(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125349
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】液体圧送装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/20 20060101AFI20230831BHJP
F16T 1/20 20060101ALN20230831BHJP
【FI】
F16K31/20
F16T1/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029384
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】上田 一平
【テーマコード(参考)】
3H068
【Fターム(参考)】
3H068AA01
3H068BB07
3H068BB22
3H068EE14
3H068EE16
3H068FF02
3H068GG01
3H068GG12
(57)【要約】
【課題】作動機構による弁の作動が良好となる液体圧送装置を提供する。
【解決手段】液体圧送装置1は、容器2の内部に収納されて容器2内に貯留された液体Wの液位を検知するフロート24と、フロート24で検知された液位WLに基づいて開閉する開閉弁20,22と、開閉弁20,22とフロート24とを連結する作動機構26とを備えている。作動機構26は、フロート24に連結された上流側リンク部材32と、開閉弁20,22に連結された下流側リンク部材36と、複数の中間リンク部材34,36と、ばね部材30とを有し、これら各部材30,32,34,36,38が回動自在に連結されている。下流側リンク部材38が、フロート24が下降時に上流側リンク部材32に当接する第1当接部52を有している。第1当接部52で下流側リンク部材38と上流側リンク部材32が当接することで、フロート24の自重力が下流側リンク部材38に作用する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に貯留された液体を、容器内に流入された駆動流体により加圧して容器外に排出する液体圧送装置であって、
前記容器の内部に収納されて、前記容器内に貯留された液体の液位を検知するフロートと、
前記フロートで検知された液位に基づいて開閉する開閉弁と、
前記開閉弁と前記フロートとを連結する作動機構と、を備え、
前記作動機構は、前記フロートに連結された上流側リンク部材と、前記開閉弁に連結された下流側リンク部材と、1つ以上の中間リンク部材と、前記フロートの上下動による前記開閉弁の動作を補助するばね部材とを有し、これら各部材が回動自在に連結され、
前記下流側リンク部材が、前記フロートが下降時に前記上流側リンク部材に当接する第1当接部を有し、
前記第1当接部で前記下流側リンク部材と前記上流側リンク部材が当接することで、前記フロートの自重力が前記下流側リンク部材に作用する液体圧送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体圧送装置において、前記下流側リンク部材が上下方向に延びており、
前記第1当接部が、前記下流側リンク部材の下端部に形成されている液体圧送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液体圧送装置において、前記下流側リンク部材が、さらに、前記フロートが上昇時に前記上流側リンク部材に当接する第2当接部を有し、
前記第2当接部で前記下流側リンク部材と前記上流側リンク部材が当接することで、前記フロートの浮力が前記下流側リンク部材に作用する液体圧送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に貯留された液体を、容器内に流入された駆動流体により加圧して容器外に排出する液体圧送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内に貯留された液体を、蒸気もしくは圧縮空気を駆動流体として用いて加圧し、容器外に液体を排出する液体圧送装置がある(例えば、特許文献1)。特許文献1のような圧送装置は、ポンピングトラップと呼ばれ、電気が不要の機械式のポンプである。ポンピングトラップは、電気が不要であるので、例えば、電源供給が困難な区域に適用できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の液体圧送装置では、
