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  • 特開-係員機、および、動作プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125329
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】係員機、および、動作プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20230831BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20230831BHJP
【FI】
G06Q50/30
G07B15/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029354
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 瞭
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127CA06
5L049CC43
(57)【要約】
【課題】駅務機器として使用される係員機について、高セキュリティ環境での事業者自身による試験を可能にする。
【解決手段】実施形態の係員機は、駅務機器として使用される係員機であって、動作プログラム、上位サーバシミュレータ、および、試験用駅情報を記憶する記憶部と、ユーザによる情報入力を受け付ける入力部と、前記係員機の起動時に、前記記憶部に前記試験用駅情報が記憶されていることを検知すると、前記上位サーバシミュレータに接続し、前記動作プログラム、および、前記入力部が受け付けた入力情報に基づいてシミュレーション処理を行う制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅務機器として使用される係員機であって、
動作プログラム、上位サーバシミュレータ、および、試験用駅情報を記憶する記憶部と、
ユーザによる情報入力を受け付ける入力部と、
前記係員機の起動時に、前記記憶部に前記試験用駅情報が記憶されていることを検知すると、前記上位サーバシミュレータに接続し、前記動作プログラム、および、前記入力部が受け付けた入力情報に基づいてシミュレーション処理を行う制御部と、を備える係員機。
【請求項2】
外部情報端末が接続される接続部を、さらに備え、
前記制御部は、前記係員機の起動時に、前記記憶部に前記試験用駅情報が記憶されていることを検知するとともに、前記接続部に前記外部情報端末が接続されていることを検知すると、前記外部情報端末に記憶されている試験環境設定に基づいて前記シミュレーション処理を行う、請求項1に記載の係員機。
【請求項3】
前記制御部は、前記係員機の起動時に、前記記憶部に前記試験用駅情報が記憶されていることを検知するとともに、前記接続部に前記外部情報端末が接続されていないことを検知すると、前回起動時の試験環境設定に基づいて前記シミュレーション処理を行う、請求項2に記載の係員機。
【請求項4】
駅務機器として使用される係員機によって用いられる動作プログラムであって、
コンピュータに、
前記係員機の起動時に、前記係員機の記憶部に試験用駅情報が記憶されていることを検知すると、前記記憶部に記憶された上位サーバシミュレータに接続し、ユーザによって入力部を用いて入力された情報に基づいてシミュレーション処理を実行させるための、動作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、係員機、および、動作プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駅務システムを運用する事業者(鉄道事業者など)が係員機(窓口処理機)の試験(例えば発券試験など)を行う場合、上位サーバシミュレータPC(Personal Computer)への接続切替や試験用駅の変更などの作業が必要となることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の作業は、セキュリティの観点から事業者自身で行うことはできず、保守会社や設計会社への依頼が必要となり、利便性の点で改善の余地がある。
【0004】
そこで、本発明の実施形態は、高セキュリティ環境での事業者自身による試験を可能にする係員機、および、動作プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の係員機は、駅務機器として使用される係員機であって、動作プログラム、上位サーバシミュレータ、および、試験用駅情報を記憶する記憶部と、ユーザによる情報入力を受け付ける入力部と、前記係員機の起動時に、前記記憶部に前記試験用駅情報が記憶されていることを検知すると、前記上位サーバシミュレータに接続し、前記動作プログラム、および、前記入力部が受け付けた入力情報に基づいてシミュレーション処理を行う制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の駅務システムの全体構成図である。
図2図2は、実施形態の係員機の機能構成図である。
図3図3は、実施形態の係員機による第1の処理を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態の係員機による第2の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を用いて、本発明の係員機、および、動作プログラムの実施形態について説明する。
【0008】
まず、図1図2を参照して、駅務システムSの構成について説明する。図1は、実施形態の駅務システムSの全体構成図である。図2は、実施形態の係員機1の機能構成図である。駅務システムSは、例えば鉄道事業に用いられ、駅務機器として使用される係員機1(窓口処理機)と、上位サーバ200と、を備える。
【0009】
