(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023125385
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】切削加工機
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/04 20060101AFI20230831BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20230831BHJP
B23Q 3/04 20060101ALI20230831BHJP
B23Q 1/54 20060101ALI20230831BHJP
A61C 1/00 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
B23Q7/04 E
B23Q7/00 Z
B23Q3/04
B23Q1/54
A61C1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022029437
(22)【出願日】2022-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】317009525
【氏名又は名称】DGSHAPE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】小和田 功二
(72)【発明者】
【氏名】宮本 数人
【テーマコード(参考)】
3C033
3C048
4C052
【Fターム(参考)】
3C033HH11
3C033HH22
3C048BC01
3C048DD17
4C052AA06
(57)【要約】
【課題】部品点数を少なくしつつ、ストッカーに収容された被加工物を把持して切削加工をすることができる。
【解決手段】切削加工機100は、被加工物5が収容される収容部210を有するストッカー200と、ユーザが収容部210に被加工物5を収容する収容エリアAR1と、被加工物5を切削加工する加工エリアAR2とが形成されたケース本体10と、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間において、ストッカー200を移動させる移動機構300と、加工エリアAR2に配置され、切削加工中に被加工物5を把持する把持部400と、加工エリアAR2に配置されているストッカー200に向かって把持部400を移動させる把持移動機構500と、を備えている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物が収容される収容部を有するストッカーと、
ユーザが前記収容部に被加工物を収容する収容エリアと、被加工物を切削加工する加工エリアとが形成されたケース本体と、
前記収容エリアと前記加工エリアとの間において、前記ストッカーを移動させる移動機構と、
前記加工エリアに配置され、切削加工中に被加工物を把持する把持部と、
前記加工エリアに配置されている前記ストッカーに向かって前記把持部を移動させる把持移動機構と、
を備えた、切削加工機。
【請求項2】
前記収容エリアと前記加工エリアとは、第1方向に並んで配置され、
前記移動機構は、前記ストッカーを前記第1方向に移動させる、請求項1に記載された切削加工機。
【請求項3】
前記把持移動機構は、前記第1方向と交差する第2方向に前記把持部を移動させる、請求項2に記載された切削加工機。
【請求項4】
前記ストッカーが前記加工エリアに配置されている状態において、
前記把持移動機構は、前記ストッカーよりも前記第2方向の一方側に前記把持部が位置する第1位置と、前記把持部が前記収容部に収容されている被加工物を把持する第2位置との間で、前記把持部を移動させる、請求項3に記載された切削加工機。
【請求項5】
前記把持移動機構は、切削加工時、前記把持部を前記第2方向に向かって第1距離移動させるように構成され、かつ、前記収容部に収容された被加工物を把持するとき、前記把持部を前記第2方向に向かって、前記第1距離よりも長い第2距離移動させるように構成されている、請求項3または4に記載された切削加工機。
【請求項6】
被加工物は、前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向と、前記第2方向に広がった板状であり、
前記把持部は、
被加工物の前記第3方向の一端部を支持し、前記第2方向に延びた第1挟持部と、
被加工物の前記第3方向の他端部を支持し、前記第2方向に延びた第2挟持部と、
前記第1挟持部における前記ストッカーと反対側の端部と、前記第2挟持部における前記ストッカーと反対側の端部とを連結する連結部と、
を有する、請求項3から5までの何れか1つに記載された切削加工機。
【請求項7】
一端が前記把持部の前記連結部に接続され、前記第2方向に延びた第1回転軸と、
前記第1回転軸の他端に接続され、前記把持部を支持する支持部材と、
を備え、
前記把持部は、前記支持部材に対して前記第1回転軸を軸に回転可能に構成された、請求項6に記載された切削加工機。
【請求項8】
前記支持部材に接続され、前記第3方向に延びた第2回転軸を備え、
前記支持部材は、前記第2回転軸を軸に回転可能に構成された、請求項7に記載された切削加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、切削加工の対象となる被加工物を所望の形状に切削加工する切削加工機が開示されている。この切削加工機は、収容装置と、切削装置と、搬送装置と、制御装置とを備えている。収容装置は、アダプタが装着された状態の円盤状の被加工物を複数収容することができるストッカーを有している。切削装置は、被加工物を切削加工する。搬送装置は、アダプタを把持して収容装置から切削装置へ被加工物を搬送する。制御装置は、加工プログラムに沿って被加工物の搬送と切削加工とを実行する。