図7に示すように、フロート101で検知する液位に基づいて弁102を作動する作動機構103の動力は、単一のばね部材104のばね力に依存していた。作動機構103を構成する複数のリンク部材105は回動自在に連結されているが、その摺動部106の劣化等によりリンク部材105の回動が妨げられることがある。これにより、液面の鉛直方向(
図7の下方向)に対してばね力Fが十分に作用せず、弁102の作動が不良となる恐れがあった。
【0005】
本発明は、作動機構による弁の作動が良好となる液体圧送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体圧送装置は、容器内に流入された駆動流体により容器内に貯留された液体を加圧して容器外に排出する液体圧送装置であって、前記容器の内部に収納されて前記容器内に貯留された液体の液位を検知するフロートと、前記フロートで検知された液位に基づいて開閉する開閉弁と、前記開閉弁と前記フロートとを連結する作動機構とを備えている。前記作動機構は、前記フロートに連結された上流側リンク部材と、前記開閉弁に連結された下流側リンク部材と、1つ以上の中間リンク部材と、前記フロートの上下動による前記開閉弁の動作を補助するばね部材とを有し、これら各部材が回動自在に連結されている。前記下流側リンク部材が、前記フロートが下降時に前記上流側リンク部材に当接する第1当接部を有している。前記第1当接部で前記下流側リンク部材と前記上流側リンク部材が当接することで、前記フロートの自重力が前記下流側リンク部材に作用する。
【0007】
この構成によれば、開閉弁に連結されている下流側リンク部材と、フロートに連結されている上流側リンク部材が、フロートの下降時に第1当接部で接触する。これにより、上流側リンク部材によって下流側リンク部材の端部が押し下げられ、開閉弁の作動が補助される。つまり、ばね部材のばね力のみではなく、フロートの自重力も作動機構の動力として利用できる。その結果、フロート下降時の作動機構による弁の作動が良好となる。
【0008】
本発明において、前記下流側リンク部材が上下方向に延びており、前記第1当接部が、前記下流側リンク部材の下端部に形成されていてもよい。この構成によれば、下流側リンク部材の端部を下方向に延長し、その下端部に第1当接部を構成できる。したがって、第1当接部の構成が簡単になる。
【0009】
本発明において、前記下流側リンク部材が、さらに、前記フロートが上昇時に前記上流側リンク部材に当接する第2当接部を有し、前記第2当接部で前記下流側リンク部材と前記上流側リンク部材が当接することで、前記フロートの浮力が前記下流側リンク部材に作用してもよい。この構成によれば、開閉弁に連結されている下流側リンク部材と、フロートに連結されている上流側リンク部材が、フロートの上昇時に第2当接部で接触する。これにより、上流側リンク部材によって下流側リンク部材の端部が押し上げられ、開閉弁の作動が補助される。つまり、ばね部材のばね力のみではなく、フロートの浮力も作動機構の動力として利用できる。その結果、フロート上昇時の作動機構による弁の作動も良好となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体圧送装置によれば、ばね部材のばね力のみではなく、フロートの自重力も作動機構の動力として利用できるので、作動機構による弁の作動が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】液体圧送装置の基本構造を示す概略構成図である。
【
図2】同液体圧送装置の
図1とは異なる状態を示す概略構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る液体圧送装置を示す縦断面図である。
【
図4】同液体圧送装置の弁機構を示す断面図である。
【
図5】同弁機構の当接部を拡大して示す断面図である。
【
図7】従来の液体圧送装置の弁機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。最初に、
図1および
図2を用いて、液体圧送装置の基本構造について説明する。
図1および
図2は液体圧送装置を示す概略構成図である。同圧送装置1は、容器2内に貯留された液体Wを、容器2内に導入された駆動流体Fにより加圧して容器2外に排出する。
図1は液体Wが流入している状態を示し、
図2は液体Wが排出されている状態を示す。液体Wは、例えば、水、詳細には、蒸気配管、蒸気機器などからの復水である。また、駆動流体Fは、例えば、蒸気である。
【0013】
