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特開2023-125322環境制御システム、及び、環境制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125322
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】環境制御システム、及び、環境制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230831BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
G06Q50/10
F24F13/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029343
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和宏
【テーマコード(参考)】
3L081
5L049
【Fターム(参考)】
3L081HA09
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】空間に位置する人の状態に応じて当該空間の環境を制御することができる環境制御システムを提供する。
【解決手段】環境制御システム10は、空間80に位置する人を対象としたセンシング情報を取得する取得部34と、取得されたセンシング情報に基づいて、人を落ち着かせるための第一環境制御を行う制御部35とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に位置する人を対象としたセンシング情報を取得する取得部と、
取得された前記センシング情報に基づいて、前記人を落ち着かせるための第一環境制御を行う制御部とを備える
環境制御システム。
【請求項2】
前記第一環境制御においては、前記空間の全体の環境が制御される
請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項3】
前記第一環境制御においては、前記空間のうち前記人の周辺の環境が選択的に制御される
請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、取得された前記センシング情報に基づいて、前記人を活発にするための第二環境制御を行う
請求項1~3のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項5】
前記第二環境制御においては、前記空間の全体の環境が制御される
請求項4に記載の環境制御システム。
【請求項6】
前記第二環境制御においては、前記空間のうち前記人の周辺の環境が選択的に制御される
請求項4に記載の環境制御システム。
【請求項7】
前記取得部は、さらに、過去に前記空間が利用されたときの利用者の状態を示す利用履歴情報を取得し、
前記制御部は、前記空間を利用する予定がある場合に、取得された前記利用履歴情報に基づいて前記空間の環境をあらかじめ制御する
請求項1~6のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項8】
前記第一環境制御においては、前記空間に設けられた気流発生装置に気流を発生させることにより、前記空間における空気環境が制御される
請求項1~7のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項9】
前記第一環境制御においては、前記空間に設けられた香り発生装置に香りを発生させることにより、前記空間における空気環境が制御される
請求項1~8のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記センシング情報に基づく判定を行い、前記判定の結果に基づいて前記第一環境制御を行い、
前記制御部によって実行された前記第一環境制御は、次の判定が行われる前に終了する
請求項1~9のいずれか1項に記載の環境制御システム。
【請求項11】
コンピュータによって実行される環境制御方法であって、
空間に位置する人を対象としたセンシング情報を取得する取得ステップと、
取得された前記センシング情報に基づいて、前記人を落ち着かせるための第一環境制御を行う制御ステップとを含む
環境制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境制御システム、及び、環境制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内空間における環境を制御するための技術が知られている。