキシブルプリント回路基板200および仲介回路基板210はボンディングされるかまたはコネクタによって相互接続され、駆動ICチップによるアンテナ構造体160への給電およびアンテナ駆動制御を実現することができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、仲介回路基板210にはモーションセンサ駆動回路220を実装することができる。一実施形態では、モーションセンサ駆動回路220は、近接センサ(proximity sensor)、ジェスチャーセンサ(gesture sensor)、加速度センサ(acceleration sensor)、ジャイロセンサ(gyroscope sensor)、位置センサ(position sensor)、または地磁気センサ(magnetic sensor)などを含むことができる。
【0163】
いくつかの実施形態では、第1放射体群110および第2放射体群120は、モーションセンサ駆動回路220にカップリング(coupling)することができる。例えば、アンテナ構造体160は、仲介回路基板210に接続されたフレキシブル回路基板200を介してモーションセンサ駆動回路220と電気的に接続することができる。これにより、放射体112,122で検知された信号をモーションセンサ駆動回路220に伝達・提供することができる。
【0164】
一実施形態では、検知対象体の移動による第1放射体群110および第2放射体群120の信号強度を測定し、検知対象の位置変化を測定することができる。例えば、アンテナ構造体160とカップリングされたモーションセンサ駆動回路220は、検知対象体の移動に対応する信号変化を検出して動作を検知することができる。
【0165】
例えば、第1放射体群110は、検知対象体の第1方向への移動を検知することができる。第2放射体群120は、検知対象体の第2方向への移動を検知することができる。これにより、第1軸及び第2軸における動作・位置による信号強度の変化をアンテナ構造体160からモーションセンサ駆動回路220に提供することができ、モーションセンサ駆動回路220は各軸に沿った動作およびジェスチャーを測定することができる。
【0166】
一実施形態では、モーションセンサ駆動回路220はモーション検出回路を含むことができる。アンテナ構造体160から伝達された信号情報は、モーション検出回路を介して位置情報または距離情報に変換・計算することができる。
【0167】
一実施形態では、アンテナ構造体160はレーダーセンサ回路と電気的に接続することができる。これにより、信号送受信情報をレーダープロセッサに伝達することができる。例えば、アンテナ構造体160は回路基板を介してレーダープロセッサに接続することができる。これにより、前記アンテナ構造体を含むレーダーセンサを提供することができる。
【0168】
レーダーセンサは、送受信信号を分析して検知対象体に関する情報を検出することができる。例えば、アンテナ構造体が電波を放射し、検知対象体に反射された電波を再び受信することにより、検知対象体までの距離を測定することができる。
【0169】
例えば、検知対象体の距離は、アンテナ構造体から送信された信号が検知対象体に反射して再びアンテナ構造体に受信されるまでの時間を測定することにより計算できる。
【符号の説明】
【0170】
100:誘電層
110:第1放射体群
112:第1放射体
114:第1伝送線路
116:第1信号パッド
120:第2放射体群
122:第2放射体
124:第2伝送線路
126:第2信号パッド
132:第3放射体
134:第3伝送線路
136:第3信号パッド
150:ダミーパターン
160:アンテナ構造体
200:フレキシブル回路基板
210:仲介回路基板
220:モーションセンサ駆動回路