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  • 特開-物品管理装置および物品管理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125188
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】物品管理装置および物品管理方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230831BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230831BHJP
   G01S 13/75 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06K7/10 264
G01S13/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029158
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】竹田 実穂子
(72)【発明者】
【氏名】鹿山 英則
【テーマコード(参考)】
3F522
5J070
【Fターム(参考)】
3F522AA05
3F522BB13
3F522BB24
3F522CC08
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD23
3F522DD32
3F522EE19
3F522GG03
3F522GG22
3F522GG44
3F522HH02
3F522HH16
3F522HH17
3F522HH22
3F522HH30
3F522HH37
3F522KK02
3F522LL42
3F522LL44
3F522LL59
5J070AC01
5J070AF01
5J070AF02
5J070BC05
5J070BC23
(57)【要約】
【課題】物品が定位置に保管されているか否かを判別することが可能な物品管理装置および物品管理方法を提供すること。
【解決手段】物品管理装置2は、プロセッサー21と、プロセッサー21と通信可能に接続され、物品1の定位置に関する定位置データ272を保存しているメモリー26と、物品1の記録媒体11と無線通信を実行可能な無線通信ユニット23と、を備えている。プロセッサー21は、無線通信ユニット23を用いた無線通信を介して、物品1の記録媒体11から受信した信号に基づいて、物品1の位置を算出し、算出された物品1の位置および定位置データ272に基づいて、物品1が定位置に保管されているか否かを判別するよう、構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信可能な記録媒体を備える物品の管理を行うための物品管理装置であって、
プロセッサーと、
前記プロセッサーと通信可能に接続され、前記物品の定位置に関する定位置データを保存しているメモリーと、
前記物品の前記記録媒体と前記無線通信を実行可能な無線通信ユニットと、を備え、
前記プロセッサーは、
前記無線通信ユニットを用いた前記無線通信を介して前記物品の前記記録媒体から受信した信号に基づいて、前記物品の位置を算出し、
算出された前記物品の前記位置および前記定位置データに基づいて、前記物品が前記定位置に保管されているか否かを判別するよう、構成されていることを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記プロセッサーは、前記物品が前記定位置に保管されていない場合には、前記物品の管理者にメッセージを通知する請求項1に記載の物品管理装置。
【請求項3】
前記物品管理装置の位置を算出するためのGPSユニットをさらに備え、
前記プロセッサーは、前記物品の前記記録媒体から受信した前記信号に基づいて、前記物品管理装置に対する前記物品の相対位置を算出し、前記物品の前記相対位置と前記物品管理装置の前記位置に基づいて、前記物品の前記位置を算出するよう構成されている請求項1または2に記載の物品管理装置。
【請求項4】
前記プロセッサーは、前記物品の前記記録媒体から受信した前記信号の受信電波強度、および、前記信号の搬送波と反射波の位相差に基づいて、前記物品管理装置に対する前記物品の前記相対位置を算出する請求項3に記載の物品管理装置。
【請求項5】
前記無線通信を介して、前記物品の前記記録媒体から前記物品管理装置に送信される前記信号は、前記物品を識別するための識別情報を含む請求項4に記載の物品管理装置。
