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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125215
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/32 20200101AFI20230831BHJP
【FI】
D06F58/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029197
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】田中 拓馬
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA12
3B167AA15
3B167AB24
3B167AD03
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE12
3B167AE13
3B167BA08
3B167BA47
3B167BA55
3B167BA82
3B167JA41
3B167KA32
3B167KA71
3B167LC02
3B167LC03
3B167LC14
3B167LD03
3B167LD12
3B167LD13
(57)【要約】
【課題】乾燥処理を行うことができる洗濯機を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る洗濯機は、被洗濯物が入れられる洗濯槽と、前記洗濯槽の底部に配置され、上下方向に延びる軸線を中心に回転する回転体と、前記回転体の上側に固定された軸部と、前記軸部から前記洗濯槽の内周面側に延びるブラシユニットと、を有する回転ブラシと、前記洗濯槽の内部に温風を送る温風ユニットと、前記洗濯槽と前記回転ブラシと前記温風ユニットとを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記温風ユニットを制御して、前記洗濯槽の内部に温風を送って被洗濯物を乾燥させる乾燥処理を実行し、前記制御部は、前記乾燥処理において、前記洗濯槽に対して前記回転ブラシを正逆方向に交互に回転させる転がし処理と、前記洗濯槽及び前記回転ブラシを一体的に回転させる第1回転処理と、を交互に繰り返し行う第1工程を実行する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗濯物が入れられる洗濯槽と、
前記洗濯槽の底部に配置され、上下方向に延びる軸線を中心に回転する回転体と、前記回転体の上側に固定された軸部と、前記軸部から前記洗濯槽の内周面側に延びるブラシユニットと、を有する回転ブラシと、
前記洗濯槽の内部に温風を送る温風ユニットと、
前記洗濯槽と前記回転ブラシと前記温風ユニットとを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記温風ユニットを制御して、前記洗濯槽の内部に温風を送って被洗濯物を乾燥させる乾燥処理を実行し、
前記制御部は、
前記乾燥処理において、
前記洗濯槽に対して前記回転ブラシを正逆方向に交互に回転させる転がし処理と、前記洗濯槽及び前記回転ブラシを一体的に回転させる第1回転処理と、を交互に繰り返し行う第1工程を実行する、洗濯機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1工程の経過時間に応じて、前記転がし処理及び前記第1回転処理の少なくとも一方の時間を変更する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記乾燥処理において、
前記第1工程よりも後に第2工程を実行し、
前記制御部は、
前記第2工程において、
前記第1回転処理と比べて、回転速度が小さくなるように前記洗濯槽及び前記回転ブラシを一体的に回転させる第2回転処理を実行する、請求項1または請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記第2工程は、前記転がし処理を含み、
前記制御部は、前記第2工程において、前記第2回転処理の間に前記転がし処理を行う、請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記温風ユニットは、ヒータを含み、
前記制御部は、前記第1回転処理よりも前記第2回転処理の方が前記洗濯槽の内部温度が高くなるように前記ヒータを制御する、請求項3または請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記乾燥処理における前記転がし処理が行われる時間の割合は、前記乾燥処理における前記転がし処理以外の処理が行われる時間の割合よりも小さい、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、靴の内側を洗浄できる靴洗浄用アタッチメントと、この靴洗浄用アタッチメントを含む靴洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-51038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の洗濯機(靴洗浄装置)では、被洗濯物を洗濯した後に乾燥させる場合、乾燥機能を有していないため、洗濯機から被洗濯物を取り出して、別の乾燥装置に被洗濯物を入れ換えなければならず、煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、例えば、乾燥処理を行うことができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る洗濯機は、被洗濯物が入れられる洗濯槽と、前記洗濯槽の底部に配置され、上下方向に延びる軸線を中心に回転する回転体と、前記回転体の上側に固定された軸部と、前記軸部から前記洗濯槽の内周面側に延びるブラシユニットと、を有する回転ブラシと、前記洗濯槽の内部に温風を送る温風ユニットと、前記洗濯槽と前記回転ブラシと前記温風ユニットとを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記温風ユニットを制御して、前記洗濯槽の内部に温風を送って被洗濯物を乾燥させる乾燥処理を実行し、前記制御部は、前記乾燥処理において、前記洗濯槽に対して前記回転ブラシを正逆方向に交互に回転させる転がし処理と、前記洗濯槽及び前記回転ブラシを一体的に回転させる第1回転処理と、を交互に繰り返し行う第1工程を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】洗濯機の斜視図である。
図2】回転ブラシの斜め上方から視た斜視図である。
図3】回転ブラシの平面図である。
図4A】回転ブラシの側面図である。
図4B】回転ブラシの側面図である。
図5】回転体の斜め上方から視た斜視図である。
図6】軸部の径方向外側から視た、軸部の外周面の模式的な平面展開図である。
図7A】洗濯機の上面図である。
図7B】温風ユニットの吹出口を示す洗濯機の断面図である。
