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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125007
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/20 20060101AFI20230831BHJP
   H04L 45/28 20220101ALI20230831BHJP
   H04L 49/113 20220101ALI20230831BHJP
【FI】
G06F11/20 605
H04L45/28
H04L49/113
G06F11/20 623
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028910
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤里 恵美
(72)【発明者】
【氏名】武井 克明
【テーマコード(参考)】
5B034
5K030
【Fターム(参考)】
5B034BB02
5K030GA12
5K030LB08
5K030MD02
5K030MD09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第1及び第2の主制御装置同士を接続する配線に障害が生じても、夫々を適切に運用系及び待機系に設定することが可能な二重化構成を有する通信装置及びその通信方法を提供する。
【解決手段】第1、第2の通信機能部と、待機系又は運用系に設定され、運用系に設定されている場合に第1の通信機能部又は第2の通信機能部の動作を制御する第1の主制御装置100と、第2の主制御装置200と、を含む二重化構成の通信装置500であって、第1、第2の主制御装置の各々は、IPネットワークに接続するIP通信部と、IPネットワークを介して、第1、第2の主制御装置のうちの相手側の主制御装置が運用中であるか否かを判定し、運用中であると判定した場合には自身を待機系に設定する一方、運用中ではないと判定した場合には自身を運用系に設定する系切替を行う運用系/待機系判断処理部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の通信機能部と、
待機系又は運用系に設定され、前記運用系に設定されている場合に前記第1の通信機能部及び前記第2の通信機能部の動作を制御する第1及び第2の主制御装置と、を含む二重化構成の通信装置であって、
前記第1及び第2の主制御装置の各々は、
IPネットワークに接続する通信部と、
前記IPネットワークを介して、前記第1及び第2の主制御装置のうちの相手側の主制御装置が運用中であるか否かを判定する判定処理を行い、運用中であると判定した場合には自身を前記待機系に設定する一方、運用中ではないと判定した場合には自身を前記運用系に設定する系切替を行う運用系/待機系判断処理部と、を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記運用系の前記主制御装置のIPアドレスに対応したMACアドレスを要求するARP要求を前記IPネットワークに送信し、引き続き前記ARP要求に対する応答としてのARPリプライの受信待ちを行い、
前記運用系/待機系判断処理部は、前記ARPリプライが受信され且つ前記ARPリプライにて示される前記MACアドレスが前記相手側の主制御装置のMACアドレスと一致している場合に前記相手側の主制御装置が運用中であると判定する一方、前記ARPリプライを受信できなかった場合には前記相手側の主制御装置は運用中ではないと判定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の主制御装置同士が前記通信装置内の通信経路を介して接続されており、
前記運用系/待機系判断処理部は、前記相手側の主制御装置に障害が発生した場合又は前記通信経路に障害が発生した場合に、前記判定処理及び前記系切替を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の主制御装置の各々は、自身が現時点で運用中及び待機中のうちのいずれの状態にあるのかを表す状態問合せ信号を前記ケーブルを介して前記相手側の主制御部に送信し、前記状態問合せ信号に対する応答である状態問合せ応答信号を前記ケーブルを介して受信できなかった場合に前記障害が発生していると判断することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の主制御装置の各々には、前記系切替を実行する優先度が割り当てられており、
前記第1及び第2の主制御装置の各々が相手側の主制御装置が運用中であると判定した場合には、前記第1及び第2の主制御装置のうちで低い方の前記優先度が割り当てられている主制御装置の前記運用系/待機系判断処理部で前記系切替を実行することを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の主制御装置の各々には、前記系切替を実行する優先度が割り当てられており、
前記第1及び第2の主制御装置の各々が相手側の主制御装置が運用中ではないと判定した場合には、前記第1及び第2の主制御装置のうちで高い方の前記優先度が割り当てられている主制御装置の前記運用系/待機系判断処理部で前記系切替を実行することを特徴とする請求項1~5のいずれか1に記載の通信装置。
