(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125325
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】電力供給制御装置
(51)【国際特許分類】
B60L 53/62 20190101AFI20230831BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230831BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20230831BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230831BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20230831BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20230831BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20230831BHJP
【FI】
B60L53/62
H02J7/00 P
B60L1/00 L
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/66
B60L58/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029347
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】興津 直也
(72)【発明者】
【氏名】坪谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】飯島 成規
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC05
5H125BC21
5H125BC25
5H125BE02
5H125CC06
5H125CD02
5H125DD02
5H125EE41
(57)【要約】
【課題】バッテリの充電についての利便性を向上させることができる電力供給制御装置を提供すること。
【解決手段】移動体に搭載されたバッテリおよび架装装置それぞれに対する、移動体の外部に設けられた充電装置からの電力供給を制御する電力供給制御装置であって、充電装置が移動体と電気的に接続されたときに、充電装置の出力可能電力を示す情報を充電装置から取得する取得部と、出力可能電力が予め設定された電力未満である場合、架装装置の駆動を指示する操作が行われたとしても、出力すべき電力値を充電装置に指示するとともに、動作の停止を架装装置に指示する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されたバッテリおよび架装装置それぞれに対する、前記移動体の外部に設けられた充電装置からの電力供給を制御する電力供給制御装置であって、
前記充電装置が前記移動体と電気的に接続されたときに、前記充電装置の出力可能電力を示す情報を前記充電装置から取得する取得部と、
前記出力可能電力が予め設定された電力未満である場合、前記架装装置の駆動を指示する操作が行われたとしても、出力すべき電力値を前記充電装置に指示するとともに、動作の停止を前記架装装置に指示する制御部と、を有する、
電力供給制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記出力可能電力が前記予め設定された電力以上であり、前記操作が行われた場合、出力すべき電力値を前記充電装置に指示するとともに、動作の実行を前記架装装置に指示する前記充電装置からの電力を前記架装装置および前記バッテリの両方に供給させ、前記架装装置の動作を実行させる、
請求項1に記載の電力供給制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記出力可能電力が前記予め設定された電力未満である場合、
前記充電装置の出力可能電力が原因で前記架装装置を駆動させることができない旨を報知するように、前記移動体に搭載された報知装置を制御する、
請求項1または2に記載の電力供給制御装置。
【請求項4】
前記予め設定された電力は、
前記架装装置の十分な動作に必要な電力よりも大きい電力である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電力供給制御装置。
【請求項5】
前記移動体は、自動車であり、
前記バッテリは、前記架装物および前記自動車の走行用モータそれぞれの電力供給源として用いられる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電力供給制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリおよび架装装置に対する電力供給を制御する電力供給制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部電源に接続された充電装置から供給される電力によって、バッテリの充電を行ったり、架装装置(架装物と言ってもよい)を動作させたりする車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、充電装置からの電力を架装装置の動作に使用する場合において、バッテリの充電に時間がかかったり、または、バッテリの充電ができなかったりする、という課題があった。
【0005】
