(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124935
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20230831BHJP
【FI】
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028809
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】尾嶋 満里子
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE02
4B018MD18
4B018MD19
4B018ME14
(57)【要約】
【課題】
プロテオグリカンとアスパルテームを併用した組成物における経時での褐変を抑制した組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
プロテオグリカンとアスパルテームとγ-アミノ酪酸を含有する組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテオグリカンとアスパルテームとγ-アミノ酪酸を含有する組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテオグリカンとアスパルテームとγ-アミノ酪酸を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロテオグリカンは、運動器系の正常化,機能低下予防・回復・改善と、美容系における皮膚のたるみ,弾力,しわ,色素沈着の予防・回復・改善、角質の正常化に、十分且つ持続的に機能する安全で安定性良好な有用物質であることが知られている(特許文献1)。
現在、多数のプロテオグリカンを含有するサプリメントが上市されている。これらのサプリメントには、プロテオグリカンのえぐみを抑制するために、従来糖類が使用されていたが、近年カロリー摂取をできるだけ控える目的でノンカロリーの人工甘味料が使用されるようになってきた。特に、人工甘味料であるアスパルテームやスクラロースは、微量で高い甘味を有し、アスパルテームは、ショ糖の約100~200倍、スクラロースはショ糖の約600倍の甘味を有する。
プロテオグリカンとアスパルテームを併用して用いることは特許文献2に開示されている。しかしながら、プロテオグリカンとアスパルテームを併用することで、組成物が経時で褐変を生じるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-138060号公報
【特許文献2】特開2017-14164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロテオグリカンとアスパルテームを含有する組成物における経時での褐変を抑制し、安定性の良好な組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
(1)
プロテオグリカンとアスパルテームとγ-アミノ酪酸を含有する組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物は、プロテオグリカンとアスパルテームに、γ-アミノ酪酸を併用することにより、プロテオグリカンとアスパルテームを含有する組成物における経時での褐変が抑制され、安定性が良好であるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
本発明の組成物は、プロテオグリカンとアスパルテームとγ-アミノ酪酸を必須成分とする。
【0009】
(プロテオグリカン)
プロテオグリカンは、タンパク質をコアとして、コンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸等のグリコサミノグリカンが共有結合した複合多糖であり、動物組織、特に軟骨組織に多く存在する。プロテオグリカンは生体内で、コア蛋白質がさらにヒアルロン酸に結合した構造で存在することも知られており、その分子量は、数万~数千万と大きい。本発明で用いるプロテオグリカンとしては、具体的に、動物由来のプロテオグリカンを挙げることができ、特に、サケ鼻軟骨由来のプロテオグリカンが好ましい。また、市販品を使用することができる。
【0010】
(アスパルテーム)
アスパルテームは、化合物名が「α-L-アスパルチル-L-フェニルアラニン メチルエステル」であり、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格および食品添加物公定書に収載されている成分である。アスパルテームは、「パルスイート」なる商品名で味の素(株)より上市されている。
【0011】
(γ-アミノ酪酸)
γ-アミノ酪酸(GABA)は、生物界に広く分布する非タンパク質アミノ酸で、米糠発酵エキス、米胚芽エキス、発酵大豆、乳酸菌発酵エキスなどの健康食品などに多く含まれている。また、微生物を用いて、グルタミン酸から高純度のγ-アミノ酪酸を得ることができる。本発明においてγ-アミノ酪酸は、市販のγ-アミノ酪酸含有エキスを用いることや、微生物を用いた高純度のγ-アミノ酪酸含有組成物を用いること、さらには化学合成品を用いることもできる。
【0012】
本発明の組成物は、経口用組成物として用いることができる。
【0013】
本発明の組成物を経口用組成物として用いる場合、組成物は、粉末状、顆粒状、錠剤、カプセル剤、ゼリー状、液状等の剤型を問わないが、組成物の性質上、粉末状、顆粒状、ゼリー状、液状が好ましく、さらには顆粒状が最も好ましい。
【0014】
本発明の組成物を経口用組成物として用いる場合、その調製に際しては、特別な界面活性剤等の添加物は必須ではないが、必要に応じて他の公知の添加剤、賦形剤その他を加えて適当な剤型へと加工してもよい。例えば液剤であれば、抗酸化剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤、pH調整剤などを混合して常法により、ドライシロップ剤、液剤などの経口物とすることができる。また固形剤であれば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤などを混合して常法により、顆粒剤、散剤、カプセル剤、錠剤などを製造することができる。
【実施例0015】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。
【0016】
(試験方法)
プロテオグリカン(日本薬品社製サケ鼻軟骨抽出物)、アスパルテーム(味の素社製)、γ-アミノ酪酸(化学合成品)を下表記載の配合比にて混合し、分光光度計(SE7700:日本電色工業社製)にて色差測定を行った。その後、60℃の恒温槽にて5日間静置後、再度色差を測定し、加速試験前後での△E*(ab)値の変化率を比較した。なお、色差測定にあたり、白色の粉体であるγ-アミノ酪酸とアスパルテームの混合末を用いて標準化を行った。
【0017】
【0018】
表1に示した通り、プロテオグリカンとアスパルテームを併用することによる経時的な変色が、γ-アミノ酪酸を添加することにより減少した。
【0019】
[実施例2](顆粒剤の製造)
下記成分を混合して常法により顆粒剤(1200mg)を製造した。
【0020】
(1)アスパルテーム 5.0(質量%)
(2)γ-アミノ酪酸 2.0
(3)セルロース 33.0
(4)ステアリン酸カルシウム 30.0
(5)コラーゲンペプチド 15.0
(6)プロテオグリカン 15.0
【0021】
[実施例3]錠剤
(1)コーンスターチ 44.0(質量%)
(2)結晶セルロース 100とする残部
(3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0
(4)無水ケイ酸 0.5
(5)ステアリン酸マグネシウム 0.5
(6)プロテオグリカン 5.0
(7)アスパルテーム 1.0
(8)γ-アミノ酪酸 1.0
製法:(1)~(8)を均一に混合し、打錠機にて圧縮成型して、1錠200mgの錠剤を得る。
【0022】
[実施例4]散剤
(1)ケイ酸アルミン酸マグネシウム 70.0(質量%)
(2)カルボキシメチルセルロースカルシウム 100とする残部
(3)プロテオグリカン 5.0
(4)アスパルテーム 1.0
(5)γ-アミノ酪酸 1.0
製法:(1)~(5)の粉体を混合後、粉砕機にて粉砕し、均一に分散する。
【0023】
[実施例5]キャンデー
(1)白糖 60.0(質量%)
(2)水飴 100とする残部
(3)プロテオグリカン 5.0
(4)アスパルテーム 1.0
(5)γ-アミノ酪酸 1.0
(6)香料 適量
製法:(1)と(2)を加熱混合・均一化した後冷却し、70℃にて成分(3)~(6)を添加し、混合均一化した後成型する。
【0024】
[実施例6]ドリンク剤
(1)アミノエチルスルホン酸 1000mg
(2)硝酸チアミン 10mg
(3)リン酸リボフラビンナトリウム 5mg
(4)塩酸ピリドキシン 10mg
(5)無水カフェイン 50mg
(6)クエン酸 250mg
(7)D-ソルビトール液 8mg
(8)プロテオグリカン 10mg
(9)アスパルテーム 1mg
(10)γ-アミノ酪酸 5mg
(11)香料 微量
(12)精製水 100mLとする残部
製法:(1)~(11)を順次(12)に添加し、均一化する。