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特開2023-12518増強された特性を有する粉末を生産するための改良噴霧乾燥方法
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  • 特開-増強された特性を有する粉末を生産するための改良噴霧乾燥方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012518
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】増強された特性を有する粉末を生産するための改良噴霧乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/14 20060101AFI20230118BHJP
   A61K 47/30 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230118BHJP
   B01J 2/04 20060101ALI20230118BHJP
   B01D 1/20 20060101ALI20230118BHJP
   B01D 1/18 20060101ALI20230118BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20230118BHJP
   A61K 31/496 20060101ALN20230118BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K47/30
A61K47/32
B01J2/04
B01D1/20
B01D1/18
A61K45/00
A61K31/496
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022176104
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2020151731の分割
【原出願日】2015-03-30
(31)【優先権主張番号】107568
(32)【優先日】2014-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PT
(71)【出願人】
【識別番号】514246691
【氏名又は名称】ホビオネ インターナショナル エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ジョセ ルイス サントス
(72)【発明者】
【氏名】フィリペ ガスパル
(72)【発明者】
【氏名】マルシオ テムテム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】増強されたバルク密度及び材料特質を有する非晶質固体分散物を生産するための改良噴霧乾燥方法を提供する。
【解決手段】a)1以上の活性医薬成分(API)、1以上の賦形剤、又はこれらの混合物;及び少なくとも1つの溶媒を含む溶媒系を含む、供給混合物を提供する工程;b)該供給混合物を、噴霧乾燥器チャンバを備える噴霧乾燥装置に送り込む工程;c)微粒子化ノズルを用いて該供給混合物を液滴へと微粒子化する工程;d)該液滴を乾燥用ガスで乾燥させて粒子を生産する工程;e)1以上の第二ガス流を、該噴霧乾燥装置内の複数の位置の少なくとも1つにおいて、該噴霧乾燥装置へと送り込む工程;及びf)該粒子を該噴霧乾燥器チャンバから回収する工程、を含む、噴霧乾燥方法。噴霧領域に干渉せずに噴霧乾燥器の複数の位置の少なくとも1つにおいて少なくとも1つの追加の流れを導入することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧乾燥方法であって:
a. 供給混合物を提供する工程であって、該供給混合物が:
1以上の活性医薬成分(API)、1以上の賦形剤、又はこれらの混合物;及び少なく
とも1つの溶媒を含む溶媒系を含む、前記工程;
b. 該供給混合物を、噴霧乾燥器チャンバを備える噴霧乾燥装置に送り込む工程;
c. 微粒子化ノズルを用いて該供給混合物を液滴へと微粒子化する工程;
d. 該液滴を乾燥用ガスで乾燥させて該1以上のAPI;1以上の賦形剤、又はこれらの混
合物の粒子を生産する工程;
e. 1以上の第二ガス流を、該噴霧乾燥装置内の複数の位置の少なくとも1つにおいて、
該噴霧乾燥装置へと送り込む工程;及び
f. 該粒子を該噴霧乾燥器チャンバから回収する工程、を含む、前記噴霧乾燥方法。
【請求項2】
前記供給混合物が1以上の活性医薬成分及び1以上の賦形剤を含む、請求項1記載の噴
霧乾燥方法。
【請求項3】
前記1以上のAPI、前記1以上の賦形剤、又は該1以上のAPI及び1以上の賦形剤の非晶質固
体分散物を生産することを含む、請求項1又は2記載の噴霧乾燥方法。
【請求項4】
前記1以上の賦形剤が1以上のポリマーを含む、請求項1、2、又は3のいずれか1項記載の
噴霧乾燥方法。
【請求項5】
前記1以上の賦形剤が、N-ビニルラクタム、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロー
スエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、ポリメ
タクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルポリマー、オリ
ゴ糖、多糖、N-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、N-
ビニルピロリドン及び酢酸ビニルのコポリマー、N-ビニルピロリドン及びプロピオン酸ビ
ニルのコポリマー、ポリエチレングリコール/ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル
のグラフトコポリマー(例えば、Soluplus(登録商標))、ポリビニルピロリドン、ヒドロ
キシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハ
ク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド及びプロピ
レンオキシドのコポリマー、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/
メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸ブチル/2-ジメチルアミノエチルメタクリ
レートコポリマー、ポリ(アクリル酸ヒドロキシアルキル)、ポリ(メタクリル酸ヒドロ
キシアルキル)、アクリル酸アルキルクロスポリマー(例えば、Permulen(登録商標)、C
arbopol(登録商標))、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマー(例えば、N
oveon(登録商標))、ゼラチン、ゼラチン、酢酸ビニル及びクロトン酸のコポリマー、部
分加水分解されたポリ酢酸ビニル、カラギーナン、ガラクトマンナン、高粘度ガム、キサ
ンタンガム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか1項記載の噴霧乾燥
方法。
【請求項6】
請求項1の工程e.が存在しない対応する噴霧乾燥方法と比較して、増加したバルク密度
を有する非晶質固体分散物を生産するための、請求項1~5のいずれか1項記載の噴霧乾燥
方法。
【請求項7】
前記噴霧乾燥器チャンバが円筒状の上側部分及び錐体状の下側部分を備える、請求項1
~6のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項8】
前記粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収する工程f.が、該粒子を該噴霧乾燥器チャ
ンバに接続された容器中に回収することを含む、請求項1~7のいずれか1項記載の噴霧乾
燥方法。
【請求項9】
