(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023124983
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】レンズユニットおよび照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 17/00 20060101AFI20230831BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230831BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20230831BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20230831BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230831BHJP
【FI】
F21V17/00 200
F21S2/00 330
F21V5/00 510
F21V5/04 350
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028877
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】小川 光三
(72)【発明者】
【氏名】羽生田 有美
(72)【発明者】
【氏名】高橋 喜子
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011BA04
3K011BA08
3K011HA02
3K011JA01
(57)【要約】
【課題】基板または発光素子との位置ずれを抑制可能なレンズユニットおよび照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置10は、レンズ集合体32と、押え脚部35と、位置決め脚部34と、を備える。レンズ集合体32は、基板21の一面側に実装された発光素子22からの光を屈折させるレンズ31がそれぞれ中心間距離に所定の間隔を開けるように複数集合されて形成される。押え脚部35は、レンズ集合体32から突出され、基板21の一面側を押える。位置決め脚部34は、レンズ集合体32から突出され、レンズ集合体32と基板21とを位置決めする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面側に実装された発光素子からの光を屈折させるレンズがそれぞれ中心間距離に所定の間隔を開けるように複数集合されて形成されたレンズ集合体と;
前記レンズ集合体から突出され、前記基板の一面側を押える押え脚部と;
前記レンズ集合体から突出され、前記レンズ集合体と前記基板とを位置決めする複数の位置決め脚部と;
を備えることを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記位置決め脚部は、前記レンズ集合体の最外側の前記レンズと最外側の内側の前記レンズとの間に位置する
ことを特徴とする請求項1記載のレンズユニット。
【請求項3】
所定の前記レンズの位置に、前記位置の周囲に位置するそれぞれの前記レンズの中心からの中心間距離が前記所定の間隔となるように設けられるねじ止め用の取付部を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載のレンズユニット。
【請求項4】
一面側に複数の発光素子が実装された基板と;
互いに組み合わされて前記基板の一面側に配置される請求項1ないし3いずれか一記載の複数のレンズユニットと;
を備えることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レンズユニットおよび照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前面側に複数の発光素子が実装された基板と、この基板の前面側に配置され、発光素子からの光をそれぞれ屈折させる複数のレンズが集合されて形成されたレンズユニットと、を備える照明装置がある。
【0003】
