(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125277
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
A47F 3/04 20060101AFI20230831BHJP
F25D 17/08 20060101ALI20230831BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A47F3/04 H
F25D17/08 321F
F25D19/00 552A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029277
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】関山 博幸
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110BA05
3B110CA20
(57)【要約】
【課題】店舗内の床面近くの低温の空気を利用して冷気のエアカーテンを保護する冷気保護用のエアカーテンを形成し、店舗内の天井側の暖かい空気を利用してコールドアイルの発生を防止する。
【解決手段】
ショーケース本体3の背面側に上下方向に延出する下向き送風ダクト10と上向き送風ダクト11とを形成する。下向き送風ダクトの下端部には下部水平ダクト13を接続し、上向き送風ダクトの先端部に上部水平ダクト15を接続する。下向き送風ファン12を駆動させ、店舗の天井側の暖かい空気を吸い込んで下部水平ダクトの先端部から吹出し、ショーケース本体の正面側におけるコールドアイルの発生を防止する。上向き送風ファン14を駆動させることにより、ショーケース本体の背面側の低温の空気を吸込口17から吸込み、冷気のエアカーテンを覆う低温の冷気保護用のエアカーテンを形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に商品陳列室が形成され、この商品陳列室内の商品を取り出し可能な開口が正面側に形成されたショーケース本体と、
前記ショーケース本体の内周部に沿って形成された冷気ダクトと、
冷気を生成してその冷気が前記冷気ダクト内を流れるとともに前記開口の部分で冷気のエアカーテンを形成するように循環させる冷凍サイクル装置と、
前記ショーケース本体の背面側に上下方向に延出して形成された少なくとも一つの下向き送風ダクトと、
前記ショーケース本体の背面側に上下方向に延出して形成された少なくとも一つの上向き送風ダクトと、
前記ショーケース本体が設置されている店舗の天井側の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を前記下向き送風ダクト内を通して下向きに送風する下向き送風ファンと、
前記下向き送風ダクトの下端部に接続され、この下向き送風ダクト内を下向きに送風された空気が前記ショーケース本体の正面側の床面に向けて先端部から吹出す下部水平ダクトと、
前記ショーケース本体が設置されている店舗における前記ショーケース本体の背面側に位置する床面側の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を前記上向き送風ダクト内を通して上向きに送風する上向き送風ファンと、
前記上向き送風ダクトの下部に形成されて前記ショーケース本体の背面側に位置する床面側の空気を吸い込む吸込口と、
前記上向き送風ダクトの上端部に接続され、この上向き送風ダクト内を上向きに送風された空気が前記冷気のエアカーテンの外側を覆うように先端部から下向きに吹出して冷気保護用のエアカーテンが形成される上部水平ダクトと、
を有することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記下向き送風ダクトの下端部と前記上向き送風ダクトの下端部とは、前記下向き送風ダクト内を下向きに送風された空気が前記ショーケース本体の背面側において前記上向き送風ダクト内に入り込まないように仕切られていることを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
