IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鉄建建設株式会社の特許一覧

特開2023-125054上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法
<>
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図1
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図2
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図3
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図4
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図5
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図6
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図7
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図8
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図9
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図10
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図11
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図12
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図13
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図14
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図15
  • 特開-上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125054
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028964
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】林 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】尻無濱 昭三
(72)【発明者】
【氏名】坂井 誠
(72)【発明者】
【氏名】野畑 茂雄
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174CA03
2E174CA12
2E174CA34
2E174CA38
2E174DA12
2E174DA32
2E174DA33
2E174DA63
(57)【要約】
【課題】下柱2の上方で上柱1を建て起こして、上柱1の建込みを支援できる上柱1の建込み支援装置5、及び上柱1の建込み支援方法を提供することを目的とする。
【解決手段】長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する上柱1の建込み支援装置5であって、寝かせた状態における上柱1の下端部の下側に設けた第1被支持部21を当接によって支持する第1当接部143と、第1当接部143よりも斜め上方の位置に設けられ、上端部が吊り上げられた上柱1を枢動させる枢動部(第2当接部144)とを備え、第1当接部143及び枢動部(第2当接部144)は、下柱2を挟んで配置されるとともに、下柱2に隣接する床版4に載置されることを特徴とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱の建込みを支援する上柱の建込み支援装置であって、
寝かせた状態における前記上柱の下端部の下側に設けた被支持部を当接によって支持する当接部と、
前記当接部よりも斜め上方の位置に設けられ、前記下端部とは逆側の上端部が吊り上げられた前記上柱を枢動させる枢動部とを備え、
前記当接部及び前記枢動部は、
下柱を挟んで配置されるとともに、前記下柱に隣接する床面に載置される
上柱の建込み支援装置。
【請求項2】
前記上柱の前記被支持部を第1被支持部とし、前記当接部を第1当接部として、
前記枢動部は、
前記第1被支持部に対向して前記上柱の下端部に設けられた第2被支持部を当接によって支持する第2当接部で構成された
請求項1に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項3】
前記第1当接部と前記第2当接部とが、前記下柱を跨いで連結された
請求項2に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項4】
前記枢動部は、
前記当接部が連結された一端側から斜め上方へ延びる橋架部と、該橋架部の他端側を支持する支柱部とを枢動可能に連結する構成であり、
前記橋架部の一端側を上方へ押圧する押圧機構部を備えた
請求項1に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項5】
前記下柱を中心に前記当接部と前記枢動部とを水平方向へ一体回転させる回転機構部を備えた
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項6】
前記上柱の降下速度を低減する減衰機構部を備えた
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項7】
長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱の建込みを支援する上柱の建込み支援方法であって、
寝かせた状態における前記上柱の下端部の下側に設けた被支持部を、下柱に隣接する床面に載置された当接部に当接させる工程と、
前記下端部が前記当接部に支持された前記上柱の上端部を吊り上げて、前記当接部との当接箇所を中心に前記上柱を回動開始させる工程と、
前記下柱を挟んで前記当接部よりも斜め上方の位置に設けられるとともに、前記下柱に隣接する床面に載置された枢動部を中心に、前記上端部が吊り上げられた前記上柱を回動させる工程とを行う
上柱の建込み支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば寝かせた状態で搬入された上柱の建込みを支援するような上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば線路上空に駅舎などの建築物を建設する場合、線路上空に設けた床版を貫通する下柱に上柱を連結して、建築物の柱を組付けることがある。
この際、建設現場では、長尺形状の上柱を長手方向が略水平となるように寝かせた状態で予め床版上に搬入し、線路閉鎖を行って上柱を下柱に組付けている。このため、建設現場では、寝かせた状態の上柱を床版上で建て起こす必要があった。
【0003】
このような上柱の建て起こしを支援する技術として、例えば特許文献1には、車輪を設けた柱受台を上柱の下端側に連結し、上柱の上端側の吊り上げに伴って、柱受台が床版上を走行することで、寝かせた状態の上柱の建て起こしを支援することが開示されている。
【0004】
ところで、特許文献1は、上柱の上端側の吊り上げに伴って柱受台が走行するため、下柱の上方で上柱の建て起こしを行うことができない。このため、特許文献1では、上柱を吊り上げて起立させたのち、重機を旋回して上柱を下柱の上方へ移動させる必要がある。
【0005】