【請求項7】
第1及び第2の通信機能部と、待機系又は運用系に設定され前記運用系に設定されている場合に前記第1の通信機能部及び前記第2の通信機能部の動作を制御する第1及び第2の主制御装置と、を含む二重化構成の通信装置の前記第1及び第2の主制御装置の各々が行う通信方法であって、
IPネットワークに接続することで、前記IPネットワークを介して、前記第1及び第2の主制御装置のうちの相手側の主制御装置が運用中であるか否かを判定し、
運用中であると判定した場合には自身を前記待機系に設定する一方、運用中ではないと判定した場合には自身を前記運用系に設定する系切替を行うことを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、特に二重化構成を有する通信装置及びその通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
耐障害性を高める二重化制御装置として、二重化構成部を為す第1及び第2の構成部の運用状況を監視する監視部により、夫々を適切に運用系及び待機系に設定する運用系/待機系の切替を行うようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、二重化構成部を為す第1及び第2の構成部が互いに専用線に接続されており、当該専用線を使用して相互に運用状態に関する情報を交換しつつ、相手側の運用状態に基づき運用系/待機系の切替を行うようにした装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-12094号公報
【特許文献2】特開2018-37888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した二重化構成を採用した装置では、第1及び第2の構成部各々の運用状態に関する情報を相互に取得する通信を行う為に第1及び第2の構成部間に接続されている配線に障害が生じると、相手側の構成部の運用状況を確認することが出来なくなる。そこで、相手側の運用状況が確認できない場合には、相手側に障害が生じていると判断して、自装置を待機系から運用系に切り替えることが考えられる。
【0006】
しかしながら、例えば相手側の構成部に障害が無く且つ運用系として正しく動作している場合でも、自装置が運用系に設定されてしまい、第1及び第2の構成部が共に運用系になるという不具合が生じる。
【0007】
したがって、第1及び第2の構成部同士を接続する配線の障害を排除する修理を行うまでの間、二重化構成を利用した通信動作を正常に継続することができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、第1及び第2の構成部同士を接続する配線に障害が生じても、第1及び第2の構成部を適切に運用系及び待機系に設定することが可能な二重化構成を有する通信装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る通信装置は、第1及び第2の通信機能部と、待機系又は運用系に設定され、前記運用系に設定されている場合に前記第1の通信機能部及び前記第2の通信機能部の動作を制御する第1及び第2の主制御装置と、を含む二重化構成の通信装置であって、前記第1及び第2の主制御装置の各々は、IPネットワークに接続する通信部と、前記IPネットワークを介して、前記第1及び第2の主制御装置のうちの相手側の主制御装置が運用中であるか否かを判定し、運用中であると判定した場合には自身を前記待機系に設定する一方、運用中ではないと判定した場合には自身を前記運用系に設定する系切替を行う運用系/待機系判断処理部と、を有する。
【0010】
本発明に係る通信方法は、第1及び第2の通信機能部と、待機系又は運用系に設定され前記運用系に設定されている場合に前記第1の通信機能部及び前記第2の通信機能部の動作を制御する第1及び第2の主制御装置と、を含む二重化構成の通信装置の前記第1及び第2の主制御装置の各々が行う通信方法であって、IPネットワークに接続することで、前記IPネットワークを介して、前記第1及び第2の主制御装置のうちの相手側の主制御装置が運用中であるか否かを判定し、運用中であると判定した場合には自身を前記待機系に設定する一方、運用中ではないと判定した場合には自身を前記運用系に設定する系切替を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、二重化通信構成からなる第1及び第2の主制御装置の各々が、IP(Internet Protocol)ネットワークを介した通信によって、相手側の主制御装置の運用状況(運用中、待機中)を取得するようにしている。
【0012】
これにより、相手側の主制御装置の運用状況を取得すべく第1及び第2の主制御装置同士を接続する配線に故障が生じていても、第1及び第2の主制御装置のうちの一方を運用系、他方を待機系に適切に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】通信システム1000の構成を示すブロック図である。
図2】本発明に係る通信装置としての二重化通信装置500の内部構成を示すブロック図である。
図3】起動後に主制御装置100及び200間で行われる通信動作の一例を示す通信フロー図である。
