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  • 特開-トルクの決定システム 図1
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  • 特開-トルクの決定システム 図2a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124863
(43)【公開日】2023-09-06
(54)【発明の名称】トルクの決定システム
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20230830BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20230830BHJP
【FI】
G01L3/10 305
G01D5/245 110M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023028347
(22)【出願日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】2201676
(32)【優先日】2022-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】507018894
【氏名又は名称】エヌテエヌ-エスエヌエール ルルモン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】セシル フラミエ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ デュレ
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077CC02
2F077NN04
2F077NN17
2F077NN24
2F077PP11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】送出される磁気信号の正弦波性に係る欠陥が、決定精度に影響を及ぼさない、トルクの決定システムを提供する。
【解決手段】決定システムは、2つのブッシュ1、2を有する試験本体と、磁極幅Lpおよび磁極幅Lpをそれぞれ有する2つの多極トラック7、8を有するエンコーダと、内側トラック7から読み取り距離e、外側トラック8から読み取り距離eにそれぞれ配置された、複数の感知素子の第1パターン20と複数の感知素子の第2パターン21とを有するセンサと、センサによって送出される複数の信号を比較して、加えられたトルクに依存する複数のブッシュ間の角度を決定するための装置と、を備える。複数のトラックは、半径方向に位置合わせされた複数の磁極の同数の対を有し、複数の感知素子の複数のパターンと複数のトラックとの間の読み取り距離eおよび読み取り距離eは、e/Lp=e/Lpのようになっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何学的回転軸(R)の周りを回転する2つの部材間に加えられたトルクの決定システムであって、
-試験本体であって、前記試験本体を一方の部材上に取り付けるための手段に対して回転可能に固定された内側ブッシュ(1)と、前記試験本体を他方の部材上に取り付けるための手段を有するとともに前記内側ブッシュ(1)の周りに延在する外側ブッシュ(2)と、を有し、複数の前記ブッシュは、複数の前記部材間に加えられた前記トルクに応じて複数の前記ブッシュ間の角度変位を可能にするとともに複数の前記部材間において前記トルクを伝達するように構成された変形可能な構造体によって接続されている試験本体と、
-複数の前記ブッシュの各々にリング(5、6)を備え付けることによって作製されたエンコーダであって、前記リング(5、6)はそれぞれ、対応する前記ブッシュ(1、2)の回転運動を表す周期的信号を発することができる内側磁気トラック(7)および外側磁気トラック(8)を担持しており、複数の前記トラックは、多極磁気トラック(7、8)が形成されるように、それぞれ、磁極幅Lpを有するN極およびS極(9)の一連の対、ならびに、磁極幅Lpを有するN極およびS極(9)の一連の対を有するエンコーダと、
-複数の感知素子の第1パターン(20)と、複数の感知素子の第2パターン(21)と、を備えるセンサであって、複数の感知素子の前記第1パターン(20)、複数の感知素子の前記第2パターン(21)は、それぞれ、対応する前記リング(5、6)の角度位置を表す信号を形成するように、それぞれ、前記内側トラック(7)から読み取り距離e、および、前記外側トラック(8)から読み取り距離eに配置されているセンサと、
-前記センサによって送出される複数の前記信号を比較するための装置であって、加えられた前記トルクに依存する複数の前記ブッシュ(1、2)間の角度を決定することができる装置と、
を備える、決定システムにおいて、
複数の前記トラック(7、8)は、半径方向に位置合わせされた複数の磁極(9)の同数の対を有し、
