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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125354
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】押しボタン錠
(51)【国際特許分類】
   E05B 37/16 20060101AFI20230831BHJP
【FI】
E05B37/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029394
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 成治
(57)【要約】
【課題】非常鍵で操作するだけで暗証番号を探索することを目的とする。
【解決手段】押しボタン100錠は、施解錠機構と、ボタン軸(第1ボタン軸1、第2ボタン軸2)を有し、没入位置と突出位置とに移動する複数の押しボタン300と、複数の押しボタン300のうち暗証番号として設定されている押しボタン300が没入位置にあり、且つ、暗証番号として設定されていない押しボタン300が突出位置にある解錠操作許可状態にある場合に、施解錠機構に対する解錠操作を受け付ける操作部(摘み500)と、ボタン軸の各々に設けられた被係合部2Kと、被係合部2Kの各々に対向する複数の係合部(孔42)を有し、被係合部2Kに対して接近及び離間可能なリセットバー41と、非常鍵を用いた施解錠機構の操作と連動して係合部を被係合部2Kに接触させることで複数の押しボタン300を解錠操作許可状態に切り替える連動機構(クラッチカム85)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠状態と解錠状態に切り替えられる施解錠機構と、
ボタン軸を有し、没入位置と突出位置とに移動する複数の押しボタンと、
前記複数の押しボタンのうち暗証番号として設定されている押しボタンが前記没入位置にあり、且つ、前記暗証番号として設定されていない押しボタンが前記突出位置にある解錠操作許可状態にある場合に、前記施解錠機構に対する解錠操作を受け付ける操作部と、
前記ボタン軸の各々に設けられた被係合部と、
前記被係合部の各々に対向する複数の係合部を有し、前記被係合部に対して接近及び離間可能なリセットバーと、
非常鍵を用いた前記施解錠機構の操作と連動して前記係合部を前記被係合部に接触させることで前記複数の押しボタンを前記解錠操作許可状態に切り替える連動機構と、を備えることを特徴とする押しボタン錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタン錠に関する。
【背景技術】
【0002】
ドア等を施錠する錠前の一形態として、鍵を不要とし、暗証番号に対応する押しボタンを押すことで解錠が可能な押しボタン錠が知られている。また、シリンダー錠を備え、ユーザが暗証番号を忘れた場合にシリンダー錠に非常鍵を差し込むことで解錠が可能な押しボタン錠が知られている。しかしながら、非常鍵を用いて解錠しても、暗証番号を探索する手立てがなければ、押しボタン錠を再び通常の使用に供することはできない。そこで、従来、暗証番号を探索する機能が検討されている。例えば、特許文献1では、ユーザが全ての押しボタンを押した場合に暗証番号に対応しない検索ピンのみ押しボタン錠の背面のピン挿通孔から先端部が突出するように構成されており、いずれの押しボタンが暗証番号に対応するものかを判別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-141869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された構成では、全ての押しボタンを押さなければ暗証番号を探索することができない。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、非常鍵で操作するだけで暗証番号を探索することのできる押しボタン錠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る押しボタン錠は、施錠状態と解錠状態に切り替えられる施解錠機構と、ボタン軸を有し、没入位置と突出位置とに移動する複数の押しボタンと、前記複数の押しボタンのうち暗証番号として設定されている押しボタンが前記没入位置にあり、且つ、前記暗証番号として設定されていない押しボタンが前記突出位置にある解錠操作許可状態にある場合に、前記施解錠機構に対する解錠操作を受け付ける操作部と、前記ボタン軸の各々に設けられた被係合部と、前記被係合部の各々に対向する複数の係合部を有し、前記被係合部に対して接近及び離間可能なリセットバーと、非常鍵を用いた前記施解錠機構の操作と連動して前記係合部を前記被係合部に接触させることで前記複数の押しボタンを前記解錠操作許可状態に切り替える連動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非常鍵で操作するだけで暗証番号を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る押しボタン錠の外観を示す正面図である。
