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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125055
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】上柱の建込み支援装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028965
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】林 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】尻無濱 昭三
(72)【発明者】
【氏名】坂井 誠
(72)【発明者】
【氏名】野畑 茂雄
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174DA08
2E174DA12
2E174DA31
(57)【要約】
【課題】下柱2の上方で上柱1を建て起こして、上柱1の建込みを支援できる上柱1の建込み支援装置5を提供することを目的とする。
【解決手段】長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する上柱1の建込み支援装置5であって、下柱2の上端部に取付けられた下柱側基部12と、寝かせた状態における上柱1の下端部の下側に取付けられた上柱側基部11と、水平方向を回転軸として、下柱側基部12と上柱側基部11とを枢動可能に連結する枢動部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱の建込みを支援する上柱の建込み支援装置であって、
下柱の上端部に取付けられた下柱側基部と、
寝かせた状態における前記上柱の下端部の下側に取付けられた上柱側基部と、
水平方向を回転軸として、前記下柱側基部と前記上柱側基部とを枢動可能に連結する枢動部とを備えた
上柱の建込み支援装置。
【請求項2】
前記枢動部は、
前記下柱のエレクションピースと前記上柱のエレクションピースとを枢動可能に連結する連結アームで構成された
請求項1に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項3】
前記下柱に取り付けられるとともに、前記下柱の直上へ前記上柱を案内するガイド部材を備えた
請求項2に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、
前記上柱が摺動する摺動面に低摩擦係数の滑り部材を備えた
請求項3に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、
前記下柱の前記エレクションピースに取付けられた
請求項3または請求項4に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項6】
前記枢動部を第1枢動部とし、
上下方向を回転軸に前記下柱側基部と前記上柱側基部とを枢動可能に連結する第2枢動部を備えた
請求項1に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項7】
前記第2枢動部は、
上下方向に延びる軸体と、
上下方向に延びるとともに、前記軸体が挿通される筒体とで構成され、
該筒体は、
径方向中心をとおる縦断面で二分割されるとともに、上下方向を回転軸として開閉可能に構成された
請求項6に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項8】
前記下柱側基部及び前記上柱側基部は、それぞれ下柱及び上柱を挟持する構成である
請求項6また請求項7に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項9】
前記下柱側基部と床面とに亘って配設されるとともに、前記下柱側基部を下方から支持する支柱部材を備えた
請求項8に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項10】
前記下柱側基部及び前記上柱側基部が、それぞれ下柱のエレクションピース及び上柱のエレクションピースで構成された
請求項6または請求項7に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項11】
前記上柱側基部に対向して前記上柱に一端が取付けられたワイヤーと、
前記ワイヤーを巻き取る巻取り機と、
前記下柱側基部に対向する前記下柱の外側面に沿って配置されるとともに、前記ワイヤーの巻取りを案内するガイドローラーとを備えた
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項12】
寝かせた状態の前記上柱の前記下端部を下方から支持するジャッキを備えた
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項13】
前記上柱が転倒することを伸長によって抑止する転倒抑止機構部を備えた
請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項14】
前記転倒抑止機構部は、
前記上柱側基部が設けられた前記上柱の面に一端が枢動自在に連結され、伸縮した状態を維持可能な伸縮部材と、
寝かせた状態の前記上柱の下方に位置する床面に載置され、前記伸縮部材の他端が枢動自在に係止される係止部材とで構成され、
該係止部材は、
前記上柱の上端部の吊り上げに伴って、前記伸縮部材の他端が前記下柱に向かう前記長手方向へ移動可能に構成された
請求項13に記載の上柱の建込み支援装置。
【請求項15】
前記転倒抑止機構部は、
前記上柱側基部に対向して前記上柱にピストンロッドが枢動自在に連結された第1オイルダンパーと、
床面にピストンロッドが枢動自在に連結された第2オイルダンパーと、
前記第1オイルダンパーのシリンダと前記第2オイルダンパーのシリンダとを枢動不可の状態で連結する連結部で構成され、
前記第1オイルダンパー及び前記第2オイルダンパーは、
それぞれピストンロッドに引張荷重が作用した際、シリンダの内部を流動する作動油の流量を制限する構成である
請求項13に記載の上柱の建込み支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば寝かせた状態で搬入された上柱の建込みを支援するような上柱の建込み支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば線路の上空に駅舎などの建築物を建設する場合、線路の上空に設けた床版を貫通する下柱に上柱を連結して、建築物の柱を組み立てることがある。
この際、建設現場では、長尺形状の上柱を長手方向が略水平となるように寝かせた状態で予め床版上に搬入し、電車の運行が行われていない夜間などに上柱を下柱に組付けている。このため、建設現場では、寝かせた状態の上柱を床版上で建て起こす必要があった。
【0003】
このような上柱の建て起こしを支援する技術として、例えば特許文献1には、車輪を設けた柱受台を上柱の下端側に連結し、上柱の上端側の吊り上げに伴って、柱受台が床版上を走行することで、寝かせた状態の上柱の建て起こしを支援することが開示されている。
【0004】
ところで、特許文献1は、上柱の上端側の吊り上げに伴って柱受台が走行するため、下柱の上方で上柱の建て起こしを行うことができない。このため、特許文献1では、上柱を吊り上げて起立させたのち、重機を旋回して上柱を下柱の上方へ移動させる必要がある。
【0005】
しかしながら、起立させた上柱を下柱の上方へ移動させる際、重機の旋回に伴って上柱が大きく揺れ動くおそれがあり、安全性の観点から好ましくないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-139702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、下柱の上方で上柱を建て起こして、上柱の建込みを支援できる上柱の建込み支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱の建込みを支援する上柱の建込み支援装置であって、下柱の上端部に取付けられた下柱側基部と、寝かせた状態における前記上柱の下端部の下側に取付けられた上柱側基部と、水平方向を回転軸として、前記下柱側基部と前記上柱側基部とを枢動可能に連結する枢動部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記上柱の下端部とは、寝かせた状態における上柱の長手方向の一端部であって、上柱を建て起こした状態における下端側となる部位のことをいう。
この発明によれば、上柱の建込み支援装置は、下柱の上方で上柱を建て起こして、上柱の建込みを支援することができる。
【0010】
具体的には、上柱が枢動部を介して下柱に連結されるため、上柱の建込み支援装置は、寝かせた状態における上柱の上端部が吊り上げられた際、水平方向を中心に上柱を回動させることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、寝かせた状態の上柱を、下柱の直上で起立させることができる。
【0011】
この際、上柱が下柱に常に連結されているため、上柱の建込み支援装置は、上端部の吊り上げに伴う上柱の揺れ動きを抑えることができる。
さらに、上柱が下柱に連結されているため、上柱の建込み支援装置は、上端部の吊り上げ過程において、例えば上柱の下端部が落下して下柱や床面に衝突することを防止できる。
【0012】
これにより、上柱の建込み支援装置は、下柱の上方で上柱を安全に建て起こして、上柱の建込みを支援することができる。このため、上柱の建込み支援装置は、寝かせた状態で搬入された上柱を、例えば夜間に限らず建て起こすことができる。
【0013】
この発明の態様として、前記枢動部は、前記下柱のエレクションピースと前記上柱のエレクションピースとを枢動可能に連結する連結アームで構成されてもよい。
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、下柱側基部及び上柱側基部を別途設けることなく、下柱と上柱とを連結アームで連結することができる。
【0014】
さらに、上柱の建込み支援装置は、連結アームを着脱するだけで、下柱と上柱との連結、及び連結の解除が行えるため、作業性の向上を図ることができる。
【0015】
これにより、上柱の建込み支援装置は、作業性を損なうことなく、下柱と上柱とを簡素な構成で枢動可能に連結することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記下柱に取り付けられるとともに、前記下柱の直上へ前記上柱を案内するガイド部材を備えてもよい。
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、水平方向を中心に回動する上柱を、下柱の直上へ向けて確実に案内することができる。このため、上柱の建込み支援装置は、上柱を確実、かつ効率よく建て起こすことができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記ガイド部材は、前記上柱が摺動する摺動面に低摩擦係数の滑り部材を備えてもよい。
この構成によれば、ガイド部材は、上柱を下柱の直上へよりスムーズに案内することができる。
【0018】
これにより、上柱の建込み支援装置は、上柱の回動が阻害されることによる意図しない不具合、あるいはガイド部材との摺動による上柱の傷付きを防止することができる。このため、上柱の建込み支援装置は、上柱の安全な建て起こしをより確実に支援することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記ガイド部材は、前記下柱の前記エレクションピースに取付けられてもよい。
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、ガイド部材を取付けるための部位を、下柱に別途設けることを不要にできる。
【0020】
さらに、上柱の建込み支援装置は、下柱のエレクションピースと連結アームとの連結箇所に対するガイド部材の位置ズレを抑えることができる。
これにより、上柱の建込み支援装置は、上柱の回動軌跡をより安定させることができるため、上柱を下柱の直上へさらに確実に案内することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記枢動部を第1枢動部とし、上下方向を回転軸に前記下柱側基部と前記上柱側基部とを枢動可能に連結する第2枢動部を備えてもよい。
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、第2枢動部を中心に上柱を水平方向へ回動させながら、上柱を建て起こすことができる。
【0022】
あるいは、上柱の建込み支援装置は、起立した上柱を、第2枢動部を中心に水平方向へ回転させて、下柱の直上に位置させることができる。
このため、上柱の建込み支援装置は、上下方向を回転中心とした回転方向における上柱の向きを容易に下柱に一致させることができる。
【0023】