前記粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収する工程f.が、該粒子を該噴霧乾燥器チャ
ンバに接続されたサイクロン又はフィルタバッグの使用を通じて回収することを含む、請
求項1~8のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項10】
前記粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収する工程f.が、該粒子が該噴霧乾燥器チャ
ンバに接続されたサイクロン又はフィルタバッグを通過して、該サイクロン又はフィルタ
バッグに接続された容器へと入ることを含む、請求項9記載の噴霧乾燥方法。
【請求項11】
前記工程e) が、以下の位置:
i) 前記噴霧乾燥器チャンバの直立部分(位置26);
ii) 該噴霧乾燥器チャンバの錐体部分(位置28)、の少なくとも1つに、少なくとも1つ
の第二ガス流を送り込むことを含む、請求項7~10のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項12】
前記工程e) が、以下の位置:
i) 前記噴霧乾燥器チャンバ及び前記フィルタバッグ又はサイクロンの間の接続部(位
置30);
ii) 該フィルタバッグ又はサイクロン及び前記容器の間の接続部(位置32);
iii) 該容器(位置34);
iv) サイクロン又はフィルタバッグが存在しない場合は、該噴霧乾燥器チャンバ及び該
容器の間の位置、の少なくとも1つに、少なくとも1つの第二ガス流を送り込むことを含む
、請求項9~11のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項13】
前記微粒子化ノズルが圧力式、二流体式、又はロータリー式のものである、請求項1~1
2のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項14】
前記微粒子化ノズルが前記噴霧乾燥器チャンバの上端の中央に位置する、請求項1~13
のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項15】
前記溶媒系が、水、有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、
メタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ヘキサン、へプタン、ジクロロメタン、テ
トラヒドロフラン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか1項記
載の噴霧乾燥方法。
【請求項16】
前記第二ガス流が噴霧領域の外に位置する前記噴霧乾燥装置に加えられる、請求項1~1
5のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項17】
前記噴霧乾燥器チャンバを出る流れが、追加のガス流なしに、対応する従来の噴霧乾燥
方法に関して減少した相対溶媒飽和度を有する、請求項1~16のいずれか1項記載の噴霧乾
燥方法。
【請求項18】
噴霧乾燥された粒子のバルク密度が以下の選択肢:
i) 前記噴霧領域に追加された流れの距離を増加させること;
ii) 該追加された流れの流速を増加させること;及び
iii) 該追加された流れの温度を低下させること、のいずれかによってさらに増加させ
られる、請求項1~17のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項19】
前記噴霧乾燥器に対する処理量が、請求項1の工程e.が存在しない、対応する従来の噴
霧乾燥方法におけるよりも高い、請求項1~18のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項20】
前記1以上の第二ガス流及び/又は前記乾燥用ガスが窒素ガス流を含む、請求項1~19の
いずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項21】
回収された粒子の前記バルク密度が0.07 g/ml超である、請求項1~20のいずれか1項記
載の噴霧乾燥方法。
【請求項22】
前記回収された粒子の前記バルク密度が0.1 g/ml超、任意に0.15 g/ml超である、請求
項1~21のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項23】
前記回収された粒子の前記バルク密度が0.1 g/ml~0.25 g/mlである、請求項1~22のい
ずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項24】
前記回収された粒子の前記バルク密度が0.1 g/ml~0.5 g/mlである、請求項1~23のい
ずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項25】
前記噴霧乾燥器チャンバへの固体材料、例えば前記乾燥用ガス中に分散された固体粒子
材料の導入を含まない、請求項1~24のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
【請求項26】
前記方法で使用される唯一の溶媒系が、前記1以上のAPI;1以上の賦形剤、又はこれら
の混合物が溶解されている供給混合物中の溶媒系である、請求項1~25のいずれか1項記載
の噴霧乾燥方法。
【請求項27】
前記乾燥用ガスがいずれの溶媒蒸気も含まない、請求項1~26のいずれか1項記載の噴霧
乾燥方法。
【請求項28】
前記供給混合物を液滴へと微粒子化すること、及び該液滴を乾燥させて噴霧乾燥された
粒子を生産することが同じチャンバ内で行われる、請求項1~27のいずれか1項記載の噴霧
乾燥方法。
【請求項29】
内部に、複数の位置の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの第二ガス流入口を備
える、噴霧乾燥装置。
【請求項30】
第二ガス流入口を備えない対応する噴霧乾燥装置と比較して、増加したバルク密度を有
する固体分散物を生産するためのものである、請求項29記載の噴霧乾燥装置。
【請求項31】
微粒子化ノズル及び乾燥用ガス入口を備える噴霧乾燥器チャンバ;並びに該噴霧乾燥器
チャンバから噴霧乾燥された粒子を回収する手段を備える、請求項29又は30記載の噴霧乾
燥装置。
【請求項32】
前記噴霧乾燥された粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収するための手段が、サイク
ロン、フィルタバッグ、容器、又はこれらの任意の組み合わせを備える、請求項29~31の
いずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
【請求項33】
噴霧乾燥された粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収する前記手段が、該噴霧乾燥器
チャンバ及び容器の間に接続されたサイクロンを備える、請求項29~31のいずれか1項記
載の噴霧乾燥装置。
【請求項34】
前記噴霧乾燥器チャンバが円筒状の上端部分及び錐体状の下端部分を備える、請求項29
~33のいずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの第二ガス流入口の少なくとも1つが、以下の位置:
i) 乾燥用チャンバの前記直立部分(位置26);及び
ii) 該乾燥用チャンバの前記錐体部分(位置28)、の少なくとも1つにある、請求項29
~34のいずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つの第二ガス流入口の少なくとも1つが、以下の位置:
i) 前記乾燥用チャンバ及びサイクロンのような、噴霧乾燥された粒子を噴霧乾燥され
たチャンバから回収する手段の間の接続部(位置30);
ii) サイクロンのような、噴霧乾燥された粒子を該噴霧乾燥されたチャンバから回収す
