(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125214
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/06 20060101AFI20230831BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20230831BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230831BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20230831BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
H01L29/06 301F
H01L29/44 Y
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652P
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 653A
H01L29/78 655F
H01L29/78 658F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029196
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】中西 翔
(72)【発明者】
【氏名】宇野 友彰
(72)【発明者】
【氏名】柳井 幸志郎
(72)【発明者】
【氏名】村山 昌也
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB03
4M104BB05
4M104BB09
4M104BB14
4M104DD37
4M104DD43
4M104EE02
4M104EE05
4M104EE12
4M104EE17
4M104FF10
4M104GG02
4M104GG09
4M104GG18
4M104HH18
4M104HH20
(57)【要約】
【課題】フィールドプレート部を有する半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体装置を構成する半導体基板SBの主面上に、フィールドプレート部FPを覆うように絶縁膜ZFが形成され、絶縁膜ZF上にフィールドプレート部FPよりも厚い金属パターンが形成され、絶縁膜ZF上に、金属パターンを覆うように保護膜PFが形成されている。フィールドプレート部FPは多結晶シリコンからなり、かつ、絶縁膜ZFは、一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対側に位置する主面および裏面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記主面上に第1絶縁膜を介して形成されたフィールドプレート部と、
前記半導体基板の前記主面上に、前記第1絶縁膜および前記フィールドプレート部を覆うように形成された第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に形成された第1金属パターンおよび第2金属パターンと、
前記第2絶縁膜上に、前記第1金属パターンおよび前記第2金属パターンを覆うように形成された絶縁性の保護膜と、
を有し、
前記第1金属パターンおよび前記第2金属パターンのぞれぞれは、前記フィールドプレート部と電気的に接続され、
前記第1金属パターンおよび前記第2金属パターンのぞれぞれは、前記フィールドプレート部よりも厚く、
前記フィールドプレート部は多結晶シリコンからなり、
前記第2絶縁膜は、一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなる、半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2絶縁膜は、第1酸化シリコン膜と、前記第1酸化シリコン膜上の第1窒化シリコン膜と、前記第1窒化シリコン膜上の第2酸化シリコン膜との積層膜からなる、半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置において、
前記第1酸化シリコン膜は、前記フィールドプレート部に接している、半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2絶縁膜は、第1酸化シリコン膜と前記第1酸化シリコン膜上の第1窒化シリコン膜との積層膜からなる、半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記第1酸化シリコン膜は、前記フィールドプレート部に接している、半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、
前記第2絶縁膜は、第1窒化シリコン膜と前記第1窒化シリコン膜上の第1酸化シリコン膜との積層膜からなる、半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置において、
前記第1窒化シリコン膜は、前記フィールドプレート部に接している、半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、
前記保護膜は、前記第1金属パターンおよび前記第2金属パターンに接しており、
前記保護膜は、窒化シリコン膜を含んでいない、半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記保護膜は最上層の膜である、半導体装置。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置において、
前記保護膜は樹脂膜からなる、半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置において、
前記半導体基板の前記主面の中央部には、半導体素子が形成された素子領域が配置され、
前記第1金属パターンは、平面視において前記素子領域を取り囲むように配置され、かつ、前記第2絶縁膜から露出する前記半導体基板の第1部分と電気的に接続され、
前記第2金属パターンは、平面視において前記第1金属パターンを取り囲むように配置され、かつ、前記第2絶縁膜から露出する前記半導体基板の第2部分と電気的に接続され、
前記フィールドプレート部は、平面視において前記素子領域を取り囲むように配置された第1導体パターンと、平面視において前記第1導体パターンを取り囲むように配置された第2導体パターンと、平面視において前記第1導体パターンと前記第2導体パターンとの間に配置され、かつ、前記第1導体パターンと前記第2導体パターンとをつなぐ第3導体パターンと、を一体的に有し、
前記第1金属パターンは、前記フィールドプレート部の前記第1導体パターンと電気的に接続され、
前記第2金属パターンは、前記フィールドプレート部の前記第2導体パターンと電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体装置において、
前記半導体素子用の第1電極が、前記素子領域上の前記第2絶縁膜上に形成され、
前記半導体素子用の第2電極が、前記半導体基板の前記裏面上に形成されており、
前記保護膜は、前記第1電極の一部を覆っている、半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置において、
前記第1金属パターンは前記第1電極と電気的に接続され、
前記第2金属パターンは、前記半導体基板を通じて前記第2電極と電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項14】
請求項11記載の半導体装置において、
前記第3導体パターンでは、前記第3導体パターンの延在方向に沿ってp型半導体領域とn型半導体領域とが交互に複数配列している、半導体装置。
【請求項15】
(a)互いに反対側に位置する主面および裏面を有する半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板の素子領域に半導体素子を形成する工程、
(c)前記半導体基板の前記主面上に第1絶縁膜を介してフィールドプレート部を形成する工程、
(d)前記半導体基板の前記主面上に、前記第1絶縁膜および前記フィールドプレート部を覆うように、第2絶縁膜を形成する工程、
(e)前記第2絶縁膜上に第1金属パターンおよび第2金属パターンを形成する工程、
(f)前記第2絶縁膜上に、前記第1金属パターンおよび前記第2金属パターンを覆うように、絶縁性の保護膜を形成する工程、
を有し、
前記第1金属パターンおよび前記第2金属パターンのぞれぞれは、前記フィールドプレート部と電気的に接続され、
前記フィールドプレート部は多結晶シリコンからなり、
前記第2絶縁膜は、一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記(e)工程では、前記半導体素子用の第1電極が、前記素子領域上の前記第2絶縁膜上に形成され、
前記(f)工程後に、
(g)前記半導体基板の前記裏面上に前記半導体素子用の第2電極を形成する工程、
を更に有し、
前記第1金属パターンは前記第1電極と電気的に接続され、
前記第2金属パターンは、前記半導体基板を通じて前記第2電極と電気的に接続される、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2絶縁膜は、前記フィールドプレート部に接する第1酸化シリコン膜と、前記第1酸化シリコン膜上の第1窒化シリコン膜と、前記第1窒化シリコン膜上の第2酸化シリコン膜との積層膜からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2絶縁膜は、前記フィールドプレート部に接する第1酸化シリコン膜と前記第1酸化シリコン膜上の第1窒化シリコン膜との積層膜からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2絶縁膜は、前記フィールドプレート部に接する第1窒化シリコン膜と前記第1窒化シリコン膜上の第1酸化シリコン膜との積層膜からなる、半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項15記載の半導体装置の製造方法において、
前記保護膜は、前記第1金属パターンおよび前記第2金属パターンに接し、かつ、窒化シリコン膜を含んでいない、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、例えば、フィールドプレート部を有する半導体装置およびその製造方法に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