しかしながら、起立させた上柱を下柱の上方へ移動させる際、重機の旋回に伴って上柱が大きく揺れ動くおそれがあり、安全性の観点から好ましくないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-139702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、下柱の上方で上柱を建て起こして、上柱の建込みを支援できる上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱の建込みを支援する上柱の建込み支援装置であって、寝かせた状態における前記上柱の下端部の下側に設けた被支持部を当接によって支持する当接部と、前記当接部よりも斜め上方の位置に設けられ、前記下端部とは逆側の上端部が吊り上げられた前記上柱を枢動させる枢動部とを備え、前記当接部及び前記枢動部は、下柱を挟んで配置されるとともに、前記下柱に隣接する床面に載置されることを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱の建込みを支援する上柱の建込み支援方法であって、寝かせた状態における前記上柱の下端部の下側に設けた被支持部を、下柱に隣接する床面に載置された当接部に当接させる工程と、前記下端部が前記当接部に支持された前記上柱の上端部を吊り上げて、前記当接部との当接箇所を中心に前記上柱を回動開始させる工程と、前記下柱を挟んで前記当接部よりも斜め上方の位置に設けられるとともに、前記下柱に隣接する床面に載置された枢動部を中心に、前記上端部が吊り上げられた前記上柱を回動させる工程とを行うことを特徴とする。
【0010】
上記床面は、例えば床版、コンクリート面、あるいは地面などのことをいう。
この発明によれば、上柱の建込み支援装置及び上柱の建込み支援方法は、下柱の上方で上柱を建て起こして、上柱の建込みを支援することができる。
【0011】
具体的には、上柱の被支持部が当接部に支持されているため、上柱の建込み支援装置及び上柱の建込み支援方法は、上柱の上端部が吊り上げられた際、被支持部と当接部との当接箇所を回転中心として、上柱を回動させることができる。
【0012】
さらに、当接部よりも斜め上方に対向配置された枢動部により、上柱の建込み支援装置及び上柱の建込み支援方法は、被支持部と当接部との当接箇所を中心に回動する上柱を、枢動部を中心とした回動に移行させることができる。
このため、上柱の建込み支援装置及び上柱の建込み支援方法は、回動する上柱の重心が回転中心を超えることがないため、起立直前の上柱の振れを抑制することができる。
【0013】
このようにして上柱を起立させる当接部と枢動部とが下柱を挟んで床面に載置されているため、上柱の建込み支援装置及び上柱の建込み支援方法は、上柱の下端部を常に下柱の上方に位置させながら、寝かせた状態の上柱を建て起こすことができる。
【0014】
これにより、上柱の建込み支援装置及び上柱の建込み支援方法は、起立した上柱が下柱に対して位置ズレした場合であっても、重機の旋回距離を小さくできるため、起立した上柱の揺れ動きを抑制することができる。
【0015】
したがって、上柱の建込み支援装置及び上柱の建込み支援方法は、下柱の上方で上柱を建て起こして、上柱の建込みを支援することができる。このため、上柱の建込み支援装置及び上柱の建込み支援方法は、寝かせた状態で搬入された上柱を、例えば線路閉鎖を行うことなく建て起こすことができる。
【0016】
この発明の態様として、前記上柱の前記被支持部を第1被支持部とし、前記当接部を第1当接部として、前記枢動部は、前記第1被支持部に対向して前記上柱の下端部に設けられた第2被支持部を当接によって支持する第2当接部で構成されてもよい。
【0017】
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、第1当接部との当接箇所を中心に回動する上柱を、上柱の上端部の吊り上げに伴って第2当接部で支持することができる。このため、上柱の建込み支援装置は、第2当接部との当接箇所を中心に上柱を回動させることができる。
【0018】
さらに、上柱の建込み支援装置は、第1当接部から第2当接部への回転中心の移行を簡素な構成で実現できるため、重量増加を抑えることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、例えば線路上空に設けた床版上であっても、上柱の建込みを容易に行うことができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記第1当接部と前記第2当接部とが、前記下柱を跨いで連結されてもよい。
この構成によれば、上柱の回動中心が第1当接部との当接箇所から第2当接部との当接箇所に移行する際、上柱の建込み支援装置は、上柱の重量によって第2当接部が第1当接部から離間するように移動することを防止できる。
【0020】
これにより、上柱の建込み支援装置は、第1当接部を中心に回動する上柱の第2被支持部を、第2当接部に確実に当接させることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、上柱の建て起こしをより安全に支援することができる。
【0021】
さらに、上柱の建込み支援装置は、第1当接部と第2当接部とが連結されていない場合に比べて、第1当接部及び第2当接部の設置と撤去とを容易にすることができるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記枢動部は、前記当接部が連結された一端側から斜め上方へ延びる橋架部と、該橋架部の他端側を支持する支柱部とを枢動可能に連結する構成であり、前記橋架部の一端側を上方へ押圧する押圧機構部を備えてもよい。
【0023】
この構成によれば、橋架部の一端側を上方へ押圧する押圧機構部により、上柱の建込み支援装置は、枢動部を中心に上柱を回動させることができる。この際、上柱の建込み支援装置は、当接部との当接箇所を中心とする上柱の回動と、枢動部を中心とする上柱の回動とを同時に行わせることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、上柱の建て起こしを効率よく支援することができる。
【0024】
さらに、上柱の建込み支援装置は、上柱の下端部が当接部によって支持されるため、枢動部を中心とした回動に伴う上柱の揺れ動きを抑えることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、上柱のより安全な建て起こしを支援することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記下柱を中心に前記当接部と前記枢動部とを水平方向へ一体回転させる回転機構部を備えてもよい。
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、上下方向を回転中心とした回転方向へ上柱を回転させながら、上柱を建て起こすことができる。
あるいは、上柱の建込み支援装置は、起立した上柱を、上下方向を回転中心として、下柱の直上で回転させることができる。
【0026】
このため、上柱の建込み支援装置は、上下方向を回転中心とした回転方向における上柱の向きを容易に下柱に一致させることができる。この際、当接部または枢動部が上柱を支持するため、上柱の建込み支援装置は、上下方向を回転中心とした回動による上柱の揺れ動きを抑えることができる。
【0027】
加えて、上柱の建込み支援装置は、寝かせた状態の上柱を、上下方向を回転中心として回転させる場合に比べて、狭いスペースで上柱を回転させることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、下柱の上方での上柱の建て起こしをさらに容易にすることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記上柱の降下速度を低減する減衰機構部を備えてもよい。
上記上柱の降下速度を低減するとは、吊り上げた上柱を降下させる際の降下速度を低減する、あるいは上柱が落下する際の落下速度を低減することをいう。
【0029】
この構成によれば、下柱を上柱に載置する際の降下速度を緩やかにできるため、上柱の建込み支援装置は、吊り上げた上柱を降下させて下柱に当接させる際、上柱が下柱に勢いよく衝突することを防止できる。
【0030】
さらに、万一上柱が揺れ動いた場合であっても、減衰機構部によって揺れ動きを軽減できるため、上柱の建込み支援装置は、例えば上柱との接触による床面の損傷を防止することができる。