図2図1のF-F断面を示す断面図である。
図3図2のA-A断面を示す断面図である。
図4図2のB-B断面を示す断面図である。
図5図2のC-C断面を示す断面図である。
図6図2のD-D断面を示す断面図である。
図7図2のE-E断面を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る非常鍵による解錠操作の動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る押しボタン錠100について説明する。
【0010】
最初に、押しボタン錠100の全体の構成について説明する。図1は、押しボタン錠100の外観を示す正面図である。以下、図1における紙面手前側を押しボタン錠100の正面側(前側)とし、左右の向きは、押しボタン錠100を正面から見た場合を基準とする。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0011】
押しボタン錠100(図1参照)は、コインロッカー、建物の出入口等に設けられる。押しボタン錠100は、全体として直方体状のケース200を備える。ケース200の正面には、解錠及び施錠の操作に用いられる摘み500が設けられている。施錠状態においては、カム600(掛け金)がケース200の左側面下部から突出している。例えば、コインロッカーの本体に押しボタン錠100が設けられている場合、コインロッカーのドアに設けられた凹部にカム600が係合することで施錠される。摘み500を反時計回り方向に回転させるとカム600が同方向に回転してドアとの係合が解除される。ケース200の左側面上部には、ラッチ700が設けられている。なお、ドアに押しボタン錠100が設けられ、本体に設けられた凹部にカム600が係合するように構成されていてもよい。
【0012】
摘み500の上方には、複数の押しボタン300と1つのクリアボタン400が規則的に配置されている。図1の例では、0から9までの数字と#記号が表示された11個の押しボタン300と、アルファベットのCが表示されたクリアボタン400と、が3行4列の格子状に配置されている。クリアボタン400は、左上隅に配置されている。押しボタン300は、暗証番号の入力に用いられる。クリアボタン400は、暗証番号の初期化に用いられる。
【0013】
次に、押しボタン錠100の内部の構成について説明する。図2は、図1のF-F断面を示す断面図である。図3は、図2のA-A断面を示す断面図である。図4は、図2のB-B断面を示す断面図である。図5は、図2のC-C断面を示す断面図である。図6は、図2のD-D断面を示す断面図である。図7は、図2のE-E断面を示す断面図である。
【0014】
押しボタン錠100は、施錠状態と解錠状態に切り替えられる施解錠機構(カム600)と、ボタン軸(第1ボタン軸1、第2ボタン軸2)を有し、没入位置と突出位置とに移動する複数の押しボタン300と、複数の押しボタン300のうち暗証番号として設定されている押しボタン300が没入位置にあり、且つ、暗証番号として設定されていない押しボタン300が突出位置にある解錠操作許可状態にある場合に、施解錠機構に対する解錠操作を受け付ける操作部(摘み500)と、ボタン軸の各々に設けられた被係合部2Kと、被係合部2Kの各々に対向する複数の係合部(孔42)を有し、被係合部2Kに対して接近及び離間可能なリセットバー41と、非常鍵を用いた施解錠機構の操作と連動して係合部を被係合部2Kに接触させることで複数の押しボタン300を解錠操作許可状態に切り替える連動機構(クラッチカム85)と、を備える。
【0015】
ケース200の正面には(図2参照)、押しボタン300とクリアボタン400に対応するボタン孔200Hが設けられている。押しボタン300とクリアボタン400の後部は、ボタン孔200Hよりも径が大きくなっており、ボタン孔200Hからの押しボタン300とクリアボタン400の脱落を防いでいる。押しボタン300とクリアボタン400は、ケース200との間に設けられたコイル状のボタンばね4によって前方に付勢されている。
【0016】
押しボタン300の後部には、前後方向を長手方向とする第1ボタン軸1が設けられている。第1ボタン軸1の後方には、前後方向を長手方向とする第2ボタン軸2が設けられている。クリアボタン400の後部には、前後方向を長手方向とする第3ボタン軸3が設けられている。
【0017】