特開2019-62031号公報(特許文献1)および国際公開WO2013/069408号(特許文献2)には、抵抗性フィールドプレート部を有する半導体装置に関する技術が記載されている。また、特開2015-230965号公報(特許文献2)には、電界集中を抑制するための金属配線に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-62031号公報
【特許文献2】国際公開WO2013/069408号
【特許文献3】特開2015-230965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィールドプレート部を有する半導体装置において、信頼性を向上させることが望まれる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の主面上に第1絶縁膜を介して形成されたフィールドプレート部と、前記半導体基板の前記主面上に、前記第1絶縁膜および前記フィールドプレート部を覆うように形成された第2絶縁膜と、を有する。半導体装置は、更に、前記第2絶縁膜上に形成された第1金属パターンおよび第2金属パターンと、前記第2絶縁膜上に、前記第1金属パターンおよび第2金属パターンを覆うように形成された絶縁性の保護膜と、を有する。前記第1金属パターンおよび前記第2金属パターンのぞれぞれは、前記フィールドプレート部と電気的に接続され、かつ、前記フィールドプレート部よりも厚い。前記フィールドプレート部は多結晶シリコンからなり、かつ、前記第2絶縁膜は、一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなる。
【発明の効果】
【0007】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
【
図4】一実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
【
図5】一実施の形態の半導体装置の平面透視図である。
【
図6】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図7】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図8】一実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
【
図9】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図10】
図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図11】
図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図12】
図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図13】
図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図14】
図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図15】
図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図16】
図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図17】
図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図18】
図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図19】
図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【
図20】第1検討例の半導体装置の要部断面図である。
【
図21】第2検討例の半導体装置の要部断面図である。
【
図22】第3検討例の半導体装置の要部断面図である。
【
図23】第1変形例の半導体装置の要部断面図である。
【
図24】第2変形例の半導体装置の要部断面図である。
【
図25】第3変形例の半導体装置の要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0012】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
本実施の形態の半導体装置CPの構造について、
図1~
図9を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置CPの上面図であり、
図2は、本実施の形態の半導体装置CPの下面図(裏面図)である。
図3は、本実施の形態の半導体装置CPの平面透視図であり、
図4は、本実施の形態の半導体装置CPの要部平面図である。
図5は、本実施の形態の半導体装置CPの平面透視図であり、p型半導体領域FPRおよび絶縁膜IL1の形成位置をハッチングを付して示してある。
図6~
図8は、本実施の形態の半導体装置CPの要部断面図である。
図1において点線で囲まれた領域RG1を拡大した部分拡大平面図が、
図4に対応している。また、
図4のA1-A1線の位置での断面図が、
図6に対応している。また、
図7および
図8は、
図3に示される素子領域DRの要部断面図であるが、
図7は、エミッタ電極EEが保護膜PFの開口部(エミッタパッド用の開口部)から露出されている領域における断面図に対応し、
図8は、エミッタ電極EEが保護膜PFで覆われている領域における断面図に対応している。
【0013】
本実施の形態の半導体装置(半導体チップ)CPは、例えば、パワートランジスタ(電力系トランジスタ)を備えるパワーデバイスであり、半導体装置CPを構成する半導体基板SBにパワートランジスタが形成されている。半導体装置CPを構成する半導体基板SBは、例えば単結晶シリコンからなり、主面と、それとは反対側の裏面とを有している。半導体装置CPおよびそれを構成する半導体基板SBは、矩形状の平面形状を有している。
【0014】
半導体装置CPは、最上層配線として、エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線(金属パターン)FCWと外側周回配線(金属パターン)SCWと接続配線部JWとを有している。エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWは、それぞれ金属材料からなるため、金属電極、金属配線または金属パターンとみなすことができる。エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線FCWと外側周回配線SCWとは、同層の配線(金属パターン)であり、バリア導体膜BRとその上に形成された主導体膜MCとの積層導体膜からなる。
【0015】
平面視において、半導体装置CPの中央にエミッタ電極EEが配置され、エミッタ電極EEの外周(外側)にゲート電極配線GEWが配置され、ゲート電極配線GEWの外周(外周)に内側周回配線FCWが配置され、内側周回配線FCWの外周(外側)に外側周回配線SCWが配置されている。
【0016】
なお、本願において、平面視とは、半導体装置CPまたは半導体基板SBの主面または裏面に平行な平面で見た場合に対応している。
【0017】
エミッタ電極EEは、半導体装置CP(半導体基板SB)に形成されたパワートランジスタのエミッタ領域と電気的に接続されている。エミッタ電極EEは、例えば、平面視において略正方形状に形成されている。
【0018】
ゲート電極配線GEWは、半導体装置CP(半導体基板SB)に形成されたパワートランジスタのゲート電極と電気的に接続されている。ゲート電極配線GEWは、平面視において、エミッタ電極EEを取り囲むように、エミッタ電極EEの外周に配置されており、一体的に形成されたゲート電極部GEおよびゲート配線部GWを有している。ゲート電極部GEは、例えば、平面視で略正方形状に形成されており、エミッタ電極EEの1つの角部近傍に配置されている。また、ゲート配線部GWは、ゲート電極部GEより幅の狭い帯状のパターンで形成されており、平面視においてエミッタ電極EEを取り囲むように配置されている。
【0019】
内側周回配線FCWは、平面視において、ゲート電極配線GEWを取り囲むように、ゲート電極配線GEWの外周に配置されている。内側周回配線FCWは、接続配線部JWを通じてエミッタ電極EEと電気的に接続されている。内側周回配線FCWと接続配線部JWとエミッタ電極EEとは、同一の導体膜からなり、一体的に形成されている。
【0020】
外側周回配線SCWは、平面視において、内側周回配線FCWを取り囲むように、内側周回配線FCWの外周に配置されている。外側周回配線SCWは、半導体装置CP(半導体基板SB)に形成されたパワートランジスタのコレクタ領域と電気的に接続されている。
【0021】
また、半導体装置CPは、内側周回配線FCWと外側周回配線SCWとを電気的に接続するフィールドプレート部(抵抗性フィールドプレート部、導体プレート部)FPを更に有している。フィールドプレート部FPは、多結晶シリコンからなる抵抗性フィールドプレート部である。フィールドプレート部FPは、平面視において、内側周回配線FCWと外側周回配線SCWとの間に配置されている。
図1および
図4は、平面図であるが、図面を見易くするために、フィールドプレート部FPにハッチングを付している。フィールドプレート部FPは、パワートランジスタのコレクタ-エミッタ間を電気的に接続する導体パターンFCP,TCP,SCPで形成されている。
【0022】
また、
図3からも分かるように、半導体装置CPを構成する半導体基板SBの主面の中央には、素子領域(能動領域、内周領域)DRが配置されている。また、半導体基板SBの主面において、素子領域DRの外周には、素子領域DRを取り囲むように周辺領域(外周領域)PRが配置されている。
【0023】
素子領域DRは、半導体素子が形成された領域である。素子領域DRには、複数(多数)の単位トランジスタセルが配置されており、それら複数の単位トランジスタが並列に接続されることで、パワートランジスタが構成されている。個々の単位トランジスタセルは、同じ構造を有している。
【0024】
素子領域DRの単位トランジスタセルについて、
図7および
図8を参照して以下に説明する。
図7および
図8は、
図3の素子領域DRに配置された単位トランジスタセルの一例を示す要部断面図である。但し、上述のように、
図7は、エミッタ電極EEが保護膜PFの開口部から露出されている領域における断面図に対応し、
