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特開2023-125315基地局、通信システムおよび通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125315
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】基地局、通信システムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20230831BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20230831BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20230831BHJP
【FI】
H04W16/14
H04W92/20 110
H04W72/04 132
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029333
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】西原 健太
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA01
5K067CC02
5K067DD34
5K067EE10
5K067EE23
5K067EE56
5K067EE63
(57)【要約】
【課題】スループットの低下を抑制できる基地局、通信システムおよび通信方法を提供する。
【解決手段】基地局は、他の基地局から送信される他の基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報を取得する使用チャネル情報取得部114と、周波数帯域W52、W53、W56のうちの第1使用チャネルとは異なるいずれか1つの周波数帯域W52、W53、W56に属するチャネルを、他の基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定する使用チャネル決定部115と、決定された使用チャネルを示す使用チャネル情報を他の基地局へ送信する使用チャネル通知部116と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数帯域のいずれかに属するチャネルで他の複数の基地局と無線通信する複数の無線モジュールと、
前記他の複数の基地局のうちの予め設定された第1基地局から送信される前記第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報を取得する使用チャネル情報取得部と、
前記第1使用チャネルとは異なるチャネルを、前記他の複数の基地局のうちの前記第1基地局とは異なる第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定する使用チャネル決定部と、
決定された第2使用チャネルを示す第2使用チャネル情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して前記第2基地局へ送信する使用チャネル通知部と、を備える、
基地局。
【請求項2】
複数の周波数帯域のいずれかに属するチャネルで他の複数の基地局と無線通信する複数の無線モジュールと、
前記他の複数の基地局のうちの予め設定された第1基地局から送信される前記第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報を取得する使用チャネル情報取得部と、
前記複数の周波数帯域のうちの前記第1使用チャネルとは異なるいずれか1つの周波数帯域に属するチャネルを、前記他の複数の基地局のうちの前記第1基地局とは異なる第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定する使用チャネル決定部と、
決定された第2使用チャネルを示す第2使用チャネル情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して前記第2基地局へ送信する使用チャネル通知部と、を備える、
基地局。
【請求項3】
前記複数の周波数帯域それぞれの使用状況を検出する使用状況検出部と、
検出された前記使用状況を示す第1使用状況情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して前記第1基地局へ送信する使用状況通知部と、
前記第2基地局から送信される前記第2基地局における前記複数の周波数帯域それぞれの使用状況を示す第2使用状況情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して取得する使用状況取得部と、を更に備え、
前記使用チャネル決定部は、前記第1使用チャネル情報と前記第1使用状況情報と前記第2使用状況情報とに基づいて、前記第2使用チャネルを決定する
請求項1または2に記載の基地局。
【請求項4】
前記複数の周波数帯域は、第1周波数帯域と、前記第1周波数帯域とは異なる少なくとも1つの第2周波数帯域と、を含み、
前記複数の無線モジュールは、
前記第1周波数帯域に属するチャネルで前記他の複数の基地局と通信する第1無線モジュールと、
前記第2周波数帯域に属するチャネルで他の基地局と無線通信する複数の第2無線モジュールと、を備え、
前記第1使用チャネルおよび前記第2使用チャネルは、前記少なくとも1つの第2周波数帯域に属し、
前記第1使用状況情報、前記第1使用チャネル情報、前記第2使用状況情報および前記第2使用チャネル情報は前記第1無線モジュールにより送受信される、
請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
前記複数の周波数帯域は、複数の第2周波数帯域を含み、
前記使用チャネル決定部は、前記第1使用状況情報と前記第2使用状況情報とに基づいて、前記複数の第2周波数帯域のうちの前記第1使用チャネルが属する第2周波数帯域とは異なる他の第2周波数帯域に属するチャネルのいずれかを前記第2使用チャネルに決定する、
請求項3または4に記載の基地局。
【請求項6】
前記第1使用状況情報および前記第2使用状況情報は、少なくとも1つの前記第2周波数帯域に属するチャネルそれぞれについての、前記チャネルを使用する他の基地局の数を示す使用基地局数、前記チャネルの負荷率、および、前記チャネルのノイズレベルのうちの少なくとも1つを示し、
前記使用チャネル決定部は、前記第1使用チャネルとは異なり、且つ前記使用基地局数、前記負荷率、および、前記ノイズレベルのうちの少なくとも1つが最も小さいチャネルを、前記第2使用チャネルに決定する、
請求項4または5に記載の基地局。
【請求項7】
前記使用チャネル決定部は、前記負荷率が最小のチャネルを特定し、特定した前記負荷率が最小のチャネルが1つだけである場合、特定した1つのチャネルを前記第2使用チャネルに決定し、特定した前記負荷率が最小のチャネルが複数存在する場合、複数の前記負荷率が最小のチャネルの中から前記使用基地局数が最小のチャネルを特定し、特定した前記使用基地局数が最小のチャネルが1つだけである場合、特定した1つのチャネルを前記第2使用チャネルに決定し、特定した前記使用基地局数が最小のチャネルが複数存在する場合、複数の前記使用基地局数が最小のチャネルの中からノイズレベルが最小のチャネルを特定し、特定した前記ノイズレベルが最小のチャネルが1つだけである場合、特定した1つのチャネルを前記第2使用チャネルに決定し、特定した前記ノイズレベルが最小のチャネルが複数存在する場合、特定した前記ノイズレベルが最小のチャネルの中から選択した1つのチャネルを前記第2使用チャネルに決定する、
請求項6に記載の基地局。
【請求項8】
前記第1使用チャネルおよび前記第2使用チャネルのいずれかでレーダ波を検出したか否かを判別する検出判別部と、
前記第1使用チャネル情報と前記第2使用チャネル情報とに基づいて、前記データフレームの前記第1基地局または前記第2基地局への送信を制御する送信制御部と、を更に備え、
前記送信制御部は、前記第1使用チャネルおよび前記第2使用チャネルのいずれかでレーダ波を検出したと判別されると、前記レーダ波を検出したと判別されたチャネルを異なるチャネルに変更して、前記データフレームを、前記第1基地局または前記第2基地局へ送信するよう制御する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の基地局。
【請求項9】
前記送信制御部は、前記第1使用チャネルおよび前記第2使用チャネルの少なくとも一方を、前記第1周波数帯域に属するチャネルに変更した後、予め設定されたキャリアセンス時間が経過すると、変更された前記第1使用チャネルおよび前記第2使用チャネルの少なくとも一方を、再び、前記使用チャネル決定部により決定されたチャネルに変更する、
請求項8に記載の基地局。
【請求項10】
前記第1周波数帯域は、2.4GHzまたは5GHz W52帯域であり、
前記第2周波数帯域は、5GHz W52帯域、5GHz W53帯域、5GHz W56帯域または6GHz帯域である、
請求項4に記載の基地局。
【請求項11】
第1基地局と、第2基地局と、前記第1基地局および前記第2基地局と通信可能な第3基地局と、を備え、
前記第1基地局、前記第2基地局および前記第3基地局は、それぞれ、
互いに異なる複数の周波数帯域のいずれかに属するチャネルで無線通信する複数の無線モジュールを有し、
前記第3基地局は、
前記第1基地局から送信される前記第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報を取得する使用チャネル情報取得部と、
