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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125265
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】光ファイバハイドロホン
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20230831BHJP
   G01D 5/353 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G01H9/00 E
G01D5/353
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029263
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陵沢
(72)【発明者】
【氏名】亀山 泰生
(72)【発明者】
【氏名】笹原 優希
【テーマコード(参考)】
2F103
2G064
【Fターム(参考)】
2F103CA08
2F103EC09
2F103EC11
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB13
2G064AB29
2G064BA02
2G064BA07
2G064BA08
2G064BA13
2G064BC06
2G064BC12
2G064BC14
2G064BC22
2G064BC26
2G064BC31
2G064CC17
(57)【要約】
【課題】音波検出の感度に対する温度による影響を抑制した光ファイバハイドロホンを得る。
【解決手段】光ファイバが円筒状に巻かれた光ファイバコイルと、光ファイバコイルの内側に配置された可撓管と、光ファイバコイルおよび可撓管のそれぞれの開放された両端を覆う一対の蓋部とを有し、少なくとも一方の蓋部は、可撓管と光ファイバコイルとの間の空間と一方の蓋部の外側の空間とを繋ぐ開口部を有し、可撓管は、外側の空間の圧力が可撓管の中心軸を含む空間の空洞部分の圧力よりも高くなると、中心軸に向かって中心軸を含む空間の空洞部分を収縮させ、弾性に関わる特性の温度変化が樹脂よりも小さい部材を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバが円筒状に巻かれた光ファイバコイルと、
前記光ファイバコイルの内側に配置された可撓管と、
前記光ファイバコイルおよび前記可撓管のそれぞれの開放された両端を覆う一対の蓋部と、を有し、
前記一対の蓋部のうち、少なくとも一方の蓋部は、前記可撓管と前記光ファイバコイルとの間の空間と前記一方の蓋部の外側の空間とを繋ぐ開口部を有し、
前記可撓管は、前記外側の空間の圧力が前記可撓管の中心軸を含む空間の空洞部分の圧力よりも高くなると、前記中心軸に向かって前記中心軸を含む空間の空洞部分を収縮させ、
前記可撓管は、弾性に関わる特性の温度変化が樹脂よりも小さい部材を有する、
光ファイバハイドロホン。
【請求項2】
前記可撓管は、前記部材で構成され、前記中心軸に直交する面で切った断面が前記中心軸を中心とする円の円周に沿って山と谷とが交互に繰り返される形状である、
請求項1に記載の光ファイバハイドロホン。
【請求項3】
前記中心軸に配置され、前記一対の蓋部を連結する支柱を有し、
前記可撓管は、前記外側の空間の圧力が、前記可撓管の歪が弾性限界に到達する圧力と等しくなる前に、前記可撓管の内側の面が前記支柱に接触する構成である、
請求項2に記載の光ファイバハイドロホン。
【請求項4】
前記部材は、前記中心軸に沿って前記部材として設けられた1つまたは複数のバネであり、
前記可撓管は、前記1つまたは複数のバネを含む空間の空洞部分を密閉する被覆部を有する、
請求項1に記載の光ファイバハイドロホン。
【請求項5】
前記被覆部は、少なくとも前記1つまたは複数のバネと前記一対の蓋部とを包み込んでいる構成である、
請求項4に記載の光ファイバハイドロホン。
【請求項6】
前記被覆部の内側に設けられ、前記1つまたは複数のバネを囲む補強コイルをさらに有する、
請求項4または5に記載の光ファイバハイドロホン。
【請求項7】
前記可撓管は、互いに離れて配置される前記複数のバネを有し、
前記外側の空間の圧力が、前記バネの歪が弾性限界に到達する圧力と等しくなる前に、前記複数のバネは互いに他のバネと接触する、
請求項4~6のいずれか1項に記載の光ファイバハイドロホン。
【請求項8】
前記部材は、金属材料で構成される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の光ファイバハイドロホン。
【請求項9】