複数の感知素子の複数の前記パターン(20、21)と複数の前記トラック(7、8)との間の前記読み取り距離eおよび前記読み取り距離eは、e/Lp=e/Lpのようになっていることを特徴とする、決定システム。
【請求項2】
複数の前記センサは、直角位相の複数のインクリメンタルな方形信号を送出し、
前記比較装置は、
複数の前記リング(5、6)の各々の前記角度位置を示す計数手段と、
複数の前記角度位置間の差の計算を可能にする減算手段と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の決定システム。
【請求項3】
前記センサは、複数の感知素子の前記第1パターン(20)および複数の感知素子の前記第2パターン(21)が送出した前記信号に、それぞれ、補間因子fおよび補間因子fを適用するための手段を備え、
前記計数手段は、複数の補間された前記信号の各々においてフロントnおよびフロントnの数を測定し、
前記減算手段は、複数の前記リング(5、6)の複数の前記角度位置間の前記差を計算するために、演算f.n-n.fを実行することを特徴とする、請求項2に記載の決定システム。
【請求項4】
前記読み取り距離eおよび前記読み取り距離eは、それぞれ、Lp/2±10%およびLp/2±10%に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の決定システム。
【請求項5】
前記センサは、複数の感知素子の複数の前記パターン(20、21)が基板の上の電子回路内に埋め込まれた当該基板(23)を備え、
複数の前記パターンの各々は、前記第1パターン(20)については距離dにわたって、前記第2パターン(21)については距離dにわたって、前記基板から半径方向に突出していることを特徴とする、請求項1に記載の決定システム。
【請求項6】
複数の前記リング(5、6)は、それらのトラック(7、8)がそれぞれ、距離lだけ半径方向に離隔した平面Lおよび平面Lに配置されるように、複数の前記ブッシュ(1、2)上に固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の決定システム。
【請求項7】
前記変形可能な構造体は、複数の前記ブッシュ(1、2)を接続する少なくとも1つの半径方向アーム(4)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の決定システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の幾何学的回転軸(R)の周りを回転する2つの部材間に加えられたトルクの決定システムのためのエンコーダの作製方法において、
-試験本体であって、前記試験本体を一方の部材上に取り付けるための手段に対して回転可能に固定された内側ブッシュ(1)と、前記試験本体を他方の部材上に取り付けるための手段を有するとともに前記内側ブッシュ(1)の周りに延在する外側ブッシュ(2)と、を有し、複数の前記ブッシュは、複数の前記部材間に加えられた前記トルクに応じて複数の前記ブッシュ間の角度変位を可能にするとともに複数の前記部材間において前記トルクを伝達するように構成された変形可能な構造体によって接続されている試験本体の複数の前記ブッシュ(1、2)上に、複数の前記リング(5、6)を固定する工程;次いで、
-複数の前記磁気トラック(7、8)の各々を、それらが共通の回転軸を有するように同心状に磁化する工程
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項9】
複数の前記トラック(7、8)は、同時に磁化されることを特徴とする、請求項8に記載のエンコーダの作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクの決定システム、および、かかるシステムのためのエンコーダの作製方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、幾何学的回転軸の周りを回転する2つの部材間に加えられたトルクの決定に適用される。本発明は、特に、例えば電動アシスト式自転車の電気モータと機械的伝動装置との間において、車両へのモータトルクの伝動装置に組み込まれた2つの部材間に加えられたトルクの決定に適用される。
【背景技術】
【0003】
この目的のために、以下の試験本体を使用することが知られている。当該試験本体は、試験本体を一方の部材上に取り付けるための手段に対して回転可能に固定された内側ブッシュ(bushing)と、試験本体を他方の部材上に取り付けるための手段を有するとともに内側ブッシュの周りに延在する外側ブッシュと、を有する。複数のブッシュは、複数の部材間に加えられたトルクに応じて複数のブッシュ間の角度変位(角度方向変位:angular displacement)を可能にするとともに複数の部材間においてトルクを伝達するように構成された変形可能な構造体によって接続されている。
【0004】
