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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125118
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】排気フード
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/02 20060101AFI20230831BHJP
   F23L 17/00 20060101ALI20230831BHJP
   F23L 17/14 20060101ALI20230831BHJP
   F23J 13/08 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
F23L17/02 602F
F23L17/02 602E
F23L17/00 M
F23L17/14 A
F23J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029071
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 徹
(72)【発明者】
【氏名】栗本 晃来
(57)【要約】
【課題】
シール部材を用いることなく、排気フード(1)の前カバー(30)と後板(10)との間から燃焼排気が漏れ出すことを防止する。
【解決手段】後板に前カバーを取り付けると、前カバーの上側枠壁部(32a)と左側枠壁部(32b)と右側枠壁部(32c)とによって後板が囲われた状態となる。後板に取り付けられた吸音部材(20)は、前カバーの左側枠壁部と右側枠壁部との間の距離よりも大きくなっており、前カバーは、左側枠壁部の内壁面と右側枠壁部の内壁面と吸音部材を圧縮した状態で後板に取り付けられる。このため、後板の左右端と前カバーとの間の隙間が、圧縮された吸音部材で塞がれるので、シール部材を用いなくても、燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に取り付けられる後板と、前記後板の前方を覆って前記後板に取り付けられた前カバーとを有し、前記外壁に開口した燃焼排気の排気口を屋外の風雨から保護するために前記外壁に取り付けられる排気フードにおいて、
前記後板は、前記前カバーに向き合う側の面に吸音部材が取り付けられた矩形形状の板状部材であり、
前記前カバーからは、前記前カバーが前記後板に取り付けられた時に、前記後板の上端よりも上側となる位置に向かって突出した上側枠壁部と、前記後板の左端よりも左側となる位置に向かって突出した左側枠壁部と、前記後板の右端よりも右側となる位置に向かって突出した右側枠壁部とが立設しており、
前記吸音部材は、左右方向の幅寸法が、前記前カバーの前記左側枠壁部の内壁面と前記右側枠壁部の内壁面との間隔よりも大きな寸法に設定されており、
前記前カバーは、前記左側枠壁部の内壁面と前記右側枠壁部の内壁面とで前記吸音部材を圧縮した状態で、前記後板に取り付けられる
ことを特徴とする排気フード。
【請求項2】
請求項1に記載の排気フードにおいて、
前記後板からは、前記吸音部材に当接することによって前記吸音部材を左右方向に位置決めするための左右方向位置決部が立設されており、
前記吸音部材には、前記左右方向位置決部に当接する左右方向当接部が形成されている
ことを特徴とする排気フード。
【請求項3】
請求項2に記載の排気フードにおいて、
前記吸音部材には、前記吸音部材の左側の端面および右側の端面のそれぞれに前記左右方向当接部が形成されており、
前記後板には、前記吸音部材の両側に形成された前記左右方向当接部に対応する複数の位置に、前記左右方向位置決部が立設されており、
複数の前記左右方向位置決部は、前記吸音部材の両側に形成された前記左右方向当接部で前記吸音部材を挟むことによって、前記吸音部材を左右方向に位置決めする
ことを特徴とする排気フード。
【請求項4】
建物の外壁に取り付けられる後板と、前記後板の前方を覆って前記後板に取り付けられた前カバーとを有し、前記外壁に開口した燃焼排気の排気口を屋外の風雨から保護するために前記外壁に取り付けられる排気フードにおいて、
前記後板は、前記前カバーに向き合う側の面に吸音部材が取り付けられた矩形形状の板状部材であり、
前記前カバーからは、前記前カバーが前記後板に取り付けられた時に、前記後板の上端よりも上側となる位置に向かって突出した上側枠壁部と、前記後板の左端よりも左側となる位置に向かって突出した左側枠壁部と、前記後板の右端よりも右側となる位置に向かって突出した右側枠壁部とが立設しており、
前記吸音部材は、前記吸音部材の上端が、前記後板の上端よりも上方に突出した状態で前記後板に取り付けられており、
前記前カバーは、前記上側枠壁部の内壁面が前記吸音部材を圧縮した状態で、前記後板に取り付けられる
ことを特徴とする排気フード。
【請求項5】
請求項4に記載の排気フードにおいて、
前記後板からは、前記吸音部材に当接することによって前記吸音部材を上下方向に位置決めするための上下方向位置決部が立設されており、
前記吸音部材には、前記上下方向位置決部に当接する上下方向当接部が形成されている
ことを特徴とする排気フード。
【請求項6】
建物の外壁に取り付けられる後板と、前記後板の前方を覆って前記後板に取り付けられた前カバーとを有し、前記外壁に開口した燃焼排気の排気口を屋外の風雨から保護するために前記外壁に取り付けられる排気フードにおいて、
前記後板には、矩形形状の後板本体部の上端および左右端に壁状のフランジ部が立設されており、
前記前カバーからは、前記前カバーが前記後板に取り付けられた時に、前記後板の上端の前記フランジ部よりも上側となる位置に向かって突出した上側枠壁部と、前記後板の左端の前記フランジ部よりも左側となる位置に向かって突出した左側枠壁部と、前記後板の右端の前記フランジ部よりも右側となる位置に向かって突出した右側枠壁部とが立設しており、
前記前カバーの前記上側枠壁部、前記左側枠壁部、前記右側枠壁部の少なくとも何れかの内壁面には吸音部材が取り付けられており、
