(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125272
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】印刷装置の調整方法、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20230831BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20230831BHJP
B41J 11/20 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B65H5/06 D
B41J15/04
B41J11/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029271
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】熊▲崎▼ 雄一郎
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
3F049
【Fターム(参考)】
2C058AB15
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF20
2C058AF31
2C058DA04
2C058DA11
2C058DE38
2C060BC03
2C060BC12
2C060BC15
2C060BC23
2C060BC24
2C060BC32
2C060BC37
3F049AA02
3F049CA31
3F049DA12
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】印刷装置において、媒体の搬送を高い精度で適切に行う。
【解決手段】印刷対象の媒体を搬送する搬送ローラであるグリッドローラ212を備える印刷装置の調整を行う印刷装置の調整方法であって、グリッドローラ212に対する調整を行うローラ調整段階を備え、印刷装置は、グリッドローラ212と、対向ローラであるピンチローラ222と、押当部材であるアーム部材224とを備え、ローラ調整段階において、アーム部材224によってピンチローラ222をグリッドローラ212に押し当てた状態で、グリッドローラ212の撓みを低減する調整を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の媒体を搬送する搬送ローラを備える印刷装置の調整を行う印刷装置の調整方法であって、
前記搬送ローラに対する調整を行うローラ調整段階を備え、
前記印刷装置は、
所定の搬送方向へ前記媒体を搬送する前記搬送ローラと、
前記搬送ローラとの間に前記媒体を挟むローラである対向ローラと、
前記搬送ローラへ前記対向ローラを押し当てる部材である押当部材と
を備え、
前記ローラ調整段階において、前記押当部材によって前記対向ローラを前記搬送ローラに押し当てた状態で、前記搬送ローラの撓みを低減する調整を行うことを特徴とする印刷装置の調整方法。
【請求項2】
前記印刷装置は、搬送される前記媒体を上面に保持するプラテンを更に備え、
前記印刷装置の調整方法は、前記媒体の幅方向における各位置での前記プラテンの高さを調整するプラテン調整段階を更に備え、
前記プラテン調整段階は、前記ローラ調整段階と異なるタイミングで実行される段階であることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置の調整方法。
【請求項3】
前記印刷装置は、
前記搬送ローラの撓み方を変化させる機構であるローラ調整機構と、
前記搬送ローラの撓み方を変化させずに前記媒体の幅方向における各位置での前記プラテンの高さを調整する機構であるプラテン調整機構と
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置の調整方法。
【請求項4】
前記ローラ調整段階において、前記ローラ調整機構を用いて前記搬送ローラに対する調整を行い、その後に、
前記プラテン調整段階において、前記押当部材によって前記対向ローラを前記搬送ローラに押し当てた状態で、前記プラテン調整機構を用いて、前記プラテンに対する調整を行うことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置の調整方法。
【請求項5】
前記印刷装置は、前記媒体を挟んで前記プラテンと対向する位置において前記媒体との間に隙間を空けて前記媒体の幅よりも広い範囲に前記媒体の幅方向へ延伸する部材である幅方向延伸部材を更に備え、
前記プラテン調整段階において、前記幅方向延伸部材の状態を基準にして、前記媒体の幅方向における各位置での前記プラテンの高さの調整を行うことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の印刷装置の調整方法。
【請求項6】
媒体に対して印刷を行う印刷装置であって、
所定の搬送方向へ前記媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラとの間に前記媒体を挟むローラである対向ローラと、
前記搬送ローラへ前記対向ローラを押し当てる部材である押当部材と、
搬送される前記媒体を上面に保持するプラテンと、
前記搬送ローラの撓み方を変化させる機構であるローラ調整機構と、
前記搬送ローラの撓み方を変化させずに前記媒体の幅方向における各位置での前記プラテンの高さを調整する機構であるプラテン調整機構と
を備え、