特許文献1には、送風量の変化に連動して室内への香り成分の放出を制御する香り発生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-137631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、空間に位置する人の状態に応じて当該空間の環境を制御することができる環境制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る環境制御システムは、空間に位置する人を対象としたセンシング情報を取得する取得部と、取得された前記センシング情報に基づいて、前記人を落ち着かせるための第一環境制御を行う制御部とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る環境制御方法は、コンピュータによって実行される環境制御方法であって、空間に位置する人を対象としたセンシング情報を取得する取得ステップと、取得された前記センシング情報に基づいて、前記人を落ち着かせるための第一環境制御を行う制御ステップとを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る環境制御システム等は、空間に位置する人の状態に応じて当該空間の環境を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る環境制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る環境制御システムが適用される空間を示す図である。
図3図3は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例1のフローチャートである。
図4図4は、会話量に基づく判定の判定基準を説明する図である。
図5図5は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例2のフローチャートである。
図6図6は、利用予約情報の一例を示す図である。
図7図7は、利用履歴情報の一例を示す図である。
図8図8は、実施の形態に係る環境制御システムの動作例3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0011】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る環境制御システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る環境制御システムの機能構成を示すブロック図である。図2は、実施の形態に係る環境制御システムが適用される空間を示す図である。
【0012】
環境制御システム10は、会議室などの空間80に位置する人を落ち着かせるための第一環境制御、及び、空間80に位置する人を活性化させるための第二環境制御を行うシステムである。環境制御システム10は、例えば、空間80に位置する複数の人のコミュニケーション(会議における議論など)が活発すぎると判定した場合に第一環境制御を行い、空間80に位置する複数の人のコミュニケーションが活発でない(落ち着きすぎている)と判定した場合に第二環境制御を行うことで、複数の人のコミュニケーションの適正化を図ることができる。なお、図2では、空間80は、壁で仕切られた閉空間(部屋)であるが、壁で仕切られていない空間であってもよい。
【0013】
図1に示されるように、環境制御システム10は、具体的には、センサ群20と、制御装置30と、気流発生装置40とを備える。また、図1には、予約管理システム50も図示されている。
【0014】
センサ群20は、空間80に位置する人を対象としてセンシングを行い、センシング情報(センシング結果)を制御装置30へ送信する。センサ群20には、画像センサ21、及び、音センサ22が含まれる。各センサは、例えば、空間80に1つ設置されるが、複数設置されてもよい。
【0015】
画像センサ21は、いわゆるカメラであり、空間80において空間80に位置する人が映る画像(動画または静止画)を撮影する。また、画像センサ21は、撮影した画像の画像情報を、空間80に位置する人を対象としたセンシング情報として制御装置30へ送信する。
【0016】
音センサ22は、いわゆるマイクロフォンであり、空間80において音を取得する。音センサ22によって取得される音には、空間80に位置する人の発話音声が含まれる。音センサ22は、取得した音の音情報を、空間80に位置する人を対象としたセンシング情報として制御装置30へ送信する。
【0017】
制御装置30は、空間80に設置される気流発生装置40を制御するコントローラである。制御装置30は、例えば、空間80を含む施設に設置されたエッジサーバ、当該施設外に設置されたクラウドサーバ、または、パーソナルコンピュータなどによって実現される。制御装置30は、具体的には、通信部31と、情報処理部32と、記憶部33とを備える。
【0018】
通信部31は、制御装置30が、センサ群20、気流発生装置40、及び、予約管理システム50と通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部31によって行われる通信は、例えば、有線通信であるが、無線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0019】
情報処理部32は、空間80における環境制御に関する情報処理を行う。情報処理部32は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
【0020】