図8】第1工程を示すタイムチャートである。
図9】第2工程を示すタイムチャートである。
図10】第1工程の第1の変形例を示すタイムチャートである。
図11】第2工程の第1の変形例を示すタイムチャートである。
図12】洗濯槽の内部温度とヒータの出力の切替タイミングとの関係を示すタイムチャートである。
図13A】正転時の転がし処理における、軸部の外周面の模式的な平面展開図である。
図13B】正転時の転がし処理における、軸部の外周面の模式的な平面展開図である。
図14A】反転時の転がし処理における、軸部の外周面の模式的な平面展開図である。
図14B】反転時の転がし処理における、軸部の外周面の模式的な平面展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略し、また、本開示に直接関係のない要素は図示を省略する場合がある。
【0009】
[洗濯機1の概略構成]
洗濯機1の概略構成を説明する。図1は、洗濯機1の斜視図である。図1では、洗濯機1の内部構造を図示するため、洗濯機1の右前部分が取り除かれた縦断面が示されている。図2は、回転ブラシ3の斜め上方から視た斜視図である。図3は、回転ブラシ3の平面図である。本実施形態の洗濯機1は、被洗濯物の靴9(図4A等参照)を洗濯、脱水及び乾燥する洗濯乾燥機を例示する。
【0010】
図1に示すように、洗濯機1は、外箱10、上面部材20、上蓋30、ベース部材40、駆動機構50等を含む。外箱10の外形は、上下に開口する角筒状である。外箱10の上側に上面部材20が設けられ、外箱10の下側にベース部材40が設けられる。上蓋30は、上面部材20を上下方向に貫通する開口部を開閉可能である。水槽11は、外箱10内に配置され、上方に開口した略有底円筒状である。水槽11の底部には、水槽11内の水を排水するための排水部が設けられている。
【0011】
水槽11内には、被洗濯物である靴9が入れられる洗濯槽12が設けられる。洗濯槽12は、水槽11と同様に上方に開口した略有底円筒状であり、水槽11に対して回転可能である。洗濯槽12の回転中心を通る軸線Oは、上下方向に延びる。洗濯槽12の底部には水抜部が形成され、且つ洗濯槽12の周壁や上端部には複数の排水孔が形成されている。洗濯槽12の上端開口を介して、洗濯槽12内に上方から靴9が出し入れされる。洗濯槽12の上端開口縁に沿って、バランスリング14が設けられる。
【0012】
洗濯機1は、洗濯槽12の底部に配置され、上下方向に延びる軸線を中心に回転する回転体13を含む。例えば回転体13は、洗濯槽12内の水を撹拌するための円盤状のパルセータである。回転体13は、洗濯槽12に対して回転可能である。回転体13の回転中心を通る軸線は、洗濯槽12の軸線Oと略一致している。洗濯槽12の下方には、洗濯槽12と回転体13とを回転駆動する駆動機構50が設けられる。駆動機構50と、洗濯槽12及び回転体13との間には、クラッチ51が設けられている。駆動機構50の動力が洗濯槽12及び回転体13に伝達される状態と、駆動機構50の動力が回転体13のみに伝達される状態とが、クラッチ51によって切り替えられる。
【0013】
図1図3に示すように、洗濯機1は、回転ブラシ3を備える。回転ブラシ3は、回転体13と、回転体13の上側に固定された軸部60と、軸部60から洗濯槽12の内周面12A側に延びるブラシユニット7とを有する。回転ブラシ3の回転中心を通る軸線は、軸部60の中心を通り、洗濯槽12の軸線Oと略一致している。従って、洗濯槽12及び回転ブラシ3は、何れも軸線Oを中心に回転可能である。
【0014】
回転ブラシ3は、複数のブラシユニット7を有する。各ブラシユニット7の上端は、洗濯槽12の上端開口の下方に位置する。各ブラシユニット7の下端は、回転体13の上面に対して、間隔を空けて上側から対向する。各ブラシユニット7の先端は、洗濯槽12の内周面12Aと間隔を空けて対向する。本例では、二つのブラシユニット7が、平面視で軸部60から互いに反対方向に突出する。ブラシユニット7の数量、位置、形状等は、本実施形態に限定されない。
【0015】
洗濯機1は、洗濯機1の動作を制御するための制御部90を備える(図1参照)。制御部90は、CPU、RAM、ROM等を含むコントローラであるが、MCU、MPU等でもよい。制御部90が駆動機構50、クラッチ51及び後述の温風ユニット80を制御することで、洗濯機1で乾燥処理が実行されるが、詳細は後述する。本例の運転動作では、まず洗濯処理が実行され、その後に脱水処理が実行され、最後に乾燥処理が実行される。
【0016】
[側面突出部100]
側面突出部100の詳細を説明する。図2に示すように、側面突出部100は、洗濯槽12の内周面12Aに設けられ、軸線Oに向かって突出する。本例では、上下方向に長い平板状の取付板110が、洗濯槽12の内周面12Aに固定されている(図1参照)。側面突出部100は、取付板110の下部に設けられた、回転方向Cに沿って延びる板状部材であり、且つ軸線Oから視て左右対称である。
【0017】
側面突出部100は、回転するブラシユニット7と対向する高さ位置に設けられる。本例では、全体として側面突出部100は、ブラシユニット7の下部と同じ高さにある。側面突出部100の突出端100Bは、回転体13の外周Pよりも軸線O側に突出し、且つ回転軌跡Tの外側にある(図3参照)。回転するブラシユニット7の下部は、側面突出部100の正面側を間隔を空けて横切る。
【0018】
[底面突出部200]
底面突出部200の詳細を説明する。図4A及び図4Bは、回転ブラシ3の側面図である。図4Bは、図4Aにおいて回転ブラシ3を回転方向Cに180度回転させた状態を示す。図5は、回転体13の斜め上方から視た斜視図である。
【0019】
図2図5に示すように、回転体13は、回転体13の上面から上方に突出し、軸線Oを中心とした回転方向Cに沿って延びる底面突出部200を有する。本例では、軸部60が固定される平面視円形の凹部である装着部130が、回転体13の上面中央に設けられる。回転体13の上面は、装着部130から径方向外側に向かって、上側に湾曲している。底面突出部200は、回転体13の上面における装着部130の外周側に設けられる。
【0020】
上述した回転方向Cは、互いに反対方向である第一方向C1及び第二方向C2を含む。第一方向C1は、平面視で時計回り方向である。第二方向C2は平面視で反時計回り方向である。底面突出部200は、底面突出部200の頂部200Aから第一方向C1に沿って延びる第一稜線R1と、底面突出部200の頂部200Aから第二方向C2に沿って延び、且つ第一稜線R1よりも短い第二稜線R2とを有する。
【0021】
本例では、底面突出部200は、回転体13の回転方向Cに沿って延びる稜線Rを有する。稜線Rは、底面突出部200の延伸方向の両端部を結び、且つ底面突出部200の表面で最も高い部分を辿って延びる仮想線である。稜線Rの最も高い位置が、底面突出部200の上端をなす頂部200Aである。稜線Rは、頂部200Aから回転方向Cの両側に向かって、徐々に下降するように傾斜する。
【0022】