前記可撓管は、前記中心軸を含む空間の空洞部分に、空気よりも機械的な抵抗が大きい部材を有する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の光ファイバハイドロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中で音波を検出する光ファイバハイドロホンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高耐水圧の光ファイバハイドロホンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された光ファイバハイドロホンは、光ファイバコイルの内側に配置された弾性円筒と、光ファイバコイルの両端を閉塞する蓋と、蓋の一方に設けられ、光ファイバコイルの内側と外側との圧力平衡を保つ開口部とを有する。特許文献1には、弾性円筒として、樹脂材料で作られた弾性体を用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-68087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された光ファイバハイドロホンにおいて、弾性円筒の材料に樹脂材料が用いられているが、樹脂材料は温度により硬さが変わる。そのため、弾性円筒の体積弾性率は、光ファイバハイドロホンの設置場所の水中の温度によって変化する。弾性円筒の体積弾性率が変わると、光ファイバハイドロホンの感度が変化する。そのため、樹脂製の弾性円筒を用いた光ファイバハイドロホンは、設置場所の温度が変わると感度が変化してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る光ファイバハイドロホンは、光ファイバが円筒状に巻かれた光ファイバコイルと、前記光ファイバコイルの内側に配置された可撓管と、前記光ファイバコイルおよび前記可撓管のそれぞれの開放された両端を覆う一対の蓋部と、を有し、前記一対の蓋部のうち、少なくとも一方の蓋部は、前記可撓管と前記光ファイバコイルとの間の空間と前記一方の蓋部の外側の空間とを繋ぐ開口部を有し、前記可撓管は、前記外側の空間の圧力が前記可撓管の中心軸を含む空間の空洞部分の圧力よりも高くなると、前記中心軸に向かって前記中心軸を含む空間の空洞部分を収縮させ、前記可撓管は、弾性に関わる特性の温度変化が樹脂よりも小さい部材を有するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光ファイバコイルの内側に可撓管が設けられ、可撓管は、光ファイバコイルの周囲の液体の圧力が自管の中心軸を含む空間の空洞部分の圧力よりも高くなると、中心軸を含む空間の空洞部分を収縮させるとともに、弾性に関わる特性の温度変化が樹脂よりも小さい部材を有する。そのため、光ファイバハイドロホンの設置場所の液体の温度変化による感度変化が、従来の樹脂製の弾性円筒の場合よりも小さくなる。その結果、音波検出の感度に対する温度による影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る光ファイバハイドロホンを有する音波検出装置の一構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る光ファイバハイドロホンの一構成例を示す図である。
図3図2に示した光ファイバハイドロホンの作用を説明するための図である。
図4】実施の形態2に係る光ファイバハイドロホンの一構成例を示す図である。
図5図4に示した光ファイバハイドロホンの作用を説明するための図である。
図6】実施の形態3に係る光ファイバハイドロホンの一構成例を示す図である。
図7図6に示した光ファイバハイドロホンの作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
本実施の形態1の光ファイバハイドロホンを有する音波検出装置について説明する。図1は、実施の形態1に係る光ファイバハイドロホンを有する音波検出装置の一構成例を示す図である。
【0009】
音波検出装置50は、水中の音波を検出するセンシング干渉計21と、光をセンシング干渉計21に提供する光源22と、干渉した光を受光する受光部23と、干渉した光から音波を復調する復調部24とを有する。センシング干渉計21は、光ファイバハイドロホン1と、光カプラ2と、ミラー3と、ミラー4とを有する。センシング干渉計21は、水中の音波を検出する際、水中に投入される。
【0010】
光ファイバハイドロホン1は、光ファイバ5dが円筒状に巻かれた光ファイバコイル6を有する。光ファイバ5dの一方の端部は光カプラ2に延び、光ファイバ5dの他方の端部はミラー4に延びている。光ファイバコイル6は、音圧による機械的な歪によって光ファイバ5dを伝播する光の位相を変調する。
【0011】
光源22は、光を、光ファイバ5aを介して光カプラ2に出射する。光カプラ2は、光源22から光ファイバ5aを介して入射される光を分岐し、一方の光を光ファイバ5cに出射し、他方の光を光ファイバ5dに出射する。光カプラ2から光ファイバ5cに出射された光は、ミラー3で反射した後、光ファイバ5cを伝播して光カプラ2に戻る。一方、光カプラ2から光ファイバ5dに出射された光は、光ファイバコイル6を伝播してミラー4で反射した後、再び光ファイバコイル6を伝播して光カプラ2に戻る。光ファイバ5cから光カプラ2に戻る光をリファレンス光と称し、光ファイバコイル6から光カプラ2に戻る光をセンシング光と称する。
【0012】
光カプラ2は、光ファイバ5cから入射されるリファレンス光と光ファイバコイル6から入射されるセンシング光とを結合し、これらの光を結合した干渉光を、光ファイバ5bを介して受光部23に出射する。音圧による機械的な歪によって光ファイバコイル6の経路および光ファイバ5cの経路は長さの差に変化が生じる。そのため、リファレンス光とセンシング光との位相差に変化が生じ、位相差に変化のある2種類の光の干渉光が光カプラ2から受光部23に出射される。