これにより、上柱の建込み支援装置は、上柱が起立した際、上柱の向きが下柱の向きに一致するように、寝かせた状態の上柱を下柱の向きに応じて予め回転させておくことを不要にできる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記第2枢動部は、上下方向に延びる軸体と、上下方向に延びるとともに、前記軸体が挿通される筒体とで構成され、該筒体は、径方向中心をとおる縦断面で二分割されるとともに、上下方向を回転軸として開閉可能に構成されてもよい。
【0025】
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、軸体を水平方向から筒体に挿通することができる。このため、上柱の建込み支援装置は、予め下柱側基部を取付けた下柱に、上柱側基部及び第1枢動部を取付けた上柱を容易に連結することができる。
【0026】
この際、上柱の建込み支援装置は、軸体を上下方向から筒体に挿通する場合に比べて、寝かせた状態の上柱を吊り上げる高さを抑えることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、下柱と上柱とを安全に連結することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記下柱側基部及び前記上柱側基部は、それぞれ下柱及び上柱を挟持する構成であってもよい。
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、例えばエレクションピースが設けられていない下柱の外側面及び上柱の外側面に、下柱側基部及び上柱側基部を取付けることができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記下柱側基部と床面とに亘って配設されるとともに、前記下柱側基部を下方から支持する支柱部材を備えてもよい。
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、下柱を挟持する下柱側基部が、上柱の重量によって下方へ位置ズレすることを支柱部材によって阻止することができる。
【0029】
これにより、上柱の建込み支援装置は、上下方向における第1枢動部の位置が安定するため、第1枢動部を中心に回動する上柱の回動軌跡をさらに安定させることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、より確実に下柱の直上へ上柱を建て起こすことができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記下柱側基部及び前記上柱側基部が、それぞれ下柱のエレクションピース及び上柱のエレクションピースで構成されてもよい。
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、例えば下柱側基部及び上柱側基部をそれぞれ下柱及び上柱に締結して装着することを不要にできる。あるいは、上柱の建込み支援装置は、エレクションピースとは別体の下柱側基部及び上柱側基部を、下柱及び上柱に一体的に設けることを不要にできる。
【0031】
さらに、上柱の建込み支援装置は、下柱側基部及び上柱側基部の取外しと、エレクションピースの取外しとを同時に行うことができる。
これにより、上柱の建込み支援装置は、作業効率の向上を図るとともに、上柱の建て起こしを簡素な構成で支援することができる。
【0032】
またこの発明の態様として、前記上柱側基部に対向して前記上柱に一端が取付けられたワイヤーと、前記ワイヤーを巻き取る巻取り機と、前記下柱側基部に対向する前記下柱の外側面に沿って配置されるとともに、前記ワイヤーの巻取りを案内するガイドローラーとを備えてもよい。
【0033】
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、上柱が寝かせた状態に戻ることをワイヤーの巻取りによって阻止しながら、上柱の建て起こしをワイヤーの巻取りによって支援することができる。
【0034】
つまり、上柱の建込み支援装置は、上端部が吊り上げられた上柱をワイヤーの張力によって支持することができる。このため、上柱の建込み支援装置は、上柱の建込みにおける安全性を向上することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、寝かせた状態の前記上柱の前記下端部を下方から支持するジャッキを備えてもよい。
この構成によれば、枢動部に加わる荷重をジャッキによって軽減できるため、上柱の建込み支援装置は、枢動部の摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、上柱の建込み支援装置は、上柱の上端部が吊り上げられた際、枢動部を中心に上柱をスムーズに回動開始させることができる。
【0036】
またこの発明の態様として、前記上柱が転倒することを伸長によって抑止する転倒抑止機構部を備えてもよい。
上記上柱が転倒するとは、上端部が吊り上げられた上柱が寝かせた状態に戻るように、上柱が枢動部を中心に回動することをいう。
上記転倒抑止機構部とは、例えば少なくとも1つ以上のダンパーで構成された転倒抑止機構部、あるいは断面形状の大きさが異なる内部中空の柱状部材を伸縮可能に連結した転倒抑止機構部などのことをいう。
【0037】
この構成によれば、上柱の建込み支援装置は、建て起こし過程の上柱が寝かせた状態へ戻るように転倒することを、転倒抑止機構部によって抑止することができる。
さらに、例えば上柱に付勢力を付与しながら、上柱の建て起こしに伴って縮む転倒抑止機構部とすることで、上柱の建込み支援装置は、回動する上柱が下柱に接触する際、上柱が下柱に勢いよく接触することを防止できる。
このため、上柱の建込み支援装置は、上柱の安全な建て起こしをさらに確実に支援することができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記転倒抑止機構部は、前記上柱側基部が設けられた前記上柱の面に一端が枢動自在に連結され、伸縮した状態を維持可能な伸縮部材と、寝かせた状態の前記上柱の下方に位置する床面に載置され、前記伸縮部材の他端が枢動自在に係止される係止部材とで構成され、該係止部材は、前記上柱の上端部の吊り上げに伴って、前記伸縮部材の他端が前記下柱に向かう前記長手方向へ移動可能に構成されてもよい。
【0039】
この構成によれば、一端が上柱に連結され、他端が係止部材に係止されているため、伸縮部材は、床面と上柱との間で突っ張るように上柱を支持することができる。このため、上柱の建込み支援装置は、枢動部を中心に上柱が転倒することを確実に抑止することができる。
【0040】
さらに、上柱の上端部の吊り上げに伴って、伸縮部材の他端が下柱に向かう長手方向へ移動できるため、上柱の建込み支援装置は、移動不可の状態で係止される伸縮部材に比べて、全長の短い伸縮部材で上柱を支持することができる。
これにより、上柱の建込み支援装置は、伸縮部材の大型化を抑えて、上柱の安全な建て起こしを支援することができる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記転倒抑止機構部は、前記上柱側基部に対向して前記上柱にピストンロッドが枢動自在に連結された第1オイルダンパーと、床面にピストンロッドが枢動自在に連結された第2オイルダンパーと、前記第1オイルダンパーのシリンダと前記第2オイルダンパーのシリンダとを枢動不可の状態で連結する連結部とで構成され、前記第1オイルダンパー及び前記第2オイルダンパーは、それぞれピストンロッドに引張荷重が作用した際、シリンダの内部を流動する作動油の流量を制限する構成であってもよい。
【0042】
この構成によれば、第1オイルダンパー及び第2オイルダンパーが伸長する際、シリンダの内部を流動する作動油の流量が制限されるため、転倒抑止機構部は、作動油の流量が制限されていない場合に比べて、伸長速度が緩やかになる。
【0043】
換言すると、第1オイルダンパーのピストンロッド及び第2オイルダンパーのピストンロッドにそれぞれ引張荷重が加わった際、転倒抑止機構部は、引張荷重に抗して伸長することになる。
【0044】
このため、建て起こし過程の上柱が寝かせた状態へ戻るように転倒開始した際、上柱の建込み支援装置は、転倒抑止機構部によって上柱の転倒速度を緩やかにして、上柱の転倒を抑止することができる。
【0045】
さらに、上柱の建込み支援装置は、床面と上柱とを転倒抑止機構部で連結できるため、上端部の吊り上げに伴う上柱の揺れ動きを転倒抑止機構部によって抑制することができる。このため、上柱の建込み支援装置は、例えば上柱の吊り上げる重機に、バランスを崩すような荷重が作用することを抑えることができる。
したがって、上柱の建込み支援装置は、上柱の安全な建て起こしをさらに確実に支援することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明により、下柱の上方で上柱を建て起こして、上柱の建込みを支援できる上柱の建込み支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】起立状態における上柱の概略を説明する説明図。
図2】吊り上げ直前の上柱の概略を説明する説明図。
図3】建込み支援装置の外観を示す正面図。
図4】斜め下方視における枢動機構部の外観を示す外観斜視図。
図5】斜め上方視における枢動機構部の外観を示す外観斜視図。
図6】ガイド部材の要部を示す正面図。
図7】下柱側基部と連結アームの連結箇所を中心に回動する上柱の状態を説明する説明図。
図8】建て起こし過程における建込み支援装置の状態を説明する説明図。
図9】上柱が起立した状態における建込み支援装置の状態を説明する説明図。
図10】実施例2における建込み支援装置の外観を示す正面図。
図11】実施例3における建込み支援装置の外観を示す正面図。
図12】斜め下方視における建込み支援装置の外観を示す外観斜視図。
図13】斜め上方視における建込み支援装置の外観を示す外観斜視図。
図14】第1枢動部及び第2枢動部の分解状態を示す分解斜視図。
図15図11中のA-A矢視断面図。
図16】上柱の搬入状態を説明する説明図。
図17】第1枢動部を中心に回動する上柱の状態を説明する説明図。
図18】第2枢動部を中心に回動する上柱の状態を説明する説明図。
図19】実施例4における建込み支援装置の外観を示す正面図。
図20】第1枢動部及び第2枢動部の概略を説明する説明図。
図21】転倒抑止機構部の概略を説明する説明図。
図22】建て起こし過程における建込み支援装置の状態を説明する説明図。
図23】上柱が起立した状態における建込み支援装置の状態を説明する説明図。
図24】実施例5における建込み支援装置の外観を示す正面図。
図25】転倒抑止機構部の外観を示す正面図。
図26】建て起こし過程における建込み支援装置の状態を説明する説明図。
図27】上柱が起立した状態における建込み支援装置の状態を説明する説明図。
図28】実施例6における建込み支援装置の分解状態を示す分解斜視図。
図29】ガイド部材の外観を示す外観斜視図。
図30】第1枢動部を中心に回動する上柱の状態を説明する説明図。
図31】別の実施形態における建込み支援装置の外観を示す正面図。
図32】別の実施形態における転倒抑止機構部の動作を説明する概略図。
図33】ロック部の概略を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0049】
実施例1では、寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する建込み支援装置5について、図1から図6を用いて説明する。
なお、図1は起立状態における上柱1の概略を説明する説明図を示し、図2は吊り上げ直前の上柱1の概略を説明する説明図を示し、図3は建込み支援装置5の正面図を示している。
【0050】
さらに、図4は斜め下方視における枢動機構部10の外観斜視図を示し、図5は斜め上方視における枢動機構部10の外観斜視図を示し、図6はガイド部材14の要部の正面図を示している。
加えて、図6中において、寝かせた状態の上柱1を実線で図示するとともに、建て起こし過程の上柱1を二点鎖線で図示している。
【0051】
また、図1中の上側を本実施形態における上方とし、図1中の下側を本実施形態における下方として、図中の矢印Xは前後方向(以下、前後方向Xとする)を示し、図中の矢印Yは幅方向(以下、幅方向Yとする)を示している。
【0052】
まず、上柱1は、図1に示すように、下端が基礎などに固定された下柱2の上端に連結され、例えば線路の上空に建設される駅舎などの建築物の鉄骨柱3を構成している。
この上柱1は、図1に示すように、下柱2に連結された状態において、上下方向を長手方向とする筒状の鉄骨であって、水平方向(短手方向)に沿った断面形状が断面略矩形に形成されている(図4参照)。
なお、上柱1は、長手方向が上下方向となるように起立した状態において、外側面と下端面との隅部1aが面取りされた形状に形成されている。
【0053】
さらに、上柱1には、図1に示すように、下方の端部である下端部に配置された下側エレクションピース1bが、各外側面に2つずつ接合されている。
加えて、上柱1には、図1に示すように、上方の端部である上端部に配置された上側エレクションピース1cと、上側エレクションピース1cよりも下方に配置された梁ブラケット1dが、各外側面に1つずつ接合されている。
【0054】
このような上柱1は、図2に示すように、長手方向が略水平となるように寝かせた状態(横倒し状態)で後述する床版4上に搬入され、下柱2の上方において、後述する建込み支援装置5によって建て起こしが支援される。
【0055】
また、下柱2は、図1に示すように、上下方向に延びる筒状の鉄骨であって、水平方向(短手方向)に沿った断面形状が、上柱1に略同じ大きさの断面略矩形に形成されている(図4参照)。