前記ローラ調整機構は、前記押当部材によって前記対向ローラを前記搬送ローラに押し当てた状態で、前記搬送ローラの撓みを低減する調整を行うことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置の調整方法、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッド等の印刷ヘッドを用いて印刷を行う印刷装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような印刷装置では、例えば、プラテンと印刷ヘッドとを対向させて配設し、プラテン上の媒体へ印刷ヘッドからインクを吐出することで、媒体への印刷を行う。また、例えばローラを用いて所定の搬送方向へ媒体を搬送することで、媒体において印刷ヘッドと対向する位置を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ローラを用いて媒体の搬送を行う場合、例えば、媒体の幅方向と軸方向を平行にしたグリッドローラとピンチローラとの間に媒体を挟み、グリッドローラを回転駆動することで、媒体を搬送する。また、このようなグリッドローラとしては、例えば、媒体の幅に対して十分な長さを有するローラを用いることが考えられる。しかし、このような構成で媒体に対する印刷を行う場合、本来の搬送方向に対して実際に媒体が移動する方向が傾く現象であるスキューが生じ、高い品質での印刷を行うことが難しくなる場合がある。そのため、従来、より適切な方法で媒体の搬送を行うことが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる印刷装置の調整方法、及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の発明者は、媒体の搬送の精度を高めるための構成について鋭意研究を行った。そして、グリッドローラ及びピンチローラを用いて媒体を搬送する構成において、ピンチローラをグリッドローラに押し当てることでグリッドローラに意図しない撓みが生じることで、例えばスキューが生じ、搬送の精度が低下する場合があることを見出した。また、このような場合において、グリッドローラの撓みを低減する調整を行うことで、例えばスキューが生じること等を適切に防止して、媒体の搬送の精度を適切かつ十分に高め得ることを見出した。
【0006】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、印刷対象の媒体を搬送する搬送ローラを備える印刷装置の調整を行う印刷装置の調整方法であって、前記搬送ローラに対する調整を行うローラ調整段階を備え、前記印刷装置は、所定の搬送方向へ前記媒体を搬送する前記搬送ローラと、前記搬送ローラとの間に前記媒体を挟むローラである対向ローラと、前記搬送ローラへ前記対向ローラを押し当てる部材である押当部材とを備え、前記ローラ調整段階において、前記押当部材によって前記対向ローラを前記搬送ローラに押し当てた状態で、前記搬送ローラの撓みを低減する調整を行う。
【0007】
このように構成した場合、ローラ調整段階において搬送ローラの撓みを低減することで、例えば、搬送ローラの撓みの影響で搬送の精度が低下することを適切に防止することができる。また、これにより、例えば、スキューの発生等を適切に防止して、媒体の搬送を高い精度で適切に行うことができる。また、媒体の搬送の精度を高めることで、例えば、高い品質の印刷を適切に行うこと等も可能になる。
【0008】
この構成において、搬送ローラは、例えば、軸方向が媒体の搬送方向と直交するように配設される。このような搬送ローラとしては、例えば、媒体の幅方向へ延伸するように配設されるローラ(グリッドローラ等)を用いることが考えられる。また、この場合、例えば、幅方向において媒体の全体と接する長さの搬送ローラを用いることが好ましい。また、この構成において、印刷装置は、例えば、搬送される媒体を上面に保持するプラテンを更に備える。この場合、印刷装置の調整方法は、例えば、媒体の幅方向における各位置でのプラテンの高さを調整するプラテン調整段階を更に備える。また、この場合、プラテン調整段階は、例えば、ローラ調整段階と異なるタイミングで実行される段階である。このように構成すれば、印刷装置において、例えば、搬送される媒体を適切に保持することができる。また、これにより、例えば、媒体の搬送をより適切に行うことができる。
【0009】
また、印刷装置は、例えば、ローラ調整機構及びプラテン調整機構を更に備える。ローラ調整機構については、例えば、搬送ローラの撓み方を変化させる機構等と考えることができる。プラテン調整機構については、例えば、媒体の幅方向における各位置でのプラテンの高さを調整する機構等と考えることができる。プラテン調整機構としては、例えば、搬送ローラの撓み方を変化させずに媒体の幅方向における各位置でのプラテンの高さを調整する機構を用いることが好ましい。この場合、搬送ローラの撓み方を変化させないことについては、例えば、搬送ローラの撓み方を実質的に変化させないこと等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、プラテン調整段階でのプラテンの高さの調整をより容易かつ適切に行うことができる。また、この場合、例えば、ローラ調整段階の動作を行った後に、プラテン調整機構の動作を実行することが考えられる。より具体的に、この場合、例えば、先に、ローラ調整段階において、ローラ調整機構を用いて搬送ローラに対する調整を行う。そして、その後に、例えば、プラテン調整段階において、押当部材によって対向ローラを搬送ローラに押し当てた状態で、プラテン調整機構を用いて、プラテンに対する調整を行う。このように構成すれば、例えば、搬送ローラ及びプラテンに対する調整を適切に行うことができる。
【0010】
また、印刷装置においては、例えば、媒体を挟んでプラテンと対向する位置に印刷ヘッド(インクジェットヘッド等)を保持して、媒体への印刷を行うことが考えられる。そして、この場合、印刷ヘッド等を保持するための構成として、例えば、媒体の幅方向へ延伸する部材である幅方向延伸部材を用いることが考えられる。また、この場合、幅方向延伸部材は、例えば、媒体を挟んでプラテンと対向する位置において、媒体との間に隙間を空けて、媒体の幅よりも広い範囲に媒体の幅方向へ延伸する。そして、この場合、例えば、プラテンと幅方向延伸部材との間の隙間の大きさについて、位置によって差が生じると、印刷ヘッドと媒体との間の距離が媒体の幅方向における位置によって変化することで、高い精度での印刷を行うことが難しくなる場合がある。より具体的に、例えば、印刷ヘッドとしてインクジェットヘッドを用いる場合、位置によってこの隙間の大きさが変化すると、インクの着弾位置にばらつきが生じて、印刷の品質が低下する場合がある。そのため、プラテンの各位置の高さについては、この隙間の大きさができるだけ均一になるように、調整を行うことが好ましい。また、この場合、プラテン調整段階では、例えば、幅方向延伸部材の状態を基準にして、媒体の幅方向における各位置でのプラテンの高さの調整を行う。このように構成すれば、例えば、プラテンの調整をより適切に行うことができる。
