(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125285
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】アスパラガスエキス含有化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20230831BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230831BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61Q19/00
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029288
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】山田 太志
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 香織
(72)【発明者】
【氏名】鶴島 圭一郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB372
4C083AB382
4C083AC122
4C083AC432
4C083AC532
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD282
4C083AD432
4C083BB41
4C083CC02
4C083CC04
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、アスパラガスエキスに適した香料を明らかにし、かかる香料とアスパラガスエキスとを組合せて含有する新たな化粧料を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、美肌成分と香料とを含む化粧料であって、美肌成分がアスパラガスエキスからなり、香料が柑橘系香料からなる、前記化粧料に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美肌成分と香料とを含む化粧料であって、美肌成分がアスパラガスエキスからなり、香料が柑橘系香料からなる、前記化粧料。
【請求項2】
皮膚用化粧品用である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
柑橘系香料を0.005質量%~0.1質量%含む、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料を含む、シートマスク。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料を含む、ローション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美肌成分としてアスパラガスエキスを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アスパラガスエキスは、ニキビ治療効果(特許文献1)、養毛効果(特許文献2)、美白効果(特許文献3)、メラノサイト活性化の抑制(特許文献4)など、種々の効果を期待して、皮膚外用剤や化粧料として用いられている。
しかしながら、これまでアスパラガスエキスの作用効果について着目されることはあったが、アスパラガスエキスを含む化粧料を化粧水、化粧液、クリーム、乳液、洗浄料、パックのような具体的な製品とした際の、アスパラガスエキスと香料との関係については具体的に検討されてこなかった。
ジェルシートマスクやゲル状化粧料については、例えば、特許文献5や特許文献6において、各種のエキスを含有する化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-145504号公報
【特許文献2】特開平3-86809号公報
【特許文献3】特開平5-271045号公報
【特許文献4】特開2008-74777号公報
【特許文献5】特開2019-89730号公報
【特許文献6】特開2019-127460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、アスパラガスエキスを含有する化粧料を製品化する際に、アスパラガスエキスと香料との関係について、これまで具体的に検討されてこなかったことを認識するに至った。したがって、本発明の課題は、アスパラガスエキスに適した香料を明らかにし、かかる香料とアスパラガスエキスとを組合せて含有する新たな化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねる中で、香料として柑橘系香料を選択することによって、長期保存可能な保存安定性を有する化粧料とすることができることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下に関する。
【0006】
[1]美肌成分と香料とを含む化粧料であって、美肌成分がアスパラガスエキスからなり、香料が柑橘系香料からなる、前記化粧料。
[2]皮膚用化粧品用である、前記[1]に記載の化粧料。
[3]柑橘系香料を0.005質量%~0.1質量%含む、前記[1]または[2]に記載の化粧料。
[4]前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の化粧料を含む、シートマスク。
