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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124927
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20230831BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G01N27/409 100
G01N27/416 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028798
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】大西 諒
(72)【発明者】
【氏名】後呂 洋平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 悠介
【テーマコード(参考)】
2G004
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BF27
2G004ZA04
(57)【要約】
【課題】耐被水性を向上させたガスセンサを提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係るガスセンサの外側保護カバーの外側表面には、外側ガス孔から前記外側保護カバーの周方向に所定の距離を隔てた位置に、前記外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、
外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う有底筒状の外側保護カバーと、
を備え、
前記外側保護カバーの外側表面には、前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの周方向に所定の距離を隔てた位置に、前記外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路が設けられている、
ガスセンサ。
【請求項2】
前記流水路は、断面において開口部の幅が底部の幅以上である溝として構成される、
請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記流水路は、断面における開口部の幅が前記外側保護カバーの開口縁側ほど広がる凝集水導入部分を含む、
請求項1または2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記流水路の、前記外側保護カバーの軸方向の長さは、前記外側ガス孔の、前記外側保護カバーの軸方向の長さよりも長い、
請求項1から3のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記流水路の、断面における開口部の幅は100μm以上である、
請求項1から4のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記流水路の表面粗さRaの値は、6.3μmである、
請求項1から5のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記流水路の表面には、撥水加工または疎水性加工が施されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項8】
前記外側保護カバーの外側表面には、複数の前記流水路が設けられている、
請求項1から7のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項9】
前記流水路は、前記外側保護カバーの開口縁から前記外側保護カバーの底まで延びている、
請求項1から8のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxや酸素などの所定のガス濃度を検出するガスセンサが知られている。ガスセンサは、例えば、前記被測定ガスの前記所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う有底筒状の外側保護カバーと、を備えている。このようなガスセンサは、自動車の排気管等に取り付けられ、排気ガス中のNOxなどのガス濃度を検出することができる。
【0003】
自動車の排気ガスなどが流れる排気管内には凝集水が発生することがあるが、ガスセンサはセンサ素子の活性化する温度(例えば850℃)で使用されるため、センサ素子が被水すると熱衝撃によってセンサ素子にクラックが生じることがある。このため、センサ素子の被水を抑制することが検討されている。特に、近年の規制強化により、排気管内に凝集水が大量に存在する条件でのセンサ信号取得が求められるため、ガスセンサの耐被水性を向上させることが必要になってきている。
【0004】
例えば下掲の特許文献1には、センサ素子の先端等が内部に配置されるセンサ素子室からの出口である素子室出口の配置位置を工夫することで、素子室出口から突発的にガスが流入しても、水がセンサ素子に到達することを抑制できるガスセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-60218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件発明者は、ガスセンサの耐被水性のさらなる向上のための検討を重ね、排気管内に発生した凝集水がどのようにしてセンサ素子(特に、センサ素子の先端)に到達するかについて、以下の現象(プロセス)を見出した。
【0007】
図8は、排気管内に発生した凝集水がガスセンサの備えるセンサ素子(特に、センサ素子の先端)に到達するプロセスの概要を説明する図である。図8に示すように、従来のガスセンサ99は、例えば、被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子10と、外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔(不図示)が形成され、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の外側保護カバー940と、を備える。図8に例示するガスセンサ99は、さらにセンサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30と、センサ素子10が内部を軸方向に貫通している円筒状のハウジング20と、を備え、内側保護カバー30は、第1部材31と、第2部材32と、を含む。すなわち、ガスセンサ99において外側保護カバー940は、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30を覆っている。また、図8に示す例では、ガスセンサ99の外側保護カバー940は、その開口縁において、ハウジング20の有する突出部21(フランジ)に接している。このような構成を備えるガスセンサ99は、ハウジング20の突出部21と、排気管800に溶接された被取付部であるボス810とが接した状態で、排気管800に取り付けられる。
【0008】
図8に例示するように、排気管800内に発生した凝集水(水)は、例えば、経路PAをたどって、センサ素子10(特に、センサ素子10の第1先端部11)に到達する。すなわち、排気管800内に発生した水は、エンジン始動時の突発的なガス流れなどによって飛散し、先ず排気管800の内壁に付着する。排気管800の内壁に付着した水は、排気管800の内壁に沿って垂れ落ち、さらに、排気管800の内壁から外側保護カバー940へと達する。外側保護カバー940へと達した水は、さらに、外側保護カバー940に沿って垂れ落ち、外側保護カバー940に設けられた外側ガス孔から外側保護カバー940の内部へと侵入し、センサ素子10(特に、センサ素子10の第1先端部11)に到達する。
【0009】
本発明は、一側面では、排気管内に発生した凝集水が上述のようなプロセスを経てセンサ素子へと到達するという事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、耐被水性を向上させたガスセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0011】
本発明の一側面に係るガスセンサは、被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う有底筒状の外側保護カバーと、を備え、前記外側保護カバーの外側表面には、前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの周方向に所定の距離を隔てた位置に、前記外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路が設けられている。
【0012】
