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特開2023-125267制御器、貨幣処理機、貨幣管理システム、プログラムおよび制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125267
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】制御器、貨幣処理機、貨幣管理システム、プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/235 20190101AFI20230831BHJP
   G07D 11/245 20190101ALI20230831BHJP
   G07D 11/34 20190101ALI20230831BHJP
【FI】
G07D11/235
G07D11/245
G07D11/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029266
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】大井 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】大橋 毅
(72)【発明者】
【氏名】多胡 隆範
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA06
3E141CA02
3E141CA04
3E141CA05
3E141CA16
3E141CB05
3E141DA06
3E141FJ02
3E141FJ03
3E141FJ06
3E141FJ08
3E141FJ09
3E141FK02
3E141GA06
3E141HA06
3E141HA09
3E141JA10
3E141KA07
3E141KA08
3E141KB08
3E141KC19
3E141LA64
3E141LA72
(57)【要約】
【課題】操作者の利便性を向上させることができる制御器、貨幣処理機、貨幣管理システム、プログラムおよび制御方法を提供する。
【解決手段】複数のフロント機20と通信可能に接続される貨幣処理機40に設けられる制御器42は、プログラムを実行することにより受付手段44と、表示手段46と、出力手段48として機能する。受付手段44は、各フロント機20に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、表示手段46は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数のフロント機に関する情報を表示部60に表示させ、出力手段48は、表示部60により表示される1または複数のフロント機20から選択されたフロント機20に関する情報を受付手段44が受け付けると、当該フロント機20の異常を解消するための情報を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフロント機と通信可能に接続される貨幣処理機に設けられる制御器であって、
プログラムを実行することにより受付手段と、表示手段と、出力手段として機能し、
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示部に表示させ、
前記出力手段は、前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択された前記フロント機に関する情報を前記受付手段が受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力する、制御器。
【請求項2】
前記フロント機の前記異常を解消するための情報は当該フロント機に補充されるべき貨幣の出金指令であり、
前記制御器は、前記プログラムを実行することにより出金手段として更に機能し、
前記出金手段は、前記出力手段により出金指令が出力されると、前記フロント機に補充されるべき貨幣を前記貨幣処理機から出金させる、請求項1記載の制御器。
【請求項3】
前記フロント機の前記異常を解消するための情報は当該フロント機から貨幣を回収することを報知する貨幣の回収指令であり、
前記制御器は、前記プログラムを実行することにより報知手段として更に機能し、
前記報知手段は、前記出力手段により回収指令が出力されると、前記フロント機から貨幣を回収することを指示する旨の情報を報知部により報知させる、請求項1記載の制御器。
【請求項4】
前記表示手段は、前記異常の状態によって当該異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報の表示態様を異ならせる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御器。
【請求項5】
前記フロント機に収納される貨幣の在高に関する異常について在高に基づいて複数のランクが設定されており、
前記表示手段は、前記ランクによって当該異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報の表示態様を異ならせる、請求項4記載の制御器。
【請求項6】
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報に加えて各前記フロント機の故障情報以外の関連情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報に加えて前記関連情報に基づき異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を前記表示部に表示させる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の制御器。
【請求項7】
前記関連情報は前記フロント機で使用される消耗品に関する情報であり、前記関連情報に基づく異常は前記消耗品の残量に関するものである、請求項6記載の制御器。
【請求項8】
前記表示手段は、前記異常が発生してからの経過時間によって当該異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報の表示態様を異ならせる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の制御器。
【請求項9】
各前記フロント機には当該フロント機を操作可能な操作者が割り当てられており、
前記表示手段が、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を前記表示部に表示させる際に、前記フロント機に割り当てられていない操作者でも当該フロント機に関する情報を見ることができるようにする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の制御器。
【請求項10】
複数のフロント機と通信可能に接続される貨幣処理機であって、
貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示するための表示部と、
前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択するための操作部と、
制御器と、
を備え、
前記制御器は、プログラムを実行することにより受付手段と、表示手段と、出力手段として機能し、
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を前記表示部に表示させ、
前記出力手段は、前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から前記操作部により選択された前記フロント機に関する情報を前記受付手段が受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力する、貨幣処理機。
【請求項11】
複数のフロント機と、
各前記フロント機に通信可能に接続される貨幣処理機と、
を備え、
前記貨幣処理機は、
貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示するための表示部と、
前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択するための操作部と、
制御器と、
を有しており、
前記制御器は、プログラムを実行することにより受付手段と、表示手段と、出力手段として機能し、
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を前記表示部に表示させ、
前記出力手段は、前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から前記操作部により選択された前記フロント機に関する情報を前記受付手段が受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力する、貨幣管理システム。
【請求項12】
複数のフロント機と通信可能に接続される貨幣処理機に設けられる制御器を、受付手段と、表示手段と、出力手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示部に表示させ、
前記出力手段は、前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択された1の前記フロント機に関する情報を受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力する、プログラム。
【請求項13】
複数のフロント機と通信可能に接続される貨幣処理機に設けられる制御器により行われる制御方法であって、
各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付ける工程と、
貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示部に表示させる工程と、
前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択された前記フロント機に関する情報を受付手段が受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力する工程と
を備えた、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御器、貨幣処理機、貨幣管理システム、プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レジに設置される貨幣釣銭機やICチャージ機等のフロント機と、バックオフィスに設置される貨幣出納機等の後方機とを連携させるシステムとして従来から様々なものが知られている。また、フロント機に収納されている貨幣の在高に関する異常(例えば、在高不足)が発生したときに、フロント機からデータ管理装置や係員の携帯端末に情報が送信され、これらのデータ管理装置や携帯端末から係員に対して警報が発せられるシステムとして例えば特許文献1、2等に開示されるものが従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-241531号公報
【特許文献2】特開2016-091485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2等に開示される従来のシステムでは、係員はデータ管理装置や携帯端末の画面を見ながら後方機を操作してフロント機に補充されるべき釣銭としての貨幣の出金操作等の異常を解消するための操作を行わなければならず、不便であるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、操作者の利便性を向上させることができる制御器、貨幣処理機、貨幣管理システム、プログラムおよび制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制御器は、複数のフロント機と通信可能に接続される貨幣処理機に設けられる制御器であって、
プログラムを実行することにより受付手段と、表示手段と、出力手段として機能し、
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示部に表示させ、
前記出力手段は、前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択された前記フロント機に関する情報を前記受付手段が受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力することを特徴とする。
【0007】
本発明の制御器において、前記フロント機の前記異常を解消するための情報は当該フロント機に補充されるべき貨幣の出金指令であり、
前記制御器は、前記プログラムを実行することにより出金手段として更に機能し、
前記出金手段は、前記出力手段により出金指令が出力されると、前記フロント機に補充されるべき貨幣を前記貨幣処理機から出金させてもよい。
【0008】
本発明の制御器において、前記フロント機の前記異常を解消するための情報は当該フロント機から貨幣を回収することを報知する貨幣の回収指令であり、
前記制御器は、前記プログラムを実行することにより報知手段として更に機能し、
前記報知手段は、前記出力手段により回収指令が出力されると、前記フロント機から貨幣を回収することを指示する旨の情報を報知部により報知させてもよい。
【0009】
本発明の制御器において、前記表示手段は、前記異常の状態によって当該異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報の表示態様を異ならせてもよい。
【0010】
この場合、前記フロント機に収納される貨幣の在高に関する異常について在高に基づいて複数のランクが設定されており、
前記表示手段は、前記ランクによって当該異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報の表示態様を異ならせてもよい。