前記上向き送風ダクトは前記ショーケース本体の横幅方向の中央部に一つ形成され、前記下向き送風ダクトは前記上向き送風ダクトの両側に一つずつ形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケース本体の開口を冷気のエアカーテンで覆うようにしたショーケースにおいて、その冷気のエアカーテンを店舗内の空気を利用して形成した冷気保護用のエアカーテンで覆うとともに、ショーケース本体の正面側の床面上に発生するコールドアイルを店舗内の天井側の暖かい空気を利用して防止するようにしたショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、内部に商品を陳列する商品陳列室を有するとともに、その商品陳列室内の商品を冷却する冷凍サイクル装置を備えたショーケースが使用されている。このようなショーケースでは、冷気がショーケース外に漏れ出して店舗内の床面上にコールドアイルが発生することがある。コールドアイルが発生すると、買物客が足元を冷やされて不快感を感じるため、コールドアイルの発生を防止する様々な対策が講じられている。
【0003】
コールドアイルの発生を防止する対策の一例としては、下記特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載されたものは、店舗内の天井側の空気(床面側の空気に比べて暖かい空気)を吸い込んで下向きに送風し、下向きに送風された空気をショーケースの背面側から正面側へショーケースの下側を通して送風し、この送風された空気によってショーケースの正面側の床面上の空気に流れを与え、この空気の流れによってショーケースの正面側の床面上にコールドアイルが発生することを防止している。
【0004】
ところで、ショーケースの開口を覆う冷気のエアカーテンを形成するようにしたショーケースにおいて、冷気のエアカーテンによる冷却性能を確保するため、冷気のエアカーテンの外側に店舗内の空気を利用して冷気保護用のエアカーテンを形成するようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷気のエアカーテンの外側を、店舗内の空気を利用して形成した冷気保護用のエアカーテンで覆うようにした場合には、この冷気保護用のエアカーテンは、店舗内のできるだけ低温の空気(床面の近くに位置する空気)を利用して形成することが望ましい。その理由は、冷気保護用のエアカーテンを形成する空気の温度が高いと、冷気のエアカーテンと冷気保護用のエアカーテンとが接する部分で、冷気保護用のエアカーテンにより冷気のエアカーテンが暖められてしまうからである。即ち、冷気のエアカーテンが暖められることにより冷気の温度が上昇し、冷気を生成するための冷凍サイクル装置の負荷が大きくなり、冷凍サイクル装置を運転する際の消費エネルギーが増大するからである。
【0007】
従って、コールドアイルの発生を防止するために店舗内の天井側の暖かい空気を吸い込んで下向きに送風すると、ショーケースの周囲の床面近くの空気の温度が上昇する。そして、温度が上昇した床面近くの空気を利用して冷気保護用のエアカーテンを形成すると、形成された冷気保護用のエアカーテンの温度が上昇し、冷気保護用のエアカーテンが冷気のエアカーテンを温めてしまう。それにより、冷気を生成する冷凍サイクル装置の消費エネルギーを増大させるという不都合が生じる。このため、床面近くの低温の空気を利用して冷気保護用のエアカーテンを形成することと、コールドアイルの発生を防止するために天井側の暖かい空気を床面側に送風することとを同時に行うことは困難である。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、店舗内の床面近くの低温の空気を利用して冷気のエアカーテンを保護する冷気保護用のエアカーテンを形成することと、店舗内の天井側の暖かい空気を床面側に送風して床面上におけるコールドアイルの発生を防止することとを、両立させることができるショーケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るショーケースは、内部に商品陳列室が形成され、この商品陳列室内の商品を取り出し可能な開口が正面側に形成されたショーケース本体と、前記ショーケース本体の内周部に沿って形成された冷気ダクトと、冷気を生成してその冷気が前記冷気ダクト内を流れるとともに前記開口の部分で冷気のエアカーテンを形成するように循環させる冷凍サイクル装置と、前記ショーケース本体の背面側に上下方向に延出して形成された少なくとも一つの下向き送風ダクトと、前記ショーケース本体の背面側に上下方向に延出して形成された少なくとも一つの上向き送風ダクトと、前記ショーケース本体が設置されている店舗の天井側の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を前記下向き送風ダクト内を通して下向きに送風する下向き送風ファンと、前記下向き送風ダクトの下端部に接続され、この下向き送風ダクト内を下向きに送風された空気が前記ショーケース本体の正面側の床面に向けて先端部から吹出す下部水平ダクトと、前記ショーケース本体が設置されている店舗における前記ショーケース本体の背面側に位置する床面側の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を前記上向き送風ダクト内を通して上向きに送風する上向き送風ファンと、前記上向き送風ダクトの下部に形成されて前記ショーケース本体の背面側に位置する床面側の空気を吸い込む吸込口と、前記上向き送風ダクトの上端部に接続され、この上向き送風ダクト内を上向きに送風された空気が前記冷気のエアカーテンの外側を覆うように先端部から下向きに吹出して冷気保護用のエアカーテンが形成される上部水平ダクトと、を有する。
【0010】
また、前述のショーケースにおいて、前記下向き送風ダクトの下端部と前記上向き送風ダクトの下端部とは、前記下向き送風ダクト内を下向きに送風された空気が前記ショーケース本体の背面側において前記上向き送風ダクト内に入り込まないように仕切られていることが望ましい。
【0011】
また、前述のショーケースにおいて、前記上向き送風ダクトは前記ショーケース本体の横幅方向の略中央部に一つ形成され、前記下向き送風ダクトは前記上向き送風ダクトの両側に一つずつ形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るショーケースによれば、冷気ダクト内を冷気が流れ、この冷気は開口の部分を冷気のエアカーテンとなって覆うことにより商品陳列室内の商品の冷却を促進している。そして、上向き送風ファンが駆動されることにより、ショーケース本体の背面側に位置する床面側の空気が吸込口から吸い込まれて上向き送風ダクト内を送風され、上向き送風ダクト内を送風された空気はさらに上部水平ダクト内を送風され、上部水平ダクトの先端部から下向きに吹出して冷気のエアカーテンの外側を覆う冷気保護用のエアカーテンが形成される。この冷気保護用のエアカーテンにより、冷気がショーケース本体外に漏れ出すことが抑制される。一方、下向き送風ファンが駆動されることにより、店舗の天井側の暖かい空気が下向き送風ダクト内に吸い込まれて下向きに送風され、下向き送風ダクト内を送風された空気はさらに下部水平ダクト内を送風され、下部水平ダクトの先端部からショーケース本体の正面側の床面に向けて吹出し、吹出した空気がショーケース本体の正面側の床面上を流れることにより、ショーケース本体の正面側の床面上にコールドアイルが発生することが防止される。ここで、店舗の天井側の暖かい空気は下向き送風ダクト内と下部水平ダクト内とを送風されてショーケース本体の正面側に吹出しており、ショーケース本体の背面側に位置する床面上の空気を温めることはなく、ショーケース本体の背面側に位置する床面上の空気は低い温度に保たれている。そして、この低い温度に保たれているショーケース本体の背面側に位置する床面上の空気を吸込口から吸い込んで冷気保護用のエアカーテンが形成されるため、冷気保護用のエアカーテンは低い温度に維持され、冷気保護用のエアカーテンと冷気のエアカーテンとが接する部分で冷気のエアカーテンが冷気保護用のエアカーテンにより暖められるということがなく、冷気を生成する冷凍サイクル装置の消費エネルギーを抑制することができる。このため、床面近くの低温の空気を利用して低温の冷気保護用のエアカーテンを形成することと、天井側の暖かい空気を床面側に送風してコールドアイルの発生を防止することとを同時に行うことが可能となる。
【0013】
また、下向き送風ダクトの下端部と上向き送風ダクトの下端部とは、下向き送風ダクト内を下向きに送風された空気が上向き送風ダクト内に入り込まないように仕切られている。それにより、下向き送風ダクト内を天井側から下向きに送風された暖かい空気が、上向き送風ダクト内を送風されて冷気保護用のエアカーテンを形成する空気に混合することを確実に防止することができ、冷気保護用のエアカーテンの温度を低い温度に維持することができる。