【0003】
搬送装置は、被加工物を把持する把持部を備えている。切削装置は、切削加工時に被加工物を把持するクランプを備えている。被加工物を切削加工する際、把持部が、収容装置のストッカーに収容された被加工物を把持して、切削装置まで移動する。そして、把持部からクランプに被加工物が渡されて、クランプが被加工物を把持する。その後、クランプが把持している被加工物に対して切削加工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記切削加工機では、収容装置のストッカーから切削装置へ被加工物を搬送する搬送装置の把持部と、切削加工時に被加工物を把持する切削加工機のクランプとは、別部品である。切削加工機において、部品点数は少ない方が好ましい。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を少なくしつつ、ストッカーに収容された被加工物を把持して切削加工が可能な切削加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る切削加工機は、ストッカーと、ケース本体と、移動機構と、把持部と、把持移動機構とを備えている。前記ストッカーは、被加工物が収容される収容部を有している。前記ケース本体には、ユーザが前記収容部に被加工物を収容する収容エリアと、被加工物を切削加工する加工エリアとが形成されている。前記移動機構は、前記収容エリアと前記加工エリアとの間において、前記ストッカーを移動させる。前記把持部は、前記加工エリアに配置され、切削加工中に被加工物を把持する。前記把持移動機構は、前記加工エリアに配置されている前記ストッカーに向かって前記把持部を移動させる。
【0008】
前記切削加工機によれば、ストッカーは、収容エリアから加工エリアに移動されるように構成されている。そのため、切削加工時に被加工物を把持する把持部で、加工エリアに移動されたストッカーに収容された被加工物を把持して取り出すことができる。そして、ストッカーに収容された被加工物を把持部が把持した状態で、切削加工を開始することができる。よって、切削加工時に被加工物を把持する把持部を利用して、ストッカーに収容された被加工物を取り出すことができるため、被加工物をストッカーから取り出すための専用の機構を省略することができる。その結果、部品点数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品点数を少なくしつつ、ストッカーに収容された被加工物を把持して切削加工が可能な切削加工機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る切削加工機を示す斜視図である。
【
図2】アダプタが装着された被加工物を示す平面図である。
【
図3】アダプタが装着された被加工物を示す正面図である。
【
図4】切削加工機を左から見たときの断面図である。
【
図5】切削加工機を左から見たときの断面図である。
【
図6】隔壁を示す左から見た断面図であり、ストッカーが収容エリアから加工エリアに移動する様子を示す模式図である。
【
図7】ストッカーのストッカー本体を示す正面図である。
【
図9】切削加工機を右から見たときの断面図である。
【
図12】実施形態に係る切削加工機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る切削加工機について説明する。なお、ここで説明される実施の形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る切削加工機100を示す斜視図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ切削加工機100の前、後、左、右、上、下を意味するものとする。切削加工機100は、XYZ直交座標系に配置されている。ここでは、X軸方向D1は、前後方向である。本実施形態では、
図4に示すように、X軸方向D1は、水平方向から所定の角度だけ傾いている。ただし、X軸方向D1は、水平方向であってもよい。Y軸方向D2は、左右方向である。Z軸方向D3は、上下方向である。Z軸方向D3は、X軸方向D1およびY軸方向D2と交差(ここでは直交)している。本実施形態では、
図4に示すように、Z軸方向D3は鉛直方向から所定の角度だけ傾いている。ただし、Z軸方向D3は、鉛直方向であってもよい。本実施形態では、Z軸方向D3が第1方向の一例である。X軸方向D1が、第1方向と交差する第2方向の一例である。Y軸方向D2が、第1方向および第2方向と交差する第3方向の一例である。なお、上述した方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、切削加工機100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものではない。
【0013】
本実施形態では、切削加工機100は、被加工物5(
図2参照)を切削加工することで、対象物を作製する。ここで、対象物の種類は特に限定されないが、例えば歯冠補綴物である。歯冠補綴物として、例えばインレー、クラウン、ブリッジなどが挙げられる。本実施形態では、切削加工機100は、デンタル分野で使用されるものであり、被加工物5から歯冠補綴物を作製する。ただし、切削加工機100が使用される分野は、デンタル分野に限定されない。
【0014】
図2、
図3は、それぞれアダプタ6が装着された被加工物5を示す平面図、正面図である。
図2および