この下柱2には、図1に示すように、上方の端部である上端部に配置された上側エレクションピース2aが、各外側面に2つずつ接合されるとともに、上側エレクションピース2aよりも下方に配置された梁ブラケット2bが、各外側面に1つずつ接合されている。
【0056】
さらに、下柱2には、図1に示すように、上側エレクションピース2aと梁ブラケット2bとの間に、建築物の床部分となる床版4が接合されている。このため、下柱2は、上端部が床版4よりも上方に突出するように配置されている。
【0057】
次に、寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する建込み支援装置5について詳述する。
建込み支援装置5は、図2及び図3に示すように、起立状態において下端部となる上柱1の一端側(以下、下端部と呼ぶ)と下柱2の上端部とを枢動可能に連結する枢動機構部10と、建て起こし過程の上柱1をワイヤー22の張力によって支持する巻取り機構部20とで構成されている。
【0058】
枢動機構部10は、図3から図5に示すように、上柱1に配設された一対の上柱側基部11と、下柱2に配設された一対の下柱側基部12と、上柱側基部11を下柱側基部12に連結する一対の連結アーム13と、上柱1の建て起こしを案内するガイド部材14とで構成されている。
【0059】
詳述すると、一対の上柱側基部11は、図3から図5に示すように、寝かせた状態における上柱1の下面となる外側面に設けられた一対の下側エレクションピース1bで構成されている。なお、下側エレクションピース1bは、図4及び図5に示すように、前後方向Xに厚みを有するとともに、上柱1の長手方向に長い正面視略矩形の平板状に形成されている。
【0060】
また、一対の下柱側基部12は、図3から図5に示すように、幅方向Yで対向する下柱2の外側面のうち、一方の外側面に設けられた一対の上側エレクションピース2aで構成されている。なお、上側エレクションピース2aは、図4及び図5に示すように、前後方向Xに厚みを有するとともに、下柱2の長手方向に長い正面視略矩形の平板状に形成されている。
【0061】
また、一対の連結アーム13は、図3から図5に示すように、前後方向Xに厚みを有する帯状の板材であって、上柱1が起立した状態において、上柱側基部11の下部と下柱側基部12の上部とを連結する長さに形成されている。
【0062】
この一対の連結アーム13は、上柱側基部11及び下柱側基部12に着脱自在に取付けられるとともに、上柱側基部11及び下柱側基部12に対して、それぞれ前後方向Xを回転軸として枢動可能に連結されている。
【0063】
具体的には、一対の連結アーム13は、図5に示すように、長手方向の一端が、ボルト13a及びナット13bを介して、上柱1の上柱側基部11に取付けられている。
さらに、一対の連結アーム13は、図5に示すように、長手方向の他端が、ボルト13c及びナット13dを介して、下柱2の下柱側基部12に取付けられている。この連結アーム13の他端は、図5に示すように、後述するガイド部材14に対しても枢動可能に連結されている。
【0064】
また、ガイド部材14は、図4及び図5に示すように、下柱側基部12の間において、下柱2の外側面に当接するように配置されている。このガイド部材14は、図5に示すように、下柱側基部12に装着されるガイド基部15と、ガイド基部15の上端面に貼付した低摩擦係数の滑り部材16とで構成されている。
【0065】
ガイド基部15は、図5に示すように、前後方向Xに所定間隔を隔てて配置され、下柱側基部12に装着される一対の側壁部15aと、側壁部15aの上端を連結する天板部15bとで一体形成されている。
【0066】
具体的には、一対の側壁部15aは、図5に示すように、前後方向Xに厚みを有する平板状であって、前後方向Xで対面する下柱側基部12の主面にボルト13c及びナット13dを用いて装着されている。
この側壁部15aの上端面は、図6に示すように、下柱2の上端面よりも上方に位置するとともに、下柱2から幅方向Yへ向けて離間するほど上方に位置するように傾斜した傾斜面に形成されている。
【0067】
天板部15bは、図5に示すように、上下方向に厚みを有する平板状であって、側壁部15aの上端面を前後方向Xに連結している。
この天板部15bの上面には、図5に示すように、上柱1の隅部1a近傍が摺動する滑り部材16が貼付されている。
【0068】
滑り部材16は、自己潤滑性及び低摩擦係数のエンジニアリングプラスチック製であって、例えばモノマーキャストナイロンで構成されている。
この滑り部材16は、図6に示すように、上下方向に厚みを有する板状であって、下柱2の直上へ向かう上柱1の隅部1a近傍の回動軌跡に沿うように、上面が上方へ僅かに膨出した正面視略蒲鉾状に形成されている。
【0069】
ここで、上柱1の隅部1a近傍の回動軌跡は、連結アーム13と下柱側基部12との連結箇所を中心に上柱1が回動した際、上柱1の隅部1a近傍が描く回動軌跡とする。
より詳しくは、滑り部材16の上面は、正面視において、傾きを異ならせた平面を組み合わせて、幅方向Yの略中央が最も上方へ膨出した形状になるように形成されている。
【0070】
また、巻取り機構部20は、図3に示すように、枢動機構部10に対して幅方向Yに対向するように配置されている。この巻取り機構部20は、上柱1に着脱自在に取付けられたワイヤー連結部21と、ワイヤー連結部21に一端が連結された金属製のワイヤー22と、ワイヤー22を巻き取る巻取り機23と、下柱2に着脱自在に取付けられたローラー部24とで構成されている。
【0071】
具体的には、ワイヤー連結部21は、図3に示すように、上柱1を寝かせた状態において、上柱1の上面に設けた下側エレクションピース1bに締結固定されている。つまり、ワイヤー連結部21は、上柱側基部11に対向する上柱1の下側エレクションピース1bに締結固定されている。
【0072】
また、巻取り機23は、例えば原動機または電力によって駆動して、ワイヤー22を送り出す機能と、ワイヤー22を巻き取る機能とを有している。この巻取り機23は、図3に示すように、下柱2を挟んで連結アーム13から離間する幅方向Yへ所定間隔を隔てた位置に配置されている。
【0073】
ローラー部24は、図3に示すように、下柱側基部12に対向する下柱2の上側エレクションピース2aに締結固定されている。このローラー部24は、ワイヤー22の送り出し、またはワイヤー22の巻取りを案内する機能を有している。
【0074】
具体的には、ローラー部24は、図3に示すように、下柱2の外側面に沿って上下方向に並置されるとともに、前後方向Xを回転軸として回転可能に支持された2つのガイドローラー24aを備えている。この2つのガイドローラー24aは、幅方向Yにおいて、上側のガイドローラー24aが、下側のガイドローラー24aよりも下柱2に近い位置に配設されている。
【0075】
なお、巻取り機23から引き出されたワイヤー22は、図3に示すように、下側のガイドローラー24aにおける下方側を通って上側のガイドローラー24aへ向けて配索されたのち、上側のガイドローラー24aの上方側を通ってワイヤー連結部21に連結されている。
【0076】
引き続き、上述した構成の建込み支援装置5を用いて、寝かせた状態の上柱1を建て起こして下柱2に連結する工程について、図7から図9を用いて説明する。
なお、図7は下柱側基部12と連結アーム13の連結箇所を中心に回動する上柱1の状態を説明する説明図を示し、図8は建て起こし過程における建込み支援装置5の状態を説明する説明図を示し、図9は上柱1が起立した状態における建込み支援装置5の状態を説明する説明図を示している。
【0077】
まず、作業者は、図3に示すように、下柱2に対して連結アーム13、ガイド部材14、及びローラー部24を取付ける。
その後、作業者は、図2に示すように、上柱1をクレーンなどの重機を用いて、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で床版4上に搬入する。
この際、作業者は、寝かせた状態の上柱1の前面及び後面が、下柱2の前面及び後面に略平行で、かつ略同じ前後方向Xの位置となるように、上柱1の向きを調整して搬入する。
【0078】
床版4上に上柱1が搬入されると、作業者は、図3に示すように、連結アーム13を上柱1に連結して、上柱1の隅部1a近傍とガイド部材14の滑り部材16とを当接させる。
さらに、作業者は、図3に示すように、上柱1にワイヤー連結部21を取付けるとともに、巻取り機23から引き出したワイヤー22をワイヤー連結部21に連結する。
【0079】
その後、作業者は、図2に示すように、起立状態において上端部となる上柱1の他端側(以下、上端部と呼ぶ)に、クレーンなどの重機のワイヤーを連結して、上柱1の吊り上げ準備を完了する。
【0080】
上柱1の吊り上げ準備が完了すると、作業者は、図7に示すように、重機を用いて、上柱1の上端部の吊り上げを開始するとともに、巻取り機23を稼働してワイヤー22の巻取りを開始する。
【0081】
この際、作業者は、巻取り機23がワイヤー22を巻き取る速度を、上柱1の吊り上げ速度に略同じ、または僅かに速い速度になるように調整して、ワイヤー22に張力を発生させる。
【0082】
上端部の吊り上げが開始されると、上柱1は、図8に示すように、ワイヤー22の張力によって支持されながら、下柱側基部12と連結アーム13との連結箇所を中心に、上端部が上方へ向かうように正面視反時計周りに回動開始する。この際、上柱1は、図6に示すように、隅部1a近傍がガイド部材14の滑り部材16上を摺動しながら回動する。
【0083】
その後、作業者は、図9に示すように、下柱側基部12と連結アーム13との連結箇所を中心に回動する上柱1が起立するまで上端部を吊り上げたのち、上柱1の吊り上げ、及びワイヤー22の巻取りを停止する。
【0084】
この際、上柱1は、図9に示すように、下柱2の直上で起立するとともに、各外側面の向きが下柱2の各外側面の向きに一致した状態となる。
その後、作業者は、上柱1を吊り上げた状態において、連結アーム13、ワイヤー連結部21、及びローラー部24を取り外す。
【0085】
さらに、作業者は、上柱1の下側エレクションピース1bと下柱2の上側エレクションピース2aとを適宜の部材を用いて連結したのち、下柱2と上柱1とを溶接によって接合して鉄骨柱3を構成する。
このように、実施例1の建込み支援装置5は、下柱2の上空において、寝かせた状態の上柱1の建て起こしを可能にして、上柱1の建込みを支援している。
【0086】
以上のように、実施例1における上柱1の建込み支援装置5は、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する装置である。
この建込み支援装置5は、下柱2の上端部に取付けられた下柱側基部12と、寝かせた状態における上柱1の下端部の下側に取付けられた上柱側基部11と、水平方向を回転軸として、下柱側基部12と上柱側基部11とを枢動可能に連結する枢動部(連結アーム13)とを備えたものである。
【0087】
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置5は、下柱2の上方で上柱1を建て起こして、上柱1の建込みを支援することができる。
具体的には、上柱1が枢動部(連結アーム13)を介して下柱2に連結されるため、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の上端部が吊り上げられた際、水平方向を中心に上柱1を回動させることができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、寝かせた状態の上柱1を、下柱2の直上で起立させることができる。
【0088】
この際、上柱1が下柱2に常に連結されているため、上柱1の建込み支援装置5は、上端部の吊り上げに伴う上柱1の揺れ動きを抑えることができる。
さらに、上柱1が下柱2に連結されているため、上柱1の建込み支援装置5は、上端部の吊り上げ過程において、例えば上柱1の下端部が落下して下柱2や床面に衝突することを防止できる。
【0089】
これにより、上柱1の建込み支援装置5は、下柱2の上方で上柱1を安全に建て起こして、上柱1の建込みを支援することができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、寝かせた状態で搬入された上柱1を、例えば夜間に限らず建て起こすことができる。
【0090】
また、枢動部は、下柱2の上側エレクションピース2aと上柱1の下側エレクションピース1bとを枢動可能に連結する連結アーム13で構成されたものである。
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置5は、下柱側基部及び上柱側基部を別途設けることなく、下柱2と上柱1とを連結アーム13で連結することができる。
【0091】
さらに、上柱1の建込み支援装置5は、連結アーム13を着脱するだけで、下柱2と上柱1との連結、及び連結の解除が行えるため、作業性の向上を図ることができる。
これにより、上柱1の建込み支援装置5は、作業性を損なうことなく、下柱2と上柱1とを簡素な構成で枢動可能に連結することができる。
【0092】
また、上柱1の建込み支援装置5は、下柱2に取り付けられるとともに、下柱2の直上へ上柱1を案内するガイド部材14を備えたものである。
