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特開2023-125264作業管理支援装置、作業管理支援システム、及び作業管理支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125264
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】作業管理支援装置、作業管理支援システム、及び作業管理支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20230831BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029260
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】村上 良祐
(72)【発明者】
【氏名】松岡 義剛
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆弘
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100BB17
3C100BB34
3C100CC02
3C100DD05
3C100DD22
3C100DD32
3C100DD33
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】より容易な作業管理を実現するための作業管理支援装置、作業管理支援システム、及び作業管理支援方法を提供する。
【解決手段】本発明では、複数の工程を含む作業の各工程において、各工程にて取り扱われる対象物Tに付与された識別画像が端末10によって読み取られた場合に、端末を制御して、端末10又は表示モニタ32に、識別画像から特定される対象物Tの図面を表示させる。また、少なくとも一つの工程を第1工程として、第1工程の進行に関する情報が端末を通じて入力された場合に、当該情報を取得する。また、取得された情報を、第1工程と関連付けて記憶装置16に記憶させ、記憶装置16に記憶された情報に基づいて、第1工程又は第2工程に関する処理を実行する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を含む作業の管理を支援する作業管理支援装置であって、
それぞれの前記工程において、前記工程にて取り扱われる対象物に付与された識別画像が端末によって読み取られた場合に、前記端末を制御して、前記端末又は前記端末と対応する表示器に、前記識別画像から特定される前記対象物の図面を表示させる表示制御部と、
少なくとも一つの前記工程を第1工程として、該第1工程の進行に関する情報が前記端末を通じて入力された場合に、前記情報を取得する情報取得部と、
取得された前記情報を、前記第1工程と関連付けて記憶装置に記憶させる記憶部と、
前記記憶装置に記憶された前記情報に基づいて、前記第1工程又は前記第1工程と対応する第2工程に関する処理を実行する処理実行部と、を備える作業管理支援装置。
【請求項2】
前記図面が表示された前記端末にて行われた操作に応じて、前記図面を示す図面データを更新する更新部を備え、
前記表示制御部は、前記図面として、更新が可能な前記図面データに基づく第1図面、及び、更新が不可能な前記図面データに基づく第2図面のうち、前記端末にて選択された少なくとも一方を前記端末又は前記表示器に表示させる、請求項1に記載の作業管理支援装置。
【請求項3】
複数の前記工程のそれぞれを前記第1工程として、前記第1工程の進捗に関する進捗情報が前記工程毎に入力される場合に、
前記情報取得部は、前記進捗情報を前記工程毎に取得し、
前記記憶部は、それぞれの前記工程の前記進捗情報を、それぞれの前記工程と関連付けて前記工程毎に前記記憶装置に記憶させる、請求項1又は2に記載の作業管理支援装置。
【請求項4】
前記進捗情報は、工程開始を示す開始情報、及び工程終了を示す終了情報を含み、
前記第2工程は、複数の前記工程の中で前記第1工程の直後に実施され、
前記情報取得部が前記第1工程について前記開始情報を取得してから前記終了情報を取得するまでの間、前記第2工程についての前記進捗情報の入力に対する制限、又は、前記第2工程における前記対象物の前記図面の表示に対する制限が設けられ、
前記情報取得部が前記第1工程について前記終了情報を取得した場合に、前記処理実行部は、前記第2工程に対する前記制限を解除する処理を実行する、請求項3に記載の作業管理支援装置。
【請求項5】
前記進捗情報は、工程開始を示す開始情報、及び工程終了を示す終了情報を含み、
前記処理実行部は、前記情報取得部が前記第1工程について前記開始情報を取得してから前記終了情報を取得するまでの所要時間を計測する処理を実行する、請求項3又は4に記載の作業管理支援装置。
【請求項6】
前記第1工程において、前記第1工程にて行われた変則的内容を示す注記情報が入力される場合に、前記情報取得部は、前記注記情報を取得する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の作業管理支援装置。
【請求項7】
前記第1工程において、前記第1工程にて取り扱われる前記対象物の前記図面が表示された前記端末を通じて、前記注記情報が入力される場合に、
前記情報取得部は、前記注記情報を取得する際に、該注記情報の入力時点で前記端末に表示された前記図面を特定し、
前記記憶部は、前記注記情報を、前記注記情報の入力時点で前記端末に表示された前記図面と関連付けて前記記憶装置に記憶させる、請求項6に記載の作業管理支援装置。
【請求項8】
前記情報取得部が前記第1工程について前記注記情報を取得した場合、前記処理実行部は、複数の前記工程のうち、前記第1工程の後に実施される前記工程において、該工程にて取り扱われる前記対象物の前記図面とともに、前記注記情報を前記端末又は前記表示器に表示させる処理を実行する、請求項7に記載の作業管理支援装置。
【請求項9】
複数の工程を含む作業の管理を支援する作業管理支援システムであって、
画像を読み取り可能な端末と、該端末と通信可能な装置と、を備え、
前記装置は、
それぞれの前記工程において、前記工程にて取り扱われる対象物に付与された識別画像が前記端末によって読み取られた場合に、前記端末を制御して、前記端末又は前記端末と対応する表示器に、前記識別画像から特定される前記対象物の図面を表示させる表示制御部と、
少なくとも一つの前記工程を第1工程として、該第1工程の進行に関する情報が前記端末を通じて入力された場合に、前記情報を取得する情報取得部と、
取得された前記情報を、前記第1工程と関連付けて記憶装置に記憶させる記憶部と、
前記記憶装置に記憶された前記情報に基づいて、前記第1工程又は前記第1工程と対応する第2工程に関する処理を実行する処理実行部と、を備える作業管理支援システム。
【請求項10】
複数の工程を含む作業の管理を支援する作業管理支援方法であって、