前記第1使用チャネルとは異なるチャネルを、前記第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定する使用チャネル決定部と、
決定された第2使用チャネルを示す第2使用チャネル情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して前記第2基地局へ送信する使用チャネル通知部と、を有する、
通信システム。
【請求項12】
互いに異なる複数の周波数帯域のいずれかに属するチャネルで他の複数の基地局と無線通信する複数の無線モジュールを用いた通信方法であって、
前記他の複数の基地局のうちの予め設定された第1基地局から送信される前記第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報を取得するステップと、
前記第1使用チャネルとは異なるチャネルを、前記他の複数の基地局のうちの前記第1基地局とは異なる第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定するステップと、
決定された第2使用チャネルを示す第2使用チャネル情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して前記第2基地局へ送信するステップと、を含む、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、通信システムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線基地局間を無線通信によりデータの送受信を行うWDS(Wireless Distribution System)通信を利用して互いに通信可能な複数の無線基地局を備える無線通信システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。また、この無線通信システムでは、日本国内において、例えば5GHz帯のチャネルのうちチャネルグループW56に属するチャネルを使用して通信を行う場合、レーダ波を検出すると、使用しているチャネルを停止し、他のチャネルに変更するDFS(Dynamic Frequency Selection)機能を備え、レーダ波を検出した無線基地局がWDS通信を行う他の無線基地局に通信に使用するチャネルを通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-200156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたWDS通信を行う無線通信システムでは、複数の無線基地局でフレームを送信するタイミングが重なった場合、帯域不足によりスループットが低下してしまう虞がある。例えば、無線基地局の配下の子機が複数同じ送信タイミングでWDS通信を行う場合である。WDS通信では、複数の無線基地局同士を同じチャネル(同一チャネル)を使用して通信を行うため、当該子機の通信によって、1つの帯域を複数の子機の通信が使用することになり、結果、無線通信システムの帯域不足によるスループットの低下を招く。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、スループットの低下を抑制できる基地局、通信システムおよび通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る基地局は、
複数の周波数帯域のいずれかに属するチャネルで他の複数の基地局と無線通信する複数の無線モジュールと、
前記他の複数の基地局のうちの予め設定された第1基地局から送信される前記第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報を取得する使用チャネル情報取得部と、
前記第1使用チャネルとは異なるチャネルを、前記他の複数の基地局のうちの前記第1基地局とは異なる第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定する使用チャネル決定部と、
決定された第2使用チャネルを示す第2使用チャネル情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して前記第2基地局へ送信する使用チャネル通知部と、を備える。
【0007】
他の観点から見た本発明に係る通信システムは、
第1基地局と、第2基地局と、前記第1基地局および前記第2基地局と通信可能な第3基地局と、を備え、
前記第1基地局、前記第2基地局および前記第3基地局は、それぞれ、
互いに異なる複数の周波数帯域のいずれかに属するチャネルで無線通信する複数の無線モジュールと、を有し、
前記第3基地局は、
前記第1基地局から送信される前記第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報を取得する使用チャネル情報取得部と、
前記第1使用チャネルとは異なるチャネルを、前記第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定する使用チャネル決定部と、
決定された第2使用チャネルを示す第2使用チャネル情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して前記第2基地局へ送信する使用チャネル通知部と、を有する。
【0008】
他の観点から見た本発明に係る通信方法は、
互いに異なる複数の周波数帯域のいずれかに属するチャネルで他の複数の基地局と無線通信する複数の無線モジュールを用いた通信方法であって、
前記他の複数の基地局のうちの予め設定された第1基地局から送信される前記第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報を取得するステップと、
前記第1使用チャネルとは異なるチャネルを、前記他の複数の基地局のうちの前記第1基地局とは異なる第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定するステップと、
決定された第2使用チャネルを示す第2使用チャネル情報を、前記複数の無線モジュールのうちのいずれかを介して前記第2基地局へ送信するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る基地局によれば、使用チャネル決定部が、第1使用チャネルとは異なる周波数帯域に属するチャネルを、第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定する。これにより、第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第1使用チャネルと、第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルと、が互いに異なるので、自基地局の配下の子機から第1基地局、第2基地局の配下の子機へデータフレームを送信する際にそれぞれ基地局間の無線通信で必要となる帯域を確保し易くなる。従って、1つの使用チャネルによって基地局間の無線通信を行う従来のWDS通信で生じていた帯域不足に起因したデータフレーム送信におけるスループットの低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る通信システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る基地局のハードウェア構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係る基地局の機能構成を示す図である。
図4】(A)は実施の形態1に係る使用状況記憶部が記憶する情報の一例を示す図であり、(B)は実施の形態1に係る使用チャネル記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図6】実施の形態1に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図7】実施の形態1に係る上位の基地局が実行する通信制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1に係る上位の基地局が実行する使用チャネル決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態1に係る下位の基地局が実行する通信制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施の形態2に係る基地局の機能構成を示す図である。
図11】実施の形態2に係る使用チャネル記憶部が記憶する情報の一例を示す図である
図12】実施の形態2に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図13】実施の形態2に係る基地局が実行する通信制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】変形例に係る通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態に係る基地局について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る基地局は、互いに異なる複数の周波数帯域のいずれかに属するチャネルで他の複数の基地局と無線通信する複数の無線モジュールを備える。そして、基地局は、自局の複数の周波数帯域それぞれの使用状況を示す第1使用状況情報と、予め設定された第1基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する1つの周波数帯域に属する第1使用チャネルを示す第1使用チャネル情報と、他の複数の基地局のうちの第1基地局とは異なる第2基地局における複数の周波数帯域それぞれの使用状況を示す第2使用状況情報と、に基づいて、第1使用チャネルとは異なるチャネルを、第2基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する第2使用チャネルに決定する。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