稜線Rは、稜線Rの上端から稜線Rの両端に夫々向かう第一稜線R1と第二稜線R2とを含む。第一稜線R1は、頂部200Aから第一方向C1に延びる。第二稜線R2は、頂部200Aから第二方向C2に延びる。第一稜線R1の水平面に対する傾斜角度は、第二稜線R2の水平面に対する傾斜角度よりも小さい。そのため、第一稜線R1は第二稜線R2よりも長い。
【0023】
底面突出部200は、第一稜線R1を有する第一突出部201と、第二稜線R2を有する第二突出部202とを含む。第一突出部201は、頂部200Aから第一方向C1に延びる円弧状であり、第一方向C1に向かうほど回転体13の上面からの突出幅が小さくなる。第二突出部202は、頂部200Aから回転体13の上面まで第二方向C2に沿って延びる円弧状であり、第二方向C2に向かうほど回転体13の上面からの突出幅が小さくなる。
【0024】
先述したように、軸部60は回転体13と一体に回転駆動されるため、回転体13に対するブラシユニット7の位置は固定である。つまり、ブラシユニット7に対する底面突出部200の位置は固定である。本例では、図3に示すように、底面突出部200は、平面視で二つのブラシユニット7に跨って延びるように、軸線Oを中心として略180度の範囲に亘って設けられる。頂部200Aは、平面視で二つのブラシユニット7の間にある。
【0025】
図4A及び図4Bに示すように、底面突出部200の頂部200Aは、ブラシユニット7の下端より上方にある。つまり底面突出部200では、第一突出部201の第一方向C1側が後述のブラシユニット7Aの下方に配置され、第二突出部202の第二方向C2側が後述のブラシユニット7Bの下方に配置され、且つ、頂部200Aがブラシユニット7A,7Bの間に下方から突出する。
【0026】
なお稜線Rは、回転体13の回転方向Cと平行な稜線Rに限定されず、平面視で軸線Oの径方向と交差すればよい。例えば稜線Rは、平面視で軸線Oと交差するのであれば、直線状でもよいし、回転方向Cとは異なる曲率の曲線でもよいし、蛇行する形状でもよい。
【0027】
[ブラシユニット7の詳細構成]
ブラシユニット7の詳細構成を説明する。図6は、軸部60の径方向外側から視た、軸部60の外周面60Aの模式的な平面展開図である。つまり図6は、軸部60の径方向外側から、外周面60Aを回転方向Cに沿って視た模式図である。
【0028】
図2図4B図6に示すように、二つのブラシユニット7の各々は、軸部60から洗濯槽12の内周面12A側に延びる複数のブラシ部70を含む。複数のブラシ部70の各々は、単一又は複数の弾性体で構成される。本例では、複数のブラシ部70の各々では、軸部60の径方向外側に延びる複数の毛束が、外周面60A上に配列されている。ブラシ部70は、スポンジやゴム製品でもよい。複数のブラシ部70の各々は、軸部60の径方向外側から視て四角形状であるが、例えば三角形状、菱形状、楕円形状等の他の形状でもよい。
【0029】
洗濯機1は、平面視で底面突出部200の頂部200Aより第二方向C2側に設けられた第一のブラシユニット7と、平面視で底面突出部200の頂部200Aより第一方向C1側に設けられた第二のブラシユニット7とを備える。本例では、頂部200Aより第二方向C2側に設けられたブラシユニット7Bが、第一のブラシユニット7である。頂部200Aより第一方向C1側に設けられたブラシユニット7Aが、第二のブラシユニット7である。
【0030】
ブラシユニット7A,7Bにおいて、複数のブラシ部70は、互いに離隔して異なる上下方向の位置に設けられた第一ブラシ部71及び第二ブラシ部72を含む。図4A及び図6に示すように、ブラシユニット7Aでは、第一ブラシ部71及び第二ブラシ部72が、互いに回転方向Cに離れた位置で上下方向に延びる。第一ブラシ部71は、第二ブラシ部72よりも第二方向C2にあり、且つ第二ブラシ部72に対して上側にずれた位置にある。
【0031】
第一ブラシ部71から下側に延びる第一領域71Aは、複数のブラシ部70が設けられていない空間であり、且つ第二ブラシ部72と回転方向Cに並ぶ。第二ブラシ部72から上側に延びる第二領域72Aは、複数のブラシ部70が設けられていない空間であり、且つ第一ブラシ部71と回転方向Cに並ぶ。
【0032】
第二のブラシユニット7は、第二方向C2に沿って上方へ階段状に延びる。具体的には、ブラシユニット7Aは、更に第三ブラシ部73、第四ブラシ部74及び第五ブラシ部75を含む。第三ブラシ部73は、第一ブラシ部71と第二ブラシ部72との間で回転方向Cに沿って延び、第一ブラシ部71の下部と第二ブラシ部72の上部に繋がっている。第四ブラシ部74は、第一ブラシ部71の上部から第二方向C2に延びる。第五ブラシ部75は、第二ブラシ部72の下部から第二方向C2に延びる。これによりブラシユニット7Aは、軸部60の径方向外側から視て、第二方向C2に沿って上方へ階段状に延びる。
【0033】
図2図4B図6に示すように、ブラシユニット7A,7Bは、互いに回転方向Cに離れている。詳細には、ブラシユニット7A,7Bは、軸部60の半周面161,162に夫々設けられる。半周面161,162は、軸部60の外周面60Aを、回転方向Cに並ぶように二等分した二つの領域である。先述したように、底面突出部200の頂部200Aは、平面視でブラシユニット7A,7Bの間にある(図2参照)。
【0034】
図4B及び図6に示すように、ブラシユニット7Bの形状は、軸部60の径方向外側から視て、ブラシユニット7Aを180度回転させた形状に等しい。従ってブラシユニット7Bでは、第一ブラシ部71は、第二ブラシ部72よりも第一方向C1にある。第一ブラシ部71は、第二ブラシ部72に対して下側にずれた位置にある。
【0035】
第一のブラシユニット7は、第二方向C2に沿って上方へ階段状に延びる。具体的には、ブラシユニット7Bでは、第三ブラシ部73が第一ブラシ部71の上部と第二ブラシ部72の下部に繋がっている。第四ブラシ部74は、第一ブラシ部71の下部から第一方向C1に延びる。第五ブラシ部75は、第二ブラシ部72の上部から第一方向C1に延びる。これによりブラシユニット7Bは、軸部60の径方向外側から視て、第二方向C2に沿って上方へ階段状に延びる。
【0036】
第一のブラシユニット7の段差は、第二のブラシユニット7の段差よりも上方にある。具体的に、図6に示すように、階段状のブラシユニット7Aのうち、第三ブラシ部73が第一ブラシ部71と第二ブラシ部72とを繋ぐ段差を形成する。階段状のブラシユニット7Bのうち、第三ブラシ部73が第一ブラシ部71と第二ブラシ部72とを繋ぐ段差を形成する。ブラシユニット7Bの第三ブラシ部73は、ブラシユニット7Aの第三ブラシ部73よりも上方にある。
【0037】
[温風ユニット80]
温風ユニット80の詳細を説明する。図7Aは、洗濯機1の上面図である。図7Aでは、温風ユニット80を図示するため、洗濯機1の上面部材20の一部が取り除かれた上面図が示されている。図7Bは、温風ユニット80の吹出口83aを示す洗濯機1の断面図である。図7Bは、図7AのA-A線断面図である。図7Bでは、洗濯機1の一部について、図示を省略している。
【0038】