それぞれの前記工程において、前記工程にて取り扱われる対象物に付与された識別画像が端末によって読み取られた場合に、コンピュータにより、前記端末を制御して、前記端末又は前記端末と対応する表示器に、前記識別画像から特定される前記対象物の図面を表示させ、
少なくとも一つの前記工程を第1工程として、該第1工程の進行に関する情報が前記端末を通じて入力された場合に、コンピュータにより、前記情報を取得し、
コンピュータにより、取得された前記情報を、前記第1工程と関連付けて記憶装置に記憶させ、
コンピュータにより、前記記憶装置に記憶された前記情報に基づいて、前記第1工程又は前記第1工程と対応する第2工程に関する処理を実行する、作業管理支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理支援装置、作業管理支援システム、及び作業管理支援方法に係り、特に、複数の工程を含む作業の管理を支援する作業管理支援装置、作業管理支援システム、及び作業管理支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建材等の製品を製造する作業において、ICT(Information Communication Technology)を活用し、作業時間及び進捗状況等をデータ化して管理する技術は、既に実用化されている。例えば、特許文献1には、タブレット端末又はスマートフォン等の端末を使用して作業の進捗を管理する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-184427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製品の製造作業は、一般的に複数の工程からなり、各工程が順番に実施されることで製品が完成する。作業者は、各工程において製品の図面(例えば、設計図又は組み立て図)を参照しつつ、各工程に割り当てられた仕事(以下、要素作業)を行う。
【0005】
一方、参照すべき図面は、製品の種類に応じて変わる。その場合、製品毎に図面を印刷(プリント)しようとすると、印刷の手間を要し、また、参照すべき図面の数に応じてプリント用紙の消費枚数が増えてしまう。
【0006】
また、複数の工程のうち、ある工程において、作業者が、その工程の進捗状況又は要素作業に関する変更点等、当該工程の進行に関する情報を記録することがある。その情報は、以降の工程に影響を及ぼすため、各作業者が確認できるように記録する必要があるが、所定の用紙又は上記の図面等に記入しようとすると、手間が掛かり、また、情報が記録された書類等を紛失しないように管理する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より容易な作業管理を実現するための装置、システム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、本発明の作業管理支援装置によれば、複数の工程を含む作業の管理を支援する作業管理支援装置であって、それぞれの工程において、工程にて取り扱われる対象物に付与された識別画像が端末によって読み取られた場合に、端末を制御して、端末又は端末と対応する表示器に、識別画像から特定される対象物の図面を表示させる表示制御部と、少なくとも一つの工程を第1工程として、第1工程の進行に関する情報が端末を通じて入力された場合に、情報を取得する情報取得部と、取得された情報を、第1工程と関連付けて記憶装置に記憶させる記憶部と、記憶装置に記憶された情報に基づいて、第1工程又は第1工程と対応する第2工程に関する処理を実行する処理実行部と、を備えることにより解決される。
【0009】
上記のように構成された本発明の作業管理支援装置では、各工程にて取り扱われる対象物に付与された識別画像を端末により読み取ることで、端末又は端末と対応する表示器に、識別画像から特定される対象物の図面を表示させることができる。これにより、各工程にて参照すべき図面を容易に確認することができる。
また、本発明の作業管理支援装置では、少なくとも一つの工程(第1工程)の進行に関する情報が端末を通じて入力された場合に、その情報を記録し、記録された情報に基づいて、第1工程又は第1工程と対応する第2工程に関する処理が実行される。これにより、各工程の進行に関する情報を容易に管理することができ、また、その情報を作業管理に容易に反映させることができる。
【0010】
また、上記の作業管理支援装置は、図面が表示された端末にて行われた操作に応じて、図面を示す図面データを更新する更新部を備えてもよい。この場合、表示制御部は、図面として、更新が可能な図面データに基づく第1図面、及び、更新が不可能な図面データに基づく第2図面のうち、端末にて選択された少なくとも一方を端末又は表示器に表示させると、好適である。
上記の構成によれば、作業者の選択に応じて、第1図面及び第2図面のうち、少なくとも一方の図面を選択して表示させることができるため、作業者にとっての利便性(使い勝手)が向上する。
【0011】
また、複数の工程のそれぞれを第1工程として、第1工程の進捗に関する進捗情報が工程毎に入力される場合に、情報取得部は、進捗情報を工程毎に取得し、記憶部は、それぞれの工程の進捗情報を、それぞれの工程と関連付けて工程毎に記憶装置に記憶させてもよい。
上記の構成によれば、各工程の進捗状況を容易に管理することができる。
【0012】
また、進捗情報は、工程開始を示す開始情報、及び工程終了を示す終了情報を含んでもよい。また、第2工程は、複数の工程の中で第1工程の直後に実施されてもよい。この場合、情報取得部が第1工程について開始情報を取得してから終了情報を取得するまでの間、第2工程についての進捗情報の入力に対する制限、又は、第2工程における対象物の図面の表示に対する制限が設けられてもよい。さらに、情報取得部が第1工程について終了情報を取得した場合に、処理実行部は、第2工程に対する制限を解除する処理を実行すると、好適である。
上記の構成によれば、第1工程が実施途中で終了していない間は、第2工程についての進捗情報の入力が制限され、第1工程が終了した時点で制限が解除される。これにより、各工程の進捗管理、具体的には進捗情報の入力が工程の順序に従って適切に実施される。
【0013】
また、進捗情報は、工程開始を示す開始情報、及び工程終了を示す終了情報を含んでもよい。この場合、処理実行部は、情報取得部が第1工程について開始情報を取得してから終了情報を取得するまでの所要時間を計測する処理を実行するとよい。
上記の構成によれば、各工程の所要時間を計測することができ、より適切な作業管理を実施することができる。
【0014】
また、第1工程において、第1工程にて行われた変則的内容を示す注記情報が入力される場合に、情報取得部は、注記情報を取得してもよい。
上記の構成によれば、第1工程における要素作業に関して変則的な内容(イレギュラーな対応等)があった場合には、その情報を注記情報として記録しておくことができる。この結果、より一層適切な作業管理を実施する。
【0015】
