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特開2023-124894バイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124894
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】バイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/20 20220101AFI20230831BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20230831BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B09B3/00 301B
B09B3/00 303M
B09B5/00 P ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028749
(22)【出願日】2022-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】522077270
【氏名又は名称】浦元 俊亮
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】浦元 俊亮
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004AB01
4D004AC05
4D004BA03
4D004BA04
4D004CA03
4D004CA13
4D004CA22
4D004CA26
4D004CB04
4D004CB32
4D004DA06
4D004DA07
(57)【要約】
【課題】 取り扱いが容易で且つ様々な用途への適正があるバイオマス固形物の生成が行える小規模なバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法の提供。
【解決手段】 厨芥xからバイオマス固形物Xを製造するためのバイオマス固形物製造装置であって、操作ヘッド10で厨芥xを前記処理領域1aの突き当りへ向けて加圧し、打撃し又は旋回させる手法で、脱水行程、乾燥行程、炭化行程及び冷却行程を単一の処理容器で行うことができるシリンジ状の構成が採られたバイオマス固形物製造装置及びそれを用いたバイオマス固形物製造方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨芥からバイオマス固形物を製造するためのバイオマス固形物製造装置であって、
投入された厨芥に対する処理が行われる処理空間を具備したスリーブと、
前記スリーブの処理空間の温度を調整する加熱手段と、
前記スリーブの長手方向に沿って処理空間を進退し投入された厨芥を操作する操作ヘッドを具備した操作手段を備え、
前記スリーブは、前記処理空間として上位の処理領域と下位のドレーン領域を連続して備えると共に、前記処理空間の投入口を開閉する耐圧蓋を備え、
前記処理領域の内面と当該処理領域を進退する前記操作ヘッドの側面との間に前記ドレーン領域に連通する通液路を備え、
前記操作ヘッドは、厨芥に対し前記処理領域の突き当りへ向けて加圧又は打撃を行うことを特徴とするバイオマス固形物製造装置。
【請求項2】
前記処理領域の上開口部に耐圧蓋を備え、
前記耐圧蓋は、前記処理領域の突き当りとなる受圧面を備えることを特徴とする請求項1に記載のバイオマス固形物製造装置。
【請求項3】
前記操作ヘッドは、前記処理領域より投影面積が狭い加圧面を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のバイオマス固形物製造装置。
【請求項4】
前記処理領域は、断面が円形状であり、
前記操作手段は、円筒形状の操作ヘッドと当該操作ヘッドを回転させる回転手段を備え、前記操作ヘッドを回転させて、厨芥を攪拌し、遠心排水し又は前記処理領域の突き当りで厨芥を擂り潰すことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバイオマス固形物製造装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のバイオマス固形物製造装置を用い、
スリーブにおける操作ヘッド上に投入された厨芥を当該操作ヘッドと処理領域の突き当りとで圧縮する絞り処理、又はスリーブにおける操作ヘッド上に投入された厨芥を当該操作ヘッドで処理領域の突き当りに打ち付ける搗き処理を行う脱水行程と、
加熱手段で処理領域を加温する乾燥行程と、