【0014】
また、ショーケースにおいて、上向き送風ダクトをショーケース本体の横幅方向の中央部に一つ形成することにより、開口の部分における冷気保護用のエアカーテンの形成を良好に行える。また、下向き送風ダクトを上向き送風ダクトの両側に一つずつ形成することにより、ショーケース本体の正面側におけるコールドアイルの発生阻止を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗内に設置されるショーケース1を示す断面側面図である。このショーケース1は、内部に商品陳列室2が形成されたショーケース本体3を有しており、ショーケース本体3の正面側には、商品陳列室2内に陳列されててる商品を取り出し可能な開口4が形成されている。
【0017】
ショーケース本体3には、その内周部に沿って冷気が流れる冷気ダクト5a、5bが形成されている。そして、ショーケース1には、商品陳列室2内に陳列された商品を冷却するための冷気を生成する冷凍サイクル装置6が設けられている。この冷凍サイクル装置6は、冷気ダクト5a内の空気を冷却して冷気を生成する冷却器7、冷気を冷気ダクト5a、5b内を循環するように送風するとともに送風した冷気により開口4の部分を覆う冷気のエアカーテン8a、8bを形成する送風ファン9a、9b等により構成されている。尚、冷却器7の周囲を通過する冷気ダクト5a内の冷気は、冷却器7の周囲を通過しない冷気ダクト5b内の冷気より低温となり、冷気のエアカーテン8aは冷気のエアカーテン8bよりも低温となっている。
【0018】
ショーケース本体3の背面側には、
図2に示すように、上下方向に延出する下向き送風ダクト10と、上下方向に延出する上向き送風ダクト11とが形成されている。上向き送風ダクト11は、ショーケース本体3の横幅方向の中央部に一つ形成され、下向き送風ダクト10は、上向き送風ダクト11の両側に一つずつ形成されている。
【0019】
下向き送風ダクト10の上端部には、ショーケース1が設置されている店舗の天井側の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を下向き送風ダクト10内を通して下向きに送風する下向き送風ファン12が取付けられている。下向き送風ダクト10の下端部には、下部水平ダクト13が接続されている。下向き送風ダクト10内を下向きに送風された空気は、さらに下部水平ダクト13内を送風され、下部水平ダクト13の先端部からショーケース本体3の正面側の床面に向けて吹出すようになっている。
【0020】
上向き送風ダクト11の上端部には、ショーケース1が設置されている店舗におけるショーケース本体3の背面側に位置する床面側の空気を吸込み、吸い込んだ空気を上向き送風ダクト11内を通して上向きに送風する上向き送風ファン14が取付けられている。上向き送風ダクト11の上端部には、上部水平ダクト15が接続されている。上向き送風ダクト11内を送風された空気は、さらに上部水平ダクト15内を送風され、上部水平ダクト15の先端部から下向きに吹出す。上部水平ダクト15の先端部から下向きに吹出した空気は、冷気のエアカーテン8a、8bの外側を覆う冷気保護用のエアカーテン16を形成している。なお、上向き送風ダクト11の下部には、ショーケース本体3の背面側に位置する床面側の空気を吸い込むための複数の吸込口17が形成されている。
【0021】
ここで、下向き送風ダクト10の下端部と上向き送風ダクト11の下端部とは、下向き送風ダクト10内を下向きに送風された空気がショーケース本体3の背面側において上向き送風ダクト11内に入り込まないように仕切られている。
【0022】
このような構成において、店舗の営業時には冷凍サイクル装置6が駆動され、冷凍サイクル装置6が駆動されることにより、冷気ダクト5a内の空気が冷却され、冷却された冷気が冷気ダクト5a内、及び、冷気ダクト5b内を流れる。冷気ダクト5a内を流れた冷気は、冷気のエアカーテン8aとなって開口4を覆い、冷気ダクト5b内を流れた冷気は冷気のエアカーテン8bとなって開口4を覆う。これらの冷気のエアカーテン8a、8bが形成されることにより、商品陳列室2内に陳列されている商品の冷却が促進される。また、店舗の営業時には、上向き送風ファン14と下向き送風ファン12とが駆動される。
【0023】