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置5は、水平方向を中心に回動する上柱1を、下柱2の直上へ向けて確実に案内することができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1を確実、かつ効率よく建て起こすことができる。
【0093】
また、ガイド部材14は、上柱1が摺動する摺動面に低摩擦係数の滑り部材16を備えたものである。
この構成によれば、ガイド部材14は、上柱1を下柱2の直上へよりスムーズに案内することができる。
【0094】
これにより、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の回動が阻害されることによる意図しない不具合、あるいはガイド部材14との摺動による上柱1の傷付きを防止することができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の安全な建て起こしをより確実に支援することができる。
【0095】
また、ガイド部材14は、下柱2の上側エレクションピース2aに取付けられたものである。
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置5は、ガイド部材14を取付けるための部位を、下柱2に別途設けることを不要にできる。
【0096】
さらに、上柱1の建込み支援装置5は、下柱2の上側エレクションピース2aと連結アーム13との連結箇所に対するガイド部材14の位置ズレを抑えることができる。
これにより、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の回動軌跡をより安定させることができるため、上柱1を下柱2の直上へさらに確実に案内することができる。
【0097】
また、上柱1の建込み支援装置5は、上柱側基部11に対向して上柱1に一端が取付けられたワイヤー22と、ワイヤー22を巻き取る巻取り機23と、下柱側基部12に対向する下柱2の外側面に沿って配置されるとともに、ワイヤー22の巻取りを案内するローラー部24とを備えたものである。
【0098】
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1が寝かせた状態に戻ることをワイヤー22の巻取りによって阻止しながら、上柱1の建て起こしをワイヤー22の巻取りによって支援することができる。
【0099】
つまり、上柱1の建込み支援装置5は、上端部が吊り上げられた上柱1をワイヤー22の張力によって支持することができる。このため、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の建込みにおける安全性を向上することができる。
【実施例0100】
実施例2の建込み支援装置5は、上述した実施例1の建込み支援装置5に対して、上柱1と下柱2とを連結する一対のダンパー30がさらに設けられている点が異なる。このような実施例2の建込み支援装置5について、実施例2における建込み支援装置5の正面図を示す図10を用いて説明する。
【0101】
なお、図10中において、起立状態の上柱1を二点鎖線で図示するとともに、上柱1が起立した状態におけるダンパー30の状態を二点鎖線で図示している。
また、上述の実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0102】
実施例2の建込み支援装置5は、図10に示すように、実施例1で詳述した枢動機構部10及び巻取り機構部20と、建て起こしに伴って増大する上柱1の下方成分の荷重を緩やかに支持する一対のダンパー30とを備えている。
【0103】
一対のダンパー30は、下柱2を挟んで前後方向Xに対向配置され、一方のダンパー30が上柱1の前面と下柱2の前面とを連結し、他方のダンパー30が上柱1の背面と下柱2の背面とを連結している。
【0104】
このダンパー30は、図10に示すように、例えばシリンダ30a及びピストンロッド30bからなる油圧ダンパーなどであって、押圧荷重を緩やかに吸収して縮むとともに、引張荷重に抗して伸長するように構成されている。
【0105】
なお、ダンパー30は、図10に示すように、寝かせた状態の上柱1と下柱2とを連結した状態が最も伸長し、起立した上柱1と下柱2とを連結している状態が最も縮んだ状態となるように配置されている。
【0106】
具体的には、ダンパー30は、図10に示すように、シリンダ30aの上端が上柱取付部材31を介して上柱1の下側エレクションピース1bに取付けられ、ピストンロッド30bの下端が下柱取付部材32を介して下柱2の上側エレクションピース2aに取付けられている。
なお、ダンパー30は、前後方向Xを回転軸として回動自在な状態で、それぞれ上柱取付部材31及び下柱取付部材32に連結されている。
【0107】
このような建込み支援装置5を用いて上柱1を建て起こした場合、ダンパー30は、下柱取付部材32との連結箇所を中心に正面視反時計周りに回動しながらピストンロッド30bがシリンダ30aに収容されることで、上柱1への付勢力が緩やかに増加する。
【0108】
このため、上柱1は、ダンパー30の付勢力に抗しながら、下柱側基部12と連結アーム13との連結箇所を中心に正面視反時計周りに回動することになる。これにより、実施例2の建込み支援装置5は、建て起こしに伴って増大する上柱1の下方成分の荷重を、ダンパー30によって吸収しながら上柱1の建て起こしを支援している。
【0109】
なお、上柱1が寝かせた状態に戻るように転倒開始した場合、ダンパー30に引張荷重が作用するため、ダンパー30は、引張荷重に抗しながら伸長する。これにより、ダンパー30は、上柱1を吊り上げる重機との協働によって、上柱1の転倒速度を緩やかにして、上柱1の転倒を抑止する。
【0110】
以上のように、実施例2における上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の上柱側基部11と下柱2の下柱側基部12とが連結アーム13で連結されているため、上述した実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0111】
さらに、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1が転倒することを伸長によって抑止するダンパー30を備えたものである。
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置5は、建て起こし過程の上柱1が寝かせた状態へ戻るように転倒することを、ダンパー30によって抑止することができる。
【0112】
さらに、上柱1に付勢力を付与しながら、上柱1の建て起こしに伴って縮むダンパー30により、上柱1の建込み支援装置5は、回動する上柱1が下柱2に接触する際、上柱1が下柱2に勢いよく接触することを防止できる。
このため、上柱1の建込み支援装置5は、上柱1の安全な建て起こしをさらに確実に支援することができる。
【実施例0113】
上述した実施例1の建込み支援装置5とは構成が異なる実施例3の建込み支援装置6について、図11から図15を用いて説明する。なお、実施例3では、上柱1に下側エレクションピースが設けられておらず、かつ下柱2に上側エレクションピースが設けられていないものとする。
【0114】
また、図11は実施例3における建込み支援装置6の正面図を示し、図12は斜め下方視における建込み支援装置6の外観斜視図を示し、図13は斜め上方視における建込み支援装置6の外観斜視図を示している。
【0115】
さらに、図14は第1枢動部70及び第2枢動部80の分解斜視図を示し、図15図11中のA-A矢視断面図を示している。
また、図13中において図示を明確にするため上柱1及び下柱2を二点鎖線で図示している。
また、上述の実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0116】
実施例3の建込み支援装置6は、図11及び図12に示すように、下柱2の外側面に近接して床版4上に載置された一対の支柱部材40と、下柱2に取付けられた下柱側基部50と、上柱1に取付けられた上柱側基部60とを備えている。
さらに、建込み支援装置6は、図11及び図12に示すように、下柱側基部50と上柱側基部60とを枢動可能に連結する第1枢動部70及び第2枢動部80を備えている。
【0117】
詳述すると、一対の支柱部材40は、図11から図13に示すように、前後方向Xに所定間隔を隔てて配置されるとともに、後述する下柱側基部50の下面に当接して、下柱側基部50の下方への移動を規制している。
【0118】
具体的には、支柱部材40は、図11から図13に示すように、上下方向に延びる円柱状に形成されている。この支柱部材40は、後述する第1枢動部70を所望される上下方向の位置に位置させる上下方向の長さに形成されている。
【0119】
また、下柱側基部50は、図11から図13に示すように、下柱2の上端部に対して、幅方向Yで挟持するように取付けられている。この下柱側基部50は、図11から図13に示すように、下柱2を挟んで幅方向Yに対向配置された一対の下柱挟持部材51と、下柱挟持部材51を連結する一対の寸切りボルト52と、寸切りボルト52の両端に螺合する4つのナット53とで構成されている。
【0120】
具体的には、下柱挟持部材51は、図11から図13に示すように、所定方向に延びる溝形鋼であって、所定方向が前後方向Xとなるように配置されている。なお、下柱挟持部材51は、ウェブが下柱2側を向くように配置されている。
【0121】
この下柱挟持部材51のウェブには、所定方向の両端に寸切りボルト52が挿通される貫通孔(図示省略)が開口形成されている。
さらに、下柱挟持部材51には、図12から図14に示すように、所定の厚みを有するゴム板54が、下柱2との間に介在するようにウェブに貼付されている。
【0122】
このような一対の下柱挟持部材51は、図11から図13に示すように、ゴム板54が下柱2の外側面に当接した状態において、貫通孔に挿通された寸切りボルト52にナット53を螺着することで、下柱2に取付けられている。
【0123】
また、上柱側基部60は、図11から図13に示すように、寝かせた状態の上柱1の下端部に対して、上下方向で挟持するように取付けられている。この上柱側基部60は、図11から図13に示すように、寝かせた状態の上柱1を挟んで上下方向に対向配置された一対の上柱挟持部材61と、上柱挟持部材61を連結する一対の寸切りボルト62と、寸切りボルト62の両端に螺合する4つのナット63とで構成されている。
【0124】
具体的には、上柱挟持部材61は、図11から図13に示すように、所定方向に延びる溝形鋼であって、所定方向が前後方向Xとなるように配置されている。なお、上柱挟持部材61は、ウェブが上柱1側を向くように配置されている。
【0125】
この上柱挟持部材61のウェブには、所定方向の両端に寸切りボルト62が挿通される貫通孔(図示省略)が開口形成されている。
さらに、上柱挟持部材61には、図12から図14に示すように、所定の厚みを有するゴム板64が、上柱1との間に介在するようにウェブに貼付されている。
【0126】
このような一対の上柱挟持部材61は、図11から図13に示すように、ゴム板64が上柱1の外側面に当接した状態において、貫通孔に挿通された寸切りボルト62にナット63を螺着することで、上柱1に取付けられている。
【0127】
また、第1枢動部70は、図11及び図12に示すように、上柱1の前後方向Xの略中央に配置され、水平方向を回転軸として、上柱側基部60と下柱側基部50とを枢動自在に連結している。なお、第1枢動部70は、水平方向の回転軸が、下柱2の上端よりも上方の位置となるように構成されている。
【0128】
この第1枢動部70は、図14に示すように、上柱側基部60に取付けられた上柱側継手部71と、後述する第2枢動部80を介して下柱側基部50に取付けられた下柱側継手部72と、上柱側継手部71及び下柱側継手部72に挿通されるピン73とで、所謂クレビス構造に構成されている。
【0129】
具体的には、上柱側継手部71は、図14に示すように、上柱挟持部材61のウェブに接合される平板状のフランジ部分71aと、前後方向Xに厚みを有して、フランジ部分71aから立設された平板状の本体部分71bとで形成されている。なお、本体部分71bには、前後方向Xに沿ってピン73が挿通される貫通孔71cが開口形成されている。
【0130】
下柱側継手部72は、図14に示すように、上下方向に厚みを有する平板状のフランジ部分72aと、前後方向Xに所定間隔を隔ててフランジ部分72aから立設された平板状の一対の本体部分72bとで形成されている。なお、本体部分71bには、前後方向Xに沿ってピン73が挿通される貫通孔72cが開口形成されている。
【0131】
このような第1枢動部70は、下柱側継手部72の本体部分72bの間に、上柱側継手部71の本体部分71bを介在させた状態で、上柱側継手部71の貫通孔71c及び下柱側継手部72の貫通孔72cにピン73を挿通することで、クレビス構造を構成している。
【0132】
また、第2枢動部80は、図12及び図13に示すように、下柱2の前後方向Xの略中央に配置され、上下方向を回転軸として、上柱側基部60と下柱側基部50とを枢動自在に連結している。
【0133】
この第2枢動部80は、図12から図14に示すように、第1枢動部70を介して上柱側基部60に取付けられた軸体81と、軸体81が挿通される筒体82と、筒体82を下柱側基部50に取付ける上側ブラケット83及び下側ブラケット84とで構成されている。
【0134】