この照明装置では、基板または発光素子と、レンズユニットの位置ずれが生じると、所望の光学特性が得られなくなる虞があるため、基板または発光素子と、レンズユニットと、の位置ずれを抑制することが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板または発光素子との位置ずれを抑制可能なレンズユニットおよび照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のレンズユニットは、レンズ集合体と、押え脚部と、位置決め脚部と、を備える。レンズ集合体は、基板の一面側に実装された発光素子からの光を屈折させるレンズがそれぞれ中心間距離に所定の間隔を開けるように複数集合されて形成される。押え脚部は、レンズ集合体から突出され、基板の一面側を押える。位置決め脚部は、レンズ集合体から突出され、レンズ集合体と基板とを位置決めする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態のレンズユニットによれば、基板または発光素子との位置ずれを抑制することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一の実施形態を示す照明装置の模式図である。
【
図2】同上照明装置の光源モジュールおよびレンズユニットの配置関係を示す説明図である。
【
図3】同上レンズユニットの
図4A-A視の断面図である。
【
図5】同上レンズユニットの背面側の斜視図である。
【
図6】同上レンズユニットの前面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に照明装置10の模式図を示す。照明装置10は、例えば、光を投影するスポットライト、ダウンライト、投影機などである。照明装置10は、光源モジュール11と、この光源モジュール11を取り付ける放熱器12と、光源モジュール11から放射される光を制光する複数のレンズユニット13で構成されるレンズ装置14と、このレンズ装置14で制光(例えば、屈折)された光を集光する集光レンズ15と、集光レンズ15で集光された光を拡散する拡散板16と、拡散板16を透過した光が通過するアパーチャ17を有するアパーチャ体18と、アパーチャ17を通過した光を投影する投影レンズ19と、を備えている。さらに、照明装置10は、上述の構成を配置する筐体や、光源モジュール11を点灯させる電源部などを備えている。
【0011】
そして、
図1および
図2に示すように、光源モジュール11は、基板21と、この基板21の一面側である前面側(表面側)に実装された複数の発光素子22と、を備えている。なお、
図2は、光源モジュール11の基板21および複数の発光素子22とレンズ装置14のレンズユニット13との配置関係を示す説明図であって、光源モジュール11およびレンズユニット13の背面側から光源モジュール11を透過して見た図である。
【0012】
基板21は、例えば四角形状で板状を呈している。基板21の形状は四角形以外に多角形や円形などでもよい。基板21は、単層基板または片面基板であり、例えばアルミニウムなどの金属材料や、例えばガラスエポキシなどの樹脂材料や、例えば酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックスなどの無機材料で形成されたベース板を有し、このベース板の前面側に配線パターンが形成されている。配線パターンには、各発光素子22を実装する複数の実装パッドと、発光素子22の種類毎の実装パッドを直列または直並列に接続するとともに基板21の前面側の周辺部に設けられる入力端子部に接続される配線部とを含んでいる。配線部は複数の実装パッドの間や、基板21の周辺領域などに沿って配線されるが、一部の配線部が交差する交差箇所が存在する場合、その交差箇所では下層の配線部上に設けられるジャンパー用絶縁層に交差する上層の配線部が設けられ、配線部同士が絶縁されている。
【0013】
基板21の前面側に実装される発光素子22は、例えば基板21の中心から所定の半径(例えば半径100mm)の円の実装範囲23内で、千鳥配置となるように実装される。千鳥配置とは、発光素子22の配設によって、発光素子22の行と列が定義できる場合に、任意の列(または行。以下記載は省略するが同様に、「列」の表記は、「行」に置き換えて解釈することも可能である)においては、第1の方向(
図2においては、例えば横方向)に向って、隣接する発光素子21は、所定のピッチで中心間の間隔を設けて線状に並んで配置される。そして、その任意の列に隣接する列においては、任意の列に配置された発光素子22と所定のピッチで中心間の間隔を設けるように、かつ、その第1の方向における発光素子22の中心位置が、任意の列に配置された発光素子22に対して、所定のピッチの半分の距離ずれるように、第1の方向に向かって、隣接する発光素子22は、所定のピッチで中心間の間隔を設けて直線状に並んで配置される。
【0014】
複数の発光素子22の所定のピッチは例えば12mmであり、所定のピッチの半分の距離は例えば6mmである。つまり、隣接する3つの発光素子22は、1辺が所定のピッチの長さの正三角形の各頂点に位置されると同時に、1つの発光素子22の周囲に6つの発光素子22が隣接されて、それら6つの発光素子22が、1辺が所定のピッチの長さの正六角形の各頂点に位置されている。