【請求項6】
前記物品の前記記録媒体は、RFIDタグであり、
前記無線通信ユニットは、RFIDリーダーであり、
前記物品の前記記録媒体と前記物品管理装置の前記無線通信ユニットとの間の前記無線通信は、RFID規格に従っている請求項1ないし5のいずれかに記載の物品管理装置。
【請求項7】
無線通信可能な記録媒体を備える物品の管理を行うための物品管理方法であって、
プロセッサーを用いて、前記物品の前記記録媒体との前記無線通信を介して前記物品の前記記録媒体から受信した信号に基づいて、前記物品の位置を算出する工程と、
前記プロセッサーを用いて、算出された前記物品の前記位置およびメモリー内に保存されている前記物品の定位置データに基づいて、前記物品が定位置に保管されているか否かを判別する工程と、を含むことを特徴とする物品管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、無線通信可能な記録媒体を備える物品を管理するための物品管理システムおよび物品管理方法に関し、より具体的には、物品の記録媒体との無線通信を介して取得された信号に基づいて、物品が定位置に保存されているか否かを判別するための物品管理システムおよび物品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の書籍を保管している図書館のような、多数の物品が保管されている施設において、多数の物品を適切に管理することは、施設の運用上重要である。しかしながら、多数の物品を適切に管理するためは、保管されている多数の物品の種類や数を適宜把握し、データベース等で管理しなければならないが、このような管理作業は、物品の管理者にとって非常に大きな負担となる。このような物品の管理作業に関する負担を軽減するため、特許文献1は、物品のそれぞれにRFIDタグ等の非接触式ICタグを付し、各物品の非接触式ICタグと無線通信を実行することにより、各物品の種類および数の特定を実行するシステムを開示している。特許文献1が開示するシステムを利用することにより、物品の管理者は、施設内に保管されている商品の種類および数を容易に特定することができ、物品の管理者の負担を大幅に低減することができる。
【0003】
しかしながら、例えば不特定多数の人が、1つ以上の物品を利用するシーンにおいては、物品が、保管位置から取り出され、使用された後、定位置以外の意図しない場所に返却されるケースが発生する。この場合、次に物品を必要とする人が使用を希望した際に、該物品を探す必要があるため、施設をスムーズに運用できなくなってしまう。さらに、物品の破損や紛失等を回避する為にも、物品の保管位置の管理は重要である。しかしながら、特許文献1が開示するシステムは、物品が定位置に保管されているか否かを判別することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-151821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、物品が定位置に保管されているか否かを判別することが可能な物品管理装置および物品管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、以下の(1)および(2)によって規定される本発明により達成される。
【0007】
(1)無線通信可能な記録媒体を備える物品の管理を行うための物品管理装置であって、
プロセッサーと、
前記プロセッサーと通信可能に接続され、前記物品の定位置に関する定位置データを保存しているメモリーと、
前記物品の前記記録媒体と前記無線通信を実行可能な無線通信ユニットと、を備え、
前記プロセッサーは、
前記無線通信ユニットを用いた前記無線通信を介して前記物品の前記記録媒体から受信した信号に基づいて、前記物品の位置を算出し、
算出された前記物品の前記位置および前記定位置データに基づいて、前記物品が前記定位置に保管されているか否かを判別するよう、構成されていることを特徴とする物品管理装置。
【0008】
(2)無線通信可能な記録媒体を備える物品の管理を行うための物品管理方法であって、
プロセッサーを用いて、前記物品の前記記録媒体との前記無線通信を介して前記物品の前記記録媒体から受信した信号に基づいて、前記物品の位置を算出する工程と、