容器2に、液体Wが流入する液体流入口4と、液体Wが流出する液体流出口6が設けられている。液体流入口4に液体流入通路8が接続され、液体流出口6に液体流出通路10が接続されている。液体流入口4と液体流入通路8との間に流入側逆止弁12が接続され、液体流出口6と液体流出通路10との間に流出側逆止弁14が接続されている。
【0014】
容器2の頂部に、容器2内に駆動流体Fを流入させる駆動流体流入口16と、容器2内の駆動流体Fを容器2外に排出する駆動流体流出口18とが設けられている。駆動流体流入口16に駆動流体流入通路17が接続され、駆動流体流出口18に駆動流体流出通路19が接続されている。圧送装置1は、駆動流体流入口16を開閉する駆動弁(吸入弁)20と、駆動流体流出口18を開閉する排気弁22とを有している。
【0015】
容器2の内部に、容器2内に貯留された液体Wの液位WLを検知するフロート24が収納されている。駆動弁20および排気弁22は、作動機構26を介してフロート24のレバー24aに連結されている。作動機構26は、互いに回動自在に連結された複数のリンク部材28と単一のばね部材30とを有している。作動機構26は、フロート24で検知された液位WLに基づいて駆動弁20および排気弁22を作動させる。つまり、駆動弁20および排気弁22が、フロート24で検知された液位WLに基づいて開閉する開閉弁を構成している。
【0016】
図1に示す液位WLが低いとき、液体Wに浮いたフロート24も低い位置にある。このとき、作動機構26の作動により、駆動弁20が閉状態となり、排気弁22は開状態となる。つまり、容器2内への駆動流体Fの流入が阻止され、容器2の内部空間が大気に開放される。液位WLが低い状態では、容器2の内部の圧力が低いので、液体流入通路8の液体Wが、流入側逆止弁12を開いて液体流入口4から容器2内に流入する(流入工程)。一方、容器2の内部の圧力が低いことから、流出側逆止弁14は閉止状態である。
【0017】
液体Wが容器2内に流入すると、液位WLが上昇し、これに伴い、フロート24も上昇する。液位WLが規定値を超えると、
図2に示すように、作動機構26の作動により、駆動弁20が開状態となり、排気弁22は閉状態となる。つまり、容器2内へ駆動流体Fが流入し、容器2内の駆動流体Fの外部への排出が阻止される(昇圧工程)。このとき、ばね部材30のばね力により排気弁22が押し付けられることで、気密が保たれる。これにより、容器2の内部の圧力が高くなるので、容器2内の液体Wが、流出側逆止弁14を開いて液体流出口6から液体流出通路10を通って容器2外に排出される(排出工程)。一方、容器2の内部の圧力が高いので、流入側逆止弁12は閉止状態となる。
【0018】
液体Wが容器2外に排出されると、液位WLが下降する(均圧工程)。これに伴い、フロート24も下降し、
図1の状態に戻る。以降、
図1の状態と
図2の状態が繰り返され、液体Wが圧送される。
【0019】
つぎに、
図3~6を用いて、本発明の第1実施形態に係る液体圧送装置1を説明する。
図3に示すように、容器2にボルトBによりフレームFRが着脱自在に取り付けられ、このフレームFRに作動機構26が取り付けられている。本実施形態では、フレームFRは、金属製の板材からなる。ただし、フレームFRの材質はこれに限定されない。
【0020】
作動機構26は、容器2の内側に配置され、その一端にフロート24が取り付けられ、他端に駆動弁20および排気弁22が取り付けられている。つまり、フロート24、駆動弁20および排気弁22は、作動機構26を介して容器2に支持されている。
【0021】
作動機構26は、複数のリンク部材28と、ばね部材30とを有している。詳細には、作動機構26は、上流側リンク部材32と、中間リンク部材34,36と、ばね部材30と、下流側リンク部材38とを有し、これら各部材30,32,34,36,38が回動自在に連結されている。これら複数のリンク部材32,34,36,38は、長尺上の板材からなる。本実施形態では、中間リンク部材34,36は、2つであるが、1つであっても3つ以上であってもよい。
【0022】
図4(A)に示すように、上流側リンク部材32はフロート24に連結されている。第1中間リンク部材34は、一端部34aが上流側リンク部材32に回動自在に連結され、他端部34bがばね部材30に回動自在に連結されている。第2中間リンク部材36は、一端部36aがばね部材30に回動自在に連結され、他端部36bが第2回動軸体42を介してフレームFRに回動自在に連結されている。下流側リンク部材38は、上下方向に延びており、その上端部38aで開閉弁20,22に連結され、上下方向中間部38bで第2中間リンク部材36に回動自在に連結されている。