本実施の形態に係る通信システムは、例えば図1に示すように、3つの基地局1(1A、1B、1C)と、各基地局1の配下に存在する端末装置3(3A、3B、3C、3D、3E、3F)と、を備える。この通信システムは、WDS(Wireless Distribution System)機能により無線LANネットワークを構築するものである。基地局は、例えば家庭内ネットワーク、オフィス内無線LANとして採用されるアクセスポイントなどである。3つの基地局1A、1B、1Cの間には、上下関係が設定されており、例えば基地局1Aが最上位、基地局1Bの上位が基地局1A、基地局1Cの上位が基地局1Bに設定されている。この場合、基地局1A、1B、1Cは、それぞれ、特許請求の範囲に記載の第1基地局、第3基地局、第2基地局に相当する。端末装置3は、例えば無線モジュールを備える汎用のパーソナルコンピュータである。
【0013】
本実施の形態に係る各基地局1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、3つの無線モジュール105A、105B、105Cと、各部を接続するバス109と、を備える。主記憶部102は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として使用される。補助記憶部103は、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ、または、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等から構成され、基地局1を制御するためのプログラムを記憶する。CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行する。
【0014】
無線モジュール105A、105B、105Cは、それぞれ、例えばIEEE802.11に準拠した無線LAN規格に適合する通信方式で通信する。無線モジュール105A、105B、105Cは、それぞれ、アンテナ(図示せず)と、受信回路(図示せず)と、信号処理部(図示せず)と、送信回路(図示せず)と、を有する。受信回路は、アンテナを介して無線信号を受信し、受信した無線信号に対応する信号を復調してベースバンド信号を生成して信号処理部へ出力する。送信回路は、信号処理部から入力されるベースバンド信号を用いてキャリア信号を変調することにより、送信するフレームに対応する無線信号を生成し、生成した無線信号を、アンテナを介して送信する。信号処理部は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現され、受信回路から入力されるベースバンド信号に基づいて受信回路が受信した無線信号に対応するフレームを生成してバス109へ送出する。また、信号処理部は、主記憶部102からバス109を介して転送されてきた各種フレームに基づいてベースバンド信号を生成して送信回路へ出力する。本実施の形態では、基地局1は3つの無線モジュール105A、105B、105Cを備え、例えば、無線モジュール105Aが、2.4GHzの周波数帯域に属する14のチャネルを利用し、無線モジュール105Bおよび105Cは、それぞれ5GHzの周波数帯域に属するW52、W53、W56に属するチャネルを利用する。なお、無線モジュール105A、105B、105Cは、それぞれ、2.4GHz、5GHz(W52、W53,W56)および6GHzの周波数帯域の組み合わせで自由に構成されてもよい。例えば、無線モジュール105Aは、2.4GHzの周波数帯域に属するチャネルを利用し、無線モジュール105Bは、5GHzの周波数帯域W52およびW53に属するチャネルを利用し、無線モジュール105Cは6GHzの周波数帯域のチャネルを利用できてもよい。また、本実施の形態では、無線モジュール105Aは、特許請求の範囲に記載の第1無線モジュールに相当し、無線モジュール105B、105Cが、特許請求の範囲に記載の第2無線モジュールに相当するものとして説明する。なお、本実施の形態に係る各基地局1では、3つの無線モジュール105A、105B、105Cを備えていることで説明するが、4つ以上備えていてもよい。
【0015】
基地局1では、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、図3に示すように、使用状況検出部111、使用状況通知部112、使用状況取得部113、使用チャネル情報取得部114、使用チャネル決定部115、使用チャネル通知部116、フレーム取得部117および送信制御部118として機能する。また、図2に示す補助記憶部103は、フラッシュメモリ、HDD、又はSSD等で実現され、図3に示すように、使用状況記憶部131と、使用チャネル記憶部132と、通知先記憶部133と、を有する。更に、図2に示す主記憶部102は、RAMなどで実現され、図3に示すように、無線モジュール105B、105Cにより受信されたデータフレームを一時的に記憶するフレームバッファ121を有する。
【0016】
使用状況記憶部131は、例えば図4(A)に示すように、5GHzの周波数帯域W52、W53、W56に属する複数のチャネルそれぞれについての使用状況情報を、複数のチャネルそれぞれを示すチャネル情報、複数のチャネルそれぞれが属する周波数帯域を示す周波数帯域情報および基地局識別情報の組合せに対応づけて記憶する。使用状況記憶部131に記憶される使用状況情報は、後述するように、自局に関する情報に加えて、下位の基地局から送信される使用状況情報も含まれる。ここで、使用状況情報は、無線モジュール105Bおよび105Cが使用する周波数帯域、例えば5GHzの周波数帯域W52、W53、W56に属する複数のチャネルそれぞれについて、これらのチャネルを使用する基地局の数である使用基地局数を示す使用基地局数情報と、前述の複数のチャネルそれぞれの負荷率を示す負荷率情報と、前述の複数のチャネルそれぞれにおけるフロアノイズのレベルを示すノイズレベル情報と、を含む。使用状況記憶部131が記憶する使用状況情報は、自局にかかる情報と、下位の基地局から送信される当該下位の基地局にかかる情報とを含む。基地局識別情報としては、例えば2.4GHzの周波数帯域のチャネルを使用する無線モジュール105Aに付与されたSSID(Service Set Identifier)を採用することができる。図4(A)に示す例では、基地局識別情報SSID[1]が付与された基地局1Bにおいて、5GHz帯のW52に属するチャネル「36ch」を使用する基地局の数がn[1]であり、チャネル「36ch」の負荷率がL[1][%]であり、チャネル「36cn」のフロアノイズのレベルがP[1][dBm]であることを示している。
【0017】
使用チャネル記憶部132は、例えば図4(B)に示すように、上位および下位に位置する他の基地局1それぞれとの間でデータフレームを送受信する際に使用するチャネルを示す使用チャネル情報を、当該他の基地局を識別する基地局識別情報に対応づけて記憶する。ここで、基地局識別情報としては、例えばSSIDを採用することができる。図4(B)に示す例は、基地局識別情報SSID[1]が付与された基地局1Bの使用チャネル記憶部132が記憶する情報の例であり、基地局識別情報SSID[0]が付与された基地局1Aとの間でのデータフレームの送受信は、周波数帯域W52に属するチャネル「36ch」を使用し、基地局識別情報SSID[2]が付与された基地局1Cとの間でのデータフレームの送受信は、周波数帯域W53に属するチャネル「52ch」を使用することを示している。
【0018】
通知先記憶部133は、予め決められた通知先である上位および下位の基地局に関する情報を記憶する。当該情報には、後述する使用状況通知フレームを他の基地局1へ送信する際に使用するチャネルを示すチャネル情報(通知用チャネル情報)と、自局を識別する基地局識別情報と、予め設定されたパスワードを示すパスワード情報と、送信先の基地局1のMAC(Media Access Control)アドレスを示すMACアドレス情報が含まれる。ここで、基地局1Aが最上位である場合、基地局1Aの通知先記憶部133が記憶するMACアドレス情報が示すMACアドレスは、一意に設定されてもよい。これにより、基地局1Aの使用状況通知フレームの送信先がこれ以上存在しない(つまり、最上位である)ことを示すこととする。
【0019】