これにより、上柱の建込み支援装置は、上柱の建込みにおける安全性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、下柱の上方で上柱を建て起こして、上柱の建込みを支援できる上柱の建込み支援装置、及び上柱の建込み支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】上柱の概略を説明する説明図。
図2】搬入時の上柱の概略を説明する説明図。
図3】支持架台の外観を示す正面図。
図4】支持架台の外観を示す平面図。
図5】上柱に装着された被支持部の概略を説明する説明図。
図6】下柱と上柱とがダンパーで連結された状態を示す正面図。
図7】上柱を支持架台に載置する工程を正面視で説明する説明図。
図8】上端部の吊り上げを開始した上柱の状態を正面視で説明する説明図。
図9】建て起こし過程における上柱の状態を正面視で説明する説明図。
図10】起立した上柱の状態を正面視で説明する説明図。
図11】上柱を下柱に接触させる工程を正面視で説明する説明図。
図12】実施例2における支持架台の外観を示す正面図。
図13】実施例2における支持架台の動作を説明する説明図。
図14】実施例3における支持架台の概略を説明する説明図。
図15】実施例4における支持架台の概略を説明する説明図。
図16】実施例4における支持架台の動作を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0034】
本実施形態では、寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する建込み支援装置5について、図1から図6を用いて説明する。
なお、図1は上柱1の概略を説明する説明図を示し、図2は搬入時の上柱1の概略を説明する説明図を示し、図3は支持架台10の正面図を示し、図4は支持架台10の平面図を示している。
【0035】
さらに、図5は上柱1に装着された被支持部の概略を説明する説明図であり、図5(a)は寝かせた状態における上柱1の側面図を示し、図5(b)は寝かせた状態における上柱1の正面図を示している。
加えて、図6は下柱2と上柱1とがダンパー23で連結された状態の正面図を示している。
【0036】
また、図1中の上側を本実施形態における上方とし、図1中の下側を本実施形態における下方として、図中の矢印Xは支持架台10の前後方向(以下、前後方向Xとする)を示し、図中の矢印Yは支持架台10の幅方向(以下、幅方向Y)を示している。
【0037】
まず、上柱1は、図1に示すように、下端が基礎などに固定された下柱2の上端に連結され、例えば線路上空に建設される駅舎などの建築物の鉄骨柱3を構成している。
この上柱1は、図1に示すように、下柱2に連結された状態において、上下方向を長手方向とする筒状の鉄骨であって、水平方向(短手方向)に沿った断面形状が断面略矩形に形成されている(図5参照)。
【0038】
さらに、上柱1には、図1に示すように、下方の端部である下端部に配置された4つの下側エレクションピース1aと、上方の端部である上端部に配置された4つの上側エレクションピース1bとが、各外側面に接合されている。
加えて、上柱1には、図1に示すように、上側エレクションピース1bよりも下方に配置された4つの梁ブラケット1cが、各外側面に接合されている。
【0039】
このような上柱1は、図2に示すように、長手方向が略水平となるように寝かせた状態(横倒し状態)で後述する床版4上に搬入され、下柱2の上方において、後述する建込み支援装置5によって建て起こしが支援される。
【0040】
また、下柱2は、図1に示すように、上下方向に延びる筒状の鉄骨であって、水平方向(短手方向)に沿った断面形状が、上柱1に略同じ大きさの断面略矩形に形成されている(図4参照)。
この下柱2には、図1に示すように、上方の端部である上端部に配置された4つの上側エレクションピース2aと、上側エレクションピース2aよりも下方に配置された4つの梁ブラケット2bとが、各外側面に接合されている。
【0041】
さらに、下柱2には、図1に示すように、上側エレクションピース2aと梁ブラケット2bとの間に、建築物の床部分となる床版4が接合されている。このため、下柱2は、上端部が床版4よりも上方に突出するように配置されている。
なお、床版4は、詳細な図示を省略するが、例えばデッキプレートまたは覆工板などで構成されている。
【0042】
次に、寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する建込み支援装置5について詳述する。
建込み支援装置5は、下柱2に跨って床版4上に載置される支持架台10(図2参照)と、上柱1に取付けられた第1被支持部21及び第2被支持部22(図5参照)と、上柱1を下柱2に連結する一対のダンパー23(図6参照)とで構成されている。
【0043】
支持架台10は、図3及び図4に示すように、下柱2の上端部を跨ぐように床版4上に載置され、上柱1の下端部となる一端側を下柱2の上方で支持可能に構成されている。
この支持架台10は、図3及び図4に示すように、平面視井桁状の支持台座11と、支持台座11から上方へ延びる一対の第1支柱部12及び一対の第2支柱部13と、第1支柱部12及び第2支柱部13に支持された架台本体14とを備えている。
【0044】
詳述すると、支持台座11は、図3及び図4に示すように、前後方向Xに所定間隔を隔てて配置された一対の桁部111と、一対の桁部111を前後方向Xに連結する一対の梁部112とで平面視略井桁状に構成されている。
さらに、支持台座11は、図3及び図4に示すように、桁部111における幅方向Yの両端に設けた4つの車輪機構部113と、前後方向Xで対向する車輪機構部113を連結する連結棒材114とを備えている。
【0045】
具体的には、一対の桁部111は、図3及び図4に示すように、所定方向に延びるH形鋼であって、下柱2の外形よりも大きい前後方向Xの間隔を隔てた位置で、長手方向が幅方向Yとなるように配置されている。なお、一対の桁部111は、ウェブ同士が前後方向Xで対向するように配置している。
【0046】
一対の梁部112は、図3及び図4に示すように、車輪機構部113よりも幅方向Yの中央側で一対の桁部111を連結している。この一対の梁部112は、図3及び図4に示すように、所定方向に延びるH形鋼であって、下柱2の外形よりも大きい幅方向Yの間隔を隔てた位置で、長手方向が前後方向Xとなるように配置されている。
なお、一対の梁部112は、ウェブ同士が幅方向Yで対向するように配置している。
【0047】
車輪機構部113は、図3に示すように、幅方向Yに沿って並置されるとともに、前後方向Xを回転軸として回転可能な2つの車輪113aを備えている。
連結棒材114は、図3及び図4に示すように、所定方向に延びる鋼鉄製の丸棒材であって、幅方向Yにおける車輪機構部113の端部同士を前後方向Xに連結している。
【0048】
また、第1支柱部12及び第2支柱部13は、図3に示すように、下柱2の外形よりも大きい幅方向Yの間隔を隔てて、支持台座11の桁部111の上面に接合されている。この第1支柱部12と第2支柱部13とは、正面視において、幅方向Yに対して約10度の角度で傾斜した状態で、架台本体14を支持する上下方向の長さで形成されている。
【0049】
具体的には、一対の第1支柱部12は、図3に示すように、幅方向Yにおける桁部111の一端側(図3中の右側)において、梁部112と略同じ幅方向Yの位置に配置されている。この第1支柱部12は、図3に示すように、下柱2の上端よりも僅かに上方の位置に上端が位置する上下方向の長さに形成されている。
【0050】
また、一対の第2支柱部13は、図3に示すように、幅方向Yにおける桁部111の他端側(図3中の左側)において、梁部112と略同じ幅方向Yの位置に配置されている。この第2支柱部13は、図3に示すように、第1支柱部12よりも長い上下方向の長さに形成されている。
【0051】
また、架台本体14は、図3及び図4に示すように、第1支柱部12と第2支柱部13とに橋架された一対の橋架部141と、一対の橋架部141を前後方向Xに連結する一対の連結部142と、連結部142の上面に立設された複数の第1当接部143及び第2当接部144とで構成されている。
【0052】
具体的には、一対の橋架部141は、図3及び図4に示すように、所定方向へ延びるH形鋼であって、長手方向が幅方向Yとなるように配置されている。なお、一対の橋架部141は、ウェブ同士が前後方向Xで対向するように配置している。
【0053】