前記前カバーは、前記内壁面の前記吸音部材が、前記後板の前記フランジ部の外側面で圧縮された状態で、前記後板に取り付けられる
ことを特徴とする排気フード。
【請求項7】
建物の外壁に取り付けられる後板と、前記後板の前方を覆って前記後板に取り付けられた前カバーとを有し、前記外壁に開口した燃焼排気の排気口を屋外の風雨から保護するために前記外壁に取り付けられる排気フードにおいて、
前記前カバーには、前記後板に向き合う側の面に吸音部材が取り付けられており、
前記後板には、矩形形状の後板本体部の上端および左右端から、前方に向けて壁状のフランジ部が立設されており、
前記前カバーは、前記後板から立設された前記フランジ部の先端によって、前記吸音部材が圧縮された状態で前記後板に取り付けられる
ことを特徴とする排気フード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁に開口した排気口から風雨が室内に浸入することを防止するために、建物の外壁に取り付けられる排気フードに関する。
【背景技術】
【0002】
室内で燃料を燃焼させる燃焼装置の中には、燃焼によって生じた燃焼排気を室内に放出する方式の燃焼装置と、屋外に排出する方式の燃焼装置とが存在する。燃焼排気を屋外に排出する方式の燃焼装置では、燃焼によって生じた燃焼排気を、排気ダクトを用いて、建物の壁を貫通させた排気通路まで導いて、外壁に開口した排気口から屋外に排出するようになっている。また、外壁に開口した排気口から風雨が室内に浸入することを防止するために、排気口が開口している位置の外壁には、排気口を覆う排気フードが取り付けられている。
【0003】
排気フードは、板状の後板に、後板の前面側を覆う前カバーが取り付けられた構造となっている。後板には、排気口と同程度の大きさの丸穴が形成されており、前カバーは、後板の丸穴を覆って且つ後板から離間させた状態で、後板の上端および左右端に取り付けられている。このため、後板と前カバーとの間に形成された空間は、上方および左右方向は前カバーによって塞がれているが、下方は開放された状態となっている。
【0004】
排気フードを外壁に取り付ける際には、後板の丸穴が、外壁に開口した排気口の位置に来るように位置合わせした状態で、後板を外壁に取り付ける。こうすれば、後板に取り付けられた前カバーによって、排気口に風雨が掛かることを防ぐことができ、その一方で、排気口から排出された燃焼排気は、前カバーと後板との間の空間を介して下方に排出させることができる。また、建物の外壁と排気フードの後板との間の隙間にコーキング材を充填しておくことで、この隙間から浸み込んだ雨が排気口に達して、排気口から室内に浸入することも防止することができる。
【0005】
もっとも、コーキング材を充填すると、保守点検や交換などで排気フードを外壁から取り外す必要が生じた時に、簡単には取り外すことができなくなる。そこで、コーキング材が充填される箇所の形状を工夫することで、外壁から簡単に取り外せるようにした排気フードも提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-139057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した提案されている従来の排気フードでは、燃焼排気の風量が増加すると、前カバーと後板との隙間から燃焼排気が漏れ出して建物の外壁を汚すことがあり、燃焼排気の漏れを止めるためにはシール部材を追加したのでは、部品点数が増加してしまうという問題があった。
【0008】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、シール部材を用いることなく、前カバーと後板との間から燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能な排気フードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の排気フードは次の構成を採用した。すなわち、
建物の外壁に取り付けられる後板と、前記後板の前方を覆って前記後板に取り付けられた前カバーとを有し、前記外壁に開口した燃焼排気の排気口を屋外の風雨から保護するために前記外壁に取り付けられる排気フードにおいて、
前記後板は、前記前カバーに向き合う側の面に吸音部材が取り付けられた矩形形状の板状部材であり、
前記前カバーからは、前記前カバーが前記後板に取り付けられた時に、前記後板の上端よりも上側となる位置に向かって突出した上側枠壁部と、前記後板の左端よりも左側となる位置に向かって突出した左側枠壁部と、前記後板の右端よりも右側となる位置に向かって突出した右側枠壁部とが立設しており、
前記吸音部材は、左右方向の幅寸法が、前記前カバーの前記左側枠壁部の内壁面と前記右側枠壁部の内壁面との間隔よりも大きな寸法に設定されており、
前記前カバーは、前記左側枠壁部の内壁面と前記右側枠壁部の内壁面とで前記吸音部材を圧縮した状態で、前記後板に取り付けられる
ことを特徴とする。
【0010】
上述した本発明の第1の排気フードでは、矩形形状の後板に前カバーを取り付けると、前カバーから突出した上側枠壁部と左側枠壁部と右側枠壁部とによって、後板の上端と左端と右端とが囲われた状態となる。また、後板には、前カバーに向き合う側の面に吸音部材が取り付けられており、吸音部材の左右方向の幅寸法は、前カバーの左側枠壁部の内壁面と、右側枠壁部の内壁面との間の距離よりも大きな寸法に設定されている。このため、後板に吸音部材を取り付けた状態で前カバーを取り付けると、前カバーは、左側枠壁部の内壁面と右側枠壁部の内壁面とが吸音部材を圧縮した状態で後板に取り付けられるようになっている。
【0011】
こうすれば、前カバーの左側枠壁部と後板との間や、右側枠壁部と後板との間は、圧縮された吸音部材で塞がれた状態となるので、シール部材を用いなくても、少なくともこれらの箇所からは、燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【0012】