図8は、エミッタ電極EEが保護膜PFで覆われている領域における断面図に対応している。
【0025】
図7および
図8に示されるように、単位トランジスタセルとして、例えば、メサ型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)が形成されている。以下では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタを、単にトランジスタと称する。トランジスタ(素子)は、p型のコレクタ領域CRと、n型のエミッタ領域ERと、これらの間のn
-型のドリフト領域DFおよびp型のチャネル形成領域CHと、トレンチゲート電極TGとを有している。
【0026】
すなわち、半導体基板SBの裏面側には、半導体基板SBの裏面から所定の深さにわたってp型のコレクタ領域CRが形成されている。コレクタ領域CRは、半導体基板SBに形成されたp型半導体領域からなる。半導体基板SBの裏面上には、コレクタ電極CEが形成されており、コレクタ領域CRは、コレクタ電極CEに隣接して、コレクタ電極CEと電気的に接続されている。コレクタ電極CEは、例えば、半導体基板SBの裏面上のアルミニウム(Al)層と、その上のチタン(Ti)層と、その上のニッケル(Ni)層と、その上の金(Au)層との積層膜からなる。コレクタ電極CEは、半導体基板SBの裏面全面上に形成されている。
【0027】
p型のコレクタ領域CRとn-型のドリフト領域DFとの間には、n型のフィールドストップ領域SRが形成されている。フィールドストップ領域SRは、半導体基板SBに形成されたn型半導体領域からなり、ドリフト領域DFは、半導体基板SBに形成されたn型半導体領域からなる。フィールドストップ領域SRのn型不純物濃度は、ドリフト領域DFのn型不純物濃度よりも高く、また、エミッタ領域ERのn型不純物濃度は、フィールドストップ領域SRのn型不純物濃度よりも高い。フィールドストップ領域SRは、トランジスタがターンオフしているときにパンチスルー現象(チャネル形成領域CHからドリフト領域DF内に成長する空乏層がコレクタ領域CRに接触する現象)が生じるのを防止する機能を備えている。また、フィールドストップ領域SRは、コレクタ領域CRからドリフト領域DFへのホール注入量を制限する機能も備えている。
【0028】
半導体基板SBの主面側には、半導体基板SBの主面から所定の深さにわたってn型のエミッタ領域ERが形成されている。エミッタ領域ERは、半導体基板SBに形成されたn型半導体領域からなる。ドリフト領域DFおよびチャネル形成領域CHのうち、チャネル形成領域CHがエミッタ領域ERと隣接しており、チャネル形成領域CHの上部にエミッタ領域ERが位置し、エミッタ領域ERとドリフト領域DFとの間にはチャネル形成領域CHが介在している。p型のチャネル形成領域CHは、半導体基板SBに形成されp型半導体領域からなる。
【0029】
また、素子領域DRにおいて、半導体基板SBには、その主面から半導体基板SBの厚さ方向に延びる溝(ゲート溝)TRが形成されている。溝TRは、エミッタ領域ERとその下のチャネル形成領域CHとを貫通して、ドリフト領域DFに達するように形成されている。別の見方をすると、隣り合う溝TRの間にチャネル形成領域CHが形成され、チャネル形成領域CHの上部で、かつ、溝TRに隣接する位置に、エミッタ領域ERが形成されている。
【0030】
溝TR内には、ゲート絶縁膜GFを介してトレンチゲート電極TGが埋め込まれている。ゲート絶縁膜GFは、例えば酸化シリコン膜からなり、溝TRの底面および側面に形成されている。トレンチゲート電極TGは、例えばn型不純物(例えばリン)が導入された多結晶シリコン膜からなる。トレンチゲート電極TGは、上記単位トランジスタセルのゲート(ゲート電極)としての機能を有している。トレンチゲート電極TGは、上記ゲート電極配線GEWと電気的に接続されている。
【0031】
また、半導体基板SBの主面上には、エミッタ領域ERおよびトレンチゲート電極TGの上面を覆うように、絶縁膜ZFが形成されている。絶縁膜ZFは、一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなる。
図7および
図8の場合は、絶縁膜ZFは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上の窒化シリコン膜NTと、窒化シリコン膜NT上の酸化シリコン膜OX2との積層膜からなる。絶縁膜ZF上には、上記エミッタ電極EEが形成されている。
【0032】
エミッタ電極EEは、バリア導体膜BFと、その上に形成された主導体膜MFとの積層膜で形成されている。主導体膜MFの厚さは、バリア導体膜BFの厚さよりも厚い。バリア導体膜BFは、例えば、チタンタングステン(TiW)からなる。主導体膜MFは、例えば、アルミニウム(Al)の単体膜、AlにSiまたは銅(Cu)を添加した導体膜、あるいはAlにSiおよびCuを添加した導体膜からなる。この中でもAlスパイクを抑制する観点からはAlSiが好ましい。Al中のSiの含有率は、例えば、0.5%~1.5%の範囲である。
【0033】
また、素子領域DRにおいて、絶縁膜ZFおよびエミッタ領域ERを貫通してチャネル形成領域CHに達するコンタクトホール(接続溝)CT1が形成されている。コンタクトホールCT1内は、エミッタ電極EEで埋め込まれている。エミッタ電極EEは、コンタクトホールCT1の側面から露出するエミッタ領域ERと接して、そのエミッタ領域ERと電気的に接続されている。また、エミッタ電極EEは、コンタクトホールCT1の底部に隣接する位置の半導体基板SBに形成されたp+型半導体領域PS1を通じて、p型のチャネル形成領域CHと電気的に接続されている。平面視において、エミッタ電極EEは、パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルが形成された素子領域DR全体にわたって形成されている。
【0034】
半導体装置CPは、最上層の膜(絶縁膜)として、絶縁性の保護膜(表面保護膜、パッシベーション膜)PFを有している。保護膜PFは、絶縁膜からなるが、好ましくは、ポリイミド樹脂などの樹脂膜からなる。本実施の形態では、保護膜PFは、窒化シリコン膜を含んでいない。エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線FCWと外側周回配線SCWと接続配線部JWとは、保護膜PFで覆われている。すなわち、絶縁膜ZF上に、エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線FCWと外側周回配線SCWと接続配線部JWとを覆うように、保護膜PFが形成されている。保護膜PFは、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWに接している。
【0035】
但し、保護膜PFには、パッド(ボンディングパッド)用の開口部が形成されている。保護膜PFのエミッタパッド用の開口部は、平面視においてエミッタ電極EEに内包されるように形成されており、保護膜PFのエミッタパッド用の開口部からエミッタ電極EEの一部が露出される。保護膜PFのエミッタパッド用の開口部から露出するエミッタ電極EEにより、エミッタパッド(エミッタ用のボンディングパッド)が形成される。また、保護膜PFのゲートパッド用の開口部は、平面視においてゲート電極部GEに内包されるように形成されており、保護膜PFのゲートパッド用の開口部からゲート電極部GEの一部が露出される。保護膜PFのゲートパッド用の開口部から露出する上記ゲート電極部GEにより、ゲートパッド(ゲート用のボンディングパッド)が形成される。上記ゲート配線部GWと上記内側周回配線FCWと上記外側周回配線SCWと上記接続配線部JWとは、全体が保護膜PFで覆われており、保護膜PFから露出されない。
【0036】
素子領域DRに形成されている複数の単位トランジスタセルのトレンチゲート電極TGは、ゲート電極配線GEWを通じて互いに電気的に接続されている。このため、ゲート用のパッドから、ゲート電極配線GEWを通じて、パワートランジスタのゲート(パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルのトレンチゲート電極TG)に、ゲート電圧が供給される。
【0037】
また、パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルのエミッタ領域ERは、エミッタ電極EEに電気的に接続されるとともに、そのエミッタ電極EEを通じて互いに電気的に接続されている。
【0038】
また、パワートランジスタを構成する複数の単位トランジスタセルのコレクタ領域は、コレクタ領域CRおよびコレクタ電極CEを通じて、互いに電気的に接続されている。
【0039】
また、ここでは、素子領域DRに形成する半導体素子としてIGBTを適用した場合について説明した。他の形態として、素子領域DRに形成する半導体素子として、上記したIGBTに代えて、パワーMOSFETを形成してもよい。その場合は、エミッタ領域ERはソース領域となり、エミッタ電極EEはソース電極となり、コレクタ領域CRは形成されず、コレクタ電極CEはドレイン電極となる。また、素子領域DRに形成する半導体素子として、IGBTやパワーMOSFETに代えて、RC(Reverse-Conducting)-IGBTやバイポーラトランジスタ(Bipolar Transistor)等のような他のトランジスタを単位トランジスタセルとして適用してもよい。また、素子領域DRに形成する半導体素子としてダイオードを適用することもできる。その場合は、エミッタ電極EEとコレクタ電極CEのうちの一方がアノード電極となり、他方がカソード電極となり、ゲート電極配線GEWは形成されない。
【0040】
次に、半導体装置CP(半導体基板SB)の周辺領域(PR)について、
図1および
図4~
図6を参照して説明する。
【0041】
図6に示されるように、半導体装置CPの周辺領域において、半導体基板SBの主面側には、p型半導体領域FPRとp
-型のリサーフ領域RSとが形成されている。p型半導体領域FPRは、半導体基板SBに形成されたp型半導体領域からなり、リサーフ領域RSは、半導体基板SBに形成されたp
-型半導体領域からなり、p
-型のリサーフ領域RSの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域FPRの不純物濃度(p型不純物濃度)よりも低い。p型半導体領域FPRの平面形状は、
図5に示されるように、素子領域DRを取り囲むように平面視で枠状に形成されている。p型半導体領域FPRは、パワートランジスタのオフ時に0Vの電位(グランド電位)に固定される。
【0042】