【0011】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する印刷装置の構成等を考えることもできる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、印刷装置において、媒体の搬送を高い精度で適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置10の構成の一例を示す図である。
図1(a)は、印刷装置10の外観の一例を示す斜視図である。
図1(b)は、印刷装置10における本体部12の要部の構成の一例を示す。
【
図2】本体部12の具体的な構成の例について説明をする図である。
図2(a)は、本体部12の内部の構成の一例を示す斜視図である。
図2(b)、(c)は、本体部12の内部の構成を拡大して示す斜視図及び正面図である。
【
図3】本体部12の具体的な構成の例について説明をする図である。
図3(a)~(c)は、本体部12においてプラテン104に覆われる部分の構成の一例を示す。
【
図4】ローラ調整機構122及びプラテン調整機構124について更に詳しく説明をする図である。
図4(a)は、印刷の実行時における本体部12を示す。
図4(b)は、ローラ調整機構122の構成の一例を示す。
図4(c)は、プラテン調整機構124の構成の一例を示す。
【
図5】プラテン調整機構124について更に詳しく説明をする図である。
図5(a)は、プラテン調整機構124の構成の一例を示す。
図5(b)は、上面部132及びブラケット134の構成の一例を示す。
図5(c)は、プラテン調整機構124における調整ネジ402の構成の一例を示す。
【
図6】印刷装置10の調整を行い調整の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置10の構成の一例を示す。
図1(a)は、印刷装置10の外観の一例を示す斜視図である。
図1(b)は、印刷対象の媒体(メディア)50の一部と共に印刷装置10における本体部12の要部の構成の一例を示す図である。以下に説明をする点を除き、印刷装置10は、公知の印刷装置と同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、印刷装置10は、図示した構成以外に、公知の印刷装置における構成と同一又は同様の構成を更に備えてよい。
【0015】
本例において、印刷装置10は、ロールツーロール型のインクジェットプリンタであり、本体部12、脚部14、繰出部16、及び巻取部18を備える。この場合、ロールツーロール型のインクジェットプリンタについては、例えば、ロール状に巻かれた媒体(メディア)を順次繰り出してインクジェット方式で印刷を行い、媒体において印刷がされた部分を順次巻き取る構成の印刷装置等と考えることができる。本体部12は、印刷装置10において印刷の動作を実行する本体部分である。本例において、本体部12は、例えば
図1(b)に示すように、キャリッジ102、プラテン104、ガイド部106、搬送部108、主走査制御部110、副走査駆動部112、及び制御部120を有する。
【0016】
キャリッジ102は、媒体50に対してインクを吐出するインクジェットヘッドを保持する保持部材である。この場合、インクジェットヘッドについては、例えば、印刷ヘッドの一例等と考えることができる。印刷装置10において、キャリッジ102及びインクジェットヘッドを含む部分については、例えば、ヘッド部の一例等と考えることができる。キャリッジ102は、複数のインクジェットヘッドを保持してもよい。この場合、キャリッジ102において、例えば、互いに異なる色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッドを保持することが考えられる。また、本例において、キャリッジ102は、所定の主走査方向(図中のY方向)への移動が可能な状態で、ガイド部106に保持される。
【0017】
プラテン104は、キャリッジ102と対向する位置において上面に媒体50を保持する台状部材である。ガイド部106は、主走査動作時における主走査方向へのキャリッジ102の移動をガイドする構成である。ガイド部106については、例えば、媒体50を挟んでプラテン104と対向する位置にキャリッジ102及びインクジェットヘッドを保持していると考えることもできる。主走査動作については、例えば、媒体50に対して相対的に主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作等と考えることができる。また、本例において、ガイド部106は、媒体50の幅方向へ延伸する幅方向延伸部材の一例であり、媒体50を挟んでプラテン104と対向する位置において、媒体50との間に隙間を空けて、媒体50の幅よりも広い範囲に媒体50の幅方向へ延伸する。ガイド部106の構成については、後に更に詳しく説明をする。搬送部108は、所定の搬送方向へ媒体50を搬送する構成である。搬送部108の構成についても、後に更に詳しく説明をする。
【0018】