【0023】
上流側リンク部材32の一端部32aがフロート24に連結されている。上流側リンク部材32は、その長手方向中間部で第1回動軸体40を介してフレームFRに回動自在に連結されている。つまり、上流側リンク部材32は、フロート24のレバーを構成している。
【0024】
第1中間リンク部材34の一端部34aが上流側リンク部材32の他端部32bに回動自在に連結されている。詳細には、上流側リンク部材32と中間リンク部材34は、第1の連結ピン44により、第1の連結ピン44回りに回動自在に連結されている。第1中間リンク部材34の他端部34bがばね部材30の一端部30aに回動自在に連結されている。詳細には、第1中間リンク部材34とばね部材30は、第2の連結ピン46により、第2の連結ピン46回りに回動自在に連結されている。
【0025】
第2中間リンク部材36の一端部36aがばね部材30の他端部30bに回動自在に連結されている。詳細には、第2中間リンク部材36とばね部材30は、第3の連結ピン48により、第3の連結ピン48回りに回動自在に連結されている。第2中間リンク部材36は、その他端部36bで第2回動軸体42を介してフレームFRに回動自在に連結されている。
【0026】
下流側リンク部材38の一端部(上端部)38aが開閉弁20,22に回動自在に連結されている。開閉弁20,22は、ピン45(
図1)を介して下流側リンク部材38に連結されている。下流側リンク部材38の上下方向中間部38bが第2中間リンク部材36の長手方向中間部36cに回動自在に連結されている。詳細には、下流側リンク部材38と第2中間リンク部材36は、第4の連結ピン50により、第4の連結ピン50回りに回動自在に連結されている。
【0027】
下流側リンク部材38は、その下端部(他端部)38cに第1当接部52を有している。第1当接部52は、フロート24が下降時に上流側リンク部材32に当接する。本実施形態では、第1当接部52は、下流側リンク部材38の下端部38cを下方に延長することで構成されている。詳細には、本実施形態の下流側リンク部材38は、第4の連結ピン50から下方に延びる延長部分55を有している。この延長部分55の下端部38cに、第1当接部52が構成されている。
【0028】
図5は、第1当接部52の一例を示す。同図に示すように、上流側リンク部材32に挿通孔32cが形成されており、この挿通孔32cに下流側リンク部材38の延長部分55が移動自在に挿通されている。下流側リンク部材38の延長部分55の下端に、つば状のフランジ部56が設けられている。フランジ部56の外径は、挿通孔32cの内径よりも大きく設定されている。このフランジ部56の上面が第1当接部52を構成している。つまり、フロート24が自重で下方に移動すると、上流側リンク部材32も
図5の矢印AR1の方向に移動し、上流側リンク部材32の下面が下流側リンク部材38のフランジ部56の上面(第1当接部52)に当接する。
【0029】
図5の例では、下流側リンク部材38は、第2当接部54を有している。第2当接部54は、フロート24が上昇時に上流側リンク部材32に当接する。第2当接部54で上流側リンク部材32と下流側リンク部材38とが当接することで、フロート24の浮力が下流側リンク部材38に作用する。詳細には、下流側リンク部材38の延長部分55における第1当接部52よりも上方に、リング部材54が装着されている。リング部材54の外径は、挿通孔32cの内径よりも大きく設定されている。このリング部材54が第2当接部54を構成している。つまり、フロート24が浮力で上方に移動すると、上流側リンク部材32も
図5の矢印AR2の方向に移動し、上流側リンク部材32の上面が下流側リンク部材38のリング部材54(第2当接部54)に当接する。第2当接部54は、なくてもよい。
【0030】
図6は、第1当接部52の変形例を示す。同図に示すように、下流側リンク部材38の延長部分55の下端部38cが、上流側リンク部材32の長手方向から見て、下流側リンク部材38に直交する方向(
図6の左側)に開口するU字形状を有している。上流側リンク部材32は、このU字形状で形成された空間内に位置している。
【0031】
詳細には、下流側リンク部材38の下端部38cは、延長部分55から水平方向(
図6の右側)に延びる第1水平部分58と、第1水平部分58から下方に延びる鉛直部分59と、鉛直部分59から水平方向(
図6の左側)に延びる第2水平部分60とを有している。これら第1および第2水平部分58,60と鉛直部分59で形成された領域に上流側リンク部材32が位置している。つまり、上流側リンク部材32は、第1水平部分58の下方で、第2水平部分60の上方に位置している。