情報処理部32は、機能的な構成要素として、取得部34、及び、制御部35を有する。取得部34、及び、制御部35の機能は、例えば、情報処理部32を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部33に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。取得部34、及び、制御部35のそれぞれの詳細な機能については後述する。
【0021】
記憶部33は、上記情報処理に必要な情報、及び、情報処理部32が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部33は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリなどによって実現されてもよい。
【0022】
気流発生装置40は、空間80の天井のやや下方に設けられた複数のダクト41(図2参照)と、複数のダクト41の内部に空気を送り込む送風機(図示せず)とを備える。複数のダクト41のそれぞれは長尺状であり、ダクト41の下面にはダクト41の長手方向に沿うスリット状の吹き出し口が設けられている。
【0023】
送風機が動作すると、複数のダクト41の吹き出し口から空間80の床側へ向かう気流が発生する。このとき複数のダクト41の間の空間は負圧となり、当該空間には、複数のダクト41の上方の空間の空気が誘引される。この結果、気流発生装置40は、複数のダクト41の吹き出し口から吹き出される気流と誘引された空気に基づく気流とが合わさった、直進性に優れたダウンフロー気流を吹き出すことができる。
【0024】
なお、気流発生装置40の具体的態様は図2のような態様に限定されず、一般的な送風機、換気装置、空気清浄機、または、空気調和機などであってもよい。
【0025】
予約管理システム50は、空間80が会議室などである場合に、空間80の利用予約(以下、単に予約と記載する)を管理するシステムである。例えば、利用者は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、または、タブレット端末などの情報端末を用いて予約管理システム50へアクセスし、所定の操作を行うことで、空間80を予約することができる。予約内容は、利用予約情報として予約管理システム50に記憶される。利用予約情報は、利用者の空間80の利用後には、利用履歴情報として記憶される。
【0026】
[動作例1]
以下、環境制御システム10の動作例1について説明する。図3は、環境制御システム10の動作例1のフローチャートである。
【0027】
制御装置30の制御部35は、気流発生装置40を通常制御する(S11)。通常制御においては、気流発生装置40は、例えば、空間80に位置する人がリモートコントローラ(図示せず)等を通じて指示する任意の設定で気流を発生する。なお、動作例1では、ステップS12以降の処理は、このような通常制御中に行われるものとして説明が行われるが、ステップS12以降の処理は、気流発生装置40が停止中に行われてもよい。
【0028】
通常制御中に、通信部31は、空間80に設置された音センサ22から音情報を受信する(S12)。取得部34は、受信された音情報を取得する(S13)。
【0029】
音情報には、空間80に位置する複数の人の音声が含まれている。そこで、制御部35は、取得された音情報に基づいて、直近の所定期間における会話量(推定量)を算出する(S14)。例えば、制御部35は、所定期間における平均発話音量を算出し、算出した平均発話音量を会話量とみなす。また、制御部35は、所定期間から誰も発話していない期間を減算した累積発話期間の長さを算出し、算出した累積発話期間の長さを会話量とみなしてもよい。また、制御部35は、発話音量と発話期間とを両方考慮し、所定期間において発話音量と発話期間とを積分した積分値を算出し、算出した積分値を発話量とみなしてもよい。所定期間は、例えば、10分~1時間程度の期間であるが、特に限定されない。
【0030】
次に、制御部35は、算出した会話量に基づく判定を行う(S15)。図4は、会話量に基づく判定の判定基準を説明する図である。図4に示されるように会話量に基づく判定においては、第二閾値以上第一閾値以下の範囲が適正範囲であると判定され、会話量が第二閾値未満であれば空間80に位置する複数の人のコミュニケーションが活発でないと判定される。また、会話量が第一閾値を超える場合には、複数の人のコミュニケーションが活発過ぎる(白熱(ヒートアップ)している)と判定される。
【0031】
制御部35は、会話量が第一閾値を超えると判定した場合には(S15で会話量>第一閾値)、空間80に位置する人を落ち着かせるための第一環境制御を行う(S16)。例えば、制御部35は、通信部31を用いて、気流発生装置40へ制御信号を送信することにより、気流発生装置40に通常制御中よりも強い気流を発生させる。また、気流発生装置40が発生する気流の温度が調整できる場合には、制御部35は、通常制御よりもやや低い温度の気流を発生させてもよい。環境制御システム10は、第一環境制御により、空間80に位置する人のクールダウンを図ることができる。
【0032】