以下、係員機1の各構成について説明する。
電源部10は、外部からAC100Vの電力を入力し、係員機1内の各構成(ユニット)が必要とする電力を生成してそれらに出力する。
【0010】
記憶部20は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)などから構成され、各種情報を記憶する。記憶部20は、例えば、動作プログラム21、上位サーバシミュレータ22、試験環境設定23を記憶する。
【0011】
動作プログラム21は、制御部30が動作するためのプログラムである。上位サーバシミュレータ22は、上位サーバ200の機能を実現するシミュレータである。試験環境設定23は、シミュレーション(試験)における各種設定情報である。各種設定情報は、例えば、試験用駅情報、駅の通し番号情報、コーナー・号機情報、運用情報などである。試験用駅情報とは、シミュレーションにおいて係員機1が配置されたと想定する駅の情報である。
【0012】
制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)などから構成され、各種情報処理を実行する。制御部30は、例えば、係員機1の起動時に、記憶部20の試験環境設定23として試験用駅情報が記憶されていることを検知すると、上位サーバシミュレータ22に接続し、動作プログラム21、および、係員操作表示部50(入力部)が受け付けた入力情報に基づいてシミュレーション処理(例えば、発券(乗車券、回数券、定期券などの発行)や精算などに関するシミュレーション処理)を行う。
【0013】
また、制御部30は、係員機1の起動時に、記憶部20の試験環境設定23として試験用駅情報が記憶されていることを検知するとともに、接続部160に外部情報端末300が接続されていることを検知すると、外部情報端末300に記憶されている試験環境設定(試験用情報など)に基づいてシミュレーション処理を行う。
【0014】
外部情報端末300は、例えば、試験用駅ごとに別々に用意されている。つまり、例えば、試験用駅としてA駅が設定された外部情報端末300、試験用駅としてB駅が設定された外部情報端末300、・・・が別々に用意されている。外部情報端末300は、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやCD-R(Compact Disc Recordable)などである。
【0015】
また、制御部30は、係員機1の起動時に、記憶部20の試験環境設定23として試験用駅情報が記憶されていることを検知するとともに、接続部160に外部情報端末300が接続されていないことを検知すると、前回起動時の試験環境設定に基づいてシミュレーション処理を行う。例えば、外部情報端末300が一度も接続されていない場合は試験環境設定23が用いられる。また、外部情報端末300が一度以上接続された場合は前回に接続された外部情報端末300の試験環境設定が用いられる。
【0016】
近接センサ40は、係員機1に物体(人物等)が近づいたことを検知する。
【0017】
係員操作表示部50は、係員が係員機1を操作するための操作部と、操作案内を行う表示部と、を備える。表示部の表面には、タッチパネル(ユーザによる情報入力を受け付ける入力部の一例)が配置される。
【0018】
発券部60は、裏面に磁性体が塗布された乗車券や定期券などを発券する。
【0019】
氏名転写部70は、定期券の購入者(利用者)が購入申請書に記載した氏名を定期券に転写する。
【0020】
客用表示部80は、係員の処理結果を利用客(利用者)に見せるための表示部である。
【0021】
ジャーナルプリンタ部90は、係員機1の利用状況をジャーナル用紙に印字する。
【0022】
レシートプリンタ部100は、利用者が購入した乗車券の料金の支払いに対するレシート(領収書)を発行する。
【0023】
IC(Integrated Circuit)カード処理部110は、利用者が提示したICカードのデータを読み取り、利用者の要求に基づいてデータを書き込む。例えば、当該ICカードに対するチャージ処理や、当該ICカードを定期券に設定する処理を行う。
【0024】
クレジットカード処理部120は、利用者が購入した乗車券や定期券などの料金の支払いのために提示されたクレジットカードから読み出した情報に基づいて決済処理する。
【0025】
回数券発行機130は、利用者の要求した区間の回数券を発行する。
【0026】
自動釣銭機140は、乗車券などの購入時に現金決済した場合の釣銭を排出する。
【0027】
通信部150は、上位サーバ200などの外部装置との通信を行うための通信インターフェースである。
【0028】
接続部160は、外部情報端末300を接続するための接続インターフェースである。
【0029】
次に、図3図4を参照して、係員機1による処理について説明する。係員機1の電源をオンにしたとき、図3の第1の処理(上位サーバシミュレータ22または上位サーバ200への接続)と、図4の第2の処理(設置駅決定等)が実行される。
【0030】
また、係員機1は、シミュレーション機として使用できるともに、本番稼働機としても使用できる。係員機1は、シミュレーション機として使用される場合は、工場出荷前等に予め試験環境設定23として試験用駅情報が設定されるとともに、上位サーバシミュレータ22が内蔵される。また、係員機1は、本番稼働機として使用される場合は、試験用駅情報は設定されずに本番稼働用駅情報が設定されるとともに、上位サーバシミュレータ22は内蔵されない。
【0031】
なお、本実施形態において、「設定駅」とは、係員機1に予め設定された駅(シミュレーション用の試験用駅、または、本番稼働用の本番稼働用駅)である。また、「設置駅」とは、係員機1が起動したときに指定される駅であり、画面上・帳票上に表示される駅である。
【0032】
図3は、実施形態の係員機1による第1の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS11において、係員機1は、係員の操作によって電源オンとなる。
