(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125304
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】トイレットロール包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/04 20060101AFI20230831BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20230831BHJP
A47K 10/38 20060101ALI20230831BHJP
A47K 10/22 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B65D75/04
A47K10/16 A
A47K10/16 Z
A47K10/38 U
A47K10/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029314
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード(参考)】
2D135
3E067
【Fターム(参考)】
2D135AB02
2D135AB13
2D135AD28
2D135DA15
2D135DA34
3E067AA22
3E067AB76
3E067AC03
3E067AC12
3E067AC14
3E067BA19A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB26A
3E067CA07
3E067CA30
3E067EA04
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】紙の風合いが良好で、かつ、抄造の操業性が悪化せずに適度な撥水性を有する包装紙を用いて、長尺のトイレットロールを包装した際、コンベアでの搬送性を良好にすることができ、持ち運びやすいトイレットロール包装体を提供する。
【解決手段】少なくとも紙基材を含む包装基材で、1個以上9個以下のトイレットロールを包装した包装体であって、トイレットロールのコアを含む1ロールにおけるロール幅114mm当たりの重量は120g以上380g以下であり、包装基材のステキヒトサイズ度が10秒以上130秒以下であることを特徴とする、トイレットロール包装体を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙基材を含む包装基材で、1個以上9個以下のトイレットロールを包装した包装体であって、
前記トイレットロールのコアを含む1ロールにおけるロール幅114mm当たりの重量は120g以上380g以下であり、
前記包装基材のステキヒトサイズ度が10秒以上130秒以下であることを特徴とする、トイレットロール包装体。
【請求項2】
前記包装基材が塗布されたニスを含むことを特徴とする、請求項1に記載のトイレットロール包装体。
【請求項3】
前記包装基材がサイズ剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のトイレットロール包装体。
【請求項4】
前記ニスの塗布量が0.5g/m2以上8.0g/m2以下であることを特徴とする、請求項2又は3に記載のトイレットロール包装体。
【請求項5】
前記包装基材に含まれる前記サイズ剤の含有量が0.02%以上1%以下であることを特徴とする、請求項3又は4に記載のトイレットロール包装体。
【請求項6】
前記包装基材における(前記ニスの塗布量/前記サイズ剤の含有量)の値が3以上200以下であることを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載のトイレットロール包装体。
【請求項7】
前記包装基材の坪量が40g/m2以上105g/m2以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のトイレットロール包装体。
【請求項8】
前記トイレットロールのロール密度が0.10g/cm3以上0.34g/cm3以下であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のトイレットロール包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品、特にトイレットロールを包装するのに好適なトイレットロール包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、包装や容器等に用いられる基材を中心に、プラスチックの減容化が望まれている。
【0003】
例えば、コピー用紙は、紙を主体とする包装基材で包装されている一方で、トイレットペーパー(トイレットロール)の場合、トイレットペーパー(トイレットロール)は柔らかいため(形態が安定しないため)、紙を主体とする基材で包装する際に包装基材が意図しない箇所で曲がったりしてしまい、包装後の形態に劣る。また、紙はフィルムに比べて厚くゴワゴワするため、所定の位置で曲がりにくく、そのような点においても包装後の形態に劣る。
【0004】
トイレットロール包装体に係る発明の先行技術文献として、例えば、特許文献1には、所定個数集合させたトイレットロールパックを、紙シートでキャラメル状に包被するトイレットロール包装体の製造方法において、クラフトパルプを主体として抄造した紙シートを使用し、該シートの縦方向(製造時の紙の流れ方向)の中央部にミシン目状等の易切断線及び/又は開封テープ等からなる開梱手段をあらかじめ設けて、所定の寸法に裁断した紙シートでロールパックの集合体をキャラメル状に包被した後、キャラメル状包装体の上面で紙シートの前後重合端を接着し、さらに再生可能な粘着テープでキャラメル状包装体のサイド重合端部を封止することを特徴とするトイレットロール包装体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のようにトイレットロールを紙で包装した場合、紙は水に弱いため、雨の日に包装体を持ち運ぶことが困難になる。