るための手段及び前記容器の間の接続部(位置32);及び
iii) 固体容器(位置34)、の少なくとも1つにある、請求項32~35のいずれか1項記載
の噴霧乾燥装置。
【請求項37】
前記微粒子化ノズルが圧力式、二流体式、ロータリー式のもの、又は任意の他の微粒子
化機構である、請求項31~36のいずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
【請求項38】
前記微粒子化ノズルが前記噴霧乾燥器チャンバの上端の中央に位置する、請求項31~37
のいずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
【請求項39】
1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比較して、活性医薬成分(API)
及び、存在する場合は、1以上の賦形剤の非晶質固体分散物のバルク密度を増加させるた
めの請求項1~28のいずれか1項記載の方法、又は請求項29~38のいずれか1項記載の装置
の使用。
【請求項40】
1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比較して、前記噴霧乾燥器チャ
ンバから回収された前記粒子の非晶質の物理的安定性を増加させるための、請求項1~28
のいずれか1項記載の方法、又は請求項29~38のいずれか1項記載の装置の使用。
【請求項41】
1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比較して、前記噴霧乾燥器チャ
ンバから回収された前記粒子の残存溶媒含有量を低下させるための、請求項1~28のいず
れか1項記載の方法、又は請求項29~38のいずれか1項記載の装置の使用。
【請求項42】
実質的に、記載及び図面を参照して本明細書に記載される通りの方法、装置又は使用。
【請求項43】
請求項1~28のいずれか1項記載の方法により得ることができる、少なくとも1つの活性
医薬成分(API)及び少なくとも1つの賦形剤を含む、非晶質固体分散物。
【請求項44】
少なくとも1つの活性医薬成分(API)及び少なくとも1つの賦形剤を含み、0.07 g/ml
超のバルク密度を有する、非晶質固体分散物。
【請求項45】
0.1 g/ml超、任意に0.15 g/ml超のバルク密度を有する、請求項44記載の非晶質固体分
散物。
【請求項46】
0.1 g/ml~0.5 g/mlのバルク密度を有する、請求項44又は45記載の非晶質固体分散物。
【請求項47】
0.1 g/ml~0.25 g/mlのバルク密度を有する、請求項44又は45記載の非晶質固体分散物
【請求項48】
前記少なくとも1つの賦形剤がポリマーを含む、請求項43~46のいずれか1項記載の非晶
質固体分散物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥方法の技術分野におけるものである。より詳細には、本発明は活性医薬成
分(API)、薬物生産物中間体及び薬物生産物に適用される噴霧乾燥の技術分野における
ものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品産業で使用される噴霧乾燥器の従来の操作においては、乾燥用ガスが単独で使用
されて乾燥が行われ、乾燥された粉末はサイクロン及び/又はフィルタバッグへとガスの
作用により輸送される[Masters, K.の文献、「噴霧乾燥の手引き(Spray drying handboo
k.)」 (1991)]。所望の特質(例えば、密度、粒度)を得るために要求される乾燥条件は
しばしば方法の処理量を制限し、かつ/又は望ましい溶媒/水含有量よりも高い溶媒/水含
有量を有する材料を結果として生じ、このことは詳細には非晶質固体分散物の処理におい
て、安定性の問題を提示し得る。また、非常に処理量の高い供給溶液の使用は、水のよう
な高沸点の溶媒を噴霧乾燥する際に、しばしば凝縮の問題及び器材壁での材料の集積をも
たらす。
【0003】
噴霧乾燥分散物(SDD)において、活性医薬成分(API)はポリマーマトリックス中に分
子的に分散している。該ポリマーは薬物の非晶質形態及び準安定形態を安定化させ、また
、溶液/生物学的流体中での該APIの過飽和を維持し、それにより生物学的利用能を増加さ
せるために、使用される。噴霧乾燥方法における本来的な溶媒の使用は、可塑性付与効果
、及び該乾燥方法の間の非晶質固体分散物のガラス転移温度(Tg)の対応する望ましくな
い低下の一因となる。該Tgは非晶質固体分散物の最も重要な特質の1つであるが、それはT
gが本質的に該APIの分子可動性と関連し得、かつ噴霧乾燥分散物製剤が生産物の保存期間
にわたって結晶化を防ぐに十分なだけ安定であるかどうかを示す特性の1つであるためで
ある。
【0004】
医薬的方法における噴霧乾燥工程の下流での典型的な操作には、ブレンド、ローラー圧
縮及び打錠又はカプセル充填がある。SDD材料が大きな操作上の困難を伴うことなく下流
の器材中を流れ、そこで処理される能力は、粉末特性、すなわち粒度、密度並びに成分及
び器材の間の結合力-粘着力の均衡と密接に関連している。流れを改善する大まかな戦略
は、粒度及び密度の両方を可能な限り大きくするべきであることを示している。最良の事
例を仮定すると、粉末はまた直接圧縮するアプローチが可能となるように、必要な圧縮性
(バルク密度及びタップ密度の間の関係により示される)を有する。
【0005】
噴霧乾燥に関する文献には、壁への集積を減少させる目的で方法手順に追加の流体流を
加えるいくつかの例が含まれる。例えば、米国特許出願第5596817号では、乾燥用チャン
バの上端では高速度の流速のガスを、かつチャンバの壁付近では低速度の流速のガスを注
入し、効率的な吹き飛ばし効果を可能とすることにより、生産物の堆積を最小限にする方
法が開示されている。また、米国特許出願第3895994号では、シリンダ壁上の生産物の堆
積物及び該堆積物の高温帯への再循環を、噴霧乾燥器のシリンダの噴射端の周囲に配列さ
れた入口から周縁的なガス流を導入し、前記シリンダ内を渦巻かせることにより、最小化
する噴霧乾燥方法が開示されている。しかしながら、これらの特許はいずれも、活性医薬
成分及びポリマーの非晶質固体分散物を生産するための噴霧乾燥に関連する問題を、具体
的に論じてはいない。これらの特許における追加のガス流は単に噴霧乾燥器の壁に形成さ
れる固体堆積物を最小化するために使用され、増強された粉末特性を提供するためには使
用されない。
【0006】
また、最新技術として、改変された噴霧乾燥機構を使用して粉末特性を最適化した、い
くつかの例が挙げられる。例えば、欧州特許出願第0387950号には、所定のバルク密度の
噴霧乾燥生産物を得るための装置が開示されている。ノズルが乾燥した粒子材料を伴うガ
スを供給するチューブにより囲まれている。ガス-固体懸濁物及び噴霧器の間の衝突の比
率及び速度により、粉末のバルク密度を制御することが可能となる。WO 2011/154014には
、チャンバに供給される乾燥用ガスを、1以上の溶媒蒸気中に富化させて、粒子の特性、
すなわち粒子の密度及び溶媒含有量を調節する噴霧乾燥方法が開示されている。
【0007】
米国特許出願第8337895号には、液滴の乾燥を調節し、活性成分の表面での富化を増進
するための湿度及び温度の制御された調節帯、及び該調節帯を出る液滴を乾燥させるため
の乾燥帯を含む、主に吸入生産物用に意図される方法が開示されている。該調節帯は、該
調節帯中の条件を制御するための、例えば湿潤空気入口を通じた湿度制御、及び/又は温
度制御装置を備え、そのために該液滴は調節帯において乾燥器におけるよりも緩徐に乾燥
する。本開示に従って、乾燥動力学を使用して、表面活性成分の表面での拡散を促進し、
乾燥粉末製剤の製造の間に非晶質から結晶への変換を促進することができる。
【0008】
要約すると、最新技術においては、器材壁への生産物の堆積を防ぐ戦略、又は追加の溶
媒の導入による粉末特性の調節又は微粒子化及び方法手順の構成の顕著な変更が開示され
ているのみである。
【0009】
本発明の発明者らは、方法の処理量、収量及びより重要なものとして生産物の品質、詳
