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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125255
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】浸透液塗布装置及び探傷システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 13/02 20060101AFI20230831BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20230831BHJP
   G01N 21/91 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B05B13/02
B05B7/04
G01N21/91 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029249
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】517248306
【氏名又は名称】AeroEdge株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡安 隆和
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕
(72)【発明者】
【氏名】柴田 篤孝
(72)【発明者】
【氏名】木村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】片平 賢一
(72)【発明者】
【氏名】水田 和裕
【テーマコード(参考)】
2G051
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
2G051GB02
2G051GC01
2G051GC02
2G051GC04
4F033QA01
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD14
4F035AA04
4F035CA02
4F035CA05
4F035CB02
4F035CB04
4F035CC01
4F035CC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】探傷検査法において、試験体に浸透液を一様に塗布する浸透液塗布装置と、前記装置を備える探傷検査の効率化及び自動化を可能とする探傷システムを提供する。
【解決手段】浸透液塗布装置1は、ワーク7を支持する回転台12を回動する回転装置11、回転台の側方に配置され、中央に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第1ノズル131~134、回転台の下方に配置され、上方に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第2ノズル14を備える。これにより、回転台の上方に複数のワークを支持し、回転装置により回転台を回動しつつ、回転台の側方に配置された少なくとも1つの第1ノズルから中央に向けて浸透液を吐出するとともに、回転台の下方に配置された少なくとも1つの第2ノズルから上方に向けて浸透液を吐出することで、上面だけでなく下面も含むワーク全面に浸透液を効率良く塗布することが可能となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに浸透液を塗布する浸透液塗布装置であって、
ワークを支持する回転台を回動する回転装置と、
前記回転台の側方に配置され、中央に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第1ノズルと、
前記回転台の下方に配置され、上方に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第2ノズルと、
を備える浸透液塗布装置。
【請求項2】
前記回転台は、浸透液が通過可能な開口を有する、請求項1に記載の浸透液塗布装置。
【請求項3】
前記回転台は、筒状の枠体と、該枠体を前記回転装置の回転軸に接続する複数のリブと、を有する、請求項1又は2に記載の浸透液塗布装置。
【請求項4】
前記ワークは、前記回転台上に載置可能なスタンドにより複数支持される、請求項1から3のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
【請求項5】
前記スタンドは、複数のワークを高さ方向に支持して前記回転台の上方に吊り下げる着脱可能な少なくとも1つの吊下治具を含む、請求項4に記載の浸透液塗布装置。
【請求項6】
前記吊下治具は、前記スタンドにより、前記回転台の周方向に複数吊り下げられる、請求項5に記載の浸透液塗布装置。
【請求項7】
前記吊下治具は、横方向に離間する2つの側辺と、前記2つの側辺のそれぞれに固定された複数の支持部材と、を含み、
前記2つの側辺の複数の支持部材により複数のワークがそれぞれ支持される、請求項5又は6に記載の浸透液塗布装置。
【請求項8】
前記吊下治具は、前記スタンドの上部に係止する第1係止部材を有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
【請求項9】
前記スタンドの上部は、中心軸から半径方向に延び且つ周方向に互いに離間する2つの側部と、該2つの側部の胴部間を連結する連結部と、を有する少なくとも1つのアームを有し、
前記吊下治具の第1係止部材は、前記2つの側部の間に位置して前記連結部に係止する、請求項8に記載の浸透液塗布装置。
【請求項10】
前記吊下治具は、前記連結部より先端側で、前記2つの側部の間から該2つの側部のそれぞれに係止する第2係止部材をさらに有する、請求項9に記載の浸透液塗布装置。
【請求項11】
前記吊下治具は、前記スタンドの底部に差し込み可能な差込部材を有する、請求項5から10のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
【請求項12】
前記回転台は、筒状の枠体と、該枠体の下端から内向きに張り出す環状の支持面と、を有し、
前記スタンドの底部が、前記枠体内に嵌入されて前記支持面上に支持される、請求項4から11のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1ノズルは、異なる高さに配置される少なくとも2つの第1ノズルを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1ノズルは、前記回転台の周囲に配置される少なくとも4つの第1ノズルを含み、前記少なくとも4つの第1ノズルは、隣接する第1ノズルの少なくとも一方に対して前記回転台を挟んで対向する第1ノズルとの高低差が小さい、請求項1から13のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
【請求項15】
前記回転装置は、前記回転台を時計回り及び反時計回りの両方向に回転する、請求項1から14のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
【請求項16】
前記第1ノズル及び前記第2ノズルの少なくとも一方は、二流体ノズルである、請求項1から15のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置と、
前記浸透液塗布装置にワークを搬入及び/又は前記浸透液塗布装置からワークを搬出する搬送装置と、
を備える、探傷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透液塗布装置及び浸透液塗布装置を備える探傷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
試験体に蛍光浸透探傷剤溶液(単に、浸透液とも呼ぶ)を塗布し、ブラックライト等を照射することで、傷に入り込んだ薬剤を明らかにして試験体の傷を検出する浸透探傷装置が知られている。例えば、特許文献1には、洗浄した鋼板表面に浸透液を塗布し、表面を洗浄し乾燥させてから現像液を塗布して傷を染色した状態で検査を行う鋼板の自動浸透探傷検査方法が記載されている。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 特開2003-98110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
斯かる探傷検査法において、試験体に浸透液を一様に塗布するのが困難であり、一般に手作業による塗布を要すること、浸透液を塗布した試験体に洗浄液を噴霧して洗浄するにも、洗浄ムラが発生するため手作業による補助を要すること、試験体を浸透探傷装置に搬送するのにトロリークレーン、ベルトコンベア等を使用することで搬送速度及び精度が低いことといった理由により、探傷検査の効率化及び自動化が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、ワークに浸透液を塗布する浸透液塗布装置であって、ワークを支持する回転台を回動する回転装置と、回転台の側方に配置され、中央に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第1ノズルと、回転台の下方に配置され、上方に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第2ノズルと、を備える浸透液塗布装置が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様においては、第1の態様における浸透液塗布装置と、当該浸透液塗布装置にワークを搬入及び/又は浸透液塗布装置からワークを搬出する搬送装置と、を備える探傷システムが提供される。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る探傷システムの構成を示す。
図2】浸透液塗布装置の内部構成を回転台上にスタンドが載置された状態で示す。
図3A】浸透液塗布装置の回転台の構成及びノズルの配置を示す。
図3B】浸透液塗布装置の構成を正面視において示す。
図3C】浸透液塗布装置の構成を上面視において示す。
図3D】浸透液塗布装置の第1ノズルの配置及び高さを示す。
図4】浸透液塗布装置の稼働状態を示す。
図5】スタンドの構成を示す。
図6A】スタンドに支持される吊下治具の構成を示す。
図6B】スタンドに支持された吊下治具の上部を示す。
図6C】回転台上に支持されたスタンド及びスタンドに支持された吊下治具の下部を、吊下治具に複数のワークが支持された状態で示す。
図7】洗浄装置の内部構成を回転台上にスタンドが載置された状態で示す。
図8A】洗浄装置の回転台の構成及びノズルの配置を示す。
図8B】洗浄装置の構成を正面視において示す。
図8C】洗浄装置の構成を上面視において示す。
図8D】洗浄装置のノズルの配置を示す。
図9】洗浄装置の稼働状態を示す。
図10】本洗浄装置の内部構成を支持台上にスタンドが載置された状態で示す。
図11A】本洗浄装置の支持台の構成及びノズルの配置を示す。