ところで、ティッシュペーパーのカートンでは、カートンにニスを塗布することが一般的に行われている。ニスを塗布することで、カートンの滑り性を調整でき、若干の撥水性も付与できる。
【0007】
トイレットロールの包装紙に同様にニスを塗布すると、若干の撥水性を付与できるが、更に撥水性を付与するために、ニスを大量に塗布すると、撥水性は向上するものの、紙の風合いがなくなるとともに、紙が滑りやすくなり、包装体をコンベアで搬送する際に、包装体が滑って搬送性に劣る。
【0008】
一方で、それとは別に、トイレットロールは長尺の商品が増えてきている。長尺になるとロール重量が重くなり、包装体をコンベアで搬送する際に、包装体が滑りにくくなる。
そのため、上記のようにニスを大量に塗布することで紙が滑りやすくなっても、長尺のトイレットロールを包装することで包装体は滑りにくくなって、コンベアでの搬送性が良好になるが、結果として紙の風合いはなくなってしまう。また、ロール重量が重すぎると、持ち運びが不便になってしまう。
【0009】
そのため、紙の風合い、撥水性、コンベアでの搬送性が全て良好な包装紙及びそれを用いる包装体を提供することは困難であった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、紙の風合いが良好で、かつ、抄造の操業性が悪化せずに適度な撥水性を有する包装紙を用いて、長尺のトイレットロールを包装した際、コンベアでの搬送性を良好にすることができ、持ち運びやすいトイレットロール包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、少なくとも紙基材を含む包装基材でトイレットロールを所定の個数包装したトイレットロール包装体において、トイレットロールのコアを含む1ロールの重量を規定し、更に包装基材のステキヒトサイズ度を規定することで、紙の風合いが良好で、かつ、抄造の操業性が悪化せずに適度な撥水性を有する包装紙を用いて、長尺のトイレットロールを包装した際、コンベアでの搬送性を良好にすることができ、持ち運びやすいトイレットロール包装体とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1)本発明の第1の態様は、少なくとも紙基材を含む包装基材で、1個以上9個以下のトイレットロールを包装した包装体であって、上記トイレットロールのコアを含む1ロールにおけるロール幅114mm当たりの重量は120g以上380g以下であり、上記包装基材のステキヒトサイズ度が10秒以上130秒以下であることを特徴とする、トイレットロール包装体である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のトイレットロール包装体であって、上記包装基材が塗布されたニスを含むことを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のトイレットロール包装体であって、上記包装基材がサイズ剤を含むことを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(2)又は(3)に記載のトイレットロール包装体であって、上記ニスの塗布量が0.5g/m2以上8.0g/m2以下であることを特徴とするものである。
(5)本発明の第5の態様は、(3)又は(4)に記載のトイレットロール包装体であって、上記包装基材に含まれる上記サイズ剤の含有量が0.02%以上1%以下であることを特徴とするものである。
(6)本発明の第6の態様は、(3)から(5)のいずれかに記載のトイレットロール包装体であって、上記包装基材における(上記ニスの塗布量/上記サイズ剤の含有量)の値が3以上200以下であることを特徴とするものである。
(7)本発明の第7の態様は、(1)から(6)のいずれかに記載のトイレットロール包装体であって、上記の包装基材の坪量が40g/m2以上105g/m2以下であることを特徴とするものである。
(8)本発明の第8の態様は、(1)から(7)のいずれかに記載のトイレットロール包装体であって、上記トイレットロールのロール密度が0.10g/cm3以上0.34g/cm3以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、紙の風合いが良好で、かつ、抄造の操業性が悪化せずに適度な撥水性を有する包装紙を用いて、長尺のトイレットロールを包装した際、コンベアでの搬送性を良好にすることができ、持ち運びやすいトイレットロール包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトイレットロール包装体の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明のトイレットロール包装体に包装されるトイレットロールの配置の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0016】
1.トイレットロール包装体
図1は、本発明の一実施形態に係るトイレットロール包装体(以下、単に「包装体」とも言う。)の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の包装体1は、少なくとも紙基材を含む包装基材10で、1個以上9個以下(
図1では4個)のトイレットロール11を包装している。トイレットロール11の包装形態に関しては後述する。