図3に示すように、被加工物5の形状は、X軸方向D1およびY軸方向D2に広がった板状である。ここでは、被加工物5は、円盤形状である。被加工物5は、ジルコニア、ワックス、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ハイブリッドレジン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、石膏などの材料の種類によって形成されている。被加工物5の材料の種類としてジルコニアを用いるときには、例えば、半焼結したジルコニアが用いられる。ただし、被加工物5の形状および材料は特に限定されない。
【0015】
本実施形態では、被加工物5は、アダプタ6に装着されている。ここでは、
図2に示すように、アダプタ6には、円形状の嵌合孔6aが形成されている。被加工物5は、嵌合孔6aに嵌合(例えば略嵌合)されることで、アダプタ6に装着される。ここでは、被加工物5に対してアダプタ6を押し下げることで、嵌合孔6aに被加工物5が挿入されて固定される。以下、被加工物5とは、特に記載がない場合には、アダプタ6を含めたものをいう。また、被加工物5に対する前、後、左、右、上、下などの方向は、被加工物5が収容部210(
図7参照)に収容された状態を基準にした方向である。
【0016】
図1に示すように、切削加工機100は、ケース本体10を備えている。ケース本体10は、箱状であり、内部に空間を有している。
【0017】
図4、
図5は、切削加工機100を左から見たときの断面図である。
図4および
図5では、ケース本体10の収容エリアAR1と加工エリアAR2とが示されている。
図4に示すように、ケース本体10には、収容エリアAR1と、加工エリアAR2とが形成されている。収容エリアAR1は、ユーザが、後述のストッカー200の収容部210に被加工物5を収容するためのエリアである。例えばユーザは、手で被加工物5を掴んで、収容エリアAR1において収容部210に被加工物5を手動で収容する。
【0018】
加工エリアAR2は、切削加工機100が被加工物5を切削加工するエリアである。ここでは、収容エリアAR1においてストッカー200の収容された被加工物5が加工エリアAR2に移動し、加工エリアAR2にて、被加工物5に対して切削加工が行われる。
【0019】
本実施形態では、収容エリアAR1と、加工エリアAR2とは、Z軸方向D3に並んで配置されている。詳しくは、収容エリアAR1は、加工エリアAR2の上方に配置されている。ただし、収容エリアAR1と加工エリアAR2との位置関係は、特に限定されるものではない。例えば収容エリアAR1は、加工エリアAR2とX軸方向D1に並んで配置されてもよいし、Y軸方向D2に並んで配置されてもよい。
【0020】
図6は、隔壁15を示す左から見た断面図であり、ストッカー200が収容エリアAR1から加工エリアAR2に移動する様子を示す模式図である。
図6に示すように、本実施形態では、切削加工機100は、隔壁15を備えている。隔壁15は、収容エリアAR1と加工エリアAR2とを区画するものである。隔壁15は、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間に配置されている。ここでは、隔壁15は、X軸方向D1およびY軸方向D2に広がった板状のものである。本実施形態では、隔壁15には、通過孔16が形成されている。通過孔16は、ストッカー200が通過する孔である。ここでは、通過孔16は、隔壁15をZ軸方向D3に貫通させた孔であり、Z軸方向D3に向かって開口している。収容エリアAR1と加工エリアAR2とは、通過孔16を通じて互いが連通している。
【0021】
なお、本実施形態では、
図1に示すように、ケース本体10には、収容エリアAR1の部分に開口部11が形成されている。開口部11は、X軸方向D1の前方に向かって開口している。ここでは、ケース本体10には、開口部11を開閉自在な扉12が設けられている。扉12は、例えば左端がケース本体10に支持されている。扉12は、左端を軸に回転可能に構成されており、左端を軸に回転することで、開口部11を開閉可能となる。
【0022】
図7は、ストッカー200のストッカー本体201を示す正面図である。
図7に示すように、切削加工機100は、ストッカー200を備えている。ストッカー200は、被加工物5を切削加工する切削加工機100において、被加工物5が収容されるものである。ストッカー200には、複数の被加工物5が収容可能である。本実施形態では、ストッカー200には、6つの被加工物5が収容可能であるが、ストッカー200に収容される被加工物5の数は、特に限定されない。なお、
図7では、ストッカー200に、4つの被加工物5が収容されている。
【0023】
本実施形態では、
図5に示すように、ストッカー200は、ストッカー本体201と、ストッカーカバー202と、収容部210と、を備えている。ストッカー本体201は、内部に空間を有しており、前方および後方に向かって開口している。ストッカー本体201は、Z軸方向D3に長い直方体形状である。ただし、ストッカー本体201の形状は特に限定されない。
図4に示すように、ストッカーカバー202は、ストッカー本体201を覆うものである。本実施形態では、ストッカーカバー202は、内部に空間を有しており、少なくとも下方が開口している。ここでは、ストッカーカバー202に対してストッカー本体201がZ軸方向D3に移動可能に構成されている。例えばストッカーカバー202内に、ストッカー本体201が配置されている状態において、ストッカー本体201は、下方に移動可能に構成されている。ストッカー本体201が下方に移動するとき、ストッカーカバー202の下方の開口を通過する。
【0024】