一対の連結部142は、図3に示すように、所定方向へ延びるH形鋼であって、下柱2の外形よりも大きい前後方向Xの間隔を隔てた位置で、一対の橋架部141を連結している。なお、一対の連結部142は、ウェブ同士が幅方向Yで対向するように配置している。
【0054】
より詳しくは、一対の連結部142は、図3及び図4に示すように、一方の連結部142が、第1支柱部12よりも第2支柱部13側で一対の橋架部141を連結し、他方の連結部142が第2支柱部13と略同じ位置で一対の橋架部141を連結している。
【0055】
また、複数の第1当接部143は、図3及び図4に示すように、第1支柱部12側の連結部142の上面に、前後方向Xに所定間隔を隔てて接合されている。
具体的には、第1当接部143は、図3及び図4に示すように、前後方向Xに厚みを有する板状であって、下方へ向けて正面視略半円状に凹設された切欠き部分143aを上端に有する形状に形成されている。この切欠き部分143aは、上柱1を建て起こすために上柱1に設けた第1被支持部21が当接する部分として形成されている。
【0056】
また、複数の第2当接部144は、図3及び図4に示すように、第2支柱部13側の連結部142の上面に、前後方向Xに所定間隔を隔てて接合されている。この第2当接部144は、下端部が第1当接部143に支持されるとともに、上端部が吊り上げられた上柱1を、第1当接部143よりも斜め上方の位置を中心に回動させる枢動部として設けられている。
【0057】
具体的には、第2当接部144は、図3及び図4に示すように、前後方向Xに厚みを有する板状であって、下方へ向けて正面視略半円状に凹設された切欠き部分144aを上端に有する形状に形成されている。この切欠き部分144aは、上柱1を建て起こすために上柱1に設けた第2被支持部22が当接する部分として形成されている。
【0058】
また、上柱1に設けた第1被支持部21及び第2被支持部22は、図5に示すように、所定方向へ延びる鋼鉄製の丸棒材であって、橋架部141の長手方向に沿った第1当接部143と第2当接部144との間隔に略同じ間隔を隔てて対向配置されている。
【0059】
具体的には、第1被支持部21は、図5に示すように、長手方向が略水平となるように上柱1を寝かせた状態において、上柱1の下方に配置されるとともに、下方へ突出する下側エレクションピース1aに装着部材24を介して固定されている。
この第1被支持部21は、図5(a)に示すように、軸方向が前後方向Xに一致するように配置されている。
【0060】
また、第2被支持部22は、図5に示すように、長手方向が略水平となるように上柱1を寝かせた状態において、上柱1の上方に配置されるとともに、上方へ突出する下側エレクションピース1aに装着部材24を介して固定されている。
この第2被支持部22は、図5(a)に示すように、軸方向が前後方向Xに一致するように配置されている。
【0061】
なお、装着部材24は、例えば図5に示すように、下側エレクションピース1aを挟持する板材であって、一端が下側エレクションピース1aに固定され、他端に第1被支持部21または第2被支持部22が接合されている。
【0062】
また、上柱1を下柱2に連結する一対のダンパー23は、例えば筒部及びピストンロッドからなる油圧ダンパーなどであって、建て起こしに伴って増大する下方成分の荷重を支持するとともに、上柱1の降下速度を抑えるために設けられている。
【0063】
この一対のダンパー23は、一方のダンパー23が上柱1の前面と下柱2の前面とを連結し、他方のダンパー23が上柱1の背面と下柱2の背面とを連結している。
具体的には、ダンパー23は、図6に示すように、上端(筒部)が上柱取付部材25を介して上柱1の下側エレクションピース1aに取付けられ、下端(ピストンロッド)が下柱取付部材26を介して下柱2の上側エレクションピース2aに取付けられている。
なお、ダンパー23の上端及び下端は、前後方向Xを回転軸として回動自在な状態で、それぞれ上柱取付部材25及び下柱取付部材26に連結されている。
【0064】
引き続き、上述した構成の建込み支援装置5を用いて、寝かせた状態の上柱1を建て起こして下柱2に連結する工程について、図7から図11を用いて説明する。
なお、図7は上柱1を支持架台10に載置する工程を正面視で説明する説明図を示し、図8は上端部の吊り上げを開始した上柱1の状態を正面視で説明する説明図を示している。
【0065】
さらに、図9は建て起こし過程における上柱1の状態を正面視で説明する説明図を示し、図10は起立した上柱1の状態を正面視で説明する説明図を示し、図11は上柱1を下柱2に接触させる工程を正面視で説明する説明図を示している。
【0066】
まず、作業者は、図2に示すように、チェーンブロックやクレーンを用いて吊り上げた支持架台10を、下柱2の上端部を跨ぐように床版4上に載置する。この際、作業者は、図4に示すように、支持台座11の平面視略中央に下柱2が位置するように位置を調整して、支持架台10を床版4に載置する。
【0067】
その後、作業者は、車輪113aに対する輪留めなどによって、支持架台10の移動を規制して、支持架台10の設置を完了する。
支持架台10が設置されると、作業者は、図2に示すように、クレーンなどの重機を用いて、予め第1被支持部21及び第2被支持部22が装着された上柱1を、寝かせた状態のまま、支持架台10から大きく離間しない高さまで吊り上げる。
【0068】
さらに、作業者は、図2に示すように、支持架台10の第1当接部143側に上柱1が位置するとともに、第1当接部143の上方に上柱1の第1被支持部21が位置するように、寝かせた状態の上柱1を水平移動させる。
【0069】
上柱1を水平移動させると、作業者は、図7に示すように、寝かせた状態の上柱1を降下させて、第1当接部143の切欠き部分143aに上柱1の第1被支持部21を載置して当接させる。
なお、上柱1の梁ブラケット1c近傍は、図2に示すように、予め床版4上に載置した適宜の治具6に支持されるものとする。
【0070】
その後、作業者は、図6に示すように、下柱2と上柱1とをダンパー23で連結するとともに、上柱1の上端部を吊り上げるためのワイヤーを、上柱1の上側エレクションピース1bに連結して、上柱1の吊り上げ準備を完了する。
【0071】
上柱1の吊り上げ準備が完了すると、作業者は、図8に示すように、クレーンなどの重機を用いて、上柱1の上端部の吊り上げを開始する。
上端部が吊り上げられると、上柱1は、図8に示すように、支持架台10の第1当接部143と上柱1の第1被支持部21との当接箇所を回転中心として、上端部が上方へ向かうように正面視反時計周りに回動開始する。
【0072】
この際、ダンパー23は、図6図8、及び図9に示すように、上柱1との連結箇所及び下柱2との連結箇所が上柱1の回動に追従して回動するとともに、上柱1の回動に追従して縮むことで、上柱1の起立に伴って増大する下方成分の荷重を吸収する。
【0073】
その後、上端部の吊り上げが進行すると、上柱1の第2被支持部22が、図9に示すように、支持架台10の第2当接部144に載置されるように当接する。
さらに上端部の吊り上げが進行すると、上柱1は、図9及び図10に示すように、第2当接部144と第2被支持部22との当接箇所を回転中心として、上柱1の上端部が幅方向Yへ向かうように正面視反時計周りに回動する。
【0074】
重機を操作する作業者は、第2当接部144と第2被支持部22との当接箇所を中心に回動する上柱1が起立するまで上端部を吊り上げたのち、上柱1の吊り上げを停止する。
この際、上柱1は、図10に示すように、下柱2に対して僅かに幅方向Yにオフセットした位置で、長手方向が略鉛直な起立状態となる。
【0075】
その後、作業者は、上柱1を吊り上げた状態において、上柱1及び下柱2からダンパー23を取外したのち、チェーンブロックなどを用いて支持架台10を床版4上から撤去する。
さらに、作業者は、図11に示すように、上柱1から第1被支持部21及び第2被支持部22を、装着部材24とともに取外したのち、重機を僅かに旋回して、上柱1を下柱2の直上に位置させる。
【0076】
上柱1を下柱2の直上に移動させると、作業者は、上柱1を降下させて下柱2の上端に当接させたのち、上柱1の下側エレクションピース1aと下柱2の上側エレクションピース1bとを適宜の部材を用いて連結する。
【0077】
その後、作業者は、下柱2と上柱1とを溶接によって接合して鉄骨柱3を構成する。