なお、包装体1において、包装基材10はトイレットロール11の全体ではなく一部を覆っていてもよく、トイレットロール11は密封されていなくてもよい(図示しない)。
【0017】
また、包装体1は包装基材10を破って開封しやすくするためのミシン目を設けてもよい(図示しない)。このミシン目は、例えば、包装基材10におけるトイレットロール11と接しない部分において軸方向L(包装体1の高さ方向h)に平行に設けてもよいし、当該部分以外の包装体1の側面部において軸方向Lに平行に設けてもよい(図示しない)。また、ミシン目は軸方向Lに垂直に設けてもよく、例えば、包装体1の天面部又は底面部に、軸方向Lに垂直で、かつ、2列又は3列に並んだトイレットロール11のそれぞれの軸の中心部を結ぶ方向に設けてもよい(図示しない)。さらに、ミシン目は包装体1の側面部に、軸方向Lに垂直な方向で、かつ、包装基材10の周長方向Pに沿って設けてもよい(図示しない)。なお、ミシン目の長さは自由に設定することができる。
【0018】
2.包装基材
包装基材10は、少なくとも紙基材を含むが、他の層を含んでいてもよく、例えば、防水の観点からPEラミネート紙を用いてもよい。また、紙基材には、包装体1として形成された際、外面側に印刷が施されていてもよい。
【0019】
(1)紙基材
紙基材は、木材パルプを主原料として製造される。ここでのパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプや、新聞紙、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱記録紙、感圧記録紙、模造紙、色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙等の古紙パルプ等、従来において公知であるパルプを単独で、あるいは任意の配合率で混合したものを採用することができる。その中でも、クラフト紙が好ましい。
【0020】
本発明の包装体1の紙基材において、用いるパルプとしては、針葉樹クラフトパルプ30重量%以上100重量%以下、広葉樹クラフトパルプ0重量%以上70重量%以下であることが好ましく、針葉樹クラフトパルプ50重量%以上100重量%以下、広葉樹クラフトパルプ0重量%以上50重量%以下であることがより好ましく、針葉樹クラフトパルプ70重量%以上100重量%以下、広葉樹クラフトパルプ0重量%以上30重量%以下であることが更に好ましい。上記のパルプ配合にすることで、紙の風合いが良好で、かつ、抄造の操業性が悪化せずに適度な撥水性を有する包装基材10及び包装体1を得ることができる。また、パルプは未晒パルプであることが好ましい。
【0021】
パルプスラリーには、パルプ繊維以外の材料を副資材として配合してもよい。包装体1においては、通常、パルプ繊維の含有割合を70重量%以上100重量%以下とすることが好ましく、80重量%以上100重量%以下とすることがより好ましく、90重量%以上100重量%以下とすることが更に好ましい。上記のパルプ含有量にすることで、紙の風合いが良好で、かつ、抄造の操業性が悪化せずに適度な撥水性を有する包装基材10及び包装体1を得ることができる。
なお、パルプ製造における蒸解方法や漂白方法は、特に限定されない。
【0022】
紙基材(最終的な包装基材10)は、包装基材10の撥水性を高めるために、サイズ剤を含むことが好ましい。サイズ剤の種類は特に制限がなく、ASA系、AKD系、ロジン系を用いることができるが、ASA系は汚れがより顕著になり、AKD系は包装紙が滑りやすくなり包装体1のコンベアでの搬送性に劣るため、ロジン系が好ましい。
また、包装基材10のサイズ剤の含有量(固形分(有効成分)の含有量)は0.02%以上1%以下であることが好ましく、0.05%以上0.6%以下であることがより好ましく、0.1%以上0.3%以下であることが更に好ましい。サイズ剤の含有量が0.02%未満であると包装基材10が撥水性に劣り、サイズ剤の含有量が1%を超えると、結果的に添加率を高めることとなるため、抄紙系内が汚れやすく、包装基材10の操業性に劣る。なお、サイズ剤の含有量は、熱分解GC等により分析することができる。
【0023】
また、紙基材には、サイズ剤以外に、必要に応じて、一般的に用いられている各種添加剤、例えば、湿潤紙力向上剤、填料、乾燥紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色顔料等を適宜、適量にて添加してもよい。
【0024】
湿潤紙力向上剤は、通常用いられる公知のものの中から選択して使用することができる。例えば、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、メラミン系樹脂等から選択することが好ましい。このような湿潤紙力向上剤の配合量(絶乾状態での質量)は、通常、パルプ(絶乾状態での質量)に対して、湿潤紙力向上剤を0.01重量%以上0.7重量%以下、好ましくは0.02重量%以上0.5重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.3重量%以下とすることが好ましい。湿潤紙力向上剤の配合量が0.7重量%を超えても、その配合量に見合う効果が得られにくくなり、その結果、コストアップとなり、また離解性が低下して、本発明の包装体1を後に再利用することが困難となる場合がある。また、湿潤紙力向上剤の配合量が0.01重量%未満では、十分な湿潤紙力が得にくいものとなり、水に濡れたときに破れやすく、包装体1としての機能に劣る場合がある。
【0025】
本発明の包装体1において、これらの原料を通常の抄紙工程により抄造して、包装基材10の紙基材を得ることができる。
【0026】
(2)他の層