前記乾燥行程を経た厨芥を前記操作ヘッドと処理領域の突き当りとで圧縮しつつ前記加熱手段で処理領域を加熱する炭化行程を経ることを特徴とするバイオマス固形物製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載のバイオマス固形物製造装置を用い、
スリーブにおける操作ヘッド上に投入された厨芥を操作ヘッドで旋回させる遠心排水処理、又はスリーブにおける操作ヘッド上に投入された厨芥を前記処理領域の突き当りへ向けて押し付けつつ前記操作ヘッドを回転させて擂り潰す擂り潰し処理を行う脱水行程と、
加熱手段で処理領域を加温する乾燥行程と、
前記乾燥行程を経た厨芥を前記操作ヘッドと処理領域の突き当りとで圧縮しつつ前記加熱手段で処理領域を加熱する炭化行程を経ることを特徴とするバイオマス固形物製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄された食品等の有機性廃棄物を燃料又は肥料等として有効利用できるバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭、飲食業又は宿泊業等で廃棄される生ごみや残飯等の有機性廃棄物の処理及びそれに要するコストは大きな社会問題のひとつとなっている。
従来厨芥を炭化物とする手法が種々紹介されているが(下記特許文献1参照)、この様な大規模な装置では厨芥を排出する者が個々で実施する事ができず、各家庭等で個別に有機性廃棄物を処理できる環境づくりには寄与しない。
一方、生ごみを乾燥させ且つ容積を縮小させて廃棄を容易とする手法(下記特許文献2)を小規模に実用化した装置も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04-277072号公報
【特許文献2】特開2005-87950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、小規模な装置では、依然として処理後の生成物が粉体や小片に処理できるに止まるため依然として取り扱いが煩雑であるという問題がある。
加圧によって上記生成物を固形物に成形する手法も紹介されているが、小規模な装置に組み入れることは困難であり、ましてや、様々な用途に合わせて固形物の形状を変更することは極めて困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、取り扱いが容易で且つ様々な用途に適した形態のバイオマス固形物の生成が行える小規模なバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明によるバイオマス固形物製造装置は、厨芥からバイオマス固形物を製造するためのバイオマス固形物製造装置であって、投入された厨芥に対する処理が行われる処理空間を具備したスリーブと、前記スリーブの処理空間の温度を調整する加熱手段と、前記スリーブの長手方向に沿って処理空間を進退し投入された厨芥を操作する操作ヘッドを具備した操作手段を備えるものである。
【0007】
そして、その特徴とするところは、前記スリーブは、前記処理空間として上位の処理領域と下位のドレーン領域を連続して備えると共に、前記処理空間の投入口を開閉する耐圧蓋を備え、前記処理領域の内面と当該処理領域を進退する前記操作ヘッドの側面との間に前記ドレーン領域に連通する通液路を備え、前記操作ヘッドは、厨芥に対し前記処理領域の突き当りへ向けて加圧又は打撃を行うことを特徴とする。
前記処理領域の上開口部に耐圧蓋を備え、前記耐圧蓋は、前記処理領域の突き当りとなる受圧面を備える構成を採ることができる。
【0008】
本発明によるバイオマス固形物製造装置は、更に、前記操作ヘッドは、前記処理領域より投影面積が狭い加圧面を備える構成を採ることができる。
また、前記処理領域は、断面が円形状であり、前記操作手段は、円筒形状の操作ヘッドと当該操作ヘッドを回転させる回転手段を備え、前記操作ヘッドを回転させて、厨芥を攪拌し、遠心排水し又は前記処理領域の突き当りで厨芥を擂り潰す構成(以下「回転機能付き構成」と言う。)を採ることができる。
【0009】
一方、上記課題を解決するためになされた本発明によるバイオマス固形物製造方法は、上記いずれかのバイオマス固形物製造装置を用い、スリーブにおける操作ヘッド上に投入された厨芥を当該操作ヘッドと処理領域の突き当りとで加圧する絞り処理、又はスリーブにおける操作ヘッド上に投入された厨芥を当該操作ヘッドで処理領域の突き当りに打ち付ける搗き処理を行う脱水行程と、加熱手段で処理領域を加温する乾燥行程と、前記乾燥行程を経た厨芥を前記操作ヘッドと処理領域の突き当りとで圧縮しつつ前記加熱手段で処理領域を加熱する炭化行程を経ることを特徴とする。
【0010】