主走査制御部110は、キャリッジ102に保持されているインクジェットヘッドに主走査動作を行わせる駆動部である。本例において、主走査制御部110は、ガイド部106に沿ってキャリッジ102を移動させることで、キャリッジ102に保持されているインクジェットヘッドを移動させる。また、インクジェットヘッドにインクを吐出させる駆動信号をインクジェットヘッドへ供給することで、主走査方向における各位置において、インクジェットヘッドにインクを吐出させる。副走査駆動部112は、キャリッジ102に保持されているインクジェットヘッドに副走査動作を行わせる駆動部である。副走査動作については、例えば、主走査方向と直交する副走査方向(図中のX方向)へ媒体50に対して相対的に移動する動作等と考えることができる。本例において、副走査駆動部112は、副走査方向と平行な搬送方向への媒体50の搬送を搬送部108に行わせることで、媒体50に対して相対的にインクジェットヘッドを移動させる。また、この場合、副走査駆動部112は、主走査動作の合間にインクジェットヘッドに副走査動作を行わせることで、媒体50においてインクジェットヘッドと対向する位置を変化させる。制御部120は、例えば印刷装置10のCPUを含む構成であり、印刷装置10の各部の動作を制御する。本例によれば、例えば、印刷装置10の本体部12において、媒体50に対する印刷の動作を適切に実行することができる。また、本例において、本体部12は、
図1(b)において図示している構成以外に、ローラ調整機構及びプラテン調整機構等を更に有している。これらの構成についても、後に更に詳しく説明をする。
【0019】
また、脚部14は、本体部12を支持する台となる部分である。本例において、脚部14は、例えば
図1(a)に示すように、本体部12に加えて、繰出部16及び巻取部18を所定の位置において支持している。繰出部16は、本体部12において印刷がされる前の媒体50を保持する部分であり、媒体50の搬送方向における本体部12の上流側で、ロール状に巻かれた媒体50を保持し、印刷の動作の進行に応じて、本体部12へ向けて順次媒体50を繰り出す。この場合、搬送方向における本体部12の上流側については、例えば、本体部12におけるキャリッジ102よりも上流の側等と考えることができる。巻取部18は、本体部12において印刷がされた後の媒体50を保持する部分であり、媒体50の搬送方向における本体部12の下流側で媒体50を巻き取ることで、印刷がされた後の媒体50を保持する。この場合、搬送方向における本体部12の下流側については、例えば、本体部12におけるキャリッジ102よりも下流の側等と考えることができる。本例によれば、例えば、ロール状に巻かれた媒体50に対し、適切に印刷を行うことができる。また、印刷後の媒体50について、適切に巻き取りを行うことができる。
【0020】
続いて、本体部12の具体的な構成の例について、更に詳しく説明をする。
図2及び
図3は、本体部12の具体的な構成の例について説明をする図である。
図2は、本体部12の内部の構成の一例を示す図である。この場合、本体部12の内部については、例えば、本体部12の外周を構成するカバー等に囲まれている部分等と考えることができる。また、
図2(a)は、本体部12の内部の構成の一例を脚部14と共に示す斜視図である。
図2(b)、(c)は、本体部12の内部の構成を
図2(a)よりも拡大して示す斜視図及び正面図である。また、本例において、本体部12は、
図2においてプラテン104によって覆われている部分にも、一部の構成を有している。そのため、これらの部分については、
図3に示している。
図3(a)~(c)は、本体部12においてプラテン104に覆われる部分の構成の一例を示す図であり、
図2(a)~(c)に示す構成からプラテン104の少なくとも一部を消去して、本体部12の構成の一例を図示している。
【0021】
本例において、ガイド部106は、例えば
図2(b)に示すように、Yバー202及び直線移動ガイド204を有する。Yバー202は、主走査方向へ延伸する部材であり、主走査方向へ移動可能にキャリッジ102を保持する。また、Yバー202は、プラテン104と対向する位置においてプラテン104との間に隙間を空けて、媒体の幅方向において、媒体の幅よりも広い範囲に主走査方向へ延伸する。このようなYバー202を用いることにより、例えば、主走査方向へ移動するキャリッジ102を適切に保持することができる。また、本例において、Yバー202は、直線移動ガイド204を更に保持する。
【0022】
直線移動ガイド204は、主走査方向へのキャリッジ102の移動をガイドする部材である。本例において、直線移動ガイド204は、所定の移動方向へ延伸するレール部と、レール部に沿って移動する可動部とを有し、可動部の移動方向が主走査方向と平行になるように、Yバー202に保持される。この場合、可動部の移動方向が主走査方向と平行になることについては、例えば、設計上の移動方向が主走査方向と平行になること等と考えることができる。また、直線移動ガイド204については、例えば、ころがりの動作を用いて機械の直線運動をガイドする機械要素部品等と考えることができる。直線移動ガイド204としては、例えば、公知のLMガイド(登録商標)等を好適に用いることができる。このような直線移動ガイド204を用いることで、例えば、ガイド部106において、主走査方向へのキャリッジ102の移動を適切にガイドすることができる。
【0023】
また、本例において、搬送部108は、例えば
図3(b)に示すように、グリッドローラ212及び複数のクランプ部214を有する。グリッドローラ212は、搬送ローラの一例であり、クランプ部214におけるピンチローラ222との間に媒体を挟んだ状態で所定の方向へ回転することにより、搬送方向へ媒体を搬送する。また、本例において、グリッドローラ212は、副走査駆動部112(
図1参照)に駆動されることで能動的に回転するローラであり、キャリッジ102と対向する位置よりも搬送方向における上流側で軸方向が媒体の搬送方向と直交するように配設され、媒体の裏面側において、媒体に接触する。この場合、グリッドローラ212の軸方向については、例えば、回転軸が延伸する方向等と考えることができる。グリッドローラ212の軸方向と軸方向が媒体の搬送方向とが直交することについては、例えば、設計上で直交すること等と考えることができる。媒体の裏面については、例えば、キャリッジ102と対向する面と反対の側の面等と考えることができる。グリッドローラ212については、例えば、媒体の幅方向へ延伸するように配設されると考えることもできる。また、本例において、グリッドローラ212は、幅方向において媒体の全体と接する長さのローラであり、プラテン104の上面よりも回転軸が下になる位置に配設され、例えばグリッドローラ212の位置に合わせてプラテン104の上面に形成される隙間を介して、媒体と接触する。この場合、プラテン104について、例えば、媒体と接触可能な状態でグリッドローラ212を収容する構成になっていると考えることができる。このような構成のグリッドローラ212及びプラテン104を用いることで、例えば、プラテン104に保持された媒体をグリッドローラ212によって適切に搬送することができる。