[5]前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の化粧料を含む、ローション。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アスパラガスエキスと同種の香料を配合することなく、香りが強すぎず、かつ長期保存後も香りを十分に感じられる、保存安定性に優れた化粧料を提供できる。さらに本発明は、とくに粘着剤層を有するシートマスクにした際に、粘着剤層の色の変化がなく、粘着剤層の粘着力が低下しない長期保存しても品質が劣化しにくい化粧製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の化粧料は、美肌成分と香料とを含む化粧料であって、美肌成分がアスパラガスエキスからなり、香料が柑橘系香料からなる。
本発明において、アスパラガスエキスは美肌成分として用いられ、キジカクシ目キジカクシ科クサスギカズラ属植物からの抽出物、とくに、アスパラガス・オフィキナリス(Asparagus officinalis)からの抽出物である。典型的には、アスパラガス・オフィキナリスの茎、根茎、葉、花などから、アスパラギン酸、アルギニンおよびサポニンなどを含む画分を水、アルコール等で抽出して得られる抽出物を意味する。
【0009】
本発明における香料は、柑橘系香料である。柑橘系香料は、柑橘系の香気を有する香料であり、典型的には、カンキツ属、キンカン属、カラタチ属の植物(例えば、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、ベルガモット、メリッサ、レモン、レモングラスなど)の葉や果実などの香りを有する天然または非天然の成分である。柑橘系香料の成分は、リモネン、リナロール、テルピネン、などであり、柑橘系香料は、これらの成分を適宜選択して混合して調製される。
【0010】
本発明の化粧料は、皮膚用化粧品用化粧料として用いることができる。
本発明の化粧料を用いることができる皮膚用化粧品としては、とくに限定されないが、化粧水(スキンローション、ローション、柔軟化粧水、収れん化粧水、アストリンゼントなどを含む)、化粧液(保湿液、美容液、エッセンスなどを含む)、クリーム(油性クリーム、中油性クリーム、弱油性クリームなどを含む)、乳液(ミルクローション、スキンミルク、ミルクなどを含む)、洗浄料(洗顔料、クレンジング、洗粉、クレンザー、メークアップリムーバー、メーク落とし、フェースウォッシュ、フェイシャルソープ、スクラブ化粧料、ボディシャンプー、ボディソープ、ボディウォッシュ、ハンドソープを含む)、パック(マスクを含む)などが含まれる。本発明の化粧料は、好ましくは、シートマスク用またはローション用として用いられる。
【0011】
本発明の化粧料を用いるシートマスクとしては、支持体と支持体上に積層された粘着剤層とを備えたジェルシートマスクが適している。
支持体の材質はシートマスクに一般的に使用されているものであれば限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等;ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;セルロース誘導体;ポリウレタン等の合成樹脂や、アルミニウム等の金属が挙げられる。前記支持体の形態としては、例えば、フィルム;シート、シート状多孔質体、シート状発泡体等のシート類;織布、編布、不織布等の布帛;箔;及びこれらの積層体が挙げられる。また、前記支持体の厚みとしては、特に制限されるものではないが、シートマスクを貼付する際の作業容易性及び製造容易性の観点からは、5~2000μm程度が好ましい。
【0012】
粘着剤層は、ポリアクリル酸部分中和物、ゼラチン、ポリエチレングリコール、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、エデト酸ナトリウム、および水を含有し得る。本発明の化粧料をシートマスクに用いる場合、美肌成分としてのアスパラガスエキスと柑橘系香料は、粘着剤層に含まれる。
【0013】
粘着剤層のアスパラガスエキスの含有量は、粘着剤層全量を基準として、好ましくは0.01~1質量%であり、より好ましくは0.05~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.08~0.12質量%である。粘着剤層全量を基準として、0.01質量%以上とすることで、シートマスクに十分にアスパラガスエキス由来の効果を持たせることができる。
粘着剤層の柑橘系香料の含有量は、粘着剤層全量を基準として、好ましくは0.005~0.1質量%、より好ましくは0.01質量%~0.1質量%、さらに好ましくは0.05質量%~0.1質量%である。
【0014】
粘着剤層にアスパラガスエキスと柑橘系香料を組み合わせて含有させることにより、香りが強すぎず(不快にならず)、かつ香りを十分に感じられる化粧料とすることができ、さらにシートマスクの粘着剤層の色の変化がなく、粘着剤層の粘着力が低下せずに保存安定性に優れたシートマスクを提供することができる。
【0015】
また、粘着剤層は、粘着剤層全量を基準として、5質量%~7質量%のポリアクリル酸部分中和物、1質量%~2質量%のゼラチン、9質量%~11質量%のポリエチレングリコール、3質量%~5質量%の合成ケイ酸アルミニウム、0.3質量%~0.5質量%のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、0.3質量%~0.4質量%のエデト酸ナトリウム、および50質量%~80質量%の水を含有する。
ポリエチレングリコールは、マクロゴール400(第17改正日本薬局方)等の、平均分子量が350~450であるポリエチレングリコールが好ましい。
【0016】