【0011】
本発明の制御器において、前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報に加えて各前記フロント機の故障情報以外の関連情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報に加えて前記関連情報に基づき異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
この場合、前記関連情報は前記フロント機で使用される消耗品に関する情報であり、前記関連情報に基づく異常は前記消耗品の残量に関するものであってもよい。
【0013】
本発明の制御器において、前記表示手段は、前記異常が発生してからの経過時間によって当該異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報の表示態様を異ならせてもよい。
【0014】
本発明の制御器において、各前記フロント機には当該フロント機を操作可能な操作者が割り当てられており、
前記表示手段が、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を前記表示部に表示させる際に、前記フロント機に割り当てられていない操作者でも当該フロント機に関する情報を見ることができるようにしてもよい。
【0015】
本発明の貨幣処理機は、複数のフロント機と通信可能に接続される貨幣処理機であって、
貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示するための表示部と、
前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択するための操作部と、
制御器と、
を備え、
前記制御器は、プログラムを実行することにより受付手段と、表示手段と、出力手段として機能し、
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を前記表示部に表示させ、
前記出力手段は、前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から前記操作部により選択された前記フロント機に関する情報を前記受付手段が受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力することを特徴とする。
【0016】
本発明の貨幣処理システムは、複数のフロント機と、
各前記フロント機に通信可能に接続される貨幣処理機と、
を備え、
前記貨幣処理機は、
貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示するための表示部と、
前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択するための操作部と、
制御器と、
を有しており、
前記制御器は、プログラムを実行することにより受付手段と、表示手段と、出力手段として機能し、
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を前記表示部に表示させ、
前記出力手段は、前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から前記操作部により選択された前記フロント機に関する情報を前記受付手段が受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力することを特徴とする。
【0017】
本発明のプログラムは、複数のフロント機と通信可能に接続される貨幣処理機に設けられる制御器を、受付手段と、表示手段と、出力手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、
前記表示手段は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示部に表示させ、
前記出力手段は、前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択された1の前記フロント機に関する情報を受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力することを特徴とする。
【0018】
本発明の制御方法は、複数のフロント機と通信可能に接続される貨幣処理機に設けられる制御器により行われる制御方法であって、
各前記フロント機に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付ける工程と、
貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数の前記フロント機に関する情報を表示部に表示させる工程と、
前記表示部により表示される1または複数の前記フロント機から選択された前記フロント機に関する情報を前記受付手段が受け付けると、当該フロント機の前記異常を解消するための情報を出力する工程と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の制御器、貨幣処理機、貨幣管理システム、プログラムおよび制御方法によれば、操作者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態による貨幣管理システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
図2図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機による動作を示すフローチャートである。
図3図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機の表示部に表示される画面を示す図である。
図4図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機の表示部に表示される画面を示す図である。
図5図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機の表示部に表示される画面を示す図である。
図6図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機の表示部に表示される画面を示す図である。
図7図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機の印刷部により印刷が行われたレシートを示す図である。