図7に示すように、収容部210には、被加工物5が収容される。ここでは、1つの被加工物5が1つの収容部210に収容される。収容部210は、ストッカー本体201内に配置されている。本実施形態では、複数の収容部210がストッカー本体201に配置されている。収容部210の数は特に限定されない。ここでは、収容部210の数が6つである。複数の収容部210は、Z軸方向D3に並んで配置されている。複数の収容部210は、収容エリアAR1から加工エリアAR2に向かうZ軸方向D3に延びた直線状に配置されている。そのため、ストッカー200では、複数の被加工物5は、Z軸方向D3に並ぶようにして収容されている。ストッカー200において、複数の被加工物5は、Z軸方向D3に延びた直線状に配置されている。
【0025】
本実施形態では、収容部210は、前方に開口しており、ユーザは、収容部210の前方から収容部210に挿入し、収容する。また、収容部210は、ストッカー200が加工エリアAR2に配置されている状態において、後方に開口している。なお、ストッカー200が収容エリアAR1に配置されている状態では、収容部210の後方には、ストッカーカバー202の後面が配置されている。
【0026】
図8は、収容部210を模式的に示した斜視図である。
図8に示すように、本実施形態では、収容部210は、第1上壁221と、第2上壁222と、第1下壁225と、第2下壁226とを有している。第1上壁221は、収容部210の左上部を構成している。第2上壁222は、収容部210の右上部を構成している。ここでは、第1上壁221と、第2上壁222は、Y軸方向D2に離間した状態で配置されている。第1上壁221および第2上壁222は、X軸方向D1に延びている。
【0027】
第1下壁225は、収容部210の左下部を構成している。第1下壁225は、第1上壁221とZ軸方向D3で対向しており、第1上壁221とZ軸方向D3において離間している。第1下壁225は、第1上壁221の下方(ここでは真下)に配置されている。第2下壁226は、収容部210の右下部を構成している。第2下壁226は、第2上壁222とZ軸方向D3で対向しており、第2上壁222とZ軸方向D3において離間している。第2下壁226は、第2上壁222の下方(ここでは真下)に配置されている。ここでは、第1下壁225と第2下壁226とは、Y軸方向D2に離間した状態で配置されている。第1下壁225および第2下壁226は、X軸方向D1に延びている。
【0028】
本実施形態では、第1上壁221、第2上壁222、第1下壁225および第2下壁226のそれぞれの前端によって囲まれて、前方開口211が形成されている。前方開口211は、前方に向かって開口している。また、第1上壁221、第2上壁222、第1下壁225および第2下壁226のそれぞれの後端によって囲まれて、後方開口212が形成されている。後方開口212は、後方に向かって開口している。本実施形態では、ユーザは、被加工物5を前方開口211から挿入する。前方開口211から収容部210に挿入された被加工物5は、第1下壁225および第2下壁226の上に載置される。被加工物5は、第1下壁225および第2下壁226に支持されることで、収容部210に収容された状態になる。
【0029】
本実施形態では、
図6に示すように、ストッカー200は、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間を移動可能に構成されている。詳しくは、
図4および
図5に示すように、ストッカー200のうちストッカー本体201と収容部210は、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間を移動可能に構成されている。ストッカーカバー202は、収容エリアAR1に配置されており、加工エリアAR2に移動しない。以下の説明において、ストッカー200が移動するとは、ストッカー本体201と収容部210が移動することを意味する。
【0030】
図4に示すように、切削加工機100は、移動機構300を備えている。移動機構300は、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間において、ストッカー200を移動させるものである。ここでは、移動機構300は、ストッカー200をZ軸方向D3に移動させるように構成されている。
図6に示すように、ストッカー200は、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間を移動する際、隔壁15の通過孔16を通過する。
【0031】
なお、移動機構300の構成は特に限定されない。
図5に示すように、移動機構300は、第1ガイドレール301と、第1駆動モータ303とを備えている。第1ガイドレール301は、Z軸方向D3に延びている。ここでは、第1ガイドレール301は、ストッカー200が収容エリアAR1に配置されている状態において、ストッカー200から開口部11に向かう方向(ここでは前方に向かう方向)以外のケース本体10の部分に配置されている。本実施形態では、第1ガイドレール301は、ストッカー200の左右両側に一対となるように配置されている。詳しくは、第1ガイドレール301は、ストッカー本体201の左方および右方に配置されるように、ストッカーカバー202の左右両側の側壁の内面に配置されている。なお、
図5では、右側の第1ガイドレール301が示されており、左側の第1ガイドレール301は省略されている。第1ガイドレール301は、収容エリアAR1内に配置されている。ストッカー本体201は、一対の第1ガイドレール301に係合している。
【0032】
本実施形態では、ストッカー本体201の後方には、Z軸方向D3に延びたボールねじ305が設けられている。ボールねじ305は、ストッカーカバー202に固定されおり、ストッカー本体201に係合している。ここでは、ボールねじ305には、ストッカー本体201に設けられたナット302が螺合している。ナット302は、ストッカー本体201の後面の上部に固定されている。ここでは、ストッカーカバー202の後面には、Z軸方向D3に延びた摺動孔(図示せず)が形成されている。ナット302は、上記摺動孔を通ってストッカー本体201に固定されている。