当該構成では、前記外側保護カバーの外側表面に前記流水路が設けられており、また、前記流水路は、前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの周方向に所定の距離を隔てた位置に設けられている。しかも、前記流水路は、前記外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びている。前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)は、前記外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びる前記流水路によって整流される。そして、前記流水路は、前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの周方向に所定の距離を隔てた位置に設けられている。そのため、前記流水路によって整流された水は、前記外側ガス孔へと到達することがない。つまり、前記流水路によって、前記外側保護カバーの外側表面を伝う水が前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの内部へと進入することを防ぐことができる。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記流水路によって、水が前記センサ素子に到達することを抑制することができる。
【0013】
上記一側面に係るガスセンサにおいて、前記流水路は、断面において開口部の幅が底部の幅以上である溝として構成されてもよい。例えば、前記流水路は、その断面形状が、三角形、四角形、または、半円形である溝として構成されてもよい。当該構成では、前記流水路は、断面において開口部の幅が底部の幅以上である溝として構成され、前記溝の断面形状は、例えば、三角形、四角形、または、半円形である。上述の構成を有する溝は、上述以外の構成を有する溝よりも形成が容易であり、上述の構成を有する溝によって、前記外側保護カバーの外側表面を伝う、十分な量の水(凝集水)を、効率的に整流することができる。
【0014】
上記一側面に係るガスセンサにおいて、前記流水路は、断面における開口部の幅が前記外側保護カバーの開口縁側ほど広がる凝集水導入部分を含んでいてもよい。例えば、前記凝集水導入部分は、断面における開口部の幅がガスセンサの後端側ほど広がる漏斗状であってもよい。当該構成では、前記流水路は、前記凝集水導入部分を含み、前記凝集水導入部分は、断面における開口部の幅が前記外側保護カバーの開口縁側ほど広がっている。そのため、前記凝集水導入部分によって、前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)を、前記流水路へと導入することができる。なお、前記凝集水導入部分は、例えば、前記外側保護カバーの開口縁側に底辺を有し、前記外側保護カバーの底側(ガスセンサの先端側)に頂点を有する三角形状(漏斗状)の凹部領域として、前記外側保護カバーの外側表面に設けられてもよい。前記流水路において、前記凝集水導入部分と断面における開口部の幅が一定である部分(直線部分)とは、前記外側保護カバーの軸方向に一連に設けられていてもよい。例えば、前記凝集水導入部分の、前記外側保護カバーの底側は、前記直線部分の、前記外側保護カバーの開口縁側に連通していてもよい。
【0015】
上記一側面に係るガスセンサにおいて、前記流水路の、前記外側保護カバーの軸方向の長さは、前記外側ガス孔の、前記外側保護カバーの軸方向の長さよりも長くてもよい。当該構成では、前記流水路の、前記外側保護カバーの軸方向の長さは、前記外側ガス孔の、前記外側保護カバーの軸方向の長さよりも長い。また、前述の通り、前記流水路は、前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの周方向に所定の距離を隔てた位置に、前記外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びている。そのため、前記流水路の開始位置または終了位置から水が前記外側ガス孔へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。
【0016】
上記一側面に係るガスセンサにおいて、前記流水路の、断面における開口部の幅は100μm以上であってもよい。当該構成では、前記流水路の、断面における開口部の幅は100μm以上である。そのため、前記流水路は十分な量の水を整流することができ、前記流水路から溢れた水が、前記外側ガス孔へと入り込んでしまうといった事態が発生することを防ぐことができる。
【0017】
上記一側面に係るガスセンサにおいて、前記流水路の表面粗さRaの値は、6.3μmであってもよい。当該構成では、前記流水路の表面粗さRaの値は、6.3μmであり、つまり、前記流水路の表面は、表面に水を付着させることなく水を整流するのに十分な滑らかさを有している。そのため、前記流水路の水はけを向上させることができる。
【0018】
上記一側面に係るガスセンサにおいて、前記流水路の表面には、撥水加工または疎水性加工が施されていてもよい。当該構成では、前記流水路の表面には、撥水加工または疎水性加工が施されている。そのため、表面に水が付着することのない、水はけのよい前記流水路を実現することができる。
【0019】
上記一側面に係るガスセンサにおいて、前記外側保護カバーの外側表面には、複数の前記流水路が設けられていてもよい。当該構成では、前記外側保護カバーの外側表面には、複数の前記流水路が設けられている。そのため、複数の前記流水路によって十分な量の水を整流することができ、前記流水路から溢れた水が、前記外側ガス孔へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。
【0020】
上記一側面に係るガスセンサにおいて、前記流水路は、前記外側保護カバーの開口縁から前記外側保護カバーの底まで延びていてもよい。当該構成では、前記流水路は、前記外側保護カバーの開口縁から前記外側保護カバーの底まで延びている。そのため、前記流水路の開始位置または終了位置から、水が前記外側保護カバーの外側表面を伝って、前記外側ガス孔へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、耐被水性を向上させたガスセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本実施の形態に係るガスセンサの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図2図2は、図1のガスセンサが備える外側保護カバーの構成の一例を示す側面模式図および平面模式図である。
図3図3は、変形例に係るガスセンサが備える外側保護カバーの構成の一例を示す側面模式図である。
図4図4は、変形例に係るガスセンサが備える外側保護カバーの構成の一例を示す側面模式図である。
図5図5は、変形例に係るガスセンサが備える外側保護カバーの構成の一例を示す側面模式図である。
図6図6は、変形例に係るガスセンサが備える外側保護カバーの構成の一例を示す平面模式図である。
図7図7は、変形例に係るガスセンサが備える外側保護カバーの構成の一例を示す平面模式図である。
図8図8は、排気管内に発生した凝集水がガスセンサの備えるセンサ素子に到達するプロセスの概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0024】
本件発明者は、ガスセンサの取り付けられた排気管内に発生した凝集水が、排気管の内壁を伝ってガスセンサの外側保護カバーへと達した後、外側保護カバーに設けられた外側ガス孔から外側保護カバー内に侵入してしまうという事象を確認した。そこで、本件発明者は、外側保護カバーの、外側ガス孔とは異なる部分に、凝集水を誘導する溝を形成することにより、凝集水の外側保護カバー内への侵入を抑制した。以下、本実施形態に係るガスセンサについて、図1等を用いて、その詳細を説明していく。
【0025】
[構成例]
(ガスセンサの全体概要)
図1は、本実施の形態に係るガスセンサ1の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。図1に示すように、ガスセンサ1は、被測定ガス(例えば、排気ガス)の所定のガス(例えば、NOx等)の濃度を検出可能なセンサ素子10と、センサ素子10の先端(第1先端部11)を覆う有底筒状の外側保護カバー40と、を備えている。特に、図1に例示するガスセンサ1は、センサ素子10と外側保護カバー40とに加えて、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30と、センサ素子10が内部を軸方向に貫通している円筒状のハウジング20と、を備えている。例えば、ガスセンサ1、センサ素子10、ハウジング20、内側保護カバー30、外側保護カバー40の中心軸は同軸になっている。
【0026】
センサ素子10は、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質セラミックスからなる素子体を主たる構成材料とする長尺の柱状あるいは薄板状の部材である。センサ素子10は、第1先端部11の側にガス導入口および内部空所などを備えるとともに、素子体表面および内部に種々の電極や配線パターンを備えた構成を有する。
【0027】
センサ素子10においては、内部空所に導入された被測定ガスが内部空所内で還元ないしは分解されて酸素イオンが発生する。ガスセンサ1においては、センサ素子10の内部を流れる酸素イオンの量が被測定ガス中における所定のガス成分の濃度に比例することに基づいて、係るガス成分の濃度が求められる。
【0028】
センサ素子10の表面の、第1先端部11から長手方向における所定の範囲は、保護膜Pで被覆されてなる。保護膜Pは、熱的な衝撃から第1先端部11近傍を保護するために設けられる、例えばAl23などからなる厚みが10μm~2000μm程度の多孔質膜であり、耐熱衝撃保護層とも称される。保護膜Pは、その目的に照らして、50N程度までの力に耐え得るように形成されるのが好ましい。保護膜Pの形成範囲は、センサ素子10の具体的構造に応じて適宜に定められる。