【0024】
クランプ部214は、グリッドローラ212との間に媒体を挟むための部材であり、ピンチローラ222及びアーム部材224を有する。ピンチローラ222は、対向ローラの一例であり、アーム部材224によってグリッドローラ212へ押し当てられることで、グリッドローラ212との間に媒体を挟む。また、本例において、ピンチローラ222は、グリッドローラ212の回転に応じて回転する従動ローラであり、アーム部材224の一端に回転可能に保持される。アーム部材224は、押当部材の一例であり、一端にピンチローラ222を保持し、例えばユーザの操作に応じて一端の位置を変化させる。また、この場合、アーム部材224は、所定の方向へ一端の位置を移動させることで、ピンチローラ222をグリッドローラ212へ押し当てる。また、一端の位置を反対の方向へ移動させることで、ピンチローラ222をグリッドローラ212から離れさせる。このように構成すれば、例えば、媒体の搬送時において、グリッドローラ212とピンチローラ222との間に媒体を適切に挟むことができる。また、媒体の設置時や取り外し時等に、グリッドローラ212とピンチローラ222との間の隙間を大きくして、媒体の設置や取り外しを行いやすくすることができる。
【0025】
また、図中に示すように、本例において、搬送部108は、媒体の幅方向へ並ぶ複数のクランプ部214を有する。この場合、それぞれのクランプ部214におけるピンチローラ222は、それぞれの位置において、グリッドローラ212との間に媒体を挟む。この場合、例えば、媒体の幅に合わせて、一部のクランプ部214のみを用いることが考えられる。また、本例において、複数のクランプ部214は、ガイド部106におけるYバー202に対して固定されている。このように構成すれば、例えば、媒体を挟んでグリッドローラ212と対向する位置にクランプ部214を適切に保持することができる。
【0026】
また、上記においても説明をしたように、本例において、本体部12は、ローラ調整機構122及びプラテン調整機構124を更に有する。ローラ調整機構122は、グリッドローラ212に対する調整を行う機構である。本例において、ローラ調整機構122は、調整によってグリッドローラ212の撓み方を変化させる機構であり、グリッドローラ212の撓みを低減することで、グリッドローラ212の軸方向について、設計上の方向とのずれを低減する。この場合、グリッドローラ212の撓みを低減することについては、例えば、グリッドローラ212に意図しない湾曲等が生じず、かつ、グリッドローラ212の各位置での回転軸と搬送方向とが直交するように調整を行うこと等と考えることもできる。本例において、設計上でのグリッドローラ212の軸方向は、水平面と平行で、かつ、搬送方向と直交する方向である。また、プラテン調整機構124は、プラテン104の高さを調整する機構である。この場合、プラテン104の高さについては、例えば、プラテン104において媒体と対向する面の高さ等と考えることができる。また、本例において、プラテン調整機構124は、媒体の幅方向における互いに異なる複数の位置でプラテン104の高さを調整することで、媒体の幅方向における各位置でのプラテンの高さを調整する。
【0027】
続いて、ローラ調整機構122及びプラテン調整機構124の具体的な構成等について、更に詳しく説明をする。
図4及び
図5は、ローラ調整機構122及びプラテン調整機構124について更に詳しく説明をする図である。まず、
図4(a)を用いて、本例においてグリッドローラ212やプラテン104に対する調整を行う理由の例について、説明をする。
図4(a)は、印刷の実行時における本体部12を媒体50と共に示す図である。上記においても説明をしたように、本例において、印刷装置10(
図1参照)での印刷の実行時には、キャリッジ102に保持されたインクジェットヘッドに主走査動作を行わせる。また、この主走査動作において、インクジェットヘッドは、主走査方向へ移動しつつ、インクを吐出する。そのため、インクジェットヘッドから吐出されたインクは、主走査方向へ移動しつつ、媒体へ近づくことになる。そして、この場合、インクジェットヘッドにおいてノズルが形成されている面と媒体50との間の距離であるヘッドギャップについて、例えば主走査方向における位置による差が大きくなると、インクが吐出されてから媒体50に着弾するまでの時間(インクの飛翔時間)に差が生じることで、主走査方向における位置による着弾位置のずれが大きくなり、印刷の品質が低下することになる。また、本例のように、ガイド部106によってキャリッジ102を保持する構成の場合、主走査方向における各位置でのヘッドギャップについて、例えば、プラテン104とガイド部106の間の隙間の大きさに応じて変化すると考えることができる。また、この場合、主走査方向における位置によってこの隙間の大きさが変化することで、インクの着弾位置にばらつきが生じて、印刷の品質が低下すると考えることができる。
【0028】