図7Aに示すように、洗濯機1は、洗濯槽12内に温風を送る温風ユニット80を備える。温風ユニット80は、例えば、ファン81と、ヒータ82と、を含むファンヒータである。温風ユニット80は、ファン81とヒータ82とを収容するファンカバー83を含む。ファン81は、例えば、遠心ファンである。ヒータ82は、例えば、PTCヒータである。ファンカバー83に取り込まれた空気は、ヒータ82によって温められた後、吹出口83aを介して、洗濯槽12の内部に送られる。
【0039】
図7Bに示すように、ファンカバー83の吹出口83aは、洗濯槽12の上方に位置する。吹出口83aは、洗濯槽12に向けて下方に開口する開口部である。吹出口83aは、平面視において、洗濯槽12の回転中心を通る軸線Oから偏心している。本実施形態では、吹出口83aは、洗濯槽12の後部上方に位置する。
【0040】
[洗濯処理]
洗濯処理の概要について説明する。洗濯処理では、洗剤及び水が溜められた洗濯槽12内で、靴9が洗濯される。洗濯処理では、洗濯槽12に対して回転ブラシ3を正逆方向に交互に回転させる後述の転がし処理P1が行われる。転がし処理P1では、回転するブラシユニット7が、軸部60の外周側にある靴9と接触することで、靴9が洗濯される。洗濯処理が終了すると、洗濯及び水が洗濯槽12の水抜部及び排水孔から排出される。
【0041】
[脱水処理]
脱水処理の概要について説明する。脱水処理では、洗濯槽12に水が貯留されていない状態で、靴9が脱水される。脱水処理では、洗濯槽12及び回転ブラシ3を一体的に回転させる後述の第1回転処理P2が行われる。第1回転処理P2では、洗濯槽12及び回転ブラシ3が高速回転されることで、洗濯槽12内にある靴9に遠心力が作用して脱水される。
【0042】
[乾燥処理]
乾燥処理の詳細を説明する。乾燥処理では、洗剤及び水が排出された洗濯槽12内で、靴9が乾燥される。洗濯機1の制御部90は、温風ユニット80を制御して、洗濯槽12の内部に温風を送って靴9を乾燥させる乾燥処理を実行する。制御部90は、乾燥処理を実行している間、温風ユニット80を制御して、洗濯槽12の内部に常時温風を送っている。
【0043】
制御部90は、乾燥処理において、第1工程S1と、第1工程S1よりも後工程である第2工程S2とを実行する。図8は、第1工程S1を示すタイムチャートである。図8では、第1工程S1における駆動機構50(モータ)、クラッチ51、ファン81、ヒータ82の各動作を示すタイムチャートである。図9は、第2工程S2を示すタイムチャートである。図9では、第2工程S2における駆動機構50(モータ)、クラッチ51、ファン81、ヒータ82の各動作を示すタイムチャートである。
【0044】
[第1工程の詳細]
図8に示すように、第1工程S1は、洗濯槽12に対して回転ブラシ3を正逆方向に交互に回転させる転がし処理P1と、洗濯槽12及び回転ブラシ3を一体的に回転させる第1回転処理P2と、を交互に繰り返し行う工程である。以下では、説明の便宜上、転がし処理P1と第1回転処理P2とが順に1回行われる工程を、工程Saと称する。第1工程S1では、工程Saが複数回(本実施形態では、10回)繰り返し行われる。
【0045】
まず、制御部90は、駆動機構50を制御して、転がし処理P1を実行する。転がし処理P1において、駆動機構50はクラッチ51によって、洗濯槽12及び回転体13のうちで回転体13と接続される。駆動機構50の動力が回転体13に伝達されて、軸線Oを中心に回転ブラシ3が回転駆動される。
【0046】
回転方向Cに回転するブラシユニット7の先端が描く回転軌跡Tは、軸線Oを中心とした円形であり、且つ回転体13の外周Pよりも小径である(図3参照)。回転軌跡T内で回転するブラシユニット7は、軸部60の外周側にある靴9と接触可能である。
【0047】
本実施形態では、転がし処理P1において、回転ブラシ3の正転及び反転を交互に2回繰り返す。正転時は、ブラシユニット7が第一方向C1に回転する。反転時は、ブラシユニット7が第二方向C2に回転する。ブラシユニット7は、洗濯槽12の内周面12Aに対して相対的に回転し、洗濯槽12内の被洗濯物である靴9に接触して、靴9の姿勢や向きを変えることで、靴9内に溜まった水を万遍なく排出できる。なお、転がし処理P1において、回転ブラシ3の正転及び反転を交互に2回繰り返しているが、これに限らず、回転ブラシ3の正転及び反転を交互に1回のみ行ってもよいし、複数回繰り返してもよい。
【0048】
正転時のブラシユニット7A,7Bは、第一方向C1に移動しながら靴9と接触する。図4Aに示すブラシユニット7Aでは、靴9が第二ブラシ部72に接触すると、靴9は第二ブラシ部72の弾力によって、ブラシがない第二領域72Aに向かって上側に逃げやすい。第二領域72Aに逃げた靴9は、第一方向C1に移動する第一ブラシ部71と接触する。同様に、図4Bに示すブラシユニット7Bでは、靴9が第一ブラシ部71に接触すると、靴9はブラシがない第一領域71Aに逃げて、第一方向C1に移動する第二ブラシ部72と接触しやすい。
【0049】
反転時のブラシユニット7A,7Bは、第二方向C2に移動しながら靴9と接触する。図4Bに示すブラシユニット7Bでは、靴9が第二ブラシ部72に接触すると、靴9は第二ブラシ部72の弾力によって、ブラシがない第二領域72Aに向かって下側に逃げやすい。第二領域72Aに逃げた靴9は、第二方向C2に移動する第一ブラシ部71と接触する。同様に、図4Aに示すブラシユニット7Aでは、靴9が第一ブラシ部71に接触すると、靴9は第一領域71Aに逃げて、第二方向C2に移動する第二ブラシ部72と接触する。
【0050】
このようにブラシユニット7A,7Bでは、各々に接触する靴9を上側又は下側に移動させて、互いに回転方向Cに離れた第一ブラシ部71及び第二ブラシ部72の両方を靴9に接触させることができる。これにより、靴9がブラシユニット7A,7Bに追従することを抑制でき、且つ靴9の姿勢や向きを変化させやすい。
【0051】
第一ブラシ部71及び第二ブラシ部72は、靴9と回転方向Cに離れた状態から、回転方向Cに移動して靴9と接触できる。これにより、第一ブラシ部71及び第二ブラシ部72の先端が靴9と接触しやすくなり、靴9に与える接触摩擦が大きくなるため、靴9の姿勢や向きを変化させやすい。更に、靴9をブラシがない第一領域71A又は第二領域72Aに逃がすことで、靴9の姿勢や向きを変化させることができる。
【0052】
ブラシユニット7A,7Bの各々では、第三ブラシ部73が第一ブラシ部71と第二ブラシ部72との間を回転方向Cに沿って延びる。そのため、回転方向Cに移動する靴9が第三ブラシ部73に接触すると、靴9は第三ブラシ部73から大きな反力を受けて、ブラシがない第一領域71A又は第二領域72Aに移動しやすい。これにより、靴9の姿勢や向きを変化させることができる。
【0053】
更に、回転ブラシ3の回転に伴って、靴9が内周面12Aに沿って移動され、側面突出部100に接触する。靴9が側面突出部100に接触して跳ねることで、靴9の向きや姿勢を大きく変化させることができる。また、洗濯槽12の貯留水中で沈下した靴9は、回転体13と共に回転する底面突出部200と接触すると、上方に跳ね上げられる。これにより、ブラシユニット7は靴9と確実に接触できるため、靴9の向きや姿勢を大きく変化させることができる。
【0054】