【0015】
基板21の他面である背面側(裏面側)は、放熱器12に直接、もしくは間接的に面接触されて熱的に接続されるように取り付けられる。基板21の背面側と、放熱器12と、が間接的に面接触される場合は、基板21と放熱器12との間に、例えば、放熱グリスや、放熱シートが設けられる。
【0016】
基板21の実装範囲23には、複数のレンズユニット13がそれぞれ配置される複数のレンズユニット配置部24が設けられている。レンズユニット配置部24は、実装範囲23の周方向に所定の角度θ毎に分割されている。本実施形態では、実装範囲23の周方向に例えば120°の範囲毎に分割されて3つのレンズユニット配置部24が設けられている。
【0017】
図2および
図3において、実装範囲23(基板21の各レンズユニット配置部24)には、所定の発光素子22の位置に発光素子22を実装するのに代えてレンズユニット13を放熱器12にねじ止めするためのねじ挿通孔25と、隣接する3つの発光素子22の中心位置にレンズユニット13と位置決めするための被位置決め部である位置決め孔26と、がそれぞれ複数設けられている。
【0018】
ねじ挿通孔25は、レンズユニット配置部24の内周側の発光素子22の位置であって、最内周に位置する発光素子22(本実施形態においては、複数のレンズユニット配置部24で構成される実装範囲23の中心点の周囲に配設される3つの発光素子22であり、
図2において、aの位置の発光素子22)を1つ目の発光素子22の位置としたときに、外径側に向って3つ目の発光素子22の位置と、レンズユニット配置部24の最外周の3箇所の発光素子22の位置と、にそれぞれ設けられている。レンズユニット配置部24の最外周の3箇所の発光素子22の位置に設けられるねじ挿通孔25のうちの一部は、実装範囲23の外側に設けられている。ねじ挿通孔25の少なくとも一部は、発光素子22を実装するのに代えて設けられるのではなく、発光素子22が実装されるよりも外側(レンズユニット配置部24の中心から離間する方向)に設けられる。
【0019】
位置決め孔26は、レンズユニット配置部24が他の2つのレンズユニット配置部24と隣接する2つの辺の近傍にそれぞれ設けられるとともに、実装範囲23の外径側近傍に1つないし複数設けられる。
【0020】
なお、基板21は、レンズユニット13とともに放熱器12にねじ止めされてもよいし、レンズユニット13とは別に、放熱器12に直接的にねじ止めされてもよい。この場合、実装範囲23の内側と外側のいずれに設けられていてもよく、実装範囲23の内側であれば、3つの発光素子22の間や、発光素子22の位置がねじ止めされてもよい。
【0021】
発光素子22は、例えばSMD(Surface Mount Device)パッケージタイプや、CSP(Chip Scale Package)タイプが用いられ、基板21の配線パターンの実装パッドに半田付けにより接続され、配線パターンを通じて電源部から点灯電力が供給されることにより光を放射する。基板21に実装される各発光素子22間に沿って配線パターンの配線部が配置されている。発光素子22は、光の照射面にレンズ部が配設されていることが好ましい。なお、発光素子22の封止部材である樹脂材料を光の照射方向に向ってレンズ部を形成するように凸形状とすることで、レンズ部のように機能させるように構成されていてもよい。
【0022】
複数の発光素子22には、照明装置10が任意の光色の光を投影可能とするカラー投影機の場合、赤、緑、青、シアンなどの各光色の発光素子22が用いられ、さらに、明るい緑色や黄色、または青みがかった緑色であるミント色系の光や、琥珀色であるアンバー色系の光を放射する蛍光体を含む発光素子22が用いられていてもよい。各光色の発光素子22は、混色性が考慮されて基板21に配置されている。なお、複数の発光素子22には、単一の光色の光を放射する発光素子22が用いられてもよいし、上記の複数の光色を個別に放射可能なマルチカラー発光素子22が用いられてもよい。
【0023】
そして、電源部は、投影する光の色に応じて、光源モジュール11の色毎の発光素子22に点灯電力を供給し、点灯させる。
【0024】
また、
図1および
図3に示すように、放熱器12は、熱伝導性および放熱性に優れた例えばアルミニウムなどの金属製で、放熱フィンなどの放熱構造を備えていてもよい。放熱器12の前面側は平面状に形成され、この前面側に光源モジュール11の基板21の背面側が面接触されて熱的に接続されるようにねじ止めされている。放熱器12の前面側には、複数のねじ止めの位置に、取付孔である複数のねじ孔28が設けられている。