なお、第2枢動部80は、筒体82に対して軸体81が着脱自在に構成されている。
具体的には、軸体81は、図14に示すように、上下方向に延びる略円柱状の部材であって、その上端面が第1枢動部70のフランジ部分72aの下面に接合されている。
【0135】
筒体82は、図14及び図15に示すように、軸体81の直径よりも僅かに大きい内径を有して、上下方向に延びる略円筒状に形成されている。この筒体82は、図14及び図15に示すように、径方向中心をとおる前後方向Xに沿った縦断面で二分割されるとともに、上下方向を回転軸として開閉可能に構成されている。
【0136】
より詳しくは、筒体82は、図14及び図15に示すように、下柱側基部50に取付けられた平面視半円状の第1半筒部85と、第1半筒部85に開閉自在に支持された平面視半円状の第2半筒部86と、第1半筒部85に第2半筒部86を締結固定するボルト87及びナット88とで構成されている。
【0137】
第1半筒部85は、図14及び図15に示すように、下柱2から離間する幅方向Yが開口した平面視略半円状に形成され、周方向の一端に第2半筒部86が回転自在に連結されている。
さらに、第1半筒部85は、図14及び図15に示すように、上下方向に所定間隔を隔てて突設された2つのフランジ部分85aが、周方向の他端側に設けられている。
【0138】
この2つのフランジ部分85aは、図14及び図15に示すように、幅方向Yに厚みを有する平板状であって、筒体82の径方向へ向けて突設されている。さらに、フランジ部分85aには、ボルト87が挿通される貫通孔85bが開口形成されている。
【0139】
第2半筒部86は、図14及び図15に示すように、下柱2へ向かう幅方向Yが開口した平面視略半円状に形成され、周方向の一端が第1半筒部85に回転自在に連結されている。
さらに、第2半筒部86は、図14及び図15に示すように、上下方向に所定間隔を隔てて突設された2つのフランジ部分86aが、周方向の他端側に設けられている。
【0140】
この2つのフランジ部分86aは、図14及び図15に示すように、第1半筒部85のフランジ部分85aに当接する主面を有する平板状であって、筒体82の径方向へ向けて突設されている。さらに、フランジ部分86aには、ボルト87が挿通される貫通孔86bが開口形成されている。
【0141】
また、上側ブラケット83は、図14に示すように、上下方向に厚みを有する板材であって、幅方向Yの一端側が第1半筒部85の外周面に接合され、幅方向Yの他端側が下柱挟持部材51における上側フランジの上面に接合されている。
【0142】
また、下側ブラケット84は、図14に示すように、上下方向に厚みを有する板材であって、幅方向Yの一端側が第1半筒部85の外周面に接合され、幅方向Yの他端側が下柱挟持部材51における下側フランジの上面に接合されている。
【0143】
引き続き、上述した構成の建込み支援装置6を用いて、寝かせた状態の上柱1を建て起こして下柱2に連結する工程について、図16から図18を用いて説明する。
なお、図16は上柱1の搬入状態を説明する説明図であり、図16(a)は上柱1の搬入状態の平面図を示し、図16(b)は上柱1の搬入状態の斜視図を示している。
【0144】
さらに、図17は第1枢動部70を中心に回動する上柱1の状態を説明する説明図を示している。
加えて、図18は第2枢動部80を中心に回動する上柱1の状態を説明する説明図であり、図18(a)は回動前の上柱1の状態の斜視図を示し、図18(b)は回動後の上柱1の斜視図を示している。
【0145】
まず、作業者は、床版4から突出した下柱2の上端部に対して、下柱側基部50及び第2枢動部80の筒体82を取付ける。
具体的には、作業者は、図11及び図12に示すように、幅方向Yにおける下柱2の外側面に近接して、一対の支柱部材40を床版4上に載置する。
【0146】
さらに、作業者は、第2枢動部80の筒体82が接合された一方の下柱挟持部材51を、幅方向Yで対向する下柱2の一方の外側面に当接させるとともに、筒体82が下柱2の前後方向Xの略中央に位置するように支柱部材40の上面に載置する。
【0147】
その後、作業者は、支柱部材40に載置した一方の下柱挟持部材51に対向するように、他方の下柱挟持部材51を下柱2の他方の外側面に当接させる。そして、作業者は、一対の下柱挟持部材51を、寸切りボルト52及びナット53を用いて連結することで、下柱2に下柱側基部50及び第2枢動部80の筒体82を取付ける。
【0148】
下柱2に下柱側基部50を取付けると、作業者は、上柱1をクレーンなどの重機を用いて、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で床版4上に搬入する。この際、作業者は、下柱2の上端よりも上方の位置、かつ下柱2の外側面に対して上柱1の下端部が僅かに水平方向に離間した位置に搬入する。
なお、実施例3では、図16に示すように、寝かせた状態における上柱1の長手方向が、幅方向Yに対して交差する状態で搬入している。
【0149】
床版4上に上柱1が搬入されると、作業者は、寝かせた状態の上柱1の下端部に対して、上柱側基部60、第1枢動部70、及び第2枢動部80の軸体81を取付ける。
具体的には、作業者は、図11及び図14に示すように、寝かせた状態の上柱1の上面(上側の外側面)に一方の上柱挟持部材61を載置して当接させる。さらに、作業者は、第1枢動部70が接合された他方の上柱挟持部材61を、第1枢動部70が前後方向Xの略中央に位置するようにして、寝かせた状態の上柱1の下面(下側の外側面)に当接させる。
【0150】
そして、作業者は、一対の上柱挟持部材61を、寸切りボルト62及びナット63を用いて連結することで、上柱1に上柱側基部60、第1枢動部70、及び第2枢動部80の軸体81を取付ける。
【0151】
上柱1に上柱側基部60を取付けると、作業者は、重機を用いて上柱1を移動させて、下柱2の筒体82に上柱1の軸体81を挿通して、上柱1と下柱2とを連結させる。
具体的には、作業者は、筒体82のボルト87及びナット88を取り外して、第2半筒部86を開いたのち、重機を用いて上柱1を水平移動させて第1半筒部85に軸体81を収容する。その後、作業者は、第2半筒部86を閉じるとともに、ボルト87及びナット88を用いて、第2半筒部86を第1半筒部85に締結固定して、上柱1の吊り上げ準備を完了する。
【0152】
上柱1の吊り上げ準備が完了すると、作業者は、クレーンなどの重機を上柱1の上端部に連結したのち、上柱1の上端部の吊り上げを開始する。
上端部が吊り上げられると、上柱1は、図17に示すように、第1枢動部70のピン73を回転中心として、ピン73の軸方向から見て上端部が上方へ向かうように反時計周りに回動開始する。その後、作業者は、図18(a)に示すように、第1枢動部70を中心に回動する上柱1が起立するまで上端部を吊り上げたのち、上柱1の吊り上げを停止する。
【0153】
この際、長手方向が幅方向Yに対して交差するように寝かせた状態から建て起こされたため、上柱1は、図18(a)に示すように、起立状態における外側面の向きが下柱2の外側面の向きに一致していない。
【0154】
そこで、作業者は、図18(b)に示すように、重機などを用いて上柱1を水平方向に回転させて、上柱1の外側面の向きを下柱2の外側面の向きに一致させる。
この際、上柱1は、第2枢動部80の筒体82を中心に水平方向へ回動しながら、下柱2の直上に移動する。
【0155】
その後、作業者は、上柱1を吊り上げた状態において、第2枢動部80の第2半筒部86を開いたのち、上柱側基部60、第1枢動部70、及び第2枢動部80の軸体81を上柱1から取外す。さらに、作業者は、下柱側基部50及び第2枢動部80の筒体82を下柱2から取外したのち、支柱部材40を撤去する。
【0156】
そして、作業者は、下柱2と上柱1とを溶接によって接合して鉄骨柱3を構成する。
このように、実施例3の建込み支援装置6は、下柱2の上空において、寝かせた状態の上柱1の建て起こしを可能にして、上柱1の建込みを支援している。
【0157】
以上のように、実施例3における上柱1の建込み支援装置6は、長手方向が略水平となるように寝かせた状態で搬入された上柱1の建込みを支援する装置である。
【0158】
この建込み支援装置6は、下柱2の上端部に取付けられた下柱側基部50と、寝かせた状態における上柱1の下端部の下側に取付けられた上柱側基部60と、水平方向を回転軸として、下柱側基部12と上柱側基部11とを枢動可能に連結する第1枢動部70とを備えたものである。
【0159】
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置6は、下柱2の上方で上柱1を建て起こして、上柱1の建込みを支援することができる。
具体的には、上柱1が第1枢動部70を介して下柱2に連結されるため、上柱1の建込み支援装置6は、上柱1の上端部が吊り上げられた際、水平方向を中心に上柱1を回動させることができる。このため、上柱1の建込み支援装置6は、寝かせた状態の上柱1を、下柱2の直上で起立させることができる。
【0160】
この際、上柱1が下柱2に常に連結されているため、上柱1の建込み支援装置6は、上端部の吊り上げに伴う上柱1の揺れ動きを抑えることができる。
さらに、上柱1が下柱2に連結されているため、上柱1の建込み支援装置6は、上端部の吊り上げ過程において、例えば上柱1の下端部が落下して下柱2や床面に衝突することを防止できる。
【0161】
これにより、上柱1の建込み支援装置6は、下柱2の上方で上柱1を安全に建て起こして、上柱1の建込みを支援することができる。このため、上柱1の建込み支援装置6は、寝かせた状態で搬入された上柱1を、例えば夜間に限らず建て起こすことができる。
【0162】
また、上柱1の建込み支援装置6は、上下方向を回転軸として、下柱側基部50と第1枢動部70とを枢動可能に連結する第2枢動部80を備えたものである。
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置6は、起立した上柱1を、第2枢動部80を中心に水平方向へ回転させて、下柱2の直上に位置させることができる。
【0163】
このため、上柱1の建込み支援装置6は、上下方向を回転中心とした回転方向における上柱1の向きを容易に下柱2に一致させることができる。
これにより、上柱1の建込み支援装置6は、上柱1が起立した際、上柱1の向きが下柱2の向きに一致するように、寝かせた状態の上柱1を下柱2の向きに応じて予め回転させておくことを不要にできる。
【0164】
また、第2枢動部80は、上下方向に延びる軸体81と、上下方向に延びるとともに、軸体81が挿通される筒体82とで構成されたものである。
そして、筒体82は、径方向中心をとおる縦断面で二分割されるとともに、上下方向を回転軸として開閉可能に構成されたものである。
【0165】
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置6は、軸体81を水平方向から筒体82に挿通することができる。このため、上柱1の建込み支援装置6は、予め下柱側基部50を取付けた下柱2に、上柱側基部60及び第1枢動部70を取付けた上柱1を容易に連結することができる。
【0166】
この際、上柱1の建込み支援装置6は、軸体81を上下方向から筒体82に挿通する場合に比べて、寝かせた状態の上柱1を吊り上げる高さを抑えることができる。このため、上柱1の建込み支援装置6は、下柱2と上柱1とを安全に連結することができる。
【0167】
また、下柱側基部50及び上柱側基部60は、それぞれ下柱2及び上柱1を挟持する構成である。
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置6は、エレクションピースが設けられていない下柱2の外側面及び上柱1の外側面に、下柱側基部50及び上柱側基部60を取付けることができる。
【0168】
また、上柱1の建込み支援装置6は、下柱側基部50と床面とに亘って配設されるとともに、下柱側基部50を下方から支持する支柱部材40を備えたものである。
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置6は、下柱2を挟持する下柱側基部50が、上柱1の重量によって下方へ位置ズレすることを支柱部材40によって阻止することができる。
【0169】
これにより、上柱1の建込み支援装置6は、上下方向における第1枢動部70の位置が安定するため、第1枢動部70を中心に回動する上柱1の回動軌跡をさらに安定させることができる。このため、上柱1の建込み支援装置6は、より確実に下柱2の直上へ上柱1を建て起こすことができる。
【実施例0170】
上述した実施例3の建込み支援装置6とは構成が異なる実施例4の建込み支援装置7について、図19から図21を用いて説明する。
なお、上述の実施例3と同じ構成は同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、図19は実施例4における建込み支援装置7の正面図を示している。
【0171】
さらに、図20は第1枢動部100及び第2枢動部110の概略を説明する説明図であり、図20(a)は分解状態における第1枢動部100及び第2枢動部110の側面図を示し、図20(b)は分解状態における第1枢動部100及び第2枢動部110の正面図を示している。
【0172】
加えて、図21は転倒抑止機構部120の概略を説明する説明図であり、図21(a)は最も縮んだ状態の転倒抑止機構部120の正面図を示し、図21(b)は最も伸長した状態の転倒抑止機構部120の正面図を示している。
【0173】