使用状況検出部111は、3つの周波数帯域W52、W53、W56それぞれの使用状況を検出して、図4(A)に示すとおり、使用状況記憶部131に記憶させる。具体的には、使用状況検出部111は、周波数帯域W52、W53、W56に属する複数のチャネルそれぞれについて、各チャネルを使用する基地局1の数である使用基地局数と、各チャネルの負荷率と、各チャネルにおけるフロアノイズのノイズレベルと、を検出する。具体的には、使用状況検出部111は、例えば周波数帯域W52、W53、W56に属する複数のチャネルを介して自局に到来するフレームに含まれるSSIDの種類数に基づいて、複数のチャネルそれぞれの使用基地局数を特定する。また、使用状況検出部111は、周波数帯域W52、W53、W56に属する複数のチャネルそれぞれを介して予め設定された単位時間当たりに自局に到来するフレームサイズとフレーム数とに基づいて、複数のチャネルそれぞれの負荷率を算出する。更に、使用状況検出部111は、周波数帯域W52、W53、W56に属する複数のチャネルそれぞれでフレームを受信した際のSN比に基づいてフロアノイズのノイズレベルを算出する。そして、使用状況検出部111は、複数のチャネルについて、特定した使用基地局数を示す使用基地局数情報と、算出した負荷率を示す負荷率情報と、算出したノイズレベルを示すノイズレベル情報と、を、チャネル情報と各チャネルに対応する周波数帯域情報と自局の基地局識別情報との組合せに対応づけて使用状況記憶部131に記憶させる。
【0020】
使用状況通知部112は、使用状況検出部111により検出された複数のチャネルそれぞれの使用状況を示す使用状況情報(即ち、使用状況記憶部131に記憶された自局に関する情報)を含む使用状況通知フレームを生成し、生成した使用状況通知フレームを、無線モジュール105Aを介して通知用チャネルにて予め設定された基地局1へ送信する。ここで、予め設定された基地局1は、自局の上位の基地局1に相当し、基地局1Bの上位が基地局1Aである場合、基地局1Bの使用状況通知部112は、無線モジュール105Aを介して使用状況通知フレームを基地局1Aへ送信する。また、基地局1Cの上位が基地局1Bである場合、基地局1Cの使用状況通知部112は、無線モジュール105Aを介して使用状況通知フレームを基地局1Bへ送信する。ここにおいて、使用状況通知部112は、使用状況記憶部131が記憶する使用状況情報に加えて、これに対応するチャネル情報と、自局の基地局識別情報と、を含め使用状況通知フレームを生成する。ここで、使用状況情報には、前述の通り、複数のチャネルそれぞれの前述の使用基地局数情報、負荷率情報およびノイズレベル情報が含まれる。そして、使用状況通知部112は、通知先記憶部133が記憶する予め設定された基地局1(例えば1Aまたは1B)のMACアドレス情報に基づいて、生成した使用状況通知フレームを、通知先記憶部133が記憶する通知用チャネル情報が示す通知用チャネル(例えば2.4GHzの周波数帯域に属する予め設定されたチャネル)を介して上位の他の基地局1(例えば1Aまたは1B)へ送信する。
【0021】
使用状況取得部113は、通知先記憶部133が記憶する下位の他の基地局1から送信される当該他の基地局1における複数の周波数帯域それぞれの使用状況を示す使用状況情報を含む使用状況通知フレームを、無線モジュール105Aを介して取得する。その後、使用状況取得部113は、取得した使用状況通知フレームに含まれる使用状況情報と、このそれぞれに対応するチャネル情報と、送信元の基地局識別情報と、を抽出する。そして、使用状況取得部113は、抽出した使用状況情報とチャネル情報と基地局識別情報とを互いに対応づけて使用状況記憶部131に記憶させる。また、使用状況取得部113は、使用状況通知フレームに含まれる使用状況通知フレームの送信元の基地局1(下位の基地局)の基地局識別情報を使用チャネル通知部116に通知する。これは、後述するように、特定した使用チャネル情報の送信先となる情報である。
【0022】
使用チャネル情報取得部114は、通知先記憶部133が記憶する基地局識別情報で識別される上位の基地局1から送信される、当該上位の基地局1との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む使用チャネル通知フレームを、無線モジュール105Aを介して取得する。使用チャネル情報取得部114は、取得した使用チャネル通知フレームに含まれる使用チャネル情報を抽出し、抽出した使用チャネル情報を上位の基地局1の基地局識別情報に対応づけて使用チャネル記憶部132に記憶させる。例えば、基地局1Bの使用チャネル情報取得部114は、上位の基地局1Aから送信される使用チャネル通知フレームを取得すると、取得した使用チャネル通知フレームに含まれる使用チャネル情報を抽出して使用チャネル記憶部132に記憶させる。また、基地局1Cの使用チャネル情報取得部114は、上位の基地局1Bから送信される使用チャネル通知フレームを取得すると、取得した使用チャネル通知フレームに含まれる使用チャネル情報を抽出して使用チャネル記憶部132に記憶させる。
【0023】
使用チャネル決定部115は、予め上位の基地局により通知され、使用チャネル記憶部132に記憶された使用チャネル情報と、使用状況記憶部131が記憶する自局および下位の基地局に関する使用状況情報とに基づいて、使用状況通知フレームの送信元の他の基地局1(下位の基地局)との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルを決定する。ここで、使用チャネル決定部115は、5GHz帯の3つの周波数帯域W52、W53、W56のうちの上位の基地局から設定された使用チャネルが属する周波数帯域とは異なるいずれか1つの周波数帯域に属するチャネルを、前述の使用チャネルに決定する。具体的には、使用チャネル決定部115は、上位の基地局から設定された使用チャネルとは異なるチャネルを使用チャネルとするが、より好ましくは、上位の基地局から設定された使用チャネルが属する周波数帯域とは異なる周波数帯域に属するチャネルから、まず、使用状況記憶部131が記憶する複数のチャネルそれぞれの使用基地局数情報を参照して、複数のチャネルの中から使用基地局数が最小のチャネルを特定する。ここで、使用チャネル決定部115は、使用基地局数が最小のチャネルが1つだけである場合、その1つのチャネルを使用チャネルに決定する。一方、使用チャネル決定部115は、使用基地局数が最小のチャネルが複数存在する場合、使用状況記憶部131が記憶する複数の使用基地局数が最小のチャネルそれぞれの負荷率情報を参照して、使用基地局数が最小のチャネルの中から負荷率が最小のチャネルを特定する。ここで、使用チャネル決定部115は、負荷率が最小のチャネルが1つだけである場合、その1つのチャネルを使用チャネルに決定する。一方、使用チャネル決定部115は、負荷率が最小のチャネルが複数存在する場合、更に使用状況記憶部131が記憶する複数の負荷率が最小のチャネルそれぞれのノイズレベル情報を参照して、負荷率が最小のチャネルの中からノイズレベルが最小のチャネルを特定する。ここで、使用チャネル決定部115は、ノイズレベルが最小のチャネルが1つだけである場合、その1つのチャネルを使用チャネルに決定する。一方、使用チャネル決定部115は、ノイズレベルが最小のチャネルが複数存在する場合、ノイズレベルが最小のチャネルの中から1つのチャネルを特定し、特定したチャネルを使用チャネルに決定する。ここで、使用チャネル決定部115は、例えばチャネル情報が示すチャネル番号が最も若いチャネルを特定してもよい。また、使用チャネル決定部115は、こうして決定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を、対応する下位の基地局1の基地局識別情報に対応づけて使用チャネル記憶部132に記憶させる。
【0024】
なお、前述では、使用チャネル決定部115は、5GHz帯の3つの周波数帯域W52、W53、W56のうちの予め設定された基地局1に対応する使用チャネルが属する周波数帯域とは異なるいずれか1つの周波数帯域に属するチャネルを特定するとしたが、周波数帯域W52、W53、W56の同じ周波数帯域に属する別のチャネルであってもよい(例えば、W53の互いに帯域が隣接しないチャネル52chに対して60chを特定する等)。
【0025】
使用チャネル通知部116は、使用チャネル決定部115が決定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む使用チャネル通知フレームを、無線モジュール105Aを介して使用状況通知フレームの送信元の他の基地局1(下位の基地局)へ送信する。例えば、基地局1Aの使用チャネル通知部116は、基地局1Bから使用状況通知フレームを受信した場合、決定された使用チャネル通知フレームを基地局1Bへ送信する。また、基地局1Bの使用チャネル通知部116は、基地局1Cから使用状況通知フレームを受信した場合、決定された使用チャネル通知フレームを基地局1Cへ送信する。
【0026】
フレーム取得部117は、無線モジュール105A、105B、および105Cにおいて、接続要求フレームまたは接続許可フレームを受信したか否かを判定し、当該判定結果を使用状況検出部111、使用状況取得部113、または送信制御部118に通知する。また、無線モジュール105B、105Cが受信したデータフレームを取得し、取得したデータフレームをフレームバッファ121に記憶させる。
【0027】
送信制御部118は、使用チャネル記憶部132が記憶する使用チャネル情報に基づいて、フレームバッファ121が記憶するデータフレームの他の基地局1への送信を制御する。
【0028】
次に、本実施の形態に係る通信システムの動作について図5および図6を参照しながら詳細に説明する。ここでは、基地局1Aが最上位であり、基地局1Bの上位が基地局1Aであり、基地局1Cの上位が基地局1Bである場合について説明する。また、ここでは、無線モジュール105B、105Cを介したデータフレームの送受信が行われる場合について説明する。
【0029】