一方、制御部35は、会話量が第二閾値を未満であると判定した場合には(S15で会話量<第二閾値)、空間80に位置する人を活発にするための第二環境制御を行う(S17)。例えば、制御部35は、気流発生装置40へ制御信号を送信することにより、気流を強さに強弱の変化を与えることで、優しくゆらぐような気流を発生させる。また、気流発生装置40が発生する気流の温度が調整できる場合には、制御部35は、通常制御よりもやや高い温度の気流を発生させてもよい。環境制御システム10は、第二環境制御により、空間80を会話が誘発されるような環境に近づけることができる。
【0033】
また、制御部35は、会話量が第二閾値以上第一閾値以下の適正範囲であると判定した場合には(S15で適正)、通常制御が継続される。
【0034】
図3では図示されないが、ステップS12~ステップS17の処理は、定期的に繰り返し行われる。ここで第一環境制御及び第二環境制御は、会話量が適正範囲になるまで継続されてもよいし、次の会話量の判定結果が出る前に終了し、通常制御に戻ってもよい。つまり、第一環境制御及び第二環境制御は、次の判定結果が出るまで(次の判定が行われるまで)継続的に行われてもよいし、次の判定が行われる前に終了するように期間を限定して行われてもよい。第一環境制御及び第二環境制御が期間を限定して(言い換えれば、瞬間的に)行われれば、第一環境制御及び第二環境制御によって生じる環境の変化を人が刺激として感じやすくなる効果が得られる。
【0035】
以上説明したように、環境制御システム10は、空間80に位置する人の音声を含む音情報を取得し、取得された音情報に基づいて、人を落ち着かせるための第一環境制御、及び、人を活発にするための第二環境制御を選択的に実行する。動作例1においては、第一環境制御、及び、第二環境制御は、いずれも、空間80の全体の環境を制御するものである。
【0036】
このような環境制御システム10は、空間80における複数の人のコミュニケーションの適正化を図ることができる。
【0037】
なお、制御装置30は、第一環境制御において、気流発生装置40に代えて、または、気流発生装置40に加えて、照明装置、出音装置、及び、香り発生装置など(図示せず)の少なくとも1つを制御してもよい。例えば、制御装置30は、第一環境制御において、照明装置に高色温度の白色光を照射させてもよいし、出音装置にさりげない自然環境音を出力させてもよいし、香り発生装置に鎮静効果を有する香りを発生させてもよい。つまり、第一環境制御においては、空間80における空気環境、光環境、及び、音環境の少なくとも1つが制御されればよい。
【0038】
同様に、制御装置30は、第二環境制御において、気流発生装置40に代えて、または、気流発生装置40に加えて、照明装置、出音装置、及び、香り発生装置など(図示せず)の少なくとも1つを制御してもよい。例えば、制御装置30は、第二環境制御において、照明装置に低色温度の白色光を照射させてもよいし、出音装置にカジュアルなジャズミュージックを出力させてもよいし、香り発生装置に柑橘系の香りを発生させてもよい。つまり、第二環境制御においては、空間80における空気環境、光環境、及び、音環境の少なくとも1つが制御されればよい。
【0039】
また、上記動作例1では、会話量に対して閾値が設定されることで判定が行われたが、会話量の変化量に対して閾値が設定されれば、環境制御システム10は、会話量が急増したときに第一環境制御を行い、会話量が急減したときに第二環境制御を行うこともできる。
【0040】
また、会話量は、空間80における複数の人のコミュニケーションが活発であるか否かを判定するためのパラメータの一例である。例えば、会話量に加えて、空間80における複数の人の動きの量を考慮して、空間80における複数の人のコミュニケーションが活発であるか否かが判定されてもよい。この場合、取得部34は、人の動きの量を特定するために、画像センサ21から画像情報を取得する。
【0041】
[動作例2]
動作例1における第一環境制御は、空間80の全体の環境を制御するものであるが、第一環境制御は、空間80に位置する特定の人の周囲の環境のみを制御するものであってもよい。言い換えれば、第一環境制御は、空間80に位置する特定の人にのみ刺激を与えるような制御であってもよい。以下、このような環境制御システム10の動作例2について説明する。図5は、環境制御システム10の動作例2のフローチャートである。
【0042】
なお、動作例2では、音センサ22は、マイクロフォンアレイを備え、空間80で複数の人が着席する机(複数の人が囲む机)の上などに設置される。これにより、制御装置30は、音センサ22が出力する音情報に基づいて音声を発した人が位置する方角を特定することができる。また、気流発生装置40は、送風方向を変更可能な送風機であるか、または、複数の方角へ気流を発生できるように複数の送風機によって構成され、例えば、音センサ22の近傍に設置されるものとする。
【0043】
制御装置30の通信部31は、空間80に設置された音センサ22から音情報を受信する(S21)。取得部34は、受信された音情報を取得する(S22)。
【0044】
