(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125211
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20230831BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20230831BHJP
B60K 1/00 20060101ALI20230831BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230831BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
E02F9/20 N
B60K8/00
B60K1/00
B60K1/04 Z
B60K11/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029190
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山脇 翔太
(72)【発明者】
【氏名】下村 威
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】増野 正高
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 拓也
【テーマコード(参考)】
2D003
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AC06
2D003BA08
2D003CA10
2D003DA04
3D038AB09
3D038AC22
3D235AA19
3D235BB18
3D235BB25
3D235CC12
3D235CC16
3D235CC23
3D235CC25
3D235DD11
3D235DD21
3D235FF44
3D235HH16
3D235HH34
(57)【要約】
【課題】耐久性を有し大型化を抑制できる燃料電池システムを備える作業機械を提供すること。
【解決手段】作業機械は、燃料電池と、燃料電池に並列接続されるリチウムイオンキャパシタと、燃料電池及びリチウムイオンキャパシタの少なくとも一方から給電される電動モータと、電動モータにより駆動される対象部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池に並列接続されるリチウムイオンキャパシタと、
前記燃料電池及び前記リチウムイオンキャパシタの少なくとも一方から給電される電動モータと、
前記電動モータにより駆動される対象部と、を備える、
作業機械。
【請求項2】
前記電動モータに接続される電力ラインと、
前記燃料電池と前記電力ラインの第1部分とを接続する第1接続ラインと、
前記リチウムイオンキャパシタと前記電力ラインの第2部分とを接続する第2接続ラインと、
前記燃料電池と前記第1部分との間の前記第1接続ラインに配置される第1DC/DCコンバータと、を備え、
前記燃料電池からの電力が前記第1DC/DCコンバータを介して前記電動モータに供給される、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記リチウムイオンキャパシタと前記第2部分との間の前記第2接続ラインに配置される第2DC/DCコンバータを備え、
前記リチウムイオンキャパシタからの電力が前記第2DC/DCコンバータを介して前記電動モータに供給される、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記リチウムイオンキャパシタは、前記第1DC/DCコンバータ及び前記第2接続ラインを介して供給される前記燃料電池からの電力により充電される、
請求項2又は請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記電動モータに接続される電力ラインと、
前記燃料電池と前記電力ラインの第1部分とを接続する第1接続ラインと、
前記リチウムイオンキャパシタと前記第1接続ラインの第3部分とを接続する第3接続ラインと、
前記燃料電池と前記第3部分との間の前記第1接続ラインに配置される一次側DC/DCコンバータと、
前記第3部分と前記第1部分との間の前記第1接続ラインに配置される二次側DC/DCコンバータと、を備え、
前記燃料電池からの電力が前記一次側DC/DCコンバータ及び前記二次側DC/DCコンバータを介して前記電動モータに供給される、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記リチウムイオンキャパシタからの電力が前記二次側DC/DCコンバータを介して前記電動モータに供給される、
請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記リチウムイオンキャパシタは、前記一次側DC/DCコンバータ及び前記第3接続ラインを介して供給された前記燃料電池からの電力により充電される、
請求項5又は請求項6に記載の作業機械。
【請求項8】
昇圧用リチウムイオンキャパシタと、
前記燃料電池と第1DC/DCコンバータとが前記昇圧用リチウムイオンキャパシタを介して直列接続される第1状態と、前記燃料電池と第1DC/DCコンバータとが前記昇圧用リチウムイオンキャパシタを介さずに直列接続される第2状態とを切り換えるスイッチ装置と、を備える、
請求項2に記載の作業機械。
【請求項9】
前記第1状態において、前記燃料電池からの電力が前記昇圧用リチウムイオンキャパシタに供給され、前記昇圧用リチウムイオンキャパシタからの電力が前記第1DC/DCコンバータを介して前記電動モータに供給され、