制御部90は、転がし処理P1を実行後、第1回転処理P2を実行する。第1回転処理P2において、駆動機構50はクラッチ51によって、洗濯槽12及び回転体13と接続される。駆動機構50の動力が洗濯槽12及び回転体13に伝達されて、軸線Oを中心に洗濯槽12及び回転ブラシ3が一体的に回転駆動される。第1回転処理P2では、駆動機構50(モータ)を、例えば、800rpmで回転させている。以上のように、洗濯槽12及び回転ブラシ3が高速回転されることで、洗濯槽12内にある靴9に遠心力が作用して脱水される。すなわち、第1回転処理P2とは、脱水回転である。第1回転処理P2では、上面部材20と上蓋30との間に設けられた隙間から、洗濯槽12内の湿気を含んだ空気が排出されることで、洗濯機1の乾燥性能を向上している。
【0055】
第1回転処理P2は、駆動機構50(モータ)を駆動させて、洗濯槽12及び回転ブラシ3を回転させる前工程と、駆動機構50(モータ)の駆動を停止させて、慣性力によって、洗濯槽12及び回転ブラシ3を回転させる後工程と、を含む。後工程において、駆動機構50(モータ)の回転数が所定の値まで下がったときに、クラッチ51によって、洗濯槽12及び回転体13と接続された状態から回転体13のみが接続された状態に切り替えることで、回転ブラシ3の回転数を効果的に下げている。
【0056】
以上のように、転がし処理P1を実行することで、靴9の姿勢や向きを変えて、靴9内に溜まった水を万遍なく排出しやすくなる。また、靴9のソールが洗濯槽12の内周面12Aを向くことで脱水度が低下する問題を、靴9の姿勢や向きを変えることで解消しやすくなる。また、複数の靴9の重なりを解消しやすくなる。また、靴9の全面に万遍なく温風を当てやすくなる。また、転がし処理P1と第1回転処理P2とを交互に繰り返し行うことで、靴9の姿勢や向きを繰り返し変化させながら、靴9の脱水を行うことができるため、上述の問題を着実に解消することができる。ゆえに、洗濯機1の乾燥性能を向上できる。
【0057】
なお、第1工程S1では、転がし処理P1及び第1回転処理P2が、転がし処理P1、第1回転処理P2の順に繰り返し行われているが、これに限らず、転がし処理P1及び第1回転処理P2が交互に繰り返し行われればよく、例えば、第1回転処理P2、転がし処理P1の順に繰り返し行われてもよい。
【0058】
また、第1工程S1では、ヒータ82およびファン81がONとなっているが、これに限らず、工程Sa、または、転がし処理P1が少なくとも1回実行されるまでは、ヒータ82およびファン81をOFFとしてもよい。これにより、靴9内に水が溜まった状態から加熱することを抑制し、ヒータ82による靴9の乾燥効率を向上できる。
【0059】
[第2工程の詳細]
図9に示すように、第2工程S2は、洗濯槽12及び回転ブラシ3を一体的に回転させる第2回転処理P3を実行する工程である。第2回転処理P3において、第1回転処理P2と同様に、駆動機構50はクラッチ51によって、洗濯槽12及び回転体13と接続され、軸線Oを中心に洗濯槽12及び回転ブラシ3が一体的に回転駆動される。第2回転処理P3では、駆動機構50(モータ)を、例えば、50~100rpmで回転させている。すなわち、第2回転処理P3における駆動機構50(モータ)の回転速度は、第1回転処理P2における駆動機構50(モータ)の回転速度よりも小さい。
【0060】
以上のように、第2回転処理P3において、洗濯槽12及び回転ブラシ3が低速回転されることで、洗濯槽12内に送られる温風を、靴9に万遍なく当てることができる。
【0061】
以下では、乾燥処理の各工程における処理時間の一例を説明する。本実施形態では、乾燥処理全体の時間が約60分である。第1工程S1の処理時間は約20分で、第2工程S2の処理時間が約40分である。より具体的には、第1工程S1における工程Saの1回当たりの処理時間は、約2分である。工程Saのうち、転がし処理P1及び第1回転処理P2のそれぞれの1回当たりの処理時間は、約1分である。第2工程S2における第2回転処理P3の処理時間は、約40分である。
【0062】
以上の構成において、乾燥処理における転がし処理P1が行われる時間の割合は、乾燥処理における転がし処理P1以外の処理が行われる時間の割合よりも小さい。上述の一例において、繰り返し行われる転がし処理P1の累計時間は、約10分であり、転がし処理P1以外の処理が行われる時間である約50分である。以上のように、乾燥処理全体に対する回転ブラシ3のみが回転する時間の割合を小さくすることで、靴9がブラシユニット7と擦れて傷むことを抑制しながら、靴9を乾燥させることができる。
【0063】
[第1工程の第1の変形例]
第1工程S1aについて説明する。第1工程S1aは、第1工程S1の第1の変形例である。図10は、第1工程S1aを示すタイムチャートである。図10では、第1工程S1aにおける駆動機構50(モータ)、クラッチ51、ファン81、ヒータ82の各動作を示すタイムチャートである。第1工程S1aでは、第1工程S1aの経過時間に応じて、転がし処理の時間が変更される点において、第1工程S1と異なる。
【0064】
図10に示すように、第1工程S1aは、回転ブラシ3の正転及び反転を交互に2回繰り返す転がし処理P1を含む工程Saと、回転ブラシ3の正転及び反転を交互に1回行う転がし処理P1aを含む工程Sbとを有する。すなわち、工程Sbは、転がし処理を行う時間が短い点においてのみ、工程Saと異なる。制御部90は、第1工程S1aの経過時間に応じて、工程Saから工程Sbに切り替える。例えば、制御部90は、工程Saを5回繰り返し実行した後、工程Sbを5回繰り返し実行する。
【0065】
以上のように、第1工程S1aの後半の工程において、工程Saから工程Sbに切り替えることで、靴9の脱水が進んだ後半の工程において、靴9とブラシユニット7とが接触する時間を減らすことができる。ゆえに、靴9が痛むことを抑制しながら、脱水を行うことができる。
【0066】
なお、第1工程S1aでは、回転ブラシ3の正転及び反転を交互に繰り返す回数を減らすことで、靴9とブラシユニット7との接触時間を短くしているが、これに限らず、靴9に与える接触摩擦を小さくできればよく、回転ブラシ3の回転量や、回転速度を適宜変更してもよい。また、第1工程S1aでは、前半の工程と、後半の工程とで、転がし処理の時間が異なっているが、これに限らず、例えば、第1工程の経過時間に応じて、徐々に、転がし処理の時間を短くしてもよい。
【0067】
また、第1工程S1aでは、第1工程S1aの経過時間に応じて、転がし処理の時間を変更しているが、これに限らず、第1工程における転がし処理の時間の割合を短くできればよく、例えば、第1回転処理の時間を変更してもよいし、転がし処理の時間及び第1回転処理の時間を変更してもよい。
【0068】
[第2工程の第1の変形例]
第2工程S2aについて説明する。第2工程S2aは、第2工程S2の第1の変形例である。図11は、第2工程S2aを示すタイムチャートである。図11では、第2工程S2aにおける駆動機構50(モータ)、クラッチ51、ファン81、ヒータ82の各動作を示すタイムチャートである。第2工程S2aでは、転がし処理P1が含まれる点において、第2工程S2と異なる。
【0069】