図11B】本洗浄装置の構成を正面視において示す。
図11C】本洗浄装置の構成を上面視において示す。
図11D】本洗浄装置のノズルの配置を示す。
図12】本洗浄装置の稼働状態を示す。
図13A】搬送装置の概略構成を、スタンドを把持した状態で示す。
図13B】搬送装置の機能構成を示す。
図14】昇降機の構成を示す。
図15A】昇降機がスタンドがセットされた状態を示す。
図15B】昇降機にスタンドがセットされた状態を示す。
図15C】昇降機にスタンドがセットされた状態を正面視において示す。
図15D】昇降機がセットされたスタンドを挟持した状態を示す。
図15E】昇降機がセットされたスタンドを挟持した状態を正面視において示す
図16A】搬送装置によるスタンドの搬送動作(Z搬送装置が移動しつつ昇降機が下降している状態)を示す。
図16B】搬送装置によるスタンドの搬送動作(昇降機がスタンド横に位置決めされた状態)を示す。
図16C】搬送装置によるスタンドの搬送動作(Z搬送装置がスタンドを把持した状態)を示す。
図16D】搬送装置によるスタンドの搬送動作(スタンドを把持した昇降機が移動しつつ上昇している状態)を示す。
図16E】搬送装置によるスタンドの搬送動作(スタンドを把持した昇降機が下降している状態)を示す。
図16F】搬送装置によるスタンドの搬送動作(昇降機がスタンドを解放して退避する状態)を示す。
図16G】搬送装置によるスタンドの搬送動作(Z搬送装置が退避している状態)を示す。
図17A】探傷システムによって実行される探傷方法のフローの一例を示す。
図17B】探傷システムによって実行される探傷方法のフローの別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
なお、本明細書において、「少なくとも1つのA、B、及びC」なる表現は「A、B、及び/C」と同義であり、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、又はA及びB及びCを意味する。
【0010】
図1に、本実施形態に係る探傷システム9の概略構成を示す。探傷システム9は、浸透探傷試験によって、試験体(ワークとも呼ぶ)7の表面欠陥、例えば微細な傷を検出するためのシステムである。探傷システム9は、探傷検査を自動化して効率化することを課題としたものであり、浸透液塗布装置1、洗浄装置2、本洗浄装置3、観察装置4、及び搬送装置5を備える。
【0011】
なお、浸透探傷試験とは、毛細管現象を利用して試験体表面の微細な欠陥に浸透液を浸透させ、その浸透液を利用して欠陥を観察することで欠陥を検出する試験である。ここで、浸透探傷試験は、浸透液として染色浸透液を用いる染色探傷試験及び蛍光浸透液を用いる蛍光浸透試験に大別される。本実施形態に係る探傷システム9は、染色探傷試験及び蛍光浸透試験のいずれの試験にも使用することができ、試験体に塗布された浸透液を洗い落とす予備洗浄、試験体に残留する浸透液に乳化剤を馴染ませる乳化、乳化された浸透液を洗い流す本洗浄等の工程を行って、試験体の表面欠陥に入り込んだ浸透液のみを試験体に残留させ、有色の浸透液を現像剤により試験体表面上に露出して視認容易にして撮影する又は蛍光剤を含む浸透液をブラックライトの照射により発光させて撮影し、撮影画像を解析することで試験体の表面欠陥を検出する。
【0012】
また、本実施形態に係る探傷システム9では、ワーク7は、一例として、長さ約200mm、幅約50mm、厚み1~3mm、重量約100gを有する航空機用ジェットエンジンのタービンブレードとする。
【0013】
〈浸透液塗布装置〉
図2及び図3Aから図3Cに、浸透液塗布装置1の構成を示す。ここで、図2には、浸透液塗布装置1の内部構成を示す。回転台12上に複数のワーク7を支持したスタンド6が載置されている。ただし、装置構成を明示するために、スタンドの6つのアームのうちの2つのアームのみに吊下治具65をそれぞれ支持し、それぞれの吊下治具65に1つのワーク7のみを支持した状態を示す。図3Aには、浸透液塗布装置1の回転台12の構成及びノズルの配置を示す。図3B及び図3Cには、浸透液塗布装置1の構成をそれぞれ正面視及び上面視において示す。浸透液塗布装置1は、ワーク7に浸透液を塗布する装置であり、チャンバ10、回転装置11、回転台12、複数の第1ノズル13、及び第2ノズル14を備える。なお、スタンド6の構成については後述する。
【0014】
チャンバ10は、その内部で浸透液のワーク7への塗布が行われる筐体であり、その内部に回転装置11、回転台12、第1ノズル13、及び第2ノズル14が配置される。チャンバ10内で浸透液の塗布を行うことで、周囲に浸透液が飛散するのを防ぐとともに、使用後の浸透液を簡便に処理することができる。チャンバ10は、蓋体103、搬送口101,102を含む。
【0015】
蓋体103は、チャンバ10の上部に設けられた開閉可能な部材であり、ワーク7を支持したスタンド6をチャンバ10内に搬入する際及びチャンバ10外に搬出する際に開き、浸透液塗布装置1の稼働時に閉じることでチャンバ10内部を周囲から遮蔽する。蓋体103は、開閉可能な構造であれば特にその構造は限定されず、蝶番式蓋、スライド式蓋、取り外し可能な天面等、様々な構造の蓋を採用することができる。
【0016】
搬送口101は、チャンバ10の右側面に設けられた開口であり、これを介してワーク7を支持したスタンド6をチャンバ10内に搬入することができる。搬送口101には、開閉可能な扉が固定されている。浸透液塗布装置1の稼働時には、扉により搬送口101を閉じることでチャンバ10内部を周囲から遮蔽し、浸透液塗布装置1の停止時には、搬送口101を開いてワーク7を支持したスタンド6の搬入路を形成する。
【0017】
搬送口102は、チャンバ10の左側面に設けられた開口であり、これを介してワーク7を支持したスタンド6をチャンバ10外に搬出することができる。搬送口102には、開閉可能な扉が固定されている。浸透液塗布装置1の稼働時には、扉により搬送口102を閉じることでチャンバ10内部を周囲から遮蔽し、浸透液塗布装置1の停止時には、搬送口102を開いてワーク7を支持したスタンド6の搬出路を形成する。
【0018】
なお、搬送口101,102に設けられる扉は、開閉可能な構造であれば特にその構造は限定されず、蝶番式扉、スライド式扉、取り外し可能な壁面等、様々な構造の扉を採用することができる。また、搬送口101,102がそれぞれスタンド6の搬出路及び搬入路を形成してもよい。
【0019】
回転装置11は、回転台12を回動する装置であり、チャンバ10の底面の中央に配置されて、上面視において時計回り及び反時計回りの両方向に回転台12を回動する。回転装置11は、回転軸111、駆動装置112、エンコーダ113、及び制御部114を有する。
【0020】
回転軸111は、駆動装置112による駆動力を回転台12に伝えてこれを回動する円柱状の軸体であり、先端を鉛直方向に延ばして回転台12の中心部を構成する。
【0021】
駆動装置112は、回転軸111を回転駆動する電動モータであり、制御部114により指示された速度で回転軸111を回転する。
【0022】
エンコーダ113は、回転台12の回転を検出する装置であり、例えば、LED等の光源を用いて回転軸111の胴部に設けられたスリット円板(不図示)を照明し、光検出器(不図示)を用いてスリット円板上に周方向に配列されたスリットを通過した光を検出することで、回転軸111の回転を検出する。その検出結果は制御部114に送信される。
【0023】
なお、本実施形態ではエンコーダ113を用いて回転台12の回転を検出したが、回転駆動とその検出の手段はこれに限られない。例えば、駆動装置112にロータリーアクチュエータを使用して一定角度で回転軸111を回転駆動させてもよいし、駆動装置112にサーボモータを使用してサーボモータで回転を検出しつつ回転軸111を回転駆動させてもよい。
【0024】
制御部114は、エンコーダ113の検出結果に基づいて駆動装置112を制御することにより、回転台12を時計回り又は反時計回りに回転させるコンピュータ装置であり、専用プラグラムを起動することで制御機能を発現する。制御部114は、外部からの指示に応答して回転台12を回転させてもよい。
【0025】
上述の構成の回転装置11により回転台12を時計回り又は反時計回りの両方向に回転させつつ第1ノズル13及び第2ノズル14により浸透液を回転台12上にスタンド6を介して支持された複数のワーク7に向けて吐出することにより、それぞれのワーク7の全面に満遍なく浸透液を塗布することができる。
【0026】
回転台12は、ワーク7を支持して回転する部材である。本実施形態の浸透液塗布装置1では、後述するスタンド6を利用して複数のワーク7を回転台12の上方に支持する構成を採用する。回転台12は、枠体121、支持面122、及び8つのリブ123を有する。なお、これらの部材は、一例としてSUS304を用いて形成することができる。また、回転台12は、回転装置11の回転軸111の上端に接続されて回転装置11の上方に設置される。
【0027】
枠体121は、内側にスタンド6の底部63を嵌入させてこれを支持する円筒状の部材である。枠体121により、スタンド6を回転台12上に水平方向に関して位置決めすることができる。なお、枠体121の形状は、スタンド6の底部63を嵌入させて支持できる形状及び大きさであればよく、従って円筒状に限られず、底部63の形状に合わせて適宜変更することができる。
【0028】
支持面122は、その上にスタンド6の底部63を支持する円環状の部材であり、枠体121の下端から内向きに張り出して枠体121と一体的に形成されている。支持面122は、メッシュ状に形成されてもよく、それにより、回転台12の下方に配された第2ノズル14から上方に吐出される浸透液が支持面122を通過することで、回転台12の上方に支持されるワークの下面に浸透液を塗布することができる。
【0029】
8つのリブ123は、枠体121を回転装置11の回転軸111に接続する部材である。8つのリブ123は、回転軸111に対して周方向に等間隔に配列され、枠体121及び支持面122の下面から中心に向けて延設される。それにより、枠体121及び8つのリブ123に囲まれる8つの開口124が形成され、これらを介して浸透液が回転台12を通過することができ、回転台12の下方の第2ノズル14から上方に吐出される浸透液を回転台12の上方に支持されるワーク7の下面に塗布することが可能となる。
【0030】
なお、本実施形態ではリブ123の数は8つとしたが、枠体121を回転軸111に固定するとともにそれらの間に開口124を形成することができでれば8以外の数であってもよい。また、リブ123の形状も、それらの間に形成される開口124を介して浸透液が回転台12を通ることができれば任意の形状であってよい。
【0031】
複数の第1ノズル13は、回転台12の周囲に配置されて、中央に向けて浸透液を吐出するノズルである。複数の第1ノズル13により、回転台12の上方に支持される複数のワーク7に向けて浸透液を吐出することで、効率良く浸透液を複数のワーク7に塗布することができる。
【0032】