前記第2状態において、前記燃料電池からの電力が前記第1DC/DCコンバータを介して前記電動モータに供給される、
請求項8に記載の作業機械。
【請求項10】
前記スイッチ装置は、前記昇圧用リチウムイオンキャパシタが充電されるように前記燃料電池からの電力が前記昇圧用リチウムイオンキャパシタに供給される第3状態に切り換える、
請求項8又は請求項9に記載の作業機械。
【請求項11】
前記第1状態において、前記燃料電池からの電力が前記昇圧用リチウムイオンキャパシタの負極に入力され、前記昇圧用リチウムイオンキャパシタの正極から出力された電力が前記第1DC/DCコンバータに入力され、
前記第3状態において、前記燃料電池からの電力が前記昇圧用リチウムイオンキャパシタの正極に入力され、前記昇圧用リチウムイオンキャパシタの負極から出力された電力が前記第1DC/DCコンバータに入力される、
請求項10に記載の作業機械。
【請求項12】
前記燃料電池の電圧を変換するDC/DCコンバータを冷却する冷却系を備え、
前記リチウムイオンキャパシタは、前記冷却系により冷却される、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項13】
油圧ポンプを備え、
前記対象部は、前記電動モータにより作動する前記油圧ポンプを含む、
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の作業機械。
【請求項14】
作業機と、
前記作業機を動作させる作業機シリンダと、を備え、
前記油圧ポンプは、前記作業機シリンダに供給される作動油を吐出する、
請求項13に記載の作業機械。
【請求項15】
駆動輪を有する走行体と、
前記駆動輪を回転させる走行モータと、を備え、
前記油圧ポンプは、前記走行モータに供給される作動油を吐出する、
請求項13又は請求項14に記載の作業機械。
【請求項16】
前記走行体に支持される旋回体と、
前記旋回体を旋回させる旋回モータと、を備え、
前記油圧ポンプは、前記旋回モータに供給される作動油を吐出する、
請求項15に記載の作業機械。
【請求項17】
走行体と、
前記走行体に支持される旋回体と、を備え、
前記対象部は、前記電動モータにより旋回する旋回体を含む、
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の作業機械。
【請求項18】
前記旋回体を旋回する前記電動モータの回生電圧により前記リチウムイオンキャパシタが充電される、
請求項17に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンニュートラルに向けて作業機械のゼロエミッション化が急務である。ゼロエミッション化の手段として燃料電池システムを搭載した作業機械が提案されている。
【0003】
燃料電池システムの駆動方式は、燃料電池を主動力源とする駆動方式と、蓄電装置を主動力源とする駆動方式とに大別される。燃料電池を主動力源とする駆動方式は、主動力源となる大出力の燃料電池と燃料電池をアシストする小型の蓄電装置とを組み合わせた方式である。蓄電装置を主動力源とする駆動方式は、主動力源となる大容量の蓄電装置と蓄電装置に電力を供給する小型の燃料電池とを組み合わせた方式である。
【0004】
特許文献1には、蓄電装置を主動力源とする駆動方式の燃料電池ユニットを有するクレーンが開示されている。特許文献1に開示されているクレーンは、蓄電器として、スーパーキャパシタと呼ばれる電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0038249号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄電装置を主動力源とする駆動方式では、大容量の蓄電装置が必要となるため、燃料電池システムの容積が大きくなり、作業機械への搭載性が厳しくなる。また、大容量の蓄電装置を主動力源として用いるため、充電率(SOC:State Of Charge)の変動が大きい。一般に、SOCの変動が大きいと、蓄電装置の劣化が早まり寿命が低下する。蓄電装置の寿命の低下を抑制するためには、蓄電容量に対するSOCの変動を小さくする必要がある。SOCの変動を小さくするためには、蓄電装置を更に大容量にする必要がある。
【0007】
本開示は、耐久性を有し大型化を抑制できる燃料電池システムを備える作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に従えば、燃料電池と、燃料電池に並列接続されるリチウムイオンキャパシタと、燃料電池及びリチウムイオンキャパシタの少なくとも一方から給電される電動モータと、電動モータにより駆動される対象部と、を備える、作業機械が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、耐久性を有し大型化を抑制できる燃料電池システムを備える作業機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る作業機械を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る作業機械の駆動システムを示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る作業機械の冷却システムを示す図である。
【
図4】
図4は、内燃エンジンの応答性を示す図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る作業機械の駆動システムを示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る作業機械の駆動システムを示す図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係る作業機械の駆動システムを示す図である。