また、図19及び図20(b)中において、第1枢動部100及び第2枢動部110の図示を明確にするため、第1枢動部100に隣接する上柱1の下側エレクションピース1bと、第2枢動部110に隣接する下柱2の上側エレクションピース2aの図示を省略している。
【0174】
実施例4の建込み支援装置7は、図19に示すように、上柱1の下端部を下方から支持するジャッキ90と、下柱2と上柱1とを枢動可能に連結する第1枢動部100及び第2枢動部110とを備えている。
さらに、建込み支援装置7は、図19に示すように、上柱1が転倒することを伸長によって抑止する転倒抑止機構部120を備えている。
【0175】
詳述すると、ジャッキ90は、図19に示すように、下柱2と後述する係止部材130との間において、床版4の上面に載置されている。このジャッキ90は、例えば油圧ジャッキであって、寝かせた状態の上柱1を下方から支持するとともに、上端部が吊り上げ開始された上柱1を下方から上方へ押圧可能に構成されている。
【0176】
また、第1枢動部100は、図19及び図20に示すように、上柱1の前後方向Xの略中央に配置され、水平方向を回転軸として、上柱1と下柱2とを枢動自在に連結している。なお、第1枢動部100は、水平方向の回転軸が、下柱2の上端よりも上方の位置となるように構成されている。
【0177】
この第1枢動部100は、図20に示すように、上柱1に取付けられた上柱側継手部101と、後述する第2枢動部110を介して下柱2に取付けられた下柱側継手部102と、上柱側継手部101及び下柱側継手部102に挿通されるピン103とで、所謂クレビス構造に構成されている。
【0178】
より詳しくは、上柱側継手部101は、図20に示すように、上柱側基部として機能する前後方向Xに厚みを有する平板状であって、寝かせた状態における上柱1の下面となる外側面に直接的に接合されている。なお、上柱側継手部101は、寝かせた状態における上柱1の下面に設けられた下側エレクションピース1bの間に接合されている
下柱側継手部102は、図20に示すように、実施例3の下柱側継手部72と同様の構成のため、その詳細な説明を省略する。
【0179】
また、第2枢動部110は、図19及び図20に示すように、下柱2の前後方向Xの略中央に配置され、上下方向を回転軸として、上柱1と下柱2とを枢動自在に連結している。
この第2枢動部110は、図20に示すように、実施例3の第2枢動部80と略同じ構成であって、第1枢動部100を介して上柱1に取付けられた軸体111と、軸体111が挿通されるとともに、下柱2に下柱側基部113を介して取付けられた筒体112とで構成されている。
【0180】
より詳しくは、筒体112は、図20に示すように、下柱2の外側面に直接的に接合した下柱側基部113に支持されている。なお、下柱側基部113は、前後方向Xに厚みを有する平板状であって、下柱2の外側面に設けられた上側エレクションピース2aの間に接合されている。
【0181】
また、転倒抑止機構部120は、図19に示すように、上柱1に一端が枢動可能に連結された伸縮部材121と、寝かせた状態の上柱1の下方に位置する床版4の上面に載置された係止部材130とで構成されている。
伸縮部材121は、図19に示すように、上柱1の下端部と上端部との間において、寝かせた状態における上柱1の下面となる外側面に一端が連結されている。
【0182】
この伸縮部材121は、断面形状の大きさが異なる内部中空の3つの柱状部材を伸縮可能に連結するとともに、伸縮した状態を維持するように構成されている。
具体的には、伸縮部材121は、図21に示すように、所定方向に伸縮可能に連結されたトラス構造の第1柱状部材122、第2柱状部材123、及び第3柱状部材124と、第1柱状部材122の一端に設けた継手部125と、第3柱状部材124の一端に設けた被係止部126とで構成されている。
【0183】
第1柱状部材122、第2柱状部材123、及び第3柱状部材124は、断面形状の大きさがこの順番で大きい断面略矩形で、所定方向を長手方向とする柱状体に形成されている。この第1柱状部材122、第2柱状部材123、及び第3柱状部材124は、図21に示すように、第1柱状部材122が第2柱状部材123に収容され、第2柱状部材123が第3柱状部材124に収容されることで、所定方向に伸縮可能に構成されている。
【0184】
さらに、詳細な図示を省略するが、第1柱状部材122と第2柱状部材123とは、例えばラチェット機構を介して連結され、縮んだ状態及び伸長した状態を維持可能に構成されている。
同様に、第2柱状部材123と第3柱状部材124とは、例えばラチェット機構を介して連結され、縮んだ状態及び伸長した状態を維持可能に構成されている。
【0185】
継手部125は、図21に示すように、伸縮部材121における長手方向の一端、かつ第1柱状部材122の一端に設けられている。この継手部125は、図19に示すように、寝かせた状態における上柱1の下面に設けた連結フランジ127に枢動自在に連結されている。
【0186】
また、被係止部126は、図21に示すように、伸縮部材121における長手方向の他端、かつ第3柱状部材124の他端に設けられている。この被係止部126は、詳細な図示を省略するが、伸縮部材121の長手方向へ起立した一対の平板と、該平板を前後方向Xに貫通するピン126aとで構成されている。
そして、被係止部126は、図19中のA部を拡大したA部拡大図に示すように、ピン126aが後述する係止部材130に枢動可能な状態で係止されるよう構成されている。
【0187】
また、係止部材130は、図19に示すように、上柱1の連結フランジ127の下方に長手方向の略中央が位置するように載置されている。この係止部材130は、図19に示すように、寝かせた状態の上柱1の長手方向に長い長尺部材であって、被係止部126よりも広い間隔を隔てて前後方向Xで対向する一対の側壁131と、側壁131の下部を連結する略平板上の底部(図示省略)とで、上方が開口した断面U形に形成されている。
【0188】
さらに、係止部材130の側壁131には、図19中のA部を拡大したA部拡大図に示すように、伸縮部材121の被係止部126のピン126aが係止される突起部分131aが、上方へ向けて複数突設されている。なお、突起部分131aは、幅方向Yに所定間隔を隔てて突設されている。
【0189】
この突起部分131aは、図19中のA部を拡大したA部拡大図に示すように、正面視において、下柱2側の縁端が略鉛直で、下柱2側の縁端に幅方向Yで対向する縁端が下柱2へ向けて斜め上方へ傾斜した形状に形成されている。
つまり、係止部材130は、下柱2から離間する幅方向Yへの伸縮部材121の移動を規制し、下柱2へ向かう幅方向Yへの伸縮部材121の移動を許容する形状に形成されている。
【0190】
引き続き、上述した構成の建込み支援装置7を用いて、寝かせた状態の上柱1を建て起こして下柱2に連結する工程について、図22及び図23を用いて説明する。
なお、図22は建て起こし過程における建込み支援装置7の状態を説明する説明図を示し、図23は上柱1が起立した状態における建込み支援装置7の状態を説明する説明図を示している。
【0191】
また、図22及び図23中において、第1枢動部100及び第2枢動部110の図示を明確にするため、第1枢動部100に隣接する上柱1の下側エレクションピース1bと、第2枢動部110に隣接する下柱2の上側エレクションピース2aの図示を省略している。
【0192】
まず、作業者は、第2枢動部110の筒体112に、第1枢動部100の下柱側継手部102が接合された軸体111を挿通する。さらに、作業者は、寝かせた状態の上柱1の下方に位置する床版4に、ジャッキ90と係止部材130とを予め載置する。
【0193】
そして、作業者は、重機を用いて寝かせた状態の上柱1を床版4の上に搬入するとともに、下柱側継手部102に対して幅方向Yに離間した位置に上柱側継手部101が位置するように、下柱2に対して上柱1を接近させる。
その後、作業者は、重機を用いて、寝かせた状態の上柱1を幅方向Yへ移動させて、下柱側継手部102と上柱側継手部101とを重合させたのち、ピン103を挿通して、下柱側継手部102と上柱側継手部101とを連結する。
【0194】
この際、作業者は、図19に示すように、寝かせた状態の上柱1の下端部近傍を、ジャッキ90で支持させる。
上柱1をジャッキ90で支持させると、作業者は、図19に示すように、最も縮んだ状態の伸縮部材121を、上柱1の連結フランジ127にする。さらに、作業者は、下柱2から離れた係止部材130の端部近傍に、伸縮部材121の被係止部126を係止して、上柱1の吊り上げ準備を完了する。
【0195】
上柱1の吊り上げ準備が完了すると、作業者は、クレーンなどの重機を上柱1の上端部に連結したのち、上柱1の上端部の吊り上げを開始する。この際、作業者は、ジャッキ90を操作して上柱1を下方から押圧することで、上柱1の回動開始を支援する。
【0196】
上端部が吊り上げられると、上柱1は、図22に示すように、第1枢動部100を中心に上端部が上方へ向かうように正面視反時計周りに回動開始する。
この際、伸縮部材121は、被係止部126のピン126aを中心に立ち上がるように正面視時計周りに回動する。
【0197】
さらに、伸縮部材121は、図22に示すように、継手部125に加わる引張荷重によって、第3柱状部材124から第2柱状部材123が引き出されるとともに、第2柱状部材123から第1柱状部材122が引き出されて伸長する。
【0198】
上柱1の上端部がさらに吊り上げられると、最も伸長した状態の伸縮部材121は、図22及び図23に示すように、被係止部126が係止部材130の突起部分131aから離脱するとともに、継手部125と上柱1の連結フランジ127との連結箇所を中心に下柱2へ向けて回動開始する。
この際、伸縮部材121は、被係止部126が隣接する突起部分131aに順次係止されながら下柱2に向けて移動するように回動する。
【0199】
そして、下柱2の直上に上柱1が起立すると、伸縮部材121は、図23に示すように、最も伸長した状態において、下端である被係止部126が、下柱2に近い係止部材130の端部近傍に係止された状態となる。
【0200】
その後、作業者は、下柱2と上柱1とを溶接によって接合して鉄骨柱3を構成するとともに、第1枢動部100及び第2枢動部110を溶断して、それぞれ上柱1及び下柱2から分離する。
このように、実施例4の建込み支援装置7は、下柱2の上空において、寝かせた状態の上柱1の建て起こしを可能にして、上柱1の建込みを支援している。
【0201】
以上のように、実施例4における上柱1の建込み支援装置7は、水平方向を回転軸とする第1枢動部100と、上下方向を回転軸とする第2枢動部110とを備えているため、上述の実施例3と同様の効果を奏することができる。
【0202】
さらに、上柱1の建込み支援装置7は、寝かせた状態の上柱1の下端部を下方から支持するジャッキ90を備えたものである。
この構成によれば、第1枢動部100に加わる荷重をジャッキ90によって軽減できるため、上柱1の建込み支援装置7は、第1枢動部100の摺動抵抗を小さくすることができる。これにより、上柱1の建込み支援装置7は、上柱1の上端部が吊り上げられた際、第1枢動部100を中心に上柱1をスムーズに回動開始させることができる。
【0203】
また、上柱1の建込み支援装置7は、上柱1が転倒することを伸長によって抑止する転倒抑止機構部120を備えたものである。
この構成によれば、上柱1の建込み支援装置7は、建て起こし過程の上柱1が寝かせた状態へ戻るように転倒することを、転倒抑止機構部120によって抑止することができる。
このため、上柱1の建込み支援装置7は、上柱1の安全な建て起こしをさらに確実に支援することができる。
【0204】
また、転倒抑止機構部120は、上柱側継手部101が設けられた上柱1の面に一端が枢動自在に連結され、伸縮した状態を維持可能な伸縮部材121を備えたものである。
さらに、転倒抑止機構部120は、寝かせた状態の上柱1の下方に位置する床版4に載置され、伸縮部材121の被係止部126が枢動自在に係止される係止部材130を備えたものである。
そして、係止部材130は、上柱1の上端部の吊り上げに伴って、伸縮部材121の被係止部126が下柱2に向かう幅方向Yへ移動可能に構成されたものである。
【0205】
この構成によれば、継手部125が上柱1に連結され、被係止部126が係止部材130に係止されているため、伸縮部材121は、床版4と上柱1との間で突っ張るように上柱1を支持することができる。このため、上柱1の建込み支援装置7は、第1枢動部100を中心に上柱1が転倒することを確実に抑止することができる。
【0206】
さらに、上柱1の上端部の吊り上げに伴って、伸縮部材121の被係止部126が下柱2に向かう幅方向Yへ移動できるため、上柱1の建込み支援装置7は、移動不可の状態で係止される伸縮部材に比べて、全長の短い伸縮部材121で上柱1を支持することができる。
これにより、上柱1の建込み支援装置7は、伸縮部材121の大型化を抑えて、上柱1の安全な建て起こしを支援することができる。
【0207】
また、下柱2に対して上柱1を幅方向Y(水平方向)に沿って移動して、上柱側継手部101と下柱側継手部102とをピン103で連結することにより、上柱1の建込み支援装置7は、寝かせた状態の上柱を吊り上げる高さを抑えることができる。このため、上柱の建込み支援装置は、下柱と上柱とを安全に連結することができる。
【実施例0208】
上述した実施例4の建込み支援装置7とは転倒抑止機構部の構成が異なる実施例5の建込み支援装置8について、図24及び図25を用いて説明する。