第1ボタン軸1の後端部には、上方に開口した第1切欠部1Aが設けられている。第1切欠部1Aの前方には、深さと幅が第1切欠部1Aと同一である第2切欠部1Bが設けられている。第1切欠部1Aと第2切欠部1Bとの中心間距離は、押しボタン300のストロークに等しい。第2切欠部1Bの前方には、後側よりも前側が高くなるように傾斜した傾斜部1Sが設けられている。
【0018】
第2ボタン軸2の前端部には、上方に開口した第3切欠部2Cが設けられている。第2ボタン軸2の後端部には、被係合部2Kが設けられている。被係合部2Kは、例えば、上方に開口した切欠であり、上下方向に直立した直立部2Vと、前側よりも後側が高くなるように傾斜した傾斜部2Sと、を有する。第3切欠部2Cの前方には、下方に開口した溝2Mが設けられている。
【0019】
押しボタン300の後方には、前方から順に、ボタンストッパー11(図3参照)、ソラドメ板21(図4参照)、留め板ホルダー31(図5参照)、ジャマ板51(図7参照)、リセットバー41(図6参照)が設けられている。ボタンストッパー11、ソラドメ板21、留め板ホルダー31、ジャマ板51、リセットバー41は、いずれも前後方向を厚み方向とする板状の部材である。ボタンストッパー11、ソラドメ板21、留め板ホルダー31は、それぞれ、複数の第1ボタン軸1に対応する孔12、22、32を有する。第1ボタン軸1は、ボタンストッパー11、ソラドメ板21、留め板ホルダー31の孔12、22、32を貫通している。リセットバー41、ジャマ板51は、それぞれ、複数の第2ボタン軸2に対応する孔42、52を有する。第2ボタン軸2は、リセットバー41、ジャマ板51の孔42、52を貫通している。
【0020】
ボタンストッパー11は(図2、3参照)、左右方向にスライド可能にケース200に支持されている。ボタンストッパー11は、ケース200との間に設けられたボタンストッパーばね13によって左方に付勢されている。ボタンストッパー11の左側縁部には、上側が下側よりも左方に突出した傾斜部14が設けられている。傾斜部14の下方からボタンストッパー11の下方の中央部にわたって、ストッパープッシャー15が設けられている。ストッパープッシャー15の上端部は、ボタンストッパー11の傾斜部14に接触する。ストッパープッシャー15は、上下方向にスライド可能にケース200に支持されている。ストッパープッシャー15の下部には、前後方向を軸方向とするローラー16が設けられている。
【0021】
ソラドメ板21は(図2、4参照)、上下方向にスライド可能にケース200に支持されている。ソラドメ板21は、ケース200との間に設けられたソラドメ板ばね23によって下方に付勢されている。ソラドメ板21の下端部の左右方向の中央部には、下方に突出した突出部24が設けられている。
【0022】
留め板ホルダー31は(図2、5参照)、上下方向にスライド可能にケース200に支持されている。留め板ホルダー31は、ケース200との間に設けられた留め板ホルダーばね37によって下方に付勢されている。留め板ホルダー31の孔32には、第1ボタン軸1とともに留め板33が挿入されている。留め板33は、前後方向を長手方向とする基部34と、基部34の前端部から左方又は右方に突出した第1突起部35と、基部34の後端部から左方又は右方に突出した第2突起部36と、を有する。基部34は、留め板ホルダー31の孔32に支持されている。留め板33は、留め板ホルダー31とともに上下方向にスライドする。また、留め板33は、留め板ホルダー31に対して前後方向にスライド可能である。留め板ホルダー31の下端部の左右方向の中央部には、前後方向を軸方向とするローラー38が設けられている。
【0023】
留め板33の第1突起部35は、第1ボタン軸1の第1切欠部1A又は第2切欠部1Bに係合する。留め板33の第2突起部36は、第2ボタン軸2の第3切欠部2Cに係合する。図2には、クリアボタン400の下方に2つの押しボタン300が図示されている。このうち、下段の押しボタン300では、第1突起部35が第1切欠部1Aに係合している。一方、上段の押しボタン300では、第1突起部35が第2切欠部1Bに係合している。そのため、下段の押しボタン300は、上段の押しボタン300よりも第1ボタン軸1、第2ボタン軸2を含む全長が短くなっている。下段の押しボタン300のように全長が短い状態を短縮状態、上段の押しボタン300のように全長が長い状態を伸長状態と呼ぶ。
【0024】
リセットバー41は(図2、6参照)、上下方向にスライド可能にケース200に支持されている。リセットバー41は、ケース200との間に設けられたリセットバーばね43によって下方に付勢されている。リセットバー41の下端部の中央よりも左側の部分には、下方に突出した連結部44が設けられている。連結部44は、後述するクラッチカム85に連結されている。リセットバー41の孔42には、第2ボタン軸2の被係合部2Kが収容されている。リセットバー41の孔42は、被係合部2Kに対向する係合部の一例である。
【0025】