【0029】
長尺の柱状あるいは薄板状の部材であるセンサ素子10の、保護膜Pが設けられていない側の端部が、第2先端部12である。ガスセンサ1において、センサ素子10は、円筒状のハウジング20内部を軸方向に貫通しており、保護膜Pで被覆された第1先端部11と、保護膜Pで被覆されていない第2先端部12とが、ハウジング20から突き出している。
【0030】
以下の説明においては、センサ素子10の第1先端部11が配置される側をガスセンサ1の「先端側」と称することがある。同様に、センサ素子10の保護膜Pが設けられていない側の端部(第2先端部12)が配置される側をガスセンサ1の「後端側」と称することがある。図1において、紙面左側がガスセンサ1の先端側であり、紙面右側がガスセンサ1の後端側である。後述する通り、ガスセンサ1の先端側は、外側保護カバー40の底側に相当し、ガスセンサ1の後端側は、外側保護カバー40の開口縁側に相当する。
【0031】
ハウジング20は、センサ素子10が内部を軸方向に貫通する円筒状の部材であり、例えば、金属で形成されている。図1に示すハウジング20は、突出部21(フランジ)を備えている。突出部21は、ガスセンサ1の取り付けられる不図示の外部部材(例えば、排気管)と接して、係る外部部材により規定される空間(例えば、排気管内)から被測定ガスが漏れ出すのを防ぐ部材である。
【0032】
例えば、ハウジング20の外周には、突出部21と接触する態様にて、不図示の固定ボルトが環装される。この固定ボルトは、例えば金属で形成され、外周面におねじが設けられている。ハウジング20は、「排気管に溶接され、内周面にめねじが設けられた固定用部材(被取付部、ボス)」内に挿入され、さらに、突出部21と固定用部材とが接した状態で、上述の固定ボルトが固定用部材内に挿入される。このようにして、ハウジング20は固定用部材内に固定され、つまり、ガスセンサ1が排気管内に固定される。そして、突出部21(特に、突出部21の、先端側の面)は、排気管(固定用部材)の面と当たりシール面を形成することにより、被測定ガスが排気管の外部へと漏れだすのを防ぐ。
【0033】
内側保護カバー30は、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の部材であり、例えば、金属で形成されている。内側保護カバー30は、図1に示す例では、第1部材31および第2部材32を含む。図1に示す例では、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30は、さらに、外側保護カバー40によって覆われている。
【0034】
外側保護カバー40は、センサ素子10の第1先端部11を囲繞する(覆う)有底筒状の部材であり、例えば、金属で形成されている。図1に示す例では、外側保護カバー40は、内側保護カバー30を覆っている。すなわち、図1に例示するガスセンサ1において、外側保護カバー40は、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30を覆っている。外側保護カバー40は、ハウジング20の突出部21よりもガスセンサ1の先端側に付設される。有底筒状の外側保護カバー40の内周面は、円筒状のハウジング20の外周面に接しており、外側保護カバー40の内周面とハウジング20の外周面との間から凝集水が外側保護カバー40の内部へと進入することを防いでいる。また、図1に示す例では、有底筒状の部材である外側保護カバー40は、その開口縁において、ハウジング20の有する突出部21(フランジ)に接している。
【0035】
また、図1には示されていないが、外側保護カバー40には、外側から内側への被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔41が形成されている。さらに、外側保護カバー40の外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40の周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42が設けられている。外側ガス孔41および流水路42について、詳細は図2等を用いて後述する。
【0036】
なお、以下の説明においては、外側保護カバー(外側保護カバー40)が、円筒状の大径部と、係る大径部に接続しており大径部よりも径の小さい有底筒状の先端部とを有している例を説明する。すなわち、本実施形態では、有底筒状の外側保護カバー40が、円筒状の胴部と、有底筒状で胴部よりも内径の小さい先端部とを有する例について説明する。係る胴部は、外側保護カバー40の中心軸方向に沿った側面をもつ側部と、胴部の底部であって側部と先端部とを接続する段差部と、を有している。ただし、ガスセンサ1にとって、外側保護カバー40がこのような構成を備えることは必須ではなく、外側保護カバー40が、胴部と先端部とを有することは必須ではない。言い換えれば、ガスセンサ1にとって、外側保護カバー40を、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とを段差部によって接続した構成とすることは必須ではない。ガスセンサ1にとって、外側保護カバー40は、センサ素子10の第1先端部11を覆う、有底筒状の形状を有していればよい。例えば、外側保護カバー40は、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とを、段差部を介さずに直接接続した構成としてもよい。また、例えば、外側保護カバー40は、複数の段差部を備えていてもよい。すなわち、外側保護カバー40は、円筒状の大径部と、係る大径部に接続し、かつ、大径部よりも径の小さい円筒状の胴部と、係る胴部に接続した先端部であって、胴部よりも内径が小さく、かつ、有底筒状である先端部と、を有していてもよい。つまり、本発明の一側面に係る外側保護カバーは、センサ素子10の先端(第1先端部11)を覆う有底筒状の形状を有していればよく、有底筒状の形状に加えてどのような形状を含むかは、ガスセンサ(ガスセンサ1)の使用方法、使用箇所等に応じて適宜選択される。
【0037】
ガスセンサ1にとって、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30を備えることは必須ではない。例えば、ガスセンサ1は、内側保護カバー30を備えていなくてもよく、外側保護カバー40が、内側保護カバー30を介することなく、センサ素子10の第1先端部11を覆っていてもよい。
【0038】
また、ガスセンサ1が備える保護カバーは、内側保護カバー30および外側保護カバー40に限られるものではない。ガスセンサ1は、内側保護カバー30および外側保護カバー40に加え、さらに別の保護カバーを備えていてもよい。例えば、ガスセンサ1は、内側保護カバー30および外側保護カバー40の他に、両者の間に配置される中間保護カバーをさらに備えていてもよい。また、ガスセンサ1は、係る中間保護カバーを備えていなくてもよい。
【0039】
(取付角度)
これまでに説明してきたガスセンサ1は、例えば自動車の排気管等に取り付けられ、排気ガス(被測定ガス)中のNOx(所定のガス)等の濃度を検出する。ガスセンサ1は、ガスセンサ1の中心軸が排気管内の被測定ガスの流れに垂直、かつ、鉛直方向に対して所定の角度(例えば45度~80度の間に含まれるいずれかの角度)だけ傾いた状態で、排気管内に固定されていてもよい。例えば、ガスセンサ1を排気管に対して傾斜(傾斜角=35度)させて取り付けてもよい。ただし、ガスセンサ1の取付角度は特に限定されるものではなく、実施の形態に即して適宜選択される。ガスセンサ1は、水平面に対して、先端側(第1先端部11が配置された側)を下側に、後端側(第2先端部12が配置された側)を上側にして、傾いた状態で取り付けられればよい。
【0040】
(外側保護カバーの詳細)
図2は、ガスセンサ1が備える外側保護カバー40の構成の一例を示す側面模式図および平面模式図である。すなわち、図2の(A)は、有底筒状の外側保護カバー40の開口縁を紙面上側、外側保護カバー40の底面を紙面下側とする、外側保護カバー40の構成の一例を示す側面模式図である。また、図2の(B)は、有底筒状の外側保護カバー40の底の側から眺めた、外側保護カバー40の平面模式図である。
【0041】
図2に示すように、有底筒状の外側保護カバー40には、外側から内側への被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔41が形成されている。具体的には、図2には、側面に、12個の外側ガス孔41(41(1)、41(2)、41(3)、・・・、41(12))が形成された有底筒状の外側保護カバー40の例が示されている。
【0042】
以下の説明において、12個の外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、・・・、41(12)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「外側ガス孔41」との呼び方を用いる。また、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、・・・、41(12)の各々を区別する場合には、部材番号「41」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、各々を区別する。なお、「n」は「1」以上の整数とする。