【0025】
また、
図2に示すように、レンズ装置14は、同一形状のレンズユニット13が複数組み合わされて構成されている。例えば、レンズ装置14は、周方向に所定の角度θ毎に分割されたような略扇形のレンズユニット13が組み合わされて略円形状に構成されている。本実施形態では、基板21のレンズユニット配置部24と対応して、周方向に120°毎に分割された略扇形の3つのレンズユニット13が組み合わされて略円形状に構成されている。
【0026】
図2ないし
図6に示すように、レンズユニット13は、例えばアクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明な材料で一体に形成されている。レンズユニット13は、外形が円形のレンズ31が複数集合されて一体に形成されたレンズ集合体32と、放熱器12に取り付けるための複数の取付部33と、基板21と位置決めする複数の位置決め脚部34と、基板21を前面側から放熱器12に押える複数の押え脚部35と、を備えている。それぞれのレンズ31はその中心と、隣接するレンズ31の中心と、の間の中心間距離が所定の距離となるように配設される。言い換えると、レンズユニット13が備える全てのレンズ31の、隣接するレンズ31同士の中心間距離は同じ距離である。取付部33は、レンズ31の位置に、レンズ31と代えてレンズユニット13に配設される。つまり、取付部33は、複数のレンズ31に囲われた位置に、隣接するレンズ31の中心と、の中心間距離が所定の距離となるように配設される。言い換えると、取付部33の中心と、取付部33と隣接するレンズ31の中心と、の間の中心間距離は全て同じ距離である。
【0027】
レンズ集合体32は、複数のレンズ31と、これら複数のレンズ31の前端側を一体に連結する連結部36と、を備えている。
【0028】
レンズ集合体32は、扇状で、扇の中心となる中心位置aと、中心位置aから所定の角度θである120°の各半径方向に沿った両側の隣接部(分割部)bと、両側の隣接部bの外端側を結ぶ略円弧状の最外周部cと、を備えている。中心位置aは、複数のレンズユニット13を配設した際に、複数のレンズユニット13で構成されるレンズ装置14の中心近傍に配置される部位である。例えば、3つ以上レンズユニット13のそれぞれの中心位置aが、レンズ装置14の中心点を囲うように配置されたり、ある1つのレンズユニット13の中心位置aが、レンズ装置14の中心点に位置するように配置されたりする。隣接部(分割部)bは、複数のレンズユニット13を配設した際に、隣接するレンズユニット13と向かい合う辺・面である。隣接するレンズユニット13の隣接部(分割部)b同士は接触(接続)することが望ましい。最外周部cは、少なくとも複数のレンズユニット13を配設した際に、隣接するレンズユニット13とは向かい合わず、複数のレンズユニット13で構成されるレンズ装置14の最外周辺・最外周面となる部位である。複数のレンズ31は千鳥配置に配列され、複数のレンズ31のピッチである中心間距離は同一であり、隣接する3つのレンズ31は正三角形の各頂点に位置され、1つのレンズ31の周囲に6つのレンズ31が隣接されてこれら6つのレンズ31が正六角形の各頂点に位置される。このレンズ31の配列は、基板21の複数の発光素子22の配列と対応されている。
【0029】
レンズ31は、全反射型のコリメータレンズで構成されている。コリメータレンズは、発光素子22からの光を屈折させるものであって、主として発光素子22からの光をレンズ光軸に平行な平行光に屈折させる。なお、レンズ31は、平行光に屈折させるものに限らず、必要な光学特性に応じて所定の方向に光に屈折させる構成であってもよい。レンズ31には、発光素子22を配置する凹部37が形成され、この凹部37の内面に発光素子22から放射された光が入射する入射面38が形成されている。凹部37の奥側の面で発光素子22の前面側に対向する入射面38の面は、凸曲面状に形成されており、発光素子22からの光をレンズ光軸に平行な平行光に屈折させる。レンズ31の前面側にレンズ31内から光が出射する出射面39が形成され、入射面38と出射面39との間の周囲に入射面38から入射した光を出射面39に向けて全反射させる反射面40が形成されている。反射面40は、背部側の入射側から前部側の出射側に向って拡径する略円錐形に形成されている。出射面39は、平坦な面であってもよいし、フレネルレンズ面であってもよい。
【0030】