図4に示すように、第1駆動モータ303は、ボールねじ305に接続されている。ここでは、第1駆動モータ303が駆動すると、ボールねじ305が中心軸を軸に回転し、ストッカー本体201は、第1ガイドレール301に沿ってZ軸方向D3に移動する。ストッカー本体201によるZ軸方向D3への移動に伴い、収容部210は、Z軸方向D3に移動する。このようにして、ストッカー本体201および収容部210は、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間を移動する。
【0033】
図9は、切削加工機100を右から見たときの断面図である。本実施形態では、切削加工機100は、把持部400(
図4参照)と、把持移動機構500(
図9参照)とを備えている。
図10は、把持部400の平面図である。
図10に示すように、把持部400は、被加工物5を把持するものである。詳しくは、把持部400は、被加工物5に装着されたアダプタ6を把持する。ここでは、把持部400は、切削加工時に被加工物5を把持するものであり、かつ、ストッカー200の収容部210に収容された被加工物5を把持して、収容部210から取り出すものである。
図4に示すように、把持部400は、加工エリアAR2に配置されている。把持部400は、ストッカー200に対して開口部11とは反対側に配置されている。ここでは、
図5に示すように、把持部400は、加工エリアAR2にストッカー200が配置されている状態において、ストッカー200よりも後方に配置されている。
【0034】
なお、把持部400の形状および構成は特に限定されない。本実施形態では、
図10に示すように、把持部400は、後方に向かって凹んだU字状の形状を有している。把持部400は、第1挟持部401と、第2挟持部402と、連結部403とを有している。以下の説明では、
図10に示すように、第1挟持部401と第2挟持部402とがY軸方向D2に並んだときの把持部400の向きを基準にしている。第1挟持部401は、X軸方向D1に延びた棒状のものである。第1挟持部401は、被加工物5のY軸方向D2の一端部を支持する。ここでは、第1挟持部401は、被加工物5の左端部を支持する。
【0035】
第2挟持部402は、X軸方向D1に延びた棒状のものである。把持部400が回転していない状態において、第2挟持部402は、第1挟持部401の右方に配置されている。第2挟持部402は、被加工物5のY軸方向D2の他端部を支持する。ここでは、第2挟持部402は、被加工物5の右端部を支持する。本実施形態では、把持部400は、第1挟持部401と第2挟持部402とで被加工物5の幅方向の両端(ここではY軸方向D2の両端)を挟むことで、被加工物5を把持する。
【0036】
連結部403は、把持部400が回転していない状態において、Y軸方向D2に延びている。連結部403は、第1挟持部401と第2挟持部402とを連結するものである。詳しくは、連結部403は、第1挟持部401におけるストッカー200と反対側の端部と、第2挟持部402におけるストッカー200と反対側の端部とを連結する。言い換えると、連結部403の一端(ここでは左端)は、第1挟持部401の後端と接続している。連結部403の他端(ここでは右端)は、第2挟持部402の後端と接続している。
【0037】
図9に示す把持移動機構500は、把持部400を加工エリアAR2で移動させる機構である。ここでは、把持移動機構500は、加工エリアAR2に配置されているストッカー200(
図5参照)に向かって把持部400を移動させる。また、把持移動機構500は、把持部400をX軸方向D1に移動させる。
【0038】
把持移動機構500は、ストッカー200が収容エリアAR1に配置されている状態において、ストッカー200から開口部11に向かう方向以外のケース本体10内の部分に配置されている。把持移動機構500は、収容エリアAR1には配置されていない。本実施形態では、
図9に示すように、ケース本体10には、駆動エリアAR3が形成されている。
図1に示すように、駆動エリアAR3は、加工エリアAR2とY軸方向D2に並ぶように配置されている。ここでは、駆動エリアAR3は、加工エリアAR2の右方に配置されている。把持移動機構500は、駆動エリアAR3に配置されている。すなわち、把持移動機構500は、ストッカー200よりも右方に配置されている。
【0039】
把持移動機構500の構成は特に限定されない。本実施形態では、
図9に示すように、把持移動機構500は、第2ガイドレール501と、第2キャリッジ502と、第2駆動モータ503とを有している。第2ガイドレール501は、駆動エリアAR3において、X軸方向D1に延びている。そのため、第2ガイドレール501は、ストッカー200が収容エリアAR1に配置されている状態において、ストッカー200から開口部11に向かう方向(ここでは、ストッカー200から前方に向かう方向)以外のケース本体10内の部分に配置されている。ここでは、第2ガイドレール501は、上下一対のものであり、第2ガイドレール501の数は2つである。しかしながら、第2ガイドレール501の数は、特に限定されず、1つであってもよい。
【0040】
第2キャリッジ502は、第2ガイドレール501に対して摺動自在に係合している。第2キャリッジ502は、第2ガイドレール501に沿ってX軸方向D1に移動可能である。詳しくは後述するが、第2キャリッジ502は、
図10に示すように、第2回転軸522、支持部材505、第1回転軸521を介して把持部400に接続されている。そのため、把持部400は、第2ガイドレール501に対してX軸方向D1に摺動自在である。
【0041】