また、第1工程において、第1工程にて取り扱われる対象物の図面が表示された端末を通じて、注記情報が入力されてもよい。この場合、情報取得部は、注記情報を取得する際に、注記情報の入力時点で端末に表示された図面を特定するとよい。また、記憶部は、注記情報を、注記情報の入力時点で端末に表示された図面と関連付けて記憶装置に記憶させるとよい。
上記の構成によれば、注記情報を、その注記情報の入力時点で端末に表示されていた図面と関連付けて記憶しておくことができる。これにより、入力された注記情報を参照する際には、図面と対応付けて参照できるようになり、作業者にとっての利便性が向上する。
【0016】
また、情報取得部が第1工程について注記情報を取得した場合、処理実行部は、複数の工程のうち、第1工程の後に実施される工程において、当該工程にて取り扱われる対象物の図面とともに、注記情報を端末又は表示器に表示させる処理を実行してもよい。
上記構成によれば、注記情報が入力された工程(第1工程)の後の工程において、注記情報が端末又は表示器に表示されるので、その工程を担当する作業者は、注記情報を容易に確認することができる。
【0017】
また、前述の課題は、本発明の作業管理支援システムによれば、複数の工程を含む作業の管理を支援する作業管理支援システムであって、画像を読み取り可能な端末と、端末と通信可能な装置と、を備え、装置は、それぞれの工程において、工程にて取り扱われる対象物に付与された識別画像が端末によって読み取られた場合に、端末を制御して、端末又は端末と対応する表示器に、識別画像から特定される対象物の図面を表示させる表示制御部と、少なくとも一つの工程を第1工程として、第1工程の進行に関する情報が端末を通じて入力された場合に、情報を取得する情報取得部と、取得された情報を、第1工程と関連付けて記憶装置に記憶させる記憶部と、記憶装置に記憶された情報に基づいて、第1工程又は第1工程と対応する第2工程に関する処理を実行する処理実行部と、を備えることで解決される。
本発明の作業管理支援システムによれば、作業中の各工程での図面の参照と、少なくとも一つの工程(第1工程)の進行に関する情報の記録、及びその情報に基づく処理と、をより容易に実施することができる。
【0018】
また、前述の課題は、本発明の作業管理支援方法によれば、複数の工程を含む作業の管理を支援する作業管理支援方法であって、それぞれの工程において、工程にて取り扱われる対象物に付与された識別画像が端末によって読み取られた場合に、コンピュータにより、端末を制御して、端末又は端末と対応する表示器に、識別画像から特定される対象物の図面を表示させ、少なくとも一つの工程を第1工程として、第1工程の進行に関する情報が端末を通じて入力された場合に、コンピュータにより、情報を取得し、コンピュータにより、取得された情報を、第1工程と関連付けて記憶装置に記憶させ、コンピュータにより、記憶装置に記憶された情報に基づいて、第1工程又は第1工程と対応する第2工程に関する処理を実行することで解決される。
上記の作業管理支援方法によれば、作業中の各工程での図面の参照と、少なくとも一つの工程(第1工程)の進行に関する情報の記録、及びその情報に基づく処理と、をより容易に実施することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の工程からなる作業の管理をより簡単に行うための作業管理支援装置、作業管理支援システム、及び作業管理支援方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】作業の流れを示す図である。
図2】作業ラインの概略図である。
図3】作業管理支援システムの概念図である。
図4】本発明の一つの実施形態に係る作業管理支援装置を構成するコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
図5】作業管理リストの一例を示す図である。
図6】作業管理用の操作画面の一例を示す図である。
図7】対象物に付与された識別画像の一例を示す図である。
図8】図面を表示した画面の一例を示す図である。
図9】注記情報を表示した画面の一例を示す図である。
図10】本発明の一つの実施形態に係る作業管理支援装置の機能を示す図である。
図11】作業管理支援フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態)について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面は、図示の便宜上、幾分簡略化及び模式化して各部材を示している。また、図面(例えば、図6、8及び9)が示す画面例も一例に過ぎず、画面の構成例、表示される情報の内容、及びGUI(Graphical User Interface)等は、システム設計の仕様及びユーザの設定等に応じて自由に設計することができ、また適宜変更し得るものである。
【0022】
また、本明細書に記載する「装置」という概念には、特定の機能を一台で発揮する単一の装置が含まれるとともに、分散してそれぞれが独立して存在しつつも協働(連携)して特定の機能を発揮する複数の装置も含まれることとする。
【0023】
<<本実施形態の概略>>
本実施形態は、作業の管理を支援する技術の一例であり、作業管理支援装置、作業管理支援システム、及び作業管理支援方法に関する。
先ず、本実施形態により管理される作業について説明する。作業は、例えば対象製品を生産(製造)する作業であり、複数の工程を含み、各工程が順番に実施されることで対象製品が完成する。以降、対象製品を、その製造途中の段階のものを含めて、「対象物T」と呼ぶこととする。
【0024】
本実施形態において、対象物Tは、案件と紐付けられている。案件は、複数の対象物Tを組み立てる業務の案件であり、例えば、住宅等の注文物件の建設工事等が案件に該当する。作業は、注文物件を構成する建材を生産する作業であり、例えば、鉄骨の生産作業等が作業に該当する。以下では、鉄骨の生産作業を具体例に挙げて説明することとする。
【0025】
鉄骨の生産作業では、図1に示すように「ケガキ」、「部材加工(前加工)」、「組立て」、「一次溶接」及び「二次溶接」という複数の工程がこの順序で実施される。また、本実施形態において、鉄骨の生産作業は、生産工場で実施される流れ作業である。詳しく説明すると、図2に示すように、生産工場内にて対象物Tが搬送ラインに沿って搬送され、各工程は、対象物Tが搬送ラインにおいて各工程と対応する位置で静止している間に実施される。なお、各工程が実施されるエリアを、以下では、「ステーション」とも呼ぶこととする。
【0026】
各工程において、作業者は、各工程のステーションにて、各工程に割り当てられた仕事(要素作業)を行い、要素作業では、対象物Tに対して所定の措置又は加工等を施す。また、各工程において、作業者は、対象物Tの図面、具体的には対象物Tの組立手順等、要素作業の内容が分かる図面を参照する。なお、同じ種類の対象物Tを取り扱う作業の各工程にて参照される図面は、原則として共通する。
要素作業の終了後、作業者は、次の工程に対象物Tを引き渡す。