このように、実施例1の建込み支援装置5は、下柱2の上空において、寝かせた状態の上柱1の建て起こしを可能にして、上柱1の建込みを支援している。
【0078】
以上のように、実施例1における上柱1の建込み支援装置5は、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する装置である。
この上柱1の建込み支援装置5は、寝かせた状態における上柱1の下端部の下側に設けた第1被支持部21を当接によって支持する第1当接部143を備えたものである。
【0079】
さらに、上柱1の建込み支援装置5は、第1当接部143よりも斜め上方の位置に設けられ、下端部とは逆側の上端部が吊り上げられた上柱1を枢動させる枢動部(第2当接部144)を備えたものである。
そして、第1当接部143及び枢動部(第2当接部144)は、下柱2を挟んで配置されるとともに、下柱2に隣接する床版4に載置されるものである。
【0080】
また、実施例1における上柱1の建込み支援方法は、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する方法である。
この上柱1の建込み支援方法は、寝かせた状態における上柱1の下端部の下側に設けた第1被支持部21を、下柱2に隣接する床版4に載置された第1当接部143に当接させる工程を行うものである。
【0081】
さらに、上柱1の建込み支援方法は、下端部が第1当接部143に支持された上柱1の上端部を吊り上げて、第1当接部143との当接箇所を中心に上柱1を回動開始させる工程を行うものである。
【0082】
その後、上柱1の建込み支援方法は、下柱2を挟んで第1当接部143よりも斜め上方の位置に設けられるとともに、下柱2に隣接する床版4に載置された枢動部(第2当接部144)を中心に、上端部が吊り上げられた上柱1を回動させる工程を行うものである。
【0083】
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、下柱2の上方で上柱1を建て起こして、上柱1の建込みを支援することができる。
具体的には、上柱1の第1被支持部21が第1当接部143に支持されているため、上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、上柱1の上端部が吊り上げられた際、第1被支持部21と第1当接部143との当接箇所を回転中心として、上柱1を回動させることができる。
【0084】
さらに、第1当接部143よりも斜め上方に対向配置された枢動部(第2当接部144)により、上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、第1被支持部21と第1当接部143との当接箇所を中心に回動する上柱1を、枢動部(第2当接部144)を中心とした回動に移行させることができる。
【0085】
このため、上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、回動する上柱1の重心が回転中心を超えることがないため、起立直前の上柱1の振れを抑制することができる。
【0086】
このようにして上柱1を起立させる第1当接部143と枢動部(第2当接部144)とが下柱2を挟んで床版4に載置されているため、上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、上柱1の下端部を常に下柱2の上方に位置させながら、寝かせた状態の上柱1を建て起こすことができる。
【0087】
これにより、上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、起立した上柱1が下柱2に対して位置ズレした場合であっても、重機の旋回距離を小さくできるため、起立した上柱1の揺れ動きを抑制することができる。
【0088】
したがって、上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、下柱2の上方で上柱1を建て起こして、安全な上柱1の建込みを支援することができる。このため、上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、寝かせた状態で搬入された上柱1を、例えば線路閉鎖を行うことなく建て起こすことができる。
【0089】
また、枢動部は、第1被支持部21に対向して上柱1の下端部に設けられた第2被支持部22を当接によって支持する第2当接部144で構成されたものである。
【0090】
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置5は、第1当接部143との当接箇所を中心に回動する上柱1を、上柱1の上端部の吊り上げに伴って第2当接部144で支持することができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、第2当接部144との当接箇所を中心に上柱1を回動させることができる。
【0091】
さらに、上柱1の建込み支援装置5は、第1当接部143から第2当接部144への回転中心の移行を簡素な構成で実現できるため、重量増加を抑えることができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、線路上空に設けた床版4上であっても、上柱1の建込みを容易に行うことができる。
【0092】
また、第1当接部143と第2当接部144とが、下柱2を跨いで連結されたものである。
この構成によれば、上柱1の回動中心が第1当接部143との当接箇所から第2当接部144との当接箇所に移行する際、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の重量によって第2当接部144が第1当接部143から離間するように移動することを防止できる。
【0093】
これにより、上柱1の建込み支援装置5は、第1当接部143を中心に回動する上柱1の第2被支持部22を、第2当接部144に確実に当接させることができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の建て起こしをより安全に支援することができる。
【0094】
さらに、上柱1の建込み支援装置5は、第1当接部143と第2当接部144とが連結されていない場合に比べて、第1当接部143及び第2当接部144の設置と撤去とを容易にすることができるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0095】
また、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の降下速度を低減するダンパー23を備えたものである。
この構成によれば、下柱2を上柱1に載置する際の降下速度を緩やかにできるため、上柱1の建込み支援装置5は、吊り上げた上柱1を降下させて下柱2に当接させる際、上柱1が下柱2に勢いよく衝突することを防止できる。
【0096】
さらに、万一上柱1が揺れ動いた場合であっても、ダンパー23によって揺れ動きを軽減できるため、上柱1の建込み支援装置5は、例えば上柱1との接触による床版4の損傷を防止することができる。
これにより、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の建込みにおける安全性の向上を図ることができる。
【実施例0097】
上述した実施例1の建込み支援装置5に対して、支持架台の構成が異なる実施例2の建込み支援装置5について図12及び図13を用いて説明する。
なお、図12は実施例2における支持架台30の正面図を示している。
【0098】
さらに、図13は実施例2における支持架台30の動作を説明する説明図であり、図13(a)は油圧ジャッキ31が下がった状態の正面図を示し、図13(b)は油圧ジャッキ31が上がった状態の正面図を示している。
また、実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0099】
実施例2の支持架台30は、図12に示すように、床版4上に載置される支持台座11と、支持台座11に対して傾斜した状態で支持台座11の上方に配置された架台本体14とを備えている。
【0100】