前記プロセッサーを用いて、算出された前記物品の前記位置およびメモリー内に保存されている前記物品の定位置データに基づいて、前記物品が定位置に保管されているか否かを判別する工程と、を含むことを特徴とする物品管理方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品が定位置に保管されているか否かを判別することができる。そのため、物品が定位置に保管されていない場合には、物品の管理者は、物品を定位置に戻す等の適切な処置を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る物品管理装置を含む物品管理システムのブロック図である。
図2】物品1の典型例を概略的に示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る物品管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図3を参照して、本発明の実施形態に係る物品管理装置および物品管理方法を詳述する。図1は、本発明の実施形態に係る物品管理装置を含む物品管理システムのブロック図である。図2は、物品1の典型例を概略的に示す図である。図3は、本発明の実施形態に係る物品管理方法を示すフローチャートである。
【0012】
図1に示す物品管理システム100は、1つ以上の物品1のそれぞれが、定位置に保管されているかを判別する機能を有している。物品管理システム100は、無線通信可能な記録媒体11を備える1つ以上の物品1と、各物品1の記録媒体11との無線通信を介して各物品1の記録媒体11から受信した信号に基づいて、各物品1が定位置に保管されているか否かを判別するための物品管理装置2と、を含む。
【0013】
1つ以上の物品1(物品A~物品N)は、図書館等の施設内に保存され、管理されている任意のオブジェクトである。施設の利用者は、必要に応じて、物品1を定位置から持ち出し、その後、定位置に返却しなければいけない。しかしながら、物品1を定位置から持ち出した利用者が、必ず、物品1を定位置に返却するとは限らない。この場合、物品1は、定位置以外の位置に保管される。物品管理システム100は、物品1が、定位置に保管されているか否かを判別し、物品1が、定位置以外の位置に保管されていない場合には、物品1の管理者に、メッセージを通知する。物品1の管理者は、通知されたメッセージを確認することにより、物品1を定位置に戻す等の適切な処置を実行することができる。
【0014】
各物品1は、全て同じ構成を有しているため、代表して1つの物品1の構成について詳述する。物品1は、物品1の表面または内部に設けられた記録媒体11を備えている。記録媒体11は、RFID(Radio Frequency Identification)、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の任意の無線通信技術によって、物品管理装置2と無線通信可能に構成された非接触式ICタグである。典型的には、記録媒体11は、RFIDタグであって、RFIDのUHF帯(920MHz帯)を用いて、物品管理装置2と無線接続を確立し、物品管理装置2に対して信号を無線送信する。記録媒体11がRFIDタグである場合、記録媒体11は、物品管理装置2から受信した電波を電力に変換し、変換された電力を用いて、信号を物品管理装置2に無線送信することができるので、記録媒体11に、バッテリーを設ける必要はない。
【0015】
記録媒体11の無線通信可能範囲は、用いられる無線通信技術の通信可能距離や通信環境に依存する。無線通信技術としてRFIDが用いられる場合には、典型的には、記録媒体11の無線通信可能範囲は、記録媒体11を中心とする半径10m程度の範囲である。
【0016】
記録媒体11は、物品1の表面または内部に設けられている。記録媒体11は、物品管理装置2と無線通信を実行するのに必要なコンポーネント(アンテナ、送受信回路、変復調回路、ICチップ等)を備えている。また、記録媒体11は、物品1を識別するための識別情報を記録している。物品1を識別するための識別情報は、例えば、物品1を識別するためのID番号や属性(例えば、本のタイトル、著者名、出版社、発行日等)である。記録媒体11は、物品管理装置2と無線接続を確立すると、物品管理装置2に対して自身の識別情報を無線送信する。
【0017】
記録媒体11は、物品1が施設に搬入された際に、物品1の管理者によって、物品1の表面または内部に設けられる。その後、物品1の管理者は、物品管理装置2を用いて、物品管理装置2と物品1の記録媒体11との無線接続を確立し、物品1の記録媒体11の認証を実行し、物品管理装置2に対する物品1の登録を実行する。
【0018】