細にはその非晶質含有量を損なうことなく、より高いバルク密度を有する材料を生産する
ことが可能な、より単純な噴霧乾燥方法が必要とされていることを認識している。詳細に
は、本発明者らは活性医薬成分及びポリマーの非晶質固体分散物の生産のための噴霧乾燥
方法について、増加したバルク密度、より低いガラス転移温度及びより低い残存溶媒含有
量のような増強された粉末特性を有する噴霧乾燥された粒子を生産することが必要とされ
ていることを認識している。さらに、本発明者らは単純な噴霧乾燥方法によりそのような
特性を有する噴霧乾燥粉末を提供することが必要とされていることを認識している。先行
技術における噴霧乾燥生産物の特性を改善しようとする試みは公知であるが、これらの方
法は複雑であり、典型的に乾燥用ガス中での他からの溶媒の使用、又はアトマイザーの近
傍への固体材料の導入(WO2011/154014及びEP0387950)、又は隔離した調節用チャンバ及
び乾燥用チャンバのような噴霧乾燥器中の複数のチャンバによる制御乾燥動力学の使用(
US8337895)を伴う。本明細書中に開示された発明は、先行技術に確認された欠点を克服
するものである。
【発明の概要】
【0010】
(発明の概要)
本発明の態様に従って、噴霧乾燥方法であって:
a. 供給混合物を提供する工程であって、該供給混合物が:
1以上の活性医薬成分(API)、1以上の賦形剤、又はこれらの混合物;及び少なく
とも1つの溶媒を含む溶媒系を含む、前記工程;
b. 該供給混合物を、噴霧乾燥器チャンバを備える噴霧乾燥装置に送り込む工程;
c. 微粒子化ノズルを用いて該供給混合物を液滴へと微粒子化する工程;
d. 該液滴を乾燥用ガスで乾燥させて該1以上のAPI;1以上の賦形剤、又はこれらの混
合物の粒子を生産する工程;
e. 1以上の第二ガス流を、該噴霧乾燥装置内の複数の位置の少なくとも1つにおいて、
該噴霧乾燥装置へと送り込む工程;
f. 該粒子を該噴霧乾燥器チャンバから回収する工程、を含む、前記噴霧乾燥方法が提
供される。
【0011】
好ましくは、該供給混合物は1以上のAPI及び1以上の賦形剤を含む。好ましくは、該1以
上の賦形剤は、1以上のポリマーを含む。
【0012】
好ましくは、該方法の工程d.は、1以上のAPI及び、存在する場合は、1以上の賦形剤の
非晶質固体分散物を生産することを含む。好ましくは、該方法は、請求項1の工程e.が存
在しない対応する噴霧乾燥方法と比較して、増加したバルク密度を有する非晶質固体分散
物を生産するためのものである。
【0013】
好ましくは、工程f.が、前記粒子を該噴霧乾燥器チャンバに接続された容器中に回収す
ることにより、前記粒子を該噴霧乾燥器チャンバから回収することを含む。より好ましく
は、前記粒子を該噴霧乾燥器チャンバから回収する工程f.が、前記粒子が該噴霧乾燥器チ
ャンバに接続されたサイクロン又はフィルタバッグを通過して、該サイクロン又はフィル
タバッグに接続された容器へと入ることを含む。
【0014】
本発明の別の態様に従って、内部に、複数の位置の少なくとも1つにおいて、少なくと
も1つの第二ガス流入口を備える、噴霧乾燥装置が提供される。
【0015】
好ましくは、該装置は、第二ガス流入口を備えない対応する噴霧乾燥装置と比較して増
加したバルク密度を有する固体分散物を生産するためのものである。
【0016】
本発明の別の態様に従って、1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比
較して、活性医薬成分(API)及び、1以上の賦形剤の非晶質固体分散物のバルク密度を増
加させるための、1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比較して、該噴
霧乾燥器チャンバから回収された該粒子の非晶質の物理的安定性を増加させるための、か
つ/又は1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比較して、該噴霧乾燥器チ
ャンバから回収された該粒子の残存溶媒含有量を低下させるための、本発明の方法の使用
が提供される。
【0017】
本発明の別の態様に従って、本発明の方法により得ることができる、少なくとも1つの
活性医薬成分(API)及び少なくとも1つの賦形剤を含む、非晶質固体分散物が提供される
【0018】
本発明の別の態様に従って、少なくとも1つの活性医薬成分(API)及び少なくとも1つ
の賦形剤を含む非晶質固体分散物が提供され、ここで該非晶質固体分散物は0.07 g/ml超
のバルク密度を有する。好ましくは、該分散物は0.1 g/ml超、任意に0.15 g/ml超のバル
ク密度を有する。好ましくは、該分散物は0.1 g/ml~0.5 g/ml、又は0.1 g/ml~0.5 g/ml
のバルク密度を有する。好ましくは、該少なくとも1つの賦形剤は、ポリマーを含む。
【0019】
本発明は、増強された処理量及び増強された材料特質を有する医薬組成物、詳細には非
晶質固体分散物を生産するための改良された噴霧乾燥方法である。少なくとも1つの追加
のガスの流れを、噴霧領域に干渉することなく噴霧乾燥装置中の複数の位置の少なくとも
1つで加える。これにより、残存溶媒含有量が減少するために、方法の処理量、粉末密度
、及び非晶質の物理的安定性を改善することが可能となる。該噴霧乾燥された生産物の粉
末特性は、1以上の第二ガス流の位置(該噴霧領域に干渉することを避けて最適化される
)、供給速度及び第二ガス流の温度を通じて制御される。
【0020】
本発明は飽和度を局所的に低下させ、噴霧乾燥により生産される非晶質固体分散物のよ
うな医薬製剤中の溶媒含有量を減少させ、可塑性付与効果を減少させ、従って望ましくな
い非晶質含有量の変化を減少させるために第二ガス流の導入を使用する。
【0021】
粉末のバルク密度は、i) 該噴霧領域からさらに離れる該追加のガスの流れを導入する
ことにより、ii) 該追加のガスの流れの流速を増加させることにより、及びiii) 該追加
のガスの流れの温度を低下させることにより、さらに増加させることができることが、見
出された。
【0022】
本発明の方法は、1以上の第二ガス流が使用されない対応する方法と比較して、噴霧乾
燥された生産物中に増加したバルク密度、より低いガラス転移温度、及び/又はより低い
残存溶媒含有量を有する噴霧乾燥された非晶質固体分散物を提供する。
【0023】
「該1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法」及び「対応する噴霧乾燥方
法」という用語、並びに本明細書で使用されるような類似の用語は、該第二ガス流(例え
ば、方法の工程e.)が存在しないことを除いて同一の噴霧乾燥方法を指す。従って、例え
ば、噴霧乾燥方法が「工程e.が存在しない別の噴霧乾燥方法と対応する」と記載されてい
る場合、この記載は同一の装置、及び同一の噴霧乾燥条件を使用する同一の噴霧乾燥方法
であって、これら2つの方法の間の相違が該1以上の第二ガス流の存在のみである、前記噴
霧乾燥方法を指す。「噴霧領域」により、本発明者らはアトマイザーより下に位置する大
多数の液滴を含む、噴霧乾燥用チャンバ内部の体積を意味するものとする。
【0024】
本明細書で使用される「バルク密度」という用語は当該技術分野でよく知られた用語で
あり、バルク材料、例えば異なる粒子間で不規則な大きさの空隙を伴う様々な大きさの粒
子を有し得る粉末の密度を指す。バルク密度は、材料からの標本の総質量を該材料の総体
積で割ったものとして定義される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
(図面の簡単な説明)
図1】本発明の方法の線図である。
図2】試行#8で得られた粉末のDSCサーモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
ここで本発明をより詳細に参照すると、図1には、液体流12の形態の供給混合物が微粒
子化ノズル内で液滴へと微粒子化され、好ましくは並流乾燥用ガスである、乾燥用ガス14