また、上述した本発明の第1の排気フードにおいては、後板から左右方向位置決部を立設させておき、吸音部材を後板に取り付ける際には、吸音部材に設けた左右方向当接部に左右方向位置決部を当接させることによって、吸音部材を後板に対して左右方向に位置決めするようにしてもよい。
【0013】
こうすれば、吸音部材を後板に取り付ける際に、吸音部材を簡単に位置決めすることができる。また、吸音部材を左右方向に位置決めしておけば、前カバーを取り付けた時に、吸音部材の左側と右側とを同程度に圧縮することができる。このため、圧縮の程度が少ない側から燃焼排気が漏れ出すことがなく、確実に燃焼排気をシールすることが可能となる。
【0014】
また、上述した本発明の第1の排気フードにおいては、吸音部材の左側の端面および右側の端面のそれぞれに左右方向当接部を形成しておき、後板の左右の位置に立設された左右方向位置決部で、吸音部材の両側の左右方向当接部を挟むことによって、吸音材を左右方向に位置決めするようにしてもよい。
【0015】
こうすれば、吸音部材の左右の端面に左右方向当接部を形成すればよいので、吸音部材を簡単な形状とすることができる。
【0016】
また、本発明の第2の排気フードは次の構成を採用した。すなわち、
建物の外壁に取り付けられる後板と、前記後板の前方を覆って前記後板に取り付けられた前カバーとを有し、前記外壁に開口した燃焼排気の排気口を屋外の風雨から保護するために前記外壁に取り付けられる排気フードにおいて、
前記後板は、前記前カバーに向き合う側の面に吸音部材が取り付けられた矩形形状の板状部材であり、
前記前カバーからは、前記前カバーが前記後板に取り付けられた時に、前記後板の上端よりも上側となる位置に向かって突出した上側枠壁部と、前記後板の左端よりも左側となる位置に向かって突出した左側枠壁部と、前記後板の右端よりも右側となる位置に向かって突出した右側枠壁部とが立設しており、
前記吸音部材は、前記吸音部材の上端が、前記後板の上端よりも上方に突出した状態で前記後板に取り付けられており、
前記前カバーは、前記上側枠壁部の内壁面が前記吸音部材を圧縮した状態で、前記後板に取り付けられる
ことを特徴とする。
【0017】
上述した本発明の第2の排気フードでは、矩形形状の後板に前カバーを取り付けると、前カバーから突出した上側枠壁部と左側枠壁部と右側枠壁部とによって、後板の上端と左端と右端とが囲われた状態となる。また、吸音部材は、上端が後板の上端よりも上方に突出した状態で後板に取り付けられている。このため、後板に吸音部材を取り付けた状態で前カバーを取り付けると、前カバーは、上側枠壁部の内壁面が吸音部材を圧縮した状態で後板に取り付けられる。その結果、前カバーの上側枠壁部と後板との間は、圧縮された吸音部材で塞がれた状態となるので、シール部材を用いなくても、この箇所から燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【0018】
また、上述した本発明の第2の排気フードにおいては、後板から上下方向位置決部を立設させておき、吸音部材を後板に取り付ける際には、吸音部材に設けた上下方向当接部に上下方向位置決部を当接させることによって、吸音部材を後板に対して上下方向に位置決めするようにしてもよい。
【0019】
こうすれば、吸音部材を後板に取り付ける際に、吸音部材を簡単に位置決めすることができる。また、後板に対して吸音部材の上端が、適切な寸法だけ突出した状態に位置決めすることができるので、吸音部材の圧縮の程度を適切にすることができる。その結果、燃焼排気が漏れ出すことを確実に防止することが可能となる。
【0020】
また、本発明の第3の排気フードは次の構成を採用した。すなわち、
建物の外壁に取り付けられる後板と、前記後板の前方を覆って前記後板に取り付けられた前カバーとを有し、前記外壁に開口した燃焼排気の排気口を屋外の風雨から保護するために前記外壁に取り付けられる排気フードにおいて、
前記後板には、矩形形状の後板本体部の上端および左右端に壁状のフランジ部が立設されており、
前記前カバーからは、前記前カバーが前記後板に取り付けられた時に、前記後板の上端の前記フランジ部よりも上側となる位置に向かって突出した上側枠壁部と、前記後板の左端の前記フランジ部よりも左側となる位置に向かって突出した左側枠壁部と、前記後板の右端の前記フランジ部よりも右側となる位置に向かって突出した右側枠壁部とが立設しており、
前記前カバーの前記上側枠壁部、前記左側枠壁部、前記右側枠壁部の少なくとも何れかの内壁面には吸音部材が取り付けられており
前記前カバーは、前記内壁面の前記吸音部材が、前記後板の前記フランジ部の外側面で圧縮された状態で、前記後板に取り付けられる
ことを特徴とする。
【0021】
上述した本発明の第3の排気フードでは、後板が、矩形形状の後板本体部の上端および左右端から壁状のフランジ部が立設された形状となっている。そして、後板に前カバーを取り付けると、前カバーから突出した上側枠壁部と左側枠壁部と右側枠壁部とによって、後板が囲われた状態となる。また、前カバーの上側枠壁部、または左側枠壁部、または右側枠壁部の少なくとも何れかの内壁面には吸音部材が取り付けられている。そして、前カバーを後板の取り付けると、前カバーの内壁面に取り付けられた吸音部材が、後板のフランジ部の外側面で圧縮された状態で、前カバーが後板に取り付けられる。
【0022】
こうすれば、前カバーの上側枠壁部、または左側枠壁部、または右側枠壁部の内壁面に吸音部材が取り付けられた部分では、後板のフランジ部との間が、圧縮された吸音部材によって塞がれた状態となる。このため、シール部材を用いなくても、少なくともこの箇所からは、燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【0023】
また、本発明の第4の排気フードは次の構成を採用した。すなわち、
建物の外壁に取り付けられる後板と、前記後板の前方を覆って前記後板に取り付けられた前カバーとを有し、前記外壁に開口した燃焼排気の排気口を屋外の風雨から保護するために前記外壁に取り付けられる排気フードにおいて、