また、p-型のリサーフ領域RSも素子領域DRを取り囲むように形成されている。このリサーフ領域RSは、p型半導体領域FPRと電気的に接続された状態で半導体装置CPの外周に向かって延び、フィールドプレート部FPの下方(直下)に形成されている。フィールドプレート部FPとリサーフ領域RSとの組み合わせは、耐圧特性の上で非常に相性が良く、リサーフ領域RSを設けることで、半導体基板SBの主面の電界(表面電界)を緩和でき、耐圧を向上させることができる。
【0043】
また、半導体基板SBの主面において、フィールドプレート部FPより更に外側(外周側)には、フィールドプレート部FPを取り囲むように、n+型のチャネルストッパ領域CSが形成されている。チャネルストッパ領域CSは、p型半導体領域FPRから延びる空乏層の延びを抑える機能を有している。このチャネルストッパ領域CSは、パワートランジスタのオフ時に例えば600V程度の電位に固定される。
【0044】
また、
図6に示されるように、半導体装置CPの周辺領域において、半導体基板SBの主面上には、絶縁膜IL1と、その絶縁膜IL1を覆うように絶縁膜IL2とが形成されている。絶縁膜IL1の厚さは、絶縁膜IL2の厚さよりも厚い。絶縁膜IL1は、例えばシリコン酸化膜からなり、絶縁膜IL1の厚さは、例えば1μm程度である。絶縁膜IL1の平面形状は、
図5に示されるように、p型半導体領域FPRを取り囲むように平面視で枠状に形成されている。p型半導体領域FPRは、絶縁膜IL1に対して自己整合的に形成されており、平面視において、p型半導体領域FPRの外周端部は、厚い絶縁膜IL1の内周端部とほぼ一致している。絶縁膜IL2は、例えば、絶縁膜IL1と同様にシリコン酸化膜からなるが、絶縁膜IL1よりも薄く、絶縁膜IL2の厚さは、例えば0.2μm程度である。
【0045】
また、
図6に示されるように、絶縁膜IL1および絶縁膜IL2上には、上述したフィールドプレート部FPが形成されている。フィールドプレート部FPは、パワートランジスタのオフ時に半導体装置CPの周辺領域PRの耐圧を確保するための構造体である。フィールドプレート部FPは、上記パワートランジスタ(素子領域DRに形成された複数の単位トランジスタセルにより構成されるパワートランジスタ)のコレクタ-エミッタ間に電気的に接続された状態で、半導体装置CPの周辺領域PR(
図3参照)に配置されている。フィールドプレート部FPを構成する導体パターンFCP,TCP,SCPに電流を流すことで、一定の電位を持ったフィールドプレートを形成し、その電位分布で周辺領域の耐圧を確保することができる。
【0046】
フィールドプレート部FPは、
図1、
図4および
図6に示されるように、内側の導体パターンFCPと、その外側の導体パターンSCPと、それら(導体パターンFCPおよび導体パターンSCP)を電気的に接続する中間の導体パターンTCPとを、一体的に有している。これらの導体パターンFCP,SCP,TCPは、多結晶シリコン(ポリシリコン)からなり、その厚さは、例えば500~600nm程度である。導体パターンFCP,SCP,TCPは、フィールドプレートとして適した抵抗率になるように、所定濃度の不純物(n型またはp型の不純物)を含んでいる。導体パターンFCP,SCP,TCPの不純物濃度は、例えば1×10
17/cm
3~1×10
20/cm
3程度とすることができる。
【0047】
内側の導体パターンFCPは、
図1および
図4からも分かるように、平面視において、素子領域DRを取り囲むように枠状に形成されている。内側の導体パターンFCPは、
図6に示されるように、平面視において絶縁膜IL1に重なる部分と絶縁膜IL1に重ならない部分とを一体的に有している。すなわち、内側の導体パターンFCPのうちの内周側の部分は、半導体基板SB(p型半導体領域FPR)上の絶縁膜IL2上に形成されており、その下方には絶縁膜IL1は存在していないが、内側の導体パターンFCPのうちの外周側の部分は、絶縁膜IL1上の絶縁膜IL2上に形成されており、その下方に絶縁膜IL1が存在している。
【0048】
外側の導体パターンSCPは、
図1および
図4からも分かるように、平面視において、内側の導体パターンFCPを取り囲むように枠状に形成されている。外側の導体パターンSCPは、
図6に示されるように、平面視において絶縁膜IL1に重なる部分と絶縁膜IL1に重ならない部分とを一体的に有している。すなわち、外側の導体パターンSCPのうちの内周側の部分は、絶縁膜IL1上の絶縁膜IL2上に形成されており、その下方に絶縁膜IL1が存在しているが、外側の導体パターンSCPのうちの外周側の部分は、半導体基板SB上の絶縁膜IL2上に形成されており、その下方には絶縁膜IL1は存在していない。
【0049】
中間の導体パターンTCPは、
図1および
図4からも分かるように、平面視において内側の導体パターンFCPと外側の導体パターンSCPとの間に形成されており、断面視において、絶縁膜IL1上の絶縁膜IL2上に形成されている。このため、中間の導体パターンTCPの下方には絶縁膜IL1が存在している。
【0050】
また、中間の導体パターンTCPは、
図1および
図4に示されるように、例えば、平面視においてスパイラル状(渦状)に形成されている。中間の導体パターンTCPの互いに反対側に位置する両方の端部のうち、一方の端部は内側の導体パターンFCPに一体的に接続され、他方の端部は外側の導体パターンSCPに一体的に接続されている。
【0051】
このようなフィールドプレート部FPの導体パターンFCP,TCP,SCPに、コレクタからエミッタに向かって(すなわち外側の導体パターンSCPから内側の導体パターンFCPに向かって)電流(例えば数μA程度の電流)を流すと、導体パターンFCP,TCP,SCPにより電位が分圧され、周辺領域PRに一定の電位を持ったフィールドプレートが形成される。そして、そのフィールドプレートの電位分布によって周辺領域PRにおける半導体基板SB内部の電界分布が均一化され、また、半導体基板SBの上面の電位が固定され、その結果、半導体装置CPの周辺領域PRの耐圧が向上し、半導体装置CPの信頼性が向上する。また、フィールドプレート部FPを用いた周辺構造では、導体パターンFCP,SCP,TCPに流れる電流によってコレクタ-エミッタ間の電位分布が固定されているため、半導体装置CPは外部電荷の影響を受け難くなる。
【0052】
図6に示されるように、半導体基板SBの主面上には、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,SCP,TCP)および絶縁膜IL2等を覆うように、上述した絶縁膜ZFが形成されている。そして、この絶縁膜ZF上には、上述した内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWが形成されている。内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWは、エミッタ電極EEと同様に、バリア導体膜BFと、その上に形成された主導体膜MFとの積層膜で形成されている。
【0053】
図6に示されるように、内側周回配線FCWは、絶縁膜ZFおよび絶縁膜IL2に形成されたコンタクトホールCT2を通じてp型半導体領域FPRと電気的に接続されている。すなわち、コンタクトホールCT2は、p型半導体領域FPRと平面視で重なる位置に形成されており、絶縁膜ZFとその下の絶縁膜IL2とを貫通し、コンタクトホールCT2内は内側周回配線FCWで埋め込まれている。内側周回配線FCWは、半導体基板SBにおける絶縁膜ZF(のコンタクトホールCT)から露出する部分と電気的に接続されている。具体的には、コンタクトホールCT2の底部ではp型半導体領域FPRが露出して、コンタクトホールCT2内の内側周回配線FCWとp型半導体領域FPRとが電気的に接続される。また、p型半導体領域FPRにおけるコンタクトホールCT2の底部に隣接する位置に、p型半導体領域FPRよりも高不純物濃度のp
+型半導体領域PS2を形成しておき、内側周回配線FCWをp
+型半導体領域PS2を通じてp型半導体領域FPRと電気的に接続することもできる。これにより、側周回配線FCWとp型半導体領域FPRとの接続抵抗を低減することができる。
【0054】
また、
図6に示されるように、内側周回配線FCWは、絶縁膜ZFに形成されたコンタクトホールCT3を通じてフィールドプレート部FPの導体パターンFCPと電気的に接続されている。すなわち、コンタクトホールCT3は、フィールドプレート部FPの導体パターンFCPと平面視で重なる位置に形成されており、絶縁膜ZFを貫通し、コンタクトホールCT3内は内側周回配線FCWで埋め込まれている。コンタクトホールCT3の底部ではフィールドプレート部FPの導体パターンFCPが露出して、コンタクトホールCT3内の内側周回配線FCWとフィールドプレート部FPの導体パターンFCPとが電気的に接続される。また、フィールドプレート部FPの導体パターンFCPにおけるコンタクトホールCT3の底部に隣接する位置に、導体パターンFCPよりも高不純物濃度のp
+型半導体領域(図示せず)を形成しておき、そのp
+型半導体領域を通じて内側周回配線FCWをフィールドプレート部FPの導体パターンFCPと電気的に接続することもできる。これにより、内側周回配線FCWとフィールドプレート部FPの導体パターンFCPとの接続抵抗を低減することができる。
図6の場合は、コンタクトホールCT3は、絶縁膜IL1上に位置する部分の導体パターンFCP上ではなく、絶縁膜IL1上には位置しない部分の導体パターンFCP上に形成している。
【0055】
他の形態として、コンタクトホールCT3を、絶縁膜IL1上に位置する部分の導体パターンFCP上(すなわち平面視において絶縁膜IL1に重なる位置の導体パターンFCP上)に設けることもできる。また、その場合は、平面視において、導体パターンFCPの全てが絶縁膜IL1と重なっていてもよい。
【0056】
コンタクトホールCT3は、平面視で内側周回配線FCWの外周に沿って周回するように形成することができ、コンタクトホールCT2も同様である。
【0057】
また、
図6に示されるように、外側周回配線SCWは、絶縁膜ZFおよび絶縁膜IL2に形成されたコンタクトホールCT4を通じて、p
+型半導体領域PS3およびn
+型のチャネルストッパ領域CSと電気的に接続されている。p
+型半導体領域PS3は、半導体基板SBに形成されたp型の半導体領域であり、チャネルストッパ領域CSは、半導体基板SBに形成されたn型の半導体領域である。コンタクトホールCT4は、p
+型半導体領域PS3と平面視で重なる位置に形成されており、絶縁膜ZFとその下の絶縁膜IL2とを貫通し、コンタクトホールCT4内は外側周回配線SCWで埋め込まれている。外側周回配線SCWは、半導体基板SBにおける絶縁膜ZF(のコンタクトホールCT4)から露出する部分と電気的に接続されている。具体的には、コンタクトホールCT4内の外側周回配線SCWは、コンタクトホールCT2の底部で露出するp