前記回転機能付き構成が採られたバイオマス固形物製造装置を用いる場合は、スリーブにおける操作ヘッド上に投入された厨芥を操作ヘッドで旋回させる遠心排水処理、又はスリーブにおける操作ヘッド上に投入された厨芥を前記処理領域の突き当りへ向けて押し付けつつ前記操作ヘッドを回転させて擂り潰す擂り潰し処理を行う脱水行程と、加熱手段で処理領域を加温する乾燥行程と、前記乾燥行程を経た厨芥を前記操作ヘッドと処理領域の突き当りとで圧縮しつつ前記加熱手段で処理領域を加熱する炭化行程を経る構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法によれば、ひとつの容器で、打撃や加圧等の操作を交えた脱水、乾燥、炭化又は冷却等の行程を行うことができる。
また、その構成も極めて簡素であるため、炭化温度や規定圧力を調整するだけで固形物の組成を変更できる他、前記耐圧蓋と操作ヘッドを交換するだけで固形物の形態を多様に変更(例えば、着火性又は即効性・遅効性の調整)できるなど、小規模な装置をもって生成物に燃料や肥料等の様々な用途への適正(組成や形態等)を与えることができる。そして、処理後の生成物にあっては、固形物となるため取り扱いが容易となる。
【0012】
更に、前記処理領域の上開口部に耐圧蓋を備え、前記耐圧蓋の受圧面を前記処理領域の突き当りとすることで、操作ヘッドの加圧方向とは逆の方向に液体が流下し、一旦絞り出された液体が再び厨芥に付着することを回避できるため、効率の良い絞りを行うことができる。殊に、厨芥を加圧する操作ヘッドに円錐面状の加圧面を備える構成が採られれば、当該操作ヘッド上に流れ出た液体が速やかに操作ヘッド上から流下することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるバイオマス固形物製造装置の一例を示す説明図である。
図2】本発明によるバイオマス固形物製造方法の一例を示す行程図である。
図3】本発明によるバイオマス固形物製造方法の一例を示す行程図である。
図4】本発明によるバイオマス固形物製造方法の一例を示す行程図である。
図5】本発明によるバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法の実施態様例を示す説明図である。
図6】本発明によるバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法で形作られるバイオマス固形物の一例を示す(A)A-A矢視断面図,(B)正面図,(C)左側面図,(D)底面図,(E)右側面図及び(F)平面図である。
図7】本発明によるバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法で形作られるバイオマス固形物の一例を示す(A)B-B矢視断面図,(B)正面図,(C)左側面図,(D)底面図,(E)右側面図及び(F)平面図である。
図8】本発明によるバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法で設定される規定圧力の(A)時間的推移、(B)脱水行程における位置的推移及び(C)炭化行程における位置的推移を例示した説明図である。
図9】本発明によるバイオマス固形物製造装置の(A)ハードウエア構成及び(B)機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によるバイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、所謂生ごみを含む厨芥xからバイオマス固形物(以下、「固形物X」と言う。)を製造するための家庭用バイオマス固形物製造装置の一例である(図5)。
この例は、投入された厨芥xのバイオマス固形物化(以下、「固形物化」と言う。)が行われるスリーブ1と、前記スリーブ1の処理空間の温度を調整する加熱手段2と、前記スリーブ1の処理空間の雰囲気を管理する空調手段3と、前記スリーブ1の長手方向に沿って処理空間を進退し投入された厨芥xを操作する操作手段4と、前記加熱手段2、空調手段3及び操作手段4等を制御する制御手段16を備え、それぞれは筐体5の内部に据え付けられている。
【0015】
前記スリーブ1は、処理空間が上下に貫通した円筒形状の処理容器であって、前記処理空間の上開口部を投入口とし、当該投入口を開閉する耐圧蓋6を備える。
前記スリーブ1の周壁には、その外面を周回する渦巻状の溝7が穿設されており、当該溝7に前記加熱手段2の熱源である電熱線8が収められている。尚、前記熱源としては、電熱線8以外にもヒーター等を適宜用いることができる。
前記スリーブ1は、前記処理空間として上位の処理領域1aと下位のドレーン領域1bを連続して備える。前記処理領域1aは、厨芥xに対し、様々な処理を行う空間であり、ドレーン領域1bは、前記処理領域1aと連通しガス及び廃液を流通させる空間である。