図2は、物品1の典型例を概略的に示している。図2に示されているように、1つの例において、物品1は、図書館において保管および管理され、図書館の利用者に対して貸し出される書籍である。記録媒体11は、物品1の管理者によって、物品1のカバーの裏面に取り付けられている。物品管理装置2に対する物品1の登録が完了すると、物品1は、定位置(例えば、図示されているように、特定の本棚の特定の段)に保管され、物品1の貸し出しサービスが提供される。物品管理システム100は、このような持ち出しおよび返却される任意の種類の物品1が、定位置において保管されているか否かを判別するよう構成されている。
【0019】
図1に戻り、物品管理装置2は、1つ以上の物品1と無線通信可能に構成された任意の固定式または携帯式の情報端末である。また、物品管理装置2は、複数の物品1の記録媒体11と同時に無線通信を実行し、複数の物品1の記録媒体11から同時に信号を受信することができる。物品管理装置2が携帯式の情報端末の場合、物品1の管理者は、物品管理装置2を所持した状態で、施設内を移動し、施設内に保存されている物品1のそれぞれの記録媒体11から信号を受信することにより、施設内に保存されている物品1のそれぞれが定位置に保管されているか否かを判別する。一方、物品管理装置2が固定式の情報端末の場合、物品管理装置2は、無線通信可能範囲内に存在する複数の物品1のそれぞれの記録媒体11から、所定の頻度(例えば、1日に1回、半日に1回等)で、信号を受信し、無線通信可能範囲内に存在する複数の物品1のそれぞれが定位置に保管されているか否かを判別する。この場合、物品管理装置2の無線通信可能範囲は、物品1が保管され得る場所を全て覆っていることが好ましい。
【0020】
物品管理装置2は、物品管理装置2の制御を実行するための1つ以上のプロセッサー21と、物品管理装置2への入力および物品管理装置2からの出力を実行するためのI/O(インプット/アウトプット)インターフェース22と、物品1の記録媒体11と無線通信を実行するための無線通信ユニット23と、複数のGPS衛星から信号を受信することにより物品管理装置2の位置を算出するためのGPSユニット24と、文字または画像を含む情報を表示するためのディスプレイ25と、物品管理装置2の処理を実行するために用いられるデータ27およびモジュール28を保存している1つ以上のメモリー26と、を備えている。
【0021】
1つ以上のプロセッサー21は、1つ以上のマイクロプロセッサー、マイクロコンピューター、マイクロコントローラー、デジタル信号プロセッサー(DSP)、中央演算処理装置(CPU)、メモリーコントロールユニット(MCU)、画像処理用演算処理装置(GPU)、状態機械、論理回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはこれらの組み合わせ等のコンピューター可読命令に基づいて信号操作等の演算処理を実行する演算ユニットである。特に、プロセッサー21は、メモリー26内に保存されているコンピューター可読命令(例えば、データ、プログラム、モジュール等)をフェッチし、演算、信号操作および制御を実行するよう構成されている。
【0022】
I/Oインターフェース22は、ウェブインターフェース、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)等の様々なソフトウェアインターフェースおよびハードウェアインターフェースを含む。例えば、I/Oインターフェース22は、キーボード、マウス、タッチパネルディスプレイ、外部メモリー、プリンター、ディスプレイのような周辺デバイスのためのインターフェースである。I/Oインターフェース22は、キーボード、マウス、タッチパネルディスプレイのような入力デバイスを用いた物品管理装置2への入力およびディスプレイ、プリンター、外部メモリーへの物品管理装置2からの出力を可能とする。また、I/Oインターフェース22は、物品管理装置2が、インターネット等のネットワークを介して、外部に設けられたウェブサーバーやデータサーバーのような任意の外部デバイスと通信を行うことを可能としてもよい。
【0023】
無線通信ユニット23は、1つ以上の物品1の記録媒体11と無線通信を実行し、記録媒体11から信号を受信するために用いられるユニットである。無線通信ユニット23は、アンテナ、送受信回路、変復調回路等のRFID、ブルートゥース、WiFi、NFC等の任意の無線通信技術の規格に従う無線通信を実行するために必要なコンポーネントを備えており、プロセッサー21からの制御に応じて、1つ以上の物品1の記録媒体11との無線通信を実行する。なお、無線通信ユニット23と物品1の記録媒体11は、同じ無線通信技術の規格に対応している。したがって、記録媒体11がRFIDタグである場合、無線通信ユニット23は、RFIDリーダーである。