【
図9】
図9は、第5実施形態に係る作業機械の駆動システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0012】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。
【0013】
<作業機械>
図1は、本実施形態に係る作業機械1を示す斜視図である。本実施形態において、作業機械1は、建設機械の一種である油圧ショベルである。
【0014】
図1に示すように、作業機械1は、走行体2と、走行体2に支持される旋回体3と、旋回体3に支持される作業機4と、作業機4を動作させる作業機シリンダ5とを備える。
【0015】
走行体2は、駆動輪2Aと、駆動輪2Aにより回転される履帯2Bとを有する。履帯2Bが回転することにより、作業機械1は、作業現場を走行することができる。
【0016】
旋回体3は、走行体2に支持された状態で旋回する。
【0017】
作業機4は、旋回体3に連結されるブーム4Aと、ブーム4Aに連結されるアーム4Bと、アーム4Bに連結されるバケット4Cとを含む。
【0018】
作業機シリンダ5は、作業機4を動作させる動力を発生する油圧シリンダである。作業機シリンダ5は、ブーム4Aを動作させるブームシリンダ5Aと、アーム4Bを動作させるアームシリンダ5Bと、バケット4Cを動作させるバケットシリンダ5Cとを含む。
【0019】
<燃料電池システム>
図2は、本実施形態に係る作業機械1の駆動システム6Aを示す図である。本実施形態において、駆動システム6Aは、燃料電池8を主動力源とする駆動方式の燃料電池システム7を含む。燃料電池8を主動力源とする駆動方式は、主動力源となる大出力の燃料電池8と、燃料電池8をアシストする小型の蓄電装置とを組み合わせた方式である。本実施形態において、蓄電装置は、リチウムイオンキャパシタ9(LiC:Lithium ion Capacitor)である。
【0020】
駆動システム6Aは、燃料電池8と、燃料電池8に並列に接続されるリチウムイオンキャパシタ9と、燃料電池8及びリチウムイオンキャパシタ9の少なくとも一方から給電されるポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11と、を備える。ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれは、電動モータである。
【0021】
また、駆動システム6Aは、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに接続される電力ライン13と、燃料電池8と電力ライン13の第1部分13Aとを接続する第1接続ライン14と、リチウムイオンキャパシタ9と電力ライン13の第2部分13Bとを接続する第2接続ライン15と、燃料電池8と第1部分13Aとの間の第1接続ライン14に配置されるDC/DCコンバータ16(第1DC/DCコンバータ)と、を備える。
【0022】
燃料電池8は、水素と酸素とを電気化学反応させて発電する。燃料電池8は、旋回体3に配置される。燃料電池8に水素タンク12が接続される。水素タンク12は、旋回体3に配置される。旋回体3の少なくとも一部に外気導入口が設けられる。燃料電池8は、水素タンク12から供給された水素と、外気導入口から導入された空気に含まれる酸素とを電気化学反応させて発電する。
【0023】
リチウムイオンキャパシタ9は、回生エネルギーを蓄える。本実施形態において、リチウムイオンキャパシタ9は、旋回モータ11の回生エネルギーを蓄える。リチウムイオンキャパシタ9は、旋回モータ11の回生電圧及び燃料電池8の電圧の一方又は両方により充電される。リチウムイオンキャパシタ9は、第2接続ライン15を介して供給される旋回モータ11からの回生電力により充電される。リチウムイオンキャパシタ9は、DC/DCコンバータ16及び第2接続ライン15を介して供給される燃料電池8からの電力により充電される。リチウムイオンキャパシタ9は、旋回体3に配置される。リチウムイオンキャパシタ9は、正極と負極とを有する。リチウムイオンキャパシタ9の正極の材料と負極の材料とは、異なる。リチウムイオンキャパシタ9の正極は、電気二重層キャパシタ(EDLC)の正極と同じ材料で形成される場合が多い。リチウムイオンキャパシタ9の負極は、リチウムイオン二次電池の負極と同じ材料で形成される場合が多い。リチウムイオンキャパシタ9の正極は、例えば活性炭により形成され、リチウムイオンキャパシタ9の負極は、例えば炭素により形成される。リチウムイオンキャパシタ9の充放電において、負極で化学反応が発生し、正極で化学反応が実質的に発生しない。
【0024】
リチウムイオンキャパシタ9は、電気二重層キャパシタよりも、高いエネルギー密度[Wh/L]を有する。エネルギー密度とは、単位体積当たりに取り出せるエネルギー量をいう。また、リチウムイオンキャパシタ9は、電気二重層キャパシタよりも、耐久性及び耐熱性に優れている。
【0025】
リチウムイオンキャパシタ9は、リチウムイオン二次電池よりも、応答性に優れている。すなわち、リチウムイオンキャパシタ9は、リチウムイオン二次電池よりも、高速に充放電できる。
【0026】
ポンプ駆動モータ10は、燃料電池8及びリチウムイオンキャパシタ9の一方又は両方から供給される電力に基づいて作動する。作業機械1は、油圧ポンプ19を備える。ポンプ駆動モータ10は、油圧ポンプ19を作動させる動力を発生する。油圧ポンプ19は、電動モータであるポンプ駆動モータ10により作動する。油圧ポンプ19は、電動モータにより駆動される作業機械1の対象部の一例である。