そして、実施例2の支持架台30は、図12に示すように、架台本体14を支持する一対の油圧ジャッキ31と一対の支柱部32と、架台本体14の橋架部141を支柱部32に回転自在に連結する枢動部33とを備えている。
なお、実施例2の架台本体14は、図12に示すように、実施例1の第2当接部144が設けられていない。
【0101】
詳述すると、油圧ジャッキ31は、図12に示すように、実施例1の第1支柱部12に代わって支持台座11の上面に固定され、その上端が架台本体14の下面に設けたガイドレール部14aに連結されている。なお、ガイドレール部14aは、橋架部141の長手方向に沿って長い長楕円形状の開口孔を有する板状に形成されている。
【0102】
この油圧ジャッキ31は、図12に示すように、最も縮んだ状態における上下方向の長さが、実施例1の第1支柱部12に略同じとなるように構成されている。さらに、油圧ジャッキ31は、例えば支持架台30とは別体で設けた油圧ポンプによって上下方向へ伸縮し、連結された架台本体14を下方から上方へ押圧可能に構成されている。
【0103】
また、支柱部32は、図12に示すように、実施例1の第2支柱部13に代わって支持台座11の上面に固定されている。この支柱部32は、傾斜した状態の架台本体14を下方から支持する上下方向の長さで形成されている。
また、枢動部33は、図12に示すように、支柱部32の上端において、前後方向Xを回転中心として架台本体14を回転可能に連結している。この枢動部33は、例えば支柱部32の上端と、架台本体14の橋架部141の下面に設けたフランジとを軸体で連結して構成している。
【0104】
引き続き、上述した構成の建込み支援装置5を用いて、寝かせた状態の上柱1を建て起こして下柱2に連結する工程について説明する。
なお、実施例2では、第1被支持部21のみが装着部材24を介して上柱1に装着されている。
【0105】
まず、作業者は、実施例1と同様に、クレーンなどの重機を用いて寝かせた状態の上柱1の第1被支持部21を、下柱2に跨って配置された支持架台30の第1当接部143に載置する。
【0106】
その後、重機によって上柱1の上端部が吊り上げられると、上柱1は、図13(a)に示すように、第1当接部143と第1被支持部21との当接箇所を回転中心として、上端部が上方へ向かうように正面視反時計周りに回動開始する。
【0107】
幅方向Yに対して上柱1の長手方向が傾斜した状態まで上柱1の上端部が吊り上げられると、作業者は、油圧ジャッキ31を作動させて、橋架部141を介して第1当接部143を上方へ押し上げる。
【0108】
この際、支持架台30は、図13(a)及び図13(b)に示すように、枢動部33を回転中心として、第1当接部143が上方へ向かうように正面視反時計周りに回動する。このため、上柱1は、上端部の吊り上げに伴って第1当接部143との当接箇所を中心に回動するとともに、枢動部33を中心に回動しながら建て起こされる。
【0109】
そして、下柱2に対して僅かに幅方向Yにオフセットした位置で、長手方向が略鉛直な起立状態になるまで上柱1を吊り上げると、作業者は、実施例1と同様にして、下柱2の上端に上柱1の下端を接合して鉄骨柱3を構成する。
【0110】
以上のように、実施例2における上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、第1当接部143と枢動部33とが、下柱2を挟んで対向配置されるとともに、下柱2に隣接する床版4に載置されているため、上述した実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0111】
また、枢動部33は、第1当接部143が連結された一端側から斜め上方へ延びる橋架部141と、橋架部141の他端側を支持する支柱部32とを枢動可能に連結する構成である。さらに、上柱1の建込み支援装置5は、橋架部141の一端側を上方へ押圧する油圧ジャッキ31を備えたものである。
【0112】
この構成によれば、橋架部141の一端側を上方へ押圧する油圧ジャッキ31により、上柱1の建込み支援装置5は、枢動部33を中心に上柱1を回動させることができる。
【0113】
この際、上柱1の建込み支援装置5は、第1当接部143との当接箇所を中心とする上柱1の回動と、枢動部33を中心とする上柱1の回動とを同時に行わせることができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の建て起こしを効率よく支援することができる。
【0114】
さらに、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の下端部が第1当接部143によって支持されるため、枢動部33を中心とした回動に伴う上柱1の揺れ動きを抑えることができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1のより安全な建て起こしを支援することができる。
【実施例0115】
上述した実施例1の建込み支援装置5に対して、支持架台の構成が異なる実施例3の建込み支援装置5について図14を用いて説明する。
なお、図14は実施例3における支持架台40の概略を説明する説明図であり、図14(a)は支持架台40の正面図を示し、図14(b)は支持架台40の平面図を示している。
また、実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0116】
実施例3の支持架台40は、図14(a)及び図14(b)に示すように、支持台座11と、支持台座11の上方に配置されるとともに、第1支柱部12及び第2支柱部13に支持された架台本体14とを備えている。
さらに、実施例3の支持架台40は、図14に示すように、上下方向を回転軸として回転可能な回転台座部41を支持台座11の上面に備えている。
【0117】
この回転台座部41は、図14(a)及び図14(b)に示すように、平面視略円環状であって、支持台座11に固定される台座下部41aと、第1支柱部12及び第2支柱部13が固定される台座上部41bとを上下方向に重ね合わせて構成されている。
【0118】
さらに、回転台座部41は、台座上部41bと台座下部41aとが、上下方向を回転軸として相対回転可能に構成されている。なお、回転台座部41は、台座上部41bと台座下部41aとが相対回転可能な状態と、相対回転不可の状態とに切り替える適宜の切替え手段を備えているものとする。
【0119】
引き続き、上述した構成の建込み支援装置5を用いて、寝かせた状態の上柱1を建て起こして下柱2に連結する工程について簡単に説明する。
ここで一例として、支持架台40は、第1当接部143の並置方向が下柱2の外側面に略平行でない状態で、床版4に載置されているものとする。
【0120】
まず、作業者は、実施例1と同様に、クレーンなどの重機を用いて寝かせた状態の上柱1の第1被支持部21を、下柱2に跨って配置された支持架台40の第1当接部143に載置する。
【0121】
その後、重機によって上柱1の上端部が吊り上げられると、上柱1は、実施例1と同様に、第1被支持部21と第1当接部143との当接箇所を中心に正面視反時計周りに回動したのち、第2被支持部22と第2当接部144との当接箇所を中心に正面視反時計回りに回動して建て起こされる。
【0122】
そして、第2被支持部22と第2当接部144とが当接した状態において、上柱1の長手方向が略鉛直な起立状態になると、作業者は、回転台座部41を回転させることで、上下方向を回転中心とした回転方向における上柱1の向きを調整して、下柱2に一致させる。
その後、作業者は、実施例1と同様にして、下柱2の上端に上柱1の下端を接合して鉄骨柱3を構成する。
【0123】
以上のように、実施例3における上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、第1当接部143及び第2当接部144が、下柱2を挟んで対向配置されるとともに、下柱2に隣接する床版4に載置されているため、上述の実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0124】
さらに、下柱2を中心に第1当接部143と第2当接部144とを水平方向へ一体回転させる回転台座部41を備えているため、上柱1の建込み支援装置5は、起立した上柱1を、上下方向を回転中心として、下柱2の直上で回転させることができる。
【0125】