粘着剤層は、上記成分に加えて、pH調整剤、防腐剤等をさらに含有していることが好ましい。
【0017】
pH調整剤としては、乳酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、シュウ酸、安息香酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、アミン類等が挙げられるが、本発明においては、粘着剤層との相溶性という観点から、乳酸を用いることが特に好ましい。本発明に係る前記粘着剤層にpH調整剤を配合する場合、その含有量は特に制限されるものではないが、乳酸の含有量は、前記粘着剤層の全質量基準で0.01~0.2質量%であることが好ましく、0.05~0.15質量%であることがより好ましい。
【0018】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、1,2-ペンタンジオール、安息香酸、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、塩化ベンザルコニウム等が挙げられるが、本発明においては、抗菌スペクトルの広さと安全性とのバランスがよいという観点から、パラオキシ安息香酸エステルを用いることがより好ましく、パラオキシ安息香酸メチルを用いることが特に好ましい。本発明に係る前記粘着剤層に防腐剤を配合する場合、その含有量は特に制限されるものではないが、パラオキシ安息香酸メチルの含有量は、前記粘着剤層の全質量基準で0.2~0.3質量%であることが好ましい。
【0019】
粘着剤層は、上記成分に加えて、安定化剤、充填剤、色素、紫外線吸収剤、冷感付与剤、温感付与剤等を含んでいてもよい。
安定化剤としては、トコフェロールおよびそのエステル誘導体、アスコルビン酸およびそのエステル誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
充填剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、含水シリカ、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、無水ケイ酸、ベントナイト等が挙げられる。
【0020】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エステル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、サリチル酸エステル、アントラニル酸メンチル、ウンベリフェロン、エスクリン、ケイ皮酸ベンジル、シノキサート、グアイアズレン、ウロカニン酸、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ジオキシベンゾン、オクタベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、スリソベンゾン、ベンゾレソルシノール、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート等が挙げられる。
【0021】
色素としては、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色104号の(1)(フロキシンB)、赤色105号の(1)(ローズベンガル)、赤色106号(アシッドレッド)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)等の法定色素が挙げられる。
【0022】
冷感付与剤としては、テルペン系炭化水素化合物、メントール類縁化合物等を挙げることができ、具体的にはリモネン、テルピノレン、メンタン、テルピネン等のp-メンタンおよびこれらから誘導される単環式モノテルペン系炭化水素化合物;l-メントール、d-メントール、dl-メントール、イソプレゴール、3,l-メントキシプロパン-1,2-ジオール、1-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(3-ニトロフェニル)-1,2,3,6-テトラヒドロキシピリミジン-2-オン、エチルメンタンカルボキサミド、p-メンタン-3,8-ジオール、トリアルキル置換シクロヘキサンカルボキシアマイド等が挙げられる。
【0023】
温感付与剤としてはカプサイシン、カプサイシノイド、ジヒドロキシカプサイシン、カプサンチン等のカプサイシン類似体;カプシコシド、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末等のトウガラシ由来成分;ニコチン酸ベンジル;ニコチン酸β-ブトキシエチル;N-アシルワニルアミド;ノニル酸ワニリルアミド等が挙げられる。
粘着剤層の表面は、剥離性のフィルムで被覆されていてもよい。被覆されることにより、シートマスクの安定性を高めることができる。
【0024】
本発明のシートマスクは、さらに、前記粘着剤層を保護するための剥離ライナーを備えていてもよい。
【0025】
ライナーとしては、前記粘着剤層を保護し得るものであればよく、特に制限されるものではないが、シートマスクのライナー(剥離ライナー)として公知のものを適宜採用することができる。本発明に係るライナーの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル-塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等;ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;セルロース誘導体;ポリウレタン等の合成樹脂や、アルミ、紙等の材質からなるフィルムやシート及びこれらの積層体が挙げられる。このようなライナーとしては、前記粘着剤層から容易に剥離できるように前記粘着剤層と接触する側の面に含シリコーン化合物コートや含フッ素化合物コート等の離型処理が施されたものであることが好ましい。