【0027】
油圧ポンプ19から吐出された作動油は、制御弁20を介して作業機シリンダ5及び走行体2の走行モータ2Cのそれぞれに供給される。作動油が作業機シリンダ5に供給されることにより、作業機シリンダ5が作動する。作動油が走行モータ2Cに供給されることにより、走行モータ2Cが作動する。走行モータ2Cは、走行体2の駆動輪2Aを回転させる油圧モータである。
【0028】
旋回モータ11は、燃料電池8及びリチウムイオンキャパシタ9の一方又は両方から供給される電力に基づいて作動する。旋回モータ11は、旋回体3を旋回させる動力を発生する。旋回体3は、電動モータである旋回モータ11により旋回する。旋回体3は、電動モータにより駆動される作業機械1の対象部の一例である。
【0029】
電力ライン13は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに接続される。電力ライン13の一部は、インバータ17を介してポンプ駆動モータ10に接続される。電力ライン13の他の一部は、インバータ18を介して旋回モータ11に接続される。
【0030】
燃料電池8とリチウムイオンキャパシタ9とは、電力ライン13に対して相互に並列接続される。燃料電池8と電力ライン13の第1部分13Aとは、第1接続ライン14を介して接続される。リチウムイオンキャパシタ9と電力ライン13の第2部分13Bとは、第2接続ライン15を介して接続される。燃料電池8は、第1接続ライン14及び電力ライン13を介して、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに給電する。リチウムイオンキャパシタ9は、第2接続ライン15及び電力ライン13を介して、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに給電することができる。
【0031】
DC/DCコンバータ16は、燃料電池8と電力ライン13との間の第1接続ライン14に配置される。DC/DCコンバータ16は、燃料電池8の電圧を変換する。燃料電池8からの電力がDC/DCコンバータ16を介してポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに供給される、DC/DCコンバータ16は、燃料電池8の電圧を所定の昇圧比で昇圧する。DC/DCコンバータ16により昇圧された燃料電池8の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ17及び旋回モータ11に接続されたインバータ18のそれぞれに印加される。
【0032】
DC/DCコンバータ16は、一次側から二次側のみに電力を出力可能な単方向DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ16の一次側は、低電圧側(燃料電池8側)である。DC/DCコンバータ16の二次側は、高電圧側(電力ライン13側)である。
【0033】
インバータ17は、電力ライン13の一部に接続される。インバータ17は、電力ライン13からの直流電流を三相交流電流に変換して、ポンプ駆動モータ10に供給する。ポンプ駆動モータ10は、インバータ17から供給された三相交流電流に基づいて駆動する。
【0034】
インバータ18は、電力ライン13の一部に接続される。インバータ18は、電力ライン13からの直流電流を三相交流電流に変換して、旋回モータ11に供給する。旋回モータ11は、インバータ18から供給された三相交流電流に基づいて駆動する。
【0035】
燃料電池8は、駆動システム6Aの主動力源である。燃料電池8は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに電力を供給する。ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれは、専ら燃料電池8から供給された電力により駆動する。すなわち、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれを駆動させるための電力の大部分は、燃料電池8から出力される電力により担われる。リチウムイオンキャパシタ9から出力される電力は、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれの瞬時応答性が必要なときに使用される。
【0036】
<冷却システム>
図3は、本実施形態に係る作業機械1の冷却システム21を示す図である。
図3に示すように、冷却システム21は、作業機械1の油圧システム22を冷却する第1冷却系23と、リチウムイオンキャパシタ9、DC/DCコンバータ16、及び燃料電池システム7のコンポーネント24を冷却する第2冷却系25と、燃料電池システム7の燃料電池8を冷却する第3冷却系27とを有する。燃料電池システム7のコンポーネント24として、上述の外気導入口から燃料電池8に空気が供給されるように駆動するエアコンプレッサが例示される。
【0037】
第1冷却系23は、冷媒を冷却するラジエータ23Aと、ラジエータ23A及び油圧システム22を含む循環流路23Bと、循環流路23Bにおいて冷媒を循環させる循環ポンプ23Cとを含む。
【0038】
第2冷却系25は、冷媒を冷却するラジエータ25Aと、ラジエータ25A、リチウムイオンキャパシタ9、DC/DCコンバータ16、及びコンポーネント24を含む循環流路25Bと、循環流路25Bにおいて冷媒を循環させる循環ポンプ25Cとを含む。
【0039】
第3冷却系27は、冷媒を冷却するラジエータ27Aと、ラジエータ27A、及び燃料電池8を含む循環流路27Bと、循環流路27Bにおいて冷媒を循環させる循環ポンプ27Cとを含む。
【0040】