制御部35は、取得された音情報に情報処理を行うことで、音情報に含まれる音声を発した人が怒っているか否かを判定する(S23)。ステップS23の判定においては、例えば、音情報に基づいて人の感情を解析することができるAI(Artificial Intelligence)などが用いられる。
【0045】
音声を発した人が怒っていないと判定されると(S23でNo)、動作は終了となる。制御部35は、音声を発した人が怒っていると判定すると(S23でYes)、ステップS22において取得された音情報から音声を発した人が位置する方角を特定する(S24)。
【0046】
そして、制御部35は、気流発生装置40を制御することにより、特定された方角へ向けて気流を発生させる(S25)。つまり、怒っていると推定される人の周囲の環境のみを制御する第一環境制御を行う。制御部35は、具体的には、通信部31を介して、気流発生装置40へ制御信号を送信することにより、第一環境制御を行うことができる。なお、ステップS25における気流の発生は、例えば、期間を限定して行われ、次の判定が行われる前に終了(停止)する。
【0047】
以上説明したように、環境制御システム10は、空間80に位置する人の音声を含む音情報を取得し、取得された音情報に基づいて、人を落ち着かせるための第一環境制御を実行する。動作例2においては、第一環境制御は、空間80のうち特定の人の周辺の環境を選択的に制御するものである。
【0048】
このような環境制御システム10は、特定の人を落ち着かせようとすることができる。
【0049】
なお、制御装置30は、第一環境制御において、気流発生装置40に加えて、香り発生装置など(図示せず)を制御してもよい。この場合、制御装置30は、香り発生装置によって発生した香りを気流発生装置40が発生する気流によって運ぶことで、特定の人の周囲に選択的に香りを発生させることができる。
【0050】
また、上記動作例2では、音情報に基づいて怒っている人が判定されたが、画像センサ21によって送信される画像情報に基づいて怒っている人を判定することもできる。この場合、取得部34は、画像センサ21から画像情報を取得し、制御部35は、取得された画像情報に基づいて、当該画像情報が示す画像に映る人が怒っているか否かを判定する。この判定においては、例えば、画像情報に基づいて人の感情を解析することができるAIなどが用いられる。
【0051】
また、音情報及び画像情報の少なくとも一方に基づいて怒る寸前の人(今にも怒声を発しそうな人)が特定できるような場合、制御部35は、怒る寸前の人の周囲の環境を制御する第一環境制御を行うこともできる。
【0052】
また、音情報及び画像情報を併用したり、測位システムなどの他のシステムから人の位置情報を取得したりすることにより怒っている人の位置をより正確に特定できるような場合も考えられる。このような場合には、環境制御システム10は、気流発生装置40によって発生する気流を当該人の額などの所定の部位に局所的に(ピンポイントに)あててもよい。この場合、気流発生装置40としてはサーキュレータなどの指向性の高い気流を発生できる装置が用いられるとよい。
【0053】
また、動作例2では、空間80に位置する特定の人の周囲の環境を選択的に制御する第一環境制御について説明されたが、環境制御システム10は、空間80に位置する特定の人の周囲の環境を選択的に制御する第二環境制御を行ってもよい。
【0054】
例えば、制御部35は、音情報及び画像情報の少なくとも一方に基づいて、空間80に位置する複数の人のうち会話量の少ない人を特定し、当該人の周囲の環境を選択的に制御してもよい。制御部35は、具体的には、気流発生装置40を制御することにより、会話量の少ない人に向けて気流を発生してもよいし、気流発生装置40及び香り発生装置を制御することにより、会話量の少ない人に向けて柑橘系の香りを含む気流を発生させてもよい。
【0055】
[動作例3]
ところで、空間80の予約管理システム50には、利用予約情報が記憶されている。図6は、利用予約情報の一例を示す図であり、利用予約情報は、1つまたは複数の個別予約情報(図6の一行分の情報)を含む。
【0056】
空間80の利用が終了すると、当該利用に対応する個別予約情報は、利用履歴情報として使用することができる。ここで、予約管理システム50は、制御装置30に空間80の利用状況を問い合わせることで、利用履歴情報に利用状況を含めることができる。図7は、利用履歴情報の一例を示す図であり、利用履歴情報は、1つまたは複数の個別履歴情報(図7の一行分の情報)を含む。
【0057】
利用状況とは、利用者の空間80における行動(活動)の状況であり、例えば、利用者の会話量である。予約管理システム50は、制御装置30に、会話量の判定結果(動作例1のステップS15参照)を問い合わせることで、利用履歴情報に利用者の会話量を示す情報(図7の「会話量」の列を参照)を含めることができる。図7の例では、会話量は、多い、適正、少ない、の3段階で規定されている。
【0058】
制御装置30は、このような利用予約情報、及び、利用履歴情報に基づいて、空間80の環境を制御してもよい。以下、このような環境制御システム10の動作例3について説明する。図8は、環境制御システム10の動作例3のフローチャートである。
【0059】