【0016】
前記処理領域1aは、その内面に、当該処理領域1aの上端から下端に最短距離で連なる一様な断面形状又は上拡がりの断面形状の縦溝(通液路)1cが全周に亘って満遍なく分布する様に複数刻設された空間であって、その最大径(縦溝1cの底を結ぶ仮想円の径)が上拡がりであり、且つ最小径(縦溝1cの上縁を結ぶ仮想円の径)が全長に亘って均一な略回転体形状に空洞化されている。
前記処理領域1aの内面に刻まれた縦溝1cは、各々その上端から前記耐圧蓋6の内面(受圧面6a)に放射状に刻まれた溝6bに連なり、当該受圧面6aの中央の出会い点が各溝6bの上端となる。
尚、前記通液路は、縦溝1cに限定されるものではなく、前記処理領域1aの内面と当該処理領域1aを進退する前記操作ヘッド10の側面との間に存在し、厨芥xに含まれる液体を前記ドレーン領域1bに流下させ得る形態であって、且つ厨芥xが固形物Xとなった際に、当該固形物Xの形態を損なうことなくスリーブ1の投入口から滑らかに離脱させることが出来る形態を適宜選択することができる。
【0017】
前記ドレーン領域1bは、全長に亘って断面形状が均一な円形断面の空洞であり、前記処理領域1aの内面に刻まれた縦溝1cの下端から厨芥xに含まれていた液体が流入し下開口部へ流下する。操作ヘッド10が昇降し又は回転する場合には、前記縦溝1cは、厨芥xの態様に応じてその繊維を分断する刃としても機能する。
前記ドレーン領域1bは、その周壁の上部に、処理領域1a内で発生したガスを回収する空調孔1dを当該周壁を貫通する形態で備え、当該空調孔1dは、そこに連結された空調回路及び空調ポンプと共に、外気遮断機能、換気機能又は調圧機能を奏する前記空調手段3を構成する。
【0018】
前記処理空間(ドレーン領域1b)の下開口部は、ドレーンパン9で覆われ、当該ドレーンパン9の下位に前記操作手段4のアクチュエータが配置されている。
当該ドレーンパン9は、リング状の受け皿であって、その中央に設けられた操作孔から前記操作手段4の操作ヘッド10及び当該操作ヘッド10を稼働させる操作ロッド11が、当該処理空間からのガス漏れや液漏れが生じない様に挿通されている。
前記ドレーンパン9の外周縁とスリーブ1の下端部との隙間には、ガス漏れや液漏れが生じない様にシール構造12が採られている。
【0019】
前記操作ヘッド10は、前記処理領域1aより投影面積が狭く、且つ傾斜が緩やかな円錐面状の加圧面(前面)10aと、当該加圧面10aの周縁から後方に続く等断面又は末広がりの整形面(側面)10bを備えた回転体状のブロックである。
前記操作ヘッド10は、前記処理領域1a及びドレーン領域1bにおいて振れ無く摺動する様に、その最大径の部分が、前記処理領域1aの最小径及びドレーン領域1bの径と略同径に成形されている。
前記ドレーン領域1bは、空調孔1dより下位の一部(以下、「シール部位」と言う。)に、シール手段13を具備し、当該シール手段13と当該シール部位に配置された操作ヘッド10をもって、当該ドレーン領域1bの当該シール部位以下にガス及び廃液を漏らさない構造を構成する。
【0020】
前記操作手段4は、例えば、シリンダ機構、パンタグラフ機構又はネジ式ジャッキ機構等及びそれらに動力を与える電動モータ等からなるアクチュエータと、当該電動アクチュエータにより進退する前記操作ロッド11と、当該操作ロッド11の先端に固定された前記操作ヘッド10を備える。前記操作手段4は、前記操作ロッド11を進退させることにより、処理領域1aに存在する厨芥xに対し、位置保持操作、打撃操作及び加圧操作(圧縮処理を含む)等を行う。
この例では、前記操作手段4は、前記操作ロッド11又はアクチュエータに対して前記操作ヘッド10を回転させる回転手段(電動モーター等)を具備しているため、前記操作ヘッド10の配置に応じて、処理空間に投入された厨芥xに対し旋回操作又は擂り潰し操作等を行うことができる。
【0021】
前記位置保持操作は、前記操作手段4の稼働により、処理空間内における厨芥xに対して行われる処理に適した位置へ当該厨芥xを導き、各操作に必要な位置及び空間を確保するものである。
【0022】
前記打撃操作は、操作手段4の稼働により厨芥xの繊維に対し間欠的な加圧を与えるものである。操作手段4は、この打撃操作により、混錬処理及び搗き処理等を行う。
前記混錬処理は、操作手段4の稼働により操作ヘッド10上に投入された厨芥xを十分な広さの空間内で複数回に亘って振動させ又は昇降させることで揉み解す処理である。
前記搗き処理は、操作手段4の稼働により操作ヘッド10上に投入された厨芥xを耐圧蓋6の受圧面6aへ複数回に亘って押し付け又は打ち付ける処理である(図2(B))。
【0023】