前記前カバーには、前記後板に向き合う側の面に吸音部材が取り付けられており
前記後板には、矩形形状の後板本体部の上端および左右端から、前方に向けて壁状のフランジ部が立設されており、
前記前カバーは、前記後板から立設された前記フランジ部の先端によって、前記吸音部材が圧縮された状態で前記後板に取り付けられる
ことを特徴とする。
【0024】
上述した本発明の第3の排気フードでは、後板が、矩形形状の後板本体部の上端および左右端から、前方に向けて壁状のフランジ部が立設された形状となっている。また、前カバーには、後板の向き合う側の面に吸音部材が取り付けられている。そして、後板に前カバーを取り付けると、前カバーに取り付けられた吸音部材が、後板から立設されたフランジ部の先端によって圧縮された状態となる。
【0025】
こうすれば、後板から立設されたフランジ部の先端と、前カバーとの間が、圧縮された吸音部材によって塞がれた状態となる。このため、シール部材を用いなくても、少なくともこの箇所からは、燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施例の排気フード1の構造を示す分解組立図である。
図2】建物の外壁2に取り付けられた本実施例の排気フード1を示した説明図である。
図3】参考として、後板91と前カバー92との間にシール部材93を介在させた排気フード9を例示した説明図である。
図4】本実施例の後板10に吸音板20を位置決めして取り付けた様子を示す説明図である。
図5】本実施例の排気フード1で後板10に前カバー30を取り付ける方法を示した説明図である。
図6】前カバー30の枠壁部32a,32b,32cの先端側の形状を変更した本実施例の他の態様を例示した説明図である。
図7】本実施例の排気フード1で後板10の上端にリブ14が突設され、前カバー30の上端にリブ33が突設されている理由を示した説明図である。
図8】第1変形例の排気フード1で後板10に吸音板20を位置決めして取り付ける様子を示す説明図である。
図9】第1変形例の他の態様の排気フード1で後板10に吸音板20を位置決めして取り付ける様子を示す説明図である。
図10】第2変形例の排気フード1で後板10に前カバー30を取り付ける方法を示した説明図である。
図11】第3変形例の排気フード1で後板10に前カバー30を取り付ける方法を示した説明図である。
図12】第3変形例の他の態様の排気フード1についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
A.本実施例 :
図1は、本実施例の排気フード1の構造を示す分解組立図である。図示されるように、排気フード1は、板金製の後板10の前方に、板金製の前カバー30を取り付けた構造となっている。後板10は、矩形形状の後板本体部11の上部に丸穴12が形成されると共に、後板本体部11の上端および左右端が背面側に折り曲げられることによって、壁状の細長いフランジ部13が形成された形状となっている。上端に形成されたフランジ部13(以下、フランジ部13a)の上面には、フランジ部13の長手方向に延びる凸状のリブ14が突設されている。
【0028】
後板本体部11の左上隅および右上隅の位置には、後板本体部11が手前側に切り起こされることによって、それぞれに矩形形状の支持板18が突設されており、支持板18よりも外側の左上隅および右上隅の位置には、後板10を建物の外壁2に取り付けるための取付穴17が形成されている。更に、後板本体部11の上部に形成された丸穴12には、円筒形状の取付筒15が挿通されて、取付筒15の先端は後板本体部11の背面に突出している。取付筒15の側面からは円環状のフランジ15aが突設されており、取付筒15は、フランジ15aが後板本体部11に当接した状態で取り付けられている。このため、取付筒15の後端部分は、後板本体部11から手前側に突出することによって円筒形状の突出部19を形成している。更に、後板本体部11の下端は、前方に向かって斜めに折り曲げられることによって、細長い保護板部16が形成されている。
【0029】
後板本体部11の前面側には、グラスウール製で矩形形状の吸音板20が取り付けられる。吸音板20の左上隅および右上隅は、それぞれ矩形形状に切り欠かれることによって切欠部20bが形成されている。後板10を建物の外壁2に取り付ける際には、これらの切欠部20bから、図示しないビスを取付穴17に挿入することによって取り付けるようになっている。また、切欠部20bで切り欠かれた部分の吸音板20の左右の側面には、平坦な当接面20cが形成されており、左右の当接面20cの間の距離は、後板10の後板本体部11から立設された左右の支持板18の間の距離と同じに設定されている。また、吸音板20の上部には、円形の挿通窓20aが形成されている。尚、本実施例の吸音板20は、本発明における「吸音部材」に対応する。
【0030】
吸音板20を後板10に取り付ける際には、後板10から突設されている円筒形状の突出部19を、吸音板20の挿通窓20aに挿通させると共に、後板10の左上隅および右上隅に立設されている支持板18で、吸音板20の左上隅および右上隅の切欠部20bの当接面20cを挟むようにして取り付ける。上述したように、吸音板20の左右の当接面20cの距離は、後板10の左右の支持板18の距離と同じに設定されているから、吸音板20は、後板10の支持板18で左右方向に位置決めされることになる。従って、本実施例の排気フード1では、後板10の支持板18が、本発明における「左右方向位置決部」に対応し、吸音板20の当接面20cが、本発明における「左右方向当接部」に対応する。
【0031】
また、吸音板20を後板10に取り付けると、吸音板20は自重で下がろうとするから、吸音板20の挿通窓20aの内周面の上部が、後板10から突設された円筒形状の突出部19の上面に当接することによって上下方向に位置決めされることになる。従って、本実施例の排気フード1では、後板10の突出部19が、本発明における「上下方向位置決部」に対応し、吸音板20の挿通窓20aが、本発明における「上下方向当接部」に対応する。
【0032】