【0026】
本発明の化粧料を用いるシートマスクの製造方法は、通常のシートマスクの製造方法を採用することができ、例えば、上記粘着剤層の各成分を攪拌機中で均一に混合および/または溶解し、これを支持体上に展延し、所望の形状に切断することで得られる。
本発明のシートマスクは、顔、顎、首、肘および踵等の部位に貼付することができる。
【0027】
本発明の化粧料を用いるローションとしては、カルボキシ基含有アニオン性高分子及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有するゲル状化粧料を用いることが適している。
ゲル状化粧料は、美肌成分としてアスパラガスエキスおよび香料として柑橘系香料を含む。
【0028】
本発明の化粧料を用いたゲル状化粧料の場合、アスパラガスエキスの含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは0.01~1質量%であり、より好ましくは0.05~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.08~0.12質量%である。ゲル状化粧料全量を基準として、0.01質量%以上とすることで、ゲル状化粧料に十分にアスパラガスエキス由来の効果を持たせることができる。
また本発明の化粧料を用いたゲル状化粧料は、柑橘系香料を、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは0.005~0.1質量%、より好ましくは0.007質量%~0.1質量%、さらに好ましくは0.007質量%~0.05質量%含む。
【0029】
ゲル状化粧料は、例えば、水溶性多価アルコール、非イオン性界面活性剤等を含有してもよい。本明細書において「ゲル状化粧料」とは、流動性がない状態の化粧料を指し、例えば、B型粘度計による25℃における粘度が1500~14000mPa・sである化粧料が含まれる。
【0030】
カルボキシ基含有アニオン性高分子(以下、単に(A)成分ともいう)は、カルボキシ基を含有する高分子化合物の少なくとも一部のカルボキシ基をアルカリ性物質で中和させたものである。水系化粧料の粘度を上昇させることから、カルボキシ基含有増粘性高分子化合物ともいう。(A)成分としては、水溶性増粘剤を使用することができ、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。(A)成分には、カルボキシビニルポリマーも含まれ、「カーボポール」、および「ハイビスワコー」等の商品名で市販されている。
(A)成分の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.17質量%以上である。(A)成分の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、2質量%以下であってよく、0.5質量%以下であってよく、または0.3質量%以下であってもよい。
【0031】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、単に(B)成分ともいう)は、ゲル状化粧料において、半合成高分子や天然系高分子などの配合によってゲル状化粧料の粘度を調整することが行われる。
(B)成分の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.08質量%以上である。(B)成分の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下である。
【0032】
水溶性多価アルコール(以下、単に(C)成分ともいう)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール等を挙げることができる。
(C)成分の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上である。(C)成分の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、40質量%以下であってよく、または25質量%以下であってよい。
【0033】
水溶性多価アルコールは、好ましくはジプロピレングリコールおよびグリセリンを含む。ジプロピレングリコールと、グリセリンとを併用したゲル状化粧料では、より良好な保湿性が得られる。
(C)成分が、ジプロピレングリコールおよびグリセリンを含む場合、ジプロピレングリコールの含有量に対するグリセリンの含有量(グリセリンの含有量/ジプロピレングリコールの含有量)の質量比は、好ましくは0.25~3であり、より好ましくは0.5~2であり、さらに好ましくは0.75~1.5である。
【0034】
非イオン性界面活性剤(以下、単に(D)成分ともいう)としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、単一鎖長ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、およびポリオキシアルキレンアルキルグルコシドなどの界面活性剤が挙げられる。これらの中でも非イオン性界面活性剤は、好ましくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の少なくとも一方の界面活性剤を含む。