かかる試験本体には、複数の前記ブッシュの各々にリングを備え付けることによるエンコーダであって、前記リングはそれぞれ、対応する前記ブッシュの回転運動を表す周期的信号を発することができる内側磁気トラックおよび外側磁気トラックを担持しているエンコーダを取り付けることができる。特に、複数の前記トラックの各々は、擬似正弦(pseudo-sine)形状の磁気信号を送出する多極磁気トラックが形成されるように、N極およびS極の一連の対を有する。
【0005】
このとき、決定システムは、複数の感知素子の第1パターンと、複数の感知素子の第2パターンと、を有するセンサを備える。複数の感知素子の前記第1パターン、複数の感知素子の前記第2パターンは、対応する前記リングの角度位置(角度方向位置)を表す信号を形成するように、それぞれ、前記内側トラック、前記外側トラックから一定の読み取り距離に配置されている。
【0006】
文献FR-2 821 931には、複数のブッシュの相対変位の角度を決定することができ、したがって、複数のブッシュのねじれにより前記角度を誘起する加えられたトルクを決定することができる、複数のかかる信号を比較するための装置の使用が記載されている。
【0007】
このソリューションの限界は、トルクの決定精度にあり、特に、伝動装置においてねじれ角の影響を受けることを回避するための非常にリジッドな(rigid)試験本体に関する。
【0008】
特に、多極磁気トラックは、特に複数の感知素子のパターンと前記トラックとの間の読み取り距離によっては、完全な正弦形状を有する信号を送出しない。この結果、位置信号を比較して、加えられたトルクに依存する角度を決定するときに、誤差が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、特に、加えられたトルクを決定するためのシステムを提供することによって、従来技術に係る問題を解決することを目的とする。このシステムでは、送出される磁気信号の正弦波性に係る欠陥(sinusoidality defect)が、決定精度に影響を及ぼさない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は、幾何学的回転軸の周りを回転する2つの部材間に加えられたトルクの決定システムを提供する。前記決定システムは、
-試験本体(試験体)であって、前記試験本体を一方の部材上に取り付けるための手段に対して回転可能に固定された内側ブッシュと、前記試験本体を他方の部材上に取り付けるための手段を有するとともに前記内側ブッシュの周りに延在する外側ブッシュと、を有し、複数の前記ブッシュは、複数の前記部材間に加えられた前記トルクに応じて複数の前記ブッシュ間の角度変位を可能にするとともに複数の前記部材間において前記トルクを伝達するように構成された変形可能な構造体によって接続されている試験本体と、
-複数の前記ブッシュの各々にリングを備え付けることによって作製されたエンコーダであって、前記リングはそれぞれ、対応する前記ブッシュの回転運動を表す周期的信号を発することができる内側磁気トラックおよび外側磁気トラックを担持しており、複数の前記トラックは、多極磁気トラックが形成されるように、それぞれ、磁極幅Lpを有するN極およびS極の一連の対、ならびに、磁極幅Lpを有するN極およびS極の一連の対を有するエンコーダと、
-複数の感知素子の第1パターンと、複数の感知素子の第2パターンと、を備えるセンサであって、複数の感知素子の前記第1パターン、複数の感知素子の前記第2パターンは、それぞれ、対応する前記リングの角度位置を表す信号を形成するように、それぞれ、前記内側トラックから読み取り距離e、および、前記外側トラックから読み取り距離eに配置されているセンサと、
-前記センサによって送出される複数の前記信号を比較するための装置であって、加えられた前記トルクに依存する複数の前記ブッシュ間の角度を決定することができる装置と、
を備える。複数の前記トラックは、半径方向に位置合わせ(配置調整)された複数の磁極の同数の対を有し、複数の感知素子の複数の前記パターンと複数の前記トラックとの間の前記読み取り距離eおよび前記読み取り距離eは、e/Lp=e/Lpのようになっている。
【0011】
第2の態様によれば、本発明は、前記第1の態様に係る決定システムのためのエンコーダの作製方法を提供する。当該作製方法は、
-試験本体であって、前記試験本体を一方の部材上に取り付けるための手段に対して回転可能に固定された内側ブッシュと、前記試験本体を他方の部材上に取り付けるための手段を有するとともに前記内側ブッシュの周りに延在する外側ブッシュと、を有し、複数の前記ブッシュは、複数の前記部材間に加えられた前記トルクに応じて複数の前記ブッシュ間の角度変位を可能にするとともに複数の前記部材間において前記トルクを伝達するように構成された変形可能な構造体によって接続されている試験本体の複数の前記ブッシュ上に、複数の前記リングを固定する工程;次いで、
-複数の前記磁気トラックの各々を、それらが共通の回転軸を有するように同心状に磁化する工程
を含む。
【0012】
本発明のその他の目的および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の説明において、明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による決定システムの試験本体の正面図である。