まず、図5に示すように、基地局1Aは、無線モジュール105Bが使用する周波数帯域に属する複数のチャネルそれぞれの使用状況を検出するとともに(ステップS1)、無線モジュール105Cが使用する周波数帯域に属する複数のチャネルそれぞれの使用状況を検出する(ステップS2)。そして、基地局1Aは、検出した使用状況を示す使用状況情報を基地局1Aの使用状況記憶部131に記憶させる。同様に、基地局1Bも、無線モジュール105Bが使用する周波数帯域に属する複数のチャネルそれぞれの使用状況を検出するとともに(ステップS3)、無線モジュール105Cが使用する周波数帯域に属する複数のチャネルそれぞれの使用状況を検出する(ステップS4)。そして、基地局1Bは、検出した使用状況を示す使用状況情報を基地局1Bの使用状況記憶部131に記憶させる。更に、基地局1Cも、無線モジュール105Bが使用する周波数帯域に属する複数のチャネルそれぞれの使用状況を検出するとともに(ステップS5)、無線モジュール105Cが使用する周波数帯域に属する複数のチャネルそれぞれの使用状況を検出する(ステップS6)。そして、基地局1Cは、検出した使用状況を示す使用状況情報を基地局1Cの使用状況記憶部131に記憶させる。
【0030】
次に、基地局1Bが、無線モジュール105Aを介して認証要求フレームを基地局1Aへ送信した後に基地局1Aから送信された認証応答フレームを無線モジュール105Aで受信する(図示しない)ことにより、例えばオープンシステム認証等の認証が成功したとする。この場合、基地局1Bの無線モジュール105Aに付与されたSSIDを示すSSID情報を含む接続要求フレームが、基地局1Bの無線モジュール105Aから基地局1Aの無線モジュール105Aへ通知用チャネルにより送信される(ステップS7)。一方、基地局1Aが、無線モジュール105Aを介して接続要求フレームを取得すると、当該接続要求フレームに対応する接続許可フレームが、基地局1Aの無線モジュール105Aから基地局1Bの無線モジュール105Aへ通知用チャネルにより送信される(ステップS8)。
【0031】
一方、基地局1Bは、無線モジュール105Aを介して接続許可フレームを受信すると、使用状況記憶部131が記憶する使用状況情報を含む使用状況通知フレームを生成する(ステップS9)。続いて、生成された使用状況通知フレームが、基地局1Bの無線モジュール105Aから基地局1Aの無線モジュール105Aへ通知用チャネルにより送信される(ステップS10)。一方、基地局1Aは、無線モジュール105Aを介して使用状況通知フレームを受信すると、受信した使用状況通知フレームに含まれる使用状況情報を使用状況記憶部131に記憶させる。そして、基地局1Aは、使用状況記憶部131が記憶する基地局1Aの使用状況情報および基地局1Bの使用状況情報に基づいて、基地局1Bとの間でデータフレームを送受信する際に使用する使用チャネルを決定する(ステップS11)。その後、基地局1Aが、決定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む使用チャネル通知フレームを生成し(ステップS12)、生成された使用チャネル通知フレームが、基地局1Aの無線モジュール105Aから基地局1Bの無線モジュール105Aへ通知用チャネルにより送信される(ステップS13)。
【0032】
一方、基地局1Bは、無線モジュール105Aを介して使用チャネル通知フレームを受信すると、受信した使用チャネル通知フレームに含まれる使用チャネル情報を使用チャネル記憶部132に記憶させる。この使用チャネル情報が、無線モジュール105Bが利用する周波数帯域に属するチャネルを示し、以下基地局1Aと基地局1Bの間のデータ通信は、この使用チャネル記憶部に記憶されたチャネル(第1使用チャネルに相当)により行われる。基地局1Bが、無線モジュール105Bを介して認証要求フレームを基地局1Aへ送信した後に基地局1Aから送信された認証応答フレームを無線モジュール105Bで受信することにより認証が成功したとする(図示しない)。この場合、基地局1Bの無線モジュール105Bに付与されたSSIDを示すSSID情報を含む接続要求フレームが、使用チャネル記憶部132に記憶された使用チャネルを用いて基地局1Bの無線モジュール105Bから基地局1Aの無線モジュール105Bへ送信される(ステップS14)。一方、基地局1Aが、無線モジュール105Bを介して接続要求フレームを受信すると、当該接続要求フレームに対応する接続許可フレームが、基地局1Aの無線モジュール105Bから基地局1Bの無線モジュール105Bへ送信される(ステップS15)。
【0033】
その後、基地局1Cが、無線モジュール105Aを介して認証要求フレームを基地局1Bへ送信した後に基地局1Bから送信された認証応答フレームを無線モジュール105Aで受信することにより認証が成功したとする。この場合、基地局1Cの無線モジュール105Aに付与されたSSIDを示すSSID情報を含む接続要求フレームが、基地局1Cの無線モジュール105Aから基地局1Bの無線モジュール105Aへ送信される(ステップS16)。一方、基地局1Bが、無線モジュール105Aを介して接続要求フレームを受信すると、当該接続要求フレームに対応する接続許可フレームが、基地局1Bの無線モジュール105Aから基地局1Cの無線モジュール105Aへ送信される(ステップS17)。
【0034】
基地局1Cは、無線モジュール105Aを介して接続許可フレームを受信すると、使用状況記憶部131が記憶する使用状況情報を含む使用状況通知フレームを生成する(ステップS18)。次に、生成された使用状況通知フレームが、通知用チャネルにより基地局1Cの無線モジュール105Aから基地局1Bの無線モジュール105Aへ送信される(ステップS19)。一方、以下図6に示すように、基地局1Bは、無線モジュール105Aを介して使用状況通知フレームを受信すると、受信した使用状況通知フレームに含まれる使用状況情報を使用状況記憶部131に記憶させる。そして、基地局1Bは、使用状況記憶部131が記憶する基地局1Bの使用状況情報および基地局1Cの使用状況情報と、使用チャネル記憶部132が記憶する基地局1Aとのデータフレーム通信に使用する使用チャネル情報と、に基づいて、基地局1Cとの間でデータフレームを送受信する際に使用する使用チャネル(第2使用チャネルに相当)を決定する(ステップS20)。この使用チャネルとしては、基地局1Aとのデータ通信に使用する使用チャネルと異なるチャネルを選択する。望ましくは、使用チャネルとしては、基地局1Aとのデータ通信に使用する使用チャネルと異なる周波数帯域のチャネルである。続いて、基地局1Bが、決定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む使用チャネル通知フレームを生成し(ステップS21)、生成された使用チャネル通知フレームが、通知用チャネルにより基地局1Bの無線モジュール105Aから基地局1Cの無線モジュール105Aへ送信される(ステップS22)。
【0035】
一方、基地局1Cは、無線モジュール105Aを介して使用チャネル通知フレームを受信すると、受信した使用チャネル通知フレームに含まれる使用チャネル情報を使用チャネル記憶部132に記憶させる。この使用チャネル情報が、無線モジュール105Cが利用する周波数帯域に属するチャネルを示し、以下基地局1Bと基地局1Cの間のデータ通信は、この使用チャネル記憶部に記憶されたチャネルにより行われる。基地局1Bが、無線モジュール105Cを介して認証要求フレームを基地局1Bへ送信した後に基地局1Bから送信された認証応答フレームを無線モジュール105Cで受信することにより認証が成功したとする(図示しない)。この場合、基地局1Cの無線モジュール105Cに付与されたSSIDを示すSSID情報を含む接続要求フレームが、基地局1Cの無線モジュール105Cから基地局1Bの無線モジュール105Cへ送信される(ステップS23)。一方、基地局1Bが、無線モジュール105Cを介して接続要求フレームを受信すると、当該接続要求フレームに対応する接続許可フレームが、基地局1Bの無線モジュール105Cから基地局1Cの無線モジュール105Cへ送信される(ステップS24)。
【0036】
その後、基地局1Aが、自局の配下の端末装置3Aまたは3Bから基地局1Cの配下の端末装置3Eまたは3F宛てのデータフレームを受信すると(ステップS25)、取得したデータフレームが、基地局1Aの無線モジュール105Bから基地局1Bの無線モジュール105Bへ送信される(ステップS26)。一方、基地局1Bが、無線モジュール105Bを介してデータフレームを受信すると、受信したデータフレームが、基地局1Bの無線モジュール105Cから基地局1Cの無線モジュール105Cへ送信される(ステップS27)。ここで基地局1Aから基地局1Bへの送信に用いられるチャネルと基地局1Bから基地局1Cへの送信に用いられるチャネルとは異なることに留意されたい。これにより基地局1Bにおける受信および送信のチャネル干渉が回避され、データフレーム送信におけるスループットの低下を抑制できる。一方、基地局1Cは、無線モジュール105Cを介してデータフレームを受信すると、受信したデータフレームを端末装置3E、3Fへ送信する(ステップS28)。
【0037】
次に、本実施の形態に係る基地局1が実行する通信制御処理について図7乃至図9を参照しながら詳細に説明する。この通信制御処理は、例えば基地局1へ電源が投入されたことを契機として開始される。ここで、基地局1の通信制御処理を上位の基地局1(図7および図8)および下位の基地局1(図9)の場合に分けて説明をする。ここでは、例えば、基地局1Aが上位の基地局1であり、基地局1Bが下位の基地局1である前提で詳細に説明する。
【0038】