なお、上述の実施例4と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、図24は実施例5における建込み支援装置8の正面図を示し、図25は転倒抑止機構部150の正面図を示している。
【0209】
実施例5の建込み支援装置8は、図24に示すように、上柱1の下端部を下方から支持するジャッキ90と、下柱2と上柱1とを枢動可能に連結する第1枢動部100及び第2枢動部110とを備えている。
【0210】
さらに、建込み支援装置8は、図24に示すように、第1枢動部100に対向する上柱1の外側面に一端が枢動自在に連結され、他端が床版4に枢動自在に連結された転倒抑止機構部150を備えている。
【0211】
実施例5の転倒抑止機構部150は、図25に示すように、ピストンロッド151aが上柱1に連結された第1オイルダンパー151と、ピストンロッド152aが床版4に連結された第2オイルダンパー152とを備えている。
さらに、転倒抑止機構部150は、図25に示すように、第1オイルダンパー151のシリンダ151bと第2オイルダンパー152のシリンダ152bとを枢動不可の状態で連結する連結部153を備えている。
【0212】
この転倒抑止機構部150は、図25に示すように、寝かせた状態の上柱1と床版4とを連結した際、第1オイルダンパー151のピストンロッド151a、及び第2オイルダンパー152のピストンロッド152aがそれぞれ突出するように構成されている。
【0213】
具体的には、第1オイルダンパー151は、図25に示すように、所定方向に延びるピストンロッド151aと、ピストンロッド151aを出没可能に収容するシリンダ151bと、シリンダ151bの内部に充填された作動油(図示省略)と、シリンダ151bの内部を流動する作動油の流量を制御するオリフィス弁(図示省略)とで構成されている。
【0214】
この第1オイルダンパー151は、図25に示すように、前後方向Xを回転軸として、ピストンロッド151aの先端が、第1枢動部100の上柱側継手部101に対向する上柱1の外側面に設けた連結フランジ154に枢動自在に連結されている。
なお、連結フランジ154は、前後方向Xに厚みを有する平板状であって、寝かせた状態における上柱1の上面に設けられた下側エレクションピース1bの間に接合されている。
【0215】
このような第1オイルダンパー151のオリフィス弁は、ピストンロッド151aがシリンダ151bの内部から突出する場合に作動油の流量を制限して、減衰力を得られるように構成されている。なお、第1オイルダンパー151は、ピストンロッド151aがシリンダ151bの内部に収容される場合、減衰力が発生しないように構成されている。
【0216】
例えば、第1オイルダンパー151は、ピストンロッド151aが突出する場合、減衰力が250kNとなり、ピストンロッド151aが収容される場合、減衰力が0kNとなるように構成されている。
【0217】
また、第2オイルダンパー152は、図25に示すように、所定方向に延びるピストンロッド152aと、ピストンロッド152aを出没可能に収容するシリンダ152bと、シリンダ152bの内部に充填された作動油(図示省略)と、シリンダ152bの内部を流動する作動油の流量を制御するオリフィス弁(図示省略)とで構成されている。
【0218】
この第2オイルダンパー152は、図25に示すように、前後方向Xを回転軸として、ピストンロッド152aの先端が、床版4上に設けた連結フランジ155に枢動自在に連結されている。
なお、連結フランジ155は、前後方向Xに厚みを有する平板状であって、床版4上に起立した状態で接合されている。
【0219】
このような第2オイルダンパー152のオリフィス弁は、ピストンロッド152aがシリンダ152bの内部から突出する場合に作動油の流量を制限して、減衰力を得られるように構成されている。なお、第2オイルダンパー152は、ピストンロッド152aがシリンダ152bの内部に収容される場合、減衰力が発生しないように構成されている。
【0220】
例えば、第2オイルダンパー152は、ピストンロッド152aが突出する場合、減衰力が250kNとなり、ピストンロッド152aが収容される場合、減衰力が0kNとなるように構成されている。
【0221】
また、連結部153は、図25に示すように、第1オイルダンパー151のシリンダ151bと、第2オイルダンパー152のシリンダ152bとを一体的に囲うトラス構造の柱状体であって、第1オイルダンパー151及び第2オイルダンパー152とを相対移動不可の状態で保持している。
【0222】
引き続き、上述した構成の建込み支援装置8を用いて、寝かせた状態の上柱1を建て起こして下柱2に連結する工程について、図26及び図27を用いて説明する。
なお、図26は建て起こし過程における建込み支援装置8の状態を説明する説明図を示し、図27は上柱1が起立した状態における建込み支援装置8の状態を説明する説明図を示している。
【0223】
まず、作業者は、ジャッキ90を床版4に載置するとともに、転倒抑止機構部150の他端を床版4の連結フランジ155に連結する。その後、作業者は、実施例3と同様に、下柱2に設けた第2枢動部110の筒体112に、上柱1に設けた第2枢動部110の軸体111を挿入しながら、寝かせた状態の上柱1を下柱2に連結する。
【0224】
この際、作業者は、図24に示すように、寝かせた状態の上柱1の下端部近傍をジャッキ90で支持させる。
さらに、作業者は、図25に示すように、上柱1の連結フランジ154に転倒抑止機構部150を連結して、上柱1の吊り上げ準備を完了する。
【0225】
上柱1の吊り上げ準備が完了すると、作業者は、クレーンなどの重機を上柱1の上端部に連結したのち、上柱1の上端部の吊り上げを開始する。この際、作業者は、ジャッキ90を操作して上柱1を下方から押圧することで、上柱1の回動開始を支援する。
【0226】
上端部の吊り上げが開始されると、上柱1は、図26に示すように、転倒抑止機構部150を押圧しながら、第1枢動部100を中心に、上端部が上方へ向かうように正面視反時計周りに回動しようとする
【0227】
この際、転倒抑止機構部150は、図26に示すように、上柱1からの押圧荷重によって、第1オイルダンパー151のピストンロッド151aがシリンダ151bに収容開始され、第2オイルダンパー152のピストンロッド152aがシリンダ152bに収容開始される。
【0228】
なお、第1オイルダンパー151の減衰力及び第2オイルダンパー152の減衰力が0kNのため、転倒抑止機構部150は、上柱1の回動を阻害することなく、その全長が短くなる。
これにより、上柱1が正面視反時計周りに回動開始し、転倒抑止機構部150が、連結フランジ155との連結箇所を中心に回動開始する。
【0229】
そして、下柱2の直上に上柱1が起立すると、転倒抑止機構部150は、図27に示すように、第1オイルダンパー151及び第2オイルダンパー152が最も縮んだ状態となる。
その後、作業者は、下柱2と上柱1とを溶接によって接合して鉄骨柱3を構成するとともに、第1枢動部100、第2枢動部110、上柱1の連結フランジ154、及び床版4の連結フランジ155を溶断して取外す。
【0230】
なお、上端部が吊り上げられた上柱1が寝かせた状態に戻るように、第1枢動部100を中心に正面視時計周りに転倒開始した場合、転倒抑止機構部150は、第1オイルダンパー151のピストンロッド151a、及び第2オイルダンパー152のピストンロッド152aがそれぞれ引っ張られて伸長する。
【0231】
この際、第1オイルダンパー151及び第2オイルダンパー152の作動油の流量が制限されるため、第1オイルダンパー151及び第2オイルダンパー152は、引張荷重に抗しながら緩やかに伸長する。
【0232】
このため、第1オイルダンパー151及び第2オイルダンパー152は、上柱1を吊り上げる重機との協働によって、上柱1の転倒速度を緩やかにして、上柱1の転倒を抑止する。
このように、実施例5の建込み支援装置8は、下柱2の上空において、寝かせた状態の上柱1の建て起こしを可能にして、上柱1の建込みを支援している。
【0233】
以上のように、実施例5における上柱1の建込み支援装置8は、水平方向を回転軸とする第1枢動部100と、上下方向を回転軸とする第2枢動部110とを備えているため、上述の実施例3と同様の効果を奏することができる。
【0234】
さらに、上柱1が転倒することを伸長によって抑止する転倒抑止機構部150を備えたことにより、上柱1の建込み支援装置8は、建て起こし過程の上柱1が寝かせた状態へ戻るように転倒することを、転倒抑止機構部150によって抑止することができる。
このため、上柱1の建込み支援装置8は、上柱1の安全な建て起こしをさらに確実に支援することができる。
【0235】
また、転倒抑止機構部150は、上柱側継手部101に対向して上柱1にピストンロッド151aが枢動自在に連結された第1オイルダンパー151と、床版4にピストンロッド152aが枢動自在に連結された第2オイルダンパー152とを備えたものである。
さらに、転倒抑止機構部150は、第1オイルダンパー151のシリンダ151bと第2オイルダンパー152のシリンダ152bとを枢動不可の状態で連結する連結部153を備えたものである。
【0236】
そして、第1オイルダンパー151及び第2オイルダンパー152は、それぞれピストンロッド151a,152aに引張荷重が作用した際、シリンダ151b,152bの内部を流動する作動油の流量を制限する構成である。
【0237】
この構成によれば、第1オイルダンパー151及び第2オイルダンパー152が伸長する際、シリンダ151b,152bの内部を流動する作動油の流量が制限されるため、転倒抑止機構部150は、作動油の流量が制限されていない場合に比べて、伸長速度が緩やかになる。
【0238】
換言すると、第1オイルダンパー151のピストンロッド151a及び第2オイルダンパー152のピストンロッド152aにそれぞれ引張荷重が加わった際、転倒抑止機構部150は、引張荷重に抗して伸長することになる。
【0239】
このため、建て起こし過程の上柱1が寝かせた状態へ戻るように転倒開始した際、上柱1の建込み支援装置8は、転倒抑止機構部150によって上柱1の転倒速度を緩やかにして、上柱1の転倒を抑止することができる。
【0240】
さらに、上柱1の建込み支援装置8は、床版4と上柱1とを転倒抑止機構部150で連結できるため、上端部の吊り上げに伴う上柱1の揺れ動きを転倒抑止機構部150によって抑制することができる。
【0241】
このため、上柱1の建込み支援装置8は、上柱1の吊り上げる重機に、バランスを崩すような荷重が作用することを抑えることができる。
したがって、上柱1の建込み支援装置8は、上柱1の安全な建て起こしをさらに確実に支援することができる。
【実施例0242】
上述した実施例3の建込み支援装置6とは構成が異なる実施例6の建込み支援装置9について、図28から図30を用いて説明する。
なお、上述の実施例3と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0243】
また、図28は実施例6における建込み支援装置9の分解斜視図を示し、図29はガイド部材180の外観斜視図を示し、図30は第1枢動部160を中心に回動する上柱1の状態を説明する説明図を示している。
【0244】
実施例6の建込み支援装置9は、図28に示すように、上柱1の下側エレクションピース1bに着脱自在に取付けられた第1枢動部160と、下柱2の上側エレクションピース2aに着脱自在に取付けられた第2枢動部170とを備えている。
加えて、実施例6の建込み支援装置9は、図28及び図29に示すように、第1枢動部160を中心とした上柱1の回動を案内する一対のガイド部材180を備えている。
【0245】
なお、実施例6の建込み支援装置9では、図28に示すように、上柱1の下側エレクションピース1bを上柱側基部161とし、下柱2の上側エレクションピース2aを下柱側基部171として、上柱側基部161と下柱側基部171とを第1枢動部160及び第2枢動部170によって枢動可能に連結している。
【0246】
具体的には、第1枢動部160は、図28に示すように、上柱1に取付けられた上柱側継手部162と、下柱2に取付けられた下柱側継手部163と、上柱側継手部162及び下柱側継手部163に挿通されるピン164とで構成されている。
【0247】
第1枢動部160の上柱側継手部162は、図28に示すように、上柱側基部161の間に配置されるとともに、上柱側基部161に着脱自在に取付けられている。この上柱側継手部162は、後述する下柱側継手部163の本体部分163bにピン164を介して連結される継手本体162aと、継手本体162aを支持するとともに、上柱側基部161に取付けられる上柱側台座162bとで構成されている。
【0248】
また、第1枢動部160の下柱側継手部163は、図28に示すように、上下方向に厚みを有する平面視略矩形の平板であるフランジ部分163aと、前後方向Xに所定間隔を隔ててフランジ部分163aから立設され平板状の一対の本体部分163bとで構成されている。
なお、本体部分163bには、ピン164が挿通される開口が形成されている。
【0249】
また、第2枢動部170は、図28に示すように、下柱側継手部163のフランジ部分163aに接合され、下方へ向けて延びる軸体172と、下柱2に取付けられた筒体173とで構成されている。
【0250】