【0032】
この変形例では、下流側リンク部材38の第2水平部分60が第1当接部52を構成している。つまり、フロート24が自重で下方に移動すると、上流側リンク部材32も
図6の矢印AR1の方向に移動し、上流側リンク部材32の下面が下流側リンク部材38の第2水平部分60(第1当接部52)に当接する。
【0033】
図6の例でも、下流側リンク部材38は、第2当接部54を有している。詳細には、第2当接部54は、下流側リンク部材38の第1水平部分58が第2当接部54を構成している。つまり、フロート24が浮力で上方に移動すると、上流側リンク部材32も
図6の矢印AR2の方向に移動し、上流側リンク部材32の上面が下流側リンク部材38の第1水平部分58(第2当接部54)に当接する。第2当接部54は、なくてもよい。
【0034】
第1および第2当接部52,54は、ゴムのような弾性体からなるダンパを有していてもよい。ダンパ54を設けることで、上流側リンク部材32に衝突する際の衝撃が吸収され、当接部52,54が保護される。ダンパは、第1および第2当接部52,54の両方に設けてもよく、いずれか一方にのみ設けてもよく、どちらにも設けなくてもよい。
【0035】
つぎに、本実施形態の液体圧送装置1の作動機構26の動作を説明する。
図4(A)に示すような、液位の下降時、すなわち、フロート24の下降時に、第1回動軸体40回り(
図4(A)の矢印R1回り)に回動する上流側リンク部材32の下面が、下流側リンク部材38の下端の第1当接部54に当接する。これにより、ばね部材30のばね力F1に加えて、フロート24の自重力F2が、上流側リンク部材32を介して下流側リンク部材38に伝達される。
【0036】
その結果、下流側リンク部材38が、
図4(B)に示すように、容易に第2回動軸体42回り(矢印R2回り)に回動して、下流側リンク部材38が下方に(矢印A1方向)に移動する。
【0037】
液位の上昇時、すなわち、
図4(B)のフロート24の上昇時には、
図5に矢印AR1で示す方向に移動する上流側リンク部材32の上面が、下流側リンク部材38の第2当接部54に当接する。これにより、
図4(A)のばね部材30のばね力F1に加えて、フロート24の浮力が、上流側リンク部材32を介して下流側リンク部材38に伝達される。その結果、下流側リンク部材38が、容易に第2回動軸体42回り(
図4(B)の矢印R2回り)に回動して、下流側リンク部材38が上方に移動する。
【0038】
上記構成によれば、
図4(A)に示す上流側リンク部材32と下流側リンク部材38が、フロートの下降時に第1当接部52で接触する。これにより、上流側リンク部材32によって下流側リンク部材38の下端部38cが押し下げられ、開閉弁20,22の作動が補助される。つまり、ばね部材30のばね力F1のみではなく、フロート24の自重力F2も作動機構26の動力として利用できる。その結果、フロート24の下降時の作動機構26による弁20,22の作動が良好となる。
【0039】
また、
図5に示す下流側リンク部材38と上流側リンク部材32が、フロート24の上昇時に第2当接部54で接触する。これにより、
図4(A)の上流側リンク部材32によって下流側リンク部材38の下端部38cが押し上げられ、駆動弁20および排気弁22の作動が補助される。つまり、ばね部材30のばね力F1のみではなく、フロート24の浮力も作動機構26の動力として利用できる。その結果、フロート24の上昇時の作動機構26による弁20,22の作動も良好となる。
【0040】
図4(A)に示すように、下流側リンク部材38が上下方向に延びており、第1および第2当接部52,54が、下流側リンク部材38の下端部38cに形成されている。これにより、簡単な構成で、第1および第2当接部52,54を実現できる。
【0041】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、第1当接部52は、フロート24の下降時にフロート24の自重力が下流側リンク部材38に作用する構成であればよく、
図5および
図6の例に限定されない。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 液体圧送装置
2 容器
18 駆動流体流出口
20 駆動弁(開閉弁)
22 排気弁(開閉弁)
24 フロート
26 作動機構
30 ばね部材
32 上流側リンク部材
34,36 中間リンク部材
38 下流側リンク部材
52 第1当接部
54 第2当接部
F 駆動流体
W 液体(粘性体)
WL 液位