図9に示すように、第2駆動モータ503は、例えば第2キャリッジ502に接続されている。本実施形態では、第2駆動モータ503は、ボールねじ504に接続されている。ボールねじ504は、X軸方向D1に延びており、第2キャリッジ502に係合している。ボールねじ504には、例えば第2キャリッジ502に設けられたナット(図示せず)が螺合している。ここでは、第2駆動モータ503が駆動すると、ボールねじ504が中心軸を軸に回転し、第2キャリッジ502は、第2ガイドレール501に沿ってX軸方向D1に移動する。第2ガイドレール501によるX軸方向D1への移動に伴い、把持部400もX軸方向D1に移動する。本実施形態では、把持移動機構500は、切削加工時、把持部400を第2ガイドレール501に沿って移動させるように構成されている。また、把持移動機構500は、収容部210に収容された被加工物5を把持部400が把持するとき、把持部400を第2ガイドレール501に沿って移動させるように構成されている。
【0042】
図4に示すように、支持部材505は、加工エリアAR2に配置されており、把持部400を支持するものである。ここでは、
図10に示すように、支持部材505は、Y軸方向D2に延びた第1部分511と、X軸方向D1に延びた第2部分512とを有している。第1部分511は、把持部400の後方に配置されている。第1部分511は、第1回転軸521を介して把持部400に接続されている。ここでは、第1回転軸521は、X軸方向D1に延びている。第1回転軸521は、支持部材505の第1部分511から前方に向かって延び、把持部400に接続されている。第1回転軸521の一端は、把持部400の連結部403に接続されている。第1回転軸521の他端は、支持部材505(詳しくは第1部分511)に接続されている。ここでは、把持部400は、支持部材505に対して第1回転軸521を軸に回転可能に構成されている。
【0043】
支持部材505の第2部分512は、第1部分511の右方に配置されており、第1部分511の右端部の前部に接続されている。第2部分512は、把持部400の右方に配置され、第1部分511から前方に向かって延びている。支持部材505は、第1部分511と第2部分512とによってL字状に形成されている。
【0044】
支持部材505の第2部分512は、第2回転軸522を介して第2キャリッジ502(
図9参照)に接続されている。
図10に示すように、第2回転軸522は、Y軸方向D2に延びている。第2回転軸522は、第2部分512から右方に向かって延びている。第2回転軸522の一端は、支持部材505(ここでは第2部分512)に接続され、第2回転軸522の他端は、第2キャリッジ502に接続されている。支持部材505は、第2回転軸522を軸に回転可能に構成されている。ここでは、支持部材505が回転すると、把持部400は、同様に、第2回転軸522を軸に回転する。
【0045】
本実施形態では、
図5に示すように、ストッカー200が加工エリアAR2に配置されているとき、把持部400は、ストッカー200よりもX軸方向D1の一方側(ここでは後方側)に配置されている。ストッカー200よりも後方に配置されているときの把持部400の位置を第1位置P1(
図4参照)という。ここで、第1位置P1は、把持部400が最も後方に配置されているときの把持部400の位置である。また、
図5に示すように、ストッカー200が加工エリアAR2に配置されているとき、把持部400が収容部210に収容された被加工物5を把持しているときの把持部400の位置を第2位置P2という。第2位置P2は、第1位置P1よりもX軸方向D1の前方に位置している。第2位置P2は、被加工物5が収容部210に収容されている状態で、把持部400が被加工物5を把持している位置である。
図11は、収容部210および把持部400の斜視図である。
図11では、把持部400が収容部210に収容された被加工物5を把持しようとする状態が示されている。
図11において、把持部400が更に前方に移動し、収容部210内に配置されて被加工物5を把持したときの把持部400の位置が第2位置P2である。本実施形態では、
図9に示す把持移動機構500は、第1位置P1(
図4参照)と第2位置P2(
図11参照)との間で把持部400を移動させるように構成されている。
【0046】
本実施形態では、
図4および
図5に示すように、把持部400は、切削加工時、X軸方向D1に移動可能に構成されている。
図4に示すように、把持移動機構500は、切削加工時、把持部400をX軸方向D1に向かって第1距離D11移動させるように構成されている。また、把持移動機構500は、収容部210に収容された被加工物5を把持するとき、把持部400をX軸方向D1に向かって第2距離D12移動させるように構成されている。ここで、第2距離D12は、第1距離D11よりも長い。第1距離D11は、上記の第1位置P1を起点として、X軸方向D1の前方に向かった距離である。第2距離D12は、第1位置P1から第2位置P2までの距離である。そのため、第1距離D11は、第1位置P1から第2位置P2までの距離よりも短いと言い換えることができる。
【0047】
図示は省略するが、加工エリアAR2には、先端に刃物部を有する棒状の加工ツールを把持するツール把持部を有するスピンドルが設けられている。スピンドルは、加工ツールの中心軸を軸にして加工ツールを回転させる。本実施形態では、スピンドルと、把持部400は、加工エリアAR2において相対的に3次元方向に移動可能に構成されている。本実施形態において、切削加工中とは、加工エリアAR2において、スピンドルと把持部400との相対的な位置関係を変更しながら、スピンドルのツール把持部に把持された加工ツールを、把持部400に把持された被加工物5の所望の部分に接触させて切削加工し、被加工物5を所望の形状に切削加工することをいう。