本発明の包装基材10は、紙基材以外に、他の層を備えていてもよい。他の層としては、例えば、ヒートシール層、水蒸気バリア層、酸素バリア層、印刷層、印刷適性向上層、オーバープリント層、遮光層等が挙げられる。これら他の層は、例えば、紙基材の表面側又は裏面側に設けることができ、1層でもよく、2層以上であってもよい。
【0027】
また、包装基材10は、紙の風合いの向上や撥水性を高めるために、表面に塗布されたニスを含むことが好ましい。ニスの塗布量は0.5g/m2以上8.0g/m2以下であることが好ましく、1.0g/m2以上6.0g/m2以下であることがより好ましく、2.0g/m2以上4.5g/m2以下であることが更に好ましい。ニスの塗布量が0.5g/m2未満であると、包装基材10が撥水性に劣る。ニスの塗布量が8.0g/m2を超えると、包装基材10が紙の風合いに劣る。
ニスの塗布量は、包装基材10の坪量と、ニスを塗布する前に測定した紙基材の坪量とから、下記式により算出する。
ニスの塗布量=包装基材10の坪量-ニスを塗布する前の紙基材の坪量
なお、包装基材10の坪量とニスを塗布する前の紙基材の坪量は、いずれもJIS P 8124に準拠して測定する。
【0028】
なお、包装基材10における(ニスの塗布量/サイズ剤の含有量)の値が3以上200以下であることが好ましく、8以上100以下であることがより好ましく、10以上40以下であることが更に好ましい。値が3未満であると、ニスの塗布量が少なくなり、包装基材10が撥水性に劣る。値が200を超えると、逆にサイズ剤の含有量が少なくなり、包装基材10が撥水性に劣る。
【0029】
(3)包装基材全体の物性
包装基材10の坪量は、40g/m2以上105g/m2以下であることが好ましく、50g/m2以上90g/m2以下であることがより好ましく、60g/m2以上80g/m2以下であることが更に好ましい。坪量が40g/m2未満であると、包装基材10の強度が低すぎて、紙の風合いに劣る。坪量が105g/m2を超えると、包装基材10の強度が高すぎて、紙の風合いに劣る。包装基材10の坪量が上記の数値範囲内であることにより、紙の風合いが良好な包装基材10及び包装体1を得ることができる。
【0030】
また、包装基材10のステキヒトサイズ度が10秒以上130秒以下であり、15秒以上100秒以下であることが好ましく、20秒以上70秒以下であることがより好ましい。ステキヒトサイズ度が10秒未満であると、包装基材10が撥水性に劣り、130秒を超えると、ステキヒトサイズ度自体は問題ないが、結果として包装基材10におけるニスの塗布量が多くて紙の風合いが劣ったり、サイズ剤の含有量を多くするために抄紙系内が汚れやすく、操業性が劣ったりする。
なお、ステキヒトサイズ度は、JIS P 8122:2004に従って測定される。
【0031】
後述するように、本発明に係る包装体1の包装形式は種々あり、MD方向からトイレットロール11を包むように包装する場合と、CD方向からトイレットロール11を包むように包装する場合がある。MD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のMD方向の引張強度は、2.5kN/m以上7.5kN/m以下であることが好ましく、3.3kN/m以上6.5kN/m以下であることがより好ましく、4.0kN/m以上5.8kN/m以下であることが更に好ましい。MD方向の引張強度が2.5kN/m未満であると、包装基材10の強度が低すぎて、紙の風合いに劣る。MD方向の引張強度が7.5kN/mを超えると、包装基材10の強度が高すぎて、紙の風合いに劣る。
【0032】
CD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のCD方向の引張強度は、1.5kN/m以上5.0kN/m以下であることが好ましく、2.0kN/m以上4.2kN/m以下であることがより好ましく、2.5kN/m以上3.8kN/m以下であることが更に好ましい。CD方向の引張強度が1.5kN/m未満であると、包装基材10の強度が低すぎて、紙の風合いに劣る。CD方向の引張強度が5.0kN/mを超えると、包装基材10の強度が高すぎて、紙の風合いに劣る。
包装基材10のMD方向及びCD方向の引張強度を上記の範囲内にすることで、紙の風合いが良好な包装基材10及び包装体1を得ることができる。
包装基材10の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定することができる。
【0033】
包装基材10の破裂強度は、120kPa以上430kPa以下であることが好ましく、150kPa以上370kPa以下であることがより好ましく、200kPa以上310kPa以下であることが更に好ましい。破裂強度が120kPa未満であると、包装基材10の強度が低すぎて、紙の風合いに劣る。破裂強度が430kPaを超えると、包装基材10の強度が高すぎて、紙の風合いに劣る。包装基材10の破裂強度を上記の範囲内にすることで、紙の風合いが良好な包装基材10及び包装体1を得ることができる。
包装基材10の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定することができる。
【0034】
MD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のMD方向の曲げこわさは、60μN・m以上900μN・m以下であることが好ましく、100μN・m以上700μN・m以下であることがより好ましく、200μN・m以上550μN・m以下であることが更に好ましい。MD方向の曲げこわさが60μN・m未満であると、包装基材10の強度が低すぎて、紙の風合いに劣る。MD方向の曲げこわさが900μN・mを超えると、包装基材10の強度が高すぎて、紙の風合いに劣る。