【0035】
(D)成分は、8~17のHLB値を有する界面活性剤を含んでもよく、10~15のHLB値を有する界面活性剤を含んでもよい。ここで、HLB値とは、化合物の親水性と親油性のバランスを示す値であり、HLBがゼロに近いほど、親油性が高いことを意味する。界面活性剤のHLB値は、計算法または乳化法(実測法)によって求めることができる。
(D)成分の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは0.05~10質量%であり、より好ましくは0.1~5質量%であり、さらに好ましくは0.5~1.5質量%である。
【0036】
本実施形態に係るゲル状化粧料は、(A)成分~(D)成分の他に、その他の成分を、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。その他の成分としては、例えば、油性成分(上述の植物性油、および動物性油を除く)、粉体、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、およびpH調整剤等が挙げられる。その他の成分の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは0~20質量%であり、より好ましくは0.1~10質量%であり、さらに好ましくは0.1~5質量%である。
【0037】
油性成分としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、揮発性イソパラフィン等の炭化水素油、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸類、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ペンタエリスリトールエステル等のエステル油、ジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、および高級アルコールなどが挙げられる。
【0038】
粉体成分としては、通常、化粧品に使用されるものを使用することができる。粉体成分は、例えば、着色顔料、および体質粉体等が挙げられる。
【0039】
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、1,2-ペンタンジオール、安息香酸、安息香酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸塩、デヒドロ酢酸塩、塩化ベンザルコニウムが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。前記防腐剤としては、特に制限されないが、抗菌スペクトルの広さと安全性とのバランスがよいという観点からは、パラオキシ安息香酸エステルを用いることがより好ましく、パラオキシ安息香酸メチルを用いることが特に好ましい。
【0040】
酸化防止剤としては、例えば、イソステアリン酸等のオレイン酸以外の脂肪酸、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、レシチン、パルミチン酸アスコルビン、エデト酸ナトリウム(EDTA)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソールが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0041】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エステル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、サリチル酸エステル、アントラニル酸メンチル、ウンベリフエロン、エスクリン、ケイ皮酸ベンジル、シノキサート、グアイアズレン、ウロカニン酸、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ペンゾトリアゾール、4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、ジオキシベンゾン、オクタベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、スリソべンゾン、ベンゾレソルシノール、オクチルジメチルパラアミノべンゾエート、エチルへキシルパラメトキシサイナメートが挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0042】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、酢酸、蟻酸、酒石酸、シュウ酸、安息香酸、グリコール酸、リンゴ酸、クエン酸、アミン類(ジエタノールアミン等)が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の混合物であってもよい。本発明の皮膚外用液剤のpHとしては、5~8であることが好ましく、5~7であることがより好ましい。
【0043】
ゲル状化粧料は水を含有してよい。水は、精製水、および水道水等であってよいが、好ましくは精製水である。精製水は、例えば、イオン交換水、蒸留水、および限外濾過水等である。
水の含有量は、ゲル状化粧料全量を基準として、好ましくは20~90質量%であり、より好ましくは40~85質量%であり、さらに好ましくは50~80質量%である。
【0044】