複数の第1ノズル13は、チャンバ10内の左手前、左奥、右奥、右手前の隅にそれぞれ配置された4つの第1ノズル131~134を含む。一対の第1ノズル131,133並びに一対の第1ノズル132,134は、それぞれ、回転台12を挟んで対向する。少なくとも一対の第1ノズル13を対向させることで、回転台12の上方に支持されるワーク7に両側から浸透液を塗布することができる。
【0033】
図3Dに、チャンバ10の左側面、正面、右側面、及び背面から見て手前に配された複数の第1ノズルの配置及び高さを示す。一対の第1ノズル131,133は、一対の第1ノズル132,134よりも高い位置に設けられる。このように、複数の第1ノズル13のうち少なくとも2つが異なる高さに配置されることにより、高い位置に配された第1ノズル13及び低い位置に配された第1ノズル13を用いて、回転台12の上方に高さ方向に並べて支持された複数のワーク7のそれぞれに浸透液を塗布することができる。
【0034】
ここで、例えば第1ノズル131について、隣接する第1ノズル132及び第1ノズル134との高低差は、回転台12を挟んで対向する第1ノズル133との高低差よりも大きい。このように、複数の第1ノズル13のうち、ある第1ノズル13と、隣接する少なくとも一方の第1ノズル13との高低差を、回転台12を挟んで対向する第1ノズル13との高低差よりも大きくすること、つまり高低差の大きい第1ノズルを近くに配置することにより、第1ノズルからの浸透液の噴射が隣の第1ノズルからの浸透液の噴射に干渉することを抑止し、浸透液を効率的にワーク7に塗布することができる。
【0035】
第2ノズル14は、回転台12の下方に配置されて、上方に向けて浸透液を吐出するノズルである。本実施形態では、第2ノズル14は、回転台12の下方で回転軸111の左方に1つ配置される。なお、複数の第2ノズル14を回転台12の下方で回転軸111の周囲に等間隔で配置することとしてもよい。第2ノズル14を用いることにより、回転台12の上方に支持される複数のワーク7の下面に浸透液を塗布することができる。
【0036】
第1ノズル131~134及び第2ノズル14の少なくとも1つに、二流体ノズルを採用することができる。二流体ノズルは、圧縮空気などの高速気流を液体に混合し、液体を微粒化して噴出するノズルである。それにより、浸透液を微細な噴霧としてワーク7に満遍なく吹き付けることができる。
【0037】
図4に浸透液塗布装置1の稼働状態を示す。後述するスタンド6を利用して複数のワーク7が回転台12の上方に支持される。浸透液塗布装置1は、回転装置11により回転台12を回転させてその上方に支持された複数のワーク7を例えば反時計回りに回動させると同時に、回転台12の側方に配置された第1ノズル13から中央に向けて浸透液を吐出するとともに、回転台12の下方に配置された第2ノズル14から上方に向けて浸透液を吐出する。また、浸透液塗布装置1は、回転台12の回転方向を反転させて複数のワーク7を時計回りに回動させると同時に、第1ノズル13から中央に向けて浸透液を吐出するとともに、第2ノズル14から上方に向けて浸透液を吐出する。それにより、複数のワーク7のそれぞれの全面に浸透液を効率良く塗布することができる。
【0038】
本実施形態に係る浸透液塗布装置1は、ワーク7を支持する回転台12を回動する回転装置11、回転台12の側方に配置され、中央に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第1ノズル13、回転台12の下方に配置され、上方に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第2ノズル14を備える。これにより、回転台12の上方に複数のワーク7を支持し、回転装置11により回転台12を回動しつつ、回転台12の側方に配置された少なくとも1つの第1ノズル13から中央に向けて浸透液を吐出するとともに、回転台12の下方に配置された少なくとも1つの第2ノズル14から上方に向けて浸透液を吐出することで、上面だけでなく下面も含むワーク7全面に浸透液を効率良く塗布することが可能となる。
【0039】
図5に、複数のワーク7を支持するスタンド6の構成を示す。スタンド6は、複数のワーク7を支持して安定に搬送可能なスタンドを提供することを課題としたものであり、軸体61、底部63、上部64、及び吊下治具65を含む。なお、スタンド6は、後述するフランジ611を除いて、例えばSUS304を用いて形成することができる。
【0040】
軸体61は、上下方向に延びてスタンド6の中心軸となる棒状部材であり、その上端にフランジ611が設けられている。フランジ611は、軸体61の上端から半径方向に張り出し成形され、その下側に軸体に向かって細くなる逆円錐状のテーパ面6111が形成されている。フランジ611は、後述するように、搬送装置5によりスタンド6が把持される際に昇降機511によって上下から挟圧され、その際にテーパ面6111が水平方向に関する位置決めを補助する。
【0041】
底部63は、軸体61の下端に設けられて、浸透液塗布装置1の回転台12、洗浄装置2の回転台22(図7参照)、又は本洗浄装置3の支持台32(図10参照)上に載置可能な構造部であり、枠体631、複数のリブ632、及び複数の位置決めリブ633を有する。
【0042】
枠体631は、浸透液塗布装置1の回転台12の枠体121内に嵌入可能な円筒状の部材であり、後述する複数のリブ632により軸体61の下端に固定される。枠体631の形状及び大きさは、枠体121内に嵌入可能であれば特に限定されず、例えば外接円の半径が枠体631の半径に等しい角筒形状であってもよい。
【0043】
複数のリブ632は、枠体631を軸体61に接続する部材であり、軸体61の下端から外方向に延びて枠体631の内面に接続する。本実施形態では、一例として3つのリブ632が、軸体61に対して周方向に等間隔に配列される。
【0044】
複数の位置決めリブ633は、吊下治具65の下部を水平方向に関して位置決めする部材であり、それぞれ、2つの棒体6331及び2つの連結部材6332を有する。2つの棒体6331は、軸体61から半径方向に延び且つ周方向に互いに離間して枠体631の上端に固定される。2つの連結部材6332は、2つの棒体6331の上面上に半径方向に互いに離間して固定され、2つの棒体6331の間隙を制限してそれらの間に開口6333を形成する。複数の位置決めリブ633は、複数のアーム641と同数であり、軸体61の周方向に関して複数のアーム641と同じ位置に設けられる。
【0045】
上部64は、複数のワーク7を支持した吊下治具65を吊り下げ支持するスタンド6の上側の構造部であり、複数のアーム641及び連結部材642を有する。
【0046】
複数のアーム641は、軸体61の胴部から半径方向に延びて吊下治具65を吊り下げ支持する構造体であり、本実施形態では6つのアーム641が軸体61の周方向に等間隔に配列される。複数のアーム641は、それぞれ、2つの棒体6411を有する。2つの棒体(側部の一例)6411は、軸体61から半径方向に延び且つ周方向に互いに離間する。それらの先端は胴部に対して厚く成形されている。
【0047】
連結部材642は、同心円状に配置された2つのリング状の部材であり、6つのアームを互いに連結するとともにそれぞれの2つの棒体6411を連結する。2つの棒体6411及び外側の連結部材642により、2つの棒体6411の先端側に吊下治具65の係止部材6521,6522が挿入可能なスリット6412が形成される。また、2つの棒体6411並びに外側及び内側の連結部材642により、それらの間に吊下治具65の係止部材6521の先端が挿入可能な開口6413が形成される。
【0048】
なお、上部64は、後述する吊下治具65の係止部材6521,6522を挿入可能な外側から軸体61に向かうスリット6412及びこれに半径方向に隣接して、係止部材6521の先端を通す開口6413を含めば、複数のアーム641及びリング状の連結部材642に代えて、例えば外縁から中心に向かう複数のスリット及びこれに半径方向に隣接する複数の開口が形成された円板を使用してもよい。
【0049】
このように、吊下治具65を吊り下げ支持するアーム641を周方向に複数設け、複数のアーム641を高さ方向に並べて支持する吊下治具65を軸体の周方向に複数吊り下げることで、多くのワーク7をスタンド6に支持することができる。
【0050】
図6Aから図6Cに、吊下治具65の構成を示す。ここで、図6Aには、吊下治具65の構成を正面視及び側面視において示し、図6Bにはスタンド6に支持された吊下治具65の上部を示し、図6Cにはスタンド6に支持された吊下治具65の下部を吊下治具65に複数のワーク7が支持された状態で示す。吊下治具65は、複数のワーク7を高さ方向に支持して複数のアーム641のいずれかに着脱可能に吊り下げ支持される構造体であり、枠体655、複数の支持部材6511、第1係止部材6521、第2係止部材6522、及び差込部材6531を備える。
【0051】
枠体655は、正面視矩形状の枠体であり、2つの側辺651、上辺652、及び下辺653を有する。2つの側辺651は、横方向に離間して上下方向に延びる棒状部材であり、2つの側辺651の上端側が支持部材6511が固定された一側に向かって屈曲している。上辺652は、離間した2つの側辺651の上端を横方向に接続する棒状部材である。下辺653は、離間した2つの側辺651の下端を横方向に接続する棒状部材である。
【0052】
なお、枠体655は、2つの側辺651の中間部を接続する接続辺654を含んでもよい。接続辺654は、一例として、2つの側辺651のそれぞれの屈曲部を横方向に接続する棒状部材、2つの側辺651のそれぞれの中央下側を横方向に接続する棒状部材であってよい。それにより、複数のワーク7を支持できるよう枠体655が補強される。
【0053】
支持部材6511は、ワーク7を支持する部材である。支持部材6511は、略U形状を有し、一側を側辺651に固定してその端部を側辺651から離間する方向に湾曲し、他側を側辺651から離間してその端部を一側の端部より低い位置で側辺651に向けて湾曲する。ここで、2つの側辺651の上端側が支持部材6511が固定された一側に向かって屈曲していることで、側面視において、支持部材6511の中心が吊下治具の中心にほぼ一致している。それにより、支持部材6511により複数のワーク7を吊下治具65に支持した際にそれらの重心が吊下治具65の中心に位置することとなり、吊下治具65をアーム641から鉛直方向に安定に吊下げることができる。
【0054】
支持部材6511の形状により、ワーク7の端部を、支持部材6511の両端部の間からU形状の内側に挿入することで、図6B図6Cに示すように、ワークを吊下治具に支持させることができる。このとき、支持部材6511の他側の端部がワークの上方を覆い、さらに一側の端部がその上方を覆うことで、ワークが支持部材6511から離脱するのを防止することができる。また、ワーク7の端部を、支持部材6511の両端部の間を介して引き抜くことで、ワーク7を容易に吊下治具65から取り外すこともできる。
【0055】
ここで、複数の支持部材6511が、2つの側辺651のそれぞれに高さ方向に関して同じ位置に複数(一例として6つ)固定される。2つの側辺651にそれぞれ固定された支持部材6511によりワーク7の端部をそれぞれ支持することで、吊下治具65に複数のワーク7を支持することができる。
【0056】