図4】主制御装置100及び200が夫々待機系及び運用系に設定された後で、ケーブル30、40、50及び60に障害が生じた場合での通信フローを示す図である。
図5】障害対応処理によって主制御装置100、200及びイーサネットスイッチ51間で為される通信動作の一例を示す通信フロー図である。
図6】主制御装置100及び200が共に運用系となった状態から主制御装置200が起点となった障害対応処理によって、主制御装置100、200及びイーサネットスイッチ51間で為される通信動作の一例を示す通信フロー図である。
図7】主制御装置100及び200が同時に障害対応処理を実行した際に、主制御装置100、200及びイーサネットスイッチ51間で為される通信動作の一例を示す通信フロー図である。
図8】主制御装置100及び200が系切替の優先度を考慮した障害対応処理を実行した際に主制御装置100、200及びイーサネットスイッチ51間で為される通信動作を示す通信フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明に係る通信装置を含む通信システム1000を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、当該通信システム1000は、二重化通信装置500と、当該二重化通信装置に接続されているイーサネットスイッチ51、ルータ52、イントラネット53、外部装置54及び公衆のIP(Internet Protocol)ネットワーク55を含む。
【0016】
図2は、本発明に係る通信装置としての二重化通信装置500の内部構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、二重化通信装置500は、二重化構成部としての主制御装置100及び200と、機能提供部としての端末回線収容部A11、A12、B13~B16と、から構成される。
【0018】
端末回線収容部A11、A12、B13~B16の各々には、主制御装置100及び200に接続収容される電話機やFAX(facsimile)等の端末や、公衆網回線或いは私設網専用回線等の各種の回線が接続されており、ビジネスホン等の通信制御装置の利用機器として配備される。端末回線収容部A11、A12、B13~B16は、図2に示すように、主制御装置100及び200と、制御信号及び音声信号を伝送するケーブル17~20、30、40、50及び60を介して接続されている。
【0019】
端末回線収容部A11、A12、B13~B16の各々は、主制御装置100又は200からの指示(制御信号)により、利用機器間の接続を行って音声信号を交換することでビジネスホンのサービス機能を提供する。
【0020】
主制御装置100は、ケーブル30及び40を介して端末回線収容部A11、A12、B13~B16の各々と接続され、主制御装置200は、ケーブル50及び60を介して端末回線収容部A11、A12、B13~B16の各々と接続される。
【0021】
尚、二重化通信装置500では、二重化構成としての主制御装置100及び200の状態監視を、ビジネスホンのサービス機能を提供するための制御信号や音声信号が流れるケーブル30、40、50及び60を介して独自信号方式の通信によって行うことを1つの特徴としている。
【0022】
主制御装置100及び200は、運用系と待機系を決定するために、ケーブル30又は40、及びケーブル50又は60を介して、通常の端末回線収容部向けの制御信号用のチャネルとは別に設けた専用チャネルで、互いに運用状況に関するデータの送受信を行う。
【0023】
尚、専用チャネルは、制御信号のうちで主制御装置の状態チェック用に割り当てられたものである。例えば、主制御装置100は、ケーブル30及び端末回線収容部A11に含まれるハードウェアスイッチ(図示せず)を介して、専用チャネルのデータをケーブル50に送信する。同様に、主制御装置100は、ケーブル40及び端末回線収容部A12に含まれるハードウェアスイッチ(図示せず)を介して、専用チャネルのデータをケーブル60に送信する。
【0024】
主制御装置100及び200の各々には、運用状態情報31、二重化制御データ32及びIP情報41を保持するメモリRG、運用系/待機系判断処理部33、IP重複判定処理部42、及びIP通信部43を含む。
【0025】
尚、運用状態情報31とは、自装置及び他装置が夫々運用系及び待機系のいずれの状態にあるのかを示す情報である。例えば、主制御装置100に含まれるメモリRGに保持されている運用状態情報31は、主制御装置100を自装置、主制御装置200を他装置とし、夫々が運用系及び待機系のいずれの状態に該当するのかを示す情報である。一方、主制御装置200に含まれるメモリRGに保持されている運用状態情報31は、主制御装置200を自装置、主制御装置100を他装置とし、夫々が運用系及び待機系のいずれの状態に該当するのかを示す情報である。
【0026】
二重化制御データ32とは、運用系となる状態が双方で競合した際に、主制御装置100及び200のうちのどちらを優先的に待機系に切り替えるのかを表す。例えば、メモリRGには、主制御装置100及び200に夫々対応付けして、運用系/待機系の切替(以降、系切替とも称する)を行う優先度を表す二重化制御データ32が予め保持されている。尚、主制御装置100及び200各々のメモリRGには、互いに異なる優先度を表す二重化制御データ32が記憶されている。