【0048】
図12は、本実施形態に係る切削加工機100のブロック図である。本実施形態では、
図12に示すように、切削加工機100は、制御装置110を備えている。制御装置110は、被加工物5に対する切削加工に関する制御を行う装置である。また、制御装置110は、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間をストッカー200が移動することを制御し、かつ、把持部400が被加工物5を把持する制御を行う装置である。制御装置110の構成は特に限定されない。制御装置110は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置110は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。制御装置110は、ケース本体10の内部に設けられている。ただし、制御装置110は、ケース本体10の外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置110は、有線または無線を介して切削加工機100と通信可能に接続されている。
【0049】
本実施形態では、制御装置110は、移動機構300および把持移動機構500と通信可能に接続されている。制御装置110は、移動機構300を制御することで、ストッカー200をZ軸方向D3に移動させるように制御する。制御装置110は、把持移動機構500を制御することで、把持部400をX軸方向D1に移動させるように制御する。
【0050】
本実施形態では、制御装置110は、記憶部120と、第1移動制御部121と、第2移動制御部122と、ストッカー移動制御部123と、を少なくとも備えている。記憶部120と、第1移動制御部121と、第2移動制御部122と、ストッカー移動制御部123は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば記憶部120と、第1移動制御部121と、第2移動制御部122と、ストッカー移動制御部123は、1つまたは複数のプロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0051】
本実施形態では、ストッカー200の収容部210に被加工物5をユーザが手動で収容するとき、ストッカー200は、収容エリアAR1に配置されている。このとき、まずケース本体10に支持された扉12(
図1参照)をユーザが操作して、開口部11を開放させる。このことで、ストッカー200の収容部210は、前方開口211(
図8参照)を通じて前方からアクセス可能になる。このような状態で、ユーザは、被加工物5を手で掴み、開口部11を通じて収容部210の前方開口211から収容部210に被加工物5を挿入し、収容部210に収容する。収容部210に被加工物5を収容した後、扉12を閉じて開口部11を閉鎖する。
【0052】
次に、切削加工を開始するとき、
図5に示すように、ストッカー200を収容エリアAR1から加工エリアAR2へ移動させる。ここでは、
図12のストッカー移動制御部123は、移動機構300を制御し、ストッカー200(詳しくはストッカー本体201)を下方に移動させて、
図5に示すように、ストッカー200を加工エリアAR2に配置する。ストッカー200が加工エリアAR2に配置されている状態において、収容部210に収容された被加工物5に把持部400を把持させて、被加工物5を収容部210から取り出す。
【0053】
ここでは、第2移動制御部122は、収容部210に収容された被加工物5を把持部400が把持するとき、把持部400を第2ガイドレール501(
図9参照)に沿って移動させる。詳しくは、ストッカー200が加工エリアAR2に配置されているとき、把持部400は、ストッカー200よりも後方に位置する第1位置P1(
図4参照)に配置されている。第2移動制御部122は、把持部400をX軸方向D1の前方に向かって第2距離D12移動させるように、把持移動機構500を制御する。このことで、把持部400は、第2位置P2に到達し、第2位置P2において、収容部210の後方開口212(
図8参照)から収容部210内に挿入され、収容部210に収容された被加工物5を把持する。このとき、把持部400は、収容部210の後方から被加工物5を把持する。
【0054】
その後、被加工物5を把持部400が把持している状態で、第2移動制御部122は、把持部400をX軸方向D1の後方に向かって移動させるように把持移動機構500を制御する。このことで、把持部400は、被加工物5を把持した状態で、収容部210から後方に向かって離れる。そのため、収容部210から被加工物5が取り出される。
【0055】
なお、収容部210から被加工物5を取り出した後、把持部400が把持している被加工物5に対して切削加工される。ここでは、まず
図12のストッカー移動制御部123は、移動機構300を制御して、ストッカー200を上方に移動させて、収容エリアAR1に配置させる。その後、被加工物5に対する切削加工が開始される。ここでは、
図12の第1移動制御部121は、切削加工時、把持部400を第2ガイドレール501(
図9参照)に沿って移動させる。切削加工時、把持部400がX軸方向D1に移動可能な距離は、第1距離D11(
図4参照)である。本実施形態では、記憶部120に記憶された加工データに基づいて、把持部400と、上記のスピンドルとの相対的な位置関係を変更させながら、スピンドルのツール把持部に把持された加工ツールを、把持部400に把持された被加工物5に接触させながら、被加工物5を所望の形状に切削加工する。
【0056】
以上、本実施形態では、切削加工機100は、ストッカー200(
図7参照)と、ケース本体10(
図1参照)と、移動機構300(
図4参照)と、把持部400(