+型半導体領域PS3と電気的に接続される。外側周回配線SCWは、コンタクトホールCT4およびp
+型半導体領域PS3を通じて半導体基板SBの裏面側のコレクタ領域CRと電気的に接続されている。従って、外側周回配線SCWは、半導体基板SBを通じてコレクタ電極CEと電気的に接続される。
【0058】
また、
図6に示されるように、外側周回配線SCWは、絶縁膜ZFに形成されたコンタクトホールCT5を通じてフィールドプレート部FPの導体パターンSCPと電気的に接続されている。すなわち、コンタクトホールCT5は、フィールドプレート部FPの導体パターンSCPと平面視で重なる位置に形成されており、絶縁膜ZFを貫通し、コンタクトホールCT5内は外側周回配線SCWで埋め込まれている。コンタクトホールCT5の底部ではフィールドプレート部FPの導体パターンSCPが露出して、コンタクトホールCT5内の外側周回配線SCWとフィールドプレート部FPの導体パターンSCPとが電気的に接続される。また、フィールドプレート部FPの導体パターンSCPにおけるコンタクトホールCT5の底部に隣接する位置に、導体パターンSCPよりも高不純物濃度のp
+型半導体領域(図示せず)を形成しておき、そのp
+型半導体領域を通じて外側周回配線SCWをフィールドプレート部FPの導体パターンSCPと電気的に接続することもできる。これにより、外側周回配線SCWとフィールドプレート部FPの導体パターンSCPとの接続抵抗を低減することができる。
図6の場合は、コンタクトホールCT5は、絶縁膜IL1上に位置する部分の導体パターンSCP上ではなく、絶縁膜IL1上には位置しない部分の導体パターンSCP上に形成している。
【0059】
他の形態として、コンタクトホールCT5を、絶縁膜IL1上に位置する部分の導体パターンSCP上(すなわち平面視において絶縁膜IL1に重なる位置の導体パターンSCP上)に設けることもできる。また、その場合は、平面視において、導体パターンSCPの全てが絶縁膜IL1と重なっていてもよい。
【0060】
コンタクトホールCT5は、平面視で外側周回配線SCWの外周に沿って周回するように形成することができ、コンタクトホールCT4も同様である。
【0061】
従って、半導体装置CP(半導体基板SB)の素子領域DRでは、半導体基板SBの主面上に、エミッタ領域ERおよびトレンチゲート電極TGを覆うように、絶縁膜ZFが形成されている。また、半導体装置CP(半導体基板SB)の周辺領域PRでは、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜(ここでは絶縁膜IL1および絶縁膜IL2からなる絶縁膜)を介してフィールドプレート部FPが形成されている。そして、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜IL1,IL2およびフィールドプレート部FP(導体パターンFCP,SCP,TCP)を覆うように、絶縁膜ZFが形成されている。絶縁膜ZFは、層間絶縁膜として機能することができるが、フィールドプレート部FPを覆っているため、フィールドプレート部FPの保護膜としても機能することができる。更に、絶縁膜ZF上に、エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線FCWと外側周回配線SCWとが形成され、それらを覆うように、絶縁膜ZF上に保護膜PFが形成されている。
【0062】
エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWのそれぞれの厚さは、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,SCP,TCP)の厚さよりも厚い。なお、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWのそれぞれの厚さは、絶縁膜ZF上に位置する部分の厚さ(
図6に示される厚さT1)として規定することができる。また、
図6には、フィールドプレート部FPの厚さT2も示されており、T1>T2が成り立つ。
【0063】
保護膜PFは、半導体チップである半導体装置CPの最上層の膜である。エミッタ電極EEの一部(中央部)が保護膜PFの開口部から露出されて、エミッタ用パッドが形成され、また、ゲート電極配線GEWのゲート電極部GEの一部が保護膜PFの開口部から露出されて、ゲート用パッドが形成されている。
【0064】
<半導体装置の製造方法>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例を
図9~
図19を参照して説明する。
図9~
図19は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
図9~
図19のそれぞれにおいて、図中の左側に示される断面は、上記
図7に対応する断面であり、図中の右側に示される断面は、上記
図6に対応する断面である。
【0065】
まず、
図9に示されるように、半導体基板SBを用意する。この段階では、半導体基板SBは、平面視で略円形状の半導体ウエハである。半導体基板SBは、主面と、それとは反対側の裏面とを有している。半導体基板SBは、例えば単結晶シリコンからなり、n型不純物が導入されたn
-型の半導体基板を用いることができる。半導体基板SBとして、半導体基板上にエピタキシャル半導体層を形成したエピタキシャルウエハを用いることもできる。
【0066】
次に、半導体基板SBの主面上にシリコン酸化膜などからなる絶縁膜を形成した後、その絶縁膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることで、
図10に示されるように、周辺領域PRにおける半導体基板SBの主面上に絶縁膜IL1のパターンを形成する。
【0067】
次に、周辺領域PRにおける半導体基板SBの主面側に、フォトレジストパターンをマスクとしたイオン注入を行うことにより、p-型のリサーフ領域RSを形成する。
【0068】
周辺領域PRにおける半導体基板SBの主面側に、フォトレジストパターンおよび絶縁膜IL1をマスクとしたイオン注入を行うことにより、p型半導体領域FPRを形成する。p型半導体領域FPRは、絶縁膜IL1の内周端部に対して自己整合的に形成される。
【0069】
次に、
図11に示されるように、素子領域DRにおける半導体基板SBに溝TRをエッチングにより形成してから、溝TRの内面(側面および底面)にゲート絶縁膜GFを熱酸化法などを用いて形成する。それから、半導体基板SBの主面上に、溝TR内を埋めるように、トレンチゲート電極TG形成用の導体膜(例えば多結晶シリコン膜)をCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などで形成してから、その導体膜をエッチバックする。これにより、溝TR内にゲート絶縁膜GFを介して残存する導体膜により、トレンチゲート電極TGが形成される。
【0070】
次に、
図12に示されるように、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜IL2および多結晶シリコン膜(フィールドプレート部FP形成用の多結晶シリコン膜)をCVD法などを用いて順に形成した後、その多結晶シリコン膜PCに、p型またはn型の不純物をイオン注入により導入する。それから、その多結晶シリコン膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、フィールドプレート部FPを構成する導体パターンFCP,SCP,TCPを形成する。
図12には、この段階が示されている。フィールドプレート部FPを構成する導体パターンFCP,SCP,TCPは、半導体基板SBの主面上に絶縁膜(ここでは絶縁膜IL1および絶縁膜IL2からなる絶縁膜)を介して形成される。
【0071】
次に、
図13に示されるように、素子領域DRにおける半導体基板SBに、フォトレジストパターンをマスクとしてp型不純物のイオン注入を行うことにより、p型のチャネル形成領域CHを形成し、その後、同じフォトレジストパターンをマスクとしてn型不純物のイオン注入を行うことにより、n型のエミッタ領域ERを形成する。
【0072】
次に、周辺領域PRにおける半導体基板SBの主面側に、フォトレジストパターンをマスクとしたイオン注入を行うことにより、n+型のチャネルストッパ領域CSを形成する。
【0073】
次に、
図14に示されるように、半導体基板SBの主面上に、トレンチゲート電極TG、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,SCP,TCP)、絶縁膜IL2および絶縁膜IL1を覆うように、絶縁膜ZFを形成する。絶縁膜ZFは、上述のように、一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなる。絶縁膜ZFを構成する窒化シリコン膜と酸化シリコン膜とは、それぞれCVD法などを用いて形成することができる。
【0074】
図14の場合は、絶縁膜ZFは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上の窒化シリコン膜NTと、窒化シリコン膜NT上の酸化シリコン膜OX2との積層膜からなる。この場合は、絶縁膜ZFを形成する工程は、酸化シリコン膜OX1を形成する工程と、酸化シリコン膜OX1上に窒化シリコン膜NTを形成する工程と、窒化シリコン膜NT上に酸化シリコン膜OX2を形成する工程とを含んでいる。
【0075】
次に、
図15に示されるように、絶縁膜ZFに、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてコンタクトホールCT1を形成する。コンタクトホールCT1の底部で半導体基板SBをエッチングすることにより、コンタクトホールCT1は、絶縁膜ZFおよびエミッタ領域ERを貫通してチャネル形成領域CHに達するように形成される。また、絶縁膜ZFに、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてコンタクトホールCT2,CT3,CT4,CT5を形成する。
【0076】
次に、
図16に示されるように、イオン注入により、p
+型半導体領域PS1,PS2,PS3を形成する。p
+型半導体領域PS1は、コンタクトホールCT1の底部で露出するチャネル形成領域CH内に形成され、p
+型半導体領域PS2は、コンタクトホールCT3の底部で露出する半導体基板SB内に形成され、p