リチウムイオンキャパシタ9は、例えばリチウムイオン二次電池及び電気二重層キャパシタに比べて耐熱性に優れる。リチウムイオン二次電池及び電気二重層キャパシタの使用可能温度の上限値を温度T1とした場合、リチウムイオンキャパシタ9の使用可能温度の上限値は、温度T1よりも高い温度T2である。例えば、温度T1は、約65℃であり、温度T2は、約80℃である。そのため、リチウムイオンキャパシタ9の専用の冷却系を設けなくても済む。
図3に示すように、本実施形態において、リチウムイオンキャパシタ9は、DC/DCコンバータ16及び燃料電池システム7のコンポーネント24を冷却するための第2冷却系25により冷却される。すなわち、リチウムイオンキャパシタ9と、DC/DCコンバータ16と、燃料電池システム7のコンポーネント24とは、第2冷却系25を共用する。これにより、冷却システム21の大型化が抑制される。
【0041】
<効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、耐久性を有し大型化を抑制できる燃料電池システム7を備える作業機械1が提供される。本実施形態において、燃料電池システム7は、燃料電池8を主動力源とする駆動方式である。蓄電装置を主動力源とする駆動方式とは異なり、燃料電池8を主動力源とする駆動方式の燃料電池システム7においては、大容量の蓄電装置が不要である。そのため、燃料電池システム7の大型化が抑制される。また、リチウムイオンキャパシタ9は、リチウムイオン二次電池及び電気二重層キャパシタに比べて、耐久性及び耐熱性に優れている。また、リチウムイオンキャパシタ9のエネルギー密度[Wh/L]は、電気二重層キャパシタのエネルギー密度よりも高い。リチウムイオンキャパシタ9の出力密度[W/L]は、リチウムイオン二次電池及び電気二重層キャパシタの出力密度よりも高い。そのため、リチウムイオンキャパシタ9は、大型化されなくても、高い蓄電容量を確保することができる。
【0042】
一般に、燃料電池8の応答性は、内燃エンジンの応答性よりも遅い。本実施形態においては、蓄電装置としてリチウムイオンキャパシタ9が使用されることにより、燃料電池8は、リチウムイオンキャパシタ9に適正にアシストされる。
【0043】
図4は、内燃エンジンの応答性を示す図である。
図5は、燃料電池の応答性を示す図である。
図4及び
図5において、横軸は時間を示し、縦軸は出力を示す。内燃エンジン又は燃料電池は、作業機械1の運転室に配置されている操作レバーがオペレータに操作されることにより、エネルギーの出力を開始する。
図4及び
図5に示す例において、操作レバーが時点taにおいて操作される。
図4に示すように、内燃エンジンにおいては、操作レバーの操作量に応じたエネルギーが時点tbにおいて出力される。
図5に示すように、燃料電池においては、操作レバーの操作量に応じたエネルギーが時点tcにおいて出力される。時点taから時点tcまでの時間は、時点taから時点tbまでの時間よりも長い。このように、燃料電池の応答性は、内燃エンジンの応答性よりも遅い。
【0044】
燃料電池を主動力源とする駆動方式において、蓄電装置は、操作レバーの操作量に応じたエネルギー(電力)が燃料電池8から出力されるまで、燃料電池8をアシストするようにエネルギーを出力する。すなわち、蓄電装置は、操作レバーの操作量に対する燃料電池8から出力されるエネルギーの不足分を補うようにエネルギーを出力する。
図4及び
図5に示すように、燃料電池8をアシストするために必要な蓄電装置のエネルギー量は、内燃エンジンをアシストするために必要な蓄電装置のエネルギー量よりも大きい。
【0045】
仮に、蓄電装置として電気二重層キャパシタが使用される場合、電気二重層キャパシタのエネルギー密度がリチウムイオンキャパシタ9のエネルギー密度よりも小さいので、内燃エンジンをアシストする場合と同等の体積だとすると、電気二重層キャパシタは、燃料電池8を十分にアシストすることが困難となる。すなわち、電気二重層キャパシタでは、燃料電池8から出力されるエネルギーの不足分を十分に補うことが困難となる。
【0046】
本実施形態においては、蓄電装置としてリチウムイオンキャパシタ9が使用される。リチウムイオンキャパシタ9のエネルギー密度は、電気二重層キャパシタのエネルギー密度よりも大きい。そのため、リチウムイオンキャパシタ9は、燃料電池8を十分にアシストすることができる。すなわち、リチウムイオンキャパシタ9は、燃料電池8から出力されるエネルギーの不足分を十分に補うようにエネルギーを出力することができる。
【0047】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0048】
図6は、本実施形態に係る作業機械1の駆動システム6Bを示す図である。上述の第1実施形態に係る駆動システム6Aと本実施形態に係る駆動システム6Bとの相違点は、駆動システム6Bが、リチウムイオンキャパシタ9と電力ライン13の第2部分13Bとの間の第2接続ライン15に配置されるDC/DCコンバータ28(第2DC/DCコンバータ)を有する点にある。DC/DCコンバータ16とDC/DCコンバータ28とは、相互に並列接続される。
【0049】
本実施形態においては、リチウムイオンキャパシタ9が燃料電池8から出力される電力の不足分を補う場合、リチウムイオンキャパシタ9からの電力がDC/DCコンバータ28を介してポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに供給される。DC/DCコンバータ28により昇圧されたリチウムイオンキャパシタ9の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ17及び旋回モータ11に接続されたインバータ18のそれぞれに印加される。DC/DCコンバータ28は、リチウムイオンキャパシタ9の電圧を所定の昇圧比で昇圧する。DC/DCコンバータ28により昇圧されたリチウムイオンキャパシタ9の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ17及び旋回モータ11に接続されたインバータ18のそれぞれに印加される。