ジャマ板51は(図2、7参照)、上下方向にスライド可能にケース200に支持されている。ジャマ板51は、ケース200との間に設けられたジャマ板ばね53によって下方に付勢されている。ジャマ板51の下方には、ジャマ板プッシャー54が設けられている。ジャマ板プッシャー54の下端部には、前後方向を軸方向とするローラー55が設けられている。ジャマ板51は、ジャマ板プッシャー54との間に設けられたジャマ板プッシャーばね56によって上方に付勢されている。ジャマ板51は、外筒後述するシリンダー錠81の外筒82をロックするロック板57を備える。
【0026】
スライダー61は(図2乃至5、7参照)、ボタンストッパー11、ソラドメ板21、留め板ホルダー31の下方に設けられている。スライダー61は、左右方向にスライド可能にケース200に支持されている。図3乃至5では、スライダー61が最も右側に位置する様子が示されている。スライダー61の下面の後端部には、左右方向を長手方向とするラック62が設けられている。
【0027】
スライダー61は、ボタンストッパー11に対向する部位と、ソラドメ板21に対向する部位と、留め板ホルダー31に対向する部位とで、断面形状が異なっている(図3乃至5参照)。
【0028】
スライダー61のボタンストッパー11に対向する部位は(図3参照)、上方に開口した凹部63を有する。凹部63の右上部には、左側よりも右側が高くなるように傾斜した凹部傾斜部64が設けられている。また、凹部63の内部に、スライダー61に対して左右方向にスライド可能なインナースライダー65が設けられている。インナースライダー65の上部には、台形の凸部66が設けられている。
【0029】
スライダー61のソラドメ板21に対向する部位には(図4参照)、ソラドメ板21の突出部24の左面に対向する第1段部71、第2段部72、第3段部73が設けられている。
【0030】
スライダー61の留め板ホルダー31に対向する部位においては(図5参照)、留め板ホルダー31のローラー38がスライダー61の上面を左右に転動可能である。スライダー61の上面の中央よりも右側に高位面74が設けられ、左側に高位面74よりも高さが低い低位面75が設けられ、高位面74と低位面75が傾斜面76でつながっている。
【0031】
スライダー61の下方には、シリンダー錠81が設けられている(図2参照)。シリンダー錠81は、前後方向を長手方向とする外筒82及び内筒83を有する。摘み500は、外筒82と一体化されている。外筒82、内筒83の回転の中心は、摘み500の回転の中心と同一である。内筒83の後端部には、クラッチ84、クラッチカム85、クラッチばね86が設けられている。クラッチカム85は、カム留めねじ87(図6参照)によってリセットバー41の連結部44に連結されている。クラッチカム85は、スライダー61のラック62と噛み合うピニオン88を備えている(図7参照)。摘み500又は内筒83の回転に伴ってクラッチカム85が回転し、クラッチカム85の回転に伴ってスライダー61がスライドする。
【0032】
[施錠操作]
次に、押しボタン錠100の施錠操作について説明する。解錠状態においては、スライダー61がスライド可能範囲の左端に位置する。このとき、ソラドメ板21の突出部24の左面がスライダー61の第1段部71に接触しているため、暗証番号に対応する押しボタン300を押下せずに摘み500を回そうとしても、摘み500を回すことはできない。また、解錠状態においては、留め板ホルダー31のローラー38がスライダー61の高位面74に接触しているため、留め板ホルダー31は高位に位置している。そのため、留め板33が第1ボタン軸1、第2ボタン軸2から離間している。また、解錠状態においては、全ての押しボタン300が伸長状態である。ジャマ板51は、第2ボタン軸2の被係合部2Kに係合している。
【0033】
次に、暗証番号が押下されると、押された押しボタン300の第1ボタン軸1の傾斜部1Sによりソラドメ板21が持ち上げられ、ソラドメ板21の突出部24が第1段部71よりも上方に移動する。
【0034】
次に、摘み500が時計回り方向に回されると、留め板ホルダー31のローラー38がスライダー61の低位面75に落下するため、留め板ホルダー31が低位に移動する。すると、留め板33の第1突起部35が第1ボタン軸1の第1切欠部1Aに係合し、留め板33の第2突起部36が第2ボタン軸2の第3切欠部2Cに係合する。
【0035】
次に、摘み500がさらに時計回り方向に回されると、インナースライダー65がスライダー61に押され、ストッパープッシャー15のローラー16がインナースライダー65の凸部66に乗り上げる。そして、ストッパープッシャー15の上端部によってボタンストッパー11が右方にスライドさせられ、ボタンストッパー11による第1ボタン軸1の係止が外れる。このとき、第2ボタン軸2の溝2Mにジャマ板51が入っているため、押しボタン300は前方に突出しない。
【0036】