【0033】
次に、ステップS12において、制御部30は、係員機1に上位サーバシミュレータ22が内蔵されているか否かを判定し、Yesの場合(係員機1がシミュレーション機の場合)はステップS13に進み、Noの場合(係員機1が本番稼働機の場合)はステップS14に進む。
【0034】
ステップS13において、制御部30は、上位サーバシミュレータ22を起動する。
【0035】
ステップS14において、制御部30は、試験環境設定23として試験用駅情報があるか否か、つまり、設定駅が試験用駅か否かを判定し、Yesの場合(係員機1がシミュレーション機の場合)はステップS15に進み、Noの場合(係員機1が本番稼働機の場合)はステップS16に進む。
【0036】
ステップS15において、制御部30は、上位サーバシミュレータ22に接続する。
【0037】
ステップS16において、制御部30は、上位サーバ200に接続する。
【0038】
このようにして、係員機1は、シミュレーション機として使用される場合は、内蔵されている上位サーバシミュレータ22を自動的に起動するとともに、予め試験環境設定23として試験用駅情報が設定されていることで自動的に上位サーバシミュレータ22に接続することができる。
【0039】
一方、係員機1は、本番稼働機として使用される場合は、試験用駅情報が設定されていないことで自動的に上位サーバ200に接続する。
【0040】
次に、図4は、実施形態の係員機1による第2の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS21において、係員機1は、係員の操作によって電源オンとなる。
【0041】
次に、ステップS22において、制御部30は、試験環境設定23として試験用駅情報があるか否か、つまり、設定駅が試験用駅か否かを判定し、Yesの場合(係員機1がシミュレーション機の場合)はステップS23に進み、Noの場合(係員機1が本番稼働機の場合)はステップS28に進む。
【0042】
ステップS23において、制御部30は、接続部160に外部情報端末300が接続されているか否かを判定し、Yesの場合はステップS24に進み、Noの場合はステップS25に進む。
【0043】
ステップS24において、制御部30は、外部情報端末300に記憶されている駅データを設置駅に指定する。駅データとは、シミュレーションにおいて係員機1が配置されたと想定する一時的な試験用に用いる駅の情報(上述の試験用駅情報)である。
【0044】
ステップS25において、制御部30は、前回起動時の駅データ(試験用駅データ)を設置駅に指定する。なお、係員機1に外部情報端末300が一度も接続されていない場合、試験環境設定23における駅データ(試験用駅データ)を設置駅に指定する。
【0045】
その後、ステップS26において、制御部30は、指定された設置駅で起動する。
【0046】
次に、ステップS27において、制御部30は、シミュレーション処理を行う。
【0047】
ステップS28において、制御部30は、設定駅(本番稼働用駅)を設置駅に指定する。
【0048】
次に、ステップS29において、制御部30は、指定された設置駅で起動する。その後、係員機1は、本番稼働機として使用される。
【0049】
このように、本実施形態の係員機1によれば、起動時に、記憶部20の試験環境設定23として試験用駅情報が記憶されていることを検知すると上位サーバシミュレータ22に自動的に接続してシミュレーション処理を行うようにすることで、高セキュリティ環境での事業者自身による試験が可能になる。
【0050】
また、係員機1は、さらに、起動時に、外部情報端末300が接続されていることを検知すると、外部情報端末300に記憶されている試験環境設定(試験用駅データなど)に基づいてシミュレーション処理を行う。これにより、高セキュリティ性を維持しつつ試験用駅の変更を容易に行うことができる。この点について、従来技術と比較する。
【0051】
従来技術では、係員機(窓口処理機)の試験において試験用駅を変更する場合、セキュリティの観点から事業者自身で行うことはできず、保守会社や設計会社への依頼が必要となり、利便性の点で改善の余地があった。本実施形態の係員機1によれば、高セキュリティ環境で事業者自身によって試験用駅を変更することが可能になり、利便性が大幅に向上する。
【0052】
なお、シミュレーション処理において試験用駅の変更を行う場合とは、例えば、A駅の係員機1として乗車券を発行して、B駅の係員機1としてその乗車券の精算を行う場合などである。
【0053】
また、係員機1は、さらに、起動時に、外部情報端末300が接続されていないことを検知すると、前回起動時の試験環境設定に基づいてシミュレーション処理を行う。これにより、新たな起動後に試験用駅の変更を行わずに試験を行いたい場合に、外部情報端末300を接続する作業が不要となり、利便性がさらに向上する。
【0054】
また、シミュレーション機としての係員機1と本番稼働機としての係員機1は、ハードウエアが共通で、ソフトウエアとして上位サーバシミュレータ22と試験環境設定23の有無が違うだけなので、それらを並行して開発しやすい。
【0055】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
また、本実施形態の係員機1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…係員機、10…電源部、20…記憶部、21…動作プログラム、22…上位サーバシミュレータ、23…試験環境設定、30…制御部、40…近接センサ、50…係員操作表示部、60…発券部、70…氏名転写部、80…客用表示部、90…ジャーナルプリンタ部、100…レシートプリンタ部、110…ICカード処理部、120…クレジットカード処理部、130…回数券発行機、140…自動釣銭機、150…通信部、160…接続部、200…上位サーバ、300…外部情報端末、S…駅務システム
図1
図2
図3
図4