本実施形態に係るゲル状化粧料は、例えば、上述の各成分を秤量し、攪拌機等によって混合して調製することができる。例えば、水溶性の成分を先に混合して水相を形成した後に、親油性の成分を順次加えて混合することでゲル状化粧料を調製してもよく、逆に親油性の成分を先に混合して油相を形成した後に、親水性の成分を順次加えて混合することでゲル状化粧料を調製してもよい。
【0045】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
【実施例0046】
1-1.シートマスクの製造
表1に示す組成のシートマスクを常法により製造し、アスパラガスエキス含有シートマスクを得た。
【表1】
【0047】
1-2.官能試験(香気)
実施例1-1~1-3のシートマスクの香気について官能試験を行った。
試験は、シートマスクを嗅ぐことで行い、5段階(1:強い、2:やや強い、3:丁度よい、4:やや弱い、5:弱い)のスコアの平均で評価した。結果を表2に示す。
【0048】
【0049】
アスパラガスエキス含有シートマスクにおいて、柑橘系香料を用いた場合、比較的濃度が低い水準のものが適しているとの評価が得られた。かかる評価に基づき、さらに検討を進めた結果、とくに柑橘系香料を0.05質量%~0.1質量%含む場合が好ましいとの評価が得られた。
【0050】
1-3.官能試験(香気の保存安定性)
実施例1-3のシートマスクをアルミニウム包装袋に密封し、40℃、湿度75%RHの条件下で1,3,6ヶ月保存した後のシートマスク、及び30℃、湿度75%RHの条件下で、3,6,9,12,18,24ヶ月保存した後のシートマスクの香気を評価した。その結果、いずれのシートマスクも柑橘系香料の香気を感じることができた。実施例1-1、1―2においても実施例1-3と同様に柑橘系香料の香気を感じることが示された。
【0051】
1-4.保存安定性試験
(1)粘着剤層の色
実施例1-1と参考例1-2のシートマスクをアルミニウム包装袋に密封し、60℃で3週間保存した後、包装袋を開封し、粘着剤層の色の変化について目視により観察した。
実施例1-1では、保存前の粘着剤層の色と同じで、褪色や変色は見られなかった。一方、参考例1-2では、僅かに緑褐色であった。
【0052】
(2)粘着力
実施例1-1、参考例1-1および参考例1-3のシートマスクをアルミニウム包装袋に密封し、60℃で静置した場合の粘着力について、以下の手順で評価した。
【0053】
(ローリングボールタック試験)
Nichiban Rolling Ball法(「接着便覧」第14版、高分子刊行会発行、1985年)により測定した。すなわち、サインカーブからなる傾斜台下の水平な底部に剥離ライナー層を除去したシートマスクの粘着剤層が上面となるように配置し、傾斜台の傾斜面に20号鋼球(直径20/32インチ)を転がして粘着剤層上でボールが停止した距離を測定し、これをボール停止距離とした。なお、ボール停止距離(mm)が短いシートマスクは、付着性に優れたものと認められる。
結果を表3に示す。
【0054】
【0055】
(3)まとめ
実施例1―1のシートマスクは、60℃3週間の試験を経ても粘着剤層の色の変化がなく、また粘着力も比較的低下することがないので、高い保存安定性を有することが示された。なお、実施例1-2、1―3においても実施例1-1と同様に高い保存安定性を有することが示された。
【0056】
2-1.ローションの製造
表4~6に示す配合で、表に記載の成分を、表に記載の配合量で均一に混合することによりアスパラガスエキス含有ローションを得た。
なお、本明細書における柑橘系香料1~4の香調は、以下のとおりである。
柑橘系香料1:グレープフルーツでビタミン感を足したグリーンシトラスの香気
柑橘系香料2:トップのグレープフルーツ感を抑えて、ミドル以降に深みのあるベルガモットグリーン感を追加した香気
柑橘系香料3:オレンジやライムでビタミン感を足したグリーンシトラスの香気
柑橘系香料4:レモンライム様フレッシュシトラスの香気
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
2-2.官能試験(香気)
実施例2-1~2-10および比較例2-1~2-6のローションの香気について官能試験を行った。
試験は、ローションを適量手に取り、塗り広げて香りを嗅ぐことで行い、5段階(1:強い、2:やや強い、3:丁度よい、4:やや弱い、5:弱い)のスコアの平均で評価した。結果を表7に示す。
【表7】
【0061】
アスパラガスエキス含有ローションにおいては、柑橘系香料を用いた方が、他の香料を用いた場合に比べて、香気として適していることが明らかになった。また、柑橘系香料を用いた場合、全体的な傾向として比較的濃度が低い水準のものが適しているとの評価が得られた。かかる評価に基づき、さらに検討を進めた結果、とくに柑橘系香料を0.007質量%~0.05質量%含む場合が好ましいとの評価が得られた。
【0062】
2-3.官能試験(香気の保存安定性)
実施例2-4のローションを容器に充填し密閉した状態で、40℃、湿度75%RHの条件下で1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月保存した後のローションの香気を評価した。その結果、6か月後においても柑橘系香料の香気を十分に感じることができた。
【0063】
2-4.官能試験(使用感)
実施例2-4のローションを30人のパネラーに使用し、使用感を評価した。評価は、洗顔後、普段使用しているローションと置き換えて使用した際の、塗布のしやすさ、のび、液だれのしにくさ、肌へのなじみ、しっとり感、すべすべ感、もっちり感、翌朝のしっとり感および翌朝の化粧のりについて5段階(数値の大きい方が優れている)で行った。その結果、ローションとして十分に優れた使用感を示した。結果を表8に示す。
【0064】