連結部36は、複数のレンズ31の前端側を一体に連結するもので、前面側が平面状で、複数のレンズ31の出射面39と同一面に設けられている。連結部36は、レンズ集合体32の周辺部つまり中心位置a、各隣接部bおよび最外周部cに位置する各レンズ31の周囲において、レンズ光軸方向から見た正面視または背面視が六角形の辺のうちの2つまたは3つの辺部41をそれぞれ有するように設けられている。そして、
図2に示すように、隣接するレンズユニット13の隣接部bに位置するレンズ31の六角形の各辺部41が互いに嵌り合うように係合することで、隣接するレンズユニット13が互いに組み合わされる。隣接するレンズユニット13の隣接部bに位置するレンズ31同士についても、上述したレンズユニット13内のレンズ31の位置関係と同じに配置される。
【0031】
取付部33は、所定のレンズ31の位置で、レンズユニット13の背面側から突出された円筒状のボス形状に形成され、内側に取付孔43が設けられている。取付部33は、レンズユニット13の背面側からレンズ31よりも所定の長さLだけ突出され、基板21の前面側に当接される。
【0032】
取付部33は、複数のレンズ31の位置のうち、中心位置aよりも内側位置であって中心位置aから外径側(最外周部c)に向けた3つ目で両側の隣接部bからも3つ目のレンズ31の位置と、最外周部cの両端と中央の3箇所のレンズ31の位置と、にそれぞれ設けられている。取付部33の各位置は、基板21の各レンズユニット配置部24の各ねじ挿通孔25の位置と、放熱器12の各ねじ孔28の位置と、に対応されている。
【0033】
そして、レンズユニット13の前面側から、取付孔43に挿入されるねじ44が基板21のねじ挿通孔25を挿通して放熱器12のねじ孔28に螺着されることにより、レンズユニット13の取付部33と放熱器12との間に介在する基板21を放熱器12に押し付けた状態で、レンズユニット13の取付部33が放熱器12に締め付け固定される。
【0034】
位置決め脚部34は、所定の複数のレンズ31間の位置で、レンズ集合体32の背面側から突出されている。位置決め脚部34は、レンズユニット13の背面側から突出された円柱状の押え部46と、この押え部46よりも小径で押え部46の先端面の中央から突出された円柱状の突部47と、を備えている。押え部46は、取付部33と同様に、レンズユニット13の背面側からレンズ31よりも所定の長さLだけ突出され、基板21の前面側に当接される。突部47は、基板21の位置決め孔26に挿入される。突部47の突出長さは基板21の板厚寸法よりも短い寸法に設けられている。
【0035】
位置決め脚部34は、両側の各隣接部bで、最外周部cの近傍の例えば最外周部cから2つ目と3つ目に位置する2つのレンズ31と、その2つのレンズ31の内側に位置する1つのレンズ31と、の間の2箇所に設けられている。各位置決め脚部34の位置は、基板21の各レンズユニット配置部24の各位置決め孔26の位置と対応されている。
【0036】
押え脚部35は、所定の複数のレンズ31間の位置に円柱状に設けられ、レンズユニット13の背面側から突出されている。押え脚部35は、取付部33および押え部46と同様に、レンズユニット13の背面側からレンズ31よりも所定の長さLだけ突出され、基板21の前面側に当接される。
【0037】
押え脚部35は、レンズユニット13を放熱器12にねじ止めする複数の取付部33のうち、互いに近い位置に位置する3つの取付部33で囲まれた領域内で、3つの取付部33から等距離にある中心点Oを中心としたレンズ31の半径と同じ半径をもつ仮想円49の範囲内に設けられている。言い換えると、押え脚部35は、互いに近い位置に位置する3つの取付部33の位置を通る円の中心点Oを中心としたレンズ31の半径と同じ半径をもつ仮想円49の範囲内に設けられる。なお、押え脚部35は、3つの取付部33の間の中心点Oに位置することが好ましいが、レンズ31の位置関係によっては中心点Oでなくても仮想円49の範囲内に位置すればよい。押え脚部35が仮想円49の範囲内に位置するとは、押え脚部35の全体や、押え脚部35の中心に限らず、押え脚部35の少なくとも一部が仮想円49の範囲内に位置する場合も含まれる。
【0038】
図4には、3つの取付部33と、3つの取付部33の間の押え脚部35と、をそれぞれ1点鎖線で繋いで図示している。3つの取付部33には、中心位置aの近傍の取付部33aと、最外周部cの中央の取付部33cと、最外周部cの一端側の取付部33bと、の第1の組と、中心位置aの近傍の取付部33aと、最外周部cの中央の取付部33c、最外周部cの他端側の取付部33dと、の第2の組と、の2組が含まれる。本実施形態においては、第1の組と、第1の組の内側に位置する押え脚部35と、の関係においては、取付部33aと押え脚部35の間の間隔と、取付部33cと押え脚部35の間の間隔と、は同一だが、取付部33aと押え脚部35の間の間隔と、取付部33b(取付部33c)と押え脚部35の間の間隔と、は同一ではない。第2の組については、詳細は割愛するが、第1の組と鏡面対象であるため同様の構成である。