+型半導体領域PS3は、コンタクトホールCT5の底部で露出する半導体基板SB内に形成される。また、この際、コンタクトホールCT3の底部で露出する導体パターンFCPの上部とコンタクトホールCT5の底部で露出する導体パターンSCPの上部とにp
+型の半導体領域(図示せず)を形成することもできる。
【0077】
次に、
図17に示されるように、コンタクトホールCT1,CT2,CT3,CT4,CT5の内面(側面および底面)上を含む絶縁膜ZF上に、バリア導体膜BFをスパッタリング法などを用いて形成してから、そのバリア導体膜BF上に主導体膜MFをスパッタリング法などを用いて、コンタクトホールCT1,CT2,CT3,CT4,CT5内を埋め込むように形成する。それから、バリア導体膜BFと主導体膜MFとの主導体膜を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWを形成する。
図17には、この段階が示されている。
【0078】
次に、
図18に示されるように、絶縁膜ZF上に、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWを覆うように、ポリイミド樹脂などからなる保護膜PFを形成する。それから、保護膜PFにエミッタパッド用開口部とゲートパッド用開口部とを形成する。保護膜PFのエミッタパッド用開口部からエミッタ電極EEの一部が露出されてエミッタパッドが形成され、保護膜PFのゲートパッド用開口部からゲート電極配線GEWの上記ゲート電極部GEが露出されてゲートパッドが形成される。
【0079】
次に、必要に応じて半導体基板SBの裏面側を研削して半導体基板SBを薄くする。
【0080】
次に、
図19に示されるように、半導体基板SBの裏面側に、イオン注入によりn型のフィールドストップ領域SRを形成してから、イオン注入によりp型のコレクタ領域CRを形成する。
【0081】
次に、半導体基板SBの裏面上にスパッタリング法などを用いてコレクタ電極CEを形成する。その後、半導体基板SBをダイシングにより切断して個片化する。これにより、半導体チップとしての半導体装置CPが製造される。
【0082】
また、製造された半導体装置CPを用いて半導体パッケージを製造することができる。例えば、リードフレーム(図示せず)のダイパッド上に半導体装置CPを搭載してダイパッドと半導体装置CPのコレクタ電極CEとダイパッドとを電気的に接続してから、リードフレームの複数のリードと半導体装置CPのエミッタ用パッド(エミッタ電極EE)およびゲート用パッド(ゲート電極GE)とを導電性接続部材(例えばボンディングワイヤ)を介してそれぞれ電気的に接続する。それから、半導体装置CPと導電性接続部材とダイパッドとリードとを樹脂封止してから、リードおよびダイパッドをリードフレームから切断して分離する。このようにして、半導体パッケージを製造することができる。
【0083】
<検討の経緯>
本発明者は、抵抗性フィールドプレート部を有する半導体装置について検討している。抵抗性フィールドプレート部(上記フィールドプレート部FPに対応)は、多結晶シリコンからなり、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜を介して形成される。
【0084】
図20は、本発明者が検討した第1検討例の半導体装置の要部断面図であり、上記
図6に相当するものである。
図20に示される第1検討例の半導体装置においては、上記絶縁膜ZFに相当する絶縁膜ZF100は、酸化シリコン膜の単体膜により構成されている。
【0085】
抵抗性フィールドプレート部を有する半導体装置については、耐湿性を向上させることが重要である。なぜなら、半導体装置CP内に水分が侵入してフィールドプレート部FPに到達すると、多結晶シリコンからなるフィールドプレート部FPが水分と反応して劣化し、不具合が生じる虞があるからである。例えば、フィールドプレート部FPは、幅が細いパターン(導体パターンTCP)を有しており、その細いパターンが侵入した水分と反応して、断線する虞がある。
【0086】
図20に示される第1検討例の半導体装置においては、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZF100は、酸化シリコン膜の単体膜により構成されている。酸化シリコン膜は、水分に対するバリア性が低く、水分を通過させやすい膜(水分の透過率が高い膜)である。このため、保護膜PFを通過した水分は、更に絶縁膜ZF100を通過してフィールドプレート部FPに到達しやすいため、フィールドプレート部FPが水分と反応することが懸念される。フィールドプレート部FPが水分と反応することは、半導体装置の信頼性の低下につながる。抵抗性フィールドプレート部を有する半導体装置の信頼性を向上させるためには、多結晶シリコンからなる抵抗性フィールドプレート部が水分と反応することを防ぐことが重要である。
【0087】
<主要な特徴と効果について>
フィールドプレート部FPは、多結晶シリコンからなり、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜(ここでは絶縁膜IL1および絶縁膜IL2からなる絶縁膜)を介して形成されており、その絶縁膜上に、フィールドプレート部FPを覆うように、絶縁膜ZFが形成されている。
【0088】
本実施の形態では、絶縁膜ZFは、一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなる。
図6~
図8の場合は、絶縁膜ZFは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上の窒化シリコン膜NTと、窒化シリコン膜NT上の酸化シリコン膜OX2との積層膜からなる。酸化シリコン膜に比べて、窒化シリコン膜は、水分に対するバリア性が高く、水分を通過させにくい膜(水分の透過率が低い膜)である。本実施の形態では、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZFは、水分に対するバリア性が高い窒化シリコン膜NTを含んでおり、絶縁膜ZFに含まれている窒化シリコン膜NTが、水分に対するバリア膜として機能することができる。このため、絶縁膜ZFが窒化シリコン膜NTを含んでいることにより、水分が絶縁膜ZFを通過してフィールドプレート部FPに到達するのを抑制または防止することができる。これにより、多結晶シリコンからなるフィールドプレート部FPが水分と反応することを抑制または防止することができ、抵抗性フィールドプレート部を有する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0089】
図21は、本発明者が検討した第2検討例の半導体装置の要部断面図であり、上記
図6に相当するものである。
図21に示される第2検討例の半導体装置においては、上記絶縁膜ZFに相当する絶縁膜ZF200は、窒化シリコン膜の単体膜により構成されている。
【0090】
図21に示される第2検討例の場合は、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZF200が窒化シリコン膜の単体膜により構成されているため、水分が絶縁膜ZF200を通過してフィールドプレート部FPに到達するのを抑制または防止することができる。これにより、多結晶シリコンからなるフィールドプレート部FPが水分と反応することを抑制または防止することができる。
【0091】
しかしながら、
図21に示される第2検討例の場合は、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZF200が窒化シリコン膜の単体膜により構成されていることで、以下のような問題が生じてしまう。
【0092】
すなわち、半導体基板の主面に形成された酸化シリコン膜に比べて、半導体基板の主面に形成された窒化シリコン膜は、半導体基板に応力を生じさせやすい。また、半導体基板の主面に形成された窒化シリコン膜は、その厚さが厚くなるほど、半導体基板により大きな応力を生じさせる。このため、
図21に示される第2検討例の場合は、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZF200が窒化シリコン膜の単体膜により構成されていることから、窒化シリコンからなる絶縁膜ZF200が半導体基板SBに応力を生じさせやすい。半導体装置の製造時に半導体基板に大きな応力が生じると、半導体基板の反りの原因となり、半導体装置の製造工程の管理が難しくなる。また、製造後の半導体装置において、半導体基板に大きな応力が生じると、半導体装置の電気的特性に影響を及ぼす虞がある。これは、半導体装置の電気的特性のばらつきを招くため、望ましくない。このため、
図21に示される第2検討例の場合において、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZF200が半導体基板SBに生じさせる応力を抑制するために、絶縁膜ZF200を薄くすることが考えられる。しかしながら、絶縁膜ZF200を薄くしてしまうと、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZF200がフィールドプレート部FPを保護する機能が低下してしまう。また、絶縁膜ZF200は、層間絶縁膜を兼ねているが、絶縁膜ZF200を薄くしてしまうと、層間絶縁膜としての機能も低下してしまう。このため、絶縁膜ZF200は、ある程度厚くする必要があるが、絶縁膜ZF200を厚くすると、上述のように絶縁膜ZF200に起因して半導体基板SBに応力が生じることが懸念される。
【0093】
それに対して、本実施の形態では、絶縁膜ZFは、窒化シリコン膜の単体膜ではなく、一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなる。このため、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTの厚さを厚くしなくとも、絶縁膜ZFが一層以上の酸化シリコン膜(ここでは酸化シリコン膜OX1,OX2)を含むことにより、絶縁膜ZFの厚さを確保することができる。従って、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTの厚さを抑制しながら、絶縁膜ZFの厚さを確保して、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZFがフィールドプレート部FPを保護する機能を確保することができる。また、絶縁膜ZFの層間絶縁膜としての機能も確保することができる。
【0094】