このように、吊下治具65が、横方向に離間する2つの側辺651及び2つの側辺651のそれぞれに固定された複数の支持部材6511を含むことにより、2つの側辺651に固定された複数の支持部材6511でそれぞれワーク7の端部を支持して、2つの側辺651の間に複数のワーク7を支持することができる。
【0057】
第1係止部材6521は、スタンド6の上部64に係止して吊下治具65をアーム641に吊り下げるための部材である。第1係止部材6521は、先端にフックを有し、基端が上辺652の中央左に固定される。図6Bに示すように、第1係止部材6521はアーム641の先端のスリット6412に挿入されて、2つの棒体6411の間に位置して、それらを連結する連結部材642に係止する。
【0058】
第2係止部材6522は、第1係止部材6521とともにスタンド6の上部64に係止して吊下治具65をアーム641に吊り下げるための部材である。第2係止部材6522は、T字状に成形されて拡径又は拡幅された端部を有し、基端が上辺652の中央に固定される。図6Bに示すように、第2係止部材6522はアーム641の先端のスリット6412に挿入されて、2つの棒体6411の間から、連結部材642より先端側に端部を係止する。
【0059】
上述の通り第1係止部材6521及び第2係止部材6522の左右に並ぶ2つの係止部材をアーム641の連結部材642及び先端にそれぞれ係止することで、吊下治具65をスタンド6に着脱可能に吊下げることができる。また、吊下治具65の上部を半径方向及び周方向に関して位置決めするとともに、吊下治具65の回転を抑止してアーム641に吊り下げ支持することができる。
【0060】
差込部材6531は、下辺653に下方に向けて突出して設けられた部材である。図6Cに示すように、差込部材6531を、スタンド6の底部63の2つの棒体6331及び2つの連結部材6332の間に形成された開口6333に差し込むことで、吊下治具65の下部を半径方向及び周方向に関して位置決めする。これにより、吊下治具65の回転を抑止してスタンド6に安定に吊り下げることができる。
【0061】
本実施形態に係るスタンド6は、軸体61、軸体61の下端に設けられて、回転台12,22又は支持台32上に載置可能な底部63、軸体61の胴部から外方向に延びて複数のワーク7を吊り下げ支持する少なくとも1つのアーム641を備える。斯かる構成のスタンド6により、吊下治具65に複数のワーク7を高さ方向に支持し、これを軸体61の周方向に並べて吊り下げ支持し、底部63を回転台12,22又は支持台32上に載置することで、回転台12,22又は支持台32上に周方向及び高さ方向に多くのワーク7を支持することが可能となる。それにより、一度に複数のワーク7に浸透液を塗布すること、洗浄液を吐出して洗浄するなどの処理をすることができる。
【0062】
また、スタンド6が、複数のワーク7を高さ方向に支持して少なくとも1つのアーム641に着脱化可能に吊り下げる少なくとも1つの吊下治具65を含むことで、少なくとも1つの吊下治具65により複数のワーク7をスタンド6に吊り下げ支持することができる。
【0063】
〈洗浄装置〉
図7及び図8Aから図8Dに、洗浄装置2の構成を示す。ここで、図7には、洗浄装置2の内部構成を示す。回転台22上に複数のワーク7を支持したスタンド6が載置されている。ただし、装置構成を明示するために、スタンドの6つのアーム641のうちの2つのアーム641のみに吊下治具65をそれぞれ支持し、それぞれの吊下治具65に1つのワーク7のみを支持した状態を示す。図8Aには、洗浄装置2の回転台22の構成及びノズルの配置を示す。図8B及び図8Cには、洗浄装置2の構成をそれぞれ正面視及び上面視において示す。洗浄装置2は、浸透液が塗布されたワーク7に水等の洗浄液を噴出して表面に残る浸透液を洗い落とす装置であり、チャンバ20、回転装置21、回転台22、第1ノズル23、及び第2ノズル24を備える。
【0064】
チャンバ20は、その内部でワーク7の洗浄が行われる筐体であり、その内部に回転装置21、回転台22、第1ノズル23、及び第2ノズル24が配置される。チャンバ20内で洗浄を行うことで、周囲に洗浄液が飛散するのを防ぐとともに、使用後の洗浄液を簡便に処理することができる。チャンバ20は、蓋体203、搬送口201,202を含む。
【0065】
蓋体203は、チャンバ20の上部に設けられた開閉可能な部材であり、ワーク7を支持したスタンド6をチャンバ20内に搬入する際及びチャンバ20外に搬出する際に開き、洗浄装置2の稼働時に閉じることでチャンバ20内部を周囲から遮蔽する。蓋体203は、開閉可能な構造であれば特にその構造は限定されず、蝶番式蓋、スライド式蓋、取り外し可能な天面等、様々な構造の蓋を採用することができる。
【0066】
搬送口201は、チャンバ20の右側面に設けられた開口であり、これを介してワーク7を支持したスタンド6をチャンバ20内に搬入することができる。搬送口201には、開閉可能な扉が固定されている。洗浄装置2の稼働時には、扉により搬送口201を閉じることでチャンバ20内部を周囲から遮蔽し、洗浄装置2の停止時には、搬送口201を開いてワーク7を支持したスタンド6の搬入路を形成する。
【0067】
搬送口202は、チャンバ20の左側面に設けられた開口であり、これを介してワーク7を支持したスタンド6をチャンバ20外に搬出することができる。搬送口202には、開閉可能な扉が固定されている。洗浄装置2の稼働時には、扉により搬送口202を閉じることでチャンバ20内部を周囲から遮蔽し、洗浄装置2の停止時には、搬送口202を開いてワーク7を支持したスタンド6の搬出路を形成する。
【0068】
なお、搬送口201,202に設けられる扉は、開閉可能な構造であれば特にその構造は限定されず、蝶番式扉、スライド式扉、取り外し可能な壁面等、様々な構造の扉を採用することができる。また、搬送口201,202がそれぞれスタンド6の搬出路及び搬入路を形成してもよい。
【0069】
回転装置21は、回転台22を回動する装置であり、チャンバ20の底面の中央に配置されて、上面視において時計回り及び反時計回りの両方向に回転台22を回動する。回転装置21は、回転軸211、駆動装置、エンコーダ、及び制御部(不図示)を有する。これらは、先述の回転装置11におけるそれらと同様に構成される。回転装置21により回転台22を時計回り又は反時計回りに回転させつつ第1ノズル23及び第2ノズル24により洗浄液を回転台22上にスタンド6を介して支持された複数のワーク7に向けて吐出することにより、それぞれのワーク7の全面から満遍なく浸透液を洗い落とすことができる。
【0070】
回転台22は、ワーク7を支持して回転する部材である。本実施形態の洗浄装置2では、先述のスタンド6を利用して複数のワーク7を回転台22上に支持する構成を採用する。回転台22は、枠体221及びリブ223を有する。なお、これらの部材は、例えばSUS304を用いて形成することができる。また、回転台22は、回転装置21の回転軸211の上端に接続されて回転装置21の上方に設置される。
【0071】
枠体221は、スタンド6の底部63が載置される角筒形状の部材である。枠体221の形状は、スタンド6を載置させて支持できる形状及び大きさであればよく、従って角筒形状に限られず、底部63の形状に合わせて適宜変更することができる。枠体221は、側面又は上面から上方に向かって立設された3つの位置決め部材2211を有する。
【0072】
3つの位置決め部材2211は、それらによって囲まれた空間にスタンド6の底部63を嵌入させてこれを支持する板状の部材である。位置決め部材2211により、スタンド6を回転台22上に水平方向に関して位置決めすることができる。なお、本実施形態では位置決め部材2211の数は3つとしたが、スタンド6の底部63を嵌入させて支持できる数であればよく、適宜変更することができる。
【0073】
リブ223は、枠体221を回転装置21の回転軸211に接続する部材である。リブ223は、両端部を枠体221の互いに対向する一対の内面にそれぞれ固定し、その中心を回転装置21の回転軸の上端に固定する。それにより、枠体221及びリブ223に囲まれる2つの開口224が形成され、これらを介して洗浄液が回転台22を通過することができ、回転台22の下方の第2ノズル24から上方に吐出される洗浄液で回転台22の上方に支持されるワーク7の下面を洗浄することが可能となる。
【0074】
なお、本実施形態では1つのリブ223を設けることとしたが、枠体221を回転装置21の回転軸211に固定するとともにそれらの間に開口224を形成することができれば、回転軸211の周方向に複数のリブ223を配列してもよい。また、リブ223の形状も、それらの間に形成される開口224を介して洗浄液が回転台22を通ることができれば任意の形状であってよい。
【0075】
複数の第1ノズル23は、回転台22の周囲に配置されて、中央に向けて洗浄液を吐出するノズルである。複数の第1ノズル23により、回転台22の上方に支持される複数のワーク7に向けて洗浄液を吐出することで、効率良く複数のワーク7から効率良く浸透液を洗い落とすことができる。
【0076】
複数の第1ノズル23は、チャンバ20内の左手前、左中央、左奥、中央奥、右奥、右中央、右手前、手前中央の隅にそれぞれ配置された8つのノズル231~238を含む。一対の第1ノズル231及び235,232及び236,233及び237並びに234及び238は、それぞれ、回転台22を挟んで対向する。少なくとも一対の第1ノズル23を対向させることで、回転台22の上方に支持されるワーク7に両側から洗浄液を吹き付け、浸透液を洗い落とすことができる。
【0077】
図8Dに、チャンバ20の左側面、正面、右側面、及び背面から見て手前に配された複数の第1ノズル23の配置及び高さを示す。第1ノズル234,235,237,233,231が順に高い位置に設けられ、第1ノズル232,236,238が最も低い位置に設けられる。このように、複数の第1ノズル23が異なる高さに配置されることにより、異なる高さに配置された複数の第1ノズル23を用いて、吊下治具65により高さ方向に配置された複数のワーク7のそれぞれに向けて洗浄液を吐出することができる。
【0078】
ここで、互いに対向する一対の第1ノズル234及び238、一対の第1ノズル235及び231、一対の第1ノズル237及び233の高低差がそれぞれ異なる。このように、対向する第1ノズル23を異なる高さに設けるとともに各対の第1ノズル23で高低差を変えて、複数の第1ノズル23のうちのいくつかを異なる高さに設けることで、回転台22の上方に高さ方向に並べて支持された複数のワーク7のそれぞれに向けて洗浄液を吐出することができる。
【0079】
また、第1ノズル232,236は、搬送口201により形成される搬入路から搬送口202により形成される搬出路までワーク7を支持したスタンド6を搬送する搬送経路よりも下方に位置する。このように、第1ノズル232,236をワーク7の搬送経路の下方に配置することにより、ワーク7を支持するスタンド6をノズルに干渉させることなく搬送することができる。
【0080】
第2ノズル24は、回転台22の下方に配置されて、上方に向けて洗浄液を吐出するノズルである。本実施形態では、第2ノズル24は、回転台22の下方で回転軸211の周囲に4つ配置される。このように、第2ノズル24の少なくとも1つが、回転台22の回転軸の周囲に配置されることにより、回転台22の下方に回転軸211の周囲に配置された複数の第2ノズル24を用いて、回転台22の上方に支持された複数のワーク7に向けて洗浄液を吐出することができる。