前記加圧操作は、操作手段4の稼働により厨芥xに対して制御された圧力を継続的に加えるものである。操作手段4は、この加圧操作により、絞り処理及び圧縮処理(最終的には、「成形処理」となる。)を行う。
前記絞り処理は、操作手段4の稼働により厨芥xを操作ヘッド10で耐圧蓋6の受圧面6aに徐々に押付ける処理である。この際、操作ヘッド10で厨芥xに加えられる圧力は、当該厨芥xに含まれる液体を絞りとるに足る制御された圧力であって、絞り出された廃液は、耐圧蓋6の溝6b、スリーブ1の内面に刻まれた縦溝1c、ドレーン領域1b及びドレーンパン9を経てドレーンタンク15に収容される(図2(C))。
前記圧縮(成形)処理は、前記加熱手段2を炭化温度で稼働させつつ前記操作手段4を稼働させ、予定の炭化が進んだ厨芥xを操作ヘッド10で耐圧蓋6の受圧面6aに押し付けて圧縮し、予定の炭化状態(炭化又は半炭化状態)で、且つ予定の硬度に圧縮された目的の形態となるに至るまで一回又は複数回に亘って加圧操作を行う(この際、打撃操作を適宜組み合わせる事もできる。)処理である(図4(A))。
【0024】
前記旋回操作は、操作手段4の稼働により厨芥xを十分な広さの空間内で旋回させるものである。操作手段4は、この旋回操作により、攪拌処理及び遠心排水処理を行う。
前記攪拌処理は、前記操作手段4及びその回転手段を稼働し厨芥xを操作ヘッド10の正逆回転により掻き回す処理である。
前記遠心排水処理は、前記操作手段4及びその回転手段を稼働し操作ヘッド10の正逆回転により厨芥xに遠心力を与え当該厨芥xから液体を排出する処理である。
前記遠心排水処理は、前記絞り処理と共に、厨芥xに含まれる液体による固形物化への悪影響を軽減化するための工程である。
【0025】
前記擂り潰し操作は、操作手段4の稼働により厨芥xの繊維をねじ切るものである。
この擂り潰し操作が行われる擂り潰し処理は、前記操作手段4及び回転手段の稼働により厨芥xを操作ヘッド10で耐圧蓋6の受圧面6aに規定圧力で押付けつつ当該操作ヘッド10をゆっくりと正逆回転させる処理である。
【0026】
前記スリーブ1及び耐圧蓋6は、前記処理領域1a内の気圧及び操作ヘッド10を介した操作の圧力に十分耐え得る強度を備える。
また、前記耐圧蓋6にあっては、更に、漏斗状の受圧面6aを備え、同様の圧力に耐え得る閉鎖強度と密封性を具備すべく規定耐力を具備したロック機構(図示省略)とシール構造14を備える。
【0027】
前記制御手段16は、所謂コンピュータシステムとして構成されており、各種情報の入出力を行うための入出力部、入力された情報の演算又は操作を行うための情報処理部、ユーザーの携帯端末装置やクラウドサーバー等との情報通信を行うための通信部、各種情報を保存するための記憶部及び時間を管理する為のタイマーを備える制御装置、並びに各種情報を採取するための各種センサー及び各種情報を表示するための表示装置等を備える。
【0028】
前記制御手段16は、投入された厨芥xに対する脱水行程、乾燥行程、炭化行程及び冷却行程を順次行うが、その際、投入された厨芥xに予め定められた処理スケジュールに副って処理を施す規定制御を基礎とし、投入された厨芥xからその質、量及び状態に基づき当該厨芥xに適する処理を施す帰還制御を行う。
前記制御手段16は、前記操作ヘッド10で厨芥x(固形物X又は受圧面6a)へ加えた圧力を検出する圧力センサ、操作ヘッド10の位置を検出する位置センサ、処理領域1aの内部温度を検出する温度センサ、当該処理領域1a内の湿度を検出する湿度センサ及びドレーンタンク15へ流入する廃液の量を検出する液量センサ並びに処理時間を計測するタイマー等の出力に基づいて、前記加熱手段2、空調手段3、操作手段4及び回転手段の稼働を制御する。
【0029】
厨芥xは、液体の含有量が多いと加圧によって液状化し、多くの厨芥xが流出する事によって圧力の検出はおろか形態が維持できない状態となる。その結果、操作ヘッド10を耐圧蓋6に向けて進めても進度(位置)に応じた規定圧力が得られず、予定の形、大きさ及び品質が得られない場合がある。
厨芥xの固体や繊維が多く残存し固体や繊維間に空隙が広く発生している場合にあっても、空隙(弾性)の解消が進まないことで、操作ヘッド10の進度(位置)に応じた規定圧力が得られず安定的な形態を維持出来ない場合があるが、その様な場合にあっても、液体の含有率が高い時に擂り潰し処理等で繊維を細かく切断すると、厨芥xの流出を助長する事ともなりかねない。
【0030】
制御手段16は、上記実情に鑑み、投入された厨芥xに対する脱水行程、乾燥行程及び炭化行程において、上記混錬処理、搗き処理、絞り処理、圧縮(成形)処理、攪拌処理、遠心排水処理、擂り潰し処理を、厨芥xの流出が抑制され且つ規定硬度が得られる最適な組み合わせで行える様に、前記加熱手段2、空調手段3、操作手段4及び回転手段を制御する。