【0027】
IP情報41とは、例えばMACアドレスである。つまり、主制御装置100のメモリRGに記憶されているIP情報41は、当該主制御装置100のMACアドレスを示し、主制御装置200のメモリRGに記憶されているIP情報41は、当該主制御装置200のMACアドレスを示す。
【0028】
主制御装置100及び200は、夫々に含まれるIP通信部43によって、イーサネットスイッチ(以降、L2SWとも称する)51を介してIPネットワーク55と接続可能となっている。
【0029】
イーサネットスイッチ51は、二重化通信装置500を外部からの見かけ上、1系統の通信装置と見なされるように集約するスイッチである。このイーサネットスイッチ51は、ルータ52、又は二重化通信装置500と同一の拠点に設けられているイントラネット53を介して二重化通信装置500と公衆のIPネットワーク55とを接続する。
【0030】
以下に、二重化通信装置500の内部動作について詳細に説明する。
【0031】
主制御装置100及び200に電源が投入されると、主装置制御プログラムが実行される。これにより、先ず、例えば主制御装置100の運用系/待機系判断処理部33が、運用状態情報31にて示される前回起動時の状態(運用系、待機系)に基づき、自装置の現在の状態(起動中、運用中、待機中)を表す情報を作成する。そして、主制御装置100は、上記した前回起動時の状態(運用系、待機系)及び現在の状態(起動中、運用中、待機中)を表す状態情報を含む状態問合せ信号101を、専用チャネルの制御信号としてケーブル30及び40に送信する。この際、制御信号は、主制御装置に対する状態監視用の専用チャネルに割り当てられており、端末回線収容部A11、A12を介して相手側の主制御装置に転送される。その制御信号を受信した主制御装置は、当該制御信号に含まれる状態情報、つまり相手側の状態(前回起動時の状態、現在の自状態)を解析し、当該相手側の状態に基づき自身の状態(運用系、待機系)を決定する。そして、その決定結果を示す情報を含ませた状態問合せ応答信号102を、専用チャネルの制御信号として相手側の主制御装置に返送する。
【0032】
ところで、正常に電源投入される場合は、両方の主制御装置がほぼ同じタイミングで動作を開始する。それ故、主制御装置100及び200は、互いに、
前回起動時の状態:無し
自装置の状態:起動中
なる状態情報を含む状態問い合わせ信号を受信する。
【0033】
この際、主制御装置100及び200各々の自身の状態も、
前回起動時の状態:無し
自装置の状態:起動中
であり、全く同一となる。
【0034】
そこで、主制御装置100及び200各々の運用系/待機系判断処理部33は、自身のメモリRGに保持されている二重化制御データ32にて示される優先度に基づき、主制御装置100及び200のうちの一方を運用中、他方を待機中とする。つまり、主制御装置100及び200のうちで、高い優先度を示す二重化制御データ32が保持されている方を運用中、低い優先度を示す二重化制御データ32が保持されている方を待機中に決定する。
【0035】
これにより、主制御装置100の運用状況に関する運用状態情報31は、
前回起動時の状態:無し
自装置の状態:運用中
に設定する。
【0036】
一方、主制御装置200の運用状況に関する運用状態情報31は、
前回起動時の状態:無し
自装置の状態:待機中
に設定する。
【0037】
そして、このような設定後に、主制御装置200は、状態情報として
自装置の状態:待機中
を含む状態問合せ応答信号102を、専用チャネルの制御信号として相手側の主制御装置100に返送する。それを受信した主制御装置100は、自身の運用系/待機系判断処理部33により、自装置の状態が運用中であると判断し、その旨を表す運用状態情報31をメモリRGに上書きする。そして、主制御装置100は、自身が運用系であることを端末回線収容部A11に通知する。当該通知を受信すると、端末回線収容部A11は、主制御装置100を運用系として、制御信号や音声信号のパス接続をスイッチする。これにより、主制御装置100からの指示(制御信号)により利用機器間の接続を行い、音声信号を交換することでビジネスホンのサービス機能を提供することが可能になる。
【0038】
図3は、上記した初期起動が完了し、ビジネスホンとしての動作が開始されてから、主制御装置100及び200間で行われる通信動作の一例を示す通信フロー図である。
【0039】
尚、主制御装置100及び200間の通信は、実際には端末回線収容部A11、A12、ケーブル30、40、50及び60を介して行われるが、図3では、端末回線収容部A11、A12、ケーブル30、40、50及び60の記述は省略している。
【0040】
先ず、待機系の状態にある主制御装置200は、運用系の状態にある主制御装置100の通信状態を一定間隔おきに監視するために、状態問合せ信号101を送信し、その応答、つまり状態問合せ応答信号102の有無により二重化構成の主制御装置の現在の状態を更新する。
【0041】
つまり、運用系の主制御装置100に障害が生じていなければ、主制御装置200が状態問合せ信号101を送信してから、所定時間経過するまでの間に、主制御装置100から状態問合せ応答信号102が返送される。この際、主制御装置200は、自装置の状態が待機中であり、状態問合せ応答信号102にて示される相手側(主制御装置100)の状態が運用中であることから、その状態を継続する。