図8図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機の表示部に表示される画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本実施の形態に係る貨幣管理システムや貨幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による貨幣管理システムの構成を概略的に示す概略構成図であり、図2は、図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機による動作を示すフローチャートである。また、図3乃至図6および図8は、図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機の表示部に表示される画面を示す図であり、図7は、図1に示す貨幣管理システムの貨幣処理機の印刷部により印刷が行われたレシートを示す図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態による貨幣管理システム10は、複数のフロント機20と、各フロント機20に通信可能に接続される業務支援サーバ30と、業務支援サーバ30に通信可能に接続される貨幣処理機40とを備えている。
【0023】
各フロント機20は例えば金融機関やスーパーマーケット等の店舗における顧客が立ち入り可能なフロント領域に設置されている。各フロント機20は、貨幣の入金処理および出金処理のうち少なくともいずれか一つまたは両方の処理を行うようになっている。各フロント機20において貨幣の入金処理が行われる際に、顧客や店員から入金口に投入された貨幣が金種毎に筐体の内部に収納される。また、各フロント機20において貨幣の出金処理が行われる際に、筐体の内部に収納されている貨幣が出金口に払い出されることにより顧客や店員は出金口に払い出された貨幣を取り出すことができるようになる。各フロント機20は、例えばレジ釣銭機、ICチャージ機、各種券売機等から構成されている。
【0024】
業務支援サーバ30は例えば店舗の店内に設置される管理サーバ等から構成されている。業務支援サーバ30は、各フロント機20から送られた情報に基づいて、各フロント機20に収納されている貨幣の金種毎の在高、各フロント機20のレシートやインク等の消耗品の残量の状況、各フロント機20のエラー状況等を管理するようになっている。また、業務支援サーバ30は、各フロント機20からの貨幣の出金明細、消耗品の残りの状況、釣銭としての貨幣を補充すべきフロント機20の優先順位、各フロント機20のエラー傾向等の情報を貨幣処理機40に送信するようになっている。
【0025】
貨幣処理機40は例えば店舗のバックオフィス領域に設置される出納機や両替機等の後方機である。貨幣処理機40は、例えば、バラ紙幣の入金処理および出金処理を行うバラ紙幣入出金機と、バラ硬貨の入金処理および出金処理を行うバラ硬貨入出金機と、および包装硬貨を収納する包装硬貨収納機とを有している。なお、貨幣処理機40はバラ紙幣入出金機、バラ硬貨入出金機および包装硬貨収納機の全てを備える必要はなく、これらの装置のうち少なくとも一つのものを備えていてもよい。図1に示すように、貨幣処理機40は、制御器42と、表示部60と、操作部62と、処理部64と、収納繰出部66と、印刷部68と、記憶部70とから構成されている。
【0026】
制御器42はCPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、貨幣処理機40の動作を制御する。表示部60は例えばモニタ等から構成され、様々な情報を画面に表示させる。操作部62は例えばキーボードやマウス等から構成され、操作者は様々な情報を操作部62により制御器42に入力することができるようになっている。なお、表示部60および操作部62が別々に設けられるのではなく、表示部60および操作部62が一体化されたタッチパネル等が用いられてもよい。また、表示部60として、貨幣処理機40にパトライト(登録商標)が設けられていてもよい。この場合、フロント機20において貨幣の在高不足等が発生してこのフロント機20に貨幣を補充する必要が生じた場合にパトライトが点灯して操作者に報知が行われるようになっている。
【0027】
処理部64は、貨幣処理機40の筐体の内部で様々な貨幣の処理を行う。例えば、貨幣処理機40において貨幣の入金処理が行われる際に、処理部64は、入金口に投入された貨幣を筐体の内部で搬送して金種毎に収納繰出部66に収納させる。また、貨幣処理機40において貨幣の出金処理が行われる際に、処理部64は、収納繰出部66から繰り出された貨幣を出金口に搬送する。このことにより、操作者は出金口に搬送された貨幣を取り出すことができるようになる。また、処理部64は、筐体の内部で搬送される貨幣の金種、真偽、正損等の識別を行う識別部を有している。収納繰出部66は筐体の内部に金種毎に複数設けられており、貨幣を金種毎に収納するとともに収納されている貨幣を1つずつ繰り出し可能となっている。印刷部68は、レシートに様々な情報を印刷するプリンタ等を有している。
【0028】
記憶部70は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)またはSSD(Solid State Drive)等から構成されている。記憶部70には、貨幣処理機40に収納されている貨幣の金種毎の在高、各フロント機20に収納されている貨幣の金種毎の在高、制御器42により実行される本実施の形態のプログラムを含む各種プログラム等の様々な情報が記憶されている。また、記憶部70には管理者の識別情報や管理者ではない店員の識別情報等が記憶されている。
【0029】
制御器42は、記憶部70に記憶されている各種プログラムを実行することにより、受付手段44、表示手段46、出力手段48、出金手段50、報知手段52および印刷手段54として機能する。受付手段44は、外部装置(具体的には、例えば業務支援サーバ30)から送信された情報や操作部62により入力された情報を受け付ける。表示手段46は、表示部60に様々な情報を表示させる。出力手段48は、表示部60により表示される1または複数のフロント機20から選択されたフロント機20に関する情報を受付手段44が受け付けると、当該フロント機20の前記異常を解消するための情報を出力する。このような出力手段48の機能の詳細については後述する。出金手段50は、処理部64により貨幣の出金を行わせる。報知手段52は、表示部60に様々な情報を表示させたり、図示しないスピーカー等によって音声を生じさせたりすることにより操作者に対して報知を行う。印刷手段54は、印刷部68によりレシートへの印刷を行わせる。
【0030】
なお、制御器42により実行されるプログラムは記憶部70に記憶されているものに限定されない。貨幣処理機40に取り付けられた外部記録媒体に記憶されているプログラムや、業務支援サーバ30や管理システム等の外部装置から貨幣処理機40に送信されたプログラム等を制御器42が実行することによって当該制御器42が受付手段44、表示手段46、出力手段48、出金手段50、報知手段52および印刷手段54として機能するようになっていてもよい。
【0031】
次に、このような構成からなる本実施の形態の貨幣管理システム10や貨幣処理機40の動作について図2乃至図8を用いて説明する。なお、以下に示す動作は、制御器42がプログラムを実行して受付手段44、表示手段46、出力手段48、出金手段50、報知手段52および印刷手段54として機能することにより行われる。