【0081】
第1ノズル231~238及び第2ノズル241~244の少なくとも1つに、回転ノズルを採用することができる。回転ノズルは、チャンバ20の壁面に対して平行方向(すなわち、方位角方向)に360度回転するとともに、迎角方向に180度回転しつつ液体を噴出するノズルである。それにより、洗浄液をチャンバ20の壁面に吹き付けることを抑制し、洗浄液をチャンバ20の内側に向けて効率良くワーク7に噴出することができる。
【0082】
図9に、洗浄装置2の稼働状態を示す。先述のスタンド6を利用して複数のワーク7が回転台22の上方に支持される。洗浄装置2は、回転装置21により回転台22を回転させてその上方に支持された複数のワーク7を例えば反時計回りに回動させると同時に、回転台22の側方に配置された第1ノズル23から中央に向けて洗浄液を噴出するとともに、回転台22の下方に配置された第2ノズル24から上方に向けて洗浄液を噴出する。また、洗浄装置2は、回転台22の回転方向を反転させて複数のワーク7を時計回りに回動させると同時に、第1ノズル23から中央に向けて洗浄液を噴出するとともに、第2ノズル24から上方に向けて洗浄液を噴出する。それにより、複数のワーク7のそれぞれの表面に残る浸透液を洗い落とすことができる。
【0083】
本実施形態に係る洗浄装置2は、ワーク7を支持する回転台22を回動する回転装置21、回転台22の側方に配置され、中央に向けて洗浄液を吐出する少なくとも1つの第1ノズル23、回転台22の下方に配置され、上方に向けて洗浄液を吐出する少なくとも1つの第2ノズル24を備える。これにより、回転台22の上方に複数のワーク7を支持し、回転装置21により回転台22を回動しつつ、回転台22の側方に配置された少なくとも1つの第1ノズル23から中央に向けて洗浄液を吐出するとともに、回転台22の下方に配置された少なくとも1つの第2ノズル24から上方に向けて浸透液を吐出することで、上面だけでなく下面も含むワーク7全面から浸透液を洗い落とすことが可能となる。
【0084】
〈本洗浄装置〉
図10及び図11Aから図11Dに、本洗浄装置3の構成を示す。ここで、図10には、本洗浄装置3の内部構成を示す。支持台32上に複数のワーク7を支持したスタンド6が載置されている。ただし、装置構成を明示するために、スタンドの6つのアームのうちの2つのアームのみに吊下治具65をそれぞれ支持し、それぞれの吊下治具65に1つのワーク7のみを支持した状態を示す。図11Aには、本洗浄装置3の支持台32の構成及びノズルの配置を示す。図11B及び図11Cには、本洗浄装置3の構成をそれぞれ正面視及び上面視において示す。本洗浄装置3は、洗浄装置2によって表面上の浸透液が洗い落とされ、表面欠陥に残った浸透液が乳化されたワーク7に水等の洗浄液を噴出して、浸透液をさらに洗い落とす装置であり、チャンバ30、支持台32、第1ノズル33、及び第2ノズル34を備える。
【0085】
なお、本洗浄装置3は、洗浄装置2で既に浸透液が洗い落とされたワーク7をさらに洗浄するものであり、ワーク7を回転させなくとも浸透液を十分に除去することが可能であるため、回転台及び回転装置を省くことができる。ただし、十分な除去が困難な浸透液に対応する場合等は、本洗浄装置3にも洗浄装置2と同様の回転台及び回転装置を設けてもよい。
【0086】
チャンバ30は、その内部でワーク7の洗浄が行われる筐体であり、その内部に支持台32、第1ノズル33、及び第2ノズル34が配置される。チャンバ30内で洗浄を行うことで、周囲に洗浄液が飛散するのを防ぐとともに、使用後の洗浄液を簡便に処理することができる。チャンバ30は、蓋体303、搬送口301,302を含む。
【0087】
蓋体303は、チャンバ30の上部に設けられた開閉可能な部材であり、ワーク7を支持したスタンド6をチャンバ30内に搬入する際及びチャンバ30外に搬出する際に開き、本洗浄装置3の稼働時に閉じることでチャンバ30内部を周囲から遮蔽する。蓋体303は、開閉可能な構造であれば特にその構造は限定されず、蝶番式蓋、スライド式蓋、取り外し可能な天面等、様々な構造の蓋を採用することができる。
【0088】
搬送口301は、チャンバ30の右側面に設けられた開口であり、これを介してワーク7を支持したスタンド6をチャンバ30内に搬入することができる。搬送口301には、開閉可能な扉が固定されている。本洗浄装置3の稼働時には、扉により搬送口301を閉じることでチャンバ30内部を周囲から遮蔽し、本洗浄装置3の停止時には、搬送口301を開いてワーク7を支持したスタンド6の搬入路を形成する。
【0089】
搬送口302は、チャンバ30の左側面に設けられた開口であり、これを介してワーク7を支持したスタンド6をチャンバ30外に搬出することができる。搬送口302には、開閉可能な扉が固定されている。本洗浄装置3の稼働時には、扉により搬送口302を閉じることでチャンバ30内部を周囲から遮蔽し、本洗浄装置3の停止時には、搬送口302を開いてワーク7を支持したスタンド6の搬出路を形成する。
【0090】
なお、搬送口301,302に設けられる扉は、開閉可能な構造であれば特にその構造は限定されず、蝶番式扉、スライド式扉、取り外し可能な壁面等、様々な構造の扉を採用することができる。また、搬送口301,302がそれぞれスタンド6の搬出路及び搬入路を形成してもよい。
【0091】
支持台32は、ワーク7を支持する部材である。本実施形態の本洗浄装置3では、スタンド6を利用して複数のワーク7を支持台32上に支持する構成を採用する。支持台32は、枠体321、補強材322、及び脚体323を有する。
【0092】
枠体321は、スタンド6の底部63が載置される角筒形状の部材である。枠体321の形状は、スタンド6を載置させて支持できる形状及び大きさであればよく、従って角筒形状に限られず、底部63の形状に合わせて適宜変更することができる。
【0093】
補強材322は、枠体321を補強する部材である。補強材322は、枠体321の中心を一直線に貫くように、両端部を枠体321の互いに対向する一対の辺にそれぞれ固定する。それにより、枠体321及び補強材322に囲まれる2つの開口324が形成され、これらを介して洗浄液が支持台32を通過することができ、支持台32の下方の第2ノズル34から上方に吐出される洗浄液で支持台32の上方に支持されるワーク7の下面を洗浄することが可能となる。
【0094】
なお、本実施形態では枠体321の中心を貫く1つの補強材322を設けたが、枠体321を補強するとともにそれらの間に開口224を形成することができれば、複数の補強材322を配列してもよい。また、補強材322の形状も、それらの間に形成される開口324を介して洗浄液が支持台32を通ることができれば任意の形状であってよい。
【0095】
脚体323は、枠体321をチャンバ30の底面上に支持する部材である。脚体323は、側面視においてL字状に成形され、その上端が枠体321の4つの角部の内面に固定され、下端が底面に固定される。本実施形態では、脚体323は、枠体321の4つの角部を支持するよう4つ設けるとするが、より多く設けることとしてもよい。
【0096】
複数の第1ノズル33は、支持台32の周囲に配置されて、中央に向けて洗浄液を吐出するノズルである。複数の第1ノズル33により、支持台32の上方に支持される複数のワーク7に向けて洗浄液を吐出することで、効率良く複数のワーク7から効率良く浸透液を洗い落とすことができる。
【0097】
複数の第1ノズル33は、チャンバ30内の左手前、左中央、左奥、中央奥、右奥、右中央、右手前、手前中央の隅にそれぞれ配置された8つの第1ノズル331~338を含む。一対の第1ノズル331及び335,332と336,333及び337並びに334及び338は、それぞれ、支持台32を挟んで対向する。少なくとも一対の第1ノズル33を対向させることで、支持台32の上方に支持されるワーク7に両側から洗浄液を吹き付け、浸透液を洗い落とすことができる。
【0098】
図11Dに、チャンバ30の左側面、正面、右側面、及び背面から見て手前に配された複数の第1ノズル33の配置及び高さを示す。チャンバ30の四隅の第1ノズル331,333,335,337が高い位置に設けられ、その他の第1ノズル332,334,336,338が低い位置に設けられる。このように、複数の第1ノズル33が異なる高さに配置されることにより、特に高い位置に配置された第1ノズル33と低い位置に配置された第1ノズル33とを用いることで、吊下治具65により高さ方向に配置された複数のワーク7のそれぞれに向けて洗浄液を吐出することができる。
【0099】
ここで、第1ノズル332,336は、搬送口301により形成される搬入路から搬送口302により形成される搬出路までワーク7を支持したスタンド6を搬送する搬送経路よりも下方に位置する。このように、第1ノズル332,336をワーク7の搬送経路の下方に配置することにより、ワーク7を支持するスタンド6をノズルに干渉させることなく搬送することができる。
【0100】
第2ノズル34は、支持台32の下方に配置されて、上方に向けて洗浄液を吐出するノズルである。本実施形態では、第2ノズル34(341~344)は、支持台32の下方に4つ配置される。このように、第2ノズル24の少なくとも1つが、支持台32の下方に配置されることにより、支持台32の下方に配置された複数の第2ノズル34を用いて、支持台32の上方に支持された複数のワーク7に向けて洗浄液を吐出することができる。
【0101】
第1ノズル331~338及び第2ノズル341~344の少なくとも1つに、回転ノズルを採用することができる。回転ノズルは、チャンバ30の壁面に対して平行方向(すなわち、方位角方向)に360度回転するとともに、迎角方向に180度回転しつつ液体を噴出するノズルである。それにより、洗浄液をチャンバ30の壁面に吹き付けることを抑制し、洗浄液をチャンバ30の内側に向けて効率良くワーク7に噴出することができる。
【0102】
図12に、本洗浄装置3の稼働状態を示す。先述のスタンド6を利用して複数のワーク7が支持台32の上方に支持される。本洗浄装置3は、支持台32の側方に配置された第1ノズル33から中央に向けて洗浄液を噴出するとともに、支持台32の下方に配置された第2ノズル34から上方に向けて洗浄液を噴出する。それにより、複数のワーク7のそれぞれの表面に残る浸透液を洗い落とすことができる。
【0103】
本実施形態に係る本洗浄装置3は、ワーク7を支持する支持台32、支持台32の側方に配置され、中央に向けて洗浄液を吐出する少なくとも1つの第1ノズル33、支持台32の下方に配置され、上方に向けて洗浄液を吐出する少なくとも1つの第2ノズル34を備える。これにより、支持台32の上方に複数のワーク7を支持し、支持台32の側方に配置された少なくとも1つの第1ノズル33から中央に向けて洗浄液を吐出するとともに、支持台32の下方に配置された少なくとも1つの第2ノズル34から上方に向けて浸透液を吐出することで、上面だけでなく下面も含むワーク7全面から浸透液を洗い落とすことが可能となる。
【0104】
〈観察装置〉