【0035】
CD方向からトイレットロール11を包む場合、包装基材10のCD方向の曲げこわさは、30μN・m以上400μN・m以下であることが好ましく、40μN・m以上300μN・m以下であることがより好ましく、80μN・m以上250μN・m以下であることが更に好ましい。CD方向の曲げこわさが30μN・m未満であると、包装基材10の強度が低すぎて、紙の風合いに劣る。CD方向の曲げこわさが400μN・mを超えると、包装基材10の強度が高すぎて、紙の風合いに劣る。
包装基材10のMD方向及びCD方向の曲げこわさが上記範囲内にあることで、紙の風合いが良好な包装基材10及び包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10のしなやかさと柔らかさが達成しやすくなる。
包装基材10の曲げこわさは、ISO 2493に準拠して測定することができる。なお、曲げこわさは、繊維の長軸方向に負荷がかかる場合において最も強くなるため、繊維配向比が1.0に近いと、MD方向の曲げこわさは小さく(低く)、CD方向の曲げこわさは大きく(高く)なる傾向がある。
【0036】
本発明の包装基材10の厚さは、50μm以上160μm以下であることが好ましく、70μm以上140μm以下であることがより好ましく、90μm以上120μm以下であることが更に好ましい。厚さが50μm未満であると、包装基材10が薄すぎて、紙の風合いに劣る。厚さが160μmを超えると、包装基材10が厚すぎて、紙の風合いに劣る。包装基材10の厚さを上記の範囲内にすることで、紙の風合いが良好な包装基材10及び包装体1を得ることができる。
包装基材10の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠して測定することができる。なお、加圧面の圧力条件は100kPaとする。
【0037】
包装基材10の密度は、0.50g/cm3以上0.85g/cm3以下であることが好ましく、0.55g/cm3以上0.80g/cm3以下であることがより好ましく、0.60g/cm3以上0.75g/cm3以下であることが更に好ましい。密度が0.50g/cm3未満であると、包装基材10の密度が低すぎて、紙の風合いに劣る。密度が0.85g/cm3を超えると、包装基材10の密度が高すぎて、紙の風合いに劣る。
包装基材10の密度が上記範囲内にあることで、紙の風合いが良好な包装基材10及び包装体1を得ることができる。また、必要とされる包装基材10の強度、しなやかさと柔らかさが達成しやすい。
包装基材10の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出することができる。
【0038】
3.トイレットロール
図2は、本発明の包装体1に包装されるトイレットロール11の配置の例を示す斜視図である。本発明の包装体1は、1個以上9個以下のトイレットロール11を包装する。
【0039】
トイレットロール11は、その軸方向に垂直な方向に1列、2列又は3列、軸方向に平行な方向に1列又は2列で、かつ、垂直及び/又は平行な方向に2列又は3列である場合にいずれの列も両端面が揃うように並んでいることが好ましいが、配置としては、
図2(a)~(h)のいずれかの配置とすることが好ましく、
図2(b)~(g)の配置とすることがより好ましく、
図2(d)~(f)の配置とすることが更に好ましい。なお、各々の列の両端面は、各トイレットロール11のロール幅の変動等により数mmずれていてもよい。
【0040】
トイレットロール11のプライ数は、特に制限されないが、1プライ又は2プライであることが好ましく、2プライであることがより好ましい。
トイレットロール11の巻長は、2プライの場合は、35m以上103m以下であることが好ましく、40m以上95m以下であることがより好ましく、55m以上85m以下であることが更に好ましい。1プライの場合は、80m以上203m以下であることが好ましく、100m以上185m以下であることがより好ましく、120m以上173m以下であることが更に好ましい。巻長が、2プライの場合に35m未満であるか、又は1プライの場合に80m未満であると、結果としてロール重量が軽くなり、包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。巻長が2プライの場合に103mを超えるか、又は1プライの場合に203mを超えると、結果としてロール重量が重くなり、包装体1の持ち運びが不便になる。
【0041】
また、トイレットロール11の巻直径は、105mm以上140mm以下であることが好ましく、110mm以上127mm以下であることがより好ましく、115mm以上122mm以下であることが更に好ましい。巻直径が105mm未満であると、巻長が短くなることによってロール重量が軽くなり、結果として包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。巻直径が140mmを超えると、一定の巻長にする場合、ロール密度が低くなり、結果として包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。
トイレットロール11の巻長及び巻直径を上記の範囲にすることで、所定のロール重量やロール密度に調整しやすくなる。そして、コンベアでの搬送性が良好で、かつ、持ち運びやすいトイレットロール包装体1を得ることができる。
【0042】
トイレットロール11のコア(紙管)の外径は、25mm以上55mm以下であることが好ましく、30mm以上50mm以下であることがより好ましく、35mm以上45mm以下であることが更に好ましい。コアの外径が25mm未満であると、一定の巻直径にする場合、巻長が長くなってロール重量が重くなり、結果として包装体1の持ち運びが不便になる。コアの外径が55mmを超えると、一定の巻直径にする場合、巻長が短くなってロール重量が軽くなり、結果として包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。