【0013】
受光部23は、光カプラ2から干渉光が入射されると、干渉光を電気信号に変換するO/E(Optical/Electronic)変換を行う。受光部23は、O/E変換後の電気信号を復調部24に出力する。復調部24は、受光部23から電気信号を受信すると、電気信号から光ファイバコイル6によって検出された音波の音圧を復調する。
【0014】
(構成)
次に、図1に示した光ファイバハイドロホン1の構成を説明する。図2は、実施の形態1に係る光ファイバハイドロホンの一構成例を示す図である。図2(a)は光ファイバハイドロホン1の光ファイバコイル6の一部を取り除いて内部構造を模式的に示す図であり、図2(b)は図2(a)のA-A’断面図であり、図2(c)は図2(a)のB-B’断面図である。図2(a)には、説明の便宜上、3次元空間における方向を示す3つの軸を示している。
【0015】
光ファイバハイドロホン1は、光ファイバコイル6と、光ファイバコイル6の内側に配置された可撓管8と、光ファイバコイル6および可撓管8のそれぞれの開放された両端を覆う一対の蓋部7aおよび7bと、一対の蓋部7aおよび7bを連結する支柱9とを有する。一対の蓋部7aおよび7bのうち、蓋部7aに開口部10が形成されている。蓋部7aの代わりに蓋部7bに開口部10が形成されていてもよい。
【0016】
開口部10は、可撓管8と光ファイバコイル6との間の空間S1と光ファイバハイドロホン1の外側の空間とを繋ぐ役目を果たす。光ファイバハイドロホン1が水中にある状態において、開口部10を介して外側から水が空間S1に流れ込むことで、光ファイバコイル6の周囲の水と圧力と空間S1の水の圧力とが同等になる。これにより、光ファイバコイル6は、到来する音波の内、開口部10の流れの応答時間より短い周期の音波の音圧には対応して伸縮するが、周囲の水の圧力によって機械的に歪むことが抑制される。
【0017】
可撓管8の両端は一対の蓋部7aおよび7bと連結している。可撓管8は、可撓管8の中心軸Axを含む空間S2を蓋部7aおよび7bと協働して密閉する。図2(c)に示す中心軸Axは、図2(a)に示すZ軸と平行な座標軸である。図2(c)に示すように、可撓管8は、中心軸Axに直交する面で切った断面の形状が中心軸Axを中心とする円の円周に沿って波打つように山と谷とが交互に繰り返される形状である。可撓管8は、光ファイバハイドロホン1の外側の空間の圧力が空間S2の空洞部分の圧力よりも高くなると、中心軸Axに向かって空間S2が収縮する構成である。
【0018】
可撓管8の材料には、ヤング率またはポアソン比などの弾性に関わる特性の温度変化が樹脂よりも小さい材料が用いられている。具体的には、可撓管8の材料は金属材料が適している。金属材料として、作動圧力範囲の広さが重要になる用途では弾性限界が大きいスチールが適しており、可撓管8の軽量化が重要になる用途ではアルミ合金またはチタン合金が適している。本実施の形態1は、可撓管8の材料が金属材料の場合である。可撓管8の材料の厚みである肉厚、可撓管8の断面形状、および支柱9の直径は、少なくとも次の3つの事項を勘案して設計される。1つ目の事項は、空間S2を含む可撓管8の体積弾性率が、光ファイバハイドロホン1が投入される液体の体積弾性率より小さいことである。2つ目の事項は、可撓管8が収縮することによって可撓管8に生じる歪が弾性限界に到達する前に可撓管8が支柱9と接触し、弾性限界を超える歪が可撓管8に生じないようにすることである。3つ目の事項は、光ファイバハイドロホン1の作動圧力範囲内で可撓管8が支柱9と接触しないようにすることである。可撓管8の材料を金属材料とすることで、樹脂よりも強度が増す。そのため、本実施の形態1によれば、可撓管8の肉厚を樹脂の場合よりも薄くすることで、樹脂の場合と同等の感度が得られる。
【0019】
光ファイバハイドロホン1の通常状態においては、空間S2の空洞部分には空気等の気体が満たされる。ただし、可撓管8の機械的な共振によって光ファイバハイドロホン1の感度周波数偏差が大きくなり、音波検出に影響を及ぼす場合、固体中に気体が分散されたゴムまたはスポンジ等の部材を空間S2に挿入する。このようにして、空気等の気体よりも機械的な抵抗の大きいゴムなどの部材を空間S2に設け、機械的な抵抗の大きい材料に可撓管8を接触させることで、可撓管8の振動に対する機械抵抗が増加し、共振周波数近傍での感度変化を低減することができる。
【0020】
(動作)
次に、本実施の形態1の光ファイバハイドロホン1の動作を説明する。図3は、図2に示した光ファイバハイドロホンの作用を説明するための図である。図3(a)は図2(a)のA-A’断面図であり、図3(b)は図2(a)のB-B’断面図である。図3(a)には、図2(a)と同様に、3次元空間における方向を示す3つの軸を示している。
【0021】
本実施の形態1の光ファイバハイドロホン1を含むセンシング干渉計21が、音波検出対象の水中に投入されると、図2(b)に示した開口部10を介して外側から水が空間S1に流入する。空間S1の圧力と光ファイバコイル6の周囲の水の圧力とが同等になる。そのため、光ファイバコイル6の内側の水圧と外側の水圧とが均等になり、光ファイバコイル6が外側からの水圧によって変形することが抑制される。このようにして、光ファイバハイドロホン1は、高い耐水圧性が得られる。