【0042】
ところが、運用系の主制御装置100に障害が生じると、状態問合せ信号101を送信してから所定時間経過後も状態問合せ応答信号102が返送されてこない。そこで、状態問合せ信号101を送信してから所定時間経過後に状態問合せ応答信号102が返送されなかった場合、待機系の主制御装置200は、状態問合せ信号101を再送する。ここで、状態問合せ応答信号102が返送されなかった場合、主制御装置200は、上記した状態問合せ信号101の再送処理を所定回数だけ繰り返し実行する。それでも、運用系の主制御装置100から状態問合せ応答信号102の返送が為されなかった場合、待機系の主制御装置200は、運用系の主制御装置100に障害が生じていると判断する。
【0043】
すなわち、主制御装置200は、状態問合せ信号101の送信に対して状態問合せ応答信号102の返信が無かったことをもって故障が生じていることを示す故障検知を行うのである。
【0044】
かかる故障検知により、主制御装置200は、自装置の状態を待機中から運用中に切り替える。そして、主制御装置200は、自装置の状態が運用中であり且つ相手装置が障害状態を表す運用状態情報31をメモリRGに上書きする。
【0045】
その後、主制御装置100が障害状態から回復すると、主制御装置100は、自装置の状態が未定であることを表す状態情報を含む状態問合せ信号101を主制御装置200に送信する。運用中に切り替わっている主制御装置200は、この状態問合せ信号101を受信すると、自身のメモリRGに保持されている運用状態情報31が、自装置の状態が運用中であることを表していることから、自装置の状態が運用中であることを表す状態情報を含む状態問合せ応答信号102を主制御装置100に送信する。
【0046】
かかる状態問合せ応答信号102を受信すると、主制御装置100は、自身の運用系/待機系判断処理部33により、自装置が待機系であると決定し、自装置の状態が待機中であり、相手装置の状態が運用中であることを示す運用状態情報31をメモリRGに上書きする。
【0047】
上記した一連の通信処理により、主制御装置100及び200のうちで運用系として通信動作を行っていた主制御装置に障害が生じた場合には、待機系に設定されていた主性装置が運用系に切り替わって通信動作を継続させる。
【0048】
ところで、上記した一連の通信処理によれば、主制御装置100の障害が回復すると、主制御装置100及び200間での状態問合せ信号101及び状態問合せ応答信号102による相互通信が再開される。これにより、主制御装置100及び200の各々が互いの状態情報(運用系、待機系)を取得することができるので、取得した状態情報に基づき、適切に、主制御装置100及び200のうちの一方を待機系、他方を運用系に夫々設定することが可能となる。
【0049】
しかしながら、主制御装置100及び200間の通信経路、つまりケーブル30、40、50、60に断線や短絡等の障害が生じていると、主制御装置100及び200間での通信が不可となり、状態情報(運用系、待機系)の取得ができなくなる。これにより、主制御装置100及び200の各々は、互いに相手側の運用状況を把握できなくなり、適切に、主制御装置100及び200のうちの一方を運用系、他方を待機系に設定することが困難となる。
【0050】
図4は、状態問合せ信号101及び状態問合せ応答信号102の通信によって、一旦、主制御装置100及び200が夫々待機系及び運用系に設定された後で、ケーブル30、40、50及び60に障害が生じた場合での通信フローを示す図である。
【0051】
図4に示すように、障害発生後において、待機系の主制御装置200は、引き続き状態問合せ信号101を繰り返し、主制御装置100側に送信するものの、ケーブル30、40、50及び60に障害が生じているため、これを主制御装置100では受信できない。よって、状態問合せ信号101を所定回数に亘って送信したものの、その応答としての状態問合せ応答信号102が返送されてこないことから、主制御装置200は、相手装置側(ケーブル30、40、50及び60)に故障が生じていると判断し、自身を待機系から運用系に切り替える。尚、主制御装置100には何らアクセスが掛からないので、現在の運用系の状態を維持することになり、主制御装置100及び200が共に運用系の状態になってしまう。
【0052】
そこで、二重化通信装置500では、主制御装置100及び200が共に運用系の状態になるという不具合を回避すべく、相手側の主制御装置に故障が生じていると判断した場合には、直ちに系切替を行うのではなく、以下の障害対応処理を実施する。
【0053】
すなわち、障害対応処理では、先ず、上記した故障判断を行った主制御装置(100又は200)のIP通信部43が、ARP(Address Resolution Protocol)要求メッセージをイーサネットスイッチ51に送信する。ARP要求メッセージは、ターゲットIPアドレスとして本ビジネスホンの主制御装置の運用系のIP情報であるIPアドレス#0と、送信元の主制御装置のMACアドレスと、を含む。尚、ARP要求メッセージはブロードキャストIPパケットであるため、主制御装置100及び200各々のIP通信部43は、イーサネットスイッチ51、ルータ52及びIPネットワークを介して当該ARP要求メッセージを受信する。