観察装置4は、浸透液の塗布及び洗浄が完了したワーク7を乾燥並びに観察してワーク7の表面欠陥を検出する装置である。ここでは乾燥を観察装置4内で行うが、本洗浄装置3内で行っても、別の専用装置内で行ってもよい。蛍光浸透試験法の場合、観察装置4は、ワーク7を支持したスタンド6を暗室内に格納し、例えば波長315~400nmの近紫外線を発するブラックライトを用いてワーク7を照明し、そのワーク7を、ノイズ光をカットする光学フィルタを介して撮影カメラで撮影する。ここで、ブラックライトで照明することによりワークの表面欠陥に浸透した浸透液が蛍光を発する。染色探傷試験法の場合、観察装置4は、ワーク7を支持したスタンド6を暗室内に格納し、白色ストロボを用いてワーク7を照明し、そのワーク7を、ノイズ光をカットする光学フィルタを介して撮影カメラで撮影する。ここで、白色ストロボを用いてワーク7を照明することにより、ワークの表面欠陥に浸透した浸透液の染色が映し出される。観察装置4は、画像処理装置(不図示)を用いて撮影カメラによる撮像画像を解析することにより、ワーク7の表面欠陥を検出する。
【0105】
〈搬送装置〉
図13A及び図13Bに、それぞれ、搬送装置5の概略構成及び機能構成を示す。ここでは、搬送装置5はスタンド6を把持している。搬送装置5は、スタンド6を用いてワーク7を搬送する装置であって、Z搬送装置51、X搬送装置52、位置検出器53、及びコントローラ54を備える。なお、本実施形態では、鉛直方向をZ軸方向、これに直交する一方向をX軸方向とする。
【0106】
Z搬送装置51は、スタンド6を用いてワーク7をZ軸方向に搬送する装置であり、より具体的には、複数のワーク7を支持したスタンド6を、浸透液塗布装置1の回転台12、洗浄装置2の回転台22、本洗浄装置の支持台32、観察装置4の暗室内の支持台上に搬送し、塗布、洗浄、観察などの作業の完了後、スタンド6を把持して各装置から退避させる。Z搬送装置51が複数のワーク7を支持したスタンド6を把持してZ軸方向に搬送することで、一度に多くのワーク7を搬送することが可能となる。Z搬送装置51は、モータ511及び昇降機512を含む。
【0107】
モータ511は、昇降機512を昇降させる装置である。モータ511は、一例としてボールねじ駆動型サーボモータを採用する。上下方向に延びるボールねじが後述するX搬送装置に回転可能に固定され、X搬送装置52及び昇降機512の一方にモータ511が固定され、他方にボールねじに羅合するナットが固定される。モータ511を稼働してボールねじを回転することで、昇降機512がボールねじに沿って昇降する。なお、モータ511の機構は、Z方向の搬送を実現できれば特に限定されず、ボールねじ駆動型サーボモータを使用することによってスタンド6を回転台12等に正確に載置することができる。
【0108】
図14に、昇降機512の構成を示す。昇降機512は、複数のワーク7を支持するスタンド6を把持して昇降する装置であり、フレーム5124、フォーク部材5121、挟圧部材5122、及びモータ5123を有する。
【0109】
フレーム5124は、フォーク部材5121及びモータ5123を保持する部材である。フレーム5124は、一例として側面視において逆L字状に成形され、モータ5123が固定される天面及び上面の一端に上端を接続し、下端にフォーク部材5121が固定される側面を有する。天面及び側面は固定部材を用いて接合してフレーム5124を構成してもよいし、一体成型してフレーム5124としてもよい。
【0110】
フォーク部材5121は、スタンド6のフランジ611を係止する部材である。フォーク部材5121は、一側(本例では+X方向)に開いて、スタンド6の軸体61が挿入可能な切り欠き5125を有する。ここで、フォーク部材5121の先端(+X端)は、切り欠き5125の開口が内側から外側に向かって広がるように先細りに形成されている。また、切り欠き5125を区画する2つの縁部の一部は上面視において円弧を形成し、円弧を形成する2つの縁部のそれぞれの上端は切り欠き5125の内側に向かって傾斜するテーパ面5126を形成する。テーパ面5126の傾斜は、スタンド6のフランジ611の下側のテーパ面6111の傾斜に略等しい。
【0111】
挟圧部材5122は、フォーク部材5121との間に、スタンド6の軸体61の上端に設けられたフランジ611を挟圧する部材である。挟圧部材5122は、一例として、フランジ611の上面よりも大きい円板とする。
【0112】
モータ5123は、フレーム5124の天面に固定されて、挟圧部材5122を上下方向に駆動する電動モータである。モータ5123は、搬送装置5のコントローラ54により制御されて稼働する。
【0113】
X搬送装置52は、Z搬送装置51を保持してX軸方向に搬送する装置である。X搬送装置52は、一例としてベルト駆動型サーボモータであり、X軸方向にループ状に延びるベルト(不図示)及びベルトを回動するモータ521を有する。ベルトの一部に、Z搬送装置51がX軸方向に移動可能に固定されている。モータ521は、搬送装置5のコントローラにより制御されて稼働する。X搬送装置52は、スタンド6を保持するZ搬送装置51を浸透液塗布装置1、洗浄装置2、本洗浄装置3、観察装置4等の各装置に搬入するとともに各装置から搬出する。
【0114】
位置検出器53は、X検出器532及びZ検出器531を備える。X検出器532は、X搬送装置52により搬送されるZ搬送装置51のX軸方向に関する位置(すなわち、X位置)を検出する。Z検出器531は、Z搬送装置51により昇降する昇降機512のZ軸方向に関する位置(すなわち、Z位置)を検出する。X検出器532及びZ検出器531として、例えば、X搬送装置52のベルトの回転量及びZ搬送装置51のボールねじの回転量を検出して、それぞれの検出結果をZ搬送装置51のX位置及び昇降機512のZ位置に変換するセンサを採用することができる。位置検出器53による位置検出の結果はコントローラ54に送信される。
【0115】
コントローラ54は、Z搬送装置51及びX搬送装置52を制御する装置であり、コンピュータ装置が専用プログラムを起動することで制御機能を発現する。コントローラ54は、Z搬送装置51のX位置の検出結果に基づいてX搬送装置52(モータ)を制御することで、Z搬送装置51をX軸方向に移動させるとともに、昇降機512のZ位置の検出結果に基づいてZ搬送装置51(モータ5123)を制御することで、昇降機512をZ軸方向に移動させる。また、昇降機512のモータ5123を制御して挟圧部材5111を上下方向に駆動することで、挟圧部材5111とフォーク部材5121との間にスタンド6のフランジ611を挟圧する。
【0116】
図15Aから15Eに、ワーク7を支持するスタンド6を装置外に搬出する場合などにおいて昇降機512によりスタンド6を把持する動作を示す。
【0117】
まず、コントローラ54が、Z搬送装置51及びX搬送装置52を制御して、図15Aに示すように昇降機512をスタンド6の軸体61の上端横に移動する。それにより、フォーク部材5121の切り欠き5125がスタンド6の軸体61に対向する。
【0118】
次いで、コントローラ54は、X搬送装置52を制御して昇降機512(を支持するZ搬送装置51)を+X方向に移動する。それにより、図15Bに示すように、スタンド6の軸体61がフォーク部材5121の切り欠き5125に挿入される。
【0119】
次いで、コントローラ54は、Z搬送装置51を制御して昇降機512を上昇させる。ここで、フランジ611の下側が逆円錐状のテーパ面6111を形成し、切り欠き5125を区画するフォーク部材5121の2つの縁部が円弧を形成するとともにそれぞれの上端がテーパ面6111を形成していることで、図15Cに示すように、フランジ611の下面が2つの縁部のテーパ面6111上を摺動して軸体61が切り欠き5125の中心に位置決めされる。
【0120】
次いで、コントローラ54は、昇降機512のモータ5123を制御して挟圧部材5122を下方に駆動する。それにより、図15D及び図15Eに示すように、軸体61のフランジ611がフォーク部材5121及び挟圧部材5111により上下方向に挟圧され、昇降機512によりスタンド6が把持される。
【0121】
次いで、コントローラ54は、Z搬送装置51及びX搬送装置52を制御して、昇降機512をさらに上昇させ且つこれを支持するZ搬送装置51をX軸方向に移動する。それにより、ワーク7を支持するスタンド6を安定に搬送することができる。
【0122】
ワーク7を支持するスタンド6を装置内に搬入する場合、まず、コントローラ54は、Z搬送装置51及びX搬送装置52を制御して、昇降機512により把持されるスタンド6を例えば浸透液塗布装置1内に搬入し、回転台12上に位置決めする。
【0123】
次いで、コントローラ54は、Z搬送装置51を制御して昇降機512を下降させ、これに把持されるスタンド6の底部63を回転台12の枠体121内に嵌入する。
【0124】
次いで、コントローラ54は、昇降機512のモータ5123を制御して挟圧部材5122を上方に駆動する。それにより、軸体61のフランジ611が昇降機512から解放される。
【0125】
最後に、コントローラ54は、Z搬送装置51及びX搬送装置52を制御して、昇降機512を浸透液塗布装置1から退避する。なお、昇降機512により把持されるスタンド6をその他の装置内に搬入する場合においても、同様の手順を実行することで、スタンド6を装置内の支持台等に載置することができる。
【0126】
このように、搬送装置5が、複数のワーク7を支持するスタンド6をZ搬送装置51によりZ軸方向に駆動するとともにX搬送装置52によりX軸方向に駆動するというように、スタンド6の搬送をZ軸方向とX軸方向との2方向の搬送の組み合わせにより実現するとともに、スタンド6のフランジ611及びフォーク部材5121の形状により、搬送するワーク7の位置決め精度が向上する。
【0127】
図16Aから図16Gに、搬送装置5による複数のワーク7を支持したスタンド6の搬送動作を示す。一例として、搬送装置5により、浸透液塗布装置1の回転台12上に載置されているスタンド6が洗浄装置2の回転台22上に搬送されるとする。
【0128】
なお、搬送動作において、搬送装置5のコントローラ54は、常時、位置検出器53を用いてX搬送装置52により搬送されるZ搬送装置51のX位置及びZ搬送装置51により昇降する昇降機512のZ位置を検出し、それらの検出結果に基づいてX搬送装置52を制御してZ搬送装置51をX軸方向に搬送するとともに、Z搬送装置51を制御して昇降機512を昇降させる。
【0129】
まず、図16Aに示すように、コントローラ54は、X搬送装置52を制御してZ搬送装置51を浸透液塗布装置1に向けて+X方向に移動させつつ、Z搬送装置51を制御して昇降機512を回転台12に向けて-Z方向に移動させる。それにより、昇降機512は、浸透液塗布装置1の回転台12上に載置されているスタンド6の上端に向かって移動する。
【0130】
次いで、図16Bに示すように、コントローラ54は、Z搬送装置51を回転台12の中心横まで移動させ、昇降機512を、その切り欠き5125が回転台12上に載置されているスタンド6のフランジ611の下まで下降させる。それにより、昇降機512がスタンド6の上端(すなわち、フランジ611)横に位置決めされ、昇降機512のフォーク部材5121の切り欠き5125がスタンド6の軸体61に対向する(図15A参照)。