【0031】
かかる制御を可能とするために、この例の制御手段16は、前記ハードウエアに、操作ヘッド10の位置に紐づけられた厨芥xからの廃液流入量の推移(以下、「位置流入値」と言う。)、又は操作ヘッド10により加えられるべき規定圧力の時間(行程)的推移(以下、「経時圧力値」と言う。)、若しくは操作ヘッド10の位置に紐づけられた前記規定圧力の位置的推移(以下、「位置圧力値」と言う。)等を含む規定スケジュール、及び乾燥行程への移行条件となるドレーンタンク15への廃液流入量等の規定値等を保持する基準保持手段と、前記規定スケジュールに基づき、加熱手段2、空調手段3、操作手段4及び回転手段を制御する情報処理手段としての機能を与える制御プログラムがインストールされている。
尚、前記位置圧力値は、単調増加に限るものでは無く、段階的に又は反復的に増加させる手法を採っても良い。
【0032】
前記制御手段16では、処理空間へ投入する厨芥xの一般的な量、質及び状態を念頭に置いた理想サンプルが設定され、当該理想サンプルの理想的な配置、操作、時間及び温度を組み合わせた処理スケジュール(以下、「規定スケジュール」と言う。)が設定されている。
前記制御手段16には、脱水行程における前記位置圧力値の初期値から厨芥xの容積及び比重を推定し、前記理想サンプルの規定スケジュールを修正する機能を付設することができる。厨芥xの容積は位置圧力値のオフセットを修正することができ、比重が「1」に近ければ液体が支配的であるということで絞り値を修正することができる。
図8は、規定スケジュールの一部であり、厨芥xの投入から固形物Xとして排出されるまでに加える規定圧力の時間的推移(経時圧力値)並びに脱水行程及び炭化行程における操作ヘッド10の位置に応じた規定圧力の位置的推移(位置圧力値)の一例を示すものである。
【0033】
前記制御手段16の情報処理手段は、脱水行程の際に前記液量センサの出力を検出し、処理空間へ厨芥xを投入した直後のドレーンタンク15への廃液の流入量が操作ヘッド10の位置又は前記位置流入値等に照らして液体が支配的であると認識できる含水規定値を上回る場合には、脱水行程の第一段階として、前記遠心排水処理を介在させ、ドレーンタンク15への廃液の流入量が前記含水規定値を下回るまで遠心排水処理を継続する。
ドレーンタンク15への廃液の流入量が含水規定値を下回った時、前記制御手段16の情報処理手段は、脱水行程の第二段階として、ドレーンタンク15への廃液の流入量が操作ヘッド10の位置又は前記位置流入値等に照らして固体や繊維等が支配的であると認識できる脱水規定値を下回るまでは操作ヘッド10に係る最大の圧力を前記絞り値に規制し、前記位置圧力値又はそれを下回る圧力で混錬処理又は絞り処理が行われる様に操作手段4を制御する。
【0034】
前記制御手段16の情報処理手段は、脱水行程における混錬処理又は絞り処理において操作ヘッド10を処理領域1aの突き当りに向けて推し進める際に、操作ヘッド10を規定ストロークで前後に往復させつつ徐々に進め、当該操作ヘッド10の位置と当該位置において当該操作ヘッド10にかかる圧力(以下、「実位置圧力値」と言う。)を検出し、前記位置圧力値との比較をもって厨芥xの含水量及び弾性を判定する。
実位置圧力値が位置圧力値を規定値以上に下回る場合には、前記制御手段16は、含水量過多と判定し、検出された圧力に応じて前記混錬処理、攪拌処理又は遠心排水処理等を介在させる。
【0035】
一方、規定値以上のストロークを持つ弾性(操作ヘッド10の位置に応じた圧力の変動が一部又は全部において傾きを持ちその傾きに反復性がある性状)が残存し安定した圧縮形態を一定の位置で維持できない場合には、前記制御手段16は、弾性のストローク及び検出された圧力に応じて、前記混錬処理、搗き処理、攪拌処理、又は擂り潰し処理を介在させ弾性残存の原因となる厨芥xに含まれる繊維等の位置、姿勢又は寸法の変更を行う。
【0036】
前記脱水行程によりドレーンタンク15への廃液流入量が脱水規定値を下回ったこと(移行条件)を受けて、前記制御手段16の情報処理手段は、十分な広さの空間内で厨芥xに水の沸騰温度程度の熱を与える乾燥行程を開始する。
前記制御手段16の情報処理手段は、タイマーの出力で乾燥行程の開始からの経過時間を導きつつ乾燥行程を継続するが、規定時間内に湿度センサの出力が規定値以下とならない場合には、前記制御手段16は、未だ含水量過多等と判定し、検出された圧力に応じて前記混錬処理若しくは搗き処理、又は攪拌処理、遠心排水処理若しくは擂り潰し処理を介在させる。
【0037】
前記制御手段16の情報処理手段は、乾燥行程によって処理領域1a内の湿度を検出する湿度センサの出力が規定値以下となったことを受けて、加熱手段2の温度を上昇させて炭化行程を開始する。