【0043】
ただし、外側保護カバー40に形成される外側ガス孔41が12個であることは必須ではなく、ガスセンサ1において、外側保護カバー40には、1個以上の外側ガス孔41が形成されていればよい。例えば、外側保護カバー40に形成される外側ガス孔41は、1個であってもよいし、2~11個であってもよいし、13個以上であってもよい。
【0044】
また、外側ガス孔41が有底筒状の外側保護カバー40の側面に形成されることも必須ではない。有底筒状の外側保護カバー40の底面に、1つ以上の外側ガス孔41が形成されてもよい。また、外側保護カバー40の側面および底面の各々に、1つ以上の外側ガス孔41が形成されていてもよい。すなわち、外側ガス孔41が形成され、センサ素子10の第1先端部11を覆う外側保護カバー40は、第1先端部11を覆う底を有していればよく、外側ガス孔41をどこに形成するかは、ガスセンサ(ガスセンサ1)の使用方法、使用箇所等に応じて適宜選択される。
【0045】
(流水路の設置)
図2に示すように、外側保護カバー40の外側表面(側面)には、外側ガス孔41から外側保護カバー40の周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42が設けられている。
【0046】
(流水路の個数)
具体的には、図2(特に、図2の(B))には、側面に、6本の流水路42(42(1)、42(2)、42(3)、・・・、42(6))が設けられた有底筒状の外側保護カバー40の例が示されている。以下の説明において、6本の流水路42(1)、42(2)、42(3)、・・・、42(6)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「流水路42」との呼び方を用いる。また、流水路42(1)、42(2)、42(3)、・・・、42(6)の各々を区別する場合には、部材番号「42」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、各々を区別する。
【0047】
図2に例示するように、ガスセンサ1において、外側保護カバー40の外側表面には、複数の流水路42が設けられていれもよい。複数の流水路42を外側保護カバー40の外側表面に設けることにより、これら複数の流水路42によって十分な量の水を整流することができ、流水路42から溢れた水が、外側ガス孔41へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。
【0048】
ただし、外側保護カバー40に設けられる流水路42が6つであることは必須ではなく、ガスセンサ1において、外側保護カバー40には、1つ以上の流水路42が設けられていればよい。例えば、外側保護カバー40に設けられる流水路42は、1つであってもよいし、2~5つであってもよいし、7つ以上であってもよい。
【0049】
(流水路の延伸する方向)
図2の(A)に示す例では、流水路42は、有底筒状の外側保護カバー40の軸方向に、つまり、外側保護カバー40の周方向に直交する方向に延びている。しかしながら、流水路42が外側保護カバー40の軸方向に延びていることは必須ではなく、ガスセンサ1において、流水路42は、有底筒状の外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。本発明の一側面に係る流水路の延伸方向について、詳細は後述する。
【0050】
(流水路の断面形状)
図2の(B)に例示する流水路42は、その延伸方向に直交する面(断面)の形状が、つまり、断面形状が、四角形状である。断面形状を四角形状とする溝を外側保護カバー40の外側表面に形成するのは容易である。また、断面形状が四角形状の溝として構成された流水路42によって、外側保護カバー40の外側表面を伝う、十分な量の水(凝集水)を、効率的に整流することができる。
【0051】
ただし、流水路42の断面形状が、四角形状であることは必須ではない。流水路42は例えば、断面において開口部の幅が底部の幅以上である溝として構成されている。本発明の一側面に係る流水路の断面形状(流水路の延伸方向に直交する面の断面形状)について、詳細は図6および図7を用いて後述する。
【0052】
(流水路の長さ)
図2の(A)に示す例では、流水路42は、有底筒状の外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで延びている。すなわち、前述の通り、外側保護カバー40は、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、図2の(A)に示す流水路42についても、例えば、円筒状の胴部の側面に設けられた流水路42(1)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた流水路42(1)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた流水路42(1)によって接続されている。つまり、図2の(A)に例示する流水路42(1)は、有底筒状の外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで、連続して延びている。同様に、円筒状の胴部の側面に設けられた流水路42(n)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた流水路42(n)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた流水路42(n)によって接続されている。つまり、図2の(A)に例示する流水路42(n)は、有底筒状の外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで、連続して延びている。
【0053】
流水路42が、外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで延びていることにより、以下の効果を実現することができる。すなわち、流水路42の開始位置(ガスセンサ1の後端側の端部)または終了位置(ガスセンサ1の先端側の端部)から、水が外側保護カバー40の外側表面を伝って、外側ガス孔41へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。
【0054】
ただし、流水路42にとって、有底筒状の外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで延びていることは必須ではない。流水路42の、外側保護カバー40の軸方向の長さは、例えば、外側ガス孔41の、外側保護カバー40の軸方向の長さよりも長い。つまり、外側保護カバー40の軸方向において、流水路42の長さは、外側ガス孔41の長さよりも長い。本発明の一側面に係る流水路の長さ(流水路の延伸方向における長さ)について、詳細は図3等を用いて後述する。
【0055】
(流水路の開口部の幅)
図2に例示する流水路42の断面における開口部の幅は100μm以上である。前述の通り、流水路42は、その延伸方向に直交する面の断面において、開口部の幅が底部の幅以上である溝として構成されている。そして、この断面における開口部の幅は100μm以上である。流水路42の断面における開口部の幅を100μm以上とすることにより、以下の効果を実現することができる。すなわち、流水路42は十分な量の水を整流することができ、流水路42から溢れた水が、外側ガス孔41へと入り込んでしまうといった事態が発生することを防ぐことができる。ただし、流水路42にとって、流水路42の断面における開口部の幅が100μm以上であることは必須ではない。流水路42の断面における開口部の幅は、外側保護カバー40の外側表面を伝う水(凝集水)を整流することのできる長さの幅であれば、特に限定されない。
【0056】
[特徴]
これまで説明してきたように、本実施形態に係るガスセンサ1は、被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子10と、センサ素子10の第1先端部11(先端)を覆う有底筒状の外側保護カバー40と、を備える。外側保護カバー40には、外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔41が形成されている。ガスセンサ1において、外側保護カバー40の外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40の周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42が設けられている。
【0057】
当該構成では、外側保護カバー40の外側表面に流水路42が設けられており、また、流水路42は、外側ガス孔41から外側保護カバー40の周方向に所定の距離を隔てた位置に設けられている。しかも、流水路42は、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びている。そのため、外側保護カバー40の外側表面を伝う水(凝集水)は、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42によって整流される。そして、流水路42は、外側ガス孔41から外側保護カバー40の周方向に所定の距離を隔てた位置に設けられている。そのため、流水路42によって整流された水は、外側ガス孔41へと到達することがない。つまり、流水路42によって、外側保護カバー40の外側表面を伝う水が外側ガス孔41から外側保護カバー40の内部へと進入することを防ぐことができる。したがって、ガスセンサ1は、流水路42によって、水がセンサ素子10に到達することを抑制することができる。