制御装置30の通信部31は、予約管理システム50から利用予約情報、及び、利用履歴情報を受信する(S31)。取得部34は、受信された利用予約情報、及び、受信された利用履歴情報を取得する(S32)。
【0060】
制御部35は、取得した利用予約情報に基づいて、空間80が予約されている所定時間前(例えば、30分前)になると、取得した利用履歴情報の中から、所定時間後に予定されている個別予約情報の内容(時間帯、曜日、予約時間の長さ、利用者、利用用途、予約者など)に最も類似する個別履歴情報を特定する(S33)。制御部35は、最も類似する個別履歴情報が複数ある場合には、最近の個別履歴情報を特定する。
【0061】
次に、制御部35は、特定した個別履歴情報における会話量の判定を行う(S34)。制御部35は、特定した個別履歴情報における会話量が多い場合には(S34で会話量多い)、空間80に位置する人を落ち着かせるための第一環境制御を行う(S35)。つまり、制御部35は、過去の似たケースにおいてコミュニケーション(会話)が白熱していたときには、空間80が利用される前にあらかじめ第一環境制御を行い、コミュニケーションの鎮静化を図る。この結果、利用者は、第一環境制御が行われている状態で空間80の利用を開始することになる。なお、上述のように、第一環境制御においては、気流発生装置40、照明装置、出音装置、及び、香り発生装置などの少なくとも1つが制御されればよい。
【0062】
一方、制御部35は、特定した個別履歴情報における会話量が少ない場合には(S34で会話量少ない)、空間80に位置する人を活発にするための第二環境制御を行う(S36)。つまり、制御部35は、過去の似たケースにおいてコミュニケーション(会話)が落ち着いていたときには、空間80が利用される前にあらかじめ第二環境制御を行い、コミュニケーションの活性化を図る。この結果、利用者は、第二環境制御が行われている状態で空間80の利用を開始することになる。なお、上述のように、第二環境制御においては、気流発生装置40、照明装置、出音装置、及び、香り発生装置などの少なくとも1つが制御されればよい。
【0063】
制御部35は、特定した個別履歴情報における会話量が適正である場合には(S34で適正)、環境制御を行わない。つまり、制御部35は、過去の似たケースにおいてコミュニケーション(会話)が適正であったときには、空間80が利用される前には環境制御を行わない。この結果、利用者は、環境制御が行われていない状態で空間80の利用を開始することになる。
【0064】
このように、環境制御システム10は、過去に空間80が利用されたときの利用者の状態を示す利用履歴情報を取得し、空間80を利用する予定がある場合に、取得された利用履歴情報に基づいて空間80の環境をあらかじめ制御する。
【0065】
このような環境制御システム10は、空間80の利用者のコミュニケーションの適正化を図ることができる。
【0066】
[変形例]
上記実施の形態では、環境制御システム10は、第一環境制御及び第二環境制御の両方を実行することができるシステムとして説明された。しかしながら、環境制御システム10は、第一環境制御及び第二環境制御のうち第一環境制御のみを行うシステムとして実現されてもよいし、第一環境制御及び第二環境制御のうち第二環境制御のみを行うシステムとして実現されてもよい。また、環境制御システム10は、動作例3のように事前の環境制御を行うことに特化したシステムとして実現されてもよい。
【0067】
また、動作例1では、環境制御システム10は、空間80の全体(不特定の人)を対象とした第一環境制御、及び、空間80の全体を対象とした第二環境制御を選択的に実行した。しかしながら、環境制御システム10は、空間80の一部(特定の人)を対象とした第一環境制御、及び、空間80の全体を対象とした第二環境制御を選択的に実行してもよい。また、環境制御システム10は、空間80の全体を対象とした第一環境制御、及び、空間80の一部を対象とした第二環境制御を選択的に実行してもよい。
【0068】
また、動作例2では、特定の人が怒っていると判定されたときに、空間80の一部(特定の人)を対象とした第一環境制御が行われたが、動作例2と動作例1とを組み合わせて、特定の人が怒っていると判定されたときに、空間80の全体(不特定の人)を対象とした第一環境制御が行われてもよい。
【0069】
[効果等]
以上説明したように、環境制御システム10は、空間80に位置する人を対象としたセンシング情報を取得する取得部34と、取得されたセンシング情報に基づいて、人を落ち着かせるための第一環境制御を行う制御部35とを備える。
【0070】
このような環境制御システム10は、空間80に位置する人の状態に応じて当該空間80の環境を制御することができる。環境制御システム10は、具体的には、空間80に位置する人を落ち着かせようとすることができる。
【0071】
また、例えば、第一環境制御においては、空間80の全体の環境が制御される。
【0072】
このような環境制御システム10は、空間80に位置する不特定の人(空間80に位置する人全員)を落ち着かせようとすることができる。環境制御システム10は、具体的には、空間80において行われる会議における議論の鎮静化を図ることができる。
【0073】