まず、上位の基地局1(基地局1A)の通信制御処理について図7を用いて説明する。図7に示すように、基地局1Aの使用状況検出部111は、5GHz帯の複数の周波数帯域W52、W53、W56それぞれの使用状況を検出する(ステップS101)。次に、使用状況取得部113が、無線モジュール105Aを介して下位の基地局1(基地局1B)から認証要求フレームを受信し、これに対応する認証応答フレームを、無線モジュール105Aを介して、受信した認証要求フレームの送信元へ送信し、認証が成功したとする。フレーム取得部117は、当該下位の基地局1の無線モジュール105AのSSID情報を含む接続要求フレームを受信したか否かを判定する(ステップS102)。接続要求フレームを受信したと判定した場合には、その旨を使用状況取得部113に通知し、ステップS103に遷移する(ステップS102:Yes)。一方、接続要求フレームを受信していないと判定した場合にはステップS102の処理を繰り返す(ステップS102:No)。次に、使用状況取得部113は、接続許可フレームを、無線モジュール105Aを介して接続要求フレームの送信元の下位の基地局1(基地局1B)へ送信する(ステップS103)。続いて、使用状況取得部113は、使用状況通知フレームを受信したか否かを判定する(ステップS104)。使用状況通知フレームを受信したと判定した場合には、ステップ105に遷移する(ステップS104:Yes)。一方、使用状況通知フレームを受信していないと判定した場合にはステップS104の処理を繰り返す(ステップS104:No)。使用チャネル決定部115は、使用チャネル記憶部132が記憶する使用チャネル情報と使用状況記憶部131が記憶する使用状況情報とに基づいて、使用状況通知フレームの送信元の下位の基地局1(基地局1B)との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルを決定する(ステップS105)。
【0039】
ここで、使用チャネル決定部115が実行する使用チャネル決定処理(図7におけるステップS105)について、図8を参照しながら詳細に説明する。使用チャネル決定部115は、まず、使用状況記憶部131が記憶する複数のチャネルそれぞれの負荷率情報を参照して、複数のチャネルの中から負荷率が最小のチャネルを特定する(ステップS201)。次に、使用チャネル決定部115は、負荷率が最小のチャネルが複数存在するか否かを判定する(ステップS202)。ここで、使用チャネル決定部115は、負荷率が最小のチャネルが1つだけであると判定すると(ステップS202:No)、特定した1つのチャネルを使用チャネルに決定する(ステップ208)。一方、使用チャネル決定部115は、負荷率が最小のチャネルが複数存在すると判定すると(ステップS202:Yes)、使用状況記憶部131が記憶する複数の負荷率が最小のチャネルそれぞれの使用基地局数情報を参照して、負荷率が最小のチャネルの中から使用基地局数が最小のチャネルを特定する(ステップS203)。
【0040】
続いて、使用チャネル決定部115は、使用基地局数が最小のチャネルが複数存在するか否かを判定する(ステップS204)。ここで、使用チャネル決定部115は、使用基地局数が最小のチャネルが1つだけであると判定すると(ステップS204:No)、特定した1つのチャネルを使用チャネルに決定する(ステップS208)。一方、使用チャネル決定部115は、使用基地局数が最小のチャネルが複数存在すると判定すると(ステップS204:Yes)、使用状況記憶部131が記憶する複数の負荷率が最小のチャネルそれぞれのノイズレベル情報を参照して、負荷率が最小のチャネルの中からノイズレベルが最小のチャネルを特定する(ステップS205)。
【0041】
その後、使用チャネル決定部115は、ノイズレベルが最小のチャネルが複数存在するか否かを判定する(ステップS206)。ここで、使用チャネル決定部115は、ノイズレベルが最小のチャネルが1つだけであると判定すると(ステップS206:No)、特定した1つのチャネルを使用チャネルに決定する(ステップS208)。一方、使用チャネル決定部115は、ノイズレベルが最小のチャネルが複数存在すると判定すると(ステップS206:Yes)、ノイズレベルが最小のチャネルの中から1つのチャネルを特定し(ステップS207)、特定した1つのチャネルを使用チャネルに決定する(ステップS208)。ここで、使用チャネル決定部115は、決定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を、対応する基地局1の基地局識別情報に対応づけて使用チャネル記憶部132に記憶させる。
なお図8には記載しないが、かかる基地局に対する上位の基地局が存在する場合、使用チャネル決定処理において、上位の基地局から送信される使用チャネル情報に含まれるチャネルを、候補から除外する処理がなされる。
【0042】
図7に戻って、次に、使用チャネル通知部116は、使用チャネル決定部115が決定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む使用チャネル通知フレームを生成し、生成した使用チャネル通知フレームを、下位の基地局1(基地局1B)へ送信する(ステップS106)。続いて、フレーム取得部117は、下位の基地局1(基地局1B)の無線モジュール105Bに付与されたSSIDを示すSSID情報を含む接続要求フレームを受信したか否かを判定する(ステップS107)。接続要求フレームを受信したと判定した場合には、その旨を使用状況取得部113に通知し、ステップ108に遷移する(ステップS107:Yes)。一方、接続要求フレームを受信していないと判定した場合にはステップS107の処理を繰り返す(ステップS107:No)。ここで、使用状況取得部113が、無線モジュール105Bを介して下位の基地局1(基地局1B)から認証要求フレームを受信し、これに対応する認証応答フレームを、無線モジュール105Bを介して、受信した認証要求フレームの送信元の下位の基地局1(基地局1B)へ送信し、認証が成功したとする。使用状況取得部113は、接続要求フレームに対応する接続許可フレームを基地局1Aの無線モジュール105Bを介して下位の基地局1(基地局1B)の無線モジュール105Bへ送信する(ステップS108)。以後、基地局1Aの無線モジュール105Bと基地局1Bの無線モジュール105Bとの間でデータの送受信が可能となる(ステップ109)。
【0043】
次に、下位の基地局1(基地局1B)の通信制御処理について説明する。図9に示すように、基地局1Bの使用状況検出部111は、5GHz帯の複数の周波数帯域W52、W53、W56それぞれの使用状況を検出する(ステップS301)。ここで、使用状況取得部113が、無線モジュール105Aを介して上位の基地局1(基地局1A)に認証要求フレームを送信し、これに対応する認証応答フレームを、認証要求フレームの受信元から無線モジュール105Aを介して、受信し認証が成功したとする。基地局1Bの使用状況通知部112は、上位の基地局1(基地局1A)の無線モジュール105AのSSID情報を含む接続要求フレームを、無線モジュール105Aを介して上位の基地局1(基地局1A)へ送信する(ステップS302)。続いて、基地局1Bのフレーム取得部117は、無線モジュール105Aを介して上位の基地局1(基地局1A)から送信された接続許可フレームを受信したか否かを判定する(ステップS303)。接続要求フレームを受信したと判定した場合には、その旨を使用状況検出部111に通知し、ステップS304に遷移する(ステップS303:Yes)。一方、接続許可フレームを受信していないと判定した場合にはステップS303の処理を繰り返す(ステップS303:No)。次に、使用状況通知部112は、使用状況検出部111により検出された複数のチャネルそれぞれの使用状況を示す使用状況情報を含む使用状況通知フレームを生成し、生成した使用状況通知フレームを、無線モジュール105Aを介して上位の基地局1(基地局1A)へ送信する(ステップS304)。続いて、使用チャネル情報取得部114は、上位の基地局1(基地局1A)から使用チャネル通知フレームを受信したか否かを判定する(ステップS305)。使用チャネル通知フレームを受信したと判定した場合には、受信した使用チャネル通知フレームに含まれる使用チャネル情報を使用チャネル記憶部132に記憶させ、ステップ306に遷移する(ステップS305:Yes)。一方、使用チャネル通知フレームを受信していないと判定した場合にはステップS305の処理を繰り返す(ステップS305:No)。次に、基地局1Bの無線モジュール105Bに付与されたSSIDを示すSSID情報を含む接続要求フレームを使用チャネル記憶部132に記憶された使用チャネルを用いて基地局1Bの無線モジュール105Bから基地局1Aの無線モジュール105Bへ送信する(ステップS306)。続いて、フレーム取得部117は、上位の基地局1(基地局1A)の無線モジュール105Bから接続要求フレームに対する応答である接続許可フレームを受信したか否かを判定する(ステップS307)。接続許可フレームを受信したと判定した場合には、その旨を送信制御部118に通知し、ステップ308に遷移する(ステップS307:Yes)。一方、接続許可フレームを受信していないと判定した場合にはステップS307の処理を繰り返す(ステップS307:No)。以後、基地局1Aの無線モジュール105Bと基地局1Bの無線モジュール105Bとの間でデータの送受信が可能となる(ステップ308)。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態に係る基地局1によれば、使用チャネル決定部115は、下位の他の基地局1との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルを、上位の他の基地局1との間でのデータフレームの送受信に使用するとして通知された使用チャネルを避けたうえで、自局の3つの周波数帯域W52、W53、W56それぞれの使用状況を示す使用状況情報と、下位の他の基地局1における3つの周波数帯域W52、W53、W56それぞれの使用状況を示す第2使用状況情報と、に基づいて決定する。これにより、上位の基地局1との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルと、下位の基地局1との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルが異なり、自基地局の配下の子機から上位の基地局1および下位の基地局1の配下の子機へデータフレームを送受信する際にそれぞれ基地局間の無線通信で必要となる帯域を確保し易くなる。従って、1つの使用チャネルによって基地局間の無線通信を行う従来のWDS通信で生じていた帯域不足に起因したデータフレーム送信におけるスループットの低下を抑制できる。