前カバー30は、矩形形状のカバー本体部31の上端および左右端の位置から、壁状の細長い枠壁部32が、後板10に向かって立設された形状となっている。図1に示した例では、板金製で矩形形状のカバー本体部31の左右端が折り曲げられることによって、左端側の枠壁部32bおよび右端側の枠壁部32cが形成されている。また、カバー本体部31の下端には、板金製の底板34が取り付けられている。底板34には、切り起こしによって複数の風向板34aが形成され、風向板34aが切り起こされた部分には複数の送風窓34bが形成されている。尚、本実施例では、前カバー30の上端側の枠壁部32aが本発明における「上側枠壁部」に対応し、左端側の枠壁部32bが本発明における「左側枠壁部」に対応し、右端側の枠壁部32cが本発明における「右側枠壁部」に対応する。
【0033】
更に、カバー本体部31の上端には、左端側の枠壁部32bと右端側の枠壁部32cとの間を塞ぐようにして、上端側の枠壁部32aが取り付けられている。上端側の枠壁部32aの上面には、枠壁部32aの長手方向に延びる凸状のリブ33が形成されており、これに伴って、リブ33の裏側は、枠壁部32aの下面が凹状に窪んだ溝形状となっている。そして、溝の長さおよび大きさは、後板10の上端側のフランジ部13aに突設されたリブ14が、溝の中にちょうど嵌る大きさとなっている。
【0034】
また、前カバー30の左右端に形成された枠壁部32b,32cの間の距離は、後板10の左右端に形成されたフランジ部13b,13cの外側面の間の距離よりも大きく形成されている。このため、前カバー30は、枠壁部32a,32b,32cの内側に後板10のフランジ部13a,13b,13cを収容した状態で、前方から後板10に取り付けることができる。
【0035】
カバー本体部31の後面側(後板10に面する側)にも、矩形形状でグラスウール製の吸音板21が取り付けられる。吸音板21の横幅は、カバー本体部31の左右端に形成された枠壁部32の間の距離に合わせた寸法に設定されている。吸音板21は、カバー本体部31の上端に形成された枠壁部32a、および左右端に形成された枠壁部32b,32cで位置決めした状態で、カバー本体部31に取り付けられる。また、吸音板21の上端には後板10に向かって突出した凸部21aが形成されており、吸音板21を前カバー30に取り付けると、前カバー30の上端側の枠壁部32aの内面が、吸音板21から突出した凸部21aで覆われた状態となる。
【0036】
図2は、本実施例の排気フード1を建物の外壁2に取り付けた状態を示した説明図である。本実施例の排気フード1は、背面側に突出した取付筒15(図1参照)を、外壁2に開口した排気口3に挿入した状態で取り付けられる。また、図中で斜線を付した矢印は燃焼排気の流れを表している。図示されるように、排気口3から流出した燃焼排気は、排気フード1の内部を通って下方から排出される。
【0037】
このように、外壁2に排気口3が開口した箇所に排気フード1を取り付けておけば、屋外の風雨が排気口3から浸入することを防止できる。また、図1を用いて前述したように、排気フード1の内部には吸音板20,21が収納されているので、燃焼排気の排出音が屋外に放出されることを防止することができ、更には、屋外の騒音が排気口3から室内に浸入することも防止することができる。それでいながら、図2に示すように、排気フード1は、薄く且つすっきりとした外観形状となっている。加えて、排気フード1の下面側には底板34が取り付けられているので、下方から覗いても内部が見えることがない。このため、建物の外壁2に排気フード1を取り付けた場合でも、建物の印象を損ねることがない。
【0038】
その一方で、排気フード1は建物の外壁2に取り付けられるので、燃焼排気の風量が大きくなって排気フード1内の圧力が増加すると、前カバー30と後板10との隙間から燃焼排気が漏れ出して建物の外壁2を汚してしまう懸念がある。そこで、図3(a)あるいは図3(b)に示した排気フード9のように、後板91および前カバー92の外周にフランジ91aおよびフランジ92aを形成し、フランジ91a,92aの間にシール部材93を挟んだ状態で前カバー92を後板91に取り付けることが考えられる。こうすれば、前カバー92と後板91との間から燃焼排気が漏れ出す虞はなくなるが、シール部材93が新たに必要となるので部品点数が増えてしまう。加えて、後板91および前カバー92の外周にフランジ91aおよびフランジ92aを形成する必要があるので、排気フード9の構造が複雑になってしまう。更には、排気フード9の外部からシール部材93が見えてしまうので、排気フード9の美観を損ねてしまう。その結果、排気フード9を建物の外壁2に取り付けることで、建物の印象を損ねてしまう虞もある。
【0039】
そこで、本実施例の排気フード1では、吸音板20の左右方向の寸法が、後板10の左右方向の寸法よりも広く設定されており、吸音板20が後板10に対して次のような状態で取り付けられるようになっている。図4は、本実施例の排気フード1で、吸音板20が後板10に取り付けられた状態を示した説明図である。図4(a)に示すように、吸音板20は、左右方向には、後板10の支持板18が吸音板20の当接面20cに当接することによって位置決めされ、上下方向には、後板10の突出部19の上面が、吸音板20の挿通窓20a(図1参照)の内周面の上部に当接することによって位置決めされた状態で取り付けられる。このようにして後板10に吸音板20を取り付けると、本実施例の排気フード1では、吸音板20の上端が、後板10の上端側のフランジ部13aよりも上方となり、また、吸音板20の左右端も、後板10の左右のフランジ部13b,13c(図1参照)よりも外側となるようになっている。
【0040】
図4(b)には、後板10の上部を背面側から(図4(a)中で矢印Pの方向から)見た状態が示されている。図4(b)に示されるように、吸音板20は、左右の当接面20cが、後板10から立設された左右の支持板18に当接することによって、左右方向に位置決めされる。その結果、吸音板20の左右端は、後板10の左端側のフランジ部13bおよび右端側のフランジ部13cから同じ寸法だけ、外側に位置するようになる。また、吸音板20は、挿通窓20aの内壁面の上部が、後板10から突出した円筒形状の突出部19の上面に当接することによって、上下方向に位置決めされる。その結果、吸音板20の上端は、後板10の上端側のフランジ部13aよりも上方に位置するようになる。