【0039】
そして、取付部33、位置決め脚部34の押え部46、および押え脚部35がレンズユニット13の背面側にレンズ31よりも突出されているため、レンズユニット13を基板21を介して放熱器12に取り付けた状態では、複数のレンズ31と基板21との間に隙間が形成される。
【0040】
また、
図1に示すように、集光レンズ15は、各レンズユニット13の各レンズ31から出射する光を集光する。
【0041】
また、拡散板16は、集光レンズ15で集光された光を入射し、拡散させて混色させる。
【0042】
また、アパーチャ体18は、周囲に広がる光を遮光し、アパーチャ17の形状に対応した光を通過させる。アパーチャ17は、基板21の大きさよりも小さく、かつ発光素子22の実装範囲23の大きさよりも小さく設けられている。
【0043】
また、投影レンズ19は、アパーチャ17を通過した光を投影する。
【0044】
図1においては、拡散板16は、レンズユニット13とアパーチャ17との間に設けられているが、拡散板16は、アパーチャ17と投影レンズ19との間に設けられていてもよい。また、アパーチャ17と投影レンズ19の間に制光のための凸レンズ(片凸レンズ、両凸レンズ)が設けられていてもよい。
【0045】
そして、照明装置10においては、投影する光の色に応じて各色の発光素子22が点灯され、点灯された発光素子22の光がレンズ31でレンズ光軸に平行な平行光となって出射されるとともに集光レンズ15でアパーチャ17に向けて集光され、アパーチャ17の手前で拡散板16により混色され、アパーチャ17を通過した光が投影レンズ19で投影される。
【0046】
発光素子22の点灯時に発生する熱は基板21から放熱器12に伝達されて放熱され、光源モジュール11の温度上昇が抑制される。
【0047】
次に、レンズユニット13の作用について説明する。
【0048】
レンズユニット13は、放熱器12に配置された光源モジュール11の基板21の前面側に配置され、放熱器12に取り付けられる。
【0049】
光源モジュール11の基板21は放熱器12に位置決め配置されており、基板21の複数のねじ挿通孔25と放熱器12の複数のねじ孔28とが同軸上に配置される。このとき、複数の同軸上に配置されたねじ挿通孔25とねじ孔28の一部を用いて基板21は放熱器12にねじ止めされてもよい。複数の同軸上に配置されたねじ挿通孔25とねじ孔28の一部とは、後述する、レンズユニット13の取付部33の取付孔43と同軸上に位置決めがされないねじ挿通孔25とねじ孔28である。
【0050】
基板21の実装範囲23の各レンズユニット配置部24に、各レンズユニット13が配置される。
【0051】
レンズユニット13は、各位置決め脚部34が基板21の各位置決め孔26に挿入されることで、基板21のレンズユニット配置部24に位置決め配置される。これにより、レンズユニット13の取付部33の取付孔43と基板21のねじ挿通孔25とが同軸上に位置決め配置される。さらに、隣接するレンズユニット13と組み合わされる隣接部bが位置決めされる。
【0052】
位置決め脚部34は、レンズ集合体32の最外側(隣接部b)のレンズ31と最外側(隣接部b)の内側のレンズ31との間に位置するため、位置決め脚部34を基板21の位置決め孔26に位置合わせして挿入する際に視認しやすく、組み立て作業が容易に行える。
【0053】
レンズユニット13の前面側から取付部33の取付孔43に挿入されるねじ44が、基板21のねじ挿通孔25を挿通して放熱器12のねじ孔28に螺着されることにより、レンズユニット13の取付部33が基板21の前面側に当接し、この基板21を放熱器12との間に挟み込んで放熱器12に押し付ける状態で、レンズユニット13の取付部33が放熱器12に締め付け固定される。
【0054】
放熱器12にねじ止めされたレンズユニット13は、複数の押え脚部35の先端面、および複数の位置決め脚部34の押え部46の先端面が基板21の前面側に当接し、これら押え脚部35および押え部46により基板21を放熱器12に押し付ける。押え脚部35および押え部46は、基板21の隣接する3つの発光素子22の間に当接される。
【0055】