図11に示すように、制御部90は、第2工程S2aにおいて、第2回転処理P3の間に転がし処理P1を行う。ここでの第2回転処理P3の間に転がし処理P1を行うとは、第2回転処理P3を一旦中断して、転がし処理P1を行うことを指す。本実施形態では、第2回転処理P3の間に、転がし処理P1が1回行われる。
【0070】
以上のように、制御部90は、第2回転処理P3の間に転がし処理P1を行うことで、靴9の姿勢や向きを変えながら、靴9の全面に万遍なく温風を当てることができるため、洗濯機1の乾燥性能を向上できる。なお、制御部90は、第2回転処理P3の間に転がし処理P1を1回実行しているが、これに限らず、第2回転処理P3の間に転がし処理P1を複数回実行してもよい。
【0071】
[温風ユニット80による温度制御]
図12を用いて、温風ユニット80による洗濯槽12の内部の温度制御について説明する。図12は、洗濯槽12の内部温度とヒータ82の出力の切替タイミングとの関係を示すタイムチャートである。図12では、縦線が洗濯槽12の内部温度を示し、横線が乾燥処理における経過時間を示している。本実施形態では、制御部90は、洗濯槽12に設けられた温度センサ(図示せず)によって、洗濯槽12の内部温度を取得しているものとする。本実施形態では、ヒータ82の出力は、例えば、「弱」と「強」との2段階に変更可能である。制御部90は、乾燥処理が開始されたとき、洗濯槽12の内部温度が、目標温度T1に近づくように、ヒータ82の出力を「強」としている。
【0072】
洗濯機1の制御部90は、洗濯槽12の内部温度と目標温度T1とを比較して、ヒータ82の出力を切り替えるか否かを判定している。目標温度T1とは、例えば、靴9が熱によって傷まない程度の温度である。本実施形態では、目標温度T1は、例えば、60℃である。
【0073】
制御部90は、洗濯槽12の内部温度と目標温度T1とを比較して、洗濯槽12の内部温度が目標温度T1を超えたと判定した場合、ヒータ82の出力を「弱」に切り替え、「弱」を所定時間維持する。すなわち、制御部90は、ヒータ82の出力を「弱」に切り替えてから、所定時間の間は、ヒータ82の出力を切り替えない。ここでは、所定時間とは、例えば、10分である。これにより、洗濯槽12の内部温度が、目標温度T1近傍で上下して、ヒータ82の出力が頻繁に切り替わることを防止できるため、ヒータ82のリレー寿命を延ばすことができる。
【0074】
さらに、制御部90は、ヒータ82の出力が「弱」に切り替えられた場合、洗濯槽12の内部温度が目標温度T1以下であると判定されるまで、所定時間毎に、洗濯槽12の内部温度と目標温度T1とを比較する。制御部90は、洗濯槽12の内部温度が目標温度T1以下であると判定した場合、ヒータ82の出力を「強」に切り替えた後、洗濯槽12の内部温度と目標温度T1とを随時比較する。一方、制御部90は、洗濯槽12の内部温度が目標温度T1を超えていると判定した場合、ヒータ82の出力を「弱」に維持したまま、洗濯槽12の内部温度が目標温度T1以下であると判定されるまで、所定時間毎に、洗濯槽12の内部温度と目標温度T1とを比較することを繰り返す。
【0075】
本実施形態では、上述の所定時間は、ヒータ82のリレー寿命を考慮して、乾燥処理においてヒータ82の出力が「弱」から「強」に切り替わる回数の上限が3回となるように設定された時間であるため、乾燥処理の時間や、ヒータ82のリレー寿命に応じて適宜変更してもよい。
【0076】
なお、本実施形態では、温風ユニット80による温度制御を、一つの閾値(目標温度T1)を用いて行っているが、これに限らず、例えば、二つの閾値(上限温度及び下限温度)を用いてハンチング制御を行ってもよい。また、ONOFF制御に限らず、電流値によってリニア制御を行ってもよい。
【0077】
なお、制御部90は、乾燥処理の全工程において、一つの閾値(目標温度T1)を用いて、温度制御をしているが、これに限らない。例えば、制御部90は、第1回転処理P2よりも第2回転処理P3の方が、洗濯槽12の内部温度が高くなるようにヒータ82を制御してもよい。この場合、例えば、第1回転処理P2では、目標温度T1を用いて上述の温度制御を行い、第2回転処理P3では、目標温度T1よりも、例えば、3~5℃高い目標温度T2を用いて上述の温度制御を行うことが考えられる。これにより、靴9の乾燥を主な目的とした第2回転処理P3において、靴9を効果的に乾燥させることができる。また、例えば、制御部90は、第1工程S1よりも第2工程S2の方が、洗濯槽12の内部温度が高くなるようにヒータ82を制御してもよい。この場合、例えば、第1工程S1では、目標温度T1を用いて上述の温度制御を行い、第2工程S2では、目標温度T2を用いて上述の温度制御を行うことが考えられる。また、例えば、制御部90は、第2工程S2よりも第1工程S1の方が、洗濯槽12の内部温度が高くなるようにヒータ82を制御してもよい。この場合、例えば、第1工程S1では、目標温度T2を用いて上述の温度制御を行い、第2工程S2では、目標温度T1を用いて上述の温度制御を行うことが考えられる。これにより、靴9の乾燥が進む第2工程S2において、洗濯槽12の内部温度を下げることで、靴9を傷めることを抑制しながら乾燥を行うことができる。
【0078】
[転がし処理による靴9の挙動]
上記の転がし処理P1による靴9の挙動を説明する。図13A及び図13Bは、正転時の転がし処理P1における、軸部60の外周面60Aの模式的な平面展開図である。図14A及び図14Bは、反転時の転がし処理P1における、軸部60の外周面60Aの模式的な平面展開図である。図13A及び図14Aは、側面突出部100が靴9の挙動に作用しない場合を例示する。図13B及び図14Bは、側面突出部100が靴9の挙動に作用する場合を例示する。
【0079】
転がし処理P1では、回転体13上の靴9が、回転体13の回転に伴って、又は回転するブラシユニット7に押されて、水が貯留されていない洗濯槽12の内周面12Aに沿って移動される。靴9が内周面12Aに貼り付いて移動し難い状態でも、靴9が回転体13と共に回転する底面突出部200に接触すると、内周面12Aから剥がされる。
【0080】
本例において、ブラシユニット7A,7Bの段差が異なる高さにある。具体的には、ブラシユニット7Aでは、段部をなす第三ブラシ部73が相対的に低い位置にあるため、下側にある第二ブラシ部72は上下方向に短く、且つ上側にある第一ブラシ部71は相対的に上下方向に長い。ブラシユニット7Bでは、段部をなす第三ブラシ部73が相対的に高い位置にあるため、上側にある第二ブラシ部72は上下方向に短く、且つ下側にある第一ブラシ部71は相対的に上下方向に長い。このような構造によって、靴9は転がし処理P1時に以下のように挙動しやすい。
【0081】
図13Aに示すように、回転体13の正転時には、ブラシユニット7及び底面突出部200は、第一方向C1に移動する。回転体13上の靴9がブラシユニット7Aの第一方向C1側にある場合、まず靴9はブラシユニット7Aの第二ブラシ部72に接触する。このとき、靴9は上下方向に短い第二ブラシ部72を乗り越え易いため、ブラシがない第二領域72Aに向かって上側に逃げて、段部をなす第三ブラシ部73に乗り上がる。第三ブラシ部73に乗り上がった靴9は、第一方向C1に移動する第一ブラシ部71と接触する。靴9は上下方向に長い第一ブラシ部71を乗り越え難いため、第一ブラシ部71を第二方向C2に横切るように通過する。更にブラシユニット7Aを通過した靴9は、その第二方向C2側にあるブラシユニット7Bの第一ブラシ部71に接触する。このとき靴9は、第一ブラシ部71の上端に接触するため、ブラシがない第一領域71Aに向かって上側に逃げて、ブラシユニット7Bの段部をなす第三ブラシ部73に乗り上がる。