このため、上柱1の建込み支援装置5は、上下方向を回転中心とした回転方向における上柱1の向きを容易に下柱2に一致させることができる。この際、第1当接部143または枢動部が上柱1を支持するため、上柱1の建込み支援装置5は、上下方向を回転中心とした回動による上柱1の揺れ動きを抑えることができる。
【0126】
加えて、上柱1の建込み支援装置5は、寝かせた状態の上柱1を、上下方向を回転中心として回転させる場合に比べて、狭いスペースで上柱1を回転させることができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、下柱2の上方での上柱1の建て起こしをさらに容易にすることができる。
【実施例0127】
上述した実施例1の建込み支援装置5に対して、床版4上への支持架台の設置と床版4からの支持架台の撤去とを容易にした実施例4の建込み支援装置5について図15及び図16を用いて説明する。
なお、図15は実施例4における支持架台50の概略を説明する説明図であり、図15(a)は支持架台50の正面図を示し、図15(b)は支持架台50の平面図を示している。
さらに、図16は実施例4における支持架台50の動作を説明する説明図を示している。
【0128】
また、実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
なお、幅方向Yのうち、図15(a)中の右側へ向かう方向を幅方向Yの一方側として、図15(a)中の左側へ向かう方向を幅方向Yの他方側として説明する。
【0129】
まず、実施例4の上柱1には、図15に示すように、下側エレクションピース1aが、下端部の外側面にそれぞれ2つずつ接合されている。
同様に、実施例4の下柱2には、図15に示すように、上側エレクションピース2aが、下端部の外側面にそれぞれ2つずつ接合されている。
【0130】
また、実施例4における建込み支援装置5は、上柱1に装着された第1被支持部21及び第2被支持部22と、下柱2に跨って床版4上に載置される支持架台50とを備えている。
なお、第1被支持部21及び第2被支持部22は、実施例1と同様に、前後方向Xに延びる丸棒材であって、下側エレクションピース1aに装着部材27を介して固定されている。
【0131】
また、支持架台50は、図15及び図16に示すように、所定方向に延びる複数のH形鋼を組み合わせて平面視井桁状に構成されるとともに、前後方向Xに延びるH形鋼を回動させることで、少なくとも幅方向Yの一方側が開閉可能な支持架台である。
【0132】
この支持架台50は、図15(a)及び図15(b)に示すように、前後方向Xに所定間隔を隔てて幅方向Yに延びる一対の下段桁部51、一対の中段桁部52、及び一対の上段桁部53と、幅方向Yに所定間隔を隔てて前後方向Xに延びる一対の下段梁部54及び一対の上段梁部55とを備えている。
【0133】
さらに、支持架台50は、図15(a)及び図15(b)に示すように、下段桁部51と中段桁部52とを上下方向に連結する複数の連結板部56と、上段梁部55の上面に立設された複数の第1当接部143及び第2当接部144とを備えている。
具体的には、一対の下段桁部51は、図15(a)に示すように、長手方向が幅方向Yとなるように配置され、その幅方向Yの両端における下面に車輪機構部113が固定されている。
【0134】
また、一対の中段桁部52は、図15(a)に示すように、下段桁部51に対して所定間隔を隔てた上方の位置で、長手方向が幅方向Yとなるように配置されている。なお、中段桁部52は、長手方向の長さが下段桁部51よりも僅かに短い長さに形成されている。
【0135】
さらに、中段桁部52の上側のフランジには、図15(b)に示すように、幅方向Yの一方側の端部に、前後方向Xへ突出した平板(符号省略)が接合されている。この中段桁部52の平板のうち、他方の中段桁部52から離間する方向へ突出した平板には、幅方向Yに所定間隔を隔てた二つの貫通孔52a(図15及び図16参照)が開口形成されている。
【0136】
一方、中段桁部52の平板のうち、他方の中段桁部52へ向けて突出した平板には、図15(b)に示すように、二つの貫通孔52aと略同じ幅方向Yの範囲に、幅方向Yに延びる略長楕円形状のスライド孔52bが開口形成されている。
【0137】
また、一対の上段桁部53は、図15(a)に示すように、幅方向Yの他方側における中段桁部52の上面に、長手方向が幅方向Yとなるように配置されている。なお、上段桁部53は、下柱2よりも幅方向Yの他方側の位置から中段桁部52の縁端に至る幅方向Yの長さに形成されている。
【0138】
さらに、上段桁部53の上側のフランジには、図15(b)に示すように、前後方向Xへ突出した平板(符号省略)が接合されている。この上段桁部53の平板のうち、他方の上段桁部53から離間する方向へ突出した平板には、幅方向Yに所定間隔を隔てた二つの貫通孔53aが開口形成されている。
【0139】
一方、上段桁部53の平板のうち、他方の上段桁部53へ向けて突出した平板には、図15(b)に示すように、二つの貫通孔と略同じ幅方向Yの範囲に、幅方向Yに延びる略長楕円形状のスライド孔53bが開口形成されている。
【0140】
また、一対の下段梁部54は、図15(a)及び図15(b)に示すように、下段桁部51の上面と中段桁部52の下面との間において、長手方向が前後方向Xとなるように配置されている。なお、一対の下段梁部54は、幅方向Yにおける中段桁部52の端部に配置されている。
この下段梁部54は、図15(b)に示すように、下段桁部51の上側のフランジ、及び中段桁部52の下側のフランジに対して、それぞれ4つのボルト57を用いて締結固定されている。
【0141】
また、一対の上段梁部55は、図15(a)及び図15(b)に示すように、長手方向が前後方向Xとなるように、一方の上段梁部55が中段桁部52の上面に載置され、他方の上段梁部55が上段桁部53の上面に載置されている。
【0142】
この上段梁部55には、図15(b)に示すように、前後方向Xの両端下面に、中段桁部52の上面及び上段桁部53の上面に当接する平板状の取付板(符号省略)が接合されている。なお、取付板における幅方向Yの端部には、ボルト58が挿通する挿通孔(符号省略)が、前後方向Xに所定間隔を隔てて開口形成されている。
【0143】
この上段梁部55のうち、中段桁部52に載置された上段梁部55は、図15(b)に示すように、幅方向Yの他方側に位置する貫通孔52a及びスライド孔52bの幅方向Yの他方側端部に、ボルト58を用いて取付板が締結固定されている。
【0144】
一方、上段桁部53に載置された上段梁部55は、図15(b)に示すように、幅方向Yの一方側に位置する貫通孔53a及びスライド孔53bの幅方向Yの一方側端部に、ボルト58を用いて取付板が締結固定されている。
また、複数の連結板部56は、図15(a)に示すように、下段梁部54よりも幅方向Yの内側(下柱2側)において、下段桁部51の上面と中段桁部52の下面とを上下方向に連結している。
【0145】
第1当接部143は、図15に示すように、中段桁部52に載置された上段梁部55の上面に前後方向Xに沿って複数立設されている。
一方、第2当接部144は、図15に示すように、上段桁部53に載置された上段梁部55の上面に前後方向Xに沿って複数立設されている。
【0146】
このような支持架台50を備えた実施例4の建込み支援装置5は、実施例1と同様に、支持架台50が下柱2に跨って床版4上に載置されるとともに、実施例1と同様の工程を経て、寝かせた状態の上柱1を建て起こし支援する。
【0147】
さらに、実施例4の建込み支援装置5は、支持架台50が床版4上を幅方向Yに走行しながら移動することで、床版4上への支持架台50の設置と、床版4上からの支持架台50の撤去とを可能にしている。この際、作業者が、幅方向Yの一方側の下段梁部54及び上段梁部55を回動させることで、下柱2に跨って載置される支持架台50の移動を可能にしている。
【0148】
詳述すると、まず作業者は、図16に示すように、幅方向Yの一方側に配置した下段梁部54を回動可能な状態にする。具体的には、作業者は、下段梁部54における前後方向Xの一方側(図16中の下側)を固定するボルト57を全て取外す。
【0149】
さらに、作業者は、図16に示すように、下段梁部54における前後方向Xの他方側(図16中の上側)を固定するボルト57のうち、最も幅方向Yの外側、かつ最も前後方向Xの他方側に位置するボルト57を緩め、それ以外のボルト57を取り外す。