また、例えば、第一環境制御においては、空間80のうち人の周辺の環境が選択的に制御される。
【0074】
このような環境制御システム10は、空間80に位置する特定の人だけを落ち着かせようとすることができる。
【0075】
また、例えば、制御部35は、さらに、取得されたセンシング情報に基づいて、人を活発にするための第二環境制御を行う。
【0076】
このような環境制御システム10は、空間80に位置する人を活発にしようとすることができる。
【0077】
また、例えば、第二環境制御においては、空間80の全体の環境が制御される。
【0078】
このような環境制御システム10は、空間80に位置する不特定の人を活発にしようとすることができる。環境制御システム10は、具体的には、空間80において行われる会議における議論の活性化を図ることができる。
【0079】
また、例えば、第二環境制御においては、空間80のうち人の周辺の環境が選択的に制御される。
【0080】
このような環境制御システム10は、空間80に位置する特定の人だけを活発にしようとすることができる。
【0081】
また、例えば、取得部34は、さらに、過去に空間80が利用されたときの利用者の状態を示す利用履歴情報を取得する。制御部35は、空間80を利用する予定がある場合に、取得された利用履歴情報に基づいて空間80の環境をあらかじめ制御する。
【0082】
このような環境制御システム10は、空間80の環境を、当該空間80が実際に利用される前に制御することができる。
【0083】
また、例えば、第一環境制御においては、空間80に設けられた気流発生装置40に気流を発生させることにより、空間80における空気環境が制御される。
【0084】
このような環境制御システム10は、気流の発生により、空間80に位置する人を落ち着かせようとすることができる。
【0085】
また、例えば、第一環境制御においては、空間80に設けられた香り発生装置に香りを発生させることにより、空間80における空気環境が制御される。
【0086】
このような環境制御システム10は、香りの発生により、空間80に位置する人を落ち着かせようとすることができる。
【0087】
また、例えば、制御部35は、取得されたセンシング情報に基づく判定を行い、判定の結果に基づいて第一環境制御を行う。制御部35によって実行された第一環境制御は、次の判定が行われる前に終了する。
【0088】
このような環境制御システム10は、期間を限定して第一環境制御を行うことで、第一環境制御によって生じる環境の変化を人が刺激として感じやすくすることができる。
【0089】
環境制御システム10などのコンピュータによって実行される環境制御方法は、空間80に位置する人を対象としたセンシング情報を取得する取得ステップS13(またはS22)と、取得されたセンシング情報に基づいて、人を落ち着かせるための第一環境制御を行う制御ステップS16(またはS25)とを含む。
【0090】
このような環境制御方法は、空間80に位置する人の状態に応じて当該空間80の環境を制御することができる。環境制御方法は、具体的には、空間80に位置する人を落ち着かせようとすることができる。
【0091】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0092】
例えば、上記実施の形態において、環境制御システムは、複数の装置によって実現された。この場合、環境制御システムが備える構成要素(特に、機能的な構成要素)は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、環境制御システムは、単一の装置として実現されてもよい。例えば、環境制御システムは、制御装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態で説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。また、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。
【0094】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0095】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0096】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、環境制御システムなどのコンピュータが実行する環境制御方法として実行されてもよいし、このような環境制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0097】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
10 環境制御システム
20 センサ群
21 画像センサ
22 音センサ
30 制御装置
31 通信部
32 情報処理部
33 記憶部
34 取得部
35 制御部
40 気流発生装置
41 ダクト
50 予約管理システム
80 空間
図1
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図8