【0050】
DC/DCコンバータ28は、一次側から二次側に電力を出力可能であり、二次側から一次側に電力を出力可能な双方向DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ28の一次側は、低電圧側(リチウムイオンキャパシタ9側)である。DC/DCコンバータ28の二次側は、高電圧側(電力ライン13側)である。DC/DCコンバータ28は、旋回モータ11の回生電圧を所定の降圧比で降圧する。DC/DCコンバータ28により降圧された旋回モータ11の回生電圧がリチウムイオンキャパシタ9に印加されることにより、リチウムイオンキャパシタ9が充電される。
【0051】
本実施形態において、リチウムイオンキャパシタ9は、旋回モータ11の回生電圧及び燃料電池8の電圧の一方又は両方により充電される。リチウムイオンキャパシタ9は、第2接続ライン15を介して供給される旋回モータ11からの回生電力により充電される。リチウムイオンキャパシタ9は、DC/DCコンバータ16、第2接続ライン15、及びDC/DCコンバータ28を介して供給される燃料電池8からの電力により充電される。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、リチウムイオンキャパシタ9の電圧がDC/DCコンバータ28により昇圧され、DC/DCコンバータ28により昇圧されたリチウムイオンキャパシタ9の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ17及び旋回モータ11に接続されたインバータ18のそれぞれに印加される。これにより、リチウムイオンキャパシタ9の電圧が低くても、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11を駆動するための適正な電圧が得られる。
【0053】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0054】
図7は、本実施形態に係る作業機械1の駆動システム6Cを示す図である。駆動システム6Cは、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに接続される電力ライン13と、燃料電池8と電力ライン13の第1部分13Aとを接続する第1接続ライン14と、リチウムイオンキャパシタ9と第1接続ライン14の第3部分14Aとを接続する第3接続ライン29と、燃料電池8と第3部分14Aとの間の第1接続ライン14に配置されるDC/DCコンバータ16A(一次側DC/DCコンバータ)と、第3部分14Aと第1部分13Aとの間の第1接続ライン14に配置されるDC/DCコンバータ16B(二次側DC/DCコンバータ)と、を備える。
【0055】
DC/DCコンバータ16Aは、一次側から二次側のみに電力を出力可能な単方向DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ16Aの一次側は、低電圧側(燃料電池8側)である。DC/DCコンバータ16Aの二次側は、高電圧側(第3部分14A側)である。DC/DCコンバータ16Aは、燃料電池8の電圧を所定の昇圧比で昇圧する。
【0056】
DC/DCコンバータ16Bは、一次側から二次側に電力を出力可能であり、二次側から一次側に電力を出力可能な双方向DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ16Bの一次側は、低電圧側(リチウムイオンキャパシタ9側)である。DC/DCコンバータ16Bの二次側は、高電圧側(電力ライン13側)である。DC/DCコンバータ16Bは、燃料電池8の電圧及びリチウムイオンキャパシタ9の電圧を所定の昇圧比で昇圧する。DC/DCコンバータ16Bは、旋回モータ11の回生電圧を所定の降圧比で降圧する。
【0057】
燃料電池8からの電力がDC/DCコンバータ16A及びDC/DCコンバータ16Bを介してポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに供給される。DC/DCコンバータ16AとDC/DCコンバータ16Bとにより昇圧された燃料電池8の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ17及び旋回モータ11に接続されたインバータ18のそれぞれに印加される。
【0058】
リチウムイオンキャパシタ9が燃料電池8から出力される電力の不足分を補う場合、リチウムイオンキャパシタ9からの電力がDC/DCコンバータ16Bを介してポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに供給される。DC/DCコンバータ16Bにより昇圧されたリチウムイオンキャパシタ9の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ17及び旋回モータ11に接続されたインバータ18のそれぞれに印加される。
【0059】
DC/DCコンバータ16Bにより降圧された旋回モータ11の回生電圧がリチウムイオンキャパシタ9に印加されることにより、リチウムイオンキャパシタ9が充電される。
【0060】