【0150】
次に、作業者は、図16に示すように、幅方向Yの一方側、すなわち中段桁部52の上面に載置した上段梁部55を回動可能な状態にする。具体的には、作業者は、上段梁部55を固定するボルト58のうち、貫通孔52aに締結したボルト58を取り外し、スライド孔52bに締結したボルト58を緩める。
【0151】
その後、作業者は、図16に示すように、上段梁部55をスライド孔52bに沿って幅方向Yの一方側へ移動させる。
この際、作業者は、二つの貫通孔52aのうち、最も幅方向Yの一方側に位置する貫通孔52aに、上段梁部55の取付板に設けた挿通孔が一致するようにスライド移動させる。
【0152】
上段梁部55をスライド移動させると、作業者は、図16に示すように、前後方向Xの一方側に位置する上段梁部55の取付板を、ボルト58を用いて、最も幅方向Yの一方側に位置する貫通孔52aに連結したのち、スライド孔52bに挿通されているボルト58を全て取り外す。この際、作業者は、貫通孔52aのボルト58を緩めた状態で取り付ける。
【0153】
その後、作業者、図16に示すように、ボルト57を中心にして、下段梁部54を幅方向Yの一方側へ向けて回動させるとともに、ボルト58を中心にして、上段梁部55を幅方向Yの一方側へ向けて回動させることで、支持架台50の幅方向Yの一方側を開口させる。
支持架台50の幅方向Yの一方側を開口させると、作業者は、床版4上に載置した支持架台50を幅方向Yへ向けて移動させる。
【0154】
このようにして、実施例4の建込み支援装置5は、下柱2の上空において、寝かせた状態の上柱1の建て起こしを可能にして、上柱1の建込みを支援するとともに、床版4上への支持架台50の設置と、床版4からの支持架台50の撤去とを容易にしている。
【0155】
以上のように、実施例4における上柱1の建込み支援装置5及び上柱1の建込み支援方法は、第1当接部143と第2当接部144とが、下柱2を挟んで対向配置されるとともに、下柱2に隣接する床版4に載置されているため、上述した実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0156】
さらに、支持架台50が床版4上を幅方向Yへ移動できるため、上柱1の建込み支援装置5は、チェーンブロックなどを用いて設置及び撤去される支持架台に比べて、床版4上への支持架台50の設置と、床版4からの支持架台50の撤去とを容易にすることができる。
【0157】
加えて、例えば実施例1のように上柱1と下柱2とがダンパーで連結されている場合、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1と下柱2とをダンパーで連結した状態で、支持架台50を撤去することができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、吊り上げた上柱1を下柱2に当接させる際、上柱1が下柱2に勢いよく衝突することを、ダンパーによってより確実に防止することができる。
【0158】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の被支持部は、実施形態の第1被支持部21に対応し、
以下同様に、
当接部は、第1当接部143に対応し、
枢動部は、第2当接部144及び枢動部33に対応し、
床面は、床版4に対応し、
押圧機構部は、油圧ジャッキ31に対応し、
回転機構部は、回転台座部41に対応し、
減衰機構部は、ダンパー23に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0159】
例えば、上述した実施例1から実施例4において、上柱1及び下柱2を筒状の鉄骨としたが、これに限定せず、H形鋼の鉄骨などであってもよい。
また、上述した実施例1から実施例4において、床版4を貫通する下柱2としたが、これに限定せず、基礎に設けた鉄骨柱の基部を下柱としてもよい。
【0160】
また、実施例1から実施例4において、支持架台10,30,40,50は、上述した構成に限定しない。例えば、支持架台は、前後方向Xを回転中心として、第1当接部143に回動自在に支持されるとともに、第1当接部143に載置された上柱1の第1被支持部21に対して上方から係止されるフック部材を備えてもよい。
このフック部材は、例えば先端が略鉤爪状に形成され、幅方向Yで第1被支持部21の周面に接触するよう形成されている。
【0161】
なお、フック部材は、作業者が手動で回動させる、あるいは作業者の操作によって動作するアクチュエータで回動することで、第1被支持部21に係止される。
そして、フック部材は、上柱1の第2被支持部22が支持架台の第2当接部144に載置された際、作業者またはアクチュエータなどによって、第1被支持部21への係止が解除される。
【0162】
この構成によれば、建込み支援装置5は、第1当接部143に載置された第1被支持部21が幅方向Yへ移動することをフック部材によって規制することができる。これにより、建込み支援装置5は、寝かせた状態の上柱1を建て起こす際、上柱1が支持架台から離脱することを防止できるため、上柱1のより安全な建て起こしを支援することができる。
【0163】
また、上述の実施例1において、第1被支持部21及び第2被支持部22を、装着部材24を介して上柱1の下側エレクションピース1aに固定したが、これに限定せず、第1被支持部21及び第2被支持部22を下側エレクションピース1aに設けた貫通孔に挿通してよい。
【0164】
また、実施例1において、第1被支持部21及び第2被支持部22を鋼鉄製の丸棒材としたが、これに限定せず、支持架台10の第1当接部143及び第2当接部144に当接よって支持される形状であれば、適宜の形状の第1被支持部及び第2被支持部であってもよい。
あるいは、上柱1の適宜の部位を第1被支持部及び第2被支持部としてもよい。この場合、第1当接部及び第2当接部を、上柱1の適宜の部位を当接によって支持可能な適宜の形状に形成する。
【0165】
また、実施例1において、ダンパー23の下端を下柱2に連結したが、これに限定せず、ダンパー23の下端を支持架台10に連結してもよい。
また、上柱1の降下速度を低減する手段としてダンパー23を設けた構成としたが、これに限定せず、上柱1の降下速度を低減できる手段であれば、適宜の構成であってもよい。なお、実施例2、実施例3、及び実施例4においてもダンパー23を設けてもよい。
【0166】
また、実施例2において、第2当接部を設けていない支持架台30としたが、これに限定せず、実施例1と同様に第2当接部を設けてもよい。この場合、上柱1には、第2被支持部22を装着する。
【0167】
また、実施例3において、起立させた上柱1を、回転台座部41によって上下方向を中心に回動させたが、これに限定せず、回転台座部41によって上下方向を中心に回動させながら、第1当接部143または第2当接部144との当接箇所を中心に上柱1を回動させてもよい。
この場合であっても、上述の実施例3と同様の効果を奏することができる。
【0168】
また、実施例4において、下段梁部54及び上段梁部55が回動可能な支持架台50としたが、これに限定せず、床版4上を走行して設置と撤去とが可能な支持架台であれば適宜の構成であってもよい。
例えば幅方向Yの一方が開口した平面視略U字状に構成された支持架台、あるいは前後方向Xに延びる部材(実施例1の一方の梁部112、連結棒材114、及び連結部142、実施例4の下段梁部54及び上段梁部55)が着脱自在な支持架台であってもよい。もしくは、幅方向Yの略中央で分離可能な支持架台であってもよい。
【0169】
また、実施例4において、幅方向Yの一方側の下段梁部54及び上段梁部55を作業者が回動させたが、これに限定せず、幅方向Yの他方側の下段梁部54及び上段梁部55を回動させてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1…上柱
2…下柱
4…床版
5…建込み支援装置
21…第1被支持部
22…第2被支持部
23…ダンパー
31…油圧ジャッキ
32…支柱部
33…枢動部
41…回転台座部
141…橋架部
143…第1当接部
144…第2当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16