【0043】
また、トイレットロール11の1プライ当たりの坪量は、2プライの場合は、12g/m2以上18g/m2以下であることが好ましく、13g/m2以上17g/m2以下であることがより好ましく、14g/m2以上16g/m2以下であることが更に好ましい。1プライの場合は、13g/m2以上22g/m2以下であることが好ましく、14g/m2以上20g/m2以下であることがより好ましく、15g/m2以上18g/m2以下であることが更に好ましい。坪量が2プライの場合に12g/m2未満であるか、又は1プライの場合に13g/m2未満であると、ロール重量が軽くなり、結果として包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。坪量が2プライの場合に18g/m2を超えるか、又は1プライの場合に22g/m2を超えると、ロール重量が重くなり、結果として包装体1の持ち運びが不便になる。
【0044】
さらに、トイレットロール11のコアを含む1ロールにおける、ロール幅114mm当たりの重量は、120g以上380g以下であり、140g以上340g以下であることが好ましく、190g以上290g以下であることがより好ましい。また、トイレットロール11のコアを除いた1ロールにおける、ロール幅114mm当たりの重量は、120g以上370g以下であることが好ましく、135g以上330g以下であることがより好ましく、190g以上310g以下であることが更に好ましい。コアを含む重量又はコアを除く重量が120g未満であると、結果として包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。コアを含む重量が380gを超えるか、コアを除く重量が370gを超えると、包装体1が重くなって、持ち運びが不便になる。
【0045】
そして、トイレットロール11のコア(紙管)の重量は3.0g以上7.0g以下であることが好ましく、3.5g以上6.0g以下であることがより好ましく、3.9g以上5.0g以下であることが更に好ましい。コアの重量が3.0g未満であると、ロール重量が軽くなり、結果として包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。コアの重量が7.0gを超えると、ロール重量が重くなり、結果として包装体1の持ち運びが不便になる。
トイレットロール11のコアの外径、坪量及び各々の重量を上記の範囲にすることで、所定のロール重量に調整しやすくなる。そして、コンベアでの搬送性が良好で、かつ、持ち運びやすいトイレットロール包装体1を得ることができる。
【0046】
なお、トイレットロール11のコアを含む1ロールにおける、ロール幅114mm当たりの重量をAとして、包装体1に含まれるトイレットロールのロール数をBとしたとき、A×Bの値が120以上3400以下であることが好ましく、300以上2500以下であることがより好ましく、800以上1700以下であることが更に好ましい。値が120未満であると、結果として包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。値が3400を超えると、包装体1が重くなって、持ち運びが不便になる。
【0047】
また、トイレットロール11のロール密度は、0.10g/cm3以上0.34g/cm3以下であることが好ましく、0.12g/cm3以上0.31g/cm3以下であることがより好ましく、0.18g/cm3以上0.27g/cm3以下であることが更に好ましい。ロール密度が0.10g/cm3未満であると、一定の巻径にする場合、ロール重量が軽くなり、結果として包装体1が滑りやすくなって、搬送性に劣る。ロール密度が0.34g/cm3を超えると、一定の巻径にする場合、ロール重量が重くなり、結果として包装体1の持ち運びが不便になる。
トイレットロール11のロール密度を上記の範囲内にすることで、所定のロール重量に調整しやすくなる。そして、コンベアでの搬送性が良好で、かつ、持ち運びやすいトイレットロール包装体1を得ることができる。
【0048】
ロール密度は、コアを除く1個のトイレットロール11の底面積にロール幅(高さ)を乗じた値(すなわち、コアを除く1個のトイレットロール11の体積)を求め、コアを除く1個のトイレットロール11の質量をこの体積で除して求める。
例えば、ロール幅114mmあたりのロール重量(コアを除く)が201g、巻直径130mm、コアの外径が39mmの場合、ロール密度=201g÷[{3.14×(130mm÷2÷10)2-3.14×(39mm÷2÷10)2}×(114mm÷10)]=0.15g/cm3となる。
このとき、ロール密度の測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行う。
【0049】
また、トイレットロール11に用いるトイレットペーパー10枚分(1プライの場合は10枚、2プライの場合は5組分で10枚)の紙厚は、特に限定されないが、0.4mm/10枚以上1.2mm/10枚以下であることが好ましく、0.5mm/10枚以上1.1mm/10枚以下であることがより好ましく、0.6mm/10枚以上0.9mm/10枚以下であることが更に好ましい。
紙厚は、シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。
【0050】
4.包装形式
本発明の一実施形態に係る包装体1の包装形式としては、キャラメル包装が好ましい。
【0051】