【0058】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述までの実施形態の説明は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。上記実施形態には、種々の改良及び変形が行われてよい。上記実施形態の各構成要素に関して、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が行われてもよい。また、上記実施形態の各構成要素の形状及び寸法は、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0059】
(流水路の長さに係る変形例)
これまで、図2を用いて、有底筒状の外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで延びる流水路42の例を説明してきた。しかしながら、本発明の一側面に係る流水路にとって、有底筒状の外側保護カバーの開口縁から外側保護カバーの底まで延びていることは必須ではない。
【0060】
図3は、変形例に係るガスセンサ1Aが備える外側保護カバー40Aの構成の一例を示す側面模式図である。すなわち、図3は、有底筒状の外側保護カバー40Aの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Aの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Aの構成の一例を示す側面模式図である。
【0061】
図3に示すように、外側保護カバー40Aの外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40Aの周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40Aの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42Aが設けられている。具体的には、図3には、側面に、3本の流水路42A(42A(1)、42A(2)、42A(3))が設けられた有底筒状の外側保護カバー40Aの例が示されている。以下の説明において、3本の流水路42A(1)、42A(2)、42A(3)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「流水路42A」との呼び方を用いる。また、流水路42A(1)、42A(2)、42A(3)の各々を区別する場合には、部材番号「42A」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、各々を区別する。
【0062】
図3に例示する流水路42Aは、図2を用いて説明してきた流水路42とは異なり、有底筒状の外側保護カバー40Aの開口縁から外側保護カバー40Aの底までは延びてはいない。具体的には、図3に例示する流水路42Aは、外側保護カバー40Aを構成する円筒状の胴部の中ほど(胴部の軸方向において、胴部を二分する位置の周辺)から、外側保護カバー40Aを構成する先端部の外側表面まで、延びている。
【0063】
なお、前述の通り、外側保護カバー40Aは、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、図3の(A)に示す流水路42Aについても、例えば、円筒状の胴部の側面に設けられた流水路42A(1)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた流水路42A(1)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた流水路42A(1)によって接続されている。同様に、円筒状の胴部の側面に設けられた流水路42A(n)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた流水路42A(n)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた流水路42A(n)によって接続されている。すなわち、図3に例示する流水路42Aは、外側保護カバー40Aを構成する円筒状の胴部の中ほどから、外側保護カバー40Aを構成する先端部の外側表面まで、連続して延びている。
【0064】
図3に例示する流水路42Aは、外側保護カバー40Aの開口縁から外側保護カバー40Aの底までは延びてはいない。ただし、外側保護カバー40Aの軸方向における流水路42Aの長さは、外側保護カバー40Aの軸方向における外側ガス孔41の長さよりも長い。つまり、流水路42Aの、外側保護カバー40Aの軸方向の長さは、外側ガス孔41の、外側保護カバー40Aの軸方向の長さよりも長い。
【0065】
そして、図3に例示するように、流水路42Aは、外側ガス孔41から外側保護カバー40Aの周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40Aの周方向に対して傾いた方向に延びている。そのため、外側保護カバー40Aの軸方向における流水路42Aの長さを、外側保護カバー40Aの軸方向における外側ガス孔41の長さよりも長くすることによって、以下の効果を実現することができる。すなわち、流水路42Aの開始位置(ガスセンサ1Aの後端側の端部)または終了位置(ガスセンサ1Aの先端側の端部)から、水が外側保護カバー40Aの外側表面を伝って、外側ガス孔41へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。
【0066】
(流水路の延伸する方向に係る変形例)
これまで、図2を用いて、有底筒状の外側保護カバー40の軸方向に、つまり、外側保護カバー40の周方向に直交する方向に延びる流水路42の例を説明してきた。しかしながら、本発明の一側面に係る流水路が外側保護カバーの軸方向に延びていることは必須ではなく、本発明の一側面に係るガスセンサにおいて、流水路は、有底筒状の外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0067】
図4は、変形例に係るガスセンサ1Bおよび1Cが備える外側保護カバー40Bおよび40Cの構成の一例を示す側面模式図である。特に、図4の(A)は、外側保護カバー40Bの外側表面に設けられた流水路42Bを説明するための図である。具体的には、図4の(A)は、有底筒状の外側保護カバー40Bの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Bの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Bの構成の一例を示す側面模式図である。また、図4の(B)は、外側保護カバー40Cの外側表面に設けられた流水路42Cを説明するための図である。具体的には、図4の(B)は、有底筒状の外側保護カバー40Cの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Cの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Cの構成の一例を示す側面模式図である。
【0068】
図4の(A)に示すように、外側保護カバー40Bの外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40Bの周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40Bの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42Bが設けられている。具体的には、図4の(A)には、側面に、6本の流水路42B(42B(1)、42B(2)、42B(3)、・・・、42B(6))が設けられた有底筒状の外側保護カバー40Bの例が示されている。以下の説明において、6本の流水路42B(1)、42B(2)、42B(3)、・・・、42B(6)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「流水路42B」との呼び方を用いる。また、流水路42B(1)、42B(2)、42B(3)、・・・、42B(6)の各々を区別する場合には、部材番号「42B」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、各々を区別する。
【0069】
図4の(A)に例示する流水路42Bは、外側保護カバー40Bの周方向とも、外側保護カバー40Bの軸方向(つまり、外側保護カバー40Bの周方向に直交する方向)とも、異なる方向に延びている。言い換えれば、流水路42Bの延伸方向は、有底筒状の外側保護カバー40Bの周方向とも、外側保護カバー40Bの軸方向とも一致しない。図4の(A)に示す例では、流水路42Bは、外側保護カバー40Bの軸方向に対して時計方向に30度ほど傾いた角度に延びている。有底筒状の外側保護カバー40Bの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42Bを、外側ガス孔41から外側保護カバー40Bの周方向に所定の距離を隔てた位置に設けることによって、以下の効果を実現することができる。すなわち、外側保護カバー40Bの外側表面を伝う水を流水路42Bによって整流し、水が外側ガス孔41から外側保護カバー40Bの内部へと進入することを防ぐことができる。