【0041】
図5は、本実施例の排気フード1で、後板10に前カバー30を取り付ける様子を示した説明図である。図5(a)には、後板10に前カバー30を近づける様子が示されている。前述したように、吸音板20の左右端の幅寸法W1は、後板10の左右端の幅寸法W2よりも大きな値に設定されているが、前カバー30の左右端に形成された枠壁部32bと枠壁部32cとの内壁面間の距離W3よりも、幅寸法W1は大きな値に設定されている。
【0042】
このため、後板10に前カバー30を近付けて行くと、やがては前カバー30の左右の枠壁部32b,32cが吸音板20の左右端に干渉し、それ以降は、図5(b)に示すように、前カバー30の枠壁部32bおよび枠壁部32cが吸音板20の左右端を内側に圧縮しながら、吸音板20の左右端を後方(図5では下方)に向けて撓ませるようにして、前カバー30が後板10に近付いて行く。そして、前カバー30を後板10に取り付けた状態では、図5(c)に示すように、前カバー30の枠壁部32bおよび枠壁部32cの内壁面に、吸音板20の両端が強く押し付けられてシールされた状態となる。このため、前カバー30の左右の枠壁部32b,32cと、後板10の左右のフランジ部13b,13cとの間から燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【0043】
吸音板20の上端についても、左右端と同様なことが当て嵌まる。すなわち、吸音板20の上端は後板10の上端のフランジ部13aよりも上方に突出しているので、前カバー30を取り付けようとすると、前カバー30の上端の枠壁部32aによって、吸音板20の上端が圧縮される。その結果、前カバー30を後板10に取り付けた状態では、前カバー30の枠壁部32aの内壁面に、吸音板20の上端が強く押し付けられてシールされた状態となる。このため、前カバー30の上端の枠壁部32aと、後板10の上端のフランジ部13aとの間から燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【0044】
尚、前カバー30の枠壁部32aや、枠壁部32bや、枠壁部32cの先端側は、図6(a)に示すように外側に丸めた形状に加工したり、図6(b)に示すように、外側に開く形状に加工したりしてもよい。こうすれば、図5(b)に示したように、前カバー30を後板10に取り付ける際に、枠壁部32a,32b,32cの先端が吸音板20に引っ掛かることがないので、前カバー30を簡単に取り付けることが可能になる。
【0045】
また、図1を用いて前述したように、本実施例の排気フード1は、後板10の上端側のフランジ部13aの上面に、フランジ部13aの長手方向に延びるリブ14が突設されている。更に、前カバー30の上端側の枠壁部32aの上面にも、枠壁部32aの長手方向に延びるリブ33が突設されており、これに伴って、リブ33の裏側は、枠壁部32aの下面が凹状に窪んだ溝形状となっている。そして、溝の長さおよび大きさは、後板10のフランジ部13aに突設されたリブ14が、溝の中にちょうど嵌る大きさとなっている。これらのリブ14およびリブ33は、以下に説明するように、後板10に対して前カバー30を簡単に位置決め可能とし、更に、小さな力で吸音板20を変形させて前カバー30を取り付けるために設けられている。
【0046】
図7は、本実施例の排気フード1の前カバー30を後板10に取り付ける方法を示した説明図である。前カバー30を後板10に取り付ける際には、図7(a)に示すように、前カバー30の下端が前方(図7の紙面上では左方向)に出るように前カバー30を傾けた状態で、前カバー30を上方から後板10に近づける。このとき、前カバー30の枠壁部32aに突設されたリブ33が、後板10の上部に突出したリブ14に重なるようにしてやれば、リブ33の裏面に凹状に窪んだ溝に後板10のリブ14が嵌まり込んで、前カバー30が後板10に対して前後方向(図7の紙面上では左右方向)および左右方向(図7の紙面上では紙面に対して垂直方向)に位置決めされる。また、吸音板20の上端は後板10のフランジ部13aよりも上方に突出しているので、リブ33の裏面側の溝に後板10のリブ14を嵌め込む際には、前カバー30の枠壁部32aが吸音板20の上端を圧縮した状態となる。更に、吸音板20は後板10よりも幅寸法が大きいので、リブ33の裏面側の溝に後板10のリブ14を嵌め込むためには、前カバー30の左右の枠壁部32b,32cで、吸音板20の左端および右端を圧縮する必要がある。しかし、図1を用いて前述したように、吸音板20の左上隅および右上隅には、切欠部20bが形成されているので、実際に吸音板20の左端および右端を圧縮する面積は僅かでよい。このため、小さな力で、リブ33の裏面側の溝に後板10のリブ14を嵌め込むことができる。
【0047】
続いて、前カバー30の下部を後板10の方向に押すことによって、前カバー30の上端のリブ33が突設されている付近を中心として前カバー30を回転させる。図7(b)中で斜線を付した矢印は、前カバー30の下部を後板10の方向に押していることを表している。上端のリブ33の付近を中心として前カバー30を回転させると、それに伴って、前カバー30の左右の枠壁部32b,32cが吸音板20の両側を圧縮する位置(図7(b)中のP点)が少しずつ下方に移動していく。すなわち、吸音板20の左右端の全体を同時に圧縮するのではなく、圧縮する位置(P点)を移動させながら少しずつ吸音板20の両端を圧縮していけばよいので、小さな力で圧縮することができる。加えて、図8(b)に示すように、前カバー30の下部を押してやれば、梃子の原理によって、吸音板20の両端を圧縮するために要する力は更に小さくなる。そして、前カバー30の下端に取り付けられた底板34が後板10の下部に当接するまで回転させたら、前カバー30の取り付けが完了する。