また、半導体基板の主面に形成された窒化シリコン膜に比べて、半導体基板の主面に形成された酸化シリコン膜は、半導体基板に応力を生じさせにくい。このため、本実施の形態では、絶縁膜ZFが一層以上の酸化シリコン膜(ここでは酸化シリコン膜OX1,OX2)を含んでいても、半導体基板SB生じる応力を抑制することができる。本実施の形態では、絶縁膜ZFが一層以上の酸化シリコン膜(ここでは酸化シリコン膜OX1,OX2)を含むことで、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTの厚さを抑制できることにより、窒化シリコン膜NTに起因して半導体基板SBに生じる応力を抑制または防止することができる。これにより、半導体装置の製造時に、半導体基板に生じる応力に起因して半導体基板に反りが生じるのを抑制または防止できるため、半導体装置の製造工程の管理が容易となる。また、製造後の半導体装置において、半導体基板生じる応力が半導体装置の電気的特性に影響を及ぼすことを、抑制または防止することができる。このため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0095】
図22は、本発明者が検討した第3検討例の半導体装置の要部断面図であり、上記
図6に相当するものである。
図22に示される第3検討例の半導体装置においては、上記絶縁膜ZFに相当する絶縁膜ZF100は、上記第1検討例と同様に酸化シリコン膜の単体膜により構成されている。そして、
図22に示される第3検討例の半導体装置においては、上記保護膜PFに相当する保護膜PF100は、窒化シリコン膜PF101と窒化シリコン膜PF101上の樹脂膜PF102との積層膜により形成されている。
【0096】
図22に示される第3検討例の場合は、保護膜PF100は窒化シリコン膜PF101を含んでおり、この窒化シリコン膜PF101が水分に対するバリア膜として機能することができる。このため、
図22に示される第3検討例の場合は、水分が窒化シリコン膜PF101を通過することを抑制または防止できるため、水分が窒化シリコン膜PF101および絶縁膜ZF100を通過してフィールドプレート部FPに到達するのを抑制または防止することができる。これにより、多結晶シリコンからなるフィールドプレート部FPが水分と反応することを抑制または防止することができる。
【0097】
しかしながら、
図22に示される第3検討例の場合は、窒化シリコン膜PF101にクラックが発生する虞がある。その理由について、以下に説明する。
【0098】
すなわち、
図22に示される第3検討例の場合、窒化シリコン膜PF101を含む保護膜PF100は、エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線FCWと外側周回配線SCWとを覆うように形成されているが、エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線FCWと外側周回配線SCWとは、厚さが厚い。このため、厚い電極等(エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCW)を覆う窒化シリコン膜PF101には、大きな段差が発生し、その段差に応力が集中してクラックが発生しやすくなってしまう。窒化シリコン膜PF101にクラックが発生すると、窒化シリコン膜PF101による水分の侵入を防止する作用が低下してしまうため、水分が窒化シリコン膜PF101および絶縁膜ZF100を通過してフィールドプレート部FPに到達し、多結晶シリコンからなるフィールドプレート部FPが水分と反応する現象が生じやすくなる。窒化シリコン膜PF101のクラックの発生を防ぐには、エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線FCWと外側周回配線SCWとの厚さを薄くする必要があるが、それらを薄くすることは、半導体装置の性能を低下させる虞があるため、望ましくない。なぜなら、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWは、抵抗を低くすることが望ましいが、そのためには、それらの厚さをある程度厚くすることが必要だからである。また、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWは、抵抗を低くするために、多結晶シリコンではなく、金属材料により形成されている。また、エミッタ電極EEとゲート電極配線GEWと内側周回配線FCWと外側周回配線SCWの厚さを薄くした場合には、半導体装置(半導体チップ)を用いて半導体パッケージを製造する際のワイヤボンディング工程において、エミッタ用パッドやゲート用パッドに加わる圧力や超音波振動によるダメージ(例えばパッドの下方の構造に生じるダメージ)が懸念される。
【0099】
それに対して、本実施の形態では、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWは、絶縁膜ZF上に形成されている。このため、絶縁膜ZFは、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWよりも下層であり、従って、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTは、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWよりも下層である。つまり、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTは、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWのそれぞれの下方に存在しているが、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWの上方には存在していない。すなわち、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTは、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWに乗り上げてはいない。
【0100】
このため、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWまたは外側周回配線SCWに起因した段差は、絶縁膜ZFおよび絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTには発生しない。従って、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWの厚さが厚かったとしても、その影響は、絶縁膜ZFおよび絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTには発生しない。また、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,TCP,SCP)の厚さは、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWの各厚さよりも小さい。なぜなら、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWは、抵抗を低くするために、金属材料で形成しかつ厚さをある程度厚くする必要があるが、フィールドプレート部FPは、抵抗をある程度高くする必要があるため、金属材料ではなく多結晶シリコンで形成し、フィールドプレート部FPの厚さは厚くする必要は無いからである。このため、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTにおいて、フィールドプレート部FPに起因した段差が発生したとしても、その段差の大きさは、上記
図22の第3検討例で窒化シリコン膜PF101に生じ得る段差よりも小さなものとなる。このため、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTにクラックが発生するリスクは、上記
図22の第3検討例で窒化シリコン膜PF101にクラックが発生するリスクよりも低くなる。
【0101】
従って、上記
図22の第3検討例の窒化シリコン膜PF101に比べて、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTでは、クラックが発生しにくいため、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTは、水分の侵入を防止する機能を的確に維持することができる。その結果、水分が絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTを通過してフィールドプレート部FPに到達するのを的確に抑制または防止することができ、多結晶シリコンからなるフィールドプレート部FPが水分と反応する現象が生じるのを、的確に抑制または防止することができる。従って、抵抗性フィールドプレート部を有する半導体装置の信頼性を的確に向上させることができる。
【0102】
また、本実施の形態では、保護膜PFは、窒化シリコン膜を含んでいない。
図22に示される第3検討例の場合は、保護膜PF100が窒化シリコン膜PF101を含んでいるため、保護膜PF100に含まれる窒化シリコン膜PF101に大きな段差が発生して、その段差でクラックが生じることが懸念されるが、本実施の形態では、保護膜PFは窒化シリコン膜を含んでいないため、そのような懸念は生じない。
【0103】
また、保護膜PFは、好ましくは、樹脂膜からなる。樹脂膜は、無機絶縁膜に比べて柔らかい。保護膜PFとして樹脂膜を用いることにより、半導体装置CPを取り扱いやすくなる。しかしながら、樹脂膜は、無機絶縁膜に比べて、水分を通しやすい。このため、保護膜PFとして樹脂膜を用いた場合には、水分が保護膜PFを通過しやすくなる。それに対して、本実施の形態では、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTが、水分に対するバリア膜として機能するこことができるため、保護膜PFを通過した水分が絶縁膜ZFを通過してフィールドプレート部FPに到達するのを、抑制または防止することができる。このため、保護膜PFとして樹脂膜を用いた場合にも、多結晶シリコンからなるフィールドプレート部FPが水分と反応することを的確に抑制または防止することができ、抵抗性フィールドプレート部を有する半導体装置の信頼性を的確に向上させることができる。
【0104】
<変形例>
図23は、本実施の形態の半導体装置CPの第1変形例を示す要部断面図であり、
図24は、本実施の形態の半導体装置CPの第2変形例を示す要部断面図であり、それぞれ上記
図6に対応する断面図である。
【0105】
図6の場合と
図23(第1変形例)の場合と