【0022】
センシング干渉計21が水中に投入された後、光源22が、光を、光ファイバ5aを介して光カプラ2に出射する。光カプラ2は、光源22から入射された光を分岐し、一方の光を光ファイバ5cに出射し、他方の光を光ファイバ5dに出射する。光カプラ2から光ファイバ5cに出射された光は、ミラー3で反射した後、光ファイバ5cを伝播して光カプラ2に戻る。
【0023】
一方、光カプラ2から光ファイバ5dに出射された光は、光ファイバコイル6を伝播してミラー4で反射した後、再び光ファイバコイル6を伝播して光カプラ2に戻る。光ファイバハイドロホン1に音波が到来すると、音波の音圧によって光ファイバコイル6が伸縮する。これにより、光ファイバコイル6を伝播する光の位相が変調される。
【0024】
光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が空間S2の空洞部分の圧力よりも高くなると、図3(a)および図3(b)に示すように、可撓管8が支柱9に向かって収縮するが、可撓管8の断面の形状が、波打つように山と谷とが交互に繰り返される形状である。そのため、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力によって可撓管8が折れ曲がる座屈が起きることが抑制され、空間S2の空洞部分が小さくなることが抑制される。そのため、空間S2を含む可撓管8の体積弾性率が光ファイバコイル6の周囲の水の体積弾性率より小さくなる。その結果、光ファイバコイル6に到来する音波に対して、高い感度が得られる。
【0025】
光ファイバコイル6の伸縮によって位相が変調された光は、センシング光となって、光ファイバコイル6から光カプラ2に戻る。光カプラ2は、光ファイバ5cから入射されるリファレンスと光ファイバコイル6から入射されるセンシング光とを結合した干渉光を、光ファイバ5bを介して受光部23に出射する。受光部23は、光カプラ2から干渉光が入射されると、干渉光をO/E変換した電気信号を復調部24に出力する。復調部24は、受光部23から電気信号を受信すると、電気信号から光ファイバコイル6によって検出された音波の音圧を復調する。このようにして、水中において、光ファイバハイドロホン1に到来した音波が検出される。
【0026】
なお、光ファイバハイドロホン1は、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が作動圧力範囲を超えると、可撓管8が支柱9と接触して感度が低下するが、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が作動圧力範囲に戻ると高い感度での音波の検出を再開する。
【0027】
(効果)
本実施の形態1の光ファイバハイドロホン1の効果を説明する。本実施の形態1の光ファイバハイドロホン1は、光ファイバコイル6の周囲の液体の圧力が空間S2の空洞部分の圧力よりも高くなると、中心軸Axに向かって空間S2の空洞部分を収縮させる可撓管8を有する。可撓管8は、弾性に関わる特性の温度変化が樹脂よりも小さい部材で構成される。そのため、光ファイバハイドロホン1の設置場所の液体の温度変化による感度変化が従来の樹脂性の弾性円筒よりも小さくなる。その結果、音波検出の感度に対する温度による影響を抑制することができる。
【0028】
また、本実施の形態1の光ファイバハイドロホン1は、光ファイバコイル6の周囲の液体の圧力が作動圧力範囲を超えると、可撓管8が支柱9と接触する構成である。そのため、可撓管8に弾性限界を超える歪が生じて可撓管8が変形することを防ぎ、周囲の水の圧力が作動圧力範囲に戻った後の感度が変化してしまうことを抑制できる。
【0029】
従来の光ファイバハイドロホンと比較して、本実施の形態1の光ファイバハイドロホン1の効果を説明する。例えば、特許文献1に開示された光ファイバハイドロホンにおいて、弾性円筒の樹脂材料の代わりに金属材料を用いた場合、感度の温度変化は小さくなるが、感度が大幅に低下する。金属材料の弾性円筒の肉厚を薄くすることで感度を樹脂の場合と同等に保とうとすると、水の圧力によって弾性円筒に座屈が起きやすくなる。その結果、耐水圧性が低下する。これに対して、本実施の形態1の光ファイバハイドロホン1は、中心軸Axに直交する面の断面が波打つように山と谷とが交互に繰り返される形状の可撓管8を有する構成である。そのため、密閉された空間S2の空洞部分を保持する弾性部材に座屈が起きることを抑制するとともに、高い感度が得られる。
【0030】
さらに、特許文献1に開示された光ファイバハイドロホンを用いて、複数のハイドロホンがアレイ状に配置された構成によって音波到来方向を検出する場合を考える。アレイ状に配置された全てのハイドロホンの感度が均等でない場合、音波到来方向の検出誤差が大きくなる。樹脂製の弾性円筒を用いた光ファイバハイドロホンの場合、設置場所の水の温度の違いによって音波到来方向の検出誤差が大きくなるおそれがある。これに対して、本実施の形態1によれば、可撓管8が弾性に関わる特性の温度変化の小さい材料で構成されているため、ハイドロホンの設置場所の水の温度の違いによる感度変化が小さくなる。そのため、複数のハイドロホンの設置場所間の水の温度の違いによる感度変化を低減し、音波到来方向の検出誤差が大きくなることを抑制できる。
【0031】
実施の形態2.