第2枢動部170の筒体173は、図28に示すように、下柱側基部171の間に配置されるとともに、下柱側基部171に着脱自在に取付けられている。この筒体173は、下柱側基部171の間に配置され、軸体172が挿通される筒体本体173aと、筒体本体173aを支持するとともに、下柱側基部171に取付けられる下柱側台座173bとで構成されている。
【0251】
また、一対のガイド部材180は、図28及び図29に示すように、下柱2の前面及び後面のそれぞれに設けた一対の上側エレクションピース2aのうち、第2枢動部170から幅方向Yへ最も離間した位置の上側エレクションピース2aに締結固定されている。
【0252】
このガイド部材180は、図28及び図29に示すように、幅方向Yに厚みを有する板材で、上柱1の回動を案内するガイド本体181と、ガイド本体181を補強する補強部182と、上側エレクションピース2aに係止される係止部183とで構成されている。
【0253】
詳述すると、ガイド部材180のガイド本体181は、図29及び図30(a)に示すように、上側エレクションピース2aにおける第2枢動部170側の主面に当接する本体下部(符号省略)と、本体下部の上端から寝かせた状態の上柱1へ向けて斜め上方へ延設された本体上部(符号省略)とで構成されている。
【0254】
なお、ガイド本体181の本体下部は、他方のガイド本体181に対向する側面同士の間隔が、下柱2の前後方向Xの長さに略同じとなるように形成されている。
一方、ガイド本体181の本体上部は、図30(a)に示すように、第1枢動部160を中心とした上柱1の回動軌跡に沿うように斜め上方へ向けて延設されている。
【0255】
さらに、ガイド本体181の本体上部は、図29に示すように、他方のガイド本体181に対向する側面同士の間隔が上方へ向かうほど広くなるように、他方のガイド本体181に対向する側面が傾斜した形状に形成されている。
【0256】
また、ガイド部材180の補強部182は、図28に示すように、ガイド本体181における第2枢動部170側の主面において、ガイド本体181の本体下部と本体上部とに跨って接合されている。
【0257】
また、ガイド部材180の係止部183は、図29に示すように、ガイド本体181を挟んで補強部182に対向配置されるとともに、ガイド本体181の本体下部に接合されている。
【0258】
次に、上述した構成の建込み支援装置9を用いて、上柱1が建て起こされた場合について簡単に説明する。上柱1の建て起こしが開始されると、寝かせた状態の上柱1は、図30(a)及び図30(b)に示すように、第1枢動部160を回転中心として正面視反時計回りに回動する。
その後、上柱1の下端が、図30(b)に示すように、下柱2の上端に近接するのに伴って、上柱1の前面及び後面がガイド部材180における本体上部の側面に接触する。
【0259】
この際、ガイド部材180の側面に接触することで、上柱1は、第1枢動部160を回転中心とする正面視反時計回りへ回動しながら、第2枢動部170を回転中心とする回転方向へ僅かに回動することになる。このため、上柱1は、ガイド部材180によって下柱2の直上へ案内される。
そして、下柱2の直上に上柱1が回動すると、作業者は、下柱2に上柱1を接合して、上柱1の建て起こしを完了する。
【0260】
上述した構成によれば、上柱側基部161を上柱1の下側エレクションピース1bで構成し、下柱側基部171を下柱2の上側エレクションピース2aで構成しているため、上柱1の建込み支援装置9は、例えば下柱側基部及び上柱側基部をそれぞれ下柱2及び上柱1に締結して装着することを不要にできる。
【0261】
あるいは、上柱1の建込み支援装置9は、上側エレクションピース2a及び下側エレクションピース1bとは別体の下柱側基部及び上柱側基部を、下柱2及び上柱1に一体的に設けることを不要にできる。
【0262】
さらに、上柱1の建込み支援装置9は、下柱側基部及び上柱側基部の取外しと、上側エレクションピース2a及び下側エレクションピース1bの取外しとを別々に行うことを不要にできる。
これにより、上柱1の建込み支援装置9は、作業効率の向上を図るとともに、上柱1の建て起こしを簡素な構成で支援することができる。
【0263】
また、上柱1を下柱2の直上へ案内する一対のガイド部材180を備えたことにより、上柱1の建込み支援装置9は、上下方向を回転中心とした回転方向における上柱1の向きを下柱2に容易に一致させることができる。
【0264】
これにより、上柱1の建込み支援装置9は、下柱2の直上へ向けて上柱1を確実に建て起こすことができるため、第2枢動部170を備えた場合であっても、上柱1のより安全な建て起こしを支援することができる。
【0265】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の枢動部は、実施形態の連結アーム13及び第1枢動部70,100,160に対応し、
以下同様に、
下柱のエレクションピースは、下柱2の上側エレクションピース2aに対応し、
上柱のエレクションピースは、上柱1の下側エレクションピース1bに対応し、
床面は、床版4に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0266】
例えば、上述した実施例1から実施例6において、床版4を貫通する下柱2としたが、これに限定せず、基礎に設けた鉄骨柱の基部を下柱としてもよい。
また、上述した実施例1において、連結アーム13が、上柱側基部11及び下柱側基部12に対して枢動可能に連結された構成としたが、これに限定せず、少なくとも下柱側基部12と連結アーム13とが枢動可能に連結されていれば、連結アーム13が上柱側基部11に締結固定されてもよい。
【0267】
また、実施例1において、傾きを異ならせた平面を組み合わせた上面を有する正面視略蒲鉾状の滑り部材16としたが、これに限定せず、上柱1の隅部1a近傍の回動軌跡に沿った正面視略円弧状の上面を有する滑り部材であってもよい。
【0268】
また、実施例1において、ガイド部材14の滑り部材16を、自己潤滑性及び低摩擦係数のエンジニアリングプラスチック製としたが、これに限定せず、ステンレスなどの金属製の滑り部材、あるいはエンジニアリングプラスチックの表面に金属製薄膜板を貼付した滑り部材などであってもよい。
この際、滑り部材の摩耗を抑制するために、上柱1の隅部1aを研磨して平滑性を向上させてもよい。
【0269】
また、実施例3において、寝かせた状態における上柱1の長手方向が幅方向Yに対して交差するように、上柱1を床版4上に搬入したが、これに限定せず、寝かせた状態における上柱1の長手方向が幅方向Yに略一致するように、上柱1を床版4上に搬入してもよい。
【0270】
また、実施例3の建込み支援装置6に、上柱1と下柱2とを連結するダンパーを設けてもよい。この場合、寝かせた状態における上柱1の長手方向が幅方向Yに略一致するように、上柱1を床版4上に搬入する。
また、実施例3の建込み支援装置6または実施例4の建込み支援装置7に、実施例1の巻取り機構部20を設けてもよい。この場合、寝かせた状態における上柱1の長手方向が幅方向Yに略一致するように、上柱1を床版4上に搬入する。
【0271】
また、実施例3において、上柱1を起立させたあと、第2枢動部80を中心に上柱1を水平方向へ回動させたが、これに限定せず、第2枢動部80を中心に上柱1を水平方向へ回動させながら、第1枢動部70を中心に寝かせた状態の上柱1を反時計周りに回動させてもよい。この場合であっても、上柱1の建込み支援装置6は、上下方向を回転中心とした回転方向における上柱1の向きを容易に下柱2に一致させることができる。
【0272】
また、上柱1を床版4上に搬入するタイミングは、実施例1から実施例3に記載のタイミングに限定せず、適宜のタイミングで搬入されてもよい。
また、実施例1及び実施例2において、連結アーム13を取付けるタイミング、巻取り機構部20を取付けるタイミング、及びダンパー30を取付けるタイミングは、上述のタイミングに限定せず、上柱1の吊り上げを開始するまでの間であれば、適宜のタイミングであってもよい。
【0273】
また、実施例3において、下柱2に下柱側基部50と取付けるタイミング、及び上柱1に上柱側基部60を取付けるタイミングは、上述のタイミングに限定せず、上柱1の吊り上げを開始するまでの間であれば、適宜のタイミングであってもよい。
【0274】
また、実施例4の転倒抑止機構部120、または実施例5の転倒抑止機構部150を、実施例1の上柱1の建込み支援装置5に適用してもよい。
また、実施例4のジャッキ90を、実施例1の建込み支援装置5または実施例3の建込み支援装置6に適用してもよい。
【0275】
また、実施例4において、伸縮部材121を係止部材130に係止する構成としたが、これに限定せず、別の実施形態における建込み支援装置7の正面図を示す図31のように、伸縮部材121の一端を上柱1に枢動自在に連結し、伸縮部材121の他端を床版4上に枢動自在に連結した転倒抑止機構部であってもよい。
【0276】
この場合、伸縮部材121は、別の実施形態における転倒抑止機構部の動作を説明する概略図を示す図32のように、上柱1の回動に追従するように、床版4との連結箇所を中心に正面視反時計回りに回動しながら伸長することで、上柱1の建込みを支援する。
この構成であっても、上柱1の建込み支援装置7は、上述の実施例4と同じ効果を奏することができる。
【0277】
また、実施例6において、第1枢動部160の上柱側継手部162を、上柱1の下側エレクションピース1bで構成した上柱側基部161に取付けた構成としたが、これに限定しない。
例えば、上柱1の下側エレクションピース1bに第1枢動部の上柱側継手部を一体形成し、上柱1の下側エレクションピース1bが、下柱2の下柱側基部に取付けた下柱側継手部に連結される構成であってもよい。
【0278】
また、実施例3の建込み支援装置6、実施例4の建込み支援装置7、実施例5の建込み支援装置8、及び実施例6の建込み支援装置9において、水平方向を回転軸として上柱1を枢動させる第1枢動部70,100,160と、上下方向を回転軸として上柱1を枢動させる第2枢動部80,110,170とを備えた構成としたが、これに限定しない。
例えば前後方向Xにおける下柱側継手部の端面に近接して、第2枢動部の回動を規制する一対のロック部を備えた建込み支援装置であってもよい。
【0279】
ここで一例として、上述した実施例6の建込み支援装置9を用いて説明すると、ロック部174の概略を説明する説明図を示す図33のように、建込み支援装置9は、前後方向Xにおける下柱側継手部163の端面に近接して、第2枢動部170の回動を規制する一対のロック部174を下柱側台座173bに備えている。
【0280】
このロック部174は、複数の板材を組み合わせて構成され、下柱側台座173bに回転自在に支持されている。
詳述すると、一対のロック部174は、図33に示すように、水平方向を回転軸として、下柱側台座173bに回転自在に支持されるとともに、前後方向Xにおける下柱側継手部163のフランジ部分163aの端面に近接して対面可能に構成されている。
【0281】
このロック部174は、図33(a)の二点鎖線で示すように、下柱側台座173bとの連結箇所を中心に回転することで、下柱側継手部163の端面から離間するように構成されている。
【0282】
つまり、ロック部174は、前後方向Xにおける下柱側継手部163の端面に近接して対面する状態と、下柱側継手部163の端面から離間した状態とに移行可能に構成されている。
なお、ロック部174は、作業者が手動で回動させる、あるいは作業者の操作によって動作するアクチュエータで回動する、もしくは上柱1の建て起こしに追従して回動することで、下柱側継手部163の端面に近接するものとする。
【0283】
このような構成の場合、作業者は、ロック部174が下柱側継手部163の端面から離間した状態において、寝かせた状態の上柱1を建て起こすとともに、上下方向を回転中心とした回転方向における上柱1の向きを下柱2に一致させる。その後、作業者は、ロック部174を下柱側継手部163の端面に近接して対面する状態に移行させて、第2枢動部170の回動を規制する。
【0284】
この構成によれば、ロック部174が下柱側継手部163の端面に近接して対面する状態の場合、上柱1の建込み支援装置は、第2枢動部170の軸体の回動を、下柱側継手部163のフランジ部分163aとロック部174との接触によって阻止することができる。
【0285】
このため、上柱1の建込み支援装置は、寝かせた状態の上柱1が建て起こされる過程で、上柱1が意図せず上下方向を回転軸として回動することを、ロック部174によって規制することができる。これにより、上柱1の建込み支援装置は、第2枢動部170を備えた場合であっても、上柱1のより安全な建て起こしを支援することができる。
【符号の説明】
【0286】
1…上柱
1b…下側エレクションピース
2…下柱
2a…上側エレクションピース
4…床版
5,6,7,8,9…建込み支援装置
11,60,161…上柱側基部
12,50,113,171…下柱側基部
13…連結アーム
14…ガイド部材
16…滑り部材
22…ワイヤー
23…巻取り機
24a…ガイドローラー
30…ダンパー
40…支柱部材
70,100,160…第1枢動部
80,110,170…第2枢動部
81…軸体
82…筒体
90…ジャッキ
101…上柱側継手部
120,150…転倒抑止機構部
121…伸縮部材
130…係止部材
151…第1オイルダンパー
151a…ピストンロッド
151b…シリンダ
152…第2オイルダンパー
152a…ピストンロッド
152b…シリンダ
153…連結部
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