【0131】
この状態において、コントローラ54は、さらに、Z搬送装置51を+X方向に移動させる。それにより、スタンド6の軸体61がフォーク部材5121の切り欠き5125に挿入される(図15B及び図15C参照)。次いで、コントローラ54は、昇降機512を上昇させてフォーク部材5121によりスタンド6のフランジ611を係止し、挟圧部材5122を下方に駆動してフランジ611をフォーク部材5121及び挟圧部材5111により上下方向に挟圧する(図15D及び図15E参照)。それにより、図16Cに示すように、Z搬送装置51(昇降機512)によりスタンド6が把持される。
【0132】
次いで、図16Cに示すように、コントローラ54は、昇降機512を上昇させる。それにより、回転台12の枠体121内に嵌入されたスタンド6の底部63が枠体121から引き出される。
【0133】
次いで、図16Dに示すように、Z搬送装置51を+X方向に移動させるとともに昇降機512を上昇させる。それにより、複数のワーク7を支持したスタンド6が浸透液塗布装置1から搬出され、洗浄装置2に向けて搬送される。
【0134】
次いで、図16Eに示すように、コントローラ54は、スタンド6を洗浄装置2内に搬入して回転台22上に位置決めし、そして昇降機512を下降させる。それにより、図16Fに示すように、スタンド6の底部63が回転台22の3つの位置決め部材2211の間に嵌入されて、スタンド6が回転台22上に載置される。
【0135】
次いで、コントローラ54は、挟圧部材5122を上方に駆動して、フォーク部材5121及び挟圧部材5122によるフランジ611の挟持を解除してスタンド6を解放する。
【0136】
次いで、図16Fに示すように、コントローラ54は、Z搬送装置51を-X方向に移動させる。それにより、昇降機511がスタンド6のフランジ611から離間し、スタンド6の回転台22上への載置が完了する。
【0137】
最後に、図16Gに示すように、コントローラ54は、昇降機512を上昇させつつZ搬送装置51を-X方向に移動させる。それにより、昇降機512が洗浄装置2から退避する。
【0138】
本実施形態に係る搬送装置5は、ワーク7を保持してZ軸方向に搬送するZ搬送装置、Z搬送装置を、浸透液塗布装置、洗浄装置、本洗浄装置、観察装置等の各装置に搬入する及び/又は各装置から搬出する、すなわち装置間でX軸方向に搬送するX搬送装置を備える。これによれば、X搬送装置52により、スタンド6を介してワーク7を保持するZ搬送装置51をX軸方向に搬送することでワーク7を例えば浸透液塗布装置1に搬入し、回転台12上に位置決めし、Z搬送装置51により、保持するワーク7をZ軸方向に搬送し、解放して回転台12上に載置することができる。さらに、Z搬送装置51により、回転台12上に載置されたワーク7を保持してZ軸方向に搬送し、X搬送装置52により、ワーク7を保持するZ搬送装置51をX軸方向に搬送することでワーク7を浸透液塗布装置1外に搬出することができる。つまり、ワーク7をZ軸方向に搬送するZ搬送装置51とX軸方向に搬送するX搬送装置52を組み合わせた搬送装置5により、ワーク7を目的位置に高速度で搬送し且つ高精度で位置決めすることができる。
【0139】
図17Aに、本実施形態に係る探傷システム9によって実行される探傷方法のフローの一例を示す。
【0140】
探傷システム9を稼働するに先立って、ユーザにより、探傷検査する複数(本例では6つ)のワーク7を吊下治具65に支持し、6つのワーク7をそれぞれ支持した6つの吊下治具65をスタンド6のアーム641に吊下げ支持する。それにより、複数(本例では36)のワーク7を支持するスタンド6が組み立てられる。スタンド6の組み立てについては、図5から図7を用いて説明したとおりである。
【0141】
次いで、搬送装置5により、複数のワーク7を支持したスタンド6を浸透液塗布装置1に搬入し、スタンド6を回転台12上に載置する。搬送装置5によるスタンド6の搬送については、図16Aから図16Gを用いて説明したとおりである。
【0142】
次いで、ステップS11にて、浸透液塗布装置1により、スタンド6に支持された複数のワーク7に浸透液を塗布する。浸透液塗布装置1による浸透液の塗布については、図4を用いて説明したとおりである。
【0143】
次いで、搬送装置5により、複数のワーク7を支持したスタンド6を浸透液塗布装置1から搬出し、洗浄装置2に搬入して回転台22上に載置する。
【0144】
次いで、ステップS12にて、洗浄装置2により、スタンド6に支持された複数のワーク7に予備洗浄を行い、表面に付着した浸透液を除去する。洗浄装置2による予備洗浄については図9を用いて説明したとおりである。
【0145】
次いで、ステップS13にて、予備洗浄の行われた複数のワーク7に乳化剤を塗布し、ワーク7の表面に残留する予備洗浄では落としきれなかった浸透液を乳化させる。
【0146】
次いで、搬送装置5により、複数のワーク7を支持したスタンド6を洗浄装置2から搬出し、本洗浄装置3に搬入して支持台32上に載置する。
【0147】
次いで、ステップS14にて、本洗浄装置3により、表面の浸透液が乳化された複数のワーク7の本洗浄を行い、浸透液をさらに除去する。本洗浄装置3による本清浄については図12を用いて説明したとおりである。
【0148】
次いで、搬送装置5により、複数のワーク7を支持したスタンド6を本洗浄装置3から搬出し、観察装置4に搬入してその支持台上に載置する。
【0149】
次いで、ステップS15にて、観察装置4内で複数のワーク7を乾燥してワーク7上から洗浄液を除去する。乾燥は、例えば、温風等を吹き付けることにより行う。
【0150】
次いで、ステップS16にて、観察装置4内で複数のワーク7に現像剤を塗布し、表面欠陥の内部に浸透した浸透液を視認容易にする。
【0151】
次いで、ステップS17にて、観察装置4により、複数のワーク7にブラックライトを照射し、これを撮影して画像処理を行うことで、ワーク7の表面欠陥を検出する。観察装置4によるワーク7の表面欠陥の検出については先述したとおりである。
【0152】
図17Bに、本実施形態に係る探傷システム9によって実行される探傷方法のフローの別の例を示す。本フローは、複数のワーク7に塗布する浸透液として水溶性の浸透液を用いる場合のフローである。斯かる場合、先述の探傷方法のフローにおける予備洗浄(ステップS12)及び乳化(ステップS13)を省略することができる。浸透液塗布(ステップS11)、本洗浄(ステップS14)、乾燥(ステップS15)、現像(ステップS16)、及び表面欠陥の検出(ステップS17)の詳細は先述の通りである。
【0153】
最後に、搬送装置5により、複数のワーク7を支持したスタンド6を観察装置4から搬出し、保管領域に搬送する。
【0154】
本実施形態に係る探傷システム9は、ワーク7に浸透液を塗布する浸透液塗布装置1、ワークに洗浄液を噴出して洗浄する洗浄装置2及び本洗浄装置3、並びにこれらの装置間でワーク7を搬入及び/又は搬出する搬送装置5を備える。浸透液塗布装置1により浸透液をワーク7に一様に塗布することができ、洗浄装置2及び本洗浄装置3のそれぞれにより効率良くワーク7を洗浄することができ、搬送装置5により複数のワーク7を高速且つ高精度で搬送することができ、探傷検査の効率化及び自動化が可能となる。
【0155】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0156】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0157】
本明細書によれば、以下の各項目に記載の構成もまた開示される。
〈浸透液塗布装置〉
(項目1)ワークに浸透液を塗布する浸透液塗布装置であって、ワークを支持する回転台を回動する回転装置と、前記回転台の側方に配置され、中央に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第1ノズルと、前記回転台の下方に配置され、上方に向けて浸透液を吐出する少なくとも1つの第2ノズルと、を備える浸透液塗布装置。
(項目2)前記回転台は、浸透液が通過可能な開口を有する、項目1に記載の浸透液塗布装置。
(項目3)前記回転台は、筒状の枠体と、該枠体を前記回転装置の回転軸に接続する複数のリブと、を有する、項目1又は2に記載の浸透液塗布装置。
(項目4)前記ワークは、前記回転台上に載置可能なスタンドにより複数支持される、項目1から3のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目5)前記スタンドは、複数のワークを高さ方向に支持して前記回転台の上方に吊り下げる着脱可能な少なくとも1つの吊下治具を含む、項目4に記載の浸透液塗布装置。
(項目6)前記吊下治具は、前記スタンドにより、前記回転台の周方向に複数吊り下げられる、項目5に記載の浸透液塗布装置。
(項目7)前記吊下治具は、横方向に離間する2つの側辺と、前記2つの側辺のそれぞれに固定された複数の支持部材と、を含み、前記2つの側辺の複数の支持部材により複数のワークがそれぞれ支持される、項目5又は6に記載の浸透液塗布装置。
(項目8)前記吊下治具は、前記スタンドの上部に係止する第1係止部材を有する、項目5から7のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目9)前記スタンドの上部は、中心軸から半径方向に延び且つ周方向に互いに離間する2つの側部と、該2つの側部の胴部間を連結する連結部と、を有する少なくとも1つのアームを有し、前記吊下治具の第1係止部材は、前記2つの側部の間に位置して前記連結部に係止する、項目8に記載の浸透液塗布装置。
(項目10)前記吊下治具は、前記連結部より先端側で、前記2つの側部の間から該2つの側部のそれぞれに係止する第2係止部材をさらに有する、項目8又は9に記載の浸透液塗布装置。
(項目11)前記吊下治具は、前記スタンドの底部に差し込み可能な差込部材を有する、項目5から10のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目12)前記回転台は、筒状の枠体と、該枠体の下端から内向きに張り出す環状の支持面と、を有し、前記スタンドの底部が、前記枠体内に嵌入されて前記支持面上に支持される、項目4から11のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目13)前記少なくとも1つの第1ノズルは、異なる高さに配置される少なくとも2つの第1ノズルを含む、項目1から12のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目14)前記少なくとも1つの第1ノズルは、前記回転台の周囲に配置される少なくとも4つの第1ノズルを含み、前記少なくとも4つの第1ノズルは、隣接する第1ノズルの少なくとも一方に対して前記回転台を挟んで対向する第1ノズルとの高低差が小さい、項目1から13のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目15)前記回転装置は、前記回転台を時計回り及び反時計回りの両方向に回転する、項目1から13のいずれか一項の浸透液塗布装置。