本実施の形態2は、可撓管が弾性に関わる特性の温度変化が樹脂よりも小さい部材として複数のバネを有するものである。本実施の形態2においては、実施の形態1で説明した構成と同一の構成に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、本実施の形態2においては、実施の形態1と異なる構成および動作を詳しく説明し、実施の形態1と同様な構成および動作の説明を省略する。
【0032】
図4は、実施の形態2に係る光ファイバハイドロホンの一構成例を示す図である。本実施の形態2における音波検出装置50は、図1に示したセンシング干渉計21における光ファイバハイドロホン1を図4に示す光ファイバハイドロホン1aに置き換えた構成になる。そのため、以下においては、図1に示した光カプラ2、光源22、受光部23および復調部24の構成について、その詳細な説明を省略する。
【0033】
(構成)
本実施の形態2の光ファイバハイドロホン1aの構成について、図4を参照して説明する。図4(a)は光ファイバハイドロホン1aの光ファイバコイル6の一部を取り除いて内部構造を模式的に示す図であり、図4(b)は図4(a)のA-A’断面図であり、図4(c)は図4(a)のB-B’断面図である。図4(a)には、説明の便宜上、3次元空間における方向を示す3つの軸を示している。
【0034】
光ファイバハイドロホン1aは、光ファイバコイル6と、光ファイバコイル6の内側に配置された可撓管8aと、一対の蓋部7aおよび7bとを有する。可撓管8aは、中心軸Axに沿って設けられた複数のバネ11と、複数のバネ11を含む空間S2を蓋部7aおよび7bと協働して密閉する被覆部12とを有する。被覆部12は、例えば、シート状、または筒状の部材である。被覆部12の材料は、金属材料であってもよいが、金属材料でなくてもよい。被覆部12の材料は、樹脂であってもよい。
【0035】
被覆部12は、蓋部7aおよび蓋部7bのそれぞれに接着等により取り付けられている。これにより、空間S2の空洞部分に光ファイバハイドロホン1aの周囲から液体が入らないようにしている。各バネ11は同じ材料で同じ形のものが用いられている。複数のバネ11は、互いに離れて配置されているが、全体の重心と中心軸Axとが重なるように配置されている。図4(c)に示す構成例においては、8本のバネ11は、中心軸Axを中心とした仮想円の円周において、隣り合う2本のバネ11の中心角が同じになるように配置されている。図4(c)はバネ11の本数が8本の場合を示しているが、バネ11の本数は8本に限らない。バネ11の材料には、ヤング率またはポアソン比などの弾性に関わる特性の温度変化が樹脂よりも小さい材料が用いられている。具体的には、バネ11の材料は金属材料が適している。金属材料として、作動圧力範囲の広さが重要になる用途では弾性限界が大きいスチールが適しており、可撓管8aの軽量化が重要になる用途ではアルミ合金またはチタン合金が適している。本実施の形態2は、バネ11の材料が金属材料の場合である。
【0036】
可撓管8aは、次の複数の事項を勘案して設計される。1つ目の事項は、被覆部12と一対の蓋部7aおよび7bで囲まれた空間S2を含む可撓管8aの体積弾性率が、光ファイバハイドロホン1aが投入される液体の体積弾性率より小さいことである。2つ目の事項は、可撓管8aが収縮することによってバネ11に生じる歪が弾性限界に到達する前に複数のバネ11が互いに他のバネ11と接触し、弾性限界を超える歪がバネ11に生じないようにすることである。3つ目の事項は、光ファイバハイドロホン1の作動圧力範囲内では複数のバネ11が互いに他のバネ11と接触しないようにすることである。
【0037】
また、光ファイバハイドロホン1aの周囲の液体の圧力が高くなることで、空間S1の圧力が高くなったとき、被覆部12および複数のバネ11が中心軸Axに向かって収縮する。このとき、被覆部12の周囲の長さが伸びる変形よりも、複数のバネ11の曲がることによる変形が大きくなるように、被覆部12を構成するシートおよびバネ11の強度が設計される。
【0038】