本開示の一態様の目的は、バッテリの充電についての利便性を向上させることができる電力供給制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電力供給制御装置は、移動体に搭載されたバッテリおよび架装装置それぞれに対する、移動体の外部に設けられた充電装置からの電力供給を制御する電力供給制御装置であって、充電装置が移動体と電気的に接続されたときに、充電装置の出力可能電力を示す情報を充電装置から取得する取得部と、出力可能電力が予め設定された電力未満である場合、架装装置の駆動を指示する操作が行われたとしても、出力すべき電力値を充電装置に指示するとともに、動作の停止を架装装置に指示する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、バッテリの充電についての利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態に係る電力供給制御装置とその周辺の構成要素を概略的に示す図
【
図2】本開示の実施の形態に係る電力供給制御装置の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
まず、
図1を用いて、本実施の形態の電力供給制御装置100とその周辺の構成要素について説明する。
図1は、電力供給制御装置100とその周辺の構成要素を概略的に示す図である。
【0011】
バッテリ10、架装装置20、報知装置40、および電力供給制御装置100は、例えば自動車(図示略。移動体の一例)に搭載されている。なお、自動車としては、例えば、EV(Electric Vehicle)、HV(Hybrid Vehicle)、またはPHV(Plug-in Hybrid Vehicle)などが挙げられる。
【0012】
一方、充電装置1は、自動車の外部(例えば、施設、家庭等)に設けられる。充電装置1としては、例えば、充電スタンド、充電用コンセントなどが挙げられる。図示は省略するが、充電装置1側の接続部と、自動車側の接続部とがケーブル等を介して電気的に接続されることにより、充電装置1から自動車(例えば、バッテリ10、架装装置20等)へ電力が供給される。
【0013】
また、充電装置1は、その記憶部(図示略)に、予め設定された出力可能電力を示す出力可能電力情報を保持している。充電装置1の出力可能電力は、充電装置1の定格出力電力に相当し、充電装置1が出力可能な電力の最大値である。よって、充電装置1から出力される電力は、出力可能電力以下となる。出力可能電力は、充電装置1の規格や種類に応じて異なる値が設定されている。
【0014】
充電装置1は、自動車と電気的に接続された場合、出力可能電力情報を電力供給制御装置100へ出力する。
図1において、充電装置1から電力供給制御装置100へ向かう点線の矢印は、出力可能電力情報の出力を示している。
【0015】
電力供給制御装置100は、充電装置1、架装装置20、および報知装置40のそれぞれと電気的に接続されている。
【0016】
バッテリ10は、充電装置1からの電力供給により充電される二次電池である。バッテリ10に蓄積された電力は、自動車に搭載された各種電動装置(図示しない走行用モータや補機、
図1に示した架装装置20等)の駆動に用いられる。
【0017】
架装装置20は、電力により駆動し、特殊な動作を実行する装置である。架装装置20としては、例えば、冷蔵装置、冷凍装置、パッカー装置等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
報知装置40は、充電装置1の出力可能電力が原因で架装装置20を駆動させることができない旨(以下、駆動不可理由という)の報知を行う装置である。
【0019】
報知装置40としては、例えば、自動車の車室内に設けられたディスプレイやスピーカが挙げられる。ディスプレイは、駆動不可理由を示す画像の表示を行う。スピーカは、駆動不可理由を示す音声の出力を行う。
【0020】
報知装置40は、電力供給制御装置100により制御される。詳細は後述するが、
図1において、電力供給制御装置100から報知装置40へ向かう点線の矢印は、駆動不可理由の報知の実行指示の出力を示している。
【0021】
電力供給制御装置100は、バッテリ10および架装装置20それぞれに対する、充電装置1からの電力供給を制御する装置である。
【0022】
図示は省略するが、電力供給制御装置100は、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)、コンピュータプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、作業用メモリであるRAM(Random Access Memory)、入力ポート、出力ポート等を有する。
【0023】
以下に説明する電力供給制御装置100の各機能は、CPUがROMから読み出したコンピュータプログラムをRAMにて実行することにより実現される。電力供給制御装置100は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)によって実現されてもよい。
【0024】
図1に示すように、電力供給制御装置100は、取得部110、判定部120、および制御部130を有する。
【0025】
取得部110は、充電装置1と自動車とがケーブル等を介して電気的に接続されたときに、上記ケーブルを介して充電装置1と通信を行い、充電装置1の出力可能電力情報を取得する。
【0026】
判定部120は、出力可能電力情報に示される充電装置1の出力可能電力が設定電力未満であるか否かを判定する。
【0027】