【0024】
無線通信ユニット23と1つ以上の物品1の記録媒体11との無線通信は、所定の頻度(例えば、0.1秒に1回、1秒に1回、1分に1回等)で実行される。なお、図示の態様では、無線通信ユニット23は、物品管理装置2内に組み込まれているが、本発明はこれに限られない。無線通信ユニット23が物品管理装置2とは別のデバイスとして構成されており、有線接続または無線接続によって、無線通信ユニット23が物品管理装置2に接続され、物品管理装置2が、無線通信ユニット23を介して、1つ以上の物品1の記録媒体11と無線通信を実行し、記録媒体11から信号を受信する態様もまた、本発明の範囲内である。
【0025】
記録媒体11から発せられ無線通信ユニット23によって受信される信号は、記録媒体11内に記録されている識別情報を含んでいる。無線通信ユニット23は、記録媒体11から受信した信号の受信電波強度と、搬送波と反射波の位相差に関する位相差情報を算出し、これらを識別情報と紐づけて、メモリー26内に一時保存する。メモリー26内に一時保存された識別情報は、無線通信ユニット23と無線通信を実行した物品1を識別するために利用される。メモリー26内に一時保存された受信電波強度および位相差情報は、物品管理装置2に対する物品1の相対位置を算出するために用いられる。
【0026】
GPSユニット24は、衛星軌道上に存在する3つ以上のGPS衛星からGPS信号を受信し、各GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて3次元測位を実行することにより、物品管理装置2の位置(緯度および経度、ワールド座標ともいう)を算出することができる。GPSユニット24による物品管理装置2の位置の算出は、所定の頻度(例えば、0.1秒に1回、1秒に1回、1分に1回等)で実行される。算出された物品管理装置2の位置は、メモリー26内に一時保存される。
【0027】
ディスプレイ25は、物品1の管理者に対するメッセージを表示するために用いられる。物品管理装置2が、物品1が定位置に保管されていないと判別すると、プロセッサー21は、ディスプレイ25に、メッセージを表示する。ディスプレイ25に表示されるメッセージは、物品1が定位置に保管されていない旨を表す文字列または画像、物品1を特定するための識別情報、物品1の現在位置、物品1が保管されるべき定位置に関する定位置データ272等の物品1の管理に必要な情報を含む。物品1の管理者は、ディスプレイ25に表示されたメッセージを確認することにより、物品1を定位置に戻す等の適切な処置を実行することができる。なお、図示の態様では、ディスプレイ25は、物品管理装置2に組み込まれているが、本発明はこれに限られない。ディスプレイ25が物品管理装置2とは別のデバイスとして設けられており、物品管理装置2が、I/Oインターフェース22を介して、外部のディスプレイ25に上述のメッセージ等を表示させるような態様もまた、本発明の範囲内である。
【0028】
メモリー26は、揮発性記録媒体(例えば、RAM、SRAM、DRAM)、不揮発性記録媒体(例えば、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリー、ハードディスク、光ディスク、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク)、またはこれらの組み合わせを含む着脱式または非着脱式のコンピューター可読媒体である。
【0029】
メモリー26は、プロセッサー21と通信可能に接続され、物品管理装置2が処理を実行するために必要なデータ27と、プロセッサー21により実行可能な複数のモジュール28と、を保存している。また、メモリー26は、複数のモジュール28の1つ以上によって受信、処理、生成されたデータ、無線通信ユニット23またはGPSユニット24を介して取得されたデータ、または複数のモジュール28による処理を実行するために必要なデータを一時保存する機能を備えている。
【0030】
データ27は、物品管理装置2に対して登録された物品1を識別するための物品識別データ271と、物品管理装置2に対して登録された物品1が保管されるべき定位置に関する定位置データ272と、物品管理装置2の処理を実行するために必要な任意の数のその他データ273と、を含んでいる。
【0031】