【0048】
以上に詳しく説明したように、本実施例の排気フード1では、後板10に前カバー30を取り付けると、後板10に取り付けた吸音板20の上端および左右端が、前カバー30の枠壁部32a,32b,32cの内壁面に強く押し付けられた状態となって、前カバー30と後板10との隙間を吸音板20で塞ぐことができる。このため、前カバー30と後板10との間にシール部材を介在させなくても、前カバー30と後板10との間から燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。加えて、図3に示したように、前カバー92と後板91とにフランジ92a,91aを設ける必要が無いので、排気フード1の構造が複雑になることもなく、更に、フランジ92aとフランジ91aとの間に挟み込んだシール部材93が排気フード9の外から見えて、美観を損ねる虞も生じない。
【0049】
上述した本実施例の排気フード1には幾つかの変形例が存在する。以下では、これらの変形例について、本実施例との相違点を中心に説明する。
B.第1変形例 :
上述した本実施例では、後板10から立設させた支持板18を用いて、吸音板20を左右方向に位置決めし、後板10から立設させた円筒形状の突出部19を用いて、吸音板20を上下方向に位置決めした。しかし、吸音板20を左右方向に位置決めする部材と、上下方向に位置決めする部材とは、必ずしも別々の部材とする必要は無い。
【0050】
図8は、後板10から立設させた支持板18を用いて、吸音板20を左右方向および上下方向に位置決めする第1変形例についての説明図である。図8(a)に示すように、第1変形例の後板10には、中央に開口した丸穴12の両側で少し上寄りの位置に、L字型に折り曲げられた支持板18が突設されている。尚、前述した本実施例では、丸穴12の位置からは円筒形状の突出部19が突設されていたが、第1変形例では突出部19は設けられていない。また、吸音板20には、中央に開口した挿通窓20aの両側で上寄りの位置に、矩形形状の挿通穴22が1つずつ形成されている。そして、吸音板20を後板10に取り付ける際には、後板10から突設された支持板18を吸音板20の挿通穴22に挿通させることによって取り付ける。
【0051】
図8(b)には、吸音板20を後板10に取り付けた状態で、前方(図8(a)中に矢印Bで示した方向)から吸音板20を見た状態が示されている。図示されるように、後板10から突設された2つの支持板18は、それぞれの側面18aが挿通穴22の内側面22aに当接するようになっており、このため2つの挿通穴22に挿通された支持板18が、吸音板20を挟むようにして左右方向に位置決めする。また、2つの支持板18は、それぞれの上面18bが挿通穴22の上側の内側面22bにも当接するようになっており、このため2つの支持板18が、挿通穴22の部分で吸音板20を支えるようにして、吸音板20を上下方向に位置決めする。このようにすれば、左右方向に位置決めする部材と、上下方向に位置決めする部材とを、別々の部材としなくても、吸音板20を左右方向および上下方向に位置決めすることができる。
【0052】
尚、第1変形例では、支持板18の側面18aが、本発明における「左右方向位置決部」に対応し、挿通穴22の内側面22aが、本発明における「左右方向当接部」に対応する。また、支持板18の上面18bが、本発明における「上下方向位置決部」に対応し、挿通穴22の上側の内側面22bが、本発明における「上下方向当接部」に対応する。
【0053】
また、上述した第1変形例では、2つの支持板18を用いて吸音板20を位置決めするものとして説明したが、2つの支持板18を1つに纏めることも可能である。すなわち、図9(a)に例示したように、2枚の板材を直角に突き合わせて溶接することによって断面形状がT字形状の支持板18を形成し、この支持板18を、一方の板材が水平となるように、後板10の後板本体部11の1か所から立設させておく。尚、図9(a)に示した例では、後板本体部11の中央に開口する丸穴12の下方の位置に支持板18を立設させているが、支持板18は後板本体部11の何処から立設させてもよい。また、吸音板20には、支持板18に対応する位置に、支持板18の断面形状に合わせた形状の挿通穴22を形成しておく。そして、吸音板20を後板10に取り付ける際には、後板10から突設された支持板18を吸音板20の挿通穴22に挿通させることによって取り付ける。
【0054】
図9(b)には、図9(a)中の矢印Cの方向から見た状態で、挿通穴22の形状が示されている。図9(b)に示されるように、挿通穴22の形状は、T字の縦棒に相当する部分の幅aよりも、T字の横棒に相当する部分の幅bの方が大きくなっている。また、幅aの寸法は、後板10の支持板18の板材の厚さと同じ寸法に設定されている。このため、挿通穴22に支持板18を挿通させると、支持板18の縦方向の板材の両側面18a(図9(a)参照)が、挿通穴22の両側の内側面22a(図9(b)参照)に当接して、吸音板20が左右方向に位置決めされることになる。更に、支持板18の横方向の板材の上面18b(図9(a)参照)が、挿通穴22の上端の内側面22b(図9(b)参照)に当接して、吸音板20が上下方向に位置決めされることになる。こうすれば、1つの支持板18で、吸音板20を左右方向および上下方向に位置決めすることが可能となる。尚、図9に示した例では、支持板18の両側面18aが本発明における「左右方向位置決部」に対応し、挿通穴22の両側の内側面22aが本発明における「左右方向当接部」に対応する。また、支持板18の上面18bが本発明における「上下方向位置決部」に対応し、挿通穴22の上端の内側面22bが本発明における「上下方向当接部」に対応する。
【0055】
C.第2変形例 :
上述した本実施例および第1変形例では、前カバー30の枠壁部32a,32b,32cが、後板10に取り付けられた吸音板20を圧縮することによって、前カバー30と後板10との間の隙間をシールするものとして説明した。しかし、後板10のフランジ部13a,13b,13cで、前カバー30に取り付けた吸音板を圧縮することによって、前カバー30と後板10との間の隙間をシールしてもよい。