なお、各工程を担当する作業者の人数については、任意の人数でもよく、また、一つの作業全体を通じて複数の工程全てを一人の作業者が行ってもよい。
【0027】
鉄骨の生産作業は、案件に必要な鉄骨の本数と同じ回数だけ繰り返され、各回の作業では、「ケガキ」、「部材加工」、「組立て」、「一次溶接」及び「二次溶接」が繰り返し実施される。各回の作業における各工程の手順、すなわち、各工程での要素作業の内容は、原則として、作業間で共通するが、例えば、対象物Tの一部分の形状又は寸法等が異なり、又は対象物Tに取り付けた部品の位置がずれているケースでは変則的な内容になり得る。その場合、作業者は、要素作業として行われた変則的内容(すなわち、作業の変更点)を注記情報として記録する。その後の工程の作業者は、上記の注記情報を確認した上で、その物が担当する工程にて要素作業を行う。
【0028】
本実施形態では、作業時間、作業の進捗状況、及び作業に必要な各種の情報がデータ化される。これにより、作業者は、データ化された情報を適宜確認しながら作業を進めることができ、また、作業の管理者は、作業の進捗状況等をデータによって把握することができる。また、作業時間等のデータは、収集後に編集することができ、例えばグラフ等によって可視化して表示することが可能である。さらに、これまでに実施された作業について、作業時間、及び/又は各工程の所要時間等を実績値として蓄積することにより、作業における労働生産性(単位時間当たりの生産量)を評価し、その評価結果に基づいて、作業手順の見直し等を検討することができる。
【0029】
<<本実施形態に係る作業管理支援システムについて>>
次に、本実施形態に係る作業管理支援システム(以下、支援システムSと簡略化する)について図3を参照しながら説明する。
支援システムSは、図3に示すように、作業者が利用する端末10と、作業管理支援装置(以下、支援装置20と簡略化する)と、生産工場内に設置されたアクセスポイント30と、表示モニタ32とによって構成される。
【0030】
端末10は、タブレット端末、ラップトップ型のパソコン又はスマートフォン等の通信端末であり、端末10には、作業管理支援用のアプリケーションプログラムがインストールされている。作業中の各工程において、作業者は、上記のアプリケーションプログラムを起動して端末10を操作し、その工程で取り扱う対象物Tの図面等を端末10の表示画面にて参照する。また、作業者は、各工程にて変則的内容を行った場合には、その内容を端末10の入力機器(例えば、タッチパネル)により入力する。
【0031】
なお、端末10は、作業者の各人に支給されてもよく、また、工程毎に用意されてもよい。あるいは、各工程を担当する作業者が一台又は数台の端末10を共用してもよい。
【0032】
また、本実施形態において、端末10は、画像を光学的に読み取る(キャプチャする)機能を備え、分かり易くは、画像を撮影するカメラを搭載している。この機能により、各工程において、作業者は、後述する識別画像(図6参照)を端末10で読み取ることができる。
【0033】
支援装置20は、プロセッサを備えるコンピュータによって構成され、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション又はサーバコンピュータ等によって構成される。支援装置20は、1台のコンピュータによって構成されてもよく、あるいは並列分散された複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
なお、支援装置20は、生産工場内に設置されてもよいし、あるいは、生産工場から離れた建物(例えば、案件を請け負う会社の社屋等)に設置されてもよい。
【0034】
支援装置20は、作業管理のために用いられ、具体的には、作業管理に関する一連の情報処理を実行する。また、支援装置20を構成するコンピュータ(以下、支援用コンピュータという)は、図4に示すように、プロセッサ11、メモリ12、通信用インタフェース13、入力装置14及び出力装置15を有する。
【0035】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、TPU(Tensor Processing Unit)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって構成される。
メモリ12は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリによって構成される。
通信用インタフェース13は、例えばネットワークインターフェースカード、又は通信インタフェースボード等によって構成される。
入力装置14は、例えばキーボード、マウス又はタッチパネル等によって構成される。
出力装置15は、例えばディスプレイ及びスピーカ等によって構成される。
【0036】
また、支援用コンピュータには、ソフトウェアとして、オペレーティングシステム(OS)用のプログラム、及び、作業管理用のアプリケーションプログラムがインストールされている。これらのプログラムがプロセッサ11によって実行されることで、支援用コンピュータは、作業管理支援装置として機能する。
【0037】
また、支援用コンピュータは、図4に示すように記憶装置16に接続されている。本実施形態において、記憶装置16は、支援装置20の構成機器の一つであり、例えばファイルサーバ、具体的にはNAS(Network Attached Storage)である(図1参照)。ただし、これに限定されず、記憶装置16は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、FD(Flexible Disc)、MOディスク(Magneto-Optical disc)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SDカード(Secure Digital card)、又はUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)等によって構成されてもよい。なお、記憶装置16を構成するストレージは、支援用コンピュータに内蔵されてもよく、あるいは、外付け形式で取り付けてもよい。
【0038】
支援用コンピュータ及び記憶装置16(NAS:Network Attached Storage)は、通信用インタフェース13を介して他の機器と通信可能である。具体的には、生産工場内には無線LAN(Local Area Network)が構築されており、支援用コンピュータ及び記憶装置16は、HUBを介して工場内に複数設置されたアクセスポイント30に接続されている。これにより、支援用コンピュータ及び記憶装置16は、無線LANを通じて工場内の通信機器、具体的には端末10及び表示モニタ32等と無線方式で通信可能である。
なお、支援用コンピュータ及び記憶装置16、すなわち支援装置20は、有線にて端末10及び表示モニタ32と接続されてもよく、つまり、これらの機器と有線方式で通信してもよい。
【0039】