【0070】
図4の(A)に例示する外側保護カバー40Bの外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40Bの周方向に所定の距離を隔てた位置に、互いに平行に延びる、複数の流水路42Bが設けられている。ただし、前述の通り、本発明の一側面に係るガスセンサにおいて、外側保護カバーの外側表面に、複数の流水路を設けることは必須ではない。また、外側保護カバーの外側表面に複数の流水路を設ける場合であっても、それら複数の流水路が、互いに平行に延びていることは必須ではない。以下、互いに異なる方向に延びる複数の流水路が設けられた外側保護カバーの例について、図4の(B)を用いて説明する。
【0071】
図4の(B)に示すように、外側保護カバー40Cの外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40Cの周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40Cの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42Cが設けられている。具体的には、図4の(B)には、側面に、10本の流水路42C(42C(1)、42C(2)、42C(3)、・・・、42C(10))が設けられた有底筒状の外側保護カバー40Cの例が示されている。以下の説明において、10本の流水路42C(1)、42C(2)、42C(3)、・・・、42C(10)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「流水路42C」との呼び方を用いる。また、流水路42C(1)、42C(2)、42C(3)、・・・、42C(10)の各々を区別する場合には、部材番号「42C」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、各々を区別する。
【0072】
図4の(B)に例示する流水路42Cは、外側保護カバー40Cの周方向とも、外側保護カバー40Cの軸方向(つまり、外側保護カバー40Cの周方向に直交する方向)とも、異なる方向に延びている。言い換えれば、流水路42Cの延伸方向は、有底筒状の外側保護カバー40Cの周方向とも、外側保護カバー40Cの軸方向とも一致しない。図4の(B)に示す例では、流水路42C(1)、42C(3)、42C(5)、42C(6)、42C(8)、および、42C(10)は、各々、外側保護カバー40Cの軸方向から時計回りに30度ほど傾いた角度に延びている。また、流水路42C(2)、42C(4)、42C(7)、および、42C(9)は、各々、外側保護カバー40Cの軸方向から反時計回りに30度ほど傾いた角度に延びている。
【0073】
図4の(B)に示すように、互いに異なる方向に延伸する複数の流水路42Cは、互いに交わっていてもよい。図4の(B)に示す例では、流水路42C(1)と流水路42C(2)とは、互いに開始位置(ガスセンサ1Cの後端側の端部)において交わり、流水路42C(2)と流水路42C(3)とは、互いに途中で交わっており、流水路42C(3)と流水路42C(4)とは、互いに開始位置において交わっている。有底筒状の外側保護カバー40Cには、外側保護カバー40Cの周方向とも、外側保護カバー40Cの軸方向とも一致しない方向に延びる流水路42Cが複数設けられており、複数の流水路42Cの内の少なくとも2つの流水路42Cは、互いに交わっている。
【0074】
有底筒状の外側保護カバー40Cの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42Cを、外側ガス孔41から外側保護カバー40Cの周方向に所定の距離を隔てた位置に設けることによって、以下の効果を実現することができる。すなわち、外側保護カバー40Cの外側表面を伝う水を流水路42Cによって整流し、水が外側ガス孔41から外側保護カバー40Cの内部へと進入することを防ぐことができる。
【0075】
なお、本発明の一側面に係るガスセンサにおいて、外側保護カバーの周方向とも軸方向とも一致しない方向に延びる流水路を複数設ける場合であっても、係る複数の流水路の内の少なくとも2つの流水路が互いに交わることは必須ではない。外側保護カバーの周方向とも軸方向とも一致しない方向に延びる複数の流水路が、互いに交わることなく、互いに異なる方向に延びていてもよい。
【0076】
(流水路の平面形状に係る変形例)
これまでに説明してきた流水路(流水路42、42A、42B)の開口部の幅は、流水路の延伸方向において、一定であった。しかしながら、本発明の一側面に係るガスセンサにおいて、流水路の開口部の幅を、流水路の延伸方向において一定とすることは必須ではない。流水路の開口部の幅は、流水路の延伸方向において変化してもよい。
【0077】
図5は、変形例に係るガスセンサ1Dが備える外側保護カバー40Dの構成の一例を示す側面模式図である。具体的には、図5は、有底筒状の外側保護カバー40Dの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Dの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Dの構成の一例を示す側面模式図である。
【0078】
図5に示すように、外側保護カバー40Dの外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40Dの周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びる流水路42Dが設けられている。流水路42Dは、断面(流水路42Dの延伸方向に直交する面)における開口部の幅が、外側保護カバー40Dの開口縁側(言い換えれば、ガスセンサ1Dの後端側)ほど広がる凝集水導入部分421Dを含む。すなわち、流水路42Dは、平面形状が漏斗状(三角形状)である凝集水導入部分421Dを含む。特に、図5に例示する流水路42Dは、開口部の幅が流水路42Dの延伸方向において変化する凝集水導入部分421Dと、開口部の幅が流水路42Dの延伸方向において一定である整流部分422Dとを含んでいる。つまり、図5は、漏斗状の外観(平面形状)を有する流水路42Dが設けられた外側保護カバー40Dの側面模式図である。
【0079】
具体的には、図5には、側面に、3本の流水路42D(42D(1)、42D(2)、42D(3))が設けられた有底筒状の外側保護カバー40Dの例が示されている。流水路42D(1)は、流水路42D(1)の延伸方向において外側保護カバー40Dの開口縁側ほど開口部の幅が広い凝集水導入部分421D(1)と、流水路42D(1)の延伸方向において開口部の幅が一定である整流部分422D(1)とを含む。流水路42D(2)は、流水路42D(2)の延伸方向において外側保護カバー40Dの開口縁側ほど開口部の幅が広い凝集水導入部分421D(2)と、流水路42D(2)の延伸方向において開口部の幅が一定である整流部分422D(2)とを含む。流水路42D(3)は、流水路42D(3)の延伸方向において外側保護カバー40Dの開口縁側ほど開口部の幅が広い凝集水導入部分421D(3)と、流水路42D(3)の延伸方向において開口部の幅が一定である整流部分422D(3)とを含む。
【0080】
以下の説明において、3本の流水路42D(1)、42D(2)、42D(3)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「流水路42D」との呼び方を用いる。また、流水路42D(1)、42D(2)、42D(3)の各々を区別する場合には、部材番号「42D」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、各々を区別する。同様に、凝集水導入部分421D(1)、421D(2)、421D(3)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「凝集水導入部分421D」との呼び方を用いる。また、整流部分422D(1)、422D(2)、422D(3)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「整流部分422D」との呼び方を用いる。
【0081】
流水路42Dは、凝集水導入部分421Dと整流部分422Dとを、有底筒状の外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に一連に設けることにより構成される。図5に示す例では、流水路42Dは、凝集水導入部分421Dと整流部分422Dとを、外側保護カバー40Dの軸方向に一連に設けることにより構成されている。
【0082】
図5に例示するように、流水路42Dにおいて、凝集水導入部分421Dは、有底筒状の外側保護カバー40Dの開口縁側に、整流部分422Dは外側保護カバー40Dの底側に、配置される。すなわち、流水路42Dは、有底筒状の外側保護カバー40Dの開口縁側の凝集水導入部分421Dと、該凝集水導入部分421Dの下端(外側保護カバー40Dの底側の端部、終了位置)から外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びる整流部分422Dとからなる。