【0056】
図10は、第2変形例の排気フード1で前カバー30を後板10に取り付ける様子を示した説明図である。図10(a)に示すように、第2変形例の排気フード1では、前カバー30の枠壁部32b,32cの内壁面にも、矩形形状の吸音板23が取り付けられている。また、左右の吸音板23の間の距離W4は、後板10の左右方向の幅W2よりは小さいが、後板10に取り付けられた吸音板20の左右方向の幅W1よりも大きな値に設定されている。尚、第2変形例では、吸音板23が本発明における「吸音部材」に対応する。
【0057】
このような第2変形例では、前カバー30を後板10に近づけて行くと、図10(b)に示すように、前カバー30の枠壁部32b,枠壁部32cの内壁面に取り付けられた吸音板23が、後板10の左右の端部に干渉して、後板10のフランジ部13b,13cによって、枠壁部32b,32cの方向に圧縮される。そして、前カバー30を後板10に取り付けると、図10(c)に示したように、前カバー30の左右の枠壁部32b,32cと、後板10の左右のフランジ部13b,13cとの間の隙間が、圧縮された吸音板23で塞がれてシールされた状態となる。このため、前カバー30と後板10との間にシール部材を介在させなくても、燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【0058】
尚、図10では、前カバー30の左右の枠壁部32b,32cの内壁面に吸音板23を取り付けることによって、前カバー30の枠壁部32b,32cと、後板10の左右のフランジ部13b,13cとの間の隙間をシールする場合について説明した。前カバー30の上端の枠壁部32aと、後板10の上端のフランジ部13aとの間の隙間についても、前カバー30の枠壁部32aの内壁面に吸音板23を取り付ければ、全く同様にして、前カバー30の枠壁部32aと、後板10のフランジ部13aとの間の隙間をシールすることができる。あるいは、前カバー30の枠壁部32aの内壁面に吸音板23を取り付ける代わりに、吸音板21の凸部21aの先端を後板10のフランジ部13aの上部まで延長してもよい。このようにしても、吸音板21の凸部21aの先端を、前カバー30の枠壁部32aと後板10のフランジ部13aとの間で圧縮することで、前カバー30の枠壁部32aと、後板10のフランジ部13aとの間の隙間をシールすることが可能となる。
【0059】
D.第3変形例 :
上述した本実施例や各種の変形例では、前カバー30の枠壁部32a,32b,32cの内壁面と、後板10のフランジ部13a,13b,13cの外側面との間で、吸音板20あるいは吸音板23を圧縮することによって、前カバー30と後板10との間の隙間をシールするものとして説明した。しかし、後板10のフランジ部13a,13b,13cの先端で、前カバー30に取り付けられた吸音板21を圧縮することによって、前カバー30と後板10との間の隙間をシールしてもよい。
【0060】
図11は、第3変形例の排気フード1で前カバー30を後板10に取り付ける様子を示した説明図である。図11(a)に示すように、第3変形例の排気フード1では、後板10のフランジ部13b,13cの先端が、前カバー30の方向に延長されている。また、前カバー30に取り付けられた吸音板21は、前カバー30の枠壁部32b,32cの内壁面の位置まで延長されている。尚、第3変形例では、吸音板21が本発明における「吸音部材」に対応する。
【0061】
このような第3変形例では、前カバー30を後板10に近づけて行くと、図11(b)に示すように、後板10のフランジ部13b,13cの先端が、前カバー30の吸音板21に当接して、吸音板21を圧縮する。その結果、後板10のフランジ部13b,13cと前カバー30との間の隙間を塞いでシールされた状態となるので、燃焼排気が漏れ出すことを防止することができる。
【0062】
図11では、後板10の左右のフランジ部13b,13cについて説明したが、後板10の上端のフランジ部13aについても全く同様なことが当て嵌まる。すなわち、後板10のフランジ部13aの先端を前カバー30の方向に延長しておけば、前カバー30を後板10に取り付けた時に、フランジ部13aの先端で前カバー30の吸音板21を圧縮してシールされた状態となるので、燃焼排気が漏れ出すことを防止することができる。このため、前カバー30と後板10との間にシール部材を介在させなくても、燃焼排気が漏れ出すことを防止することが可能となる。
【0063】
尚、上述した第3変形例の排気フード1では、図12に示すように、後板10の左右のフランジ部13b,13cの先端を折り曲げるなどして、吸音板21に当接する当接部13dを形成してもよい。更に、後板10の上端のフランジ部13aについても、フランジ部13aの先端に当接部13dを形成してもよい。こうすれば、吸音板21が当接部13dの幅で圧縮されることになるので、シール幅を確保することができる。その結果、燃焼排気が漏れ出すことをより一層確実に防止することが可能となる。
【0064】
以上、本実施例および各種の変形例の排気フード1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…排気フード、 2…外壁、 3…排気口、 9…排気フード、
10…後板、 11…後板本体部、 12…丸穴、
13a,13b,13c…フランジ部、 13d…当接部、 14…リブ、
15…取付筒、 15a…フランジ、 16…保護板部、 17…取付穴、
18…支持板、 18a…側面、 18b…上面、 19…突出部、
20…吸音板、 20a…挿通窓、 20b…切欠部、 20c…当接面、
21…吸音板、 21a…凸部、 22…挿通穴、
22a,22b…内側面、 23…吸音板、 30…前カバー、
31…カバー本体部、 32a,32b,32c…枠壁部、 33…リブ、
34…底板、 34a…風向板、 34b…送風窓。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12