設定電力は、予め設定された閾値であり、例えば、架装装置20の十分な動作に必要な電力よりも大きい電力(換言すれば、架装装置20を十分に動作させながらバッテリ10の充電もできる電力)である。設定電力は、予め実施された実験またはシミュレーション等の結果に基づいて、設定される。
【0028】
制御部130は、判定部120により出力可能電力が設定電力以上であると判定され、ユーザにより架装装置20の駆動を指示する操作(以下、駆動指示操作という)が行われた場合、出力すべき電力値を充電装置1に指示するとともに、動作の実行を架装装置20に指示する。これにより、制御部130の指示に基づいた電力が充電装置1から出力され、その電力は、バッテリ10および架装装置20の両方に供給される。よって、架装装置20が動作しながら、バッテリ10の充電が行われる。
【0029】
一方、制御部130は、判定部120により出力可能電力が設定電力未満であると判定され、ユーザにより駆動指示操作が行われた場合、出力すべき電力値を充電装置1に指示するとともに、動作の停止を架装装置20に指示する。これにより、制御部130の指示に基づいた電力が充電装置1から出力され、その電力は、バッテリ10に供給される。よって、駆動指示操作が行われても架装装置20は動作せず、バッテリ10の充電だけが行われる。
【0030】
また、このとき、制御部130は、駆動不可理由の報知を実行するように、報知装置40を制御する。これにより、報知装置40は、駆動不可理由の報知(例えば、画像表示および音声出力のうち少なくとも一方)を実行する。
【0031】
次に、電力供給制御装置100の動作について、
図2を用いて説明する。
図2は、電力供給制御装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0032】
図2のフローは、例えば、自動車がケーブル等を介して充電装置1と電気的に接続され、かつ、ユーザ(例えば、自動車の乗員)により駆動指示操作が行われた場合に開始される。
【0033】
まず、取得部110は、充電装置1から出力可能電力情報を取得する(ステップS11)。
【0034】
次に、判定部120は、出力可能電力情報に示される充電装置1の出力可能電力が設定電力未満であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0035】
出力可能電力が設定電力未満ではない場合(ステップS12:NO)、制御部130は、出力すべき電力値を充電装置1に指示するとともに、動作の実行を架装装置20に指示する(ステップS13)。
【0036】
一方、出力可能電力が設定電力未満である場合(ステップS12:YES)、制御部130は、出力すべき電力値を充電装置1に指示するとともに、動作の停止を架装装置20に指示する(ステップS14)。
【0037】
また、制御部130は、駆動不可理由の報知を行うように、報知装置40を制御する(ステップS15)。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態の電力供給制御装置100は、バッテリ10および架装装置20それぞれに対する充電装置1からの電力供給を制御する装置であって、充電装置1と電気的に接続されたときに、充電装置1の出力可能電力を示す情報を充電装置1から取得し、その情報に示される出力可能電力が予め設定された電力未満である場合、架装装置20の駆動を指示する操作が行われたとしても、出力すべき電力値を充電装置1に指示するとともに、動作の停止を架装装置20に指示することを特徴とする。
【0039】
この特徴により、充電装置1の出力可能電力が架装装置20の動作に十分ではない場合には、架装装置20の動作が禁止され、バッテリ10の充電が優先的に実行される。そのため、バッテリ10の充電に時間がかかったり、バッテリ10の充電自体ができなかったりするという問題を解決でき、バッテリ10の充電についての利便性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施の形態の電力供給制御装置100は、上記情報に示される出力可能電力が予め設定された電力未満である場合、充電装置1の出力可能電力が原因で架装装置20を駆動させることができない旨を報知するように、報知装置40を制御することを特徴とする。
【0041】
この特徴により、ユーザは、充電装置1の出力可能電力が原因で架装装置20を駆動させることができないことを容易に認識できる。
【0042】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0043】
[変形例1]
実施の形態では、バッテリ10が自動車の走行用モータおよび架装装置20それぞれの電力供給源として用いられる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、バッテリ10は、架装装置20専用の電力供給源であってもよい。
【0044】
[変形例2]
実施の形態では、
図1に示した充電装置1以外の構成要素、すなわち、バッテリ10、架装装置20、報知装置40、および電力供給制御装置100が、自動車に搭載される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。それらの構成要素は、自動車以外の移動体(例えば、船舶、自律移動ロボット等)に搭載されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示の電力供給制御装置は、バッテリおよび架装装置に対する電力供給を制御する技術全般に有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 充電装置
10 バッテリ
20 架装装置
40 報知装置
100 電力供給制御装置
110 取得部
120 判定部
130 制御部