上向き送風ファン14が駆動されることにより、ショーケース本体3の背面側に位置する床面側の空気が吸込口17から吸い込まれ、吸い込まれた空気は上向き送風ダクト11内と上部水平ダクト15内とを送風され、上部水平ダクト15の先端部から下向きに吹出す。上部水平ダクト15の先端部から下向きに吹出した空気は、開口4の部分において冷気のエアカーテン8a、8bの外側を覆う冷気保護用のエアカーテン16を形成する。この冷気保護用のエアカーテン16が形成されることにより、冷気のエアカーテン8a、8bが開口4の部分においてショーケース本体3外に漏れ出すことが抑制される。
【0024】
また、下向き送風ファン12が駆動されることにより、店舗内の天井側の暖かい空気が下向き送風ダクト10内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は下向き送風ダクト10内を下向きに送風される。下向き送風ダクト10内を下向きに送風された空気は、さらに下部水平ダクト13内を送風され、下部水平ダクト13の先端部からショーケース本体3の正面側の床面に向けて吹出す。下部水平ダクト13の先端部から吹出した空気によりショーケース本体3の正面側の床面上で空気の流れが生じ、しかも、この空気は天井側の暖かい空気であるため、ショーケース本体3の床面上にコールドアイルが発生することが防止される。
【0025】
ここで、ショーケース本体3の正面側おけるコールドアイルの発生を防止するために送風される天井側の暖かい空気は、下向き送風ダクト10内と下部水平ダクト13内とを送風されてショーケース本体3の正面側に吹出している。このため、コールドアイルの発生を防止するために利用される天井側の暖かい空気は、ショーケース本体3の背面側に位置する床面上の空気を温めることはなく、ショーケース本体3の背面側に位置する床面上の空気は低い温度の状態に維持されている。一方、冷気保護用のエアカーテン16は、ショーケース本体3の背面側に位置する床面上の低い温度の空気が、吸込口17から吸込まれ、その空気が上部水平ダクト15の先端部から吹出すことにより形成されている。このため、冷気保護用のエアカーテン16は低い温度に維持され、冷気保護用のエアカーテン16と冷気のエアカーテン8a、8bとが接する部分で冷気のエアカーテン8a、8bが冷気保護用のエアカーテン16によって暖められるということが起こらない。これにより、冷気のエアカーテン8a、8bが暖められて冷気の温度が上昇するということが起こらず、冷気の温度が上昇するために冷気を生成する冷凍サイクル装置6の消費エネルギーが増大するということが起こらない。従って、床面近くの低温の空気を利用して冷気保護用のエアカーテン16を形成することと、天井側の暖かい空気を床面側に送風してコールドアイルの発生を防止することとを同時に行うことが可能となっている。
【0026】
なお、下向き送風ファン12と上向き送風ファン14とは必要に応じてオン・オフ切替可能とされており、例えば、店舗の営業時間が終了してコールドアイルの発生防止について考慮する必要がない時間帯には、下向き送風ファン12の駆動を停止させるようにしてもよい。
【0027】
ここで、本実施形態では、二重の冷気のエアカーテン8a、8bを形成するようにしたショーケース1を例に挙げて説明したが、本発明は、一重の冷気のエアカーテンを形成するようにしたショーケースにおいても適用できるものである。
【0028】
また、本実施形態では、下向き送風ダクト10と上向き送風ダクト11の数と形成位置とについて、ショーケース本体3の横幅方向の中央部に上向き送風ダクト11を一つ形成し、その両側に下向き送風ダクト10を一つずつ形成した場合を例に挙げて説明しているが、このような限定は必ずしも必要ではない。例えば、下向き送風ダクトと上向き送風ダクトを隣り合わせに1つずつ形成してもよく、中央部に下向き送風ダクトを形成してその両側に上向き送風ダクトを形成してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ショーケース
2 商品陳列室
3 ショーケース本体
4 開口
5a、5b 冷気ダクト
6 冷凍サイクル装置
7 冷却器
8a、8b 冷気のエアカーテン
9a、9b 送風ファン
10 下向き送風ダクト
11 上向き送風ダクト
12 下向き送風ファン
13 下部水平ダクト
14 上向き送風ファン
15 上部水平ダクト
16 冷気保護用のエアカーテン
17 吸込口