物品識別データ271は、物品管理装置2に対して登録された物品1を識別するためのデータである。物品1の管理者は、管理されるべき物品1の施設への搬入が行われると、物品1に対して記録媒体11を取り付ける。その後、物品1の管理者は、物品管理装置2を用いて、物品管理装置2と物品1の記録媒体11との無線接続を確立し、物品1の記録媒体11の認証を実行する。物品1の記録媒体11の認証が完了すると、記録媒体11の識別情報が、物品管理装置2のメモリー26内に、物品識別データ271として保存され、物品1が物品管理装置2に登録される。
【0032】
定位置データ272は、物品管理装置2に対して登録された物品1が保管されるべき定位置に関するデータである。物品1の管理者は、物品管理装置2に対する物品1の登録が完了した後、物品管理装置2を操作して、物品1が保管されるべき定位置を設定する。設定された定位置に関する情報は、記録媒体11の識別情報と紐づけられ、物品管理装置2のメモリー26内に、定位置データ272として保存される。
【0033】
典型的には、定位置データ272は、物品1が保管されるべき定位置の緯度および経度、または、施設内の座標等である。この場合、物品1の位置が、定位置の緯度および経度、または、施設内の座標等と一致する場合に、物品1が定位置に保管されていると判別される。
【0034】
代替的に、定位置データ272は、施設内の任意の座標を中心とした所定の領域であってもよい。この場合、定位置は、例えば、特定の棚内または特定の部屋内であり、物品1が特定の棚、または、特定の部屋等の所定の領域内に位置しているか否かが判別される。物品1が所定の領域内に位置している場合、物品1が定位置に保管されていると判別される。または、定位置データ272は、特定の記録媒体11を中心とする所定の領域であってもよい。この場合、例えば、特定の棚に、特定の棚の識別情報が記録された記録媒体11が取り付けられており、特定の棚の記録媒体11に対する物品1の記録媒体11の相対位置に基づいて、物品1が所定の領域内に位置しているか否かが判別される。物品1が、特定の記録媒体11を中心とする所定の領域内に位置している場合、物品1が定位置に保管されていると判別される。
【0035】
メモリー26内に保存されているモジュール28は、ルーティーン、アプリケーション、プログラム、アルゴリズム、ライブラリー、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、またはこれらの組み合わせ等のプロセッサー21により実行可能なコンピューター可読命令である。
【0036】
モジュール28は、無線通信ユニット23が取得した識別情報に基づいて物品1を識別するための識別モジュール281と、無線通信ユニット23が算出した受信電波強度および位相差情報に基づいて物品1の位置を算出するための位置算出モジュール282と、位置算出モジュール282が算出した物品1の位置に基づいて、物品1が定位置に保管されているか否かを判別するための保管状態判別モジュール283と、物品管理装置2が提供する機能を補うための任意の数のその他モジュール284と、を含んでいる。
【0037】
識別モジュール281は、無線通信ユニット23が取得した物品1の記録媒体11の識別情報に基づいて、物品1の種類や属性を識別する機能を有している。典型的には、識別情報は、物品1を識別するためのID番号等であり、識別モジュール281は、識別情報に基づいて、物品管理装置2と無線通信を実行した物品1を識別する。
【0038】
位置算出モジュール282は、無線通信ユニット23が算出した受信電波強度および位相差情報に基づいて、物品1の位置を算出する機能を有している。より具体的には、位置算出モジュール282は、無線通信ユニット23のアンテナの位置および向き、受信電波強度、並びに、位相差情報に基づいて、物品管理装置2に対する物品1の相対位置を算出する。測定対象と無線通信を実行することにより得られた受信電波強度および位相差情報、並びに、無線通信用のアンテナの位置および向きに基づいて、測定対象の位置を算出する技術は、レーダー分野において、位置同定技術またはローカリゼーション技術として知られている。位置算出モジュール282は、レーダー分野において既知の任意の位置同定技術またはローカリゼーション技術を用いて、物品管理装置2に対する物品1の相対位置(ローカル座標)を算出する。その後、位置算出モジュール282は、GPSユニット24から物品管理装置2の位置(ワールド座標)を取得し、物品管理装置2の位置および算出された物品管理装置2に対する物品1の相対位置に基づいて、物品1の位置(ワールド座標)を算出する。位置算出モジュール282によって算出された物品1の位置は、メモリー26内に一時保存される。