この点に関し、例えば設計上の観点では、キャリッジ102を保持するガイド部106が延伸する方向を水平面内の方向にし、プラテン104の上面も水平にすればよいように思われる。しかし、実際の印刷装置10においては、様々な要因により、各部にずれや撓み等が生じることになる。より具体的に、例えば、ガイド部106においては、例えばクランプ部214におけるピンチローラ222をグリッドローラ212に押し当てることで生じる反作用の影響等により、撓みが生じることが考えられる。そして、このような場合、単に設計上でガイド部106の延伸方向やプラテン104の上面を水平にしているのみでは、主走査方向における位置によるヘッドギャップの差が大きくなり、高い精度で印刷を行うことが難しくなる。これに対し、本例においては、上記において説明をしたように、プラテン調整機構124によって各位置でのプラテン104の高さを調整する。また、これにより、例えば、ガイド部106の撓み方等に合わせてプラテン104の調整を行い、位置によるヘッドギャップの差を低減する。この場合、例えば、プラテン104とガイド部106との間の隙間の大きさができるだけ均一になるように、調整を行うことが好ましい。このように構成すれば、例えば、主走査方向における位置による着弾位置のずれが大きくなること等を適切に防止することができる。
【0029】
また、印刷装置10において、高い精度で印刷を行うためには、例えば、媒体50の搬送を高い精度で適切に行うことも重要である。この点に関し、本願の発明者は、クランプ部214におけるピンチローラ222をグリッドローラ212に押し当てることでグリッドローラ212に意図しない撓みが生じ、例えばスキューが生じることで、搬送の精度が低下する場合があることを見出した。また、ロール状に巻かれた媒体50に対して印刷を行う場合について、搬送方向につながる媒体50を連続して搬送することで、このような問題が生じやすいことを見出した。これに対し、本例においては、上記において説明をしたように、ローラ調整機構122によって、グリッドローラ212の撓みを低減するように、グリッドローラ212に対する調整を行う。そのため、本例によれば、例えば、グリッドローラ212の撓みによって媒体50の搬送の精度が低下すること等を適切に防止することもできる。また、これにより、例えば、スキューの発生等を適切に防止して、媒体50の搬送を高い精度で適切に行うことができる。また、媒体50の搬送の精度を高めることで、例えば、高い品質の印刷を適切に行うこと等も可能になる。
【0030】
ここで、本例においては、上記のように、ローラ調整機構122及びプラテン調整機構124を用いることで、例えば、グリッドローラ212及びプラテン104に対する調整を適切に行うことができる。しかし、この場合、例えば、ローラ調整機構122及びプラテン調整機構124のそれぞれによる調整の結果が相互に影響してしまうと、グリッドローラ212及びプラテン104に対する調整を適切に行えなくなる場合がある。より具体的に、例えば、ローラ調整機構122での調整によってプラテン104の高さにも変化が生じ、かつ、プラテン調整機構124での調整によってグリッドローラ212の撓み方にも変化が生じる場合、ローラ調整機構122及びプラテン調整機構124で行う調整のうち、後で実行する調整により、先に行った調整の結果に誤差が生じることになる。
【0031】
そのため、ローラ調整機構122及びプラテン調整機構124のうちの少なくとも一方については、他方の調整結果に影響を与えない構成を用いることが好ましい。また、本例においては、プラテン調整機構124として、グリッドローラ212の撓み方を変化させずに媒体50の幅方向における各位置でのプラテン104の高さを調整する機構を用いる。また、この場合、例えば、ローラ調整機構122によるグリッドローラ212の調整を行った後に、プラテン調整機構124によるプラテン104の調整を行う。このように構成すれば、例えば、プラテン104の高さの調整時にグリッドローラ212に撓みが発生すること等を適切に防止することができる。また、これにより、例えば、グリッドローラ212及びプラテン104の両方に対する調整を適切に行うことができる。グリッドローラ212の撓み方を変化させないことについては、例えば、グリッドローラ212の撓み方を実質的に変化させないこと等と考えることができる。また、グリッドローラ212の撓み方を実質的に変化させないことについては、例えば、搬送に求められる精度において問題となるスキュー等が生じる撓み方の変化が生じないこと等と考えることができる。
【0032】
また、この場合、例えば、
図4(b)に示す構成のローラ調整機構122を用いて、グリッドローラ212に対する調整を行うことが考えられる。
図4(b)は、ローラ調整機構122の構成の一例をグリッドローラ212等と共に示す。本例において、ローラ調整機構122は、媒体50の幅方向における互いに異なる複数の位置において、下側(鉛直方向の下側)からグリッドローラ212を支持し、その支持位置を上下方向で変化させることで、グリッドローラ212の撓み方を変化させる。また、ローラ調整機構122は、媒体50の幅方向における複数の位置のそれぞれにおいて、ローラ支持部302、固定部304、移動部306、及び複数の調整ネジ308を有する。
【0033】
ローラ支持部302は、媒体50の幅方向における各位置でグリッドローラ212と接触して支持する部分である。本例において、ローラ支持部302は、移動部306の上側(鉛直方向の上側)に固定されており、下側からグリッドローラ212を支持する。固定部304は、媒体50の幅方向の各位置にローラ調整機構122の各構成を固定するための部材である。また、本例において、固定部304は、印刷装置10の脚部14(
図1参照)に対して固定されることで、媒体50の幅方向における所定の位置に固定される。移動部306は、複数の調整ネジ308を用いた調整によって上下に移動可能な部材であり、ローラ支持部302と共に上下に移動することで、自身の移動に応じて、上下方向におけるローラ支持部302の位置を変化させる。複数の調整ネジ308は、上下方向における移動部306の高さを調整するためのネジである。また、本例において、複数の調整ネジ308は、調整後の位置において、移動部306を固定部304に対して固定する。このように構成した場合、例えば、複数の調整ネジ308を用いて移動部306の高さを変化させることで、移動部306と共にローラ支持部302を移動させることができる。また、これにより、例えば、媒体50の幅方向における各位置でローラ支持部302によってグリッドローラ212を支持する高さを変化させて、グリッドローラ212の撓み方を変化させることができる。そのため、本例によれば、例えば、グリッドローラ212に対する調整を適切に行うことができる。