表示モニタ32は、端末10とは別に工場内に設けられた表示器であり、例えば、対象物Tの搬送ライン付近に複数台設置されている。各表示モニタ32には、一台以上の端末10と対応付けられており、具体的に説明すると、各表示モニタ32は、その設置位置から所定距離内にある端末10と、Bluetooth(登録商標)又はWi-fi(登録商標)にて通信可能である。各表示モニタ32には、対応付けられた端末10に表示される情報を表示させることができ、例えば、支援装置20が端末10に向けて送信した情報等を、対応する表示モニタ32に表示させることができる。
【0040】
なお、表示モニタ32の設置台数は、任意の台数でもよいが、各ステーションに少なくとも1台ずつ設置されるのが好ましい。また、表示モニタ32は、端末10の画面よりも大型のモニタであることが好ましい。
【0041】
本実施形態では、以上のように構成された支援システムSにより、鉄骨の生産作業を容易に管理することができ、具体的には、作業進捗の管理、作業時間の算出、各工程における図面の参照、及び注記情報の記録等の目的に支援システムSを利用することができる。
以下、それぞれの目的で支援システムSを利用する手順について、目的別に説明する。
【0042】
(1)作業進捗の管理
作業進捗を管理する場合、例えば、作業における最初の工程(すなわち、「ケガキ」の工程)を担当する作業者が、端末10にて作業開始用の入力操作を行う。入力操作に際し、例えば、作業者の端末10には、図5に示す作業管理リストが表示される。作業管理リストには、作業毎にレコード(以下、作業管理レコードという)が収録されている。各案件の作業管理レコードは、記憶装置16に記憶されており、作業管理レコードには、作業状況、作業の実施日、作業にて生産される鉄骨のID番号、その鉄骨が用いられる案件の情報(物件情報)、及び各工程のステータス等が含まれる。各工程のステータスは、その工程が現時点で未開始、実施中、完了のいずれに該当するかを表す情報である。
【0043】
作業者は、上記のリストの中から、開始する作業を指定する。これにより、端末10は、指定結果を示すデータを支援装置20に送信する。その後、作業中の各工程を担当する作業者は、その工程の開始時に端末10を操作する。より詳しく説明すると、作業者が端末10にて所定の操作、例えば、対象物Tに付与された二次元バーコードQを端末10にて読み取る操作を行うと、作業管理支援用のアプリケーションプログラムが起動し、図6に示す操作ウィンドウWが端末10の画面に表示される。操作ウィンドウWには、工程の内容及びステータス、その工程を含む作業、作業と紐付けられた案件(物件情報)、並びに、工程の計画時間等が表示されるとともに、操作受け付け用のボタンが複数設けられている。
【0044】
各工程を担当する作業者は、端末10を操作し、工程開始時に所定の操作(例えば、不図示の開始ボタンを押す操作)を行う。これにより、工程開始とその時刻を示す情報(以下、開始情報という)が端末10から支援装置20に送信される。支援装置20は、開始情報を端末10から受信し、記憶装置16に記憶させる。また、支援装置20は、開始情報の記憶に伴って作業管理レコードを更新し、具体的には、開始された工程のステータスを「作業中」に変更する。
なお、各工程を開始する操作は、例えば、後述する図面参照用の操作(具体的には、識別画像の読み取り操作)であってもよい。
【0045】
また、作業中の各工程を担当する作業者は、その工程の終了時に端末10を操作し、具体的には、図6に示す操作ウィンドウW中、終了ボタンを押す。これにより、工程終了とその時刻を示す情報(以下、終了情報という)が端末10から支援装置20に送信される。支援装置20は、終了情報を端末10から受信して記憶装置16に記憶させる。また、支援装置20は、終了情報の記憶に伴って作業管理レコードを更新し、具体的には、終了した工程のステータスを「完了」に変更する。
【0046】
なお、各工程において、開始情報をまだ受信していない段階では、終了情報を受信することができないように設定されており、つまり、各工程を担当する作業者は、その工程を開始していない限り、その工程に対する終了操作を行うことができない。また、各工程において、その直前の工程について終了情報を受信していない段階では、開始情報を受信することができないように設定されており、つまり、各工程を担当する作業者は、直前の工程が終了していない限り、その工程に対する開始操作を行うことができない。
【0047】
そして、各工程の開始情報及び終了情報を工程毎に取得し、最後の工程、すなわち「二次溶接」の工程について終了情報を取得した時点で作業が完了する。この時点で、支援装置20は、作業管理レコード中の作業状況を「完了」に更新する。
【0048】
(2)作業時間の算出
作業時間を算出する場合には、例えば、作業管理者が、算出対象とする作業(以下、対象作業)を指定し、支援装置20が、指定された対象作業の各工程について取得された開始情報及び終了情報に基づいて作業時間を算出する。より詳しく説明すると、支援装置20は、対象作業の各工程について、開始情報を取得してから終了情報を取得するまでの所要時間を計測し、工程毎に計測した所要時間を合計して対象作業の作業時間を算出する。
なお、作業時間の算出結果は、所定の機器にて適宜出力されるのが好ましく、例えば、作業管理者が利用する端末(不図示)に向けて、作業時間の算出結果を表示させるデータを送信してもよい。
【0049】
(3)図面の参照
各工程において作業者が図面を参照する場合、作業者は、その工程にて取り扱われる対象物Tの識別情報を取得し、当該識別情報を支援装置20に向けて送信する。より詳しく説明すると、本実施形態では、対象物Tには図7に示す二次元バーコードQ(識別画像に相当)が付与されており、厳密には、対象物Tの所定位置に、二次元バーコードQが印刷されたラベルが貼り付けられている。作業者が二次元バーコードQを端末10によって読み取ると、端末10が、読み取り画像のデータ(すなわち、二次元バーコードQのキャプチャ画像を示すデータ)を支援装置20に向けて送信する。支援装置20は、読み取り画像のデータを解析して、対象物Tに付与された二次元バーコードQを特定する。
【0050】
二次元バーコードQは、対象物T、及びその対象物Tが用いられる案件(物件情報)と関連付けられている。対象物Tの図面を示すデータは、例えば、対象物Tが用いられる案件(物件情報)と関連付けられて、対象物T毎に記憶装置16に記憶されており、その記憶先の情報は、二次元バーコードQに組み込まれている。そして、支援装置20は、対象物Tに付与された二次元バーコードQに基づき、現時点で実施中の工程にて取り扱われる対象物Tの図面(以下、参照図面)を特定し、参照図面のデータを記憶装置16から読み出す。その後、支援装置20は、現時点で実施中の工程を担当する作業者によって操作される端末10を、参照図面のデータに基づいて制御する。これにより、図8に示すような参照図面が端末10の画面に表示される。
【0051】