【0083】
凝集水導入部分421Dは、外側保護カバー40Dの開口縁側を流下する水(凝集水)を導入する。図5に例示するように、凝集水導入部分421Dは、外側保護カバー40Dの開口縁側に向けて開口部の幅が広がる形状の溝(流水溝)として形成される。すなわち、凝集水導入部分421Dは、開始位置(ガスセンサ1Dの後端側の端部)における開口部の幅が、終了位置(ガスセンサ1Dの先端側の端部)における開口部の幅よりも大きい(広い)溝として、構成される。図5に示す例では、凝集水導入部分421Dは、外側保護カバー40Dの開口縁を開始位置(上端)とし、終了位置において整流部分422Dに接続しており、特に、整流部分422Dの開始位置(ガスセンサ1Dの後端側の端部、上端)に接続している。
【0084】
図5に示す例では、流水路42D(1)と流水路42D(2)とは、その開始位置において交わっており、つまり、凝集水導入部分421D(1)と凝集水導入部分421D(2)とは、その開始位置において交わっている。また、流水路42D(2)と流水路42D(3)とは、その開始位置において交わっており、つまり、凝集水導入部分421D(2)と凝集水導入部分421D(3)とは、その開始位置において交わっている。しかしながら、ガスセンサ1Dの外側保護カバー40Dに、複数の流水路42Dを設けることは必須ではなく、外側保護カバー40Dに設けられる流水路42Dは1本であってもよい。また、ガスセンサ1Dの外側保護カバー40Dに、複数の流水路42Dを設ける場合であっても、少なくとも2本の流水路42Dが互いに交わるように、複数の流水路42Dを設けることも必須ではない。ガスセンサ1Dの外側保護カバー40Dに設けられる複数の流水路42Dは、互いに交わっていなくてもよい。
【0085】
また、図5に示す例では、凝集水導入部分421Dの開始位置(ガスセンサ1Dの後端側の端部)は、外側保護カバー40Dの開口縁に配置されている。しかしながら、凝集水導入部分421Dの開始位置を、外側保護カバー40Dの開口縁に配置することは必須ではない。ただし、凝集水導入部分421Dの開始位置は、外側ガス孔41よりも、ガスセンサ1Dの後端側に配置することが望ましい。ただし、凝集水導入部分421Dの開始位置を、外側ガス孔41よりも、ガスセンサ1Dの後端側に配置することによって、ガスセンサ1Dの後端側から先端側へと外側保護カバー40Dを伝って流れ落ちる凝集水(水)を、好適に凝集することができる。
【0086】
整流部分422Dは、凝集水導入部分421Dによって導入された水を、外側ガス孔41から所定の距離を隔てた位置へと整流する。図5に例示するように、整流部分422Dは、開口部の幅が流水路42Dの延伸方向において一定である溝(流水溝)として形成される。図5に示す例では、整流部分422Dは、その上端(開始位置)が凝集水導入部分421Dの下端に接続しており、直線状に、外側保護カバー40Dの底側へ延びている。
【0087】
図5に示す例では、整流部分422Dは、凝集水導入部分421Dの下端から外側保護カバー40Dの底まで延びている。前述の通り、外側保護カバー40Dは、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、図5に示す整流部分422Dについても、例えば、円筒状の胴部の側面に設けられた整流部分422D(1)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた整流部分422D(1)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた整流部分422D(1)によって接続されている。つまり、図5に例示する流水路42D(1)は、有底筒状の外側保護カバー40Dの開口縁から外側保護カバー40Dの底まで、連続して延びている。同様に、円筒状の胴部の側面に設けられた整流部分422D(n)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた整流部分422D(n)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた整流部分422D(n)によって接続されている。つまり、図5に例示する流水路42D(n)は、有底筒状の外側保護カバー40Dの開口縁から外側保護カバー40Dの底まで、連続して延びている。
【0088】
図5に示す例では、整流部分422Dは、外側保護カバー40Dの軸方向に延びている。しかしながら、整流部分422Dが外側保護カバー40Dの軸方向に延びていることは必須ではなく、整流部分422Dは、外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0089】
これまでに説明してきたように、流水路42Dは、断面における開口部の幅が外側保護カバー40Dの開口縁側ほど広がる凝集水導入部分421Dを含む。このような構成の流水路42Dが外側保護カバー40Dの外側表面に設けられることにより、ガスセンサ1Dは、以下の効果を実現することができる。すなわち、凝集水導入部分421Dによって、外側保護カバー40Dの外側表面を伝う水(凝集水)を、流水路42D(特に、整流部分422D)へと導入することができる。
【0090】
特に、図5に例示する凝集水導入部分421Dは、外側保護カバー40Dの開口縁側に底辺を有し、外側保護カバー40Dの底側(ガスセンサ1Dの先端側)に頂点を有する三角形状(漏斗状)の凹部領域(流水溝)として、外側保護カバー40Dの外側表面に設けられている。流水路42Dにおいて、凝集水導入部分421Dと、断面における開口部の幅が一定である整流部分422D(直線部分)とは、外側保護カバー40Dの軸方向に一連に設けられている。すなわち、凝集水導入部分421Dの、外側保護カバー40Dの底側の端部(下端、終了位置)は、整流部分422Dの、外側保護カバー40Dの開口縁側の端部(上端、開始位置)に連通している。
【0091】
なお、図5には、流水路42Dが、凝集水導入部分421Dと整流部分422Dとを含む例を説明したが、流水路42Dが整流部分422Dを含むことは必須ではない。流水路42Dは、断面における開口部の幅が外側保護カバー40Dの開口縁側(ガスセンサ1Dの後端側)ほど広がる凝集水導入部分421Dを含んでいればよい。凝集水導入部分421Dは、外側ガス孔41から外側保護カバー40Dの周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0092】
(流水路の断面形状)
【0093】
図2の(B)に例示する流水路42は、その延伸方向に直交する面の断面形状が、四角形状であった。ただし、本発明の一側面に係る流水路の断面形状が、四角形状であることは必須ではない。本発明の一側面に係る流水路は、例えば、断面において開口部の幅が底部の幅以上である溝として構成される。
【0094】
(流水路の断面形状に係る変形例1)
図6は、変形例に係るガスセンサ1Eが備える外側保護カバー40Eの構成の一例を示す平面模式図である。具体的には、図6は、有底筒状の外側保護カバー40Eの底の側から眺めた、外側保護カバー40Eを説明するための平面模式図である。
【0095】
図6に示すように、外側保護カバー40Eの外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40Eの周方向に所定の距離を隔てた位置に、流水路42Eが設けられている。具体的には、図6には、側面に、6本の流水路42E(42E(1)、42E(2)、42E(3)、・・・、42E(6))が設けられた有底筒状の外側保護カバー40Eの例が示されている。以下の説明において、6本の流水路42E(1)、42E(2)、42E(3)、・・・、42E(6)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「流水路42E」との呼び方を用いる。また、流水路42E(1)、42E(2)、42E(3)、・・・、42E(6)の各々を区別する場合には、部材番号「42E」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、各々を区別する。
【0096】
図6に例示する流水路42Eは、これまでに説明してきた流水路42、42A、42B、42C、42Dと同様に、有底筒状の外側保護カバー40Eの周方向に対して傾いた方向に延びている。ただし、図2の(B)に例示する流水路42とは異なり、流水路42Eの断面形状は三角形状である。つまり、図6は、断面形状が三角形状である流水路42Eが設けられた外側保護カバー40Eの平面模式図である。
【0097】
(流水路の断面形状に係る変形例2)
図7は、変形例に係るガスセンサが備える外側保護カバーの構成の一例を示す平面模式図である。具体的には、図7は、有底筒状の外側保護カバー40Fの底の側から眺めた、外側保護カバー40Fを説明するための平面模式図である。
【0098】
図7に示すように、外側保護カバー40Fの外側表面には、外側ガス孔41から外側保護カバー40Fの周方向に所定の距離を隔てた位置に、流水路42Fが設けられている。具体的には、図7には、側面に、6本の流水路42F(42F(1)、42F(2)、42F(3)、・・・、42F(6))が設けられた有底筒状の外側保護カバー40Fの例が示されている。以下の説明において、6本の流水路42F(1)、42F(2)、42F(3)、・・・、42F(6)の各々を区別せずに総称する場合には、単に「流水路42F」との呼び方を用いる。また、流水路42F(1)、42F(2)、42F(3)、・・・、42F(6)の各々を区別する場合には、部材番号「42F」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、各々を区別する。