キャラメル包装とは、被包装物の一方向に沿って延びる包装基材を、この方向と平行な方向又は交差する方向に被包装物を巻き込み、又はあらかじめ筒状に形成された包装基材の軸方向の一端から被包装物を入れ、包装体の側面を接着し、そして、被包装物の両端側からはみ出た包装基材のうち、対向する2つのフラップ状の辺を互いに折り畳み、次に別の対向する2つのフラップ状の辺を同様に互いに折り畳み、これら折り畳み部分を糊等の接着剤で封止する包装形式である。このキャラメル包装は、既知の装置を利用して行うことができる。なお、
図1ではトイレットロール11の軸に平行な方向の両端にフラップを形成しているが、トイレットロール11の軸方向Lに垂直な方向の両端にフラップを形成してもかまわない。また、用いる接着剤としてはホットメルト接着剤が好ましい。
【0052】
ある実施形態において、例えば、MD方向の曲げこわさが60μN・m以上900μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、トイレットロール11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)からトイレットロール11を包みながら包装し、搬送方向とは直交する幅方向(CD方向)から所定寸法にカットする場合、すなわち、包む方向(包装基材10の周長方向P)が包装基材10のMD方向である場合に、特に好適に適用される。包む方向をMD方向にすると、包装基材10が幅方向(CD方向)で適正に曲がりやすくなり、天面部と底面部でフラップを折り畳んで接着させる際に、包装しやすくなる。この場合、本発明の包装体1においては、包装形式として、キャラメル包装を選択することが好ましい。なお、包装基材10を所定の大きさに切断した後にトイレットロール11を配置してもよく、トイレットロール11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
【0053】
別の実施形態において、例えば、CD方向の曲げこわさが30μN・m以上400μN・m以下である包装基材10を用いる場合、本発明の包装体1は、例えば、包装基材10を連続シートの形態で搬送し、トイレットロール11を配置した後、搬送方向(製造ライン方向;MD方向)と直交する幅方向(CD方向)からトイレットロール11を包みながら包装する場合、すなわち、包む方向が包装基材10のCD方向である場合に、特に好適に適用される。包む方向を包装基材10のCD方向にすると、包装基材10が包む方向で曲がりやすくなり、包装しやすくなる。なお、この場合も、包装基材10を所定の大きさに切断した後にトイレットロール11を配置してもよく、トイレットロール11を配置した後に包装基材10を所定の大きさに切断してもよい。
【0054】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0055】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0056】
実施例及び比較例において、作製した包装基材の物性値の測定は、次の方法で行った。
【0057】
(包装基材の坪量)
包装基材の坪量は、JIS P 8124に準拠して測定した。
【0058】
(包装基材の厚さ)
包装基材の厚さは、JIS P 8118:1998に準拠し、自動昇降式紙厚計スタンダードモデル TM-600(熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した。加圧面の圧力条件は100kPaとした。
【0059】
(包装基材の密度)
包装基材の密度は、JIS P 8118:1998に準拠して測定・算出した。
【0060】
(包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度)
包装基材のMD方向及びCD方向の引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。
【0061】
(包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさの測定)
包装基材のMD方向及びCD方向の曲げこわさは、ISO 2493に記載された方法に準拠し、L&W ベンディングテスター(Lorentzen & Wettre社製)を用いて測定を行った。包装基材は、幅38mm、長さ100mmの試験片について、曲げ角度を15度、曲げ長(試料台のスパン)を10mmとしたときの測定値を曲げ抵抗(荷重)とし、次の算出式によって曲げこわさ(μN・m)を求めた。
曲げこわさ(μN・m)=60×曲げ抵抗(mN)×曲げ長10(mm)2÷(π×曲げ角度15(°)×サンプル幅38(mm))
なお、長さ100mmの試験片を採取できない場合は、試験片の長さを短くすることができる。また、試験片は、ミシン目を含まないようにするが、試験片のサイズを確保する上でミシン目を含まなければならないときは、ミシン目を含んでもよい。
【0062】
(包装基材の破裂強度)
包装基材の破裂強度は、JIS P 8112に準拠して測定した。なお、熊谷理機工業株式会社製のミューレン破裂度試験機を用い、低圧用の測定条件で測定した。
【0063】
(包装基材のステキヒトサイズ度)
包装基材のステキヒトサイズ度はJIS P 8122:2004に従って測定した。
【0064】
<実施例1>
(包装基材)
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)100重量%と、サイズ剤としてロジンサイズ剤を0.20%含有した紙基材(クラフト紙)を用意し、次に、ニスの塗布量が3.0g/m2になるよう、クラフト紙に塗布した。そして、それをそのまま包装基材とした。作製した包装基材の坪量、厚さ、密度、MD方向及びCD方向の引張強度、MD方向及びCD方向の曲げこわさ、破裂強度及びステキヒトサイズ度を測定した結果を表1に示す。