【0034】
また、この場合、例えば、
図4(c)に示す構成のプラテン調整機構124を用いて、プラテン104に対する調整を行うことが考えられる。
図4(c)は、プラテン調整機構124の構成の一例をプラテン104等と共に示す。本例において、プラテン調整機構124は、媒体50の幅方向における互いに異なる複数の位置において、プラテン104の上面の高さを変化させる。より具体的に、本例において、プラテン104は、上面部132及びブラケット134を有する。上面部132は、プラテン104の上面を構成する部分である。上面部132については、例えば、プラテン104の本体部分等を考えることもできる。ブラケット134は、上面部132の支持台として機能する部分であり、印刷装置10に対して固定した位置に配設され、その位置において、上側に上面部132を支持する。また、本例において、ブラケット134は、少なくとも一部の位置で上面部132との間に隙間を空けて、上面部132を支持する。
【0035】
尚、本例においては、ブラケット134について、例えば、ローラ調整機構122における移動部306を兼ねていると考えることもできる。この場合、ブラケット134が移動部306を兼ねることについては、例えば、ブラケット134が移動部306としても機能すること等と考えることができる。また、この場合、ブラケット134について、プラテン104の構成要素ではなく、ローラ調整機構122の構成要素と考えることもできる。この場合、例えば、ブラケット134をプラテン104に含めずに、上面部132をプラテンと考えることができる。また、ブラケット134が移動部306を兼ねる構成の場合、ローラ調整機構122によるグリッドローラ212の調整時にブラケット134が上下に移動することで、プラテン104の高さにも変化が生じることが考えられる。ローラ調整機構122における移動部306としては、ブラケット134と別の構成を用いてもよい。この場合、例えば、ローラ調整機構122によるグリッドローラ212の調整時にプラテン104の高さが変化しない構成を用いることが考えられる。
【0036】
また、本例において、プラテン調整機構124は、媒体50の幅方向の各位置においてブラケット134と上面部132との間の隙間の大きさを変化させることで、各位置でのプラテン104の高さを変化させる。より具体的に、本例において、プラテン調整機構124は、媒体50の幅方向の各位置において、ネジを用いた構成により、プラテン104の高さを変化させる。この場合、プラテン調整機構124は、媒体50の幅方向の各位置において、例えば、
図5に示す構成を有する。
【0037】
図5は、プラテン調整機構124について更に詳しく説明をする図であり、媒体の幅方向の各位置におけるプラテン調整機構124の構成の一例を示す。
図5(a)は、プラテン調整機構124の構成の一例をプラテン104における上面部132及びブラケット134と共に示す。
図5(b)は、上面部132及びブラケット134の構成の一例を示す。
図5(c)は、プラテン調整機構124における調整ネジ402の構成の一例を示す。
【0038】
本例において、プラテン調整機構124は、媒体の幅方向の各位置で用いる構成として、調整ネジ402及び固定ネジ404を有する。また、プラテン104において、上面部132は、調整ネジ402が通される貫通孔146を有する。ブラケット134は、固定ネジ404の固定に用いる孔である雌ネジ144を有する。また、より具体的に、本例において、調整ネジ402は、固定ネジ404を通す軸方向の貫通孔412が形成され、かつ、側壁416にネジ山が形成された円筒状のネジである。また、調整ネジ402の上面には、調整ネジ402を回すための係合溝414が形成されている。固定ネジ404は、プラテン104における上面部132をブラケット134に対して固定するためのネジであり、ブラケット134における雌ネジ144に対応するネジ山が先端部に形成されている。また、上面部132の貫通孔146における内壁には、調整ネジ402の側壁416のネジ山に対応するネジ山が形成されている。
【0039】
このような構成のプラテン調整機構124を用いる場合、例えば、上面部132の貫通孔146を一部が通り抜けることで下面がブラケット134の上面と接するように、上面部132の貫通孔146に対し、調整ネジ402を挿入する。この場合、調整ネジ402において上面部132の貫通孔146から突出している部分の高さに応じて、上面部132とブラケット134との間の隙間Dの大きさが決まることになる。また、調整ネジ402を回すことで、隙間Dの大きさが変化する。更に、この場合、調整によって隙間Dの大きさを決定した後、調整ネジ402の貫通孔412を通過させて、固定ネジ404の先端をブラケット134の雌ネジ144に係合させることで、調整ネジ402及び上面部132をブラケット134に対して固定する。より具体的に、この場合、例えば
図5(a)に示すように、固定ネジ404の頭の部分によって上面部132を上側から押さえた状態で固定ネジ404の先端とブラケット134の雌ネジ144とを係合させることで、調整後の隙間Dの大きさを保った状態で、上面部132をブラケット134に対して固定する。このように構成すれば、例えば、プラテン104の各位置における高さを適切に調整することができる。
【0040】
また、このような構成のローラ調整機構122及びプラテン調整機構124を用いる場合、例えば、
図6に示す動作により、印刷装置10に対する調整を行うことが考えられる。
図6は、印刷装置10の調整を行い調整の動作の一例を示すフローチャートであり、印刷装置10の組み立て時に行う調整の動作の例を示す。この動作においては、先ず、調整の対象となる印刷装置10の組み立てを行う(S102)。この場合、例えば、脚部14等を含む印刷装置10の構造部分に対して本体部12の各部等を取り付けることで、印刷装置10の組み立てを行う。ステップS102の動作については、例えば、組み立て中の印刷装置10に対してYバー202やグリッドローラ212等を取り付ける動作等と考えることができる。