炭化行程を開始した前記制御手段16の情報処理手段は、位置センサ及び圧力センサの出力と位置圧力値とを比較しつつ規定スケジュールに副って徐々に操作ヘッド10を突き当りに向けて推進し厨芥xにかかる圧力を徐々に高め、当該厨芥xが規定硬度の固形物Xとなるまで継続して当該炭化行程の制御を行う。
この例の制御手段16の情報処理手段は、炭化行程において、この様に加熱状態の下、厨芥xの状態に応じて、推進、推進停止、後退、空隙確保を適宜繰り返しながら操作ヘッド10による圧力を目標の圧力に到達させる。
【0038】
前記制御手段16の情報処理手段は、タイマーの出力で炭化行程の開始からの経過時間を導きつつ炭化行程を継続するが、炭化行程の開始から規定時間を経過しても実位置圧力値が位置圧力値を規定値以上に下回っている場合には、操作ヘッド10の推進を止めて操作ヘッド10をドレーン領域1bのシール部位13にまで降下させる。これにより、加圧を受けていた厨芥xは、処理領域1aの中間部に誘導され、空調手段3で雰囲気が管理された十分な広さの空間内での加熱を受ける。その際、検出された圧力に応じて前記混錬処理又は攪拌処理を介在させる処理を併せて行う様にしてもよい。
【0039】
本発明によるバイオマス固形物製造装置は以上の例の如く構成され、理想サンプルに近い厨芥xに対しては、前記制御手段16により略前記規定制御として予定された行程を順に経て厨芥xの固形物化が行われる。
【0040】
厨芥xは、スリーブ1の耐圧蓋6を開けて処理空間へ投入する。この際、操作手段4は、操作ヘッド10をドレーン領域1bのシール部位13にまで降下させている。
厨芥xを処理空間へ投入した後、耐圧蓋6を締めてロックが施されることで当該処理空間が密封され厨芥xから固形物Xを製造する一連の処理が開始される。
この例では、投入される厨芥xは、流動性を抑制するため、植物由来のネットyに包まれている(図2(A)参照)。この様に厨芥xを前記植物由来のネットyに包むことは、当該ネットyが厨芥xに含まれる液体を吸収するため厨芥xの湿度分布を調整する等の点で望ましい。
【0041】
この例において制御手段16は、先ず、脱水行程を行う。
脱水行程では、前記制御手段16は、前記操作手段4を稼働させて厨芥xを処理領域1aの上端部に誘導し、前記の如く厨芥xに含まれる液体を絞りとる絞り処理を行う(図2(C))。この際、当該操作手段4が回転手段を具備する場合は、遠心排水処理等を組み合わせた規定スケジュールを設定することができる。
厨芥xを処理領域1aの上端部に誘導する際に弾性の残存が検出された場合には、制御手段16は、前記操作手段4を稼働させて、厨芥xに対する規定時間の混錬処理、又は厨芥xを処理領域1aの上位に誘導し当該厨芥xの繊維を度重なる打撃をもって断裂させる規定時間の搗き処理を試みる(図2(B))。この際、当該操作手段4が回転手段を具備する場合は、攪拌処理若しくは厨芥xの繊維をねじ切る擂り潰し処理を組み合わせた規定スケジュールを設定することができる。
上記水分過多に対する処理と弾性の残存に対する処理は、乾燥行程への移行条件を満足するまで繰り返されることとなる。
【0042】
制御手段16は、脱水行程の開始後、ドレーンタンク15への廃液の流入量が脱水規定値未満に低下したこと(移行条件)を受けて、制御手段16により厨芥xに含まれる液体を蒸発させる乾燥行程を行う。
乾燥行程では、制御手段16は、操作手段4の操作ヘッド10をドレーン領域1bのシール部位13にまで降下させ(空調手段3の空調孔1dより下位に退避させ)、脱水行程を経た厨芥xを処理領域1aの中間部へ誘導し、厨芥x周囲の空隙を確保する。
この時、厨芥xは、上記絞り処理又は搗き処理等を経て処理領域1aの上部で象られた幅広な塊となって処理領域1aの中間部に留置される。一方、前記シール部位に退避した操作ヘッド10は、その整形面とスリーブ1の内面に施されたシール構造13によって、ドレーン領域1bの下開口部を密閉し処理領域1a及びドレーン領域1bを密封する(図3(A))。
【0043】
当該乾燥行程においては、制御手段16は、同時に、前記加熱手段2を稼働させ、液体成分が蒸発できる温度(90℃~110℃)でスリーブ1及びその処理空間を加温すると共に、空調手段3を稼働させ、気化した液体を処理空間内の雰囲気と共に処理空間外へ排出する(換気)。この様に換気を十分に行う事によって気化した水分が再び厨芥xに付着することを防止し脱水効率及び乾燥効率を高めることができる。
乾燥行程を開始すると、制御手段16は、処理領域1a内の湿度の検出及び判定を開始し、厨芥xが規定の乾燥状態となったとの判定に至った場合には、制御手段16は、厨芥xを半炭化又は炭化するに至るまで加熱する炭化行程を開始する。