【0032】
本実施の形態では、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報が貨幣処理機40の表示部60に表示された後、選択されたフロント機20に関する情報を受付手段44が受け付けると、当該フロント機20の異常を解消するための情報が制御器42から出力されるようになっている。以下に示す例では、フロント機20で発生する貨幣の在高に関する異常が、筐体内に収納されている釣銭としての貨幣の在高が少なくなったことである場合について述べる。
【0033】
フロント機20において筐体内に収納されている釣銭としての貨幣のうちある金種の貨幣の枚数が所定の閾値よりも少なくなり、貨幣の在高不足が発生した場合に、在高不足に係る情報がフロント機20から業務支援サーバ30に送信される。このことにより、業務支援サーバ30により行われている、各フロント機20に収納されている貨幣の金種毎の在高の管理において、このフロント機20で貨幣の在高不足が発生したことが検知される。なお、別の例として、フロント機20の在高が当該フロント機20から所定のタイミングで業務支援サーバ30に通知され、業務支援サーバ30は、フロント機20から通知された在高と閾値とを比較することによりフロント機20の在高不足を検出してもよい。業務支援サーバ30は、フロント機20において貨幣の在高不足が発生したという情報、およびフロント機20に補充すべき貨幣の金種毎の数に係る情報を貨幣処理機40に送信する。また、業務支援サーバ30は、所定のタイミングでフロント機20に収納されている貨幣の在高に関する情報を当該フロント機20から取得し、この取得した情報に基づいてフロント機20に補充すべき貨幣の金種毎の数を更新してもよい。フロント機20において貨幣の在高不足が発生したという情報を貨幣処理機40の受付手段44が受け付けると、フロント機20に補充されるべき貨幣が出金手段50により出金され、貨幣処理機40から出金された貨幣を店舗の店員等がフロント機20に運搬してこのフロント機20に補充することによりフロント機20における貨幣の在高不足が解消する。このようなフロント機20への貨幣の補充処理が行われる際の貨幣処理機40の動作の詳細について以下に説明する。
【0034】
通常時には貨幣処理機40の表示部60には待機画面(図示せず)が表示されている(Step1)。このような待機状態において、表示部60として貨幣処理機40にパトライトが設けられている場合に、フロント機20において貨幣の在高不足が発生してこのフロント機20に貨幣を補充する必要が生じたときにはパトライトが点灯して操作者に対して報知が行われる。その後、店舗の管理者は、管理者カードを貨幣処理機40のスキャナ(図示せず)によりスキャンすることにより当該管理者カードに記憶されている管理者の識別情報を読み取らせる。読み取られた管理者の識別情報が記憶部70に記憶されている管理者の識別情報と一致することにより管理者権限の認証が行われると(Step2の「YES」)、表示部60には図3に示すような補充処理および両替処理の選択画面が表示される(Step3)。
【0035】
図3に示す画面において操作者が補充ボタンを押下した後に確認ボタンを押下すると、補充処理が選択される(Step4の「YES」)。この場合、図4に示すように、貨幣の補充が必要なフロント機20が設置されているレジの番号が表示される(Step5)。図4ではレジ番号が101、102、702、801の4つのレジに設置されているフロント機20において貨幣の補充処理が必要である旨の画面が表示されている。ここで、表示手段46は、各フロント機20における貨幣の在高状況に応じて表示部60に表示される各フロント機20に関する情報の表示態様を異ならせる。具体的には、フロント機20において貨幣の在高不足が発生したという状況として、釣銭としてのある金種の貨幣が全く収納されていないエンプティ状態および釣銭としてのある金種の貨幣の収納枚数が所定の閾値よりも少ないニアエンプティ状態がある。ここで、ニアエンプティ状態よりもエンプティ状態の方が貨幣を補充すべき優先順位が高いため、図4に示すようにエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号(具体的には、レジ番号101)は、ニアエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号(具体的には、レジ番号102、702、801)とは異なる色で表示される。あるいは、表示部60において、エンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号が、ニアエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号よりも上の位置に表示されてもよい。あるいは、表示部60において、エンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号が、ニアエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号よりも大きく表示されてもよい。あるいは、表示部60において、エンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号が点滅表示され、ニアエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号が点灯表示されてもよい。あるいは、表示部60にはまずエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号が表示され、表示部60に表示される切替ボタンが押下されると表示部60における表示内容がニアエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号を表示する画面に切り替えられてもよい。あるいは、表示部60に複数のタブが表示され、各タブを切り替えることによりエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号を表示する画面およびニアエンプティ状態のフロント機20が設置されているレジ番号を表示する画面が切り替えられてもよい。これらの処理が行われることにより、操作者はどのレジ番号に対応するフロント機20に貨幣を先に補充すべきかという優先順位を認識することができるようになる。
【0036】
なお、貨幣を補充すべきフロント機20の優先順位は、業務支援サーバ30により決められてもよく、あるいは貨幣処理機40の制御器42により決められてもよい。
【0037】