また、リチウムイオンキャパシタ9は、DC/DCコンバータ16A及び第3接続ライン29を介して供給された燃料電池8からの電力により充電される。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1接続ライン14に複数のDC/DCコンバータ(16A,16B)が配置されるので、1つのDC/DCコンバータの昇圧比が低くても、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11を駆動するための適正な電圧が燃料電池8から得られる。また、DC/DCコンバータ16Bにより、リチウムイオンキャパシタ9の電圧が低くても、電圧がポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11を駆動するための適正な電圧がリチウムイオンキャパシタ9から得られる。また、燃料電池8の電力によりリチウムイオンキャパシタ9を充電する場合、燃料電池8とリチウムイオンキャパシタ9との間に配置されるDC/DCコンバータの数がDC/DCコンバータ16Aの1つだけなので、充電の効率が良い。
【0062】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0063】
図8は、本実施形態に係る作業機械1の駆動システム6Dを示す図である。駆動システム6Dは、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに接続される電力ライン13と、燃料電池8と電力ライン13の第1部分13Aとを接続する第1接続ライン14と、リチウムイオンキャパシタ9と電力ライン13の第2部分13Bとを接続する第2接続ライン15と、燃料電池8と第1部分13Aとの間の第1接続ライン14に配置されるDC/DCコンバータ16C(第1DC/DCコンバータ)、を備える。
【0064】
本実施形態において、DC/DCコンバータ16Cは、一次側から二次側のみに電力を出力可能な単方向DC/DCコンバータである。DC/DCコンバータ16Cの一次側は、低電圧側(燃料電池8側)である。DC/DCコンバータ16Cの二次側は、高電圧側(電力ライン13側)である。
【0065】
本実施形態において、駆動システム6Dは、昇圧用リチウムイオンキャパシタ90と、燃料電池8と昇圧用リチウムイオンキャパシタ90との接続状態を変更するスイッチ装置30とを備える。
【0066】
スイッチ装置30は、燃料電池8とDC/DCコンバータ16Cとが昇圧用リチウムイオンキャパシタ90を介して直列接続される第1状態と、燃料電池8とDC/DCコンバータ16Cとが昇圧用リチウムイオンキャパシタ90を介さずに直列接続される第2状態とを切り換える。
【0067】
また、スイッチ装置30は、昇圧用リチウムイオンキャパシタ90が充電されるように燃料電池8からの電力が昇圧用リチウムイオンキャパシタ90に供給される第3状態に切り換える。
【0068】
スイッチ装置30は、燃料電池8に接続される第1スイッチ部材31と、DC/DCコンバータ16Cに接続される第2スイッチ部材32とを含む。
【0069】
昇圧用リチウムイオンキャパシタ90の負極に第1端子41及び第3端子43が接続される。第1端子41と第3端子43とは、昇圧用リチウムイオンキャパシタ90の負極に対して相互に並列接続される。昇圧用リチウムイオンキャパシタ90の正極に第2端子42が接続される。
【0070】
第1スイッチ部材31は、第1端子41及び第2端子42の一方に接続される。第2スイッチ部材32は、第2端子42及び第3端子43の一方に接続される。燃料電池8は、第1スイッチ部材31を介して第1端子41及び第2端子42の一方に接続される。DC/DCコンバータ16Cは、第2スイッチ部材32を介して第2端子42及び第3端子43の一方に接続される。
【0071】
第1状態は、第1スイッチ部材31が第1端子41に接続され、第2スイッチ部材32が第2端子42に接続される状態を含む。第1状態において、燃料電池8と昇圧用リチウムイオンキャパシタ90とDC/DCコンバータ16Cとは、直列接続される。
【0072】
第2状態は、第1スイッチ部材31が第1端子41に接続され、第2スイッチ部材32が第3端子43に接続される状態を含む。また、第2状態は、第1スイッチ部材31及び第2スイッチ部材32の両方が第2端子42に接続される状態を含む。第2状態において、燃料電池8とDC/DCコンバータ16Cとは、昇圧用リチウムイオンキャパシタ90を介さずに直列接続される。
【0073】
第3状態は、第1スイッチ部材31が第2端子42に接続され、第2スイッチ部材32が第3端子43に接続される状態を含む。
【0074】
第1状態において、燃料電池8からの電力が昇圧用リチウムイオンキャパシタ90に供給され、昇圧用リチウムイオンキャパシタ90からの電力がDC/DCコンバータ16Cを介してポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに供給される。DC/DCコンバータ16Cは、燃料電池8の電圧を所定の昇圧比で昇圧する。第1状態において、燃料電池8の電圧が昇圧用リチウムイオンキャパシタ90により昇圧され、昇圧用リチウムイオンキャパシタ90により昇圧された燃料電池8の電圧が、DC/DCコンバータ16Cにより更に昇圧される。昇圧用リチウムイオンキャパシタ90及びDC/DCコンバータ16Cにより昇圧された燃料電池8の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ17及び旋回モータ11に接続されたインバータ18のそれぞれに印加される。第1状態において、燃料電池8からの電力が昇圧用リチウムイオンキャパシタ90の負極に入力され、昇圧用リチウムイオンキャパシタ90の正極から出力された電力がDC/DCコンバータ16Cに入力される。
【0075】