【0041】
また、本例においては、ステップS102で印刷装置10の組み立てを行った後に、印刷装置10の各部に対する調整を行う。また、この調整の少なくとも一部について、搬送部108のクランプ部214におけるピンチローラ222をグリッドローラ212に対して押し当てた状態で行う。より具体的に、本例においては、ステップS102に続いて、Yバー202に対する調整を行う(S104)。また、本例において、ステップS104では、クランプ部214を動かし、ピンチローラ222をグリッドローラ212に対して押し当てた状態で、グリッドローラ212に対してYバー202を平行にする調整を行う。より具体的に、この場合、媒体50の搬送方向と平行な方向(X方向)でのグリッドローラ212及びYバー202の位置に着目して、この方向での位置が揃うように、Yバー202に対する調整を行う。また、本例において、ステップS102では、Yバー202の取り付けについて、Yバー202の所定の位置に直線移動ガイド204が既に取り付けられた状態で行う。そのため、ステップS104で行うYバー202の調整については、例えば、直線移動ガイド204の調整を兼ねていると考えることもできる。
【0042】
また、ステップS104でYバー202に対する調整を行った後には、ピンチローラ222をグリッドローラ212に押し当てた状態のまま、グリッドローラ212に対する調整を行う(S106)。本例において、ステップS106の動作は、ローラ調整段階の動作の一例である。また、ステップS106では、ローラ調整機構122を用いて、グリッドローラ212の撓みを低減する調整を行う。また、ステップS106でグリッドローラ212に対する調整を行った後には、ピンチローラ222をグリッドローラ212に押し当てた状態のまま、プラテン104に対する調整を行う(S108)。本例において、ステップS108の動作は、プラテン調整段階の動作の一例である。また、ステップS108では、プラテン調整機構124を用いて、ガイド部106の状態を基準にして、媒体の幅方向における各位置でのプラテン104の高さの調整を行う。この場合、ガイド部106の状態を基準にしてプラテン104に対する調整を行うことについては、例えば、プラテン104とガイド部106との間の隙間の大きさに着目して調整を行うこと等と考えることができる。また、この場合、例えば、ガイド部106における直線移動ガイド204の反り方に合わせてプラテン104の上面が反るようにプラテン104に対する調整を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、プラテン104の調整を適切に行うことができる。
【0043】
ここで、上記のように、本例においては、ステップS108でのプラテン104の調整について、ステップS106でのグリッドローラ212の調整と異なるタイミングで行う。また、この場合において、グリッドローラ212に対する調整を行った後に、グリッドローラ212の撓み方を変化させない構成のプラテン調整機構124を用いて、プラテン104に対する調整を行う。このように構成すれば、例えば、グリッドローラ212及びプラテン104に対する調整を適切に行うことができる。また、本例においては、これらの調整を行った後に、キャリッジ102の高さの調整を行う(S110)。このように構成すれば、例えば、調整後のグリッドローラ212やプラテン104等の状態に合わせて、キャリッジ102の高さを適切に調整することができる。本例によれば、例えば、印刷装置10に対する調整を高い精度で適切に行うことができる。
【0044】
また、上記において説明をした印刷装置10に対する調整の動作と同一又は同様の動作については、印刷装置10の組み立て時以外に実行することも考えられる。この場合、例えば、印刷装置10の出荷後に必要に応じて行う調整時に、ステップS104以降の動作の少なくとも一部を実行すること等が考えられる。また、印刷装置10の各部の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変更が可能である。例えば、ローラ調整機構122は、上記において説明をした構成とは異なる構成で、グリッドローラ212の撓み方を変化させてもよい。この場合、ローラ調整機構122として、例えば、プラテン104の高さを変化させずにグリッドローラ212の撓み方を変化させる構成の機構を用いること等も考えられる。また、この場合、グリッドローラ212の調整について、プラテン104の調整よりも後で実行すること等も考えられる。また、プラテン調整機構124は、上記において説明をした構成とは異なる構成で、プラテン104の各位置での高さを変化させてもよい。例えば、プラテン104の高さを変化させずにグリッドローラ212の撓み方を変化させる構成のローラ調整機構122を用い、プラテン104の調整よりも後でグリッドローラ212の調整を行う場合、プラテン104の調整時にローラ調整機構122の撓み方が変化する構成のプラテン調整機構124を用いること等も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば印刷装置の調整方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
10・・・印刷装置、102・・・キャリッジ、104・・・プラテン、106・・・ガイド部、108・・・搬送部、110・・・主走査制御部、112・・・副走査駆動部、12・・・本体部、120・・・制御部、122・・・ローラ調整機構、124・・・プラテン調整機構、132・・・上面部、134・・・ブラケット、14・・・脚部、144・・・雌ネジ、146・・・貫通孔、16・・・繰出部、18・・・巻取部、202・・・Yバー、204・・・直線移動ガイド、212・・・グリッドローラ、214・・・クランプ部、222・・・ピンチローラ、224・・・アーム部材、302・・・ローラ支持部、304・・・固定部、306・・・移動部、308・・・調整ネジ、402・・・調整ネジ、404・・・固定ネジ、412・・・貫通孔、414・・・係合溝、416・・・側壁、50・・・媒体