表示部60に表示される複数のレジ番号のうちあるレジ番号のボタンが操作者により押下され、その後に確認ボタンが押下されると(Step6の「YES」)、図5に示すように不足している釣銭の明細が表示部60に表示される(Step7)。このような表示部60の画面で確認ボタンが押下されると(Step8の「YES」)、出金手段50により不足している釣銭に係る貨幣が出金される(Step9)。また、印刷手段54は印刷部68により出金された貨幣に係る情報をレシートに印刷させ(図7参照)、印刷されたレシートが出力される(Step10)。その後、表示部60には図8に示すような引き続き他のレジに設置されているフロント機20に補充すべき貨幣の出金処理を行うか否かの確認画面が表示される。図8に示す表示部60の画面で操作者が「はい」というボタンを押下することにより補充処理を継続することが選択されると(Step11の「YES」)、表示部60には図4に示すようなレジ番号の選択画面が再び表示される。一方、図8に示す表示部60の画面で操作者が「いいえ」というボタンを押下すると(Step11の「NO」)、貨幣処理機40における一連の処理が完了する。
【0038】
また、図3に示すような表示部60に表示される処理の選択画面において補充処理ではなく両替処理が選択されると(Step4の「NO」、Step12の「YES」)、貨幣処理機40において貨幣の両替処理が行われる(Step13)。具体的には、操作者により貨幣処理機40に入金された貨幣が収納繰出部66に収納されるとともに、収納繰出部66から金種が異なり合計金額が同一である貨幣が繰り出され、貨幣処理機40の出金口に払い出される。このことにより、操作者は入金した貨幣と金種が異なり合計金額が同一である貨幣を出金口から取り出すことができるようになる。
【0039】
なお、上記の例は、フロント機20で発生する貨幣の在高に関する異常が、筐体内に収納されている釣銭としての貨幣の在高が少なくなったことであるが、フロント機20で発生する貨幣の在高に関する異常が、筐体内に収納されている釣銭としての貨幣がフル状態またはニアフル状態になったことであってもよい。ここで、筐体内に収納されている釣銭としての貨幣がフル状態であるとは、ある金種に対応するフロント機20の収納部が満杯になりこれ以上この金種の貨幣を収納部に収納することができない状態のことをいう。また、筐体内に収納されている釣銭としての貨幣がニアフル状態であるとは、ある金種に対応するフロント機20の収納部が満杯ではないが当該収納部に収納されている貨幣の枚数が所定の閾値よりも多い状態であることをいう。フロント機20において筐体内に収納されている釣銭としての貨幣のうちある金種の貨幣の枚数が所定の閾値よりも多くなり、貨幣の在高過多が発生した場合に、在高過多に係る情報がフロント機20から業務支援サーバ30に送信される。このことにより、業務支援サーバ30により行われている、各フロント機20に収納されている貨幣の金種毎の在高の管理において、このフロント機20で貨幣の在高過多が発生したことが検知される。なお、別の例として、フロント機20の在高が当該フロント機20から所定のタイミングで業務支援サーバ30に通知され、業務支援サーバ30は、フロント機20から通知された在高と閾値とを比較することによりフロント機20の在高過多を検出してもよい。
【0040】
貨幣処理機40が待機状態となっているときに、表示部60として貨幣処理機40にパトライトが設けられている場合に、あるフロント機20において筐体内に収納されている釣銭としての貨幣がフル状態またはニアフル状態になってこのフロント機20から貨幣を回収する必要が生じたときにはパトライトが点灯して操作者に対して報知が行われる。その後、管理者権限の認証が行われると、表示部60に表示される処理の選択画面において回収処理を選択することができるようになる。
【0041】
表示部60に表示される処理の選択画面において回収処理が選択されると、貨幣の貨幣が必要なフロント機20が設置されているレジの番号が表示される。ここで、表示手段46は、各フロント機20における貨幣の在高状況に応じて表示部60に表示される各フロント機20に関する情報の表示態様を異ならせる。具体的には、フロント機20において貨幣の回収が必要である状況として、上述したフル状態およびニアフル状態がある。ここで、ニアフル状態よりもフル状態の方が貨幣を回収すべき優先順位が高いため、フル状態のフロント機20が設置されているレジ番号は、ニアフル状態のフロント機20が設置されているレジ番号とは異なる態様で表示部60に表示される。このことにより、操作者はどのレジ番号に対応するフロント機20から貨幣を先に回収すべきかという優先順位を認識することができるようになる。
【0042】
表示部60に表示される複数のレジ番号のうちあるレジ番号のボタンが操作者により押下され、その後に確認ボタンが押下されると、貨幣を回収すべきフロント機20の情報の詳細(例えば、フロント機20の設置場所、フロント機20に収納されている金種毎の貨幣の在高、回収すべき貨幣の量、等)が表示部60に表示される。また、印刷手段54は、貨幣を回収すべきフロント機20の情報の詳細を印刷部68によりレシートに印刷させ、印刷されたレシートが出力される。このことにより、操作者はフロント機20から貨幣を回収すべきであることを認識することができる。その後、操作者が表示部60に表示されている確認ボタンを押下すると、表示部60には引き続き他のレジに設置されているフロント機20から貨幣の回収処理を行うか否かの確認画面が表示される。このような表示部60の画面で操作者が「はい」というボタンを押下することにより回収処理を継続することが選択されると、表示部60にはレジ番号の選択画面が再び表示される。一方、表示部60の画面で操作者が「いいえ」というボタンを押下すると、貨幣処理機40における一連の処理が完了する。
【0043】
また、本実施の形態では、表示手段46は、異常が発生してからの経過時間によって当該異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報の表示態様を異ならせてもよい。例えば、表示部60における図4に示すようなレジ番号の選択画面において、異常が発生してから所定時間が経過したフロント機20が設置されているレジ番号が、異常が発生してから所定時間が経過していないフロント機20が設置されているレジ番号とは異なる色で表示されてもよい。あるいは、表示部60における図4に示すようなレジ番号の選択画面において、異常が発生してから所定時間が経過したフロント機20が設置されているレジ番号が点滅状態で表示されてもよい。この場合には、操作者は異常が発生してから所定時間が経過したフロント機20の異常を優先的に解消しなければならないことに気づくことができる。
【0044】
また、本実施の形態の制御器42等においては、各フロント機20には当該フロント機20を操作可能な操作者が割り当てられていてもよい。この場合、通常時は、当該フロント機20から貨幣を回収したり当該フロント機20に貨幣を補充したりする際に、貨幣処理機40の表示部60には、複数のフロント機20のうち操作者が割り当てられているフロント機20のみが表示される。一方、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報を表示部60に表示させる際に、表示手段46は、フロント機20に割り当てられていない操作者でも当該フロント機20に関する情報を見ることができるようにする。この場合は、あるフロント機20において異常が発生したときに、当該フロント機20に割り当てられていない操作者でもこのフロント機20に関する情報を見ることにより、フロント機20を担当する操作者がいなくても迅速に当該フロント機20の異常を解消することができる。