により乾燥される、噴霧乾燥器チャンバ10を含む噴霧乾燥装置が示されている。乾燥され
た粒子の特性は主に該ノズルの近傍の領域16内で定義され、該領域を以下噴霧領域と呼ぶ
こととする。噴霧領域16は、該乾燥された粒子の大半が形成される場所である。また、該
噴霧乾燥装置は該乾燥された粒子を該噴霧乾燥器チャンバから回収するための手段を備え
る。図1では、該乾燥された粒子はサイクロン18中で乾燥用ガスから隔離され、容器20中
に収集され、一方該乾燥用ガスは出口流24において該サイクロンから出る。しかしながら
、乾燥された粒子を該噴霧乾燥器チャンバから回収するための手段は、他の手段の形態も
とることができ、該形態はフィルタバッグのように、当業者に公知であろう。
【0027】
図1に示される噴霧乾燥器チャンバは、好ましくは乾燥用ガス出口と相対的に円筒状の
上側部分及び錐体状の下側部分を含む。しかしながら、代替の噴霧乾燥器チャンバの形及
び型も、本発明の範囲内にある。そのような適当な代替物は当業者に公知である。
【0028】
また、該噴霧乾燥器チャンバは好ましくは圧力式、二流体式、又はロータリー式の微粒
子化ノズルを備える。該微粒子化ノズルは好ましくは該噴霧乾燥器チャンバの上端の中央
に位置する。
【0029】
1以上の第二ガス流が方法手順に加えられる。好ましくは、該1以上の第二ガス流は以下
の位置:
i) 該噴霧乾燥器チャンバの直立部分(位置26);
ii) 該乾燥用チャンバの錐体部分(位置28);
iii) 該乾燥用チャンバ及び該サイクロンの間の接続部(位置30);
iv) 該サイクロン及び固体容器の間の接続部(位置32);及び
v) 該固体容器(位置34)、の少なくとも1つで該噴霧乾燥装置に加えられる。しかしな
がら、該1以上の第二ガス流を加えるための該噴霧乾燥装置中の他の位置は、本発明の範
囲から除外されない。
【0030】
例として、該1以上の第二ガス流の位置は、該1以上のガス流について意図される目的が
何であるかに応じて選択することができる。例えば、該1以上の第二ガス流を使用して、
位置30、32及び/又は34におけるような、該噴霧乾燥装置の最も温度の低い部分で、これ
らの位置に該1以上の第二ガス流を加えることにより、噴霧乾燥生産物の凝縮を防ぐこと
が望ましいであろう。
【0031】
より詳細には、図1で取り扱われる本発明の実施態様をさらに参照して、該位置26、28
、30、32及び34のいずれかにおける方法手順に加えられる該第二ガス流の流速及び温度を
独立に調節して、該液体流12及び乾燥用ガス14の流速及び温度に依存する所望の効果をか
なえることができる。詳細には、位置34に加えられる流れの流速を、粉末が該サイクロン
へと上に向かって逆流することを防ぎながら、その上限で固体容器20における該粉末の流
動化を増進する範囲内で調節することができる。
【0032】
さらに詳細には、図1の本発明の実施態様をさらに参照して、該液体流12は、1つの溶媒
、又は溶媒の混合物で構成され得る溶媒系を含む。また、該液体流12は少なくとも1つの
活性医薬成分、又は少なくとも1つの賦形剤、及び優先的には少なくとも1つの賦形剤及び
少なくとも1つのAPIを含む。流れ12中の該溶媒又は溶媒の混合物は水、有機溶媒、又はこ
れらの組み合わせとすることができる。好ましくは、該溶媒系は水、アセトン、メチルエ
チルケトン、エタノール、メタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ヘキサン、へプ
タン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、又はこれらの組み合わせを含む。乾燥用ガ
ス14と接触すると、供給混合物の該液滴が乾燥することにより、該賦形剤中の該活性医薬
成分の非晶質固体分散物が生産される。微粒子化系は、圧力式、二流体式(内部混合物若
しくは外部混合物のいずれか)、ロータリー式又は当業者に公知の任意の他の微粒子化機
構とすることができる。
【0033】
好ましくは、該1以上の賦形剤は1以上のポリマーを含む。好ましくは、1以上の活性医
薬成分及び1以上のポリマーの溶液を噴霧乾燥して、該1以上のポリマー中の該1以上の活
性医薬成分の非晶質固体分散物を生産する。本開示の製剤における使用に適するポリマー
には、これらに限定はされないが、N-ビニルラクタム、N-ビニルラクタムのコポリマー、
セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート
、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルポリマ
ー、オリゴ糖、多糖、N-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリ
マー、N-ビニルピロリドン及び酢酸ビニルのコポリマー、N-ビニルピロリドン及びプロピ
オン酸ビニルのコポリマー、ポリエチレングリコール/ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢
酸ビニルのグラフトコポリマー(例えば、Soluplus(登録商標))、ポリビニルピロリド
ン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキ
ルアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸セルロース、コ
ハク酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド
及びプロピレンオキシドのコポリマー、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メ
タクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸ブチル/2-ジメチルアミノエチ
ルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸ヒドロキシアルキル)、ポリ(メタクリ
ル酸ヒドロキシアルキル)、アクリル酸アルキルクロスポリマー(例えば、Permulen(登
録商標)Carbopol(登録商標))、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマー
(例えば、Noveon(登録商標))、ゼラチン、ゼラチン、酢酸ビニル及びクロトン酸のコ
ポリマー、部分加水分解されたポリ酢酸ビニル、カラギーナン、ガラクトマンナン、高粘
度ガム若しくはキサンタンガム、又はこれらの組み合わせがある。
【0034】
本発明の利点としては、限定されることなく、方法収量を損なわずに該噴霧領域中の該
乾燥用ガスに非常に高い相対飽和度をもたせる能力に起因する、高密度の粉末の生産を可
能とすることが挙げられる。高密度の粉末は、例えば打錠、カプセル充填又はサシェ充填
のような医薬的操作の下流の方法を促進することが知られている。
【0035】
該噴霧領域からの距離を離しながら追加のガスの流れを導入する場合、粉末のバルク密
度を増加させることができることが見出された。確認された他の効果は、該追加のガスの
流れの流速を増加させることにより、及び該追加のガスの流れの温度を低下させることに
より、バルク密度を増加させることができることであった。
【0036】
具体例において、噴霧乾燥された粉末、例えば噴霧乾燥された非晶質固体分散物の該バ
ルク密度を最大にするには、1以上の第二ガス流入口の1つ及び該微粒子化ノズルの間の距
離を20 cm~70 cm、任意に20~45 cm、又は45~70 cmとする。
【0037】
また、該噴霧乾燥された非晶質固体分散物の該バルク密度は、25℃~75℃、好ましくは
25℃~50℃の温度の1以上の第二ガス流を用いることによって、特定の方法において最大
にすることができる。
【0038】
また、該噴霧乾燥された非晶質固体分散物の該バルク密度は、毎分50リットル~毎分10
0リットル、例えば毎分60リットル~毎分90リットルの流速の1以上の第二ガス流を用いる
ことによって、特定の方法において最大にすることができる。
【0039】