【0039】
保管状態判別モジュール283は、位置算出モジュール282によって算出された物品1の位置に基づいて、物品1が定位置に保管されているか否かを判別する機能を有している。より具体的には、保管状態判別モジュール283は、メモリー26内に保存されている定位置データ272を参照し、物品1の位置が、定位置データ272によって規定される条件を満たしているか否かを判別する。定位置データ272が特定の座標である場合、物品1の位置が、特定の座標と一致しているか否かが判別される。定位置データ272が特定の座標または特定の記録媒体11を中心とする所定の領域である場合、物品1の位置が、所定の領域内であるか否かが判別される。保管状態判別モジュール283による判別結果は、メモリー26内に一時保存される。
【0040】
プロセッサー21は、メモリー26内に一時保存されている判別結果に応じて、物品1の管理に必要な情報を含むメッセージをディスプレイ25に表示、または、I/Oインターフェース22を介してインターネット等のネットワークに接続し、物品1の管理に必要な情報を含むメッセージを物品1の管理者の情報端末に送信することにより、物品1の管理者に、物品1の管理に必要な情報を含むメッセージを通知する。通知されたメッセージを確認することにより、物品1の管理者は、物品1を定位置に戻す等の適切な処置を実行することができる。
【0041】
次に、図3を参照して、物品管理システム100を用いて実行される本発明の実施形態に係る物品管理方法を詳述する。図3に示す物品管理方法S100は、物品1の管理者が、I/Oインターフェース22を介して、物品管理装置2に対して、物品管理方法S100を開始するための操作を入力することにより開始される。なお、物品管理装置2は、所定の場所に固定的に設けられていてもよいし、物品1の管理者によって携帯されていてもよい。物品管理装置2が物品1の管理者によって携帯されている場合、物品1の管理者は、物品管理装置2を所持した状態で所定の頻度(数時間に一回等)で施設内を巡回し、施設内を巡回している間、物品管理方法S100を繰り返し実行してもよい。
【0042】
工程S110において、物品管理装置2のプロセッサー21は、無線通信ユニット23を用いて、無線通信ユニット23の無線通信可能範囲内に位置する全ての物品1の記録媒体11との無線通信を確立し、各物品1の記録媒体11から信号を受信する。次に、無線通信ユニット23は、各物品1の記録媒体11から受信した信号の受信電波強度および位相差情報を算出する。
【0043】
さらに、工程S110において、物品管理装置2のプロセッサー21は、識別モジュール281を用いて、各物品1の記録媒体11から受信した信号に含まれる識別情報に基づいて、物品1を識別する。工程S110において算出された受信電波強度および位相差情報は、物品1の識別情報に紐づけられて、メモリー26内に一時保存される。
【0044】
工程S120において、物品管理装置2のプロセッサー21は、位置算出モジュール282を用いて、各物品1の識別情報に紐づけられた状態でメモリー26内に一時保存されている受信電波強度および位相差情報に基づいて、物品管理装置2に対する各物品1の相対位置(ローカル座標)を算出する。位置算出モジュール282によって算出された各物品1の相対位置は、各物品1の識別情報と紐づけられて、メモリー26内に一時保存される。その後、位置算出モジュール282は、GPSユニット24から物品管理装置2の位置(ワールド座標)を取得し、物品管理装置2の位置および算出された物品管理装置2に対する物品1の相対位置に基づいて、物品1の位置(ワールド座標)を算出する。位置算出モジュール282によって算出された物品1の位置は、メモリー26内に一時保存される。
【0045】
工程S130において、物品管理装置2のプロセッサー21は、保管状態判別モジュール283を用いて、各物品1が定位置に保管されているか否かを判別する。保管状態判別モジュール283は、メモリー26内に保存されている定位置データ272を参照し、物品1の位置が、定位置データ272によって規定される条件を満たしているか否かを判別する。保管状態判別モジュール283による判別結果は、メモリー26内に一時保存される。
【0046】
工程S140において、物品管理装置2のプロセッサー21は、工程S110において物品管理装置2と無線通信を実行した各物品1が定位置に保管されているかが判別する。工程S140において物品管理装置2と無線通信を実行した物品1の全てが定位置に保管されていると判別された場合、物品管理方法S100は、終了する。一方、工程S140において物品管理装置2と無線通信を実行した物品1の1つ以上が定位置に保管されていないと判別された場合、処理は、工程S150に移行する。