図24(第2変形例)の場合とで、絶縁膜ZFが一層以上の窒化シリコン膜と一層以上の酸化シリコン膜との積層膜からなることは、共通である。しかしながら、絶縁膜ZFを構成する積層膜の具体的な構成が、
図6の場合と
図23(第1変形例)の場合と
図24(第2変形例)の場合とで、相違している。
【0106】
すなわち、
図6の場合は、絶縁膜ZFは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上の窒化シリコン膜NTと、窒化シリコン膜NT上の酸化シリコン膜OX2との積層膜からなる。そして、絶縁膜ZFを構成する積層膜の最下層の酸化シリコン膜OX1は、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,TCP,SCP)と接し、絶縁膜ZFを構成する積層膜の最上層の酸化シリコン膜OX2は、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWに接している。
【0107】
図23(第1変形例)の場合は、絶縁膜ZFは、窒化シリコン膜NTと、窒化シリコン膜NT上の酸化シリコン膜OX2との積層膜からなる。そして、絶縁膜ZFを構成する積層膜の最下層の窒化シリコン膜NTは、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,TCP,SCP)と接し、絶縁膜ZFを構成する積層膜の最上層の酸化シリコン膜OX2は、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWに接している。
【0108】
図24(第2変形例)の場合は、絶縁膜ZFは、酸化シリコン膜OX1と、酸化シリコン膜OX1上の窒化シリコン膜NTとの積層膜からなる。そして、絶縁膜ZFを構成する積層膜の最下層の酸化シリコン膜OX1は、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,TCP,SCP)と接し、絶縁膜ZFを構成する積層膜の最上層の窒化シリコン膜NTは、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWに接している。
【0109】
図6の場合と
図23(第1変形例)の場合と
図24(第2変形例)の場合のいずれにおいても、絶縁膜ZFが窒化シリコン膜NTを含んでいることにより、上述したように、水分が絶縁膜ZFを通過してフィールドプレート部FPに到達するのを抑制または防止することができる。これにより、多結晶シリコンからなるフィールドプレート部FPが水分と反応することを抑制または防止することができ、抵抗性フィールドプレート部を有する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0110】
図6の場合と
図23(第1変形例)の場合と
図24(第2変形例)の場合のいずれにおいても、絶縁膜ZFが酸化シリコン膜も含んでいることで、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTの厚さを厚くしなくとも、絶縁膜ZFの厚さを確保することができる。従って、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTの厚さを抑制しながら、絶縁膜ZFの厚さを確保して、フィールドプレート部FPを覆う絶縁膜ZFがフィールドプレート部FPを保護する機能を確保することができる。また、絶縁膜ZFの層間絶縁膜としての機能も確保することができる。また、窒化シリコン膜NTに起因して半導体基板SBに生じる応力を抑制または防止することができる。
【0111】
図6の場合と
図23(第1変形例)の場合と
図24(第2変形例)の場合のそれぞれにおいて、絶縁膜ZFの厚さは、例えば400nm~2000nm程度とすることができ、また、窒化シリコン膜NTの厚さは、例えば10nm~300nm程度とすることができる。
【0112】
また、
図6の場合と
図23(第1変形例)の場合と
図24(第2変形例)の場合のそれぞれにおいて、窒化シリコン膜NTの厚さとしては、水分に対するバリア作用をある程度得られるような膜厚を確保することが好ましく、この観点で、窒化シリコン膜NTの厚さは10nm以上することが好ましい。そして、窒化シリコン膜NTに起因して半導体基板SBに応力が生じるのを抑制するためには、窒化シリコン膜NTの厚さを抑制することが望ましいため、窒化シリコン膜NTの厚さは、絶縁膜ZFの厚さの半分未満とすることが好ましい。すなわち、絶縁膜ZFの厚さの過半(半分よりも多く)を、酸化シリコン膜に割り当てることが好ましい。このため、
図6の場合は、窒化シリコン膜NTの厚さは、酸化シリコン膜OX1の厚さと酸化シリコン膜OX2の厚さの合計よりも小さくすることが好ましい。また、
図23(第1変形例)の場合は、窒化シリコン膜NTの厚さは、酸化シリコン膜OX2の厚さよりも小さくすることが好ましい。また、
図24(第2変形例)の場合は、窒化シリコン膜NTの厚さは、酸化シリコン膜OX1の厚さよりも小さくすることが好ましい。
【0113】
ところで、窒化シリコン膜は、電荷蓄積機能を有する絶縁膜である。このため、
図23(第1変形例)の場合は、フィールドプレート部FPに窒化シリコン膜NTが接していることから、以下のことが懸念される。すなわち、酸化シリコン膜に比べて、窒化シリコン膜は、膜中の電荷トラップが多く、膜中に電荷が蓄積されやすい。このため、窒化シリコン膜は、成膜時に膜中に電荷が蓄積され、その電荷蓄積状態が半導体装置の製造後も維持されやすい。このため、フィールドプレート部FPに窒化シリコン膜NTが接している場合には、窒化シリコン膜NT中の蓄積電荷がフィールドプレート部FPの電気的特性に影響を与えてしまい、フィールドプレート部FPの電気的特性が変動する虞がある。
【0114】
それに対して、
図6の場合と
図24(第2変形例)の場合とにおいては、絶縁膜ZFに含まれる窒化シリコン膜NTはフィールドプレート部FPには接していない。すなわち、窒化シリコン膜NTとフィールドプレート部FPとの間には、酸化シリコン膜OX1が介在している。このため、窒化シリコン膜NT中にたとえ電荷が蓄積されていたとしても、窒化シリコン膜NTとフィールドプレート部FPとの間には酸化シリコン膜OX1が介在しているので、窒化シリコン膜NT中の蓄積電荷がフィールドプレート部FPの電気的特性に影響を与えることを抑制または防止できる。従って、窒化シリコン膜NT中の蓄積電荷に起因してフィールドプレート部FPの電気的特性が変動するのを抑制または防止することができる。
【0115】
また、
図6の場合は、窒化シリコン膜NTはエミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWにも接していないため、エミッタ電極EE、ゲート電極配線GEW、内側周回配線FCWおよび外側周回配線SCWから窒化シリコン膜NTに電荷が移動して窒化シリコン膜NT中に蓄積されることを防止することができる。このため、窒化シリコン膜NT中の蓄積電荷に起因してフィールドプレート部FPの電気的特性が変動するのを防ぐには、
図6の場合が最も優れている。
【0116】
一方、
図6の場合は、絶縁膜ZFを形成するには、3つの絶縁膜をそれぞれ成膜する工程が必要なのに対して、
図23(第1変形例)の場合と
図24(第2変形例)の場合とでは、絶縁膜ZFを形成するには、2つの絶縁膜をそれぞれ成膜する工程が必要である。このため、
図6の場合よりも、
図23(第1変形例)の場合と
図24(第2変形例)の場合の方が、半導体装置の製造工程数を低減することができる。
【0117】
図25は、本実施の形態の半導体装置CPの第3変形例を示す要部平面図であり、フィールドプレート部FPの導体パターンTCPが示されている。
【0118】
上記
図1~
図8の場合は、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,TCP,SCP)は、全体がp型半導体領域となっているか、あるいは、全体がn型半導体領域となっていた。
【0119】
それに対して、
図25に示される第3変形例の場合は、フィールドプレート部FPの導体パターンTCPは、導体パターンTCPの延在方向(電流が流れる方向)に沿って、p型半導体領域PRGとn型半導体領域NRGとが交互に複数配列した構造を有している。p型半導体領域PRGとn型半導体領域NRGとの間には、PN接合が形成されている。フィールドプレート部FPの導体パターンFCPは、全体がp型半導体領域またはn型半導体領域となっており、また、フィールドプレート部FPの導体パターンSCPは、全体がp型半導体領域またはn型半導体領域となっている。
【0120】
図25に示される第3変形例の場合は、フィールドプレート部FPの導体パターンTCPを電流が流れる際には、電流はp型半導体領域PRGとn型半導体領域NRGとを交互に通過することなるため、電流は複数のPN接合を通過することになる。このため、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,TCP,SCP)全体がp型半導体領域となっている場合や、フィールドプレート部FP(導体パターンFCP,TCP,SCP)全体がn型半導体領域となっている場合に比べて、
図25に示される第3変形例の場合は、フィールドプレート部FPを通ってコレクタ-エミッタ間に流れる電流を低減することができる。
図25に示される第3変形例を適用した場合は、半導体装置CPに形成されている半導体素子(例えばIGBT)のリーク電流を抑制することができるため、低いリーク電流が要求される半導体装置には、適している。
【0121】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0122】
BF バリア導体膜
CE コレクタ電極
CH チャネル形成領域
CP 半導体装置
CR コレクタ領域
CS チャネルストッパ領域
CT1,CT2,CT3,CT4,CT5 コンタクトホール
DR 素子領域
EE エミッタ電極
ER エミッタ領域
FCP 導体パターン
FCW 内側周回配線
FP フィールドプレート部
FPR p型半導体領域
IL1,IL2 絶縁膜
JW 接続配線部
GE ゲート電極部
GEW ゲート電極配線
GF ゲート絶縁膜
GW ゲート配線部
MF 主導体膜
NRG n型半導体領域
NT 窒化シリコン膜
OX1,OX2 酸化シリコン膜
PF,PF100 保護膜
PF101 窒化シリコン膜
PF102 樹脂膜
PR 周辺領域
PRG p型半導体領域
PS1,PS2,PS3 p+型半導体領域
RS リサーフ領域
SB 半導体基板
SCP 導体パターン
SCW 外側周回配線
SR フィールドストップ領域
TCP 導体パターン
TG トレンチゲート電極
TR 溝
ZF,ZF100,ZF200 絶縁膜