乾燥行程をしてから所定時間が経過しても湿度センサの出力が規定値を下回らない場合には、制御手段16は、更に規定時間(追加時間)の乾燥行程を継続する。更に、乾燥行程の追加時間を規定回数継続しても湿度センサの出力が改善しない場合には、脱水行程に戻り、規定時間の混錬処理、搗き処理、攪拌処理又は擂り潰し処理を経て絞り処理から再開する(図2(C))。
【0044】
炭化行程では、制御手段16は、空調手段3で酸素を遮断しながら前記加熱手段2の出力を徐々に上昇させ、処理空間の乾燥した厨芥xを規定スケジュールに副った(前記規定圧力に紐づけられた規定温度に副った)炭化温度とできる様にスリーブ1及びその処理空間を加熱する。同時に、制御手段16は、空調手段3を稼働させ処理領域1a内で発生する揮発性ガスの排気を行うと共に、圧力を前記規定圧力に副った適正値に制御する(図3(B))。
尚、炭化温度は、例えば150℃から350℃程度であり、肥料及び燃料のいずれとしても利用できる固形物を製造するにあたり好ましくは150℃~180℃程度である。
【0045】
制御手段16は、炭化行程の開始と同時に、前記乾燥行程を経て予定の乾燥度となった厨芥xを処理領域1aの上部形状に副って圧縮する圧縮処理を併せて行う。
この際、制御手段16は、前記操作手段4によって操作ヘッド10を規定の進退を加えながら推進させ、厨芥xに対し前記規定圧力に副って圧力を加え続ける。
制御手段16は、当該圧縮処理の間、前記圧力センサ及び位置センサの出力を受け、炭化行程の進捗に伴って厨芥xが操作ヘッド10の位置に紐づけられた規定圧力を加え得る規定硬度に達したか否かを判定し規定硬度に達したところで炭化行程を完了する。
尚、規定圧力は、例えば2MPa~25MPa程度であり、家庭等で利用可能な小規模装置として構成するにあたり好ましくは2MPa~10MPa程度である。
【0046】
制御手段16は、炭化行程の完了を受けて、全炭化状態又は半炭化状態で成形された固形物Xを常温に冷やす冷却行程を行う。
冷却行程は、前記加熱手段2を切り、一定時間の自然冷却、強制送風による冷却又はペルチェモジュール等による強制冷却を行う。
最後に、耐圧蓋6のロックを解き、前記操作手段4を稼働させ、操作ヘッド10をその加圧面10aがスリーブ1の上開口部から露出するに至るまで上昇させ、前記固形物Xを処理領域1aから排出する(図6又は図7)。
【0047】
上記バイオマス固形物製造装置及びバイオマス固形物製造方法により製造されたバイオマス固形物Xは、円柱状の立体であって、前記耐圧蓋6の受圧面6aの形態に副った形態の上面100と、前記スリーブ1の処理領域1aの内面の形態に副った形態の側面101と、前記操作ヘッド10の加圧面及び整形面に副った形態の底面102を備える。
例えば、図6に示す例は、円錐面状に凸出した基面に放射状に配置された突条を備えた上面100と、直線的な突条103をスリーブ1から離脱可能に単数又は複数備える曲面状の側面101と、ロート状に陥没した底面102を備える。
例えば、図7に示す例は、円錐面状に凸出した上面100と、直線的な突条103をスリーブ1から離脱可能に単数(又は複数)備える側面101と、円柱状に陥没した底面102を備える。この例は、ロート状の受圧面6aを備えた耐圧蓋6を採用し、操作ヘッド10の加圧面として平坦面を採用することで形作られる。
【0048】
この様に、上面に先鋭部を設け、側面及び下面の周縁部に突条を設けることにより、燃料として用いる場合には着火性が良好となり、肥料として用いる場合には、特徴ある形状によって散布後速やかに効能を表しながらも、その粒の大きさと側面積が小さくされた円柱状の領域の存在によって長期に亘って効能を維持できる肥料となる。
また、操作ヘッド10の加圧面の形態として耐圧蓋6の受圧面6aに丁度嵌る形状を採用し、固形物の上面が別の固形物の底面に嵌る形態を採用することによって積み重ねも容易となり貯蔵時の便宜ともなる。
本願発明によるバイオマス固形物は、様々な用途を持つ固形物と言う形で炭素を貯蔵すると考えることも出来るため、地球温暖化、脱炭素社会、温室効果ガスの削減にも寄与すると考えられる。
【符号の説明】
【0049】
x 厨芥,X バイオマス固形物,y ネット,
1 スリーブ,
1a 処理領域,1b ドレーン領域,1c 縦溝,1d 空調孔,
2 加熱手段,3 空調手段,4 操作手段,5 筐体,
6 耐圧蓋,6a 受圧面,6b 溝,
7 溝,8 電熱線,9 ドレーンパン,
10 操作ヘッド,10a 加圧面,10b 整形面,
11 操作ロッド,12 シール構造,13 シール構造,14 シール構造,
15 ドレーンタンク,16 制御手段,
100 上面,101 側面,102 底面,103 突条,
図1
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図9