【0082】
一方、回転体13上の靴9がブラシユニット7Bの第一方向C1側にある場合、まず靴9はブラシユニット7Bの第一ブラシ部71に接触するが、この第一ブラシ部71は上下方向に長いので乗り越え難い。そこで本例では、靴9がより高い位置に移動するのを補助するために、ブラシユニット7Bの第一方向C1側に底面突出部200が設けられる。底面突出部200では、頂部200Aから第一方向C1側に延びる第一稜線R1のほうが、頂部200Aから第二方向C2側に延びる第二稜線R2よりも、水平面に対する傾斜角度が小さい。つまり、第一突出部201のほうが第二突出部202よりも緩やかな勾配であるため、回転体13上にある靴9が乗り上がって転動しやすい。
【0083】
これにより、回転体13の正転時において、ブラシユニット7Bの第一方向C1側にある靴9は、第一突出部201に乗り上がって斜め上方に転動する。更に靴9は、底面突出部200の頂部200Aからブラシユニット7Bに向かって斜め上方に放出される。頂部200Aはブラシユニット7Bの下端にある第四ブラシ部74よりも上方にあるため、頂部200Aから放出された靴9は第四ブラシ部74と干渉することなく第一ブラシ部71と接触する。更に靴9は、第一ブラシ部71に沿って上方に移動し、第一領域71Aから第三ブラシ部73上に移動する。従って、ブラシユニット7Bの第一ブラシ部71が上下方向に長くても、靴9はこの第一ブラシ部71を乗り越えて、ブラシユニット7Bの段部をなす第三ブラシ部73に乗り上がる。
【0084】
図14Aに示すように、回転体13の反転時には、ブラシユニット7Aに乗っている靴9が、第三ブラシ部73から第一方向C1側に落下して、回転体13上に移動する。ブラシユニット7Bに乗っている靴9が、第三ブラシ部73から第一方向C1側に落下し、更に底面突出部200の第一突出部201を転動して回転体13上まで移動する。
【0085】
このように転がし処理P1では、正転動作によって靴9を階段状のブラシユニット7A,7Bに沿って高い位置まで運び、反転動作によって靴9を階段状のブラシユニット7A,7Bに沿って低い位置まで運ぶことで、靴9を回転方向C及び上下方向に大きく変位させる。これにより、靴9の姿勢や向きが大きく変化すると共に、複数の靴9の配置が洗濯槽12内で分散するように変化するため、その後の第1回転処理P2における脱水効果を向上できる。
【0086】
また、回転体13の正転時に、靴9が洗濯槽12の内周面12Aとブラシユニット7との間に挟まれたり、内周面12Aと底面突出部200との間に挟まれたりする場合がある。このような場合も、回転体13の反転によって、挟まれた靴9を第一方向C1側に解放できる。図14Aでは、ブラシユニット7Bと内周面12Aとの間に挟まれた靴9が、第一ブラシ部71から第一方向C1側に解放された状態が示される。
【0087】
なお、回転体13の正転時及び反転時に、洗濯槽12に設けられた側面突出部100が靴9と接触した場合、その靴9の挙動は上記とは異なる場合がある。図13Bに示すように、回転体13の正転時には、ブラシユニット7及び底面突出部200の回転に伴って、側面突出部100が第二方向C2へ相対的に移動する。
【0088】
側面突出部100がブラシユニット7Bの第一方向C1側にある靴9に接触すると、靴9は相対的にブラシユニット7B側へ押された状態となる。これにより靴9は、図13Aと同様に斜め上方へ送り出されたり、ブラシユニット7Bの第一ブラシ部71に押し付けられたりする。後者の場合、この第一ブラシ部71は上下方向に長いため、靴9は第一ブラシ部71の上端にある第三ブラシ部73に干渉されることなく、第一ブラシ部71を第二方向C2に横切るように通過する。
【0089】
また、側面突出部100がブラシユニット7Aの第一方向C1側にある靴9に接触すると、靴9は相対的にブラシユニット7A側へ押された状態となる。このように押された靴9の中には、ブラシユニット7Aの下部(第三ブラシ部73の下側)を潜るように第二方向C2に通過し、底面突出部200上に移動するものがある。
【0090】
図14Bに示すように、回転体13の反転時には、ブラシユニット7及び底面突出部200の回転に伴って、側面突出部100が第一方向C1へ相対的に移動する。側面突出部100がブラシユニット7Bの第二方向C2側にある靴9に接触すると、ブラシユニット7Bの第一ブラシ部71に押し付けられる。この第一ブラシ部71は上下方向に長いため、靴9は第一ブラシ部71の上端にある第三ブラシ部73に干渉されることなく、第一ブラシ部71を第一方向C1に横切るように通過する。このとき、側面突出部100と底面突出部200との挟まれた靴9が、勾配の急な第二突出部202に沿って持ち上げられるように、第一ブラシ部71を通過する。
【0091】
また、側面突出部100がブラシユニット7Aの第二方向C2側にある靴9に接触すると、靴9は相対的にブラシユニット7A側へ押された状態となる。このように押された靴9の中には、ブラシユニット7Aの下部(第三ブラシ部73の下側)を潜るように第一方向C1に通過するものがある。
【0092】
このように転がし処理P1において、側面突出部100が靴9と接触することで、回転体13上に滞留する靴9の姿勢や向きが大きく変化すると共に、複数の靴9を異なる方向に分散させたり、靴9がブラシユニット7を通過したりできる。これにより、第1回転処理P2における脱水効果を向上できる。
【0093】
[転がし処理の回転量]
転がし処理P1の回転量の詳細を説明する。靴9を高い位置に持ち上げる正転時の作用は、靴9を低い位置に落下させる反転時の作用よりも発生しにくい。そこで本実施形態では、転がし処理P1において、回転体13が第一方向C1に第一回転量で回転させた後、第二方向C2に第一回転量よりも小さい第二回転量で回転される。このように正転時の第一回転量を反転時の第二回転量よりも大きくすることで、正転時及び反転時の両作用をバランスよく発揮できる。
【0094】
また本実施形態では、靴9を高い位置に持ち上げる正転時の作用を確実に発揮させるために、第一回転量には相対的に大きい回転量が設定されており、例えば第一回転量は回転体13の半回転(180度)以上である。一方、反転時の回転量が大きすぎると、一のブラシユニット7から落下した靴9が他のブラシユニット7と噛み込んで損傷するおそれや、側面突出部100と底面突出部200との挟まれた靴9が勾配の急な第二突出部202に沿ってうまく持ち上げられない場合に、靴9が損傷したりするおそれがある。そのため、第二回転量には相対的に小さい回転量が設定されており、例えば第二回転量は回転体13の半回転(180度)未満である。
【0095】