図2図1の試験本体の断面図であり、本発明の一実施形態に係るセンサの構成を示す。
図2a図2の拡大図である。
図2b図2aと同様の図であり、本発明による試験本体に対するセンサの別の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
これらの図を参照して、幾何学的回転軸Rの周りを回転する2つの部材間に加えられたトルクを決定するためのシステムを、以下に説明する。
【0015】
特に、このシステムによって、例えば、電動アシスト式自転車の電気モータと機械的伝動装置との間において、車両へのモータトルクの伝動装置に組み込まれた2つの部材間に加えられたトルクを決定することができる。
【0016】
このシステムは、試験本体を備える。試験本体は、当該試験本体を一方の部材上に取り付けるための手段に対して回転可能に固定された内側ブッシュ1と、当該試験本体を他方の部材上に取り付けるための手段を有するとともに当該内側ブッシュ1の周りに延在する外側ブッシュ2と、を有する。
【0017】
ブッシュ1、2は、変形可能な構造体によって接続されている。当該変形可能な構造体は、複数の部材間に加えられたトルクに応じて複数のリング間の角度変位を可能にするとともに複数の部材間において当該トルクを伝達するように構成されている。
【0018】
図示した実施形態では、リング1、2は、幾何学的回転軸R上に取付けるスリーブ3の周りにおいて同心となっている。これは、例えば、外側ブッシュ2が取り付けられた別のシャフトにトルクを伝達するためのシャフトである。変形可能な構造体は、ブッシュ1、2を接続する、少なくとも1つの半径方向(放射状)アーム4を備える。図では、少なくとも1つの半径方向アーム4は、角度方向に均等に分布した、4つのアームである。
【0019】
この結果、複数のシャフト間で伝達されるトルクは、ブッシュ1、2のねじれを誘起し、したがって、当該トルクに依存するねじれ角に応じて、複数の前記ブッシュの相対的な角度方向運動を誘起する。当該システムは、前記ねじれ角の測定結果に基づいて、前記トルクを決定する。
【0020】
この目的のために、ブッシュ1、2の各々に、それぞれ、内側リング5および外側リング6を備え付けることによって、試験本体を有するエンコーダが作製される。内側リング5および外側リング6は、それぞれ、回転する前記リングの運動を表す周期的信号を発することができる内側磁気トラック7および外側磁気トラック8を担持している。当該システムは、複数の前記リングの各々の角度位置を測定するためのセンサを備える。
【0021】
特に、N極およびS極9の一連の対は、擬似正弦形状の磁気信号を発することができる多極磁気トラック7、8がそれぞれ形成されるように、1つのリング5、6上で磁化されている。内側トラック7および外側トラック8は、それぞれ、磁極幅Lpを有する複数の磁極9、磁極幅Lpを有する複数の磁極9を有する。これらは、複数の前記トラックが同相の磁気信号を送出するように半径方向に位置合わせされた複数の磁極9の同数の対を有するように構成されている。
【0022】
例えば、外側リング6の直径が内側リング5の直径の2倍である場合には、前記外側リングの複数の磁極9の磁極幅Lpは、幅Lpの2倍となる。
【0023】
リング5、6は、磁性粒子(特に、NdFeB等の希土類粒子またはフェライト粒子)が分散した環状マトリクス(annular matrix)を含んでもよい。当該環状マトリクスは、例えば、プラスチック材料またはエラストマー材料をベースとして作製される。複数の前記粒子は、磁気トラック7、8が形成されるように磁化される。
【0024】
当該センサは、複数の感知素子の第1パターン20と、複数の感知素子の第2パターン21と、を備える。複数の感知素子の第1パターン20、複数の感知素子の第2パターン21は、それぞれ、対応するリング5、リング6の角度位置を表す信号を形成するように、それぞれ、内側トラック7から読み取り距離e、および、外側トラック8からから読み取り距離eに配置されている。
【0025】
特に、各パターン20、21は、少なくとも2つの感知素子を備えてもよい。当該少なくとも2つの感知素子は、特に、文献FR-2 792 403、文献EP-2 602 593および文献EP-2 602 594に記載された、調整(配置調整)された複数の感知素子であってもよい。
【0026】
感知素子は、検出されるトラック7、8の磁気信号に応じて抵抗が変化する磁気抵抗材料(magneto-resistive material)をベースとするものであってもよい。当該感知素子は、例えば、AMR型、TMR型、もしくはGMR型のものであってもよく、または、ホール効果プローブであってもよい。
【0027】
一実施形態によれば、角度位置は、磁気トラック7、8が発する信号によって、インクリメンタルに(incrementally)決定することができる。別の実施形態によれば、二次磁気トラックまたは特定のコーディングをリング5、6上に設けることによって、角度位置を絶対的に決定することができる、すなわち、基準位置に対して決定することができる。