ストッパープッシャー15が凸部66を乗り越えると、ジャマ板51が下方に引っ張られ、第2ボタン軸2の溝2Mからジャマ板51が外れて押しボタン300が前方に突出する。また、ロック板57が下降して外筒82及び摘み500の逆回転をロックする。
【0037】
[解錠操作]
次に、解錠操作について説明する。施錠状態において、暗証番号に対応する押しボタン300の押下後、摘み500を反時計回り方向に回転させると、ストッパープッシャー15がスライダー61の凹部傾斜部64を登り、ジャマ板51が第2ボタン軸2の溝2Mに入る。また、ジャマ板51によりロック板57が持ち上げられ、ロック板57が外筒82から外れる。また、留め板ホルダー31のローラー38がスライダー61の低位面75から高位面74に移動し、留め板ホルダー31から留め板33が外れる。また、ストッパープッシャー15がインナースライダー65の66凸部に乗り上げ、ボタンストッパー11をスライドさせて、第1ボタン軸1の係止を外す。このとき、留め板33による第1ボタン軸1と第2ボタン軸2との連結が解除されているので、押しボタン300が前方に突出する。
【0038】
施錠状態で暗証番号を押下せずに、又は、異なる番号を押下したとしても、ジャマ板51が第2ボタン軸2に接触し、ロック板57が外筒82から外れないため、摘み500は回転しない。
【0039】
施錠状態で暗証番号を押下すると、第1ボタン軸1によりソラドメ板21が持ち上がり、ソラドメ板21の突出部24がスライダー61の第3段部73よりも上方に移動する。次に、摘み500をさらに回転させると、ボタンストッパー11による第1ボタン軸1の係止が外れて押しボタン300が前方に突出し、ソラドメ板21がソラドメ板ばね23に押されて突出部24がスライダー61の第2段部72に係合する。
【0040】
[非常鍵による解錠操作]
次に、非常鍵による解錠操作について説明する(図2、6、8参照)。図8は、非常鍵によって解錠された押しボタン錠100を示す断面図である。なお、非常鍵の図示は省略されている。施錠状態において、非常鍵を鍵穴89の奥まで挿入すると、クラッチ84が奥へ移動してクラッチカム85と連結する。この状態で非常鍵を解錠方向へ回すと、カム600とクラッチ84は解錠方向へ回転するが、クラッチカム85に対してクラッチ84に遊びがあり空転するため、クラッチカム85は回転せず、リセットバー41は下がらない。
【0041】
次に、非常鍵を奥まで挿入した状態で解錠方向へさらに回すと、カム600とクラッチ84は解錠方向に回転し、クラッチカム85は回転し、リセットバー41は下がる。第2ボタン軸2、第1ボタン軸1、押しボタン300の引っ込み量は0mmである。非常鍵を解錠方向へ回してもカム600は回転せず、施錠状態を保持する。
【0042】
次に、非常鍵を奥まで挿入した状態で解錠方向へさらに回すと、カム600とクラッチ84は解錠方向に回転し、クラッチカム85は回転し、リセットバー41はさらに下がる。短縮状態にある第2ボタン軸2、第1ボタン軸1、押しボタン300は没入位置にある。一方、伸長状態にある第2ボタン軸2、第1ボタン軸1、押しボタン300の引っ込み量は0mmである。そのため、短縮状態にある押しボタン300、すなわち、暗証番号に対応する押しボタン300を目視で容易に区別することができる。非常鍵を解錠方向へ回してもカム600は回転せず、施錠状態を保持する。
【0043】
非常鍵の回転操作で暗証番号を検索した後、摘み500をUNLOCK表示位置へ回すと、カム600が回転して解錠状態となり、非常鍵を抜くことでリセットが完了する。
【0044】
以上説明した本実施形態に係る押しボタン錠100によれば、施錠状態と解錠状態に切り替えられる施解錠機構(カム600)と、ボタン軸(第1ボタン軸1、第2ボタン軸2)を有し、没入位置と突出位置とに移動する複数の押しボタン300と、複数の押しボタン300のうち暗証番号として設定されている押しボタン300が没入位置にあり、且つ、暗証番号として設定されていない押しボタン300が突出位置にある解錠操作許可状態にある場合に、施解錠機構に対する解錠操作を受け付ける操作部(摘み500)と、ボタン軸の各々に設けられた被係合部2Kと、被係合部2Kの各々に対向する複数の係合部(孔42)を有し、被係合部2Kに対して接近及び離間可能なリセットバー41と、非常鍵を用いた施解錠機構の操作と連動して係合部を被係合部2Kに接触させることで複数の押しボタン300を解錠操作許可状態に切り替える連動機構(クラッチカム85)と、を備える。この構成によれば、非常鍵で操作するだけで暗証番号を探索することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 第1ボタン軸(ボタン軸)
2 第2ボタン軸(ボタン軸)
2K 被係合部
41 リセットバー
42 孔(係合部)
85 クラッチカム(連動機構)
100 押しボタン錠
300 押しボタン
500 摘み(操作部)
600 カム(施解錠機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8