(項目16)前記第1ノズル及び前記第2ノズルの少なくとも一方は、二流体ノズルである、項目1から15のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目17)項目1から16のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置と、前記浸透液塗布装置にワークを搬入及び/又は前記浸透液塗布装置からワークを搬出する搬送装置と、を備える探傷システム。
【0158】
〈洗浄装置〉
(項目18)ワークを洗浄する洗浄装置であって、ワークを支持する回転台を回動する回転装置と、前記回転台の側方に配置され、中央に向けて洗浄液を吐出する少なくとも1つの第1ノズルと、前記回転台の下方に配置され、上方に向けて洗浄液を吐出する少なくとも1つの第2ノズルと、を備える洗浄装置。
(項目19)前記回転台は、洗浄液が通過可能な開口を有する、項目18に記載の洗浄装置。
(項目20)前記回転台は、角筒形状状の枠体と、該枠体を前記回転装置の回転軸に接続する複数のリブと、を有する、項目18又は19に記載の洗浄装置。
(項目21)前記ワークは、前記回転台上に載置可能なスタンドにより、前記回転台の回転方向及び高さ方向の少なくとも一方について複数支持される、項目18から20のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(項目22)前記回転台は、上面に立設する少なくとも3つの位置決め部材を有し、前記スタンドの底部は、前記少なくとも3つの位置決め部材の内側に位置決めされて前記回転台上に支持され、項目21に記載の洗浄装置。
(項目23)前記少なくとも1つの第2ノズルは、前記回転台の回転軸の周囲に配置された複数の第2ノズルを含む、項目18から22のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(項目24)前記少なくとも1つの第1ノズルは、異なる高さに配置される複数の第1ノズルを含む、項目18から23のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(項目25)前記少なくとも1つの第1ノズルは、前記回転台の周囲に配置される複数の第1ノズルを含む、項目18から24のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(項目26)前記複数の第1ノズルは、前記ワークの搬送経路上に該経路より低い位置に配置される少なくとも1つの第1ノズルを含む、項目25に記載の洗浄装置。
(項目27)前記第1ノズル及び前記第2ノズルの少なくとも一方は、回転ノズルである、項目18から26のいずれか一項に記載の洗浄装置。
〈本洗浄装置〉
(項目28)ワークを洗浄する洗浄装置であって、ワークを支持する支持台と、前記支持台の側方に配置され、中央に向けて洗浄液を吐出する少なくとも1つの第1ノズルと、前記支持台の下方に配置され、上方に向けて洗浄液を吐出する少なくとも1つの第2ノズルと、を備える、洗浄装置。
(項目29)
前記第1ノズル及び前記第2ノズルの少なくとも一方は回転ノズルである、項目28に記載の洗浄装置。
(項目30)前記支持台は、洗浄液が通過可能な開口を有する、項目28又は29に記載の洗浄装置。
(項目31)前記ワークは、前記支持台上に載置可能なスタンドにより、前記支持台の回転方向及び高さ方向の少なくとも一方について複数支持される、請求項28から30のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(項目32)前記少なくとも1つの第2ノズルは、前記支持台の下方に配置された複数の第2ノズルを含む、項目28から31のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(項目33)前記少なくとも1つの第1ノズルは、異なる高さに配置される複数の第1ノズルを含む、項目28から32のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(項目34)前記少なくとも1つの第1ノズルは、前記支持台の周囲に配置される複数の第1ノズルを含む、項目28から33のいずれか一項に記載の洗浄装置。
(項目35)前記複数の第1ノズルは、前記ワークの搬送経路上に該経路より低い位置に配置される少なくとも1つの第1ノズルを含む、項目34に記載の洗浄装置。
(項目36)項目28から35のいずれか一項に記載の洗浄装置と、前記洗浄装置にワークを搬入及び/又は前記洗浄装置からワークを搬出する搬送装置と、を備える探傷システム。
【0159】
〈搬送装置〉
(項目37)ワークを搬送する搬送装置であって、ワークを保持してZ軸方向に搬送するZ搬送装置と、前記Z搬送装置を、前記ワークに浸透液を塗布する浸透液塗布装置に及び/又は前記浸透液塗布装置からX軸方向に搬送するX搬送装置と、を備える搬送装置。
(項目38)前記Z搬送装置は、前記ワークを複数支持するスタンドを把持して昇降する昇降機を含む、項目37に記載の搬送装置。
(項目39)前記スタンドの軸体(中心軸)の上端にフランジが設けられ、前記昇降機は、前記スタンドの軸体が挿入可能な切り欠きが形成されたフォーク部材と、該フォーク部材との間に前記フランジを挟圧する挟圧部材と、と有する、項目38に記載の搬送装置。
(項目40)前記フランジは、前記軸体に向かって細くなるテーパ面を下側に有する、項目39に記載の搬送装置。
(項目41)前記スタンドは、前記軸体と、前記軸体の下端に設けられて、前記浸透液塗布装置内の支持台上に載置可能な底部と、前記軸体の胴部から外方向に延びて複数のワークを吊り下げ支持する少なくとも1つのアームと、を有する、項目39又は40に記載の搬送装置。
(項目42)前記スタンドは、複数のワークを高さ方向に支持して前記少なくとも1つのアームに吊り下げる少なくとも1つの吊下治具を含む、項目41に記載の搬送装置。
(項目43)前記アームは、前記軸体の周方向に複数設けられ、前記吊下治具は、前記スタンドのアームにより、前記軸体の周方向に複数吊り下げられる、項目42に記載の搬送装置。
(項目44)前記吊下治具は、横方向に離間する2つの側辺と、前記2つの側辺のそれぞれに固定された複数の支持部材と、を含み、前記2つの側辺の複数の支持部材により複数のワークがそれぞれ支持される、項目42又は43に記載の搬送装置。
(項目45)前記吊下治具は、前記スタンドの上部に係止する第1係止部材を有する、項目42から44のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目46)前記スタンドの上部は、中心軸から半径方向に延び且つ周方向に互いに離間する2つの側部と、該2つの側部の胴部間を連結する連結部と、を有する少なくとも1つのアームを有し、前記吊下治具の第1係止部材は、前記2つの側部の間に位置して前記連結部に係止する、項目45に記載の浸透液塗布装置。
(項目47)前記吊下治具は、前記連結部より先端側で、前記2つの側部の間から該2つの側部のそれぞれに係止する第2係止部材をさらに有する、項目45又は46に記載の浸透液塗布装置。
(項目48)前記吊下治具は、前記スタンドの底部に差し込み可能な差込部材を有する、項目42から47のいずれか一項に記載の搬送装置。
(項目49)項目37から48のいずれか一項に記載の搬送装置と、前記ワークに浸透液を塗布する浸透液塗布装置と、を備える探傷システム。
【0160】
〈スタンド〉
(項目50)複数のワークを支持するスタンドであって、軸体と、前記軸体の下端に設けられて、支持台上に載置可能な底部と、前記軸体の胴部から外方向に延びて複数のワークを吊り下げ支持する少なくとも1つのアームと、を備えるスタンド。
(項目51)前記スタンドは、複数のワークを高さ方向に支持して前記少なくとも1つのアームに吊り下げる少なくとも1つの吊下治具を含む、項目50に記載のスタンド。
(項目52)前記アームは、前記軸体の周方向に複数設けられ、前記吊下治具は、前記スタンドのアームにより、前記軸体の周方向に複数吊り下げられる、項目51に記載のスタンド。
(項目53)前記吊下治具は、横方向に離間する2つの側辺と、前記2つの側辺のそれぞれに固定された複数の支持部材と、を含む、項目51又は52に記載のスタンド。
(項目54)前記吊下治具は、前記スタンドの上部に係止する第1係止部材を有する、項目51から53のいずれか一項に記載の浸透液塗布装置。
(項目55)前記スタンドの上部は、中心軸から半径方向に延び且つ周方向に互いに離間する2つの側部を有する少なくとも1つのアームと、前記2つの側部の胴部間を連結する連結部と、を含み、前記吊下治具の第1係止部材は、前記2つの側部の間に位置して前記連結部に係止する、項目54に記載の浸透液塗布装置。
(項目56)前記吊下治具は、前記連結部より先端側で、前記2つの側部の間から該2つの側部のそれぞれに係止する第2係止部材をさらに有する、項目55に記載の浸透液塗布装置。
(項目57)前記吊下治具は、前記スタンドの底部に差し込み可能な差込部材を有する、項目51から56のいずれか一項に記載のスタンド。
(項目58)前記軸体の上端にフランジが設けられ、前記フランジは、前記軸体に向かって細くなるテーパ面を下側に有する、項目50から57のいずれか一項に記載のスタンド。
(項目59)前記底部は、前記軸体の下端から外方向に延びる複数のリブと、該複数のリブにより固定される枠体と、を有する、項目50から58のいずれか一項に記載のスタンド。
【符号の説明】
【0161】
1…浸透液塗布装置、10…チャンバ、101,102…搬送口、103…蓋体、11…回転装置、111…回転軸、112…駆動装置、113…エンコーダ、114…制御部、12…回転台、121…枠体、122…支持面、123…リブ、124…開口、13…第1ノズル、14…第2ノズル、2…洗浄装置、20…チャンバ、201,202…搬送口、203…蓋体、21…回転装置、211…回転軸、22…回転台、221…枠体、222…位置決め部材、223…リブ、224…開口、23…第1ノズル、24…第2ノズル、3…本洗浄装置、30…チャンバ、301,302…搬送口、303…蓋体、32…支持台、321…枠体、322…補強材、323…脚体、324…開口、33…第1ノズル、34…第2ノズル、4…観察装置、5…搬送装置、51…Z搬送装置、511…モータ、512…昇降機、5121…フォーク部材、5122…挟圧部材、5123…モータ、5124…フレーム、5125…切り欠き、52…X搬送装置、521…モータ、53…位置検出器、54…コントローラ、6…スタンド、61…軸体、611…フランジ、6111…テーパ面、63…底部、631…枠体、632…リブ、633…位置決めリブ、6331…棒体、6332…連結部材、64…上部、641…アーム、6411…棒体、6412…スリット、6413…開口、642…連結部材、65…吊下治具、651…側辺、6511…支持部材、652…上辺、6521,6522…係止部材、653…下辺、6531…差込部材、654…接続辺、655…枠体、7…ワーク、9…探傷システム。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13A
図13B
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図17A
図17B