特定の方法において、該噴霧乾燥器チャンバへの該乾燥用ガスの流速は、12 kg/時~35
kg/時、例えば12 kg/時~24 kg/時、又は12 kg/時~20 kg/時である。
【0040】
該供給混合物を任意の適当な流速で該噴霧乾燥器チャンバに送り込んで、最適な噴霧乾
燥及び最適な粉末特性を達成することができる。特定の方法において、該供給混合物は、
20~30 ml/分の供給速度で該噴霧乾燥装置に送り込まれる。
【0041】
具体例において、噴霧乾燥された粉末、例えば噴霧乾燥された非晶質固体分散物の該バ
ルク密度は、該1以上の第二ガス流入口及び該微粒子化ノズルの間の距離が20 cm~70 cm
、該1以上の第二ガス流の流速が50リットル/分~100リットル/分、かつ該1以上の第二ガ
ス流の温度が25℃~50℃であると最大になる。
【0042】
該乾燥用ガスは、供給混合物の微粒子化された液滴を効果的に乾燥させることが当技術
分野で公知の任意の適当な乾燥用ガスとすることができる。好ましくは、該乾燥用ガスは
、窒素である。また、該1以上の第二ガス流は、噴霧乾燥方法における使用に適すること
が当技術分野で公知である任意の適当な乾燥用ガスを含むことができる。好ましくは、該
1以上の第二ガス流は、窒素を含む。
【0043】
本発明の方法は、0.07 g/ml 超、好ましくは0.15 g/ml超のバルク密度を有する、1以上
のAPI及びポリマーのような1以上の賦形剤の噴霧乾燥された粒子、例えば噴霧乾燥された
非晶質固体分散物を提供する。好ましくは、噴霧乾燥された粒子の該バルク密度は、0.1
g/ml~0.5g/ml、又は0.1 g/ml~0.25 g/mlである。
【0044】
増加したバルク密度に加え、生産された粒子、例えば1以上のAPI及びポリマーのような
1以上の賦形剤の非晶質固体分散物は該1以上の第二ガス流と使用する工程e.が存在しない
従来の対応する噴霧乾燥方法と比較して、改善された非晶質の物理的安定性を有する。こ
れは、本発明において、これらの粒子がより短い時間にわたって高い相対飽和度に曝され
るのみであるためである。また、本発明は従来の噴霧乾燥におけるよりも高い処理量の供
給溶液を用いながら、水のような高沸点の溶媒を噴霧乾燥する際の典型的な凝縮の問題、
又は器材壁での材料の集積を最小化することを可能にする。また、本発明は追加されたガ
ス流の流速の均衡を適切にとることを通じて該サイクロンの効率を増強する。本発明の付
加的な利益は、本発明が、生産される粉末を該追加されたガス流に起因する収集器内での
より低い相対飽和度に曝すために該生産される粉末の残存溶媒を減少させることができる
ことである。
【0045】
本発明の利点には、限定されることなく、下記のものがある:
・本発明は方法収量を損なわずに該噴霧領域(領域16)中の該乾燥用ガスに非常に高い相
対飽和度をもたせる能力に起因する、高密度の粉末の生産を可能とする。高密度の粉末は
、例えば打錠及びカプセル充填のような下流の方法を促進することが知られている。
・さらに、生産された粒子は該1以上の第二ガス流を使用する工程e.が存在しない従来の
対応する噴霧乾燥方法と比較して、改善された非晶質の物理的安定性を有する。これは、
本発明において、これらの粒子がより短い時間にわたって高い相対飽和度に曝されるのみ
であるためである。
・本発明は非常に高い処理量の供給溶液を用いながら、水のような高沸点の溶媒を噴霧乾
燥する際の典型的な凝縮の問題、又は器材壁での材料の集積を最小化することを可能にす
る。
・また、本発明は該追加されたガス流の流速の均衡を適切にとることを通じて該サイクロ
ンの効率を増強する。
・本発明の付加的な利益は、本発明が、該生産される粉末を該追加されたガス流に起因す
る該収集器内でのより低い相対飽和度に曝すために、該生産される粉末の残存溶媒を減少
させることができることである。
【0046】
さらに、本発明の方法は、先行技術における噴霧乾燥された粉末の特性を最適化するた
めの試みよりも単純な方法を利用することにより、先に論じた利点を提供する。例えば、
本発明の方法は、好ましくは該噴霧乾燥器チャンバへ固体材料、例えば該乾燥用ガスに分
散された固体材料の粒子を導入することを伴わない。また、本発明の方法は、該供給混合
物において利用される該溶媒系である1つの溶媒系の使用を要求するのみである。本発明
の方法は、好ましくは噴霧乾燥方法手順に導入されている追加の溶媒蒸気を含まない。例
えば、好ましくは、該乾燥用ガスは溶媒蒸気を含まない。また、本発明の方法は、好まし
くは該供給混合物を液滴へと微粒子化すること、及び前記液滴を乾燥用ガスで乾燥させる
ことを含み、ここで、該微粒子化すること及び乾燥することは、同じチャンバ内、例えば
噴霧乾燥器チャンバ10内で行われる。
【0047】
本発明の先行する記載は、当業者が現在のこれらの最善の形態であると考えられるもの
を生産及び使用することを可能とする一方、当業者は本明細書中の具体的な実施態様、方
法、及び実施例に変更、組み合わせ、及び等価物が存在することを理解し、認識するであ
ろう。従って、本発明は先に記載の実施態様、方法、及び実施例によって限定されるべき
でなく、請求されている本発明の範囲及び趣旨の中の全ての実施態様及び方法によって限
定されるべきである。
【実施例0048】
(実施例1)
本実施例では、本明細書に提示される発明を使用した、コポビドン(ポリマー)中のイ
トラコナゾール(API)の非晶質固体分散物の生産に対する方法条件の影響を示す。
【0049】
2分の1因子(half factorial)実験計画法(DoE)を用いて5つの試行を実施した(試行
#3~#7)。該実験計画法において選択した変数は、追加されたガス流のノズルに対する
位置(20 cm~70 cm)、供給速度(60~90 L/分)、及び該追加されたガス流の温度(25
℃~75℃)とした。比較の目的で、1つの試行を追加の窒素流を使用しない従来の噴霧乾
燥機構の実行可能な操作条件を用いて実施した(試行#1)。試行#3~#7において使用
されたのと同じ処理量を、従来の噴霧乾燥形態の操作における試行#2において使用した
【0050】
供給混合物を、各試行において2 gのAPI及び18 gのポリマーを75:25 w/w比のアセトン
:水混合物(735 gのアセトン及び245 gの水)に溶解させることにより調製した。二流体
ノズルを備えた実験室規模の噴霧乾燥器(Procept 4M8Trix)を使用して、24 mL/分で、
微粒子化窒素の流速を30 L/分として、該供給混合物を処理した。追加のニートな窒素の
流れを乾燥用チャンバの壁に対し周縁的に、放射状に均一に分布した点において加えた。
【0051】
操作条件は以下の表中に詳述されている。注目すべきは、試行に使用される乾燥用ガス
の流速である。試行#1において、凝縮の問題を克服するために使用することができる最
小の乾燥用ガスの流速は、24 kg/時であった(該乾燥用ガスの流速は、凝縮が観察されな
くなるまで段階的な様式で増加させた)。試行#2においては該乾燥用ガスの流速を12 kg
/時に減少させることにより方法の処理量を増加させた。これにより、凝縮及び器材壁へ
の固体の接着がもたらされた。このように、この結果は試行#2におけるように、方法の
処理量を増加させることは従来の噴霧乾燥方法機構においては実行可能でないことを示し
ている。
【0052】
DoEの試行において、追加の窒素の流れを使用することにより、12 kg/時の乾燥用ガス
の流速を使用することが可能となり、その結果噴霧領域における局所の相対飽和状態を増
加させることが可能となった。追加の窒素の流れの使用は、方法の露点(下記の表中でT_
として編集されている)を下げる効果を有しており、これにより凝縮が起こる可能性
が減少した。非晶質材料はDoE中の全ての試行(#3~#7)で得られ、このことはDSC分析
における単一のガラス転移温度(試行#7に関する図2を参照されたい)によって示されて
いる。対照的に、非晶質材料は凝縮の問題のため、試行#2における従来の噴霧乾燥形態
においては得ることができなかった。
【0053】
噴霧乾燥後に生産された非晶質固体分散物のバルク密度は、試行#1において0.065 g/m