【0045】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る基地局は、他の基地局との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルが属する第2周波数帯域に属するチャネルのうちのいずれかでレーダ波を検出したか否かを判別する検出判別部を備える点で実施の形態1と相違する。本実施の形態に係る基地局では、前述の使用チャネルが、検出判別部によりレーダ波を検出したと判別された場合、送信制御部が、当該使用チャネルを、一時的に第1周波数帯域に属するチャネルに変更して、データフレームを、第1無線モジュールを介して他の基地局へ送信する。第1周波数帯域とは、レーダ波が使用する周波数帯域と重ならない帯域を意味し、例えば、2.4GHz帯域または5GHz帯のうちW52帯域である。一方、第2周波数帯域とは、データフレームの送信に適した5GHzおよび6GHzの周波数帯域であるが、より詳細には例えば、5GHz帯のうちレーダ波が使用するW53およびW56帯域を含む帯域である。
【0046】
本実施の形態に係る基地局のハードウェア構成は、実施の形態1で説明した基地局1のハードウェア構成と同様である。以下、実施の形態1と同様の構成については適宜図1図2と同一の符号を用いて説明する。本実施の形態に係る基地局2001では、図2に示すCPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、図10に示すように、使用状況検出部111、使用状況通知部112、使用状況取得部113、使用チャネル情報取得部114、使用チャネル決定部115、使用チャネル通知部2116、フレーム取得部117、送信制御部2118および検出判別部2119として機能する。なお、図10において、実施の形態1と同様の構成については図3と同一の符号を付している。また、図2に示す補助記憶部103は、図10に示すように、使用状況記憶部131と、使用チャネル記憶部2132と、通知先記憶部133と、を有する。更に、図2に示す主記憶部102は、図10に示すように、無線モジュール105A、105Bにより受信されたフレームを一時的に記憶するフレームバッファ121を有する。使用チャネル記憶部2132は、図11に示すように、他の基地局それぞれへデータフレームを送信する際に通常使用するチャネルとレーダ波が検出された場合に使用するチャネルとを示す使用チャネル情報を、他の基地局を識別する基地局識別情報に対応づけて記憶する。図11に示す例では、データフレーム送受信のために通常使用するチャネルが、5GHzの周波数帯域W53、W56に属するチャネルに設定されており、レーダ波が検出された場合に使用するチャネル(第1周波数帯域のチャネルに相当)が、2.4GHzの周波数帯域に属するチャネル(1chおよび11ch)に設定されている。
【0047】
図10に戻って、検出判別部2119は、予め設定された監視周期で、他の基地局1(上位および下位の基地局)との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルが、周波数帯域W53またはW56に属するチャネルであって、そのうちのいずれかでレーダ波を検出したか否かを判別する。検出判別部2119は、前述の使用チャネルが、周波数帯域W53またはW56に属するチャネルであって、そのうちのいずれかがレーダ波を検出したと判別すると、使用チャネルでレーダ波が検出された旨を使用チャネル通知部2116および送信制御部2118に通知する。
【0048】
送信制御部2118は、使用チャネルが検出判別部2119によりレーダ波を検出したと判別され、第2周波数帯域のうちのレーダ波を検出すると異なるチャネルへ変更する必要がある周波数帯域(例えば5GHz帯のW53およびW56)に属する場合、レーダ波を検出したと判別された使用チャネルでの通信を停止し、第1周波数帯域、例えば2.4GHzの周波数帯域に属するチャネルに変更して、データフレームを、無線モジュール105Aを介して他の基地局1へ送信する。具体的には、送信制御部2118は、検出判別部2119からレーダ波を検出したと判別された旨が通知されると、使用チャネルを、使用チャネル記憶部2132が記憶する、レーダ波が検出された場合の2.4GHz帯域のチャネルに変更して、データフレームを、無線モジュール105Aを介して他の基地局1へ送信する。また、送信制御部2118は、第2周波数帯域のうちでも、レーダ波が検出されていないチャネル(5GHzの周波数帯域W53、W56に属するチャネル)に使用チャネルを変更してもよい。送信制御部2118は、予め設定されたキャリアセンス時間が経過すると、変更された使用チャネルを、再び、使用チャネル決定部115により決定されたチャネルに変更してもよい。ここで、キャリアセンス時間は、例えば30分に設定されている。
【0049】
使用チャネル通知部2116は、検出判別部2119から使用チャネルでレーダ波が検出された旨が通知されると、使用チャネル記憶部2132が記憶する、通知された周波数帯域情報に対応するレーダ波が検出された場合の使用チャネル(例えば、2.4GHz帯域のチャネル)を特定する。そして、使用チャネル通知部2116は、特定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む一時使用チャネル通知フレームを生成し、生成した一時使用チャネル通知フレームを、無線モジュール105Aを介して、レーダ波を検出した周波数帯域W53、W56に属するチャネルを使用中の他の基地局1へ送信する。また、使用チャネル通知部2116は、送信制御部2118が使用チャネルを変更した後、前述のキャリアセンス時間が経過すると、使用チャネル決定部115により決定された使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む使用チャネル復帰通知フレームを生成し、生成した使用チャネル復帰通知フレームを、無線モジュール105Aを介して、変更後の使用チャネルを使用する他の基地局1へ送信する。
【0050】
次に、本実施の形態に係る通信システムの動作について図12を参照しながら詳細に説明する。なお、図12において、実施の形態1と同様の処理については図5および図6と同一の符号を付している。図5および図6についての説明と同様、ここでは、基地局2001Bの上位基地局が、基地局2001Aであり、基地局2001Cの上位基地局が基地局2001Bであり、無線モジュール105B、105Cを介したデータフレームの送受信が行われる場合について説明する。まず、実施の形態1で説明したステップS28までの一連の処理が実行された後、基地局2001Bが、無線モジュール105Bが使用するチャネルが属する周波数帯域でレーダ波を検出したとする(ステップS2001)。具体的には、基地局2001Bが、無線モジュール105Bが使用するチャネルで、レーダ波を検出したと判別されたとする。この場合、基地局2001Bは、使用チャネル記憶部2132が記憶する、レーダ波を検出した場合の使用チャネルを特定し、特定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む一時使用チャネル通知フレームを生成する(ステップS2002)。次に、生成された一時使用チャネル通知フレームが、基地局2001Bの無線モジュール105Aから基地局2001Aの無線モジュール105Aへ送信される(ステップS2003)。続いて、基地局2001Bは、基地局2001Aとデータフレームを送受信するための使用チャネルを、レーダ波が検出された場合の使用チャネルに変更する(ステップS2004)。
【0051】
一方、基地局2001Aは、一時使用チャネル通知フレームを受信すると、使用チャネルを、受信した一時使用通知フレームに含まれる使用チャネル情報が示すチャネルに変更する(ステップS2005)。その後、データフレームが、変更後の使用チャネルを介して、基地局2001Aの無線モジュール105Aから基地局2001Bの無線モジュール105Aへ送信される(ステップS2006)。
【0052】
次に、基地局2001Bが、使用チャネル変更後、前述のキャリアセンス時間だけ経過したと判定したとする(ステップS2007)。この場合、基地局2001Bは、使用チャネル決定部115により決定された使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む使用チャネル復帰通知フレームを生成する(ステップS2008)。続いて、生成された使用チャネル復帰通知フレームが、基地局2001Bの無線モジュール105Aから基地局2001Aの無線モジュール105Aへ送信される(ステップS2009)。その後、基地局2001Bは、基地局2001Aとデータフレームを送受信するための使用チャネルを、再び使用チャネル決定部115により決定された使用チャネルに変更する(ステップS2010)。
【0053】