第2状態において、燃料電池8からの電力がDC/DCコンバータ16Cを介してポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11のそれぞれに供給される。第2状態において、DC/DCコンバータ16Cにより昇圧された燃料電池8の電圧がポンプ駆動モータ10に接続されたインバータ17及び旋回モータ11に接続されたインバータ18のそれぞれに印加される。
【0076】
第3状態において、燃料電池8からの電力が昇圧用リチウムイオンキャパシタ90の正極に入力され、昇圧用リチウムイオンキャパシタ90の負極から出力された電力がDC/DCコンバータ16Cに入力される。昇圧用リチウムイオンキャパシタ90は、燃料電池8からの電力により充電される。昇圧用リチウムイオンキャパシタ90により降圧された燃料電池8の電圧は、DC/DCコンバータ16Cに入力される。
【0077】
本実施形態において、リチウムイオンキャパシタ9は、旋回モータ11の回生電圧及び燃料電池8の電圧の一方又は両方により充電される。リチウムイオンキャパシタ9は、第2接続ライン15を介して供給される旋回モータ11からの回生電力により充電される。リチウムイオンキャパシタ9は、DC/DCコンバータ16C及び第2接続ライン15を介して供給される燃料電池8からの電力により充電される。
【0078】
一般に、燃料電池8から出力される電流が小さい場合、燃料電池8の電圧が高くなり、燃料電池8から出力される電流が大きい場合、燃料電池8の電圧が低くなる。すなわち、燃料電池8の電圧は、変動する。本実施形態においては、燃料電池8の電圧が低い場合、第1状態になるようにスイッチ装置30が作動する。第1状態においては、燃料電池8と昇圧用リチウムイオンキャパシタ90とが直列接続される。昇圧用リチウムイオンキャパシタ90により、DC/DCコンバータ16Cの昇圧比を過度に高めなくても、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11を駆動するための適正な電圧が得られる。燃料電池8の電圧が高い場合、第3状態になるようにスイッチ装置30が作動する。第3状態においては、燃料電池8と昇圧用リチウムイオンキャパシタ90とが第1状態とは逆向きに直列接続される。燃料電池8の電圧が昇圧用リチウムイオンキャパシタ90により降圧されるので、DC/DCコンバータ16Cに入力される電圧の電動が抑制される。燃料電池8の電圧が中程度の場合、第2状態になるようにスイッチ装置30が作動する。
【0079】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0080】
図9は、本実施形態に係る作業機械1の駆動システム6Eを示す図である。本実施形態に係る駆動システム6Eは、上述の第1実施形態に係る駆動システム6Aの変形例である。上述の実施形態においては、燃料電池8及びリチウムイオンキャパシタ9の少なくとも一方から給電される電動モータが、ポンプ駆動モータ10及び旋回モータ11を含むこととした。燃料電池8及びリチウムイオンキャパシタ9の少なくとも一方から給電される電動モータが、ポンプ駆動モータ10のみでもよい。
【0081】
本実施形態において、旋回体3を旋回させる旋回モータ110は、油圧ポンプ19から吐出された作動油により作動する油圧モータである。油圧ポンプ19は、旋回モータ110に供給される作動油を吐出する。油圧ポンプ19から吐出された作動油は、制御弁20を介して旋回モータ110に供給される。
【0082】
なお、上述の第2実施形態に係る駆動システム6B、第3実施形態に係る駆動システム6C、及び第4実施形態に係る駆動システム6Dのそれぞれにおいても、燃料電池8及びリチウムイオンキャパシタ9の少なくとも一方から給電される電動モータが、ポンプ駆動モータ10のみでもよい。
【0083】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、作業機械1が油圧ショベルであることとした。作業機械1は、ブルドーザでもよいし、ホイールローダでもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…作業機械、2…走行体、2A…駆動輪、2B…履帯、2C…走行モータ、3…旋回体、4…作業機、4A…ブーム、4B…アーム、4C…バケット、5…作業機シリンダ、5A…ブームシリンダ、5B…アームシリンダ、5C…バケットシリンダ、6A…駆動システム、6B…駆動システム、6C…駆動システム、6D…駆動システム、6E…駆動システム、7…燃料電池システム、8…燃料電池、9…リチウムイオンキャパシタ、10…ポンプ駆動モータ(電動モータ)、11…旋回モータ(電動モータ)、12…水素タンク、13…電力ライン、13A…第1部分、13B…第2部分、14…第1接続ライン、14A…第3部分、15…第2接続ライン、16…DC/DCコンバータ(第1DC/DCコンバータ)、16A…DC/DCコンバータ(一次側DC/DCコンバータ)、16B…DC/DCコンバータ(二次側DC/DCコンバータ)、16C…DC/DCコンバータ(第1DC/DCコンバータ)、17…インバータ、18…インバータ、19…油圧ポンプ、20…制御弁、21…冷却システム、22…油圧システム、23…第1冷却系、23A…ラジエータ、23B…循環流路、23C…循環ポンプ、24…コンポーネント、25…第2冷却系、25A…ラジエータ、25B…循環流路、25C…循環ポンプ、27…第3冷却系、27A…ラジエータ、27B…循環流路、27C…循環ポンプ、28…DC/DCコンバータ(第2DC/DCコンバータ)、29…第3接続ライン、30…スイッチ装置、31…第1スイッチ部材、32…第2スイッチ部材、41…第1端子、42…第2端子、43…第3端子、90…昇圧用リチウムイオンキャパシタ、110…旋回モータ。