各取付部33の位置では基板21が放熱器12に押し付けられているが、取付部33から離れた位置、つまり3つの取付部33で囲まれた基板21の中心点Oおよびその付近は、発光素子22の点灯時の熱による熱膨張などによって放熱器12から浮き上がり、基板21と放熱器12との接触性が低下し、基板21から放熱器12への熱伝達性が低下し、基板21の温度が上昇するおそれがある。本実施形態では、押え脚部35により複数の取付部33で囲まれた基板21の中心点Oまたはその付近(中心点Oを中心としたレンズ31の半径の仮想円49の範囲)を押えることにより、3つの取付部33で囲まれた基板21の領域が放熱器12から浮き上がるのが抑制され、基板21と放熱器12との接触性が確保され、基板21から放熱器12への熱伝達性が向上され、基板21の温度上昇が抑制される。
【0056】
レンズユニット13の各レンズ31の凹部37に基板21の各発光素子22が配置され、各レンズ31の入射面38に各発光素子22が対向される。
【0057】
取付部33、位置決め脚部34の押え部46、および押え脚部35がレンズユニット13の背面側にレンズ31よりも突出されているため、複数のレンズ31と基板21との間に隙間が形成され、この隙間を通じて発光素子22の放熱のための通気性が確保される。
【0058】
図2に示すように、隣接するレンズユニット13は、それぞれ隣接部bに位置するレンズ31の六角形の各辺部41が互いに嵌り合うように係合することで、隣接するレンズユニット13が互いに組み合わされる。隣接するレンズユニット13の隣接部bに位置するレンズ31間の配列状態は、ピッチが広がることなく、レンズユニット13内の複数のレンズ31のピッチと同じ配列状態に配置される。つまり、隣接するレンズユニット13のレンズ31が全て同じ配列状態に配置される。そして、3つの略扇形のレンズユニット13が略円形状に組み合わされる。
【0059】
レンズユニット13の一部のレンズ31は、基板21の実装範囲23外に配置され、発光素子22とは組み合わされない。基板21の実装範囲23内に配置されるレンズ31でも、実装範囲23の最外周に配置される一部のレンズ31についても発光素子22とは組み合わされない。
【0060】
そして、レンズユニット13は、レンズ集合体32から突出する位置決め脚部34と押え脚部35を備えるため、位置決め脚部34により基板21と位置決めでき、押え脚部35により基板21を押えて放熱器12からの浮き上がりを抑制することができ、基板21との位置ずれを防止し、基板21の温度上昇を抑制することができる。
【0061】
位置決め脚部34は、レンズ集合体32の最外側(隣接部b)のレンズ31と最外側(隣接部b)の内側のレンズ31との間に位置するため、位置決め脚部34(突出部47)を基板21の位置決め孔26に位置合わせして挿入する際に視認しやすくでき、組み立て作業性を向上できる。しかも、例えば、複数のレンズユニット13を隣接して組み合わせる場合、隣接するレンズユニット13の隣接部bに近い位置で位置決めできるため、隣接するレンズユニット13を確実に組み合わせることができる。
【0062】
さらに、レンズユニット13は、所定のレンズ31の位置に設けられる複数の取付部33を備えるため、レンズ31の位置を利用してねじ止めできる。
【0063】
また、押え脚部35は、3つの取付部33の間の中心点Oを中心としたレンズ31の半径の仮想円49の範囲内に設けられるため、3つの取付部33からそれぞれ離れた位置で放熱器12から浮き上がりやすい基板21の領域を押えることができ、基板21から放熱器12への放熱性を確保し、基板21の温度上昇を抑制することができる。
【0064】
押え脚部35は、3つの取付部33の間の中心点Oに位置することで、3つの取付部33からそれぞれ離れていて最も放熱器12から浮き上がりを押えやすい位置を押えることができ、基板21の温度上昇をより抑制することができる。
【0065】
また、レンズユニット13は、複数に分割されて組み合わせる構成であるため、一体形で大形になる場合に比べて、例えば射出成型などによる成型時において発生しやすい反りや収縮を低減することができ、複数のレンズ31と基板21の複数の発光素子22との位置ずれを低減でき、所望の光学特性を得ることができる。
【0066】
なお、レンズユニット13は、周方向に2つまたは4つ以上に分割されていてもよい。
【0067】
また、レンズユニット13の位置決め脚部34に突部47を設け、基板21に位置決め孔26を設けたが、位置決め脚部34の先端面に位置決め孔26を設け、基板21に突部47を設けてもよい。
【0068】
また、基板21は、レンズユニット配置部24毎に分割されていてもよい。この場合、分割された各基板21と同様に分割されているレンズユニット13とを1組みとし、複数組みを用いて照明装置10を構成してもよい。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10 照明装置
13 レンズユニット
21 基板
22 発光素子
31 レンズ
32 レンズ集合体
33 取付部
34 位置決め脚部
35 押え脚部