【0028】
当該システムは、センサによって送出される信号を比較するための装置をさらに備える。前記装置は、加えられたトルクに依存するブッシュ1、2の間の角度を決定することができる。図面を参照すると、センサは、複数の感知素子の複数のパターン20、21が基板の上の電子回路内に埋め込まれた当該基板23を備える。
【0029】
一実施形態によれば、複数のセンサは、直角位相の複数のインクリメンタルな方形信号を送出し、比較装置は、リング5、6の各々の角度位置を示す計数手段と、複数の当該角度位置間の差の計算を可能にする減算手段と、を備える。
【0030】
特に、センサは、複数の感知素子の第1パターンおよび複数の感知素子の第2パターンが送出した信号に、それぞれ、補間因子fおよび補間因子fを適用するための手段を備えてもよい。ここで、計数手段は、複数の補間された信号の各々においてフロント(front)nおよびフロントnの数を測定する。また、減算手段は、複数のリング5、6の複数の角度位置間の差を計算するために、例えば、演算f.n-n.fを実行する。
【0031】
補間因子が同一である場合(f=f)、計算は、フロントnとフロントnとの単純な減算によって実行され得る。
【0032】
複数の感知素子のパターン20、21とトラック7、8との間の読み取り距離eおよび読み取り距離eは、前記パターンによって読み取られる磁気信号の正弦波性に係る誤差(sinusoidality error)が補償されるように、e/Lp=e/Lpのようになっている。
【0033】
さらに、磁場の乏しい正弦波性に起因する誤差が低減するように、読み取り距離eおよび読み取り距離eは、それぞれ、Lp/2±10%およびLp/2±10%に等しくてもよい。この最適位置のいずれの側でも、読み取り距離の関数としての(読み取り距離に応じた)磁場の形状は悪化する。読み取り距離が小さければ、信号の形状がより「方形的(square)」になり、読み取り距離が大きければ、信号の形状がより「三角形的(triangular)」になる。
【0034】
図2bを参照すると、パターン20、21の各々を、外側パターン21については距離dにわたって、内側パターン20については距離dにわたって、基板23から軸方向に突出するように設けることによって、関係式e/Lp=e/Lpが満たされる。ここで、距離dおよび距離dは、異なっており、リング5、6は、それらのトラック7、8が平面Lに配置されるように、ブッシュ1、2上に固定されている。
【0035】
センサの高さを調整することによって、または、複数の高さ(層)を含むプリント回路基板を作製することによって、この実施形態を実施することができる(図2b)。さらに、それがかなり薄く、かつ可撓性を有する場合には、プリント回路基板の変形もまた、関係式e/Lp=e/Lpを満たすことを可能にし得るだろう。
【0036】
図2aを参照すると、リング5、6は、それらのトラック7、8がそれぞれ、距離lだけ軸方向に離隔した平面Lおよび平面Lに配置され、関係式e/Lp=e/Lpが満たされるように、ブッシュ1、2上に固定されている。パターン20、21は、基板23上に埋め込まれており、同一の距離dにわたって突出している。
【0037】
一実施形態によれば、異なる距離dおよびdをゼロでない距離lと組み合わせることによって、関係式e/Lp=e/Lpを満たすことができる。
【0038】
上述したエンコーダは、まず、リング5、6をブッシュ1、2上に固定し、次に、磁気トラック7、8が共通の回転軸を有するよう、当該磁気トラック7、8の各々を同心状に磁化することによって、作製されてもよい。
【0039】
当該方法では、リング5、6を、それらが幾何学的回転軸Rと共通の回転軸を有するように、同心状にブッシュ1、2上に固定することが有利である。
【0040】
先立つ固定工程によって、リング5、6が、当該リング5、6の中心と幾何学的回転軸Rとの間にあり得る距離によって誘起される、同じ機械的偏心を有することが可能となる。そして、その後のトラックの磁化工程によって、共通の回転軸と幾何学的回転軸Rとの間における、同じ磁気的偏心を得ることが可能となる。
【0041】
したがって、これらの偏心は同じとなり、位置誤差が同じであり減算によって排除可能である限り、それらの潜在的な欠陥は、リング5、6の各々の角度位置の比較によるトルクの決定精度に対して影響を及ぼさない。
【0042】
一実施形態によれば、トラック7、8は、2つのクラウンであって、本体上に固定された1つのリング5、6をそれぞれ磁化するための2つのクラウンを有するツールによって磁化される。有利には、これらのクラウンは、それぞれ、1つのリング5、6の幾何学的形状と同様の幾何学的形状を有してもよい。
【0043】
この実施形態によって、それらの同心性が磁化クラウンの幾何学的形状によって課される限り、それらの同心性を単純な方法で満たしつつ、トラック7、8を同時に磁化することが可能となる。また、複数の磁極9の同数の対を、トラック7、8上において半径方向に位置合わせすることが可能になる。
図1
図2
図2a
図2b
【外国語明細書】