【0045】
また、本実施の形態の貨幣管理システム10では、各フロント機20において貨幣の在高に関する異常が発生した場合以外でも、各フロント機20で故障以外の異常が発生した場合に、この異常情報が各フロント機20から業務支援サーバ30に送信され、業務支援サーバ30において各フロント機20で異常が発生したことが認識される。ここで、各フロント機20で発生する故障以外の異常とは、例えば各フロント機20のレシートやインク等の消耗品の残量が所定の閾値よりも低くなったことである。この場合には、各フロント機20に消耗品を補充する必要がある。よって、業務支援サーバ30から貨幣処理機40に各フロント機20で故障以外の異常が発生したという関連情報が送信される。なお、本実施の形態では、各フロント機20で故障に関する異常が発生した場合を除外するものではなく、貨幣処理機40がフロント機20の故障以外の異常に係る情報および故障情報をそれぞれ受け付けるようになっていてもよい。
【0046】
貨幣処理機40が待機状態となっているときに、表示部60として貨幣処理機40にパトライトが設けられている場合に、受付手段44がフロント機20の故障以外の関連情報を受け付けると、パトライトが点灯して操作者に対して報知が行われる。そして、管理者権限の認証が行われると、表示手段46は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報に加えて上述した関連情報に基づき異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報を表示部60に表示させる。例えば、あるフロント機20においてレシートやインク等の消耗品の残量が所定の閾値よりも低くなった場合には、図4に示すような釣銭としての貨幣を補充すべきフロント機20が設置されているレジ番号に加えて、消耗品の補充が必要なフロント機20が設置されているレジ番号および消耗品の種類、数量が表示部60に表示される。また、印刷手段54によって印刷部68により消耗品の補充が必要なフロント機20が設置されているレジ番号および消耗品の種類、数量がレシートに印刷され、このレシートが出力される。また、パトライトが点灯して操作者に対して報知が行われ、管理者権限の認証が行われたときに、釣銭としての貨幣を補充すべきフロント機20がない場合は、表示部60には消耗品の補充が必要なフロント機20が設置されているレジ番号のみが表示される。そして、表示部60に表示されている、消耗品の補充が必要なフロント機20が設置されているレジ番号が操作者により押下されると、消耗品を補充すべきフロント機20の情報の詳細(例えば、フロント機20の設置場所、フロント機20に補充すべき消耗品の種類および量、等)が表示部60に表示される。このことにより、操作者はフロント機20に消耗品を補充すべきであることを認識することができる。
【0047】
以上のような構成からなる本実施の形態の制御器42、貨幣処理機40、貨幣管理システム10、プログラムおよび制御方法によれば、受付手段44は、各フロント機20に収納されている貨幣の在高に関する情報を受け付け、表示手段46は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報を表示部60に表示させ、出力手段48は、表示部60により表示される1または複数のフロント機20から選択されたフロント機20に関する情報を受付手段44が受け付けると、当該フロント機20の異常を解消するための情報を出力する。この場合には、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報が表示部60に表示された後、選択されたフロント機20に関する情報を受付手段44が受け付けると、当該フロント機20の異常を解消するための情報が出力されるため、操作者の利便性を向上させることができる。
【0048】
本実施の形態の制御器42等においては、フロント機20の異常を解消するための情報は当該フロント機20に補充されるべき貨幣の出金指令であり、制御器42は、プログラムを実行することにより出金手段50として更に機能し、出金手段50は、出力手段48により出金指令が出力されると、フロント機20に補充されるべき貨幣を貨幣処理機40から出金させる。この場合には、あるフロント機20で貨幣の在高が不足した場合に、貨幣の在高不足が発生している1または複数のフロント機20に関する情報が表示部60に表示された後、選択されたフロント機20に関する情報を受付手段44が受け付けると、当該フロント機20に補充されるべき貨幣を貨幣処理機40から出金させることができるため、操作者は貨幣処理機40から出金された貨幣をフロント機20に補充するだけでフロント機20の異常を解消することができ、操作者の利便性をより向上させることができる。
【0049】
本実施の形態の制御器42等においては、フロント機20の異常を解消するための情報は当該フロント機20から貨幣を回収することを報知する貨幣の回収指令であり、制御器42は、プログラムを実行することにより報知手段52として更に機能し、報知手段52は、出力手段48により回収指令が出力されると、フロント機20から貨幣を回収することを指示する旨の情報を報知部(具体的には、例えば表示部60)により報知させる。この場合には、フロント機20が例えばフル状態またはニアフル状態になり当該フロント機20から貨幣を回収する必要が生じた場合に、フロント機20から貨幣を回収することを指示する旨の情報を報知部によって操作者に報知することができ、よって操作者の利便性をより向上させることができる。
【0050】
本実施の形態の制御器42等においては、表示手段46は、異常の状態によって当該異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報の表示態様を異ならせる。この場合は、異常の状態によって1または複数のフロント機20に関する情報の表示態様が異なることにより操作者は例えばどのフロント機20の異常を優先して解消するかを認識することができる。
【0051】
この場合、フロント機20に収納される貨幣の在高に関する異常について在高に基づいて複数のランクが設定されており、表示手段46は、ランクによって当該異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報の表示態様を異ならせる。ここで、フロント機20の在高に基づいて設定される複数のランクは例えばエンプティ状態、ニアエンプティ状態、フル状態、ニアフル状態等である。なお、本実施の形態ではフロント機20の在高に基づいて設定される複数のランクは上述した例に限定されることはなく、フロント機20の在高に基づいて様々なランクを設定することができる。