一方、基地局2001Aは、使用チャネル復帰通知フレームを受信すると、使用チャネルを、受信した使用チャネル復帰通知フレームに含まれる使用チャネル情報が示すチャネルに変更する(ステップS2011)。次に、データフレームが、再び、使用チャネル決定部115により決定された使用チャネルを介して、基地局2001Aの無線モジュール105Aから基地局2001Bの無線モジュール105Aへ送信される(ステップS2012)。
【0054】
次に、本実施の形態に係る基地局1が実行する通信制御処理について図13を参照しながら詳細に説明する。ここでは、データフレームの送受信が既に開始されているものとする。また、基地局1が複数の他の基地局1と異なるチャネルで無線通信がなされている。まず、使用チャネル通知部2116は、検出判別部2119により他の基地局1との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルのいずれかでレーダ波を検出したか否かを判定する(ステップS2101)。ここで、使用チャネル通知部2116が、データフレームの送受信に使用する使用チャネルの全てについてレーダ波を検出していないと判別される限り(ステップS2101:No)、再びステップS2101の処理を繰り返す。
【0055】
一方、使用チャネル通知部2116が、他の基地局1との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルでレーダ波を検出したと判定したとする(ステップS2101:Yes)。この場合、使用チャネル通知部2116は、検出判別部2119から使用チャネルでレーダ波が検出された旨が通知されると、使用チャネル記憶部2132が記憶するレーダ波が検出された場合の使用チャネルを特定する。そして、使用チャネル通知部2116は、特定した使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む一時使用チャネル通知フレームを生成し、生成した一時使用チャネル通知フレームを、無線モジュール105Aを介して、当該チャネルを使っている通信の相手方の基地局1へ送信する(ステップS2102)。
【0056】
続いて、送信制御部2118は、検出判別部2119から使用チャネルでレーダ波が検出された旨が通知されると、使用チャネルを、使用チャネル記憶部2132が記憶するレーダ波が検出された場合の使用チャネルに変更する(ステップS2103)。
【0057】
その後、使用チャネル通知部2116は、送信制御部2118が使用チャネルを変更した後、前述のキャリアセンス時間が経過したか否かを判定する(ステップS2104)。ここで、使用チャネル通知部2116は、未だキャリアセンス時間が経過していないと判定すると(ステップS2104:No)、再びステップS2104の処理を繰り返す。一方、使用チャネル通知部2116は、キャリアセンス時間を経過したと判定したとする(ステップS2104:Yes)。この場合、使用チャネル通知部2116は、使用チャネル決定部115により決定された使用チャネルを示す使用チャネル情報を含む使用チャネル復帰通知フレームを生成し、生成した使用チャネル復帰通知フレームを、無線モジュール105Aを介して、変更後の使用チャネルを使用する他の基地局1へ送信する(ステップS2105)。次に、送信制御部2118は、変更された使用チャネルを、再び、使用チャネル決定部115により決定されたチャネルに変更する(ステップS2106)。続いて、再びステップS2101の処理が実行される。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態に係る基地局2001によれば、検出判別部2119が、他の基地局2001との間でのデータフレームの送受信に使用する使用チャネルのうちのいずれかがレーダ波を検出したか否かを判別する。そして、送信制御部2118は、レーダ波が検出された使用チャネルを、検出判別部2119によりレーダ波を検出したと判別された場合の使用チャネルに変更して、データフレームを、第1無線モジュールを介して他の基地局へ送信する。これにより、使用チャネル決定部115により決定された使用チャネルでレーダ波が検出された場合において、キャリアセンス時間内でもデータフレームの他の基地局1への送信を継続することができる。従って、レーダ波との干渉に起因したデータフレーム送信におけるスループットの低下を抑制できる。
【0059】
(変形例)
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば基地局1(例えば1B、1C)が、TCP/IPを使用して使用状況通知情報を上位の基地局1(例えば1A、1B)へ送信するものであてもよい。この場合、通知先記憶部133が、使用状況通知フレームの送信先の基地局1のIPアドレスを示すIPアドレス情報を記憶するようにすればよい。そして、使用状況通知部112が、TCPヘッダ情報、IPヘッダ情報を含む使用状況通知フレームを生成して上位の基地局1へ送信するようにすればよい。
【0060】
各実施の形態では、無線モジュール105Aが使用する周波数帯域は、2.4GHzの周波数帯域に限定されるものではなく、例えば無線モジュール105Aが周波数帯域W52を使用し、無線モジュール105B、105Cが、周波数帯域W53、W56に属するいずれかのチャネルを使用するものであってもよい。この場合、レーダ波を検出したときも、データフレームの送受信のための無線モジュールを2.4GHz用の105Aに変更する必要はない。
【0061】
各実施の形態において、基地局1、2001が、2.4GHzの周波数帯域、5GHzの周波数帯域W52、W53、W56に加えて6GHzの周波数帯域でも他の基地局1、2001と通信可能なものであってもよい。ここで、6GHzの周波数帯域は、帯域幅が20MHzでありチャネル数が60である。この場合、基地局1、2001が、5つの周波数帯域それぞれに対応する5つの無線モジュールを備えてもよいし、2.4GHzの周波数帯域および5GHzの周波数帯域の両方を1つの無線モジュールとして実現されてもよいし、5GHzの周波数帯域および6GHzの周波数帯域の両方を1つの無線モジュールで実現されてもよく、5つの周波数帯域それぞれに対応する無線モジュールの組み合わせは自由である。この場合、例えば図14に示すように、8つの基地局1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hが、それぞれ、データフレームの送受信に適した4つの周波数帯域(5GHzの周波数帯域にあるW53、W54、W56、および6GHz帯域)のいずれかに属する使用チャネルを介して隣接する他の基地局と通信し、且つ、隣り合う無線通信リンクには異なる周波数帯域に属するチャネルを使用する構成とすることができる。なお、この場合、使用状況通知フレームや使用チャネル通知フレームは、通信の途切れにくい2.4GHzの周波数帯域のチャネルにより送受信されるのが好ましい。
【0062】
各実施の形態において、基地局1、2001が、無線モジュール105を1つだけ備え、1つの無線モジュール105を、3つの仮想無線モジュール105A、105B、105Cとして機能させるものであってもよい。
【0063】
各実施の形態では、使用チャネル決定部115が、3つの周波数帯域W52、W53、W56に属するチャネルそれぞれについての、使用基地局数、負荷率およびノイズレベルの全てに基づいて、使用チャネルを決定する例について説明した。但し、これに限らず、使用チャネル決定部115が、3つの周波数帯域W52、W53、W56に属するチャネルそれぞれについての、使用基地局数、負荷率およびノイズレベルのうちの1種類または2種類のみに基づいて、使用チャネルを決定するものであってもよい。また、各実施の形態では、使用チャネル決定部115が、負荷率、使用基地局数、ノイズレベルの順に大きさを判定して使用チャネルを決定する例について説明したが、この順序は特に限定されない。
【0064】
本発明に係る基地局1、2001の各種機能は、専用のシステムによらず、無線通信モジュールを備えるコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD-ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する基地局1、2001を構成してもよい。
【0065】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線のサーバにアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する基地局1、2001として機能する。
【0066】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、WDS機能により無線LANネットワークを構築する基地局として好適である。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B,1C,2001,2001A,2001B,2001C:基地局、3,3A,3B,3C,3D,3E,3F:端末装置、101:CPU、102:主記憶部、103:補助記憶部、105A,105B,105C:無線モジュール、109:バス、111:使用状況検出部、112:使用状況通知部、113:使用状況取得部、114:使用チャネル情報取得部、115:使用チャネル決定部、116,2116:使用チャネル通知部、117:フレーム取得部、118,2118:送信制御部、121:フレームバッファ、131:使用状況記憶部、132,2132:使用チャネル記憶部、133:通知先記憶部、2119:検出判別部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14