また本実施形態では、二つのブラシユニット7A,7Bが設けられ、これらのブラシユニット7A,7Bが異なる形状であることから、正転時において各ブラシユニット7A,7Bで靴9の持ち上げる量が異なる。そこで、靴9がブラシユニット7を横切るように通過するブラシ間移動を適度に発生させて、靴9がブラシユニット7A,7Bの両方で持ち上げられやすい構造を採用している。
【0096】
具体的には、ブラシユニット7の回転軌跡Tと洗濯槽12の内周面12Aとの間にはまり込んだ靴9は、内周面12Aやブラシユニット7の干渉を受けにくくなり位置や姿勢が変化しにくい。そこで、内周面12Aに側面突出部100を設けることで、回転体13と共に移動している靴9を回転方向Cに回転する側面突出部100に適度に接触させる。これにより、側面突出部100と接触した靴9は、回転方向Cに移動させられてブラシ間移動が促進される。また、このとき、靴9が軸線O側に転がるため、靴9の姿勢も変化させられる。
【0097】
また、図13B及び図14Bに示すように、側面突出部100の上端100Aは底面突出部200の頂部200Aよりも上方にあるため、靴9が底面突出部200に乗り上がって回転体13と共に移動している場合でも、回転方向Cに移動する側面突出部100は靴9と接触できる。これにより、靴9が回転方向Cに移動されてブラシ間移動を促進できる。
【0098】
以上のことから、転がし処理の一態様では、正転時に靴9の持ち上げまたはブラシ間移動の機会が約一回与えられるように、第一回転量が回転体13の一回転程度に設定される。例えば制御部90は、第一回転量として2/3回転(240度)~4/5回転(288度)、回転体13を第一方向C1に正転する。また、正転時の移動で持ち上げられたり側面突出部100に引っ掛かったりした靴9を適度に分散させ、且つ上述した過回転に起因する靴9の損傷を抑制するため、反転時の回転量は正転時よりも小さく設定される。例えば制御部90は、第二回転量として1/3回転(120度)~2/5回転(144度)、回転体13を第二方向C2に反転する。
【0099】
なお、上記実施形態では、側面突出部100及び底面突出部200を一つずつ設けているが、複数の側面突出部100を設けてもよいし、複数の底面突出部200を設けてもよい。側面突出部100及び底面突出部200の数量に応じて、第一回転量及び第二回転量をより好適な数値に設定してもよい。例えば、側面突出部100及び底面突出部200を夫々n個ずつ等間隔に設けた場合、正転時の第一回転量を1/n回転程度に設定し、反転時の第二回転量を1/2n回転程度に設定してもよい。
【0100】
以上の構成において、洗濯機1は、靴9が入れられる洗濯槽12と、洗濯槽12の底部に配置され、上下方向に延びる軸線Oを中心に回転する回転体13と、回転体13の上側に固定された軸部60と、軸部60から洗濯槽12の内周面12A側に延びるブラシユニット7と、を有する回転ブラシ3と、洗濯槽12の内部に温風を送る温風ユニット80と、洗濯槽12と回転ブラシ3と温風ユニット80とを制御する制御部90と、を備える。制御部90は、温風ユニット80を制御して、洗濯槽12の内部に温風を送って靴9を乾燥させる乾燥処理を実行する。制御部90は、乾燥処理において、洗濯槽12に対して回転ブラシ3を正逆方向に交互に回転させる転がし処理P1と、洗濯槽12及び回転ブラシ3を一体的に回転させる第1回転処理P2と、を交互に繰り返し行う第1工程S1を実行する。
【0101】
以上のように、転がし処理P1を実行することで、靴9の姿勢や向きを変えて、靴9内に溜まった水を万遍なく排出したり、靴9のソールが洗濯槽12の内周面12Aを向くことで脱水度が低下する問題を解消したり、複数の靴9の重なりを解消したり、靴9の全面に万遍なく温風を当てやすくしたりすることができる。また、転がし処理P1と第1回転処理P2とを交互に繰り返し行うことで、靴9の姿勢や向きを繰り返し変化させながら、靴9の脱水を行うことができるため、上述の問題を着実に解消することができる。ゆえに、洗濯機1の乾燥性能を向上できる。
【0102】
制御部90は、第1工程S1の経過時間に応じて、転がし処理P1及び第1回転処理P2の少なくとも一方の時間を変更する。例えば、転がし処理P1の時間を短くすることで、靴9の脱水が進んだ後半の工程において、靴9とブラシユニット7とが接触する時間を減らすことができる。ゆえに、靴9が痛むことを抑制しながら、脱水を行うことができる。
【0103】
制御部90は、乾燥処理において、第1工程S1よりも後に第2工程S2を実行する。制御部90は、第2工程S2において、第1回転処理P2と比べて、回転速度が小さくなるように洗濯槽12及び回転ブラシ3を一体的に回転させる第2回転処理P3を実行する。これにより、第2回転処理P3において、洗濯槽12及び回転ブラシ3が低速回転されることで、洗濯槽12内に送られる温風を、靴9に万遍なく当てることができる。
【0104】
第2工程S2は、転がし処理P1を含む。制御部90は、第2工程S2において、第2回転処理P3の間に転がし処理P1を行う。これにより、靴9の姿勢や向きを変えながら、靴9の全面に万遍なく温風を当てることができるため、洗濯機1の乾燥性能を向上できる。
【0105】
温風ユニット80は、ヒータ82を含む。制御部90は、第1回転処理P2よりも第2回転処理P3の方が洗濯槽12の内部温度が高くなるようにヒータ82を制御する。これにより、靴9の乾燥を主な目的とした第2回転処理P3において、靴9を効果的に乾燥させることができる。
【0106】
乾燥処理における転がし処理P1が行われる時間の割合は、乾燥処理における転がし処理P1以外の処理が行われる時間の割合よりも小さい。以上のように、乾燥処理全体に対する回転ブラシ3のみが回転する時間の割合を小さくすることで、靴9がブラシユニット7と擦れて傷むことを抑制しながら、靴9を乾燥させることができる。
【0107】
[備考]
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態に夫々開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態に夫々開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0108】
本実施形態の洗濯機1は、洗濯及び脱水処理が可能であるが、これに限らず、洗濯及び脱水処理の少なくとも1つが可能であればよい。例えば、被洗濯物は、靴9に限定されず、立体形状の有体物であればよく、有底状の有体物であることが好ましい。また、転がし処理は、洗濯及び乾燥処理時に実行する場合に限定されず、例えば、脱水処理において、実行されてもよい。これにより、洗濯槽12にある靴9の配置や向きを変化させることができるため、靴9の脱水を効果的に行うことができる。
【符号の説明】
【0109】
1 洗濯機、3 回転ブラシ、7 ブラシユニット、12 洗濯槽、13 回転体、60 軸部、80 温風ユニット、82 ヒータ、90 制御部、P1 転がし処理、P1a 転がし処理、P2 第1回転処理、P3 第2回転処理、S1 第1工程、S1a 第1工程、S2 第2工程、S2a 第2工程
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B