【0052】
本実施の形態の制御器42等においては、受付手段44は、各フロント機20に収納されている貨幣の在高に関する情報に加えて各フロント機20の故障情報以外の関連情報を受け付け、表示手段46は、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報に加えて関連情報に基づき異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報を表示部60に表示させる。この場合は、各フロント機20に収納されている貨幣の在高に関する情報に加えて各フロント機20の故障情報以外の関連情報に基づいて異常が検知されたときに操作者に報知することができる。
【0053】
ここで、関連情報はフロント機20で使用される消耗品に関する情報であり、関連情報に基づく異常は消耗品の残量に関するものであってもよい。この場合、フロント機20で使用される消耗品の残量が少なくなったり0になったりした場合に操作者に報知することによってフロント機20への消耗品の補充を迅速に行うことができるようになる。
【0054】
本実施の形態の制御器42等においては、表示手段46は、異常が発生してからの経過時間によって当該異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報の表示態様を異ならせる。この場合、操作者は異常が発生してから所定時間が経過したフロント機20の異常を優先的に解消しなければならないことに気づくことができる。
【0055】
本実施の形態の制御器42等においては、各フロント機20には当該フロント機20を操作可能な操作者が割り当てられており、表示手段46が、貨幣の在高に関する異常が発生している1または複数のフロント機20に関する情報を表示部60に表示させる際に、フロント機20に割り当てられていない操作者でも当該フロント機20に関する情報を見ることができるようにする。この場合、あるフロント機20において異常が発生したときに、当該フロント機20に割り当てられていない操作者でもこのフロント機20に関する情報を見ることができるため、フロント機20を担当する操作者がいなくても迅速に当該フロント機20の異常を解消することができる。
【0056】
なお、本実施の形態による制御器、貨幣処理機、貨幣管理システム、プログラムおよび制御方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0057】
例えば、本実施の形態の貨幣管理システムにおいて業務支援サーバ30が設けられておらず、各フロント機20および貨幣処理機40が直接通信可能に接続されてもよい。この場合でも、各フロント機20において異常が発生したときに異常情報が各フロント機20から貨幣処理機40に送信されることにより、フロント機20において発生した異常を解消するための情報が貨幣処理機40の出力手段48により出力される。
【0058】
また、本発明に係る制御器が貨幣処理機40ではなく業務支援サーバ30に設けられていてもよい。この場合には、本発明に係るプログラムが業務支援サーバ30に設けられた制御器によって実行されることにより、フロント機20の異常を解消するための情報が制御器から出力され、出力された情報が業務支援サーバ30から貨幣処理機40に送信される。このことにより、貨幣処理機40の表示部60には、フロント機20の異常を解消するための情報が表示される。
【0059】
また、出力手段48により出力された、フロント機20の異常を解消するための情報が貨幣処理機40から操作者の携帯端末に送信され、この携帯端末にフロント機20の異常を解消するための情報が表示されるようになっていてもよい。また、業務支援サーバ30が貨幣処理機40にフロント機20の異常に関する情報を送信する際に、操作者の携帯端末にもフロント機20の異常に関する情報を送信して当該携帯端末により操作者にフロント機20の異常発生を通知してもよい。
【0060】
また、貨幣処理機40が待機状態であるときに管理者権限の認証が行われると表示部60には処理の選択画面が表示されるが、この際に選択可能な処理は補充処理および両替処理に限定されない。補充処理と、入金処理や出金処理等の他の種類の処理とが選択可能となってもよい。また、更に他の例として、貨幣処理機40が待機状態であるときに管理者権限の認証が行われると表示部60に処理の選択画面が表示されることなく図4に示すような貨幣の補充処理に関する画面が表示部60に表示されてもよい。
【0061】
また、貨幣処理機40の表示部60において、補充処理/回収処理/関連情報に基づく異常など、異常が発生しているフロント機20が設置されているレジを全て一覧で表示させてもよい。この場合、表示部60において異常が発生しているレジを操作部62により指定すると、当該レジのフロント機20で発生している異常が全て表示され、図7等のレシートには異常を解消するための情報が全て印刷手段54によって印刷部68により印刷されてもよい。例えば、レシートには貨幣処理機40から出金された金額と補充すべき消耗品の情報が併せて印刷部68により印刷されてもよい。また、図7に示すレシートには、フロント機20の在高や異常が発生してからの経過時間に応じた優先度が印刷手段54によって印刷部68により印刷されてもよい。
【0062】
また、フロント機20に異常が発生したときに、異常を解消するための手段としての貨幣の補充処理/回収処理等を特定する識別子(例えば、取引番号やQRコード(登録商標)等)が業務支援サーバ30で生成され、当該識別子が業務支援サーバ30からフロント機20および貨幣処理機40にそれぞれ送信されてもよい。この場合、図7等のレシートが印刷部68により印刷される際に、当該識別子もレシートに印字される。そして、操作者がレシートに記載された識別子をフロント機20に入力したりフロント機20のスキャナ等で読み取らせたりすることにより、フロント機20において貨幣の補充処理や回収処理等の異常を解消するための動作が行われる。また、貨幣処理機40が発行したレシートに記載された貨幣の取引がフロント機20で行われたかどうかが当該識別子により管理される。具体的には、例えばフロント機20において貨幣の補充処理が行われる際に、貨幣処理機40は識別子に係る取引の出金を行ったことを業務支援サーバ30に通知し、フロント機20は識別子に係る取引が当該フロント機20で行われた場合に、識別子で特定される補充処理が正しく行われたかどうかを業務支援サーバ30に通知することで、業務支援サーバ30は異常が解消されたかどうかを管理することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 貨幣管理システム
20 フロント機
30 業務支援サーバ
40 貨幣処理機
42 制御器
44 受付手段
46 表示手段
48 出力手段
50 出金手段
52 報知手段
54 印刷手段
60 表示部
62 操作部
64 処理部
66 収納繰出部
68 印刷部
70 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8