光ファイバハイドロホン1aの通常状態においては、空間S2の空洞部分には空気等の気体が満たされる。ただし、バネ11の機械的な共振によって光ファイバハイドロホン1aの感度周波数偏差が大きくなり、音波検出に影響を及ぼす場合、固体中に気体が分散されたゴムまたはスポンジ等の部材を空間S2に挿入する。このようにして、上記の空気等の気体よりも機械的な抵抗の大きいゴムなどの部材を空間S2に設け、機械的な抵抗の大きい材料にバネ11を接触させることで、バネ11の振動に対する機械抵抗が増加し、共振周波数近傍での感度変化を抑制することができる。
【0039】
(動作)
次に、本実施の形態2の光ファイバハイドロホン1aの動作を説明する。図5は、図4に示した光ファイバハイドロホンの作用を説明するための図である。図5(a)は図4(a)のA-A’断面図であり、図5(b)は図4(a)のB-B’断面図である。図5(a)には、図4(a)と同様に、3次元空間における方向を示す3つの軸を示している。
【0040】
光源22、受光部23、復調部24、光カプラ2、ミラー3およびミラー4の動作については、実施の形態1で説明した動作と同様になるため、本実施の形態2においては、その詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施の形態2の光ファイバハイドロホン1aを含むセンシング干渉計21が、音波検出対象の水中に投入されると、図4(b)に示した開口部10を介して外側から水が空間S1に流入する。空間S1の圧力と光ファイバコイル6の周囲の水の圧力とが同等になる。そのため、光ファイバコイル6の内側の水圧と外側の水圧とが均等になり、光ファイバコイル6が外側からの水圧によって変形することが抑制される。このようにして、光ファイバハイドロホン1aは、高い耐水圧性が得られる。
【0042】
また、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が空間S2の空洞部分の圧力よりも高くなると、図5(a)および図5(b)に示すように、複数のバネ11および被覆部12が中心軸Axに向かって収縮する。可撓管8aの被覆部12の断面の形状は、バネ11と接している部分が山、接していない部分が谷となり、波打つように山と谷とが交互に繰り返される形状になる。
【0043】
なお、光ファイバハイドロホン1aは、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が作動圧力範囲を超えると、複数のバネ11が互いに他のバネ11と接触して感度が低下する。しかし、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が作動圧力範囲に戻ると、光ファイバハイドロホン1aは、高い感度での音波の検出を再開する。
【0044】
(効果)
本実施の形態2の光ファイバハイドロホン1aの効果を説明する。本実施の形態2の光ファイバハイドロホン1aは、可撓管8aのバネ11が弾性に関わる特性の温度変化の小さい材料で構成されている。そのため、光ファイバハイドロホン1aの設置場所の液体の温度変化による感度変化が従来の樹脂製の弾性円筒の場合よりも小さくなる。その結果、音波検出の感度に対する温度変化による影響を抑制することができる。
【0045】
また、本実施の形態2によれば、可撓管8bのバネ11が弾性に関わる特性の温度変化の小さい材料で構成されているため、ハイドロホンの設置場所の水の温度の違いによる感度変化が小さくなる。そのため、本実施の形態2の光ファイバハイドロホン1aが複数組み合わされてアレイ状に配置されても、複数のハイドロホンの設置場所間の水の温度の違いによる感度変化を低減し、音波到来方向の検出誤差が大きくなることを抑制できる。
【0046】
また、例えば、特許文献1に開示された光ファイバハイドロホンにおいて、弾性円筒の材料を金属材料にすると、感度の温度変化は小さくなるが、感度が大幅に低下する。これに対して、本実施の形態2によれば、弾性円筒の圧縮弾性よりも柔軟なバネ11の弾性を用いているので、硬い金属材料を用いても高い感度が得られる。
【0047】
さらに、本実施の形態2においては、光ファイバコイル6の周囲の液体の圧力が光ファイバハイドロホン1aの作動圧力範囲を超えると、バネ11が他のバネ11と接触することで弾性限界を超える歪がバネ11に発生しない。これにより、光ファイバコイル6の周囲の液体の圧力が光ファイバハイドロホン1aの作動圧力範囲に戻ると、光ファイバハイドロホン1aは、元の感度で音波の検出を再開できる。
【0048】
実施の形態3.