【0054】
ARP要求メッセージを受信した主制御装置は、当該ARP要求メッセージにて示されるターゲットIPアドレスが自身のIPアドレスと同じであるか否かを判定する。この際、ARP要求メッセージにて示されるターゲットIPアドレスが自身のIPアドレスと同じであると判定した場合、ARP要求メッセージを受信した主制御装置は、ARPリプライメッセージを、イーサネットスイッチ51、ルータ52及びIPネットワークを介して送信元のMACアドレスを有する主制御装置に送信する。
【0055】
この間、ARP要求メッセージを送信した主制御装置は、所定の待ち時間に亘り、ARPリプライメッセージの受信待機状態となる。ここで、当該待ち時間内にARPリプライメッセージ111が返送(受信)されなかった場合、この主制御装置のIP重複判定処理部42は、IPネットワーク(53、55)上にIPアドレス#0の機器、つまりIPアドレスが重複した運用中の機器(主制御装置)が存在しないと判断する。これにより、ARP要求メッセージを送信した主制御装置の運用系/待機系判断処理部33は、相手側の主制御装置は待機中の状態にあると判断して、自身を待機系から運用系に切り替える。
【0056】
一方、当該待ち時間内にARPリプライメッセージを受信した場合、主制御装置のIP重複判定処理部42は、IPネットワーク55及びイントラネット53上に、IPアドレス#0を重複して使用する他の機器、つまり運用中の主制御装置が存在すると判断する。そして、IP重複判定処理部42は、ARPリプライメッセージ111にて示される送信元のMACアドレスが、予め取得または設定した相手側の主制御装置のIP情報41にて示されるMACアドレスと同一であるか否かを判定する。
【0057】
同一であると判定した場合、IP重複判定処理部42は、IPアドレス#0を重複して使用する他の機器が相手側の運用中の主制御装置であると判断する。これにより、ARPリプライメッセージを受信した主制御装置の運用系/待機系判断処理部33は、当該ARPリプライメッセージにて示される送信元のMACアドレスが相手側の主制御装置(運用中)であることから自装置を待機系に設定し、障害検出のリトライを実施する。つまり、この際、ARPリプライメッセージを受信した主制御装置の運用系/待機系判断処理部33は、現時点で自装置が待機中である場合には待機系の状態を維持し、運用中である場合には運用系から待機系への系切替を行う。
【0058】
尚、ARPリプライメッセージ111の送信元のMACアドレスが、主制御装置100のMACアドレスと不一致であると判定した場合、IP重複判定処理部42は、当該送信元は、二重化通信装置500の主制御装置ではなく、外部のネットワーク機器(コンピュータルータ等のIP接続機器)と判断する。そこで、運用系/待機系判断処理部33は、自装置の状態(待機系)は変更せずに、その送信元の外部ネットワーク機器のアドレス変更を促す注意喚起情報を自身のメモリRGに保存する。
【0059】
図5は、上記した障害対応処理によって主制御装置100、200及びイーサネットスイッチ51間で為される通信動作の一例を示す通信フロー図である。
【0060】
図5に示すように、待機系の主制御装置200が所定回数に亘り状態問合せ信号101を主制御装置100に送信したものの、ケーブル30、40、50又は60に故障が生じているため、状態問合せ応答信号102は返送されない。状態問合せ応答信号102の返送がなされないことから、主制御装置200は、障害有と判断し、以下の障害対応処理を実行する。
【0061】
すなわち、先ず、主制御装置200が、ターゲットIPアドレスとして本ビジネスホンの主制御装置の運用系のIPアドレス#0、及び主制御装置200のMACアドレス♯2を表すARP要求メッセージ110を、イーサネットスイッチ51に送信する。ARP要求メッセージ110は、イーサネットスイッチ51、ルータ52及びIPネットワークを介して主制御装置100に送信される。ARP要求メッセージ110を受信した主制御装置100は、当該ARP要求メッセージ110にて示されるターゲットIPアドレスが自身のIPアドレスと同じであることから、ARPリプライメッセージ111を、イーサネットスイッチ51、ルータ52及びIPネットワークを介して送信元のMACアドレスを有する主制御装置200に送信する。
【0062】
この間、主制御装置200は、所定の待ち時間に亘りARPリプライメッセージ111の受信待機状態となる。ここで、当該待ち時間内にARPリプライメッセージ111を受信した場合、主制御装置200は、IPネットワーク55及びイントラネット53上に、IPアドレス#0を重複して使用する他の機器、つまり運用中の主制御装置100が存在すると判断する。そして、主制御装置200は、相手側の主制御装置100が運用中であることから、待機系から運用系への系切替は行わず、自装置の現在の状態である待機系を維持する設定を行う。
【0063】
以上詳述したように、二重化通信装置500では、電話等の通話サービスを含む各種の通信サービスを行う第1の通信機能部(端末回線収容装置A11、端末回線収容装置B13、端末回線収容装置B14)及び第2の通信機能部(端末回線収容装置A12、端末回線収容装置B15、端末回線収容装置B16)を制御する2系統の主制御装置(100、200)が、以下の構成によって自身を待機系及び運用系のうちの一方に設定する。