【0099】
図7に例示する流水路42Fは、これまでに説明してきた流水路42、42A、42B、42C、42D、42Eと同様に、有底筒状の外側保護カバー40Fの周方向に対して傾いた方向に延びている。ただし、図2の(B)に例示する流水路42とは異なり、流水路42Fの断面形状は半円形状である。つまり、図7は、断面形状が半円形状である流水路42Fが設けられた外側保護カバー40Fの平面模式図である。
【0100】
これまでに説明してきたように、本発明の一側面に係る流水路は、断面において開口部の幅が底部の幅以上である溝として構成される。「開口部の幅が底部の幅以上である」溝の断面形状は、例えば、四角形状、三角形状、または、半円形状である。具体的には、図2の(B)に例示した流水路42の断面形状は四角形状であり、図6に例示した流水路42Eの断面形状は三角形状であり、図7に例示した流水路42Fの断面形状は半円形状であった。「断面において開口部の幅が底部の幅以上である」との構成(形状)を有する溝は、このような形状以外の形状を有する溝よりも形成が容易である。そのため、本発明の一側面に係る流水路を溝(流水溝)として構成する場合、「断面において開口部の幅が底部の幅以上である」溝として構成するのが、このような形状以外の形状の溝として構成するよりも、容易である。また、「断面において開口部の幅が底部の幅以上である」溝として構成された流水路によって、外側保護カバーの外側表面を伝う、十分な量の水(凝集水)を、効率的に整流することができる。
【0101】
(流水路の表面に対する加工1)
本発明の一側面に係る流水路の表面粗さRaの値は、6.3μmであってもよい。例えば、これまでに説明してきた流水路42、42A、42B、42C、42D、42E、42Fの少なくとも一つの表面粗さRaの値は、6.3μmであってもよい。言い換えれば、これまで流水溝として説明してきた流水路42等の溝立壁および溝底面の少なくとも一方の表面粗さRaの値は、6.3μmであってもよい。当該構成では、流水路42等の表面粗さRaの値は、6.3μmであり、つまり、流水路42等の表面は、表面に水を付着させることなく水を整流するのに十分な滑らかさを有している。そのため、流水路42等の水はけを向上させることができる。
【0102】
(流水路の表面に対する加工2)
本発明の一側面に係る流水路の表面には、撥水加工または疎水性加工が施されていてもよい。例えば、これまでに説明してきた流水路42、42A、42B、42C、42D、42E、42Fの少なくとも一つの表面には、撥水加工または疎水性加工が施されていてもよい。言い換えれば、これまで流水溝として説明してきた流水路42等の溝立壁および溝底面の少なくとも一方の表面には、撥水加工または疎水性加工が施されていてもよい。当該構成では、流水路42等の表面には、撥水加工または疎水性加工が施されているため、表面に水が付着することのない、水はけのよい流水路(流水溝)を実現することができる。
【0103】
[実施例]
本発明の効果(特に、耐被水性)を検証するため、以下の実施例および比較例に係るガスセンサを作製した。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0104】
実施例1に係るガスセンサとして、外側保護カバー40の外側表面に、外側ガス孔41から外側保護カバー40の周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びる以下の流水路を設けたガスセンサを作成した。すなわち、図2に示す流水路42の長さと同様の長さを有し、図6に示す流水路42Eの断面形状と同様の断面形状を有する流水路を設けた外側保護カバー40を備えるガスセンサを作成し、実施例1に係るガスセンサとした。具体的には、実施例1に係るガスセンサは、「流水路の断面形状」が「三角形状」であり、「流水路の長さ」が「外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで」である流水路を備える。
【0105】
実施例2に係るガスセンサとして、外側保護カバー40の外側表面に、外側ガス孔41から外側保護カバー40の周方向に所定の距離を隔てた位置に、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びる以下の流水路を設けたガスセンサを作成した。すなわち、図3に示す流水路42Aの長さと同様の長さを有し、図6に示す流水路42Eの断面形状と同様の断面形状を有する流水路を設けた外側保護カバー40を備えるガスセンサを作成し、実施例1に係るガスセンサとした。具体的には、実施例1に係るガスセンサは、「流水路の断面形状」が「三角形状」であり、「流水路の長さ」が「外側保護カバー40の軸方向の長さの半分程度」である流水路を備える。
【0106】
比較例1に係るガスセンサは、従来のガスセンサであり、例えば、図8に例示する従来のガスセンサ99である。すなわち、比較例1に係るガスセンサは、外側保護カバー40の外側表面に流水路が設けられていない。
【0107】
実施例1および実施例2と、比較例1とは、外側保護カバー40の外側表面に流水路が設けられているか否かの違いを除いて、同様の構成とした。すなわち、実施例1および実施例2の外側保護カバー40の外側表面には流水路が設けられているのに対し、比較例1の外側保護カバー40の外側表面には流水路が設けられていない。
【0108】
実施例1と実施例2とは、外側保護カバー40の外側表面に設けられた流水路の長さを除いて、同様の構成とした。すなわち、実施例1の外側保護カバー40の外側表面に設けられた流水路は、外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで延びている。これに対し、実施例2の外側保護カバー40の外側表面に設けられた流水路は、実施例1の流水路の半分程度の長さしかなく、つまり、実施例1の流水路の長さよりも短い。
【0109】
上述の各実施例及び各比較例に係るガスセンサについて、以下の水かかり試験(耐被水性試験)を行なって、耐被水性について評価した。すなわち、水かかり試験では、ガスセンサの実際の使用時(通常の使用時)と同様の角度で水平面に対して傾けた状態のガスセンサについて、外側保護カバー40の開口縁付近に所定量の水を垂らした。その後、当該ガスセンサの備えるガスセンサ素子(センサ素子10)の状態を検査し、耐被水性について評価した。
【0110】
評価においては、10回の水かかり試験でセンサ素子10(特に、センサ素子10の第1先端部11)の被水が認められた回数が「1回から2回」であるものについて、「耐被水性」を「◎」とした。同様に、10回の水かかり試験でセンサ素子10の被水が認められた回数が「3回から5回」であるものについて、「耐被水性」を「〇」とした。また、10回の水かかり試験でセンサ素子10の被水が認められた回数が「5回より多い」ものについて、「耐被水性」を「△」とした。以下の表1は、耐被水性を評価した結果を示す。表1の「流水路の有無」は、ガスセンサが流水路を備えるか否かを示し、つまり、外側保護カバー40の外側表面に流水路が設けられているか否かを示す。表1の「流水路の断面形状」は、ガスセンサが流水路を備える場合に、ガスセンサが備えている流水路の断面形状を示し、つまり、流水路の延伸方向に直交する面(断面)における流水路の形状を示す。表1の「流水路の長さ」は、ガスセンサが流水路を備える場合に、ガスセンサが備えている流水路の長さを示し、つまり、流水路の延伸方向における流水路の長さを示す。また、表1の「耐被水性」は、10回の水かかり試験に対する結果を示している。
【0111】
【表1】
【0112】
表1の評価結果に示されるとおり、各実施例は、各比較例に比べて、耐被水性が良好であった。この結果から、本発明によれば、外側ガス孔41から離れた位置に、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びる流水路を設けることによって、耐被水性を向上させたガスセンサを提供することができることが分かった。
【0113】
特に、表1において、外側保護カバー40の開口縁から外側保護カバー40の底まで延びる流水路を備える実施例1の「耐被水性」は「◎」であるのに対して、実施例1の流水路の半分程度の長さの流水路を備える実施例2の「耐被水性」は「〇」である。そのため、流水路の長さを長くすることによって、例えば、外側保護カバーの開口縁から前記外側保護カバーの底まで延びるように流水路を構成することによって、「耐被水性」をより向上させることができることを確認した。
【0114】
これらの結果から、上記実施形態及び変形例によれば、耐被水性を向上させたガスセンサを提供することができることが検証できた。
【符号の説明】
【0115】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F…ガスセンサ、
10…センサ素子、11…(センサ素子の)先端、
40、40A、40B、40C、40D、40E、40F…外側保護カバー、
41…外側ガス孔、
42、42A、42B、42C、42D、42E、42F…流水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8