【0047】
工程S150において、物品管理装置2のプロセッサー21は、定位置に保管されていない物品1の管理に必要な情報を含むメッセージをディスプレイ25に表示、または、I/Oインターフェース22を介してインターネット等のネットワークに接続し、物品1の管理に必要な情報を含むメッセージを物品1の管理者の情報端末に送信することにより、物品1の管理者に、メッセージを通知する。物品1の管理者は、通知されたメッセージを確認することにより、物品1を定位置に戻す等の適切な処置を実行することができる。工程S150の処理が終了すると、物品管理方法S100は、終了する。
【0048】
このような構成により、物品1が定位置に保管されているか否かを判別し、物品1が定位置に保管されていない場合には、物品1の管理者にメッセージを通知することができる。そのため、物品1の管理者は、通知されたメッセージを確認することにより、物品1を定位置に戻す等の適切な処置を実行することができる。本発明の物品管理装置2および物品管理方法S100を用いることにより、1つ以上の物品1が定位置に保管されているか否かを自動的に判別することができるので、物品1の管理者の負担を大幅に軽減することができる。
【0049】
なお、上述の説明では、物品管理装置2が固定的に設けられている、または、物品管理装置2が物品1の管理者によって所持されている態様を詳述したが、本発明はこれに限られない。物品管理装置2が、夜間等の所定のタイミングで施設内を自動的に巡回する自立走行型ロボットに搭載され、自立走行型ロボットが施設内の巡回を実行している間、上述の物品管理方法S100が繰り返し実行されるような態様もまた、本発明の範囲内である。この場合、物品1の管理者に通知されるメッセージが、メモリー26内に保存されてもよい。自立走行型ロボットによる施設内の巡回が終了した後、物品1の管理者は、任意のタイミングで、物品管理装置2のメモリー26内に保存されているメッセージを確認することにより、物品1を定位置に戻す等の適切な処置を実行することができる。
【0050】
本発明の物品管理装置2および物品管理方法S100は、多数の物品1の取り出しおよび返却が実行され、かつ、物品1が定位置以外の意図しない位置に返却されることが好まれない施設において好適に用いることができる。例えば、物品管理装置2および物品管理方法S100は、多数の書籍が保管されている図書館や、多数の工具が保管されている工場等において、好適に用いることができる。
【0051】
以上、本発明の物品管理装置および物品管理方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明の各コンポーネントの構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の構成に任意の構成のものを付加することができる。また、物品管理システムの各コンポーネントは、ハードウェア的に実現されていてもよいし、ソフトウェア的に実現されていてもよいし、これらの組み合わせによって実現されていてもよい。
【0052】
また、本発明の物品管理方法の工程の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の工程が、任意の目的で追加若しくは組み合され、または、任意の工程が削除される態様も、本発明の範囲内である。
【0053】
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明の物品管理装置および物品管理方法の構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有する物品管理装置および物品管理方法もまた、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0054】
1…物品 11…記録媒体 2…物品管理装置 21…プロセッサー 22…I/Oインターフェース 23…無線通信ユニット 24…GPSユニット 25…ディスプレイ 26…メモリー 27…データ 271…物品識別データ 272…定位置データ 273…その他データ 28…モジュール 281…識別モジュール 282…位置算出モジュール 283…保管状態判別モジュール 284…その他モジュール 100…物品管理システム S100…物品管理方法 S110、S120、S130、S140、S150…工程
図1
図2
図3