【0065】
(トイレットロール)
また、表1に示す巻長、巻直径、プライ数、コアの外径、1プライ当たりの坪量、ロール幅114mm当たりのコアを含む/除く各重量、コアの重量及びロール密度であるトイレットロールを4個用意した。
【0066】
(トイレットロール包装体(キャラメル包装))
作製した包装基材を用いて、包装基材のMD方向650mm×包装基材のCD方向420mmから包装体を作製した。そして、この包装体の中に、トイレットロールを4個(縦2個×横2個)入れ、キャラメル包装により密封して、トイレットロール包装体を得た。なお、MD方向からトイレットロールを包みながら包装する形式とした。なお、トイレットロールの巻直径が異なる実施例及び比較例の包装体では、適宜包装基材のサイズを変更した。
【0067】
(紙の風合い)
作製したトイレットロール包装体に用いた包装基材(包装紙)について、外観や手触り等の風合いをモニター30人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:紙に光沢がありすぎたり、手触りがつるつるでありすぎたりして、風合いに劣ると感じた人が0~1人で、風合いが顕著に良好であった。
4:紙に光沢がありすぎたり、手触りがつるつるでありすぎたりして、風合いに劣ると感じた人が2~3人で、風合いが良好であった。
3:紙に光沢がありすぎたり、手触りがつるつるでありすぎたりして、風合いに劣ると感じた人が4~6人で、風合いが概ね良好であった。
2:紙に光沢がありすぎたり、手触りがつるつるでありすぎたりして、風合いに劣ると感じた人が7~10人で、風合いに劣った。
1:紙に光沢がありすぎたり、手触りがつるつるでありすぎたりして、風合いに劣ると感じた人が11~30人で、風合いが顕著に劣った。
【0068】
(抄造での作業性)
作製したトイレットロール包装体に用いた包装基材について、抄造工程(抄紙工程)における操業性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:抄紙系内が顕著に汚れにくく、抄造での操業性が顕著に良好であった。
4:抄紙系内が汚れにくく、抄造での操業性が良好であった。
3:抄紙系内が汚れは問題なく、抄造での操業性が概ね良好であった。
2:抄紙系内が汚れやすく、抄造での操業性に劣った。
1:抄紙系内が顕著に汚れやすく、抄造での操業性が顕著に劣った。
【0069】
(コンベアでの搬送性)
作製したトイレットロール包装体について、製造ラインのコンベアでの搬送性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:滑りやすすぎて搬送しにくいという事が無く、搬送性が顕著に良好であった。
4:滑りやすすぎて搬送しにくいという事がほとんど無く、搬送性が良好であった。
3:滑りやすすぎて搬送しにくいという事が概ね無く、搬送性が概ね良好であった。
2:滑りやすすぎて搬送しにくいという事があり、搬送性に劣った。
1:滑りやすすぎて搬送しにくいという事が多くあり、搬送性が顕著に劣った。
【0070】
(撥水性)
作製したトイレットロール包装体に用いた包装基材について、撥水性をモニター30人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:包装基材が水に濡れやすいと感じた人が0~1人で、撥水性が顕著に良好であった。
4:包装基材が水に濡れやすいと感じた人が2~3人で、撥水性が良好であった。
3:包装基材が水に濡れやすいと感じた人が4~6人で、撥水性が概ね良好であった。
2:包装基材が水に濡れやすいと感じた人が7~10人で、撥水性に劣った。
1:包装基材が水に濡れやすいと感じた人が11~30人で、撥水性が顕著に劣った。
【0071】
(持ち運びやすさ)
作製したトイレットロール包装体について、手で持ったときの持ち運びやすさをモニター30人で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:重すぎて持ち運びにくいと感じた人が0~1人で、持ち運びやすさが顕著に良好であった。
4:重すぎて持ち運びにくいと感じた人が2~3人で、持ち運びやすさが良好であった。
3:重すぎて持ち運びにくいと感じた人が4~5人で、持ち運びやすさが概ね良好であった。
2:重すぎて持ち運びにくいと感じた人が6~7人で、持ち運びやすさに劣った。
1:重すぎて持ち運びにくいと感じた人が8~30人で、持ち運びやすさが顕著に劣った。
【0072】
<実施例2>~<実施例27>、<比較例1>~<比較例8>
実施例2~27及び比較例1~8も実施例1と同様にして、表1~表3に示す物性を有する包装基材を作製し、これを用い、実施例1と同様にしてトイレットロール包装体(キャラメル包装)を作製して、紙の風合い、抄造での操業性、撥水性、コンベアでの搬送性及び持ち運びやすさを評価した。
結果を表1~表3に示す。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
表1~3に示される結果から明らかなとおり、実施例1~27の包装体はいずれも紙の風合いが良好で、抄造での操業性、撥水性及びコンベアでの搬送性に優れ、持ち運びもしやすいものであった。それに対して、比較例1~8はいずれも紙の風合い、抄造での操業性、撥水性、コンベアでの搬送性、持ち運びやすさのいずれかにおいて劣るものであった。
よって、本発明の包装体は、紙の風合いが良好で、かつ、抄造の操業性が悪化せずに適度な撥水性を有する包装紙を用いて、長尺のトイレットロールを包装した際、コンベアでの搬送性を良好にすることができ、持ち運びやすいトイレットロール包装体を提供することができる。