なお、本実施形態では、端末10の代わりに、あるいは端末10とともに表示モニタ32に参照図面を表示させることができる。すなわち、支援装置20が参照図面を表示するように端末10を制御した場合に、端末10から表示モニタ32へ制御信号が伝送され、これにより表示モニタ32にも参照図面を表示させることができる。この結果、作業者は、端末10よりも画面サイズが大きい表示モニタ32にて参照図面を見ることができ、参照図面にて作業内容を確認することがより容易になる。
【0052】
また、本実施形態では、対象物Tの図面を示すデータとして、2種類のデータが記憶装置16に記憶されている。そのうちの一方のデータは、更新が可能な図面データであり、詳しくは編集又は書き込み可能な形式で保存されたデータ(例えば、pdfファイル形式のデータ)であり、以下では、そのデータに基づいて表示される図面を「第1図面」と呼ぶこととする。もう一方のデータは、更新が不可能な図面であり、詳しくは編集不可能な読み取り専用の形式で保存されたデータ(例えば、拡張子がdwx、dwg、dxf等のデータ)であり、以下では、そのデータに基づいて表示される図面を「第2図面」と呼ぶこととする。
【0053】
各工程において、作業者は、図面を参照する際に、第1図面及び第2図面のうち、少なくとも一方を選択し、操作ウィンドウWにおいて、選択した方の図面と対応するボタンを押す。具体的には、第1図面を参照する場合には「編集可能」のボタンを押し、第2図面を参照する場合には「編集不能」のボタンを押す。そして、支援装置20は、第1図面及び第2図面のうち、参照図面として作業者により選択された図面を端末10又は表示モニタ32に表示させる。
【0054】
(注記情報の記録)
注記情報を記録する場合、作業者、厳密には、ある工程の要素作業において変則的内容を行った作業者は、その変則的内容を示す注記情報を端末10にて入力する。より具体的に説明すると、注記情報を入力する時点において端末10には図面(参照図面)が表示されており、作業者は、表示されている図面中、変則的内容が行われた箇所に対して所定の編集操作、例えば、当該箇所を囲む線を書き込む操作を行う。なお、この時点で表示される図面は、上述の第1図面である。
【0055】
上記の編集操作が行われると、注記入力フォーム(不図示)が端末10に表示され、作業者は、その入力フォームに、フリーコメント形式で注記情報を入力する。注記情報の入力が完了すると、端末10が、入力された注記情報を示すデータを支援装置20に送信し、支援装置20は、そのデータを受信することで上記の注記情報を取得する。取得された注記情報は、その注記情報が入力された時点で端末10に表示された図面(参照図面)と関連付けて記憶装置16に記憶される。
【0056】
記憶された注記情報は、その後に実施された工程において、当該工程にて取り扱われる対象物Tの図面とともに、端末10又は表示モニタ32に表示させることができる。具体的に説明すると、注記情報が入力された工程より後の工程を担当する作業者は、その工程において所定の操作を行い、例えば、参照図面とともに表示される操作ウィンドウWにおいて、注記情報参照用のボタンを押す(図9の(a)参照)。支援装置20は、この操作をトリガーとして、端末10を制御し、前の工程で入力された注記情報を端末10又は表示モニタ32に表示させる。このとき、注記情報は、図9の(b)に示すようにリスト形式で表示され、リストには、現在進行中の作業に含まれる複数の工程のそれぞれについて、それまでに入力された注記情報がすべて表示される。
【0057】
また、作業者がリストに表示された注記情報の一つを選択すると、支援装置20が、選択された注記情報と関連付けられている図面、つまり注記情報を入力する際に編集(書き込み)がなされた図面を端末10又は表示モニタ32に表示させる。
【0058】
<<本実施形態に係る作業管理支援装置の機能>>
次に、支援装置20の構成について機能面から改めて説明することとする。
支援装置20は、図10に示すように、表示制御部41と、更新部42と、情報取得部43と、記憶部44と、処理実行部45と、を有する。処理実行部45は、注記表示部46と、制限解除部47と、計測部48とを有する。これらの機能部は、支援用コンピュータが備えるハードウェア機器と、支援用コンピュータに搭載された各種プログラム等のソフトウェアとの協働によって実現される。以下、それぞれの機能部について説明する。
【0059】
(表示制御部)
表示制御部41は、作業中の各工程において、対象物Tに付与された二次元バーコードQが端末10によって読み取られた場合に、二次元バーコードQから、現時点で実施中の工程にて取り扱われる対象物Tの図面、すなわち参照図面を特定する。そして、表示制御部41は、記憶装置16に記憶された参照図面のデータに基づいて端末10を制御して、端末10又は表示モニタ32に、参照図面を表示させる。
また、本実施形態において、表示制御部41は、参照図面として、更新が可能な図面データに基づく第1図面、及び、更新が不可能な図面データに基づく第2図面のうち、端末10にて選択された少なくとも一方を端末10又は表示モニタ32に表示させる。
【0060】
なお、表示制御部41は、図面以外の情報を端末10又は表示モニタ32に表示させてもよく、例えば、案件に関する情報、具体的には、案件に用いられる対象物Tの標準仕様、または、案件(物件)毎に指定される溶接条件等の補完的な情報などを別途表示させてもよい。これらの情報は、二次元バーコードQの読み取りではなく、作業者による個別の表示要求に応じて表示させるとよい。
【0061】
(更新部)
更新部42は、各工程において、参照図面が表示された端末10にて編集操作が行われた場合に、編集操作に応じて、参照図面を示す図面データを更新する。具体的に説明すると、ある工程における要素作業にて変則的内容を行った作業者は、その時点で端末10に表示されている参照図面中、変則的内容が行われた箇所に対して編集操作(具体的には、書き込み操作)を行う。更新部42は、その編集操作を示すデータを端末10から受信し、編集内容が反映されるように、参照図面を示す図面データを更新する。
【0062】
(情報取得部)
情報取得部43は、作業中の少なくとも一つの工程を第1工程として、第1工程の進行に関する情報が端末10を通じて入力された場合に、その情報を、端末10との通信を通じて取得する。
【0063】
具体的に説明すると、本実施形態では、複数の工程のそれぞれを第1工程として、第1工程の進捗に関する進捗情報が、第1工程を担当する作業者により工程毎に入力される。ここで、進捗情報は、前述の開始情報及び終了情報を含む。各工程の開始情報は、その工程の開始及びその時刻を示し、各工程の終了情報は、その工程の終了及びその時刻を示す。情報取得部43は、進捗状況を工程毎に取得し、詳しくは、各工程を担当する作業者が工程の開始及び終了を入力する際に用いた端末10から、開始情報及び終了情報の各々のデータを受信する。
【0064】