Lであった。追加の窒素の流れが方法手順に追加されたDoE試行において、バルク密度は常
に試行#1におけるバルク密度よりも大きかった。最高のバルク密度値は、試行#4で観察
され(0.165 g/mL)、試行#1に関して2倍よりも大きな増加を伴っていた。このように、
開示された通りの改良噴霧乾燥方法の使用により、一定の混合物供給速度に対してバルク
密度を増加させることが可能となる。
【0054】
該DoE試行において得られる結果の分析から、バルク密度が該噴霧領域に関して追加さ
れた流れの距離(N2_位置)を増加させるとともに、該追加された流れの流速(F_追加)
を増加させるとともに、かつ該追加された流れの温度(T_追加)を低下させるとともに、
増加することを示している。
【0055】
【表1】
a相対処理量は各試行のF_供給及びF_乾燥の比を試行#1に対して比較することにより決
定される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に実質的に記載された、新規な物、方法及び製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
【表1】
a相対処理量は各試行のF_供給及びF_乾燥の比を試行#1に対して比較することにより決
定される。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
噴霧乾燥方法であって:
a. 供給混合物を提供する工程であって、該供給混合物が:
1以上の活性医薬成分(API)、1以上の賦形剤、又はこれらの混合物;及び少なく
とも1つの溶媒を含む溶媒系を含む、前記工程;
b. 該供給混合物を、噴霧乾燥器チャンバを備える噴霧乾燥装置に送り込む工程;
c. 微粒子化ノズルを用いて該供給混合物を液滴へと微粒子化する工程;
d. 該液滴を乾燥用ガスで乾燥させて該1以上のAPI;1以上の賦形剤、又はこれらの混
合物の粒子を生産する工程;
e. 1以上の第二ガス流を、該噴霧乾燥装置内の複数の位置の少なくとも1つにおいて、
該噴霧乾燥装置へと送り込む工程;及び
f. 該粒子を該噴霧乾燥器チャンバから回収する工程、を含む、前記噴霧乾燥方法。
(構成2)
前記供給混合物が1以上の活性医薬成分及び1以上の賦形剤を含む、構成1記載の噴霧
乾燥方法。
(構成3)
前記1以上のAPI、前記1以上の賦形剤、又は該1以上のAPI及び1以上の賦形剤の非晶質固
体分散物を生産することを含む、構成1又は2記載の噴霧乾燥方法。
(構成4)
前記1以上の賦形剤が1以上のポリマーを含む、構成1、2、又は3のいずれか1項記載の噴
霧乾燥方法。
(構成5)
前記1以上の賦形剤が、N-ビニルラクタム、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロー
スエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、ポリメ
タクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルポリマー、オリ
ゴ糖、多糖、N-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、N-
ビニルピロリドン及び酢酸ビニルのコポリマー、N-ビニルピロリドン及びプロピオン酸ビ
ニルのコポリマー、ポリエチレングリコール/ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル
のグラフトコポリマー(例えば、Soluplus(登録商標))、ポリビニルピロリドン、ヒドロ
キシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハ
ク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド及びプロピ
レンオキシドのコポリマー、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/
メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸ブチル/2-ジメチルアミノエチルメタクリ
レートコポリマー、ポリ(アクリル酸ヒドロキシアルキル)、ポリ(メタクリル酸ヒドロ
キシアルキル)、アクリル酸アルキルクロスポリマー(例えば、Permulen(登録商標)、C
arbopol(登録商標))、ジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸ポリマー(例えば、N
oveon(登録商標))、ゼラチン、ゼラチン、酢酸ビニル及びクロトン酸のコポリマー、部
分加水分解されたポリ酢酸ビニル、カラギーナン、ガラクトマンナン、高粘度ガム、キサ
ンタンガム、又はこれらの組み合わせを含む、構成1~4のいずれか1項記載の噴霧乾燥方
法。
(構成6)
構成1の工程e.が存在しない対応する噴霧乾燥方法と比較して、増加したバルク密度を
有する非晶質固体分散物を生産するための、構成1~5のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法

(構成7)
前記噴霧乾燥器チャンバが円筒状の上側部分及び錐体状の下側部分を備える、構成1~6
のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成8)
前記粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収する工程f.が、該粒子を該噴霧乾燥器チャ
ンバに接続された容器中に回収することを含む、構成1~7のいずれか1項記載の噴霧乾燥
方法。
(構成9)
前記粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収する工程f.が、該粒子を該噴霧乾燥器チャ
ンバに接続されたサイクロン又はフィルタバッグの使用を通じて回収することを含む、構
成1~8のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成10)
前記粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収する工程f.が、該粒子が該噴霧乾燥器チャ
ンバに接続されたサイクロン又はフィルタバッグを通過して、該サイクロン又はフィルタ
バッグに接続された容器へと入ることを含む、構成9記載の噴霧乾燥方法。
(構成11)
前記工程e) が、以下の位置:
i) 前記噴霧乾燥器チャンバの直立部分(位置26);
ii) 該噴霧乾燥器チャンバの錐体部分(位置28)、の少なくとも1つに、少なくとも1つ
の第二ガス流を送り込むことを含む、構成7~10のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成12)
前記工程e) が、以下の位置:
i) 前記噴霧乾燥器チャンバ及び前記フィルタバッグ又はサイクロンの間の接続部(位
置30);
ii) 該フィルタバッグ又はサイクロン及び前記容器の間の接続部(位置32);
iii) 該容器(位置34);
iv) サイクロン又はフィルタバッグが存在しない場合は、該噴霧乾燥器チャンバ及び該
容器の間の位置、の少なくとも1つに、少なくとも1つの第二ガス流を送り込むことを含む
、構成9~11のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成13)
前記微粒子化ノズルが圧力式、二流体式、又はロータリー式のものである、構成1~12
のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成14)
前記微粒子化ノズルが前記噴霧乾燥器チャンバの上端の中央に位置する、構成1~13の
いずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成15)
前記溶媒系が、水、有機溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、エタノール、
メタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ヘキサン、へプタン、ジクロロメタン、テ
トラヒドロフラン、又はこれらの任意の組み合わせを含む、構成1~14のいずれか1項記載
の噴霧乾燥方法。
(構成16)
前記第二ガス流が噴霧領域の外に位置する前記噴霧乾燥装置に加えられる、構成1~15
のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成17)
前記噴霧乾燥器チャンバを出る流れが、追加のガス流なしに、対応する従来の噴霧乾燥
方法に関して減少した相対溶媒飽和度を有する、構成1~16のいずれか1項記載の噴霧乾燥
方法。
(構成18)
噴霧乾燥された粒子のバルク密度が以下の選択肢:
i) 前記噴霧領域に追加された流れの距離を増加させること;
ii) 該追加された流れの流速を増加させること;及び
iii) 該追加された流れの温度を低下させること、のいずれかによってさらに増加させ
られる、構成1~17のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成19)
前記噴霧乾燥器に対する処理量が、構成1の工程e.が存在しない、対応する従来の噴霧
乾燥方法におけるよりも高い、構成1~18のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成20)
前記1以上の第二ガス流及び/又は前記乾燥用ガスが窒素ガス流を含む、構成1~19のい
ずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成21)
回収された粒子の前記バルク密度が0.07 g/ml超である、構成1~20のいずれか1項記載
の噴霧乾燥方法。
(構成22)
前記回収された粒子の前記バルク密度が0.1 g/ml超、任意に0.15 g/ml超である、構成1
~21のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成23)
前記回収された粒子の前記バルク密度が0.1 g/ml~0.25 g/mlである、構成1~22のいず
れか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成24)
前記回収された粒子の前記バルク密度が0.1 g/ml~0.5 g/mlである、構成1~23のいず
れか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成25)
前記噴霧乾燥器チャンバへの固体材料、例えば前記乾燥用ガス中に分散された固体粒子
材料の導入を含まない、構成1~24のいずれか1項記載の噴霧乾燥方法。
(構成26)
前記方法で使用される唯一の溶媒系が、前記1以上のAPI;1以上の賦形剤、又はこれら
の混合物が溶解されている供給混合物中の溶媒系である、構成1~25のいずれか1項記載の
噴霧乾燥方法。
(構成27)
前記乾燥用ガスがいずれの溶媒蒸気も含まない、構成1~26のいずれか1項記載の噴霧乾
燥方法。
(構成28)
前記供給混合物を液滴へと微粒子化すること、及び該液滴を乾燥させて噴霧乾燥された
粒子を生産することが同じチャンバ内で行われる、構成1~27のいずれか1項記載の噴霧乾
燥方法。
(構成29)
内部に、複数の位置の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの第二ガス流入口を備
える、噴霧乾燥装置。
(構成30)
第二ガス流入口を備えない対応する噴霧乾燥装置と比較して、増加したバルク密度を有
する固体分散物を生産するためのものである、構成29記載の噴霧乾燥装置。
(構成31)
微粒子化ノズル及び乾燥用ガス入口を備える噴霧乾燥器チャンバ;並びに該噴霧乾燥器
チャンバから噴霧乾燥された粒子を回収する手段を備える、構成29又は30記載の噴霧乾燥
装置。
(構成32)
前記噴霧乾燥された粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収するための手段が、サイク
ロン、フィルタバッグ、容器、又はこれらの任意の組み合わせを備える、構成29~31のい
ずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
(構成33)
噴霧乾燥された粒子を前記噴霧乾燥器チャンバから回収する前記手段が、該噴霧乾燥器
チャンバ及び容器の間に接続されたサイクロンを備える、構成29~31のいずれか1項記載
の噴霧乾燥装置。
(構成34)
前記噴霧乾燥器チャンバが円筒状の上端部分及び錐体状の下端部分を備える、構成29~
33のいずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
(構成35)
前記少なくとも1つの第二ガス流入口の少なくとも1つが、以下の位置:
i) 乾燥用チャンバの前記直立部分(位置26);及び
ii) 該乾燥用チャンバの前記錐体部分(位置28)、の少なくとも1つにある、構成29~3
4のいずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
(構成36)
前記少なくとも1つの第二ガス流入口の少なくとも1つが、以下の位置:
i) 前記乾燥用チャンバ及びサイクロンのような、噴霧乾燥された粒子を噴霧乾燥され
たチャンバから回収する手段の間の接続部(位置30);
ii) サイクロンのような、噴霧乾燥された粒子を該噴霧乾燥されたチャンバから回収す
るための手段及び前記容器の間の接続部(位置32);及び
iii) 固体容器(位置34)、の少なくとも1つにある、構成32~35のいずれか1項記載の
噴霧乾燥装置。
(構成37)
前記微粒子化ノズルが圧力式、二流体式、ロータリー式のもの、又は任意の他の微粒子
化機構である、構成31~36のいずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
(構成38)
前記微粒子化ノズルが前記噴霧乾燥器チャンバの上端の中央に位置する、構成31~37の
いずれか1項記載の噴霧乾燥装置。
(構成39)
1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比較して、活性医薬成分(API)
及び、存在する場合は、1以上の賦形剤の非晶質固体分散物のバルク密度を増加させるた
めの構成1~28のいずれか1項記載の方法、又は構成29~38のいずれか1項記載の装置の使
用。
(構成40)
1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比較して、前記噴霧乾燥器チャ
ンバから回収された前記粒子の非晶質の物理的安定性を増加させるための、構成1~28の
いずれか1項記載の方法、又は構成29~38のいずれか1項記載の装置の使用。
(構成41)
1以上の第二ガス流が存在しない場合に対応する方法と比較して、前記噴霧乾燥器チャ
ンバから回収された前記粒子の残存溶媒含有量を低下させるための、構成1~28のいずれ
か1項記載の方法、又は構成29~38のいずれか1項記載の装置の使用。
(構成42)
実質的に、記載及び図面を参照して本明細書に記載される通りの方法、装置又は使用。
(構成43)
構成1~28のいずれか1項記載の方法により得ることができる、少なくとも1つの活性医
薬成分(API)及び少なくとも1つの賦形剤を含む、非晶質固体分散物。
(構成44)
少なくとも1つの活性医薬成分(API)及び少なくとも1つの賦形剤を含み、0.07 g/ml
超のバルク密度を有する、非晶質固体分散物。
(構成45)
0.1 g/ml超、任意に0.15 g/ml超のバルク密度を有する、構成44記載の非晶質固体分散
物。
(構成46)
0.1 g/ml~0.5 g/mlのバルク密度を有する、構成44又は45記載の非晶質固体分散物。
(構成47)
0.1 g/ml~0.25 g/mlのバルク密度を有する、構成44又は45記載の非晶質固体分散物。
(構成48)
前記少なくとも1つの賦形剤がポリマーを含む、構成43~46のいずれか1項記載の非晶質
固体分散物。
【外国語明細書】