【0064】
すなわち、第1及び第2の主制御装置の各々は、IPネットワーク(51~53,55)に接続する通信部(43)と、以下の運用系/待機系判断処理部を有する。
【0065】
運用系/待機系判断処理部(33)は、IPネットワークを介して、第1及び第2の主制御装置(100、200)のうちの相手側の主制御装置が運用中であるか否かを判定する判定処理を行い、運用中であると判定した場合には自身を待機系に設定し、運用中ではないと判定した場合には自身を運用系に設定する。
【0066】
かかる構成により、第1及び第2の主制御装置の各々がIPネットワークを介した通信によって、相手側の主制御装置の運用状況(運用中、待機中)を取得する。これにより、相手側の主制御装置の運用状況を取得すべく第1及び第2の主制御装置同士を接続するケーブル(30、40、50、60)に故障が生じていても、第1及び第2の主制御装置うちの一方を運用系、他方を待機系に適切に設定することが可能となる。
【0067】
次に、主制御装置100及び200のうちの一方が送信したARPリプライメッセージ111を、他方で受信できなかったが故に主制御装置100及び200が共に運用系になった状態からの復帰(一方を運用系、他方を待機系)方法について、図6に示す通信フローを参照しつつ説明する。
【0068】
図6は、主制御装置200が起点となった障害対応処理によって、主制御装置100、200及びイーサネットスイッチ51間で為される通信動作の一例を示す通信フロー図である。
【0069】
図6に示すように、先ず、運用系の主制御装置200のIP通信部43が、ターゲットIPアドレスとしてIPアドレス#0、及び主制御装置200のMACアドレス♯2を表すARP要求メッセージ110を、イーサネットスイッチ51に送信する。つまり、主制御装置200は、ブロードキャストIPパケットとしてのARP要求メッセージ110を送信し、ARPリプライメッセージ111の返信を待つ。ここで、主制御装置200がARPリプライメッセージ111を受信した場合、IPアドレス#0を重複して使用する運用中の機器が存在することになる。そこで、主制御装置200は、ARPリプライメッセージ111に含まれる送信元のMACアドレスを確認することで、当該運用中の機器が主制御装置100であるか否かを判定する。この際、ARPリプライメッセージ111の送信元のMACアドレスは、運用中の主制御装置100のMACアドレスであることから、主制御装置200は、運用系の重複を避けるために、自装置を運用系から待機系に切り替える。そして、主制御装置200は、自装置の状態が待機中であり、相手装置の状態が運用中であることを示す運用状態情報31をメモリRGに上書きする。
【0070】
ところで、上記した復帰方法では、運用系となってしまった主制御装置100及び200のうちの一方(主制御装置200)が障害対応処理を実行している。
【0071】
しかしながら、主制御装置100及び200が共に障害対応処理を実施する場合があり、主制御装置100及び200の双方で同時に運用系/待機系の切り替えが起こる可能性がある。
【0072】
図7は、主制御装置100及び200の各々が同時に障害対応処理を実行した際に、主制御装置100、200及びイーサネットスイッチ51間で為される通信動作を示す通信フロー図である。
【0073】
つまり、前述した状態問合せ信号101及び状態問合せ応答信号102により故障が検知されると、図7に示すように、主制御装置200がARP要求メッセージ110をイーサネットスイッチ51経由で主制御装置100に送信すると共に、主制御装置100がARP要求メッセージ112をイーサネットスイッチ51経由で主制御装置200に送信する。この際、主制御装置100は、ARP要求メッセージ110を受信すると、ARPリプライメッセージ111をイーサネットスイッチ51経由で主制御装置200に返送する。また、主制御装置200は、ARP要求メッセージ112を受信すると、ARPリプライメッセージ113をイーサネットスイッチ51経由で主制御装置100に返送する。
【0074】
よって、主制御装置100及び200の各々は、相手側の主制御装置から返送されたARPリプライメッセージにより、当該相手側の主制御装置もIPアドレス#0を用いて通信動作を行う運用中の機器であると判断し、自身を運用系から待機系に切り替えてしまう。このように、運用中の主制御装置の無用な系切替は、提供中の通話や各種サービスの中断や終了を招くおそれがある。
【0075】
そこで、二重化通信装置500では、主制御装置100及び200各々に、系切替えを実施する優先度をもたせている。つまり、例えば主制御装置100のメモリRGには第1の優先度を表す二重化制御データ32が保持されており、主制御装置200のメモリRGには、第1の優先度よりも低い第2の優先度を表す二重化制御データ32が保持されている。この際、主制御装置100及び200のうち、この優先度が高い方で運用系への系切替が行われる。逆に待機系への系切替は優先度が低い方で行う。例えば、主制御装置100及び200の各々は、相手側の主制御装置も運用中の機器であると判断した場合には、第1の優先度よりも低い第2の優先度を表す二重化制御データ32が保持されている主制御装置200では、障害が検出される度に運用系から待機系に系切替が行われる一方、第2の優先度よりも高い第1の優先度を表す二重化制御データ32が保持されている主制御装置100では、障害が連続して2回検出されなければ系切替が実施されない。また、主制御装置100及び200の各々は、相手側の主制御装置も運用中の機器ではないと判断した場合には、第2の優先度よりも高い第1の優先度を表す二重化制御データ32が保持されている主制御装置100では、障害が検出される度に待機系から運用系に系切替が行われる一方、第1の優先度よりも低い第2の優先度を表す二重化制御データ32が保持されている主制御装置200では、障害が連続して2回検出されなければ系切替が実施されない。