本実施の形態3は、実施の形態2で説明した可撓管をさらに補強するものである。本実施の形態3においては、実施の形態1および2で説明した構成と同一の構成に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、本実施の形態3においては、実施の形態1および2と異なる構成および動作を詳しく説明し、実施の形態1および2と同様な構成および動作の説明を省略する。
【0049】
図6は、実施の形態3に係る光ファイバハイドロホンの一構成例を示す図である。本実施の形態3における音波検出装置50は、図1に示したセンシング干渉計21における光ファイバハイドロホン1を図6に示す光ファイバハイドロホン1bに置き換えた構成になる。そのため、以下においては、図1に示した光カプラ2、光源22、受光部23および復調部24の構成について、その詳細な説明を省略する。
【0050】
(構成)
本実施の形態3の光ファイバハイドロホン1bの構成について、図6を参照して説明する。図6(a)は光ファイバハイドロホン1bの光ファイバコイル6の一部を取り除いて内部構造を模式的に示す図であり、図6(b)は図6(a)のA-A’断面図であり、図6(c)は図6(a)のB-B’断面図である。図6(a)には、説明の便宜上、3次元空間における方向を示す3つの軸を示している。
【0051】
光ファイバハイドロホン1bは、光ファイバコイル6と、光ファイバコイル6の内側に配置された可撓管8bと、一対の蓋部7aおよび7bとを有する。可撓管8bは、複数のバネ11と、複数のバネ11を囲む補強コイル13と、複数のバネ11および補強コイル13を含む空間S2の空洞部分を密閉する被覆部12とを有する。補強コイル13は、複数のバネ11の外側、かつ被覆部12の内側に配置されている。
【0052】
本実施の形態3の光ファイバハイドロホン1bは、実施の形態2で説明した光ファイバハイドロホン1aとの相違点が3つある。1つ目の相違点は、複数のバネ11と被覆部12との間に補強コイル13を設けたことである。補強コイル13に用いる線材には、曲げやすく伸びにくい線材を用いる。具体的には、線材は、硬鋼の高張力線であるピアノ線またはアラミド繊維の線などが適している。補強コイル13は、中心軸Axに平行に配置される複数のバネ11に対して、中心軸Axと直交する方向で全てのバネ11の側面を覆うように線材を巻いた形状である。
【0053】
2つ目の相違点は、一対の蓋部7aおよび7bを連結する支柱9を設けたことである。支柱9の直径および各バネ11から支柱9までの距離は、光ファイバハイドロホン1bの作動圧力範囲内では各バネ11が支柱9および他のバネ11と接触せず、かつバネ11の歪が弾性限界を超える前にバネ11が支柱9に接触することで弾性限界を超える歪がバネ11に生じないように設計される。
【0054】
3つ目の相違点は、支柱9と、複数のバネ11と、補強コイル13と、一対の蓋部7aおよび7bとを被覆部12で包み込んだことである。これらの部材を被覆部12で密閉する方法の具体例を説明する。被覆部12の材料として、例えば、熱可塑性樹脂を用いる場合、これらの部品をシート状、筒状、または袋状の被覆部12の材料に入れてから外周端等の開いた部分を溶着することで、これらの部品および空間S2の空洞部分を密閉する。被覆部12の材料として熱硬化性樹脂を用いる場合、これらの部品を硬化前の材料で包んでから硬化させ、被覆部12を形成させればよい。
【0055】
(動作)
次に、本実施の形態3の光ファイバハイドロホン1bの動作を説明する。図7は、図6に示した光ファイバハイドロホンの作用を説明するための図である。図7(a)は図6(a)のA-A’断面図であり、図7(b)は図6(a)のB-B’断面図である。図7(a)には、図6(a)と同様に、3次元空間における方向を示す3つの軸を示している。
【0056】
光源22、受光部23、復調部24、光カプラ2、ミラー3およびミラー4の動作については、実施の形態1で説明した動作と同様になるため、本実施の形態3においては、その詳細な説明を省略する。
【0057】
本実施の形態3の光ファイバハイドロホン1bを含むセンシング干渉計21が、音波検出対象の水中に投入されると、図6(b)に示した開口部10を介して外側から水が空間S1に流入する。空間S1の圧力と光ファイバコイル6の周囲の水の圧力とが同等になる。そのため、光ファイバコイル6の内側の水圧と外側の水圧とが均等になり、光ファイバコイル6が外側からの水圧によって変形することが抑制される。このようにして、光ファイバハイドロホン1bは、高い耐水圧性が得られる。
【0058】
また、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が空間S2の空洞部分の圧力よりも高くなると、図7(a)および図7(b)に示すように、複数のバネ11、補強コイル13および被覆部12が支柱9に向かって収縮する。可撓管8bの被覆部12の断面の形状は、バネ11と接している部分が山、接していない部分が谷となり、波打つように山と谷とが交互に繰り返される形状になる。