また、第1工程において、第1工程にて行われた変則的内容を示す注記情報が入力された場合に、情報取得部43は、入力された注記情報を取得する。より詳しく説明すると、第1工程において変則的内容を行った作業者は、第1工程にて取り扱われる対象物Tの図面(参照図面)が表示された端末10を通じて、注記情報を入力する。その後、端末10は、入力された注記情報を示すデータを支援装置20に向けて送信し、情報取得部43は、そのデータを端末10から受信することで、入力された注記情報を取得する。この際、情報取得部43は、取得された注記情報の入力時点で端末10に表示されていた参照図面(以下、注記情報入力時点での表示図面)を特定する。
【0065】
(記憶部)
記憶部44は、情報取得部43により取得された情報を記憶装置16に記憶させる。本実施形態において、情報取得部43は、第1工程に関する情報を取得し、記憶部44は、取得された情報を、第1工程と関連付けて記憶装置16に記憶させる。具体的に説明すると、記憶部44は、それぞれの工程の進捗情報(つまり、開始情報及び終了情報)を、それぞれの工程と関連付けて工程毎に記憶装置16に記憶させる。例えば、「組立」の工程について進捗情報が取得された場合、記憶部44は、その進捗情報を「組立」の工程と関連付けて記憶装置16に記憶させる。
【0066】
また、情報取得部43が第1工程について注記情報を取得した場合、記憶部44は、その注記情報を第1工程と関連付けて記憶装置16に記憶させる。この際、記憶部は、注記情報を、注記情報入力時点での表示図面とさらに関連付けて記憶装置16に記憶させる。
【0067】
(処理実行部:注記表示部、制限解除部及び計測部)
処理実行部45は、記憶装置16に記憶された情報、換言すると情報取得部43が第1工程について取得した情報に基づいて、第1工程又は第1工程と対応する第2工程に関する処理を実行する。ここで、第2工程とは、例えば、第1工程を含む作業において、第1工程の後に実行される工程である。また、第1工程又は第2工程に関する処理とは、第1工程又は第2工程の進捗を管理する目的、あるいは第2工程を円滑に進行させる目的で実行される処理である。
【0068】
処理実行部45は、互いに内容が異なる3つの処理を実行し、具体的には、注記表示部46が注記表示処理を実行し、制限解除部47が制限解除処理を実行し、計測部48が計測処理を実行する。
【0069】
注記表示部46は、情報取得部43が第1工程について注記情報を取得した場合に、第2工程において注記表示処理を実行し、具体的には、第2工程にて取り扱われる対象物Tの図面とともに、注記情報を端末10又は表示モニタ32に表示させる。本実施形態において、注記表示処理は、第2工程を担当する作業者が端末10にて所定の操作、具体的には、操作ウィンドウWの注記情報表示ボタンを押す操作をトリガーとして実行される。
【0070】
制限解除部47は、制限解除処理において、情報取得部43が第1工程について取得した進捗情報に基づき、第2工程に対する制限が解除可能であるか否かを判定し、解除可能である場合には制限を解除する。制限解除部47は、複数の工程のそれぞれを第1工程とし、第1工程の直後に実施される工程を第2工程として制限解除処理を実行する。つまり、制限解除処理は、複数の工程のうち、最初の工程(つまり、「ケガキ」の工程)を除く各工程を第2工程として繰り返し実行される。
【0071】
制限解除処理について詳述すると、本実施形態では、情報取得部43が第1工程について開始情報を取得してから終了情報を取得するまでの間、第2工程についての進捗情報(詳しくは、開始情報)の入力に対する制限、及び、第2工程における象物Tの図面の表示に対する制限が設けられる。そして、情報取得部43が第1工程について終了情報を取得した場合に、制限解除部47は、第2工程に対する上記の制限を解除する。制限が解除されることにより、第2工程について開始情報の入力及び受付けが許可され、また、第2工程において対象物Tの図面(参照図面)が表示可能となる。
【0072】
計測部48は、情報取得部43が第1工程について取得した進捗情報に基づいて、第1工程の所要時間、詳しくは、第1工程について開始情報を取得してから終了情報を取得するまでの所要時間を計測する計測処理を実行する。計測部48は、複数の工程のそれぞれを第1工程として計測処理を実行し、つまり、作業に含まれる各工程の所要時間を計測する。
【0073】
<<本実施形態に係る作業管理支援方法について>>
次に、支援システムSにおいて実行される作業管理支援フローについて、図11を参照しながら説明する。作業管理支援フローは、本発明の作業管理支援方法を採用しており、図11に示す流れに沿って進行する。つまり、図11に示す作業管理支援フロー中の各ステップは、本発明の作業管理支援方法の構成要素に該当する。
なお、図11に示す作業管理支援フローは、あくまでも一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、ステップの実施順序を入れ替えてもよい。
【0074】
作業管理支援フローの各ステップは、支援装置20を構成するコンピュータ、すなわち支援用コンピュータによって実施される。作業管理支援フローは、作業者が端末10を操作して作業開始用の入力操作、例えば図5に示す作業管理リストから開始する作業を指定すると、これをトリガーとしてスタートする。
【0075】
作業管理支援フローでは、先ず、最初の工程(すなわち、「ケガキ」)を担当する作業者が端末10にて工程開始を入力し、支援用コンピュータが、その工程について開始情報を取得する(S001)。取得された開始情報は、実施中の作業、及び開始された工程と関連付けられて記憶装置16に記憶される。
【0076】
次に、最初の工程を担当する作業者が、その工程で取り扱われる対象物Tに付与された二次元バーコードQを端末10にて読み取り、支援用コンピュータが、その読み取り画像を取得する(S002)。その後、支援用コンピュータは、読み取り画像が示す二次元バーコードQから対象物Tの図面を特定する(S003)。
【0077】
そして、支援用コンピュータは、最初の工程を担当する作業者の端末10を制御して、ステップS003にて特定された図面を、当該端末10又は当該端末10と対応する表示モニタ32に表示させる(S004)。
【0078】
また、最初の工程において変則的内容が行われ、作業者が端末10を操作して注記情報を入力した場合(S005)、支援用コンピュータは、入力された注記情報を取得する(S006)。取得された注記情報は、注記情報が取得された工程(すなわち、変則的内容が行われた工程)と、注記情報入力時点で表示されていた図面と、に関連付けられて記憶装置16に記憶される。
【0079】
そして、最初の工程が終了した時点で作業者が端末10にて工程終了を入力し、支援用コンピュータが、その工程について終了情報を取得すると(S007)、取得された終了情報が、実施中の作業、及び終了した工程と関連付けられて記憶装置16に記憶される。これに伴って、支援用コンピュータが、計測処理及び制限解除処理を実行する(S008、S009)。
【0080】
計測処理において、支援用コンピュータは、直前に終了した工程について、開始情報を取得してから終了情報を取得するまでの所要時間を計測する。なお、計測処理は、計測対象の工程が終了した直後に実行される場合に限定されず、一つの作業に含まれる複数の作業すべてが終了した時点で実行されてもよい。