【0076】
図8は、主制御装置100及び200の各々が、上記した系切替を行うための優先度を考慮した障害対応処理を実行した際に主制御装置100、200及びイーサネットスイッチ51間で為される通信動作を示す通信フロー図である。
【0077】
前述した状態問合せ信号101及び状態問合せ応答信号102により、ケーブル30、40、50又は60の故障が検知されると、主制御装置200がARP要求メッセージ110をイーサネットスイッチ51経由で主制御装置100に送信する。更に、主制御装置100がARP要求メッセージ112をイーサネットスイッチ51経由で主制御装置200に送信する。この際、主制御装置100は、ARP要求メッセージ110を受信すると、ARPリプライメッセージ111をイーサネットスイッチ51経由で主制御装置200に返送する。また、主制御装置200は、ARP要求メッセージ112を受信すると、ARPリプライメッセージ113をイーサネットスイッチ51経由で主制御装置100に返送する。
【0078】
主制御装置100及び200の各々は、相手側の主制御装置から返送されたARPリプライメッセージを受けると、当該ARPリプライメッセージに基づき相手側の主制御装置もIPアドレス#0を用いて通信動作を行う運用中の機器であると判断する。ここで、主制御装置100及び200の各々は、自身のメモリRGに記憶されている二重化制御データ32を確認する。この際、主制御装置200の二重化制御データ32は第2の優先度(優先度2)を表し、主制御装置100の二重化制御データ32は第1の優先度(優先度1)を表す。よって、主制御装置200は、自身を運用系から待機系に切り替える処理を行う。一方、主制御装置100の二重化制御データ32は、第2の優先度よりも優先度が高い第1の優先度を表す。この際、第1の優先度によれば、主制御装置100は、上記した故障検知動作が連続して2回行われた場合に系切替が可能となるので、現段階(1回の故障検知)では、系切替は行わない。よって、主制御装置100は、現在の状態である運用系を維持する。
【0079】
このように、二重化通信装置500では、主制御装置100及び200の各々で系切替を実行する優先度を異ならせることで、運用系の状態を無用に待機系に切り替えてしまうという無用な動作を回避する。
【0080】
尚、主制御装置200では、当該第2の優先度に基づき、障害検出後、所定の第1時間遅延させてから系切替を行い、主制御装置100では、第1の優先度に基づき、障害検出後、上記第1時間よりも長い第2時間遅延させてから系切替えを行うようにしても良い。
【0081】
また、二重化制御データ32としては、障害検知前に動作していた状態による優先度(運用系>待機系>障害>起動中)や、主制御装置に予め設定されている識別番号(1>2)を用いても良い。
【0082】
尚、上記実施例では、主制御装置が故障した場合の耐障害性を高める適用例を説明した。ところで、図2に示す端末回線収容装置は適宜、追加可能なビルディングブロック構成である。よって、複数の端末回線収容装置のフォールトトレラント性として故障部位に応じた系切替をすると、多くの端末回線収容装置が利用できるか否かの判断に、上記した二重化制御データ及びその判断材料の状態検出部を追加することで、更なる冗長化構成装置に適用することが可能となる。
【0083】
以上のように、二重化通信装置500によれば、主制御装置100及び200同士を接続するケーブル(30、40、50、60)が故障していても、IPネットワーク機器との通信で入手したIP情報を自装置のIP情報と照合することで、主制御装置100及び200のうちの一方を運用系、他方を待機系に正しく設定することが可能となる。
【0084】
これにより、外部のIPネットワーク機器に対しても1つのIPアドレスに対して複数のMACアドレスが通知されるような外部機器に対して、混乱を招く動作を防止することも可能となる。
【0085】
更に、ARP要求メッセージの送信タイミングによっては、障害検知時において、主制御装置100及び200が共に運用系から待機系に遷移して、両者が共に待機系になりシステムが機能提供できない状態に陥る可能性についても、系切替を実行する優先度を表す二重化制御データを用いることで回避している。更に、障害状態が継続した場合に前述した回復処理が繰り返されることも、上記した二重化制御データを用いることで防止することができる。
【符号の説明】
【0086】
11、12 端末回線収容部A
13~16 端末回線収容部B
30、40、50、60 ケーブル
32 二重化制御データ
33 運用系/待機系判断処理部
42 IP重畳処理部
43 IP通信部
100、200 主制御装置
500 二重化通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8