【0059】
なお、光ファイバハイドロホン1bは、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が作動圧力範囲を超えると、複数のバネ11が支柱9に接触して感度が低下する。しかし、光ファイバコイル6の周囲の水の圧力が作動圧力範囲に戻ると、光ファイバハイドロホン1bは、高い感度での音波の検出を再開する。
【0060】
(効果)
本実施の形態3の光ファイバハイドロホン1bの効果を説明する。本実施の形態3の光ファイバハイドロホン1bは、実施の形態2で説明した光ファイバハイドロホン1aと同様な効果が得られるだけでなく、次のような効果が得られる。
【0061】
実施の形態2においては、可撓管8aに高い圧力がかかって被覆部12が伸びた後、可撓管8aにかかる圧力が下がると、被覆部12が元の形にすぐに戻らなくなることで、被覆部12がバネ11に挟まれて破損してしまうおそれがある。これに対して、本実施の形態3は、被覆部12とバネ11との間に補強コイル13が設けられているので、被覆部12が伸びたときにバネ11に挟まれることが抑制される。そのため、被覆部12が破損してしまうことが抑制され、耐水圧性がより向上する。
【0062】
実施の形態2においては、複数のバネ11が中心軸Axに向かって曲がることで他のバネ11と接触した状態からさらに高い圧力がバネ11にかかると、各バネ11から中心軸Axまでの距離が異なるように可撓管8aが変形してしまうおそれがある。この場合、可撓管8aにかかる圧力が低くなっても、複数のバネ11の全てが元の位置に戻らなくなる故障が発生することがある。これに対して、本実施の形態3は、各バネ11が外側からの圧力によって変形する方向に支柱9が配置されており、各バネ11が圧力によって変形すると支柱9に接触する。そのため、各バネ11から中心軸Axまでの距離が均等になり、耐水圧性がより向上する。
【0063】
実施の形態2においては、可撓管8aに高い圧力がかかると、被覆部12は、蓋部7aおよび7bの一方または両方に接続した端部から空間S2の空洞部分の密閉性が損なわれてしまうおそれがある。これに対して、本実施の形態3では、被覆部12は、支柱9と、複数のバネ11と、補強コイル13と、一対の蓋部7aおよび7bとを包み込み、他の部材と接続した端部のない閉じた形状である。そのため、空間S2の空洞部分の密閉性が向上し、耐水圧性がより向上する。
【0064】
(変形例)
上述した実施の形態1および3において、光ファイバコイル6の周囲の液体の圧力が光ファイバハイドロホンの作動圧力範囲より高くなったとき、支柱9に可撓管8またはバネ11が接触する場合を説明したが、この場合に限らない。例えば、一対の蓋部7aおよび7bのうち、一方の蓋部にだけ連結された支柱9に可撓管8またはバネ11が接触することで、高い圧力による変形を抑制する構成にしてもよい。また、複数のバネ11のうち、1つのバネ11に取り付けられる部品(図示せず)を設け、隣り合う他のバネ11が部品に接触することで、高い圧力による変形を抑える構成にしてもよい。
【0065】
また、実施の形態2および3においては、複数のバネ11を用いる場合で説明したが、バネ11の本数は複数に限らず、1本であってもよい。バネ11が1本である場合、例えば、中心軸Axに沿って支柱9を設け、支柱9を囲むようにコイル状にバネ11を設ける構成にする。この場合、実施の形態2および3と同様に、支柱9およびバネ11を含む空間S2の空洞部分が密閉される。
【0066】
さらに、上述の実施の形態1~3においては、センシング干渉計21が光カプラ2ならびにミラー3およびミラー4を用いるマイケルソン干渉計で構成する場合で説明したが、この場合に限らない。センシング干渉計21は、2つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)を用いる干渉計など他のタイプの干渉計で構成されてもよい。
【0067】
上述した実施の形態1~3において、一対の蓋部7aおよび7bのうち、一方の蓋部に開口部10を1つ設ける構成例について説明したが、両方の蓋部7aおよび7bのそれぞれに開口部10を設けてもよく、複数の開口部10を設けてもよい。また、実施の形態1~3においては、可撓管8、8aおよび8bの中心軸Axと光ファイバコイル6の円筒の中心軸とが重なる場合の構成例について説明したが、これらの軸が重ならなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1、1a、1b 光ファイバハイドロホン
2 光カプラ
3、4 ミラー
5a~5d 光ファイバ
6 光ファイバコイル
7a、7b 蓋部
8、8a、8b 可撓管
9 支柱
10 開口部
11 バネ
12 被覆部
13 補強コイル
21 センシング干渉計
22 光源
23 受光部
24 復調部
50 音波検出装置
Ax 中心軸
S1、S2 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7