【0081】
制限解除処理において、支援用コンピュータは、次の工程(すなわち、二番目の「部材加工」)に対する制限を解除する。これにより、制限が解除された工程(すなわち、「部材加工」)では、開始情報の入力及び受付けが許可され、また、当該工程における対象物Tの図面の表示が可能となる。
【0082】
その後、二番目の工程に移行し、支援用コンピュータは、その工程について、ステップS001と同様の手順で開始情報を取得する(S011)。
また、前の工程(すなわち、最初の工程)で注記情報が取得されたケースにおいて、二番目の工程を担当する作業者が、注記情報を表示させる操作を端末10にて行ったとする(S012)。この場合、支援用コンピュータは、注記表示処理を実行し、対象物Tの図面とともに、注記情報を作業者の端末10、又は当該端末10と対応する表示モニタ32に表示させる(S013)。
【0083】
その後、二番目の工程について、ステップS002~S009が実施される。三番目以降の工程では、二番目の工程と同様に、ステップS011~S013が実施された後に、ステップS002~S009が実施される。
【0084】
そして、最後の工程(すなわち、「二次溶接」)が終了し、最後の工程について計測処理(S008)が実行された時点で作業管理支援フローが終了する。
また、新たな作業が開始されると、その都度、上述した一連のステップが繰り返し実施される。
【0085】
<<本実施形態の有効性について>>
本実施形態によれば、作業中の各工程において、各工程で取り扱う対象物Tの図面を容易に参照することができる。具体的に説明すると、対象物Tに付与された二次元バーコードQを端末10に読み取ることで、対象物Tの図面(参照図面)が端末10又は表示モニタ32に表示されるので、作業者は、端末10又は表示モニタ32を通じて参照図面を容易に確認することができる。また、図面を印刷(プリント)する手間が省け、また、プリント用紙の使用枚数を削減しペーパレス化の促進を図ることができる。
【0086】
また、本実施形態では、参照図面として、更新(分かり易くは上書き保存)が可能なデータに基づく第1図面、換言すると、編集や書き込みが可能な第1図面が端末10に表示可能である。これにより、例えば注記情報を入力する際には、その該当箇所を図面に書き込むことができ、また、書き込み内容を注記情報と併せて記憶装置16に記憶させておくことができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、作業の進行状況、詳しくは、各工程の進捗の管理がより容易になる。具体的に説明すると、各工程を担当する作業者が、工程開始の操作、及び工程終了の操作を端末10で行うと、その情報が進捗情報(具体的には、開始情報及び終了情報)として記憶装置16に記憶される。そして、進捗情報が工程毎に記憶されるので、作業中の各工程の進捗を適切に管理することができる。また、開始情報及び終了情報の取得によって各工程の所要時間が計測可能になり、これにより、作業時間を容易に把握することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、各工程において変則的内容(イレギュラーな対応又は措置等)を行った場合、その内容を示す注記情報を容易に記録し、また、入力された注記情報を容易に確認することができる。具体的に説明すると、変則的内容を行った作業者は、端末10にて注記情報を入力し、入力された注記情報は、記憶装置16に記憶される。そして、変則的内容が行われた工程の後に実施される工程において、作業者は、端末10にて注記情報表示用の操作を行うことで、前の工程で入力された注記情報を端末10又は表示モニタ32にて確認する。これにより、注記情報をより容易に確認することができる。
より詳しく説明すると、従来、注記情報に該当する内容は、図面が印刷(プリント)された紙に書き込まれていた。このような状況においてある工程にて変則的内容が行われた場合、作業者は、注記情報が記載された図面があるか否かを判定するのに、関係する工程の図面を全て確認する必要があった。
これに対して、本実施形態によれば、注記情報を抽出して端末10又は表示モニタ32に表示させることができ、さらに、注記情報をリスト形式で表示させることができる。これにより、注記情報の確認が従来に比べて格段に容易になる。
【0089】
また、本実施形態によれば、前(厳密には、直前)の工程が終了しない間は、次の工程について開始情報の入力、及び図面の表示が制限される。これにより、作業中の各工程を順序通りに進めることができ、作業の進行を適切に管理することができる。
【0090】
<<その他の実施形態について>>
以上までに、本発明の作業管理支援装置、作業管理支援システム、及び作業管理支援方法に関する一つの実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれることは勿論である。
【0091】
上記の実施形態では、生産工場内において端末10の他に表示モニタ32が設置されており、図面等を、端末10の代わりに、あるいは端末10とともに表示モニタ32にも表示可能であることとした。ただし、これに限定されるものではなく、工場内に表示モニタ32が設置されず、図面等を端末10にのみ表示させてもよい。
【0092】
また、上記の実施形態では、各工程において対象物Tの図面を参照する際に、作業者が、対象物Tに付与された二次元バーコードQを端末10にて読み取ることとした。ただし、読み取る識別画像は、二次元バーコードQに限定されず、例えばテキスト又は数値、暗号化された情報でもよい。
【0093】
また、上記の実施形態では、作業時間の算出に際し、作業者又は作業管理者が対象作業を指定し、指定された対象作業について作業時間が算出されることとした。ただし、これに限定されず、支援装置20によって作業時間が自動的に算出されてもよく、例えば、作業が終了した時点で、その作業の作業時間が自動的に算出されてもよい。
【0094】
また、上記の実施形態では、建物の建設工事に用いられる建材(具体的には、鉄骨)を生産する作業を例に挙げて説明したが、本発明は、建材以外の製品を生産/製造する作業に対して適用可能である。例えば、設備機器の組立作業に対して本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 端末
11 プロセッサ
12 メモリ
13 通信用インタフェース
14 入力装置
15 出力装置
16 記憶装置
20 支援装置(作業管理支援装置)
30 アクセスポイント
32 表示モニタ(表示器)
41 表示制御部
42 更新部
43 情報取得部
44 記憶部
45 処理実行部
46 注記表示部
47 制限解除部
48 計測部
Q 二次元バーコード
T 対象物
S 支援システム(作業管理支援システム)
W 操作ウィンドウ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11