図10参照)と、把持移動機構500(
図9参照)とを備えている。
図7に示すように、ストッカー200は、被加工物5が収容される収容部210を有している。
図4に示すように、ケース本体10には、ユーザが収容部210に被加工物5を収容する収容エリアAR1と、被加工物5を切削加工する加工エリアAR2とが形成されている。
図4および
図5に示すように、移動機構300は、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間において、ストッカー200を移動させる。
図10に示すように、把持部400は、加工エリアAR2に配置され、切削加工中に被加工物5を把持する。
図9の把持移動機構500は、加工エリアAR2に配置されているストッカー200に向かって把持部400を移動させる。このことによって、ストッカー200は、収容エリアAR1から加工エリアAR2に移動されるように構成されている。そのため、切削加工時に被加工物5を把持する把持部400で、加工エリアAR2に移動されたストッカー200に収容された被加工物5を把持して取り出すことができる。そして、ストッカー200に収容された被加工物5を把持部400が把持した状態で、切削加工を開始することができる。よって、切削加工時に被加工物5を把持する把持部400を利用して、ストッカー200に収容された被加工物5を取り出すことができるため、被加工物5をストッカー200から取り出すための専用の機構を省略することができる。その結果、部品点数を少なくすることができる。
【0057】
本実施形態では、
図4に示すように、収容エリアAR1と加工エリアAR2とは、Z軸方向D3に並んで配置されている。移動機構300は、ストッカー200をZ軸方向D3に移動させる。このことによって、ストッカー200をZ軸方向D3に直線移動させることで、収容エリアAR1と加工エリアAR2との間を移動させることができる。
【0058】
本実施形態では、
図9の把持移動機構500は、Z軸方向D3と交差するX軸方向D1に把持部400を移動させる。ここでは、ストッカー200が加工エリアAR2に配置されている状態において、把持移動機構500は、ストッカー200よりもX軸方向D1の一方側(ここでは後方側)に把持部400が位置する第1位置P1(
図4参照)と、把持部400が収容部210に収容されている被加工物5を把持する第2位置P2(
図5参照)との間で、把持部400を移動させる。このことによって、例えばストッカー200を収容エリアAR1から加工エリアAR2に移動させるときには、把持部400を第1位置P1で待機させる。このことで、ストッカー200が加工エリアAR2に配置されたときに、把持部400がストッカー200と干渉することを防止することができる。そして、把持部400を第1位置P1から第2位置P2に移動させることで、ストッカー200の収容部210に収容された被加工物5を把持部400が把持することができ、収容部210から被加工物5を取り出すことができる。
【0059】
本実施形態では、把持移動機構500は、切削加工時、把持部400をX軸方向D1に向かって第1距離D11(
図4参照)移動させるように構成され、かつ、収容部210に収容された被加工物5を把持するとき、把持部400をX軸方向D1に向かって、第1距離D11よりも長い第2距離D12(
図4参照)移動させるように構成されている。このように、把持部400をX軸方向D1に第2距離D12移動させることができるため、切削加工時に被加工物5を把持する把持部400を使用して、収容部210に収容された被加工物5を取り出すことができる。
【0060】
本実施形態では、
図2に示すように、被加工物5は、Z軸方向D3およびX軸方向D1と交差するY軸方向D2と、X軸方向D1に広がった板状のものである。
図10に示すように、把持部400は、第1挟持部401と、第2挟持部402と、連結部403とを有している。第1挟持部401は、被加工物5のY軸方向D2の一端部(ここでは左端部)を支持し、X軸方向D1に延びている。第2挟持部402は、被加工物5のY軸方向D2の他端部(ここでは右端部)を支持し、X軸方向D1に延びている。連結部403は、第1挟持部401におけるストッカー200と反対側の端部(ここでは後端部)と、第2挟持部402におけるストッカー200と反対側の端部(ここでは後端部)とを連結する。このことで、把持部400は、第1挟持部401と第2挟持部402とで被加工物5を挟むことで、収容部210に収容された被加工物5を把持することができる。
【0061】
本実施形態では、
図10に示すように、切削加工機100は、第1回転軸521と、支持部材505とを備えている。第1回転軸521は、X軸方向D1に延びている。第1回転軸521の一端は、把持部400の連結部403に接続されている。支持部材505は、第1回転軸521の他端に接続され、把持部400を支持する。把持部400は、支持部材505に対して第1回転軸521を軸に回転可能に構成されている。このことによって、第1回転軸521が被加工物5に干渉することなく、把持部400が被加工物5を把持することでき、かつ、第1回転軸521を軸に把持部400を回転させることができる。
【0062】
本実施形態では、切削加工機100は、支持部材505に接続され、Y軸方向D2に延びた第2回転軸522を備えている。支持部材505は、第2回転軸522を軸に回転可能に構成されている。このことによって、支持部材505と共に把持部400を、第2回転軸522を軸に回転させることができる。
【符号の説明】
【0063】
5 被加工物
10 ケース本体
100 切削加工機
200 ストッカー
210 収容部
300 移動機構
400 把持部
401 第1挟持部
402 第2挟持部
403 連結部
500 把持移動